特許第6804973号(P6804973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6804973-歯磨き組成物 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804973
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】歯磨き組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20201214BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20201214BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/46
   A61Q11/00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-254278(P2016-254278)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-104374(P2018-104374A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池ノ上 久美子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 里絵
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−068607(JP,A)
【文献】 特開2011−136956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−99
A61Q 1/00−90/00
MINTEL GNPD
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホコハク酸系界面活性剤及びシクロデキストリンを含有し、
前記スルホコハク酸系界面活性剤が、有するアルキル基が炭素数8〜18の飽和又は不飽和のアルキル基、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0〜7、であるモノアルキルスルホコハク酸/ポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸およびその塩からなる群より選択される少なくとも1種である、
固形状の歯磨き組成物。
【請求項2】
固形状の歯磨き組成物が、ペースト状、ジェル状、又は粉状の歯磨き組成物である、請求項1に記載の固形状の歯磨き組成物。
【請求項3】
シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の固形状の歯磨き組成物。
【請求項4】
スルホコハク酸系界面活性剤が、スルホコハク酸モノラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(3)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノラウリルスルホコハク酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、及びポリオキシエチレン(7)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の固形状の歯磨き組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯磨き組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホコハク酸系界面活性剤は、歯牙表面へのステイン形成抑制効果を奏し得ることが知られており、主に液体口腔用組成物に配合されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−245188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に歯磨きを3分間行うと、歯の着色汚れ(ステイン)はある程度は除去できるといわれている。しかし一部は残ってしまい、これが蓄積すると見た目にも顕著なステインとなるため、定期的に(例えば週に1度など)、3分以上の時間をかけて歯磨きを行い、蓄積したステインをしっかり除去する必要がある。
【0005】
本発明者らは、ステイン形成抑制効果を有するスルホコハク酸系界面活性剤を歯磨き組成物に配合することを試みた。スルホコハク酸系界面活性剤は硫酸エステル系界面活性剤等に比べ起泡力が低いことが知られており、このため起泡力向上だけでなく泡の安定性を考慮した処方設計を行なうことが望ましい。この点を考慮し、約3分間の歯磨き時間の間十分な泡立ちを得られるように設計したしたスルホコハク酸系界面活性剤を含有する歯磨き組成物(特にペースト状の歯磨き組成物)を調製することが好ましい。しかし、このように調製した歯磨き組成物を用いて3分を超えるブラッシングを行うと、泡量が多くなりすぎてブラッシングがしにくくなったり、口から泡があふれる場合があること、並びに、口中の泡を吐き出してからブラッシングを継続使用としても泡立ちが弱いためブラッシングしやすい十分な泡量を確保することができないこと、を本発明者らは見出した。
【0006】
また、ステインの除去は人目に付きやすい前歯を主として行なわれるが、前歯を磨く場合、唇を大きく空けておく必要があるため、泡立ちが良すぎると口元から泡が漏れ出しやすく、継続して磨きにくいという課題もある。
【0007】
そこで、(特にある程度の時間(例えば3分間)以上ブラッシングを行った場合であっても、)泡立ちが抑制される、スルホコハク酸系界面活性剤含有歯磨き組成物を調製することが考えられる。しかし、泡立ちを低減するためにスルホコハク酸系界面活性剤配合量を少なくすると、ステイン形成抑制効果も不十分になるおそれがある。また、泡立ちが必要以上に低減されると、今度は使用者が満足な使用感を得られないおそれもある。
【0008】
そこで、本発明は、スルホコハク酸系界面活性剤を含有しつつも使用時の泡立ちが適度な固形状の歯磨き組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、シクロデキストリンがスルホコハク酸系界面活性剤含有歯磨き組成物の泡立ちを適度なもの(泡立ち過ぎず、かつ泡立ちが弱すぎることもない)とし得ることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
スルホコハク酸系界面活性剤及びシクロデキストリンを含有する固形状の歯磨き組成物。
項2.
固形状の歯磨き組成物が、ペースト状、ジェル状、又は粉状の歯磨き組成物である、項1に記載の固形状の歯磨き組成物。
項3.
シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の固形状の歯磨き組成物。
項4.
スルホコハク酸系界面活性剤が、有するアルキル基が炭素数8〜18の飽和又は不飽和のアルキル基、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0〜7、であるモノアルキルスルホコハク酸/ポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸およびその塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の固形状の歯磨き組成物。
項5.
スルホコハク酸系界面活性剤が、スルホコハク酸モノラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(3)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノラウリルスルホコハク酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、及びポリオキシエチレン(7)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、項4に記載の固形状の歯磨き組成物。
項6.
シクロデキストリンを含まない以外同じ組成の歯磨き組成物の泡立ちの程度の25〜75%(好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜65%、さらに好ましくは40〜60%)の泡立ち程度である、項1〜5のいずれかに記載の固形状の歯磨き組成物。
項7.
泡立ち程度が、歯磨き組成物25質量部に水75質量部を加えて溶解し、往復振とう機に横向きに設置し、振とう幅40mm、振とう速度160〜170r/min(rpm)で5分間振とうしたときの、液面から泡の高さで評価される、項6に記載の固形状の歯磨き組成物。
項8.
シクロデキストリンが、スルホコハク酸系界面活性剤100質量部に対して、0.0125〜200000質量部含まれる、項1〜7のいずれかに記載の固形状の歯磨き組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る固形状の歯磨き組成物であれば、スルホコハク酸系界面活性剤を含有しつつも使用時の泡立ちがステイン除去を目的とした歯磨きにおいて適度である。このため、本来歯磨き組成物が有するステイン除去効果を十分に得ることができ、また使用者が良好な使用感を得ることができ、また、十分に時間をかけて歯磨きできるため、歯牙表面に蓄積したステインを十分に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スルホコハク酸系界面活性剤及びシクロデキストリンを含む歯磨き組成物の泡立ち評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0014】
本発明に包含される固形状の歯磨き組成物は、スルホコハク酸系界面活性剤及びシクロデキストリンを含む。
【0015】
スルホコハク酸系界面活性剤としては、エチレンオキシドの平均付加モル数が0〜7であるスルホコハク酸系活性剤が好ましい。
【0016】
中でも、有するアルキル基が炭素数8〜18の飽和又は不飽和のアルキル基で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0〜7であるモノアルキルスルホコハク酸/ポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸およびその塩からなる群より選択される少なくとも1種のスルホコハク酸系界面活性剤が好ましく挙げられる。このうち、炭素数が12〜16個のアルキル基で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0〜3であるスルホコハク酸系界面活性剤がより好ましい。なお、「モノアルキルスルホコハク酸/ポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸」の「/」は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が0のときはモノアルキルスルホコハク酸であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1〜7のときはポリオキシエチレンモノアルキルエーテルスルホコハク酸であることを示している。
【0017】
より具体的には、、例えば、スルホコハク酸モノラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(3)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノラウリルスルホコハク酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン(5)ラウリルスルホコハク酸マグネシウム、ポリオキシエチレン(5)モノヤシ油脂肪酸(炭素数8〜18)スルホコハク酸2ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウロイルエタノールアミド2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノラウリルスルホコハク酸マグネシウム等が挙げられ、このうち、スルホコハク酸モノラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノラウリルスルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(7)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウムがより好ましく、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(炭素数12〜14)スルホコハク酸2ナトリウムが中でも好ましい。
【0018】
スルホコハク酸系界面活性剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特にマグネシウム塩を用いる場合にはナトリウム塩と併用することが好ましい。ヤシ油脂肪酸のアルキル基分布は、炭素数が8〜18のものを使用できるが、10〜18がより好ましく、10〜16が最も好ましい。
【0019】
なお、上記のポリオキシエチレンの後の括弧書きの数字は、エチレンオキシドの付加モル数の平均値を意味する。ポリオキシエチレンはPOEと記載されることがある。
【0020】
本発明に用いるシクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリンが好ましい。中でもβ−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンが好ましい。シクロデキストリンは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
シクロデキストリンの含有量としては、組成物全量に対して、0.005〜5質量%程度であることが好ましく、0.01〜2質量%程度がより好ましく、0.05〜1質量%程度がさらに好ましい。
【0022】
また、シクロデキストリンは、スルホコハク酸系界面活性剤100質量部に対して、0.0125〜200000質量部程度含まれることが好ましく、0.25〜20000質量部程度含まれることがより好ましく、0.5〜2000質量部程度がさらに好ましい。当該範囲の中でも、シクロデキストリンは、スルホコハク酸系界面活性剤100質量部に対して、1〜1000質量部程度含まれることが好ましく、2〜500質量部程度含まれることがより好ましく、2.5〜100質量部程度含まれることがさらに好ましく、5〜50質量部程度含まれることがよりさらに好ましい。
【0023】
固形状の歯磨き組成物としては、例えば、ペースト状、ジェル状、又は粉状の歯磨き組成物を好ましく挙げることができる。これらペースト状、ジェル状、又は粉状の歯磨き組成物は、例えば練歯磨組成物、粉歯磨組成物、潤性歯磨組成物、ゲル類、クリーム類、パスタ類等の歯磨き組成物を好ましく包含する。このような剤形の歯磨き組成物は公知の方法(特に常法)によって調製することができる。
【0024】
本発明に係る固形状の歯磨き組成物は、スルホコハク酸系界面活性剤を含有する一方で、歯磨き時(好ましくは当該組成物を用いた歯のブラッシング時)における泡立ちが適度(多すぎず少なすぎない)である。特に制限はされないが、当該固形状の歯磨き組成物使用時の泡立ちの程度は、好ましくは、シクロデキストリンを含まない以外は同じ組成の歯磨き組成物使用時の泡立ちの25〜75%程度であり、より好ましくは30〜70%程度、さらに好ましくは35〜65%程度、よりさらに好ましくは40〜60%程度である。
【0025】
ここでの「泡立ち」は、歯磨き組成物25質量部に水75質量部を加えて溶解し、往復振とう機に横向きに設置し、振とう幅40mm、振とう速度160〜170r/min(rpm)で5分間振とうしたときの、液面から泡の高さで評価される。
【0026】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに界面活性剤を含有しても良い。但し、界面活性剤は歯磨き組成物の泡立ちを増加させる可能性が高いことから、さらに配合させる場合には注意が必要である。さらに配合される界面活性剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩(好ましくはナトリウム塩)が挙げられる。(アルキル硫酸塩としては、炭素数8〜18の飽和又は不飽和のアルキル基であるアルキル硫酸塩が挙げられる。このうち、アルキル基の炭素数が10〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、10〜12がさらに好ましく、12が最も好ましい。)
【0027】
また、ノニオン界面活性剤、上述したスルホコハク酸系界面活性剤およびアルキル硫酸ナトリウム以外のアニオン界面活性剤、および両性イオン界面活性剤も挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜16であり、且つ、アルキル基の炭素数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、またはエチレンオキシドの平均付加モル数が9であり、且つ、アルキル基の炭素数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、アニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、N−ラウロイルサルコシンナトリウムやN−ラウロイルメチルアラニンナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム等のN−アシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリン等のN−アシルタウリン塩、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキルエーテルカルボン酸塩が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤、N−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤等が挙げられる。これらのスルホコハク酸系界面活性剤以外の界面活性剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明の組成物は、更に粘結剤を含有してもよい。当該粘結剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.1〜8質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる粘結剤として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリンなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これらの粘結剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明の組成物は、更に甘味剤を含有してもよい。当該甘味剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.001〜10質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる甘味剤として、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、スクラロース、L−フェニルアラニン、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これらの甘味剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明の組成物は、更に湿潤剤を含有してもよい。当該湿潤剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、1〜60質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる湿潤剤として、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオ−ル、ソルビトール、ポリエチレングリコール(例えばPEG400、PEG4000等)、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの湿潤剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明の組成物は、更に保存剤を含有してもよい。当該保存剤の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる保存剤として、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチルなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩、フェノキシエタノールなどのフェノール類などが挙げられる。これらの保存剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明の組成物は、更に歯牙研磨剤を含有してもよい。このような歯牙研磨剤としては、例えば沈降シリカ(特に研磨性沈降シリカ)、ゲル法シリカ、ヒュームド法シリカ、ジルコノシリケート、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、第2リン酸カルシウム・無水和物、第2リン酸カルシウム・2水和物、第3リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム・無水和物、リン酸水素カルシウム・2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ハイドロキシアパタイト、結晶セルロース、合成樹脂(例えばポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ)等が挙げられる。これらのなかでも、特に沈降シリカが好ましい。また、このような歯牙研磨剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明の組成物は、更に薬効成分を含有してもよい。但し、スルホコハク酸系界面活性剤と併用すると沈殿を生じ易い薬効成分も存在する(例えば塩化セチルピリジニウムなどのカチオン系化合物)ため、使用する場合には使用量に注意すべきである。上記薬効成分の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.001〜1質量%の範囲内であることが好ましい。
【0034】
本発明に用いられる薬効成分として、例えば、殺菌剤として、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウムなどのカチオン性殺菌剤;ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤、トリクロサン(2’,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)などのハロゲン化ジフェニルエーテルやイソプロピルメチルフェノールなどのフェノール系殺菌剤、ヒノキチオール;血行促進剤として酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;抗炎症剤としてグリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどのグリチルリチン酸塩;抗プラスミン剤としてトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸など;出血改善剤としてアスコルビン酸など;組織修復剤としてアラントインなど;再石灰化剤としてフッ化ナトリウムなどのフッ素化合物;その他、水溶性溶媒で抽出された植物抽出物、クロロフィル、塩化ナトリウム、塩化亜鉛などが挙げられる。これらの薬効成分は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明の組成物は、更に香料を含有することができる。上記香料の全組成物に対する含有量は、おおむね、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましい。本発明に用いられる香料として、例えば、メントール、メントン、イソメントン、乳酸メンチル、酢酸テルピニル、チモール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、カルボン、サリチル酸メチル、バニリン、ベンジルサクシネート、メチルオイゲノール、アネトール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、グレープフルーツ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、コリアンダー油、ハッカ油、フェンネル油、珪藻油、バジル油などが挙げられる。これらの香料は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例】
【0037】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0038】
歯磨き組成物の調製及び泡立ち評価
表1に記載の組成に従い、常法によりペースト状の歯磨き組成物を調製した。なお、表1に記載の各成分値は質量%を示す。また、以下、表中の「ソルビトール液」はソルビトール70質量%水溶液である。
【0039】
【表1】
【0040】
そして、各実施例及び比較例の歯磨き組成物につき、次のようにして泡立ちを評価した。
【0041】
各例の歯磨き組成物それぞれに25gに水を加えて100gとし、均一になるよう静かに液を攪拌子にて攪拌した。組成物が十分に溶解したら、各試験液を50mLのフタ付き試験管に15mLとり、フタをして往復振とう機に横向きに設置し、振とう幅40mm、振とう速度160〜170r/minで5分間振とうした。取り出し後、試験管の液面がほぼ水平になるよう立てて、液面から泡の高さ(泡立ち)を測定した。
【0042】
結果を図1に示す。図1では、左から実施例1(14mm)、実施例2(10mm)、実施例3(9mm)、比較例1(20mm)、の順に泡の高さ(泡立ち)を棒グラフで示す。
【0043】
歯磨き組成物の使用評価
被験者(85名)に実施例2の歯磨き組成物を2週間使用してもらい、その後、時間をかけて磨くのに適した泡量であるかについて、以下の評価基準で評価をしてもらった。
1.非常に適している。
2.やや適している。
3.あまり適していない。
4.まったく適していない。
【0044】
評価の集計結果を表2に示す。表2の%は、各項目を選択した被験者の割合を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
以下に、本発明の固形状の歯磨き組成物の処方例を挙げる。なお、処方例の各成分の数値は質量%を示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
図1