特許第6804974号(P6804974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6804974
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20201214BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20201214BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20201214BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20201214BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20201214BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20201214BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20201214BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   A61K8/25
   A61K8/34
   A61K8/894
   A61K8/891
   A61K8/81
   A61Q1/14
   A61Q1/00
   A61Q19/10
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-256600(P2016-256600)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-108947(P2018-108947A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】幸田 佐知子
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−256129(JP,A)
【文献】 特開平08−268831(JP,A)
【文献】 特開2004−107221(JP,A)
【文献】 特開平07−330536(JP,A)
【文献】 特開2015−105259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)を含有し、成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]が0.5以上20以下である皮膚化粧料。
(A) マイカ、タルク及び無水ケイ酸から選ばれる1種以上の、平均粒子径が5μm以上20μm未満である板状無機体質粉末 0.1質量%以上0.5質量%以下
(B) 低級アルコール 3質量%以上15質量%以下
(C) 動粘度が6,000mm2/s以上100,000mm2/s以下である高重合直鎖状シリコーン油 0.03質量%以上0.5質量%以下
(D) HLBが12以上のポリエーテル変性シリコーン 0.08質量%以上0.5質量%以下
【請求項2】
成分(A)が、マイカ及び無水ケイ酸から選ばれる1種又は2種である請求項1に記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
成分(C)の動粘度が、8,000mm2/s以上70,000mm2/s以下である請求項1又は2に記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
更に成分(E)として、多価アルコールを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項5】
更に成分(F)として、水溶性高分子を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【請求項6】
ふき取り用化粧料である請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の正常な代謝において垢となって落屑されるはずの角質層が、紫外線や乾燥などの要因で滞ると角質層全体が固く肥厚し、なめらかさや明るさの低下した外観へと変化することが知られている。このような背景から、本来落屑すべき角質層の除去を促す角質層除去用の化粧料(例えば、特許文献1)が知られている。また、皮膚表面の汚垢を除去後、肌につるつる感及びしっとり感を与えるパック化粧料が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-174527号公報
【特許文献2】特開2000-256129号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のふきとり用化粧水は、角質層が除去され、肌表面がつるつるになった実感は得られるものの、角質層除去により肌が明るくなったと感じられにくく、また角質層除去された後の肌にスキンケア化粧料を適用した際にその化粧料の浸透が促進されているという感覚が得られるものではなかった。また、特許文献2に記載のパック化粧料では、その後に適用する化粧料の浸透促進感は得られるものの、使用後の肌の明るさ感及び角質層の除去感(つるつる感)に劣るものであった。
【0005】
したがって本発明は、使用後の角質層の除去感(つるつる感)と肌の明るさ感に優れ、かつ、その後に適用する化粧料の浸透促進感にも優れる皮膚化粧料に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、低級アルコール及び特定の高重合シリコーン油とともに、特定の形状及び大きさの無機粉末と特定のHLBを有するポリエーテル変性シリコーンを併用することにより、上記課題が達成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は次の成分(A)〜(D)を含有し、成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]が0.5以上20以下である皮膚化粧料を提供するものである。
(A) 平均粒子径が20μm未満である板状無機体質粉末
(B) 低級アルコール
(C) 動粘度が6,000mm2/s以上100,000mm2/s以下である高重合直鎖状シリコーン油
(D) HLBが12以上のポリエーテル変性シリコーン
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚化粧料は、使用後の角質層の除去感(つるつる感)と肌の明るさ感に優れ、かつ、本発明の皮膚化粧料の後に適用する化粧料の浸透促進感にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔成分(A):平均粒子径が20μm未満の板状無機体質粉末〕
成分(A)は、平均粒子径が20μm未満の板状無機体質粉末である。ここでいう「体質粉末」とは、化粧料は化粧料に基本的な形や使用感などの特性をもたせるために使用される粉体であり、酸化鉄等の色材、雲母チタン等のパール顔料とは区別されるものである。また、「板状」とは、平均アスペクト比が3〜600であることをいう。
【0010】
成分(A)の平均粒子径は、使用後の肌の明るさを実感できる観点から、20μm未満であって、好ましくは18μm以下、より好ましくは15μm以下であり、また、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上である。成分(A)の平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計LMS-350(セイシン企業社製)を用いて測定することができ、「平均粒子径」は、得られる累積粒度分布曲線におけるD50(累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径)の点、すなわち体積中位径を意味する。
【0011】
成分(A)の平均アスペクト比としては、肌の明るさ、ふき取り後の肌のつるつる感を向上させる観点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、また、400以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下が更に好ましい。
【0012】
ここで、平均アスペクト比は、(平均粒子径)/(平均粒子厚さ)により求め、小数点以下を四捨五入した値とした。平均粒子厚さは、透過型電子顕微鏡写真の同視野中の厚さを読み取り、読み取れるすべての粒子の厚さの算術平均より求めた。
【0013】
成分(A)の屈折率としては、肌の自然なつや感が得られ、肌の明るさを向上させる観点から、2.5以下が好ましく、2.2以下がより好ましく、2以下が更に好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.6以下が更に好ましく、また、1.4以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。
【0014】
成分(A)としては、具体的にはマイカ(屈折率:1.53〜1.59)、無水ケイ酸(屈折率:1.45)、セリサイト(屈折率:1.55〜1.58)、カオリン(屈折率:1.56)、合成金雲母(屈折率:1.55〜1.59)、タルク(屈折率:1.53〜1.59)、ベントナイト(屈折率:1.47〜1.58)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(屈折率:1.52)、窒化ホウ素(屈折率:2.17)、硫酸バリウム(屈折率:1.64)等が挙げられる。これらの中でも、安定に配合できる観点から、マイカ、無水ケイ酸、カオリン、タルクから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、マイカ、無水ケイ酸がより好ましい。
【0015】
本発明の皮膚化粧料中における成分(A)の含有量は、使用直後の肌の明るさ感を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0016】
<成分(B):低級アルコール>
成分(B)は、低級アルコールである。成分(B)としては、炭素数1〜4の飽和一価アルコールから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、プロパノールがより好ましく、エタノールが更に好ましい。
【0017】
本発明の皮膚化粧料中における成分(B)の含有量は、角質層の除去感(つるつる感)を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0018】
<成分(C):動粘度が6,000mm2/s以上100,000mm2/s以下である高重合直鎖状シリコーン油>
成分(C)の動粘度が6,000mm2/s以上100,000mm2/s以下である高重合直鎖状シリコーン油としては、メチルシリコーン鎖を直鎖状に重合させた化合物が好ましく、なかでもジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0019】
成分(C)は、角質層の除去感(つるつる感)を向上させる観点から、ウベローデ粘度計を用いて測定した1気圧下、25℃での動粘度が、6,000mm2/s以上であって、好ましくは8,000mm2/s以上、より好ましくは10,000mm2/s以上であり、また、100,000mm2/s以下であって、好ましくは70,000mm2/s以下、より好ましくは50,000mm2/s以下である。
【0020】
本発明の皮膚化粧料中における成分(C)の含有量は、角質層の除去感(つるつる感)を向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、また、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
【0021】
〔成分(D):HLBが12以上のポリエーテル変性シリコーン〕
成分(D)のポリエーテル変性シリコーンは、メチルシリコーン鎖を主鎖とし、ポリオキシエチレン基からなる側鎖をもつ化合物であり、具体的には、下記一般式(1)で表されるものから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、mは5〜50の整数、nは2〜10の整数、pは10〜50の整数をそれぞれ示す。〕
【0024】
成分(D)のHLBは、浸透促進感の向上の観点から、12以上であって、好ましくは13以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは19以下である。
【0025】
またHLBが異なる2種以上のポリエーテル変性シリコーンを使用する場合は、それらの加重平均で求めたHLBが上記範囲になればよい。なお、HLBとは、親水性と親油性のバランスを表す指標であり、本発明においては、以下のグリフィン(Griffin)の式(2)により求められるものを指す。
HLB=20×親水基部の分子量の総和/分子量 (2)
【0026】
本発明の皮膚化粧料中における成分(D)の含有量は、本化粧料の後に適用する化粧料の浸透促進感を向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.25質量%以下である。
【0027】
本発明の皮膚化粧料における成分(D)に対する成分(A)の質量比[(A)/(D)]は、経日安定性及び後に使用する化粧料の浸透促進感を向上させる観点から、0.5以上であって、好ましくは0.75以上、より好ましくは1以上であり、また、20以下であって、好ましくは10以下、より好ましくは7.5以下である。
【0028】
〔成分(E):多価アルコール〕
本発明の皮膚化粧料には、分散安定性の向上のため、更に成分(E)として多価アルコールを含有させることが好ましい。
【0029】
成分(E)としては、例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、これらのうちジプロピレングリコールを含むことがより好ましい。
【0030】
本発明の皮膚化粧料中における多価アルコールの含有量は、分散安定性と保湿効果を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0031】
〔成分(F):水溶性高分子〕
本発明の皮膚化粧料には、分散安定性及び経日安定性の向上のため、更に成分(F)として水溶性高分子を含有させることが好ましい。
【0032】
成分(F)としては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、アラビアゴム、タマリンドガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、アルギン酸、寒天、デンプンから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、カルボキシビニルポリマーを含むことがより好ましい。
【0033】
本発明の皮膚化粧料中における水溶性高分子の含有量は、分散安定性及び経日安定性を向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは3質量%以下より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下である。
【0034】
〔色材、パール顔料〕
本発明の皮膚化粧料には、肌色を調整する目的で色材やパール顔料を含有させることができる。色材としては、カーボンブラック、酸化鉄、ベンガラ、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸リチウムコバルト等が挙げられる。パール顔料としては、雲母チタン、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス等が挙げられる。
【0035】
本発明の皮膚化粧料中における色材及びパール顔料の含流量は、肌の自然なツヤ感、明るさを得る観点から、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましく、実質的に含有していないことが更に好ましい。
【0036】
〔その他の任意成分〕
本発明の皮膚化粧料には、以上の成分のほかに、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で、成分(C)を除く油剤、界面活性剤、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤、防菌防腐剤、消炎剤、血行促進剤、昆虫忌避剤、塩類、キレート剤、中和剤、pH調整剤、香料等を含有することができる。なお、これら各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途にも用いられる。
【0037】
〔用途、使用方法、形態〕
本発明の皮膚化粧料は、角質層を除去する観点から、ふき取り用の化粧料として用いることが好ましい。使用方法としては、本発明の皮膚化粧料を、化粧用コットン等に適量含ませるか又は適量手に取り、肌に塗布した後、ふき取ることが好ましい。より好ましくは、コットンに定量含ませ、肌に塗布後、ふき取る使用方法が好ましい。
【0038】
本発明の皮膚化粧料の形態は、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状など適宜選択できるが、成分(A)の分散安定性、及びふき取り用途での使用形態から、ゲル状が好ましく、ローション、乳液、保湿液、美容液等に応用することができる。
【0039】
〔粘度〕
本発明の皮膚化粧料の25℃における粘度は、成分(A)の分散安定性を向上する観点、及びふき取り使用に好適なものとする観点から、好ましくは1,000mPa・s以上、より好ましくは3,000mPa・s以上、更に好ましくは5,000mPa・s以上であり、また、好ましくは20,000mPa・s以下、より好ましくは17,000mPa・s以下、更に好ましくは15,000mPa・s以下である。ここで、25℃における粘度は、B型粘度計を用いて、ローターNo.4、回転数12rpmで30秒測定した時の粘度を指す。
【0040】
〔製造方法〕
本発明の皮膚化粧料は、所定の成分を適宜混合することによって製造することができ、混合する順序によらず、全成分を均一に混合・分散することにより製造することができる。具体的には、本発明の皮膚化粧料は、成分(A)〜(D)、及びその他の任意成分を混合攪拌する工程を含む方法により製造することができる。また、混合攪拌する工程においては、必要に応じて加熱する工程を含んでいてもよい。当該加熱温度は、各成分を十分に溶解させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である
【実施例】
【0041】
実施例1〜6及び比較例1〜8
表1に示す組成のふき取り用化粧料を下記製造方法にて製造し、経日安定性、及び以下の使用感について評価した。
【0042】
(製法)
成分2〜6及び10〜12を60℃で均一に溶解させ、成分7及び8を加え60℃で混合し、成分9を加えて中和する。成分1を前記混合物に添加後、ホモミキサーを用いて撹拌し、混合物を30℃まで冷却してふきとり用化粧料を得る。
【0043】
(1)経日安定性
表1の各化粧料をガラス容器(容量50mL)に50gずつ充填し、密閉して45℃の環境下に3か月間静置した。3か月後に、目視により沈殿や分離の有無、試料の粘度変化及び外観の変化(変色)を観察し、以下の基準に従って評価した。
○:試料の粘度変化、外観変化(変色)及び沈殿や分離は生じていない
△:沈殿や分離は生じていないが、試料の粘度変化又は外観の変化が生じている
×:沈殿や分離が生じている
【0044】
(2)使用感
「肌の明るさ感」、「ふき取った後のつるつる感」
表1のふき取り用化粧料(2mL)を化粧用コットン(カネボウ とりさるコットン)に含ませ肌に塗布後、同コットンでふき取った後のつるつる感・肌の明るさ感に関する使用試験を行った。
ふき取った後のつるつる感は、つるつる感を感じた場合を5点、つるつる感を感じない場合を1点として1点刻みで評価(5段階評価)し、10人の女性評価パネラーによる評価の平均点を求めた。
ふき取った後の肌の明るさは、ふき取った直後から3分の間に肌が明るくなったと感じた場合を3点、3分の間に肌が明るくなったと感じなかった場合を1点として1点刻みで評価(5段階評価)し、10人の女性評価パネラーによる評価の平均点を求めた。
【0045】
「浸透促進感」
更に、表1のふき取り用化粧料でふき取った約5分後、化粧水(3mL)を使用した際の化粧水の皮膚への浸透促進感に関する使用試験を行った。
ふき取り化粧料使用後の化粧水が皮膚に浸透していると感じた場合を5点、浸透していると感じなかった場合を1点として1点刻みで評価(5段階評価)し、10人の女性評価パネラーによる評価の平均点を求めた。
【0046】
【表1】
【0047】
*1:セリサイトFSE(三信鉱工社製)
*2:1886L タルク(Brenntag Specialties, Inc社製)
*3:雲母粉 SA-310(ヤマグチマイカ社製)
*4:TIMIRON SUPERSHEEN MP-1001(メルク社製)
*5:シリコーン KF-96H-3万CS(信越化学工業社製)
*6:シリコーン KF-96A-6CS(信越化学工業株社製)
*7:シリコーン KF-6011(信越化学工業株社製)
*8:シリコーン KF-6013(信越化学工業株社製)
*9:シンタレン K(和光純薬工業社製)
*10:ニッコール HCO-60(医薬用)(日本サーファクタント工業社製)
*11:レオドール TW-L120(花王社製)
【0048】
表1より、本発明の実施例は経日安定性に優れ、肌の明るさ、ふき取り後のつるつる感、及び浸透促進効果のいずれも優れるものであった。
【0049】
以下、本発明の処方例を記す。いずれも実施例と同等の効果を奏するものである。
【0050】
処方例1(ふき取り化粧水)
(成分) (質量%)
マイカ(*1) 0.3
ジメチルポリシロキサン(30,000mm2/s)(*5) 0.05
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(HLB14.5)(*7) 0.1
エタノール 10.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)(*10) 1.0
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5
1,3-ブチレングリコール 4.0
ジプロピレングリコール 5.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.)(*12) 2.0
フェノキシエタノ−ル 0.3
キサンタンガム(*13) 0.2
メチルセリン(*14) 0.1
N−アセチルグルコサミン(*15) 0.1
海藻エキス(1)(*16) 0.01
ヒアルロン酸ナトリウム(*17) 0.01
チョウジエキス(*18) 0.01
アンズ果汁・濃グリセリン混合液(*19) 0.1
ゲットウ葉エキス(*20) 0.01
香料 0.01
精製水 残量
【0051】
*12:グルカムE-20(アマコール社製)
*13:サンエースC(三栄源エフ・エフ・アイ社製)
*14:N-メチル-L-セリンT(高砂ケミカル社製)
*15:マリンスウィートF(焼津水産社製)
*16:ALARIANE(BiotechMarine社製)
*17:ヒアルロン酸FCH-SU(紀文フードケミファ社製)
*18:チョウジ抽出液(丸善製薬社製)
*19:アプリコットエキスKS(香栄興業社製)
*20:月桃葉抽出液BG(丸善製薬社製)
【0052】
処方例2(ふき取り用乳液)
(成分) (質量%)
無水ケイ酸(*21) 0.3
ジメチルポリシロキサン(30,000mm2/s)(*5) 0.05
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(HLB14.5)(*7) 0.1
エタノール 10.0
水素添加大豆リン脂質(*22) 0.2
コレステロール 0.1
シクロペンタポリシロキサン 3.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 2.0
1,3-ブチレングリコール 8.0
ジプロピレングリコール 5.0
濃グリセリン 2.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(*23) 0.1
カルボキシビニルポリマー(*24) 0.02
キサンタンガム 0.1
水酸化カリウム 0.05
エデト酸二ナトリウム 0.02
フェノキシエタノール 0.1
ハイビスカス花エキス(*25) 0.1
乳酸桿菌/セイヨウナシ果汁発酵液(*26) 0.1
豆乳発酵液(*27) 0.1
ヒアルロン酸ジメチルシラノール(*28) 0.1
オランダカラシエキス(*29) 0.1
ノイバラ果実エキス(*30) 0.1
精製水 残量
【0053】
*21:アエロジル300(日本アエロジル社製)
*22:コートソームNC-21(日本油脂社製)
*23:PEMULENE TR-1(G.F.Goodroch社製)
*24:シンタレンL(3V SIGMA社製)
*25:ハイビスカスエキス(A)(GREENTECH S.A.社製)
*26:ファーメンテージ セイヨウナシB(一丸ファルコス社製)
*27:豆乳発酵液(三省製薬社製)
*28:D.S.H. C N 6(EXSYMOL s.a.m社製)
*29:ウォータークレスKB(Silab社製)
*30:エイジツ抽出液BG-R(丸善製薬社製)
【0054】
処方例3(ふき取り用O/W型マッサージクリーム)
(成分) (質量%)
マイカ(*1) 0.3
ジメチルポリシロキサン(30,000mm2/s)(*5) 0.05
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(HLB14.5)(*7) 0.1
エタノール 6.0
ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム 0.5
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.0
トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5
ポリオキシエチレンソルビットミツロウ(6E.O.) 1.0
ベヘニルアルコール 3.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 2.0
ワセリン 3.0
サラシミツロウ 1.0
パルミチン酸セチル 0.5
スクワラン 7.0
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
ジメチルポリシロキサン 3.0
マルチトール液(70%水溶液) 3.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
キサンタンガム 0.2
フェノキシエタノール 0.5
エデト酸二ナトリウム 0.02
グリチルリチン酸ジカリウム(*31) 0.05
ニコチン酸アミド(*32) 0.2
カンゾウ葉エキス(*33) 0.01
ビターオレンジ果皮エキス(*34) 0.01
スイカズラ花エキス(*35) 0.01
テンチャエキス(*36) 0.1
精製水 残量
【0055】
*31:グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬社製)
*32:ナイアシンアミドUSP PC(DSM Nutritional Products社製)
*33:甘草葉抽出液BG(丸善製薬社製)
*34:トウヒリキッドB(一丸ファルコス社製)
*35:ファルコレックス スイカズラFB(一丸ファルコス社製)
*36:甜茶抽出液BGW(丸善製薬社製)
【0056】
なお、前記処方例1で用いた香料は、以下のフローラル系調合香料処方である。なお、成分名中に記載される1%DPG、5%DPG、10%DPGとは、香料の有効成分含量がそれぞれ1質量%、5質量%、10質量%のジプロピレングリコール溶液であることを示す。
【0057】
フローラル系調合香料処方
(成分) 含有量(質量%)
ベルガモットオイル(天然香料) 2.0
リナリールアセテート 1.5
メチルアンスラニレート 0.2
ペチグレインオイル(天然香料) 0.5
オーランチオール 10%DPG(ヒドロキシシトロネラールとメチルアンスラニレートとのシッフ塩基) 1.0
アミルアリルグリコレート 1%DPG 0.5
ガルバナムオイル 1%DPG(天然香料) 0.1
ブラックカラントバズアブソリュート 10%DPG(天然香料) 1.5
タジェットオイル 10%DPG(天然香料) 0.8
イランイランオイルエキストラ(天然香料) 2.0
ベンジールアセテート 5.0
メチルジヒドロジャスモネート 13.0
シスジャスモン 10%DPG 1.0
ジャスミンアブソリュート(天然香料) 0.5
インドール 5%DPG 0.5
アルファヘキシルシンナミックアルデヒド 1.5
L-シトロネロール 0.5
ローズオイル(天然香料) 0.5
ローズアブソリュート(天然香料) 0.5
ダマセノン 1%DPG 0.5
L-ローズオキサイド 1%DPG 0.5
ジメチルベンジルカーボニルアセテート 1.0
ヒドロキシシトロネラール 3.0
リラール(化合物名:4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カーボキシアルデヒド) 3.5
シクラメンアルデヒド(化合物名:2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)-プロパノール) 0.5
アルファイソメチルヨノン(化合物名:5-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセニル)-3-メチル-3-ブテン-2-オン) 4.0
オリスコンクリート 10%DPG(天然香料) 0.8
メチルオイゲノール 0.5
イソEスーパー(化合物名:7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタハイドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン) 2.5
ベルトフィックスクール(化合物名:4-アセチル-トリメチル-6,8α-エタノ-1,2,3,5,6,7,8,8α-オクタヒドロナフタレノン) 4.0
ベチバーアセテート 2.0
サンダルウッドオイル(天然香料) 1.5
バグダノール 10%DPG(化合物名:2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール) 1.0
パチュリーオイル 10%DPG(天然香料) 0.2
エベルニール 10%DPG(化合物名:メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート) 1.5
ガラクソリッド 50%ベンジールベンゾエート(化合物名:4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒロドシクロペンタベンゾピラン) 10.0
シクロペンタデカノリッド 4.0
ヘリオトロピン 0.5
クマリン 0.5
バニリン 10%DPG 0.5
エチルバニリン 10%DPG 2.5
ラズベリーケトン 10%DPG(化合物名:4-(4-ヒドロフェニル)-2-ブタノン) 0.5
ガンマウンデカラクトン 10%DPG 1.5
ガンマデカラクトン 10%DPG 1.5
ラブダナム アブソリュート 10%DPG(天然香料) 0.5
ジプロピレングリコール 残量