(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信モジュールを通じて前記外部の装置から前記吸引量に関するデータを入手し、前記吸引制御部は、入手したデータを前記吸引量として設定する請求項3に記載の薬液吸引装置。
前記注入制御部は、ネットワークを通じて他のシステムに接続されており、前記シリンジデータキャリアから取得したデータを、前記ネットワークを通じて他のシステムへ送信する請求項6に記載の薬液注入システム。
前記薬液吸引装置は、ユーザが薬液の吸引量を設定できるように構成された吸引量設定部をさらに有し、前記吸引制御部はさらに、前記吸引量設定部で設定された吸引量に従って前記ピストン駆動機構の動作を制御する請求項6または7に記載の薬液注入システム。
前記注入制御部は、前記シリンジデータキャリアに記録されているデータを前記注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタにより読み出し、読み出した前記データを用いて、予め定められている手順に従ってチェックサムを算出し、算出したチェックサムと、前記シリンジデータキャリアに記録されているチェックサムとを比較し、両方のチェックサムが一致しなければ、エラーが発生したと判断するように構成されている、請求項6から8の何れか一項に記載の薬液注入システム。
薬液データが記録された薬液データキャリアを備えた薬液容器に収容された薬液を、シリンダ、ピストンおよびシリンジデータキャリアを備えたシリンジに吸引する薬液吸引装置であって、前記ピストンを前記シリンダに対して進退移動させる吸引用ピストン駆動機構と、前記薬液データキャリアから前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタと、前記シリンジデータキャリアにデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタと、を有する薬液吸引装置と、
前記シリンジに充填されている薬液を注入する薬液注入装置であって、前記ピストンを前記シリンダに対して進退移動させる注入用ピストン駆動機構と、前記シリンジデータキャリアからデータを取得する注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタと、を有する薬液注入装置と、
所定の吸引量だけ前記薬液容器から前記シリンジへ前記薬液が吸引されるように前記吸引用ピストン駆動機構の動作を制御するとともに、前記薬液データキャリアから取得した薬液データおよび前記吸引用ピストン駆動機構の動作に従った吸引量を前記データの一部として前記シリンジデータキャリアに記録するように吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタの動作を制御する吸引制御部と、
前記シリンジデータキャリアから取得したデータを利用して薬液の注入条件を決定し、決定した注入条件に従って前記注入用ピストン駆動機構の動作を制御する注入制御部と、
前記薬液が注入された被験者の断層画像の撮像動作を実行する透視撮像装置と、
を有し、
前記吸引制御部は、前記薬液データキャリアから取得した前記薬液データを用いて少なくとも1つのチェックサムを算出し、算出した前記チェックサムを前記シリンジデータキャリアに記録するように構成される透視撮像システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および
図2を参照すると、薬液容器20に収容された薬液をシリンジ10内に吸引するための、本発明の一実施形態による薬液吸引装置30の外観を示す斜視図および電気信号の流れを示すブロック図がそれぞれ示される。以下、本形態の薬液吸引装置30について、主に
図1および
図2を参照し、必要に応じて他の図面を参照しながら説明する。
【0017】
シリンジ10は、
図3の(a)、(b)に示すように、シリンダ部材501とピストン部材502とを有する。シリンダ部材501の末端にはシリンダフランジ501aが形成され、ピストン部材502の末端にはピストンフランジが形成されている。シリンダ部材501の外周面には、シリンジデータキャリアとしてRFIDタグ503が装着されている。
【0018】
シリンダフランジ501aは、Iカットと呼ばれる、相対する部分が平行にカットされた輪郭形状を有することができる。また、シリンダフランジ501aの外周縁において、周方向に互いに反対側となる位置に2つの切り欠き部505(1つのみを示す)が形成されていてもよい。シリンダ部材501の先端の導管501bは、同心状に配置された内筒および外筒の2つの筒状部を有するルアーロック接続用のものであってもよい。シリンダフランジ501aの後面には、リング状の突起部501cおよびその突起部501cから外側に向かって延びる複数のリブ501dが形成されていてもよい。切り欠き部505およびリブ501dの両方が形成されている必要はなく、いずれか一方のみであってもよい。また、リブ501dに関し、図示上下方向に並んだ複数のリブ501dのうち上部と下部のリブのみが形成されていてもよい。そのようなリブ群が、シリンダフランジ501aの左右両側のいずれか一方のみに形成されていてもよい。
【0019】
RFIDタグ503には、シリンジデータとして、シリンジの製造メーカー、品番、ロット番号、許容圧力値、容量、ピストンストローク、必要な各部の寸法などが予め記録されている。RFIDタグ503は、データ領域として、ユニークID領域およびユーザメモリ領域を含んでいる。ユニークID領域に記録されるデータは、RFIDタグ503のチップメーカーが工場出荷時に設定する、個々のRFIDタグ503に固有のコード(ユニークIDともいう)であり、工場出荷後は変更することができない。一方、ユーザメモリ領域は、RFIDタグ503のユーザによるデータの書き込みが行われる領域であり、上記のシリンジデータおよび後述する薬液等のデータは、このユーザメモリ領域に書き込まれる。
【0020】
なお、
図3には、ピストン部材502が末端側にロッド部分を有し、このロッド部分の末端にピストンフランジが形成されたシリンジを例示した。しかし、シリンジの形態はこれに限られるものではなく、本発明では、ロッド部分を有していない、いわゆるロッドレスシリンジを用いることもできる。ロッドレスシリンジでは、ピストン部材は、一般に、シリンダ部材501の内周面を液密にシールしながらシリンダ部材501の長手方向にスライドする略円筒状の部分と、その末端面に一体的に形成された突出部を有する構造とされる。この突出部に係合する適宜のチャック手段で保持してピストン部材を移動させることができる。ピストン部材は、プランジャと呼ばれることもある。
【0021】
薬液容器20は、
図4に示すように、容器本体21と、連結チューブ12(
図1参照)を介してシリンジ10(
図1参照)と接続される流体コネクタ22と、容器本体21の外表面に配置された、薬液データキャリアとしてのバーコード23とを有する。容器本体21は、ボトルのような剛性容器であってもよいし、バッグのような軟包装体であってもよい。流体コネクタ22は、連結チューブ12と連結されることで容器本体21と連結チューブ12とを流体的に連通させることができる構造のものであれば任意のコネクタであってよく、例えば、スパイク針付きの連結チューブ12を突き刺すことによって開通するゴム栓、あるいは連結チューブ12が接続されることで開放する弁を備えた弁付きキャップなどを用いることができる。
【0022】
容器本体21の内部には、好ましくは造影剤である薬液が収容されている。薬液容器21内に収容されている薬液は、流体コネクタ22に連結チューブを接続することで、外部へ導出することができるように構成されている。薬液容器20は、流体コネクタ22を下に向けた姿勢で容器本体21を吊り下げることができるように吊り帯24が必要に応じて設けられていてもよい。
【0023】
バーコード23には、収容されている薬液に関するデータである薬液データとして、例えば、薬液の製造メーカー、薬液の種類、品番、ロット番号、含有成分(特に、薬液が造影剤の場合はヨード含有濃度など)、消費期限などが記録されている。データの形式としては、例えば、NDC(ナショナル・ドラッグ・コード)に準拠したデータ形式とすることができる。
【0024】
図1および2を参照すると、薬液吸引装置30は、筐体として構成された本体31と、本体31に一体的に設けられたシリンダホルダ32と、シリンダホルダ32に対して移動可能に設けられたピストンホルダ33とを有する。
【0025】
シリンダホルダ32は、一例として、
図5に示すように、シリンダフランジ501a(
図3参照)を側方から受け入れる円弧状の凹部32aを有することができる。この凹部32a内に、導管501b(
図3参照)を上向きとした姿勢でシリンダフランジ501aが載置されることで、シリンダ部材が保持される。本形態では、例えば、100ml用、200ml用など、容量(サイズ、特に直径)の異なる複数種のシリンジ(シリンダ部材)のシリンダフランジを載置することができるように、凹部32aは段差状に形成されている。
【0026】
ピストンホルダ33は、一例として、
図6に示すような引き出し部材33aを有することができる。ピストン引き出し部材33aは、側方からピストン部材502(
図3参照)を受け入れることができるように先端部が二股に分岐した、例えばU字状に形成された部材とすることができ、その二股に分岐した部分の間隔は、ピストンフランジの直径よりも小さい。引き出し部材33aは、シリンダホルダ32と対向する位置に配置され、シリンダホルダ32から離れる方向(下へ向かう方向)および接近する方向(上へ向かう方向)に往復移動可能に設けられている。
【0027】
ピストンホルダ33は、上述した形態に限られず、薬液が吸引されるシリンジの形態に応じて、それに適合する任意の構造を有することができる。例えば、シリンジとして前述したロッドレスシリンジが用いられる場合、ピストンホルダ33は、そのロッドレスシリンジのピストン部材を後退させることのできる適宜の構造を有する。
【0028】
シリンジ10への薬液の吸引は、ピストン部材502がシリンダ部材501内に最も押し込まれたシリンジ10のシリンダ部材501をシリンダホルダ32に保持させ、この状態でピストン502をシリンダから引き出すことによって行うことができる。したがって、ピストンホルダ33は、薬液吸引装置30が吸引動作を開始する前の引き出し部材33aの位置である初期位置が、シリンダ部材501がシリンダホルダ32に保持された状態のとき、シリンダホルダ32とピストンフランジとの間、好ましくはピストンフランジに接する位置に位置するように設計されている。
【0029】
薬液吸引装置30は、これらシリンダホルダ32およびピストンホルダ33の他に、バーコードリーダ51、RFIDモジュール52、ピストン駆動機構53、着脱検出センサ54、吸引量設定部55、ディスプレイ56、通信モジュール57、吸引制御部58、スタート/ストップボタン59を有している。
【0030】
バーコードリーダ51は、薬液容器20に設けられているバーコード23をスキャンすることによってデータを読み取るための装置であり、バーコード読み取り用の任意のリーダを用いることができる。
図1では、ハンディタイプのスキャナヘッドを備え、ユーザが、ハンガー34に吊り下げられた薬液容器20にスキャナヘッドをかざすことによってバーコードを読み取るバーコードリーダ51を示しているが、ハンガー34に吊り下げられた薬液容器20のバーコードに対向する位置にスキャナヘッドが予め内蔵され、薬液容器20を吊り下げると自動的にバーコードを読み取るようにしてもよい。
【0031】
RFIDモジュール52は、RFID技術を利用して、シリンジ10に装着されたRFIDタグ503(
図3参照)へのデータの書き込み、あるいは書き込み/読み取りを行う装置である。すなわち、RFIDモジュール52は、RFIDライタあるいはリーダ/ライタとして機能する。RFIDモジュール52も、バーコードリーダ51と同様、シリンジ10が定位置に装着されることによってRFIDタグ503からデータを読み出すことができる位置に内蔵されたものであってもよいし、薬液吸引装置30へのシリンジ10の装着前または装着後にユーザがRFIDタグ503からデータを読み出すことのできる位置へかざすことのできるヘッド部を有するハンディタイプのものであってもよい。
【0032】
RFIDモジュール52は、RFID制御回路52aと、RFID制御回路52aに接続されたアンテナ52bとを有する。アンテナ52bは、シリンダ部材501がシリンダホルダ32に保持された状態のときにRFIDタグ503と対向する位置に配置されている。RFID制御回路52aは、アンテナ52bを介しての、RFIDタグ503へのデータの書き込み動作およびRFIDタグ503からのデータの読み取り動作を制御する。
【0033】
ピストン駆動機構53は、電力で駆動するモータと、モータの回転を直線運動に変換する直動機構とを有することができる。直動機構としては、リードスクリュー機構、ベルト機構、ラック・ピニオン機構など、回転運動を直線運動に変換する任意の機構を用いることができる。直動機構はピストンホルダ33と連結されており、モータの駆動によって、ピストンホルダ33を動作させることができる。なお、本形態では、ピストン駆動機構53がモータを駆動源としている場合について説明するが、ピストン駆動機構53としては、その他にも、ゼンマイを動力源とした機構やバネの弾性力を利用した機構など、電力を利用しない駆動源を用いることも可能である。
【0034】
着脱検出センサ54は、シリンダ501がシリンダホルダ32に保持された状態にあることを検出するセンサである。着脱検出センサ54としては、例えば、シリンダ501が保持されることによってシリンダ501の外表面と当接してオンになるスイッチを備えた接触式のセンサや、シリンダ501が保持されることによって光路が遮断される位置に配置された発光素子および受光素子を備えた光学式非接触センサなど、任意のセンサを使用することができる。なお、RFIDモジュール52が、前述した内蔵型であり、シリンジ10が定位置に装着されることによってRFIDタグ503からデータを自動的に読み出すことができるものである場合は、このRFIDモジュール52によるRFIDタグ503からのデータの読み出しによって、シリンジ10が定位置に装着されたことを判断することもできる。よって、本発明では、着脱検出センサ54は必須の構成ではない。
【0035】
吸引量設定部55は、シリンジ10への薬液の吸引量を設定する。薬液の吸引量は、シリンダ部材501からのピストン部材502の引き出し量に比例する。したがって、ピストン部材502の引き出し量を設定することによって、薬液の吸引量を設定することができる。ピストン部材502の引き出し量を設定するための構成は任意であってよい。
【0036】
例えば、ピストンホルダ33の移動に伴ってピストンホルダ33と接触することによってピストンホルダ33の位置を検出するリミットスイッチを備えたストッパを、ピストンホルダ33の下方においてピストンホルダ32の移動方向と平行な方向に移動自在に支持した機械的な構成を採用することができる。リミットスイッチは、ピストンホルダ33の位置を検出することができれば、フォトカプラなどの光学式センサを備えたものや、マグネット式のリミットスイッチなど任意の構成であってよい。この構成によれば、リミットスイッチがピストンホルダ33と接触し、オンになった時点でピストン駆動機構53の動作を停止するようにすれば、ストッパの位置に応じた所望の量だけ薬液が充填される。したがって、この方式は、移動量制限方式ということができる。
【0037】
あるいは、吸引量を数値で設定できるようにし、ピストン駆動機構53のモータの回転数が、設定した吸引量に対応する回転数になった時点でモータの回転を停止させるようにすることもできる(数値設定方式)。吸引量を数値で設定する場合は、吸引量設定部55は、吸引量設定用の操作ボタン等の入力装置を備えることができる。設定した値はディスプレイ56に表示させることができる。
【0038】
なお、スタート/ストップボタン59の操作によって、ピストン駆動機構53をユーザが任意に動作および停止させ、任意の量だけ薬液を吸引するようにすることもできる。この場合、吸引量設定部55は不要である。
【0039】
ディスプレイ56は、薬液容器20のバーコード23から読み取ったデータの少なくとも一部を表示することができる。また、シリンジ10への薬液の吸引量を表示させることもできる。薬液の吸引量は、設定値であってもよいし、ピストン駆動機構53のモータの回転数あるいはピストンホルダ33の移動量から算出した実際の吸引量であってもよいし、これらの両方であってもよい。
【0040】
通信モジュール57は、バーコードリーダ51によって取得されたデータを外部の他の装置(独立した装置だけでなく、システムまたはそのシステムを構成する装置も含む)に送信したり、他の装置からデータを受信したりするためのモジュールである。通信方式は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0041】
吸引制御部58は、吸引量設定部55で設定された吸引量に従ってピストン駆動機構53の動作を制御したり、バーコードリーダ51のデータ読み取り動作を制御したり、RFIDモジュール52によるデータ書き込み動作を制御したりするなど、薬液吸引装置30が備える各構成要素の動作を制御する。
【0042】
吸引制御部58は、いわゆるマイクロコンピュータとして構成することができ、CPU、ROM、RAM、他の機器とのインターフェースを有することができる。ROMには薬液吸引装置30の制御用のコンピュータブログラムが実装されている。コンピュータプログラムは、薬液吸引装置30を含むシステムに、薬液吸引装置30の動作に関する処理、例えば吸引制御部58が行う処理を実行させるように構成することができる。CPUは、このコンピュータプログラムに対応して各機能を実行することで、薬液吸引装置30の各部の動作を制御する。RAMには、バーコードリーダ151によって取得されたデータ、RFIDモジュール52によって取得されたデータ、吸引量(設定値、算出された実際の吸引量、あるいはこれらの両方)などが一時記憶される。
【0043】
また、吸引制御部58は、CPUが持つクロックを利用した時計機能を有しており、現在日時(現在時刻)をデータに含めることができるようになっている。薬液、特に造影剤は、薬液容器20からシリンジ10に移し替えられた後、好ましくは薬液容器20が開封された後、所定の時間以内に使用されることが推奨される(この時間を、「吸引後推奨使用期限」ともいう)。そこで、RFIDタグ503に書き込むデータの1つに、薬液の吸引終了日時を含めておけば、RFIDタグ503に記録されたデータを読み取り可能な薬液注入装置を使用して薬液を注入する際、吸引終了日時からどれだけの時間が経過しているかを、薬液注入装置が判断できるようになる。
【0044】
上記の現在日時の取得について、吸引制御部58が通信モジュール57を介してNTPサーバと通信可能とされている場合は、NTPサーバから現在日時を取得することもできる。あるいは、薬液吸引装置30が電波時計を内蔵しているか、または電波時計と接続されることによって、この電波時計から現在日時を取得するようにすることもできる。吸引後推奨使用期限は、製剤メーカーが推奨する使用期限であってもよいし、この薬液を使用する医療現場で定めた使用期限であってもよい。また、吸引後推奨使用期限そのものをRFIDタグ503に記録してもよい。
【0045】
スタート/ストップボタン59は、この薬液吸引装置30による吸引動作を開始させたり、異常発生時などに吸引動作を停止させたりするときに操作されるボタンである。吸引制御部58は、このスタート/ストップボタン59の操作をトリガーとして、ピストン駆動機構53の動作および停止させる。
【0046】
次に、上述した薬液吸引装置30の動作の一例を説明する。
【0047】
まず、ユーザは、薬液が収容されておらず、シリンダ部材501にピストン部材502が最も押し込まれている状態の空のシリンジ10を、シリンダ部材501をシリンダホルダ32に保持させる。このとき、ピストンホルダ33は、前述した初期位置に位置しているため、ピストン部材502もピストンホルダ33に保持される。これにより、シリンジ10が薬液吸引装置30にセットされる。また、ユーザは、薬液容器20をハンガー34に吊り下げることによってセットする。これらはどちらを先に行ってもよい。シリンジ10および薬液容器20のセットの完了後、ユーザは、両者を連結チューブ12によって連結する。
【0048】
このとき、薬液容器20は、収容している薬液の温度が、注入に適した所定の温度となるように、専用の加温器(不図示)で加温されていることが好ましい。あるいは、ヒータを薬液容器20に取り付けることによって薬液を所定の温度に加温してもよいし、薬液吸引装置30の本体31のシリンジ10が装着される部分にヒータが組み込まれ、これによってシリンジ10内に吸引された薬液を所定の温度に加温するようにすることもできる。
【0049】
一方、シリンダ部材501がシリンダホルダ32に保持されると、着脱検出センサ54がシリンダ部材501の保持、言い換えると、薬液吸引装置30へのシリンジ10の装着を検出する。シリンジ10の装着が検出されると、吸引制御部58は、バーコードリーダ51をデータ読み取り可能な状態とする。したがって、ユーザがスキャナヘッドを薬液容器20のバーコード23へかざすことによって、バーコードリーダ51はバーコード23を読み取り、バーコード23から薬液データが取得される。
【0050】
なお、薬液吸引装置30にシリンジの10が装着されたことが検出された後、吸引制御部58は、ピストン駆動機構53の動作を制御することによって、ピストン部材502がシリンダ部材501に最も押し込まれている位置である最前進位置を含む所定の範囲でピストン部材502を複数回往復移動させてもよい。これにより、連結チューブ12およびシリンジ10内のエアを薬液容器20内へ送るエア抜きを行うことができる。薬液吸引装置30でシリンジ10のエア抜きを行うことで、後述する薬液注入装置で薬液を注入する際のエア抜きを不要とすることができる。
【0051】
吸引制御部58は、取得したデータをRAMに一時的に格納する。このとき、吸引制御部58は、RAMに格納されたデータの少なくとも一部をディスプレイ56に表示させてもよい。データをディスプレイ56に表示することによって、ユーザは、ディスプレイ56に表示されたデータと、薬液容器20のラベルに表示されたデータとを照合し、正しく読み取られているか否かを確認することができる。
【0052】
次いで、ユーザは、吸引量設定部55にて薬液の吸引量を設定する。吸引量の設定後、ユーザは、続いてスタート/ストップボタン59を操作する。なお、容量(サイズ)の異なる複数種のシリンジに薬液を吸引できるように構成されている場合は、さらにシリンジの容量を設定できるようにしてもよい。シリンジの容量の設定は、例えば、薬液吸引装置30は、シリンジの容量を選択するための選択用ボタンをさらに備えることができる。
【0053】
スタート/ストップボタン59が操作されると、吸引制御部58は、吸引量設定部55での設定にしたがって、ピストン駆動機構53を、ピストンホルダ33が下方へ向かう方向に移動するように動作させる。例えば、吸引量設定部55が、上述した数値設定方式によるものである場合は、吸引制御部58は、ピストン駆動機構53のモータが、設定された数値に対応する回転数だけ回転して停止するように、ピストン駆動機構53の動作を制御する。あるいは、吸引量設定部55が、上述した移動量制限方式である場合は、吸引制御部58は、リミットスイッチがオンになるまでモータを回転させる。
【0054】
このようにしてピストン駆動機構53によりピストンホルダ33を下方に移動させることで、ピストン部材502がシリンダ部材501から引き出され、これによって、薬液容器20内の薬液がシリンジ10内に、設定された所定の量だけ吸引される。吸引動作中に異常が発生した場合は、ユーザがスタート/ストップボタン59を操作することで、吸引動作を中止することができる。
【0055】
ピストン駆動機構53の動作終了後、吸引制御部58は、ピストンホルダ33の移動量、すなわちピストン駆動機構53のモータの回転数から薬液の吸引量を算出する。算出された吸引量はデータとしてRAMに一時的に格納される。次いで吸引制御部58は、RAMに一時的に格納されているデータ、すなわち、前述した薬液データおよび吸引量データをRFIDモジュール52に送信し、RFIDモジュール152によるRFIDタグ503へのデータの書き込み動作を行わせる。これにより、RFIDタグ503には、シリンジ10に吸引した薬液データおよび吸引量データが追記される。吸引量データは、シリンジ10に充填されている薬液の量を意味する。このとき、RFIDタグ503に追記するデータとして、薬液の吸引が終了した日時のデータをさらに含むことが好ましい。
【0056】
RFIDタグ503へのデータの記録が完了すると、吸引制御部58は、RFIDタグ503への記録データとして、吸引量をディスプレイ56に表示させる。ユーザは、吸引量が表示されることで、薬液の吸引が終了したこと、および設定どおりに吸引が行われたかどうかを確認することができる。
【0057】
吸引量の表示後、ユーザは薬液吸引装置30からシリンジ10を取り外すことができる。この際、シリンダ部材501がシリンダホルダ32から取り外されると、そのことが着脱検出センサ54によって検出される。シリンダ部材501の取り外しが検出されると、吸引制御部58は、ピストン駆動機構53を動作させることによって、ピストンホルダ33を初期位置まで上昇させる。
【0058】
また、吸引終了後、通信モジュール57を通じて、バーコードリーダ51で読み取った薬液データおよび薬液の吸引量データを、外部の装置例えばRIS、PACS、HISなどの医療情報システムに送信することもできる。
【0059】
以上のように、本形態の薬液吸引装置30によれば、シリンジ10に設けられたRFIDタグ503にデータを書き込むことのできるRFIDモジュール52を備えているので、吸引した薬液に関するデータをRFIDタグ503に簡単に記録することができる。しかも、薬液容器20に設けられている、薬液データが記録されたバーコード23を読み取る手段を薬液吸引装置30をさらに有しているので、薬液自身のデータは、バーコード23に記録されているデータをそのまま利用できる。また、吸引量についても、ユーザが薬液吸引装置30に設定した吸引量に従った実際の動作に基づく吸引量をRFIDタグ503に記録することができる。よって、ユーザは、吸引量を薬液吸引装置30に設定するだけで、全てのデータがRFIDタグ503に自動的に記録され、結果的に、ユーザによるRFIDタグ503へのデータの入力ミスを防止することができる。
【0060】
また、薬液吸引装置30は、通信モジュール57を通じて他の装置とデータの送受信が可能であるので、例えば、薬液が使用される被験者が特定されている場合は、その特定の被験者ID等を医療情報システムに送信し、過去の履歴等からその薬液の使用量を、吸引量に関するデータとして入手することもできる。過去の検査時と今回の検査時との間で被験者の身体的状態に大きな変化がなければ、その被験者に対する今回の検査での薬液の使用量は、過去の使用量と同じでよい。よって、吸引制御部58は、入手した使用量を吸引量として設定し、これにより薬液吸引装置30に吸引量を設定する必要がなくなる。
【0061】
なお、上述した形態では、薬液容器20に設けられているデータキャリアがバーコード23である場合を示したが、データの追記、書き換え等が可能なRFIDタグとすることもできる。この場合、薬液容器20に収容されていた吸引前の内容量から吸引量を減算した現在の内容量(残量)をRFIDタグに書き込むようにすることもできる。残量の計算は、薬液吸引装置30の吸引制御部58が行うことができる。
【0062】
上述した薬液吸引装置30にて吸引された薬液が造影剤である場合、その造影剤は、画像診断に使用されることができる。ここで、造影剤を被験者に注入して被験者の透視画像を撮像する透視撮像システムの一例を説明する。
【0063】
図7を参照すると、透視撮像装置200と薬液注入装置100とを有する透視撮像システムの一例が示されている。透視撮像装置200と薬液注入装置100とは、相互間でデータの送受信を行えるように互いに接続されることができる。透視撮像装置200と薬液注入装置100との接続は、有線接続とすることもできるし、無線接続とすることもできる。
【0064】
透視撮像装置200は、撮像動作を実行するスキャナ201と、スキャナ201の動作を制御する撮像制御ユニット(不図示)とを有しており、薬液注入装置100によって薬液が注入された被験者の断層画像を取得することができる。撮像制御ユニットは、撮像条件や取得した断層画像などを表示できる液晶ディスプレイなどの表示装置、および撮像条件などを入力するための、キーボードおよび/またはマウスなどの入力装置を含むことができる。表示装置は、入力装置を兼ねるタッチスクリーンを有していてもよい。
【0065】
薬液注入装置100は、例えば、スタンド121の上部に旋回アーム122を介して上下方向に回動自在に取り付けられた注入ヘッド110と、薬液注入装置100全体の動作を制御するための各種機能を備えたコンソール101とを有している。注入ヘッド110とコンソール101とは一つの筐体に構成することもできるが、本形態では、注入ヘッド110とコンソール101とは別ユニットとして構成されている。この場合、注入ヘッド110はスキャナ201とともに検査室内に配置し、コンソール101は、透視撮像装置200の撮像制御ユニットとともに操作室内に配置することができる。スタンド121は、注入ヘッド110の移動を容易にするためにキャスター付きのスタンドとすることができる。
【0066】
コンソール101はAC/DCコンバータを内蔵しており、交流から直流に変換された電力がコンソール101に供給される。コンソール101は、注入を強制停止させるためのストップボタン、ホーム画面を表示させるためのホームボタンおよび電源オン/オフのための電源ボタンを含むボタン群と、入力デバイスおよび表示デバイスを兼ねたタッチパネルとを有している。
【0067】
注入ヘッド110は、2本のシリンジを着脱自在に装着することができる。シリンジは、例えば、一方を造影剤用のシリンジとし、他方を生理食塩水用のシリンジとすることができる。シリンジは、例えば、
図1に示した薬液吸引装置30によって造影剤および/または生理食塩水が充填されたシリンジであってよく、シリンジの具体的な構成は、
図3を用いて説明したとおりであってよい。したがって、薬液吸引装置30と薬液注入装置100とを含むシステムを薬液注入システムということもでき、これにさらに透視撮像装置200を含めたシステムを透視撮像システムということもできる。また、以下の説明では、シリンジおよびその構成部材については、
図1および
図3で示した符号を用いる。
【0068】
注入ヘッド110は、このシリンジ10のシリンダ部材501を保持するシリンダ保持機構と、シリンダ保持機構にシリンダ部材501が保持されたシリンジ10のピストン部材502を操作する(例えば、シリンダ内に押し込む)ための、シリンジ10の軸方向に移動されるプレッサーとを、2つずつ有する。
【0069】
注入ヘッド110は、容量の異なる複数種のシリンジ10が搭載されるように構成することもできる。その場合、シリンジ10の容量に応じたアダプタが用意され、アダプタを介してシリンジが搭載される構成とすることができる。
【0070】
プレッサーは、モータの回転運動を直線運動に変換するリードスクリュー機構やラック・ピニオン機構等の適宜の回転運動変換機構によって進退移動させられるロッドの先端部に固定されている。ピストンを進退移動させるための、これらモータ、回転運動変換機構、ロッドおよびプレッサーを有する機構を、ピストン駆動機構という。本形態では、注入ヘッド110は2つのピストン駆動機構を備えている。
【0071】
ピストン駆動機構の駆動源となるモータとしては、直流モータを用いることができ、その中でも特に、直流ブラシレスモータを好ましく用いることができる。ブラシレスモータは、ブラシが無いことから、静音性および耐久性に優れている。また、ブラシレスモータは、より高速回転が可能であるため、外部ギア比を高くしてモータにかかるトルクを小さくすれば、所望の注入圧力で薬液を注入するのに必要な電流をブラシモータに比べて小さくすることができる。
【0072】
注入ヘッド110は、ピストン駆動機構の一部(例えばプレッサー)を除き、全体が合成樹脂製の筐体で覆われている。筐体の上面には、ユーザの操作によってピストン駆動機構を動作させることができるように、幾つかの操作ボタンが配置されている。
【0073】
シリンジ10は、薬液が充填された状態で製剤メーカーから提供されるプレフィルドタイプのシリンジであってもよいし、医療現場で薬液を充填した現場充填タイプのシリンジであってもよい。
【0074】
被験者への薬液注入および画像の撮像に際し、上述した構成のうちスキャナ201、注入ヘッド110は検査室に設置され、透視撮像装置200の撮像制御ユニットおよび薬液注入装置100のコンソール101は、検査室とは壁で隔てられた操作室に設置される。したがって、コンソール101と注入ヘッド110との間での信号およびデータの送受信をケーブルによる有線通信で行う場合は、検査室と操作室を隔てる壁にケーブル用の通路を形成し、この通路を通してケーブルが引き回される。コンソール101と注入ヘッド110との間での信号およびデータの送受信を無線通信により行うこともでき、その場合は、壁にケーブル用の通路を形成する必要がなくなる。無線通信のために、例えばコンソール101および注入ヘッド110はそれぞれ無線通信ユニット(不図示)を備えることができる。
【0075】
以下、上述した透視撮像システムにおける信号やデータ等の流れについて、
図8に示すブロック図を参照しつつ説明する。なお、
図8は、本形態の透視撮像システムにおける制御系の主要な機能のみを示しており、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
撮像制御部152は、例えば透視撮像装置200の撮像制御ユニットに組み込まれることができ、スキャナ201、撮像制御ユニットの表示装置など透視撮像装置200の動作を全般的に制御するように構成されている。撮像制御部152は、いわゆるマイクロコンピュータとして構成することができ、CPU、ROM、RAM、他の機器とのインターフェースを有することができる。ROMには透視撮像装置200の制御用のコンピュータプログラムが実装されている。CPUは、このコンピュータプログラムに対応して各種機能を実行することで、透視撮像装置200の各部の動作を制御する。また、撮像制御部152は、注入制御部150からデータおよび信号等を受信することができ、注入制御部150から受信したデータおよび信号を、透視撮像装置200の各部の動作の制御に利用することもできる。
【0077】
注入制御部150は、例えばコンソール101に組み込まれることができ、コンソール101および注入ヘッド110の動作を全般的に制御するように構成されている。より詳しくは、注入制御部150は、入力ユニット156からのデータおよび情報等の入力、およびRFIDモジュール166からのデータおよび情報の入力に応じて、表示ユニット154に表示させる画面およびデータ等を制御したり、入力ユニット156から入力されたデータおよび情報、および入力ユニット156からのデータおよび情報の入力に基づいて薬液の注入条件を作成したり、ピストン駆動機構140の動作を制御したりすることができる。
【0078】
また、注入制御部150は、通信モジュール158を介して外部の他の装置(独立した装置だけでなく、システムまたはそのシステムを構成する装置も含む)との間でデータの送受信が可能なように構成されることもできる。
【0079】
注入制御部150は、いわゆるマイクロコンピュータとして構成することができ、CPU、ROM、RAM、他の機器とのインターフェースを有することができる。ROMには薬液注入装置100の制御用のコンピュータプログラムが実装されている。CPUは、このコンピュータプログラムに対応して各種機能を実行することで、薬液注入装置100の各部の動作を制御する。また、注入制御部150は、CPUが持つクロックを利用した計時機能を有しており、例えば、現在日時や、注入を開始してからの経過時間をカウントすることができる。注入制御部150は、撮像制御部152からもデータおよび信号等を受信することができ、撮像制御部152から受信したデータおよび信号を、注入撮像装置100の各部の動作の制御に利用することもできる。
【0080】
表示ユニット154は、コンソール101のタッチパネルであることができる。入力ユニット156は、タッチパネルだけでなく、コンソール101のボタン群および注入ヘッド110のボタン群を含むことができる。タッチパネルは、通常、表示ユニット154として機能するディスプレイ、入力ユニットとして機能するタッチスクリーン、およびこれらの制御回路をモジュール化したものである。
【0081】
表示ユニット154としては、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイなどを含む任意のディスプレイを用いることができる。タッチスクリーンとしては、静電容量式および感圧式など、任意のタッチスクリーンを用いることができる。タッチパネルの制御回路は、注入制御部150から伝送された信号に基づいた所定の画面およびデータをディスプレイに表示させ、また、ユーザなどがタッチスクリーンに接触することによってタッチスクリーンから生成された信号に基づく入力情報を注入制御部150に伝送する。
【0082】
本形態のシステムは、薬液の注入用に複数の表示ユニット154を有することができる。この場合、例えば、注入ヘッド110が設置される検査室に、追加の表示ユニット154を配置することができる。追加の表示ユニット154は、注入ヘッド110と一体であってもよいし、注入ヘッド110を支持するスタンドやアームなどに取り付けられてもよいし、注入ヘッド110とは独立して設置されていてもよい。追加の表示ユニット154も、前述したのと同様、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイなどを含む任意のディスプレイを用いることができる。追加の表示ユニット154には、例えば、注入条件設定画面および注入グラフを表示させることができる。さらに注入条件設定画面で、注入速度、注入時間等の注入条件を変更することもできるように、追加の入力ユニット156を備えることもできる。追加の入力ユニット156も、前述したのと同様、ボタン群やタッチスクリーンとすることができる。
【0083】
RFIDモジュール166は、RFID制御回路164およびアンテナ165を有しており、少なくともRFIDタグに記録されているデータを読み出すリーダとしての機能を有していれば、実質的には、前述した薬液吸引装置30が有するRFIDモジュールと同様に構成されることができる。RFIDモジュール166で読み出されたデータの少なくとも一部は、透視撮像装置200へ伝送することができる。
【0084】
RFID制御回路164は、任意の位置に設置することができるが、アンテナ165は、シリンジがシリンダ保持機構に正常に保持された状態においてRFIDタグと対向する位置に設置されることが望ましい。
【0085】
RFIDモジュール166のアンテナ165は、導体からなる所定のパターン(例えば、1つまたは複数のループ状パターン)を形成したFPC(フレキシブルプリント基板)を有し、
図9に示すように、シリンダ保持機構に正常に保持されたシリンダ部材501のRFIDタグ503と対向する位置に、シリンダ部材501と同心状となるように円弧状に曲げられて配置されている。これにより、曲面上に貼付されたRFIDタグ503の検出範囲の拡大を図っている。
【0086】
また本形態では、RFIDタグ503の貼付位置にばらつきがあったとしても、RFIDタグ503が確実にアンテナ165と対向することができるように、アンテナ165は、RFIDタグ503よりも大きな面積を有している。したがって、アンテナ165のサイズは、シリンダ部材501へのRFIDタグ503の貼付位置のばらつきを考慮して設計することが好ましい。
【0087】
一方、アンテナ165を円弧状に曲げることにより、アンテナ165の曲率半径が小さくなるほど、また、アンテナ165の周方向での長さが長くなるほど、通信用の電波が干渉しやすくなり、通信感度が低下する傾向がある。そこで、電波の干渉を抑制するため、アンテナ165は、FPCのRFIDタグ503と対向する面と反対側の面に、フェライトシート165aを有することが好ましい。
【0088】
RFIDモジュール166の出力は、例えば200mWとすることができる。このように微弱な出力とすることにより、RFIDタグ503がアンテナ165と正対する正常な位置にシリンジ500が装着された状態でRFIDタグ503からデータを良好に読み出すことができ、シリンジ500が正常な位置に装着されていない場合には読み出すことができないようにすることができる。これにより、RFIDタグ503からデータが読み出されない場合は、シリンジ500が正常に装着されていない可能性がある旨、ユーザに注意を促すことができる。
【0089】
また、RFIDモジュール166をより高出力のものとすることによって、RFIDタグ503の検出範囲(検出距離)をより広くし、シリンジ10内に充填されている薬液を通して、RFIDタグ503から情報を読み出したり、RFIDタグ503に情報を書き込んだりすることも可能である。これは、例えば、シリンジ10が、
図9に示した状態から180度回転したような、薬液を介してアンテナ165と対向した状態であっても、RFIDモジュール166がRFIDタグ503との間で情報の読み出し等を行えることを意味する。
【0090】
上述したRFIDモジュール166の詳細な構成等については、薬液吸引装置のRFIDモジュールについても同様である。
【0091】
次に、上述した透視撮像システムの動作について、薬液注入装置100の動作を中心により詳しく説明する。
【0092】
薬液が充填されているシリンジ10が所定の手順で注入ヘッド110に装着されると、RFIDモジュール166によってRFIDタグ503に記録されている、シリンジ10および薬液に関するデータを含む各種データが読み出される。
【0093】
注入制御部150は、RFIDタグ503から読み出したデータに基づいて、シリンジ10に充填されている薬液の種類や充填量などを必要に応じて表示ユニット154に表示させたり、プレッサーを待機位置へ移動させたりする。待機位置とは、プレッサーがシリンジ10のピストンの末端に当接する位置から最後端位置までの間の任意の位置である。待機位置への移動は、注入制御部150が、RFIDタグ503から読み出したデータに基づいてピストンの末端位置を求め、プレッサーの可動範囲の最後端位置である初期位置からピストン末端位置までの距離を求め、その距離と予め決められていた任意のオフセット値分だけプレッサーが前進するようにピストン駆動機構140を動作させることによって行うことができる。
【0094】
また、注入制御部150は、RFIDタグ503から取得したデータおよびコンソール101のタッチパネルから入力されたデータ等に基づいて、注入速度、注入量および注入時間などをパラメータとした注入条件を作成する。作成された注入条件は、タッチパネル上に、グラフィック的、あるいは数値データの形式で表示することができる。ユーザは、表示された注入条件を任意に変更することができる。ユーザが注入ヘッド110に設けられたチェックボタンを押下することによって、注入準備が完了する。
【0095】
ここで、RFIDタグ503に、シリンジ10への薬液の吸引終了日時がデータの1つとして記録されている場合、注入制御部150は、吸引終了日時と現在日時とを比較し、吸引終了からどれだけの時間が経過しているかを求め、求めた吸引からの経過時間を表示ユニット154に表示させることができる。ユーザは、表示された吸引からの経過時間を見て、シリンジ10に充填されている薬液が使用に適したものかどうかを判断することができる。あるいは、現在日時と吸引日時とを、注入制御部150にて比較し、その結果、現在日時が吸引日時から所定の期間を経過している、すなわち吸引後推奨使用期限を超過していれば、注入制御部150は、この薬液の注入防止のための処理を行うようにすることができる。薬液の注入防止のための処理とは、例えば、ピストン駆動機構140の動作を不能とすること、表示ユニット154に、薬液の使用期限が超過していることを表示させること、およびブザー等の発音ユニット(不図示)から音または音声による警告を発することなどが挙げられる。薬液の吸引後推奨使用期限は、注入制御部150に予め設定されているが、設定された使用期限はユーザが任意に変更することもできる。このように、薬液の吸引日時を管理することによって、注入される造影剤の安全性を確保することができる。
【0096】
RFIDタグ503に吸引後推奨使用期限が記録され、RFIDタグ503から読み出されるデータが薬液の吸引後推奨使用期限である場合、注入制御部150は、読み出した吸引後推奨使用期限と現在日時とを比較し、現在日時が吸引後推奨使用期限を経過している場合は、上述した注入防止のための処理を行うことができる。
【0097】
ここで、注入制御部150が通信モジュール158を介してNTPサーバと通信可能とされていれば、注入制御部150はNTPサーバから現在日時を取得することができる。あるいは、薬液注入装置100が電波時計を内蔵しているか、または電波時計と接続されることによって、この電波時計から現在日時を取得することもできる。
【0098】
注入準備が完了した状態で、ユーザが注入ヘッド110に設けられたスタートボタンを操作すると、それに応じた信号が注入制御部150に送られ、注入制御部150は、この信号をトリガーとして、作成されている注入条件にしたがってピストン駆動機構140が動作するようにピストン駆動機構140の動作を制御する。これによって、シリンジ10内に充填された薬液を被験者に注入することができる。
【0099】
注入条件とは、どのような薬液を、どれくらいの量、どれくらいの速度で注入するかを示すものである。注入速度は、一定であってもよいし、時間とともに変化するこのであってもよい。また、複数種の薬液、例えば造影剤と生理食塩水とを注入する場合、それらの薬液をどのような順序で注入するかといった情報も注入条件に含まれる。注入条件は、公知の任意の注入条件を用いることができる。また、注入条件の作成手順についても、公知の任意の手順であってよい。
【0100】
薬液として造影剤を注入する場合、造影剤による造影効果には被験者ごとの個人差がある。この造影効果の個人差の程度を把握するために、薬液の注入では、透視撮像装置200による断層画像の撮像のための注入に先立って、撮像部位までの造影剤の到達時間を知るために、撮像のための注入量よりも少ない注入量で薬液を注入するテスト注入を行い、その結果に基づいて、撮像タイミングを決定することなどが行われる。
【0101】
このような場合、テスト注入後の薬液の注入動作は、透視撮像装置200から送信される指令を注入制御部150がその指令を撮像制御部152から受信することによって開始させることもできる。透視撮像装置200は、例えば、透視撮像装置200のモニタに表示されている断層画像をCCDカメラ(不図示)で撮影し、その断層画像のROIにおける明るさ(白さ)を監視し、明るさが予め定められた閾値以上となったとき、あるいは、モニタに接続されるケーブルからの信号強度を測定し、その測定結果が、予め定められた閾値以上となったときに、注入動作開始のための指令を注入制御部150へ送信することができる。また、断層画像の撮像のための注入(本注入)に先立ってテスト注入を実施する場合、テスト注入時のCT値およびTDC(Time
Density Curve)をモニタし、その結果に応じて注入条件を決定し、それに適した最適な撮像開始を薬液注入装置100から透視撮像装置200へ送信してもよい。
【0102】
ここで、薬液注入動作の間、注入制御部150は、ピストン駆動機構140のモータの回転速度および回転数から直動ユニットの移動速度および/または移動距離を算出する。注入制御部150は、算出された移動速度および/または移動距離が、作成した注入条件に従った所定の移動速度および/または移動距離となるように、ピストン駆動機構140の動作を制御する。
【0103】
上述した形態では、同時に2つのシリンジ10を装着できる注入ヘッド110を例に挙げて説明したが、注入ヘッドは、同時に装着できるシリンジ10の数が1つのみであってもよいし3つ以上であってもよい。ただし、複数本のシリンジ10を同時に装着できるようにすることは、例えば、造影剤が充填されたシリンジと生理食塩水が充填されたシリンジを注入ヘッド110に装着し、造影剤の注入後に生理食塩水を注入し、生理食塩水によって造影剤を後押ししたり、造影剤を生理食塩水で所望の濃度に希釈して注入したり、様々な注入手順を実現することができるため、好ましい。
【0104】
また、本形態では、姿勢を変更可能に支持された注入ヘッド110における直動ユニットの移動を検出する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、例えばシリンジポンプのような、据え置き型の装置にも適用することができる。
【0105】
上述した実施形態では、撮像制御部152が撮像制御ユニットに組み込まれ、注入制御部150が、薬液注入装置100のコンソール101に組み込まれたものとして説明した。しかし、撮像制御部152および注入制御部150がともに撮像制御ユニットに組み込まれていてもよいし、撮像制御部152および注入制御部150がともにコンソール101に組み込まれていてもよいし、あるいは、撮像制御部152および注入制御部150がともに、プログラム可能なコンピュータ装置(不図示)に組み込まれていてもよい。こうすることにより、薬液注入装置100のコンソール101または透視撮像装置200のコンソールが不要と成し、システム全体を簡略化することができる。
【0106】
さらには、注入制御部150の特定の機能を残りの他の機能とは別のユニットに組み込むこともできる。例えば、注入条件の決定(演算)機能を透視撮像装置200の撮像制御ユニットに組み込み、残りの他の機能を薬液注入装置100のコンソール101に組み込むことができる。この場合は、撮像条件の設定および注入条件の設定に共通するデータを、透視撮像装置200および薬液注入装置100に重複して入力する必要がなくなる。注入条件の設定に際して不足するデータは、撮像制御ユニットから入力できるようにしてもよいし、薬液注入装置100のコンソール101から撮像制御ユニットに送信するようにしてもよい。
【0107】
撮像制御部152の持つ機能および注入制御部150の持つ機能は、必要により各種ハードウェアを利用して実現し得るが、その主体はコンピュータプログラムに対応してCPUが機能することにより実現される。そのコンピュータプログラムは、少なくとも、薬液注入装置100を含むシステムに、薬液注入装置100の動作に関する処理、例えば注入制御部150が行う処理を実行させるように構成することができる。システムが透視撮像装置200をさらに含む場合は、コンピュータプログラムがシステムに実行させる処理は、透視撮像装置200の動作に関する処理、例えば撮像制御部152が行う処理をさらに含むことができる。さらに、コンピュータプログラムは、前述した薬液吸引装置30のためのコンピュータプログラムと組み合わせることもできる。
【0108】
以上説明したように、上述した形態では、シリンジ500に装着されたRFIDタグ503を介して薬液吸引装置30から薬液注入装置100へとデータの受け渡しが行われる。したがって、本形態においては、受け渡されるデータの正確性が重要である。そのために、例えば、薬液吸引装置30において、吸引制御部58は、RFIDモジュール52によりシリンジ500のRFIDタグ503に薬液データおよび吸引量のデータを書き込む前に、これらのデータの少なくとも一部を用いて、予め定められている手順に従って少なくとも1つのチェックサムを算出し、算出したチェックサムをRFIDタグ503のメモリ領域の予め決められたブロックに書き込むようにすることもできる。
【0109】
このように、チェックサムをRFIDタグ503に書き込むことで、薬液注入装置100においてRFIDタグ503からデータを読み出したときに、データの誤り、具体的にはRFIDタグ503にデータが正しく記録されているか否か、あるいはRFIDタグ503に記録されているデータが正しく読み出されたか否かを検出することができる。より詳しくは、薬液注入装置100の注入制御部150は、RFIDモジュール166によってRFIDタグ503に記録されているデータを読み出し、読み出したデータを用いて、予め定められている手順に従って、RFIDタグ503に記録されているチェックサムを算出したのと同じ計算式で、読み出したデータのチェックサムを算出する。そして、注入制御部150は、RFIDタグ503に記録されているチェックサムと、算出したチェックサムとを比較し、比較の結果、両方のチェックサムが一致しなければ、RFIDタグ503にデータ正しく記録されていない、あるいはRFIDタグ503に記録されているデータが正しく読み出されていない、すなわちエラーが発生したと判断する。
【0110】
チェックサムの算出に用いられるデータは、薬液吸引装置30のRFIDモジュール52がライタとして機能するものである場合は、バーコードリーダ51が薬液容器20のバーコード23から取得した薬液データである。一方、薬液吸引装置30のRFIDモジュール52がリーダ/ライタとして機能するものである場合は、上記の薬液データに加えて、RFIDタグ503に予め記録されているシリンジデータおよび/またはRFIDタグ503のユニークID領域に記録されている個々のRFIDタグ503に固有のコード(ユニークID)を含めることができる。
【0111】
チェックサムの算出には、この種のチェックサムの算出に用いる一般的な計算式を用いることができる。また、例えば、チェックサムの算出に用いるデータとして薬液データおよびシリンジデータの全てのデータを用い、かつ、同じデータを複数回使用したり、乗算および/または除算を組み合わせたりした、より複雑な計算式を用いることにより、データの誤りの検出精度を向上させ、さらには誤りのあるデータを特定することも可能となる。
【0112】
RFIDタグ503に記録されるチェックサムの数は複数であってもよい。この場合、各チェックサムは、RFIDタグ503のデータ領域の異なるブロックに記録される。また、複数のチェックサムを用いる場合、例えば、第1のチェックサムは薬液データのチェックサム、第2のチェックサムはシリンジデータのチェックサム、など、構成するデータの組み合わせをチェックサムごとに変えたり、計算式そのものをチェックサムごとに変えたり、あるいはこれらを組み合わせたりすることができる。
【0113】
このような、RFIDタグ503に記録されたデータの誤り検出において、薬液注入装置100の注入制御部150がエラーの発生を判断した場合、注入制御部150は、例えば以下に列挙する処理から選ばれる1つ以上の処理を実行することができる。
【0114】
(1)表示ユニット154に、データの読み出しエラーが発生した旨を、メッセージ、記号おおよび/または適宜図形等で表示させ、ユーザに報知する。エラーが発生したデータが特定できる場合は、どのデータにエラーが発生しているかが分かるように報知してもよい)。
【0115】
(2)読み出しエラーが発生したデータを特定できる場合、そのデータについては、RFIDタグ503から取得したデータが薬液注入装置100に自動的に設定されないようにする。例えば、注入制御部150によりシリンジ500の許容圧力値データの読み出しエラーが判断された場合、注入制御部150は、許容圧力値について、RFIDタグ503から読み出したデータを採用せず、ユーザによる入力ユニット156からの入力を待ち受け、入力ユニット156から入力された値を許容圧力値として設定する。許容圧力値が設定され、所定の操作により注入動作が開始されると、注入制御部150は、その設定された許容圧力値を超えないようにピストン駆動機構140の動作を制御する。
【0116】
(3)読み出しエラーが発生したデータを特定でき、かつ、そのデータの値を変更したとしても問題なく薬液の注入を行える場合、予め定められている仮データを設定する。「仮データ」は、RFIDタグ503からデータを読み出したときにエラーであると判断されたデータの代わりに使用されるデータであり、注入制御部150のメモリ領域または外部の記憶装置に予め登録しておくことができる。この「仮データ」の値は、この薬液注入装置100で想定されるあらゆる注入条件に適合し得る値を用いることができる。
【0117】
例えば、シリンジ500の許容圧力値の「仮データ」が登録されている場合、注入制御部150によりその許容圧力値データの読み出しエラーが判断されると、注入制御部150は、登録されている許容圧力値の「仮データ」を読み出し、読み出した「仮データ」を用いて注入プロトコルの設定等を行う。許容圧力値の「仮データ」としては、この薬液注入装置100で使用可能な全ての種類のシリンジ500のうち、最も低い許容圧力値を用いることができる。これにより、どのようなシリンジ500が使用された場合であっても、シリンジ500を損傷させることなく注入動作を実行することができる。
【0118】
(4)注入制御部150がRFIDタグ503から読み出したデータをサーバなど他の装置へ送信するように構成されている場合、注入制御部150は、読み出しエラーが発生したときにはデータを他の装置へ送信しない。また、読み出しエラーが発生したデータを特定できる場合は、その読み出しエラーが発生したデータのみを他の装置へ送信しないようにすることもできる。
【0119】
(5)読み出しエラーが発生したデータを特定できる場合、エラーが発生したデータについては無視し、読み出しエラーが発生した旨の表示を表示ユニット154に表示させることもしない。読み出しエラーが発生したデータが、注入プロトコルの設定に必要なデータである場合、注入制御部150は、例えば注入条件設定画面などにおいて、読み出しエラーが発生したデータについてユーザからの入力操作を受け付けさせ、ユーザによって入力されたデータを用いて注入プロトコルを設定するようにすることができる。
【0120】
(6)読み出しエラーが発生したことが判断された以降の薬液注入装置100の動作を中止し、ユーザによる、データの入力操作およびピストン駆動機構の動作のための操作ボタンの操作のいずれも受け付けない。
【0121】
一方、構造的な点について、上述した形態では、注入ヘッド110とコンソール101とが別体であるものを示したが、これらを一体に構成することもできる。コンソール101と注入ヘッド110が一体に構成された場合、コンソール101も検査室に配置されることになる。そこで、注入動作の開始および停止には、リモートコントローラ102(
図7参照)を用いることができる。また、注入ヘッド110とコンソール101とを一体に構成する場合、これらを一体としたユニットは、バッテリーを搭載し、そのバッテリーで駆動するようにこともできる。
【0122】
薬液注入装置は、注入圧力を検出するためのロードセルをさらに有していてもよい。ロードセルは、例えばプレッサーに備えることができる。複数のプレッサーを有する場合は、それらの中のいずれか少なくとも1つにロードセルを有していてもよい。注入圧力は、モータ電流を測定することによって検出することもできる。プレッサーに作用する負荷が大きくなると、その負荷の大きさに応じて、ピストン駆動機構140の駆動源であるモータ電流が大きくなる。モータ電流を利用した注入圧力の検出には、そのことが利用される。注入圧力の検出は、ロードセルを用いた検出およびモータ電流を利用した検出のいずれか一方のみであってもよいし、両者を併用してもよい。両者を併用する場合、通常はロードセルによって注入圧力を検出し、ロードセルが故障したときのみモータ電流の測定結果を利用して注入圧力を測定することができる。
【0123】
透視撮像装置としては、薬液注入装置100と共に使用し得るものであれば、CT装置、MRI装置、PET装置、アンギオ装置および超音波画像診断装置など任意の透視撮像装置であってよい。ただし、透視撮像装置がMRI装置である場合、MRI装置が設置される検査室に設置される注入ヘッド110などの各種機器は、MRI装置が発生する磁力の影響を受けないようにするために、非磁性体によって構成される。
【0124】
透視撮像システムは、
図10に示すように、薬液吸引装置30、薬液注入装置100および透視撮像装置200の他に、使用前のシリンジ10を所定の温度に加温する加温器900および使用済みであり廃棄されるべきシリンジ10を収納する廃棄ボックス910をさらに含んでいてもよい。薬液吸引装置30、薬液注入装置100、透視撮像装置200、加温器900および廃棄ボックス910は、互いに独立した装置であってもよいし、これらの少なくとも1つとネットワークを介してデータ通信可能に接続されていてもよい。加温器900と廃棄ボックス910との間についても、互いに独立していてもよいし、ネットワークを介してデータ通信可能に接続されていてもよい。加温器900および廃棄ボックス910はそれぞれ、RFIDタグ503に記録されているデータを読み出したり、データをRFIDタグ503に書き込んだりするためのリーダ/ライタ902、912を備えることができる。シリンジ10には、加温器900により加温されることにより、リーダ/ライタ902によりシリンジ10のRFIDタグ503に加温された旨の情報が記録される。また、使用済みのシリンジ10は、廃棄ボックス910に収納される際に、廃棄されたシリンジ10である旨の情報が、リーダ/ライタ912によってRFIDタグ503に記録される。
【0125】
ここで、加温器900は、現在日時を計測するとともに、リーダ/ライタ902から日時データを取得し、取得した日時データと計測した現在日時との比較からの経過時間を求めるように構成されたプロセッサ903と、求められた経過時間を表示するディスプレイ904と、を有することもできる。これにより、加温器900に収納されているシリンジが、薬液が吸引されてからどれだけの時間が経過しているか、ユーザに注意を促すことができる。
【0126】
薬液吸引装置30、薬液注入装置100、透視撮像装置200、加温器900および廃棄ボックス910等の、透視撮像システムを構成する各医療機器は、医療ネットワークを通じて透視撮像装置、および/またはRIS、PACS、HISなどの他の医療情報システムに接続されていてもよい。
【0127】
こうすることによって、透視撮像システムを、従来にない利用形態で効率良く利用することができる。例えば、その医療情報システムが構築されている医療施設での1日分の薬液注入について、それぞれ被験者ID、薬液の種類、薬液の注入量、検査予定時間などのデータを含む複数の検査オーダーを医療情報システムから薬液吸引装置30へ送信する。薬液吸引装置30では、受信した検査オーダーが、その検査オーダーを特定するオーダー番号とともに内部のメモリに記憶される。薬液吸引装置30は、オーダー番号順に、それぞれの検査オーダーの注入量に従った量の薬液がシリンジに吸引されるように薬液の吸引動作を行う。
【0128】
このとき、複数の薬液吸引装置30を用意しておき、各検査オーダーを複数の薬液吸引装置30に順番に送信し、各薬液吸引装置30で薬液の吸引動作を行うようにすることもできる。あるいは、複数のピストン駆動機構を備えた薬液吸引装置30としておき、複数のシリンジに同時に薬液を吸引できるようにしてもよい。
【0129】
上記のように1つのシリンジごとに順番に薬液を吸引する場合および複数のシリンジに同時に薬液を注入する場合の何れにおいても、RFIDタグ503に記録されるデータのうち薬液に関するデータ(あるいはさらに被験者に関するデータ)は、医療情報システムから送信された検査オーダーのデータを利用することができる。その場合、薬液容器20に備えられたバーコード23をバーコードリーダ51(
図1参照)で読み出し、読み出したデータを、医療情報システムから送信されたデータと比較することによって、薬液容器20内の薬液がオーダーどおりの薬液であるか否かを判定することもできる。また、各シリンジ10へは、それぞれ別々の薬液容器20から薬液を吸引することもできるし、共通の薬液容器20から薬液を吸引することもできる。共通の薬液容器20から薬液を吸引する場合、薬液容器20としては、例えば500ml〜2000mlといった、大容量の薬液容器20を用いることが好ましい。
【0130】
薬液が注入されたシリンジ10は、加温器900に収納される。加温器900は、医療情報システムから、検査状況に関するデータ、例えば、検査が終了したオーダー番号、現在検査中のオーダー番号などを受信する。加温器900のプロセッサ903は、リーダ/ライタ902を動作させてシリンジ10のRFIDタグ503からデータを読み出す。データはオーダー番号を含んでおり、また、通常、検査はオーダー番号順に行われるので、プロセッサ903は、RFIDタグ503から読み出したオーダー番号と医療情報システムから受信した検査状況に関するデータとを比較し、検査に使用される順番が近いシリンジ10をユーザに報知するようにすることができる。このユーザへの報知は、例えば、ディスプレイ904への表示によって行うことができる。あるいは、各シリンジ10の近傍にランプを配置し、検査に使用される順番が近いシリンジ10の近傍のランプを発光させることによって行うこともできる。
【0131】
検査の順番が来たシリンジ10は、加温器900から取り出されて薬液注入装置100に装着され、被験者への薬液の注入に使用される。薬液吸引装置30によりRFIDタグ503に記録されたデータは、医療情報システムから送信された検査オーダーに含まれているデータである。検査オーダーには、薬液データの他に、被験者の身体的特徴(例えば、体重、身長、性別、年齢、心拍出量の1つ以上を含むことができる)、検査部位(撮像部位)、および使用する透視撮像装置200についてのデータを含むことができ、これらのデータも、薬液吸引装置30によってRFIDタグ503に記録することができる。この場合、薬液注入装置100が医療情報システムに接続されており、医療情報システムから検査オーダーを受信可能とされていれば、シリンジ10が薬液注入装置100に装着されたとき、RFIDタグ503から読み出したデータと医療情報システムから受信したデータとを照合することでデータの誤りを検出することができる。
【0132】
また、薬液注入装置100が医療情報システムから検査オーダーを受信可能である場合、薬液吸引装置30は、検査オーダーに含まれる上記被験者の身体的特徴等のデータをRFIDタグ503に記録するのではなく、薬液データが書き込まれたRFIDタグ503のユニークIDを医療情報システムに送信し、そのユニークIDを検査オーダーと関連付けして医療情報システムに記録することもできる。この場合、薬液注入装置100は、シリンジ10の装着によりRFIDタグ503が検出されると、検出したRFIDタグ503のユニークIDと関連付けられた検査オーダーを医療情報システムから呼び出し、注入条件設定に用いられる各種データ(被験者の身体的特徴、検査部位等を含むデータ)を医療情報システムから受信するようにすることもできる。これらのデータを医療情報システムから受信した薬液注入装置100は、受信したデータを用いて、注入量、注入速度等の注入条件を計算し、設定することができる。なお、上記の処理は薬液吸引装置30および薬液注入装置100の処理として記載したが、実際の処理を行うのは吸引制御部58および注入制御部150である。
【0133】
さらに、RFIDタグ503に記録された吸引量(=注入量)は、被験者の身体的特徴、検査部位および使用する透視撮像装置200などに基づいて算出された値である。検査オーダーが薬液の注入速度も含んでいれば、この注入速度のデータも薬液吸引装置30によってRFIDタグ503に記録することもできる。こうすることによって、薬液注入装置100に注入条件を設定する際に、RFIDタグ503に記録されているデータを利用し、操作者による一切のデータ入力を必要とすることなく注入条件を設定することができる。したがって、操作者は、薬液注入装置100が薬液の注入動作を開始するための、例えば注入ヘッド110やコンソール101(
図7参照)に設けられたチェックボタンといった、注入開始操作を行うだけで、薬液の注入を実行させることができる。よって、データの入力など操作者の負担を大幅に軽減することができる。
【0134】
また、上記のように各医療機器が医療情報システムに接続されることにより、被験者に対する処置の履歴、薬液の使用履歴、シリンジの使用履歴等を簡単に保存および追跡することもできる。
【0135】
例えば、廃棄ボックス910収納された使用済みのシリンジに記録されているシリンジのIDを廃棄ボックス910から医療システムに送信することにより、廃棄されたシリンジの数を把握することができるので、シリンジの在庫管理を行うことができる。また、医療システムが持つサーバに、RFIDタグ503に記録されたデータを含むデータ(シリンジのID、そのシリンジに吸引された薬液についての、メーカー、品番、ロットおよび吸引量を含むデータ、および注入した被験者についてのデータを含む)を格納しておくことにより、廃棄されたシリンジのIDから薬液の使用量も把握できるので、薬液の在庫管理も行うことができる。そしてこれらシリンジおよび/または薬液の在庫状況から、シリンジおよび/薬液の販売元への発注を医療システムが自動的に行うようにすることもできる。
【0136】
また、上記のサーバに格納されたデータから、過去に使用した薬液のロットと、どのロットの薬液が注入された被験者との対応付けも可能であるので、例えば副作用が発生した場合は、副作用の対象となる薬液がどの被験者に注入されたかといった追跡も可能となる。
【0137】
さらには、薬液容器から読み取ったデータおよびシリンジへの吸引量等のデータを、薬液吸引装置は、シリンジに設けられたデータキャリアに記録するのではなく、医療情報システムのサーバに格納し、薬液注入装置は、そのデータが格納されたサーバを参照してデータを読み出すようにすることもできる。こうすることにより、シリンジに設けられたデータキャリアに、そのシリンジに固有の識別番号を記録しておけば、リーダによってその識別番号を読み出し、読み出した識別番号についてサーバを参照することによって、そのシリンジの履歴(例えば、吸引された薬液の種類、薬液の吸引量、吸引日時、注入量、注入日時など)を、データキャリアにデータを記録することなく、把握することができる。よって、シリンジに設けられるデータキャリアとして、バーコードなどデータの変更・追記ができないデータキャリアを利用することができる。
【0138】
また、薬液の過去の使用履歴から、その医療施設における1日当たりの薬液の使用量を統計的に予測することもできる。よって、例えば、予測された1日当たりの使用量に基づき、半日分の薬液をシリンジに予め吸引しておき、残りの分については当日の使用状況から必要に応じて吸引するようにすることで、薬液が充填されたシリンジを、必要なときに必要な量だけ効率よく供給することができる。その結果、必要以上に薬液を吸引することを無くすることができるので、薬液のコストを大幅に削減することができる。
【0139】
また、薬液注入装置100の注入制御部150(
図8参照)および透視撮像装置200の撮像制御部150(
図8参照)のうち少なくとも注入制御部150が医療ネットワークに接続されていてもよい。これによって、薬液注入装置100がRFIDタグ503から取得した各種データ、薬液注入装置100により注入された薬液の注入速度、注入時間、注入量、注入グラフを含む注入結果、さらに、透視撮像装置200による撮像条件(撮像時間、撮像装置がCT装置の場合は管電圧、放射線量などを含む)は、医療ネットワークを通じて透視撮像装置、および/またはRIS、PACS、HISなどの他の医療情報システムに注入データとして保存できる。これにより、保存した注入データは、注入履歴の管理に利用されるが、特に注入量などは会計処理にも利用することができる。会計処理に際しては、薬液の注入量を、例えば1ml単位で把握できるため、従来のようなシリンジ製剤単位(例えば、100ml単位)での処理に比べ、実際の使用量に即したより細かい単位での会計が可能となる。その結果、患者(被験者)の金銭的負担を軽減することも可能となる。また、被験者の体重等の身体的情報、ID、氏名、検査部位、検査手法を、RIS、PACS、HISなどから取得して薬液注入装置に表示し、それにあった注入を実施することもできる。
【0140】
また、薬液吸引装置30による薬液の吸引量は、その薬液の被験者への注入量とすることができる。そうすることにより、吸引した薬液を無駄なく使用できる。注入量は、被験者の体重といった身体的特徴、撮像部位および撮像時間などのファクターを考慮した計算式を用いて算出することもできるし、医師等が値を直接決定することもできる。注入量の算出に用いられる上記のファクター、あるいは医師等が決定した注入量の値は、ユーザが入力することもできるし、ネットワーク経由あるいはダイレクト回線で接続されたRIS、HIS、PACS、外部サーバ、クラウドなどの外部データベースから入手することもできる。注入量の計算に用いるファクターを外部データベースから入手することで、ユーザによる入力ミスを防止することができる。
【0141】
計算式を用いた注入量の計算は、注入制御部150で実行されることができる。注入制御部150の機能は、薬液注入装置、透視撮像装置および薬液吸引装置が含む各種制御回路など任意のコンピュータ装置の何れが有していてもよい。すなわち、薬液の注入量は、薬液注入装置ではなく、他の任意のコンピュータ装置の何れかが計算するように構成することができる。また、コンソール制御回路の機能を薬液注入装置ではなく他の任意のコンピュータ装置が有することで、薬液の注入量だけでなく、注入速度および注入時間などをパラメータとした注入条件も、その任意のコンピュータ装置で作成することができる。
【0142】
また、上述した透視撮像システムでは、薬液容器からシリンジへの薬液の吸引と、シリンジから被験者への薬液の注入を、それぞれ別個の装置(薬液吸引装置および薬液注入装置)で行うものとして説明した。しかし、空のシリンジを薬液注入装置に搭載し、空のシリンジと薬液容器とを連結した後、薬液注入装置のピストン駆動機構でピストン部材をシリンダ部材から引き出すことにより、薬液注入装置を用いて薬液容器からシリンジへ薬液を吸引させることもできる。この場合、薬液吸引装置は不要となる。また、薬液注入装置が、薬液容器に設けられたデータキャリアからデータを取得するためのリーダまたはリーダ/ライタを備える。
【0144】
1. 薬液容器20に収容された薬液を、シリンダ501およびピストン502を備えたシリンジ500に吸引する薬液吸引装置30であって、
前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させるピストン駆動機構53と、
前記薬液容器20に設けられた、前記薬液容器20に収容された薬液に関する薬液データが記録された薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)と、
前記シリンジ500に設けられたシリンジデータキャリア(RFIDタグ03))にデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)と、
前記薬液データキャリア(バーコード23)から取得した薬液データおよび前記ピストン駆動機構53の動作に従った吸引量を前記データとして前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)に記録するように、前記吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)の動作を制御する吸引制御部58と、
を有する薬液吸引装置30。
【0145】
2. 薬液容器20からシリンジ500へ薬液を吸引し、前記シリンジ500から薬液を注入する薬液注入システムであって、
前記薬液容器20は、収容された薬液に関する薬液データが記録された薬液データキャリア(バーコード23)を備え、
前記シリンジ500は、シリンダ501、ピストン502およびシリンジデータキャリア(RFIDタグ503)を備え、
前記薬液容器20に収容された薬液を前記シリンジ500に吸引する薬液吸引装置30であって、前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させる吸引用ピストン駆動機構53と、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)と、前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)にデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダライタ(RFIDモジュール52)と、を有する薬液吸引装置30と、
前記シリンジ500に充填されている薬液を注入する薬液注入装置100であって、前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させる注入用ピストン駆動機構140と、前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)からデータを取得する注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)と、を有する薬液注入装置100と、
所定の吸引量だけ前記薬液容器20から前記シリンジ500へ前記薬液が吸引されるように前記吸引用ピストン駆動機構53の動作を制御するとともに、前記薬液データキャリア(バーコード23)から取得した薬液データおよび前記吸引用ピストン駆動機構53の動作に従った吸引量を前記データの一部として前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)に記録するように吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)の動作を制御する吸引制御部58と、
前記注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)により前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)から取得したデータを利用して薬液の注入条件を決定し、決定した注入条件に従って前記注入用ピストン駆動機構140の動作を制御する注入制御部150と、
を有する薬液注入システム。
【0146】
3. 薬液データが記録された薬液データキャリア(バーコード23)を備えた薬液容器20に収容された薬液を、シリンダ501、ピストン502およびシリンジデータキャリア(RFIDタグ503)を備えたシリンジ500に吸引する薬液吸引装置30であって、前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させる吸引用ピストン駆動機構53と、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)と、前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)にデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)と、を有する薬液吸引装置30と、
前記シリンジ500に充填されている薬液を注入する薬液注入装置100であって、前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させる注入用ピストン駆動機構140と、前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)からデータを取得する注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)と、を有する薬液注入装置100と、
所定の吸引量だけ前記薬液容器20から前記シリンジ500へ前記薬液が吸引されるように前記吸引用ピストン駆動機構53の動作を制御するとともに、前記薬液データキャリア(バーコード23)から取得した薬液データおよび前記吸引用ピストン駆動機構53の動作に従った吸引量を前記データの一部として前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)に記録するように吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)の動作を制御する吸引制御部58と、
前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)から取得したデータを利用して薬液の注入条件を決定し、決定した注入条件に従って前記注入用ピストン駆動機構140の動作を制御する注入制御部150と、
前記薬液が注入された被験者の断層画像の撮像動作を実行する透視撮像装置200と、
を有する透視撮像システム。
【0147】
4. 薬液データが記録された薬液データキャリア(バーコード23)を備えた薬液容器20から、シリンダ501、ピストン502およびシリンジデータキャリア(RFIDタグ503)を備えたシリンジ500へ薬液を吸引する方法であって、
前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させるピストン駆動機構53、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)、および前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)にデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)を用意するステップと、
前記薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)によって前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得するステップと、
所定の吸引量だけ前記薬液容器20から前記シリンジ500へ前記薬液が吸引されるように前記ピストン駆動機構53を動作させるステップと、
前記薬液データキャリア(バーコード23)から取得した前記薬液データおよび前記ピストン駆動機構53の動作に従った吸引量を、前記データとして前記吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)により前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503に記録するステップと、
を有する方法。
【0148】
5. 薬液データが記録された薬液データキャリア(バーコード23)を備えた薬液容器20と、
シリンダ501、ピストン502およびシリンジデータキャリア(RFIDタグ503)を備えたシリンジ500と、
前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させるピストン駆動機構53、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)、および前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)にデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)を備えた薬液吸引装置30と、
を有するシステムの作動方法であって、
前記薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)によって、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得するステップと、
所定の吸引量だけ前記薬液容器20から前記シリンジ500へ前記薬液が吸引されるように前記ピストン駆動機構53を動作させるステップと、
前記吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)によって、前記薬液データキャリア(バーコード23)から取得した前記薬液データおよび前記ピストン駆動機構53の動作に従った吸引量を、前記データとして前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)に記録するステップと、
を有する、システムの作動方法。
【0149】
6. 前記システムは、前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させる注入用ピストン駆動機構140、および前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)からデータを取得する注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)を有する薬液注入装置100をさらに有し、
前記システムの作動方法は、
前記注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)によって、前記前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)からデータを取得するステップと、
前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)から取得したデータを利用して得られた条件に従って前記注入用ピストン駆動機構140を動作させるステップと、
をさらに有する、上記5に記載のシステムの作動方法。
【0150】
7. 薬液データが記録された薬液データキャリア(バーコード23)を備えた薬液容器20と、
シリンダ501、ピストン502およびシリンジデータキャリア(RFIDタグ503)を備えたシリンジ500と、
前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させるピストン駆動機構53、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得する薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)、および前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)にデータを記録する吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)を備えた薬液吸引装置30と、
を有するシステムのためのコンピュータプログラムであって、
前記薬液データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(バーコードリーダ51)によって、前記薬液データキャリア(バーコード23)から前記薬液データを取得するステップと、
所定の吸引量だけ前記薬液容器20から前記シリンジ500へ前記薬液が吸引されるように前記ピストン駆動機構53を動作させるステップと、
前記吸引データ用のライタまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール52)によって、前記薬液データキャリア(バーコード23)から取得した前記薬液データおよび前記ピストン駆動機構53の動作に従った吸引量を、前記データとして前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)に記録するステップと、
を前記システムに実行させるコンピュータプログラム。
【0151】
8. 前記システムは、前記ピストン502を前記シリンダ501に対して進退移動させる注入用ピストン駆動機構140、および前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)からデータを取得する注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)を有する薬液注入装置100をさらに有し、
前記コンピュータプログラムは、
前記注入データ用のリーダまたはリーダ/ライタ(RFIDモジュール166)によって、前記前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)からデータを取得するステップと、
前記シリンジデータキャリア(RFIDタグ503)から取得したデータを利用して得られた条件に従って前記注入用ピストン駆動機構140を動作させるステップと、
を前記システムにさらに実行させる、上記7に記載のコンピュータプログラム。