特許第6805013号(P6805013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805013
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/074 20060101AFI20201214BHJP
   B60R 1/072 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B60R1/074
   B60R1/072
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-18703(P2017-18703)
(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-122816(P2018-122816A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 優
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−190546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06−1/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の視認を補助する視認手段を電気的に作動させる作動機構と、
前記視認手段が収容される収容体を電気的に格納させる格納機構と、を備え、
前記格納機構は、
前記収容体に接続される回動体と、
前記回動体を回動可能に支持する支持軸と、
前記回動体の上部を被覆している被覆部材と、を備え、
前記作動機構及び前記格納機構に電気的に接続される配線は、前記支持軸を軸方向に貫通して前記回動体と前記被覆部材により覆われた空間に引き込まれる共に、前記空間において前記作動機構のコネクタ及び前記格納機構の回路基板と結線されている車両用視認装置。
【請求項2】
前記格納機構は、前記支持軸を保持する保持部を有している請求項1に記載の車両用視認装置。
【請求項3】
前記被覆部材は、
前記支持軸を軸方向に貫通する前記配線を前記格納機構の内部に引込むための逃げ部を備える請求項1又は2に記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動機構と格納機構を備える車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された車両用視認装置は、ミラーの作動機構である鏡面角度調整機構と、格納機構を備えている。ここで、鏡面角度調整機構に電気的に接続される配線は、格納機構の下部から上部にかけて延出されている。すなわち、格納機構においては、格納機構に挿入された配線を鏡面角度調整機構に向けて延出させるための開口を設ける必要があり、この開口から液体(例えば水)が浸入する可能性がある。また、鏡面角度調整機構に対する配線の接続部は、鏡面角度調整機構及び格納機構の外部に設けられている。つまり、配線の接続部が外部に曝されるため、液体(例えば水)の浸入により接続不良が生ずる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−341427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、防水性能が向上する車両用視認装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車両用視認装置は、車両の乗員の視認を補助する視認手段を電気的に作動させる作動機構と、前記視認手段が収容される収容体を電気的に格納させる格納機構と、を備え、前記格納機構は、前記収容体に接続される回動体と、前記回動体を回動可能に支持する支持軸と、前記回動体の上部を被覆している被覆部材と、を備え、前記作動機構及び前記格納機構に電気的に接続される配線は、前記支持軸を軸方向に貫通して前記回動体と前記被覆部材により覆われた空間に引き込まれる共に、前記空間において前記作動機構のコネクタ及び前記格納機構の回路基板と結線されている
【0006】
請求項2に記載の車両用視認装置は、請求項1に記載の車両用視認装置において、前記格納機構は、前記支持軸を保持する保持部を有している。
【0007】
請求項3に記載の車両用視認装置は、請求項1又は2に記載の車両用視認装置において、前記被覆部材は、前記支持軸を軸方向に貫通する前記配線を前記格納機構の内部に引込むための逃げ部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の車両用視認装置では、格納機構の内部に作動機構及び格納機構に電気的に接続される配線が配置されている。したがって、格納機構から外部に向けて配線を取出す必要がないため、防水性能が向上する。また、当該車両用視認装置では、作動装置に電気的に接続される配線は、格納装置の内部で結線されるため、防水性能が向上する。
【0010】
請求項2に記載の車両用視認装置では、格納機構は、収容体に接続される回動体を回動可能に支持する支持軸を備えており、回動体において、回動体の上部を被覆している被覆部材が支持軸を保持する保持部を有している。すなわち、従来は、配線を通すために支持軸の軸心部分が開口し、かつ支持軸を保持する保持部材と、この保持部材を覆う被覆部材とを設ける必要があったが、当該車両用視認装置では、被覆部材が支持軸を保持する保持部を有しているため、部品点数が削減される。
【0011】
請求項3に記載の車両用視認装置では、被覆部材が逃げ部を備えることにより、格納機構の内部に配線を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後側かつ車幅方向内側から見た分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の支持軸部分を車両後側から見た断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の支持軸部分を車幅方向内側から見た断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の格納機構を示す車両後側かつ車幅方向内側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の回動体及びリンフォースを示す車両後側かつ車幅方向内側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の鏡面調整機構の主要部を示す車幅方向内側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置10(車両用視認装置)が車両後側かつ車幅方向内側(車両左側)から見た分解斜視図にて示されており、図2には、車両用ドアミラー装置10の主要部が車両後側から見た断面図にて示されている。図3及び図6には、それぞれ車両用ドアミラー装置10の主要部が車幅方向内側(車両左側)から見た断面図にて示されている。図4及び図5には、それぞれ車両用ドアミラー装置10の主要部が分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外側を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0015】
本実施形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドア(フロントサイドドア、車体側)の外側に支持されている。
【0016】
図1に示す如く、車両用ドアミラー装置10は、格納機構12を備えている。図2及び図3に示す如く、格納機構12には、ベース部材としてのスタンド12Aが設けられている。スタンド12Aはその下部に固定部12Bを備えると共に、固定部12Bはベースカバー20Cに覆われている(図1参照)。また、固定部12Bがドアの上下方向中間部の車両前側端に支持されることで、車両用ドアミラー装置10がドアに支持されている。固定部12Bの上側には、略円筒状の支持軸12Cが一体に立設されている。支持軸12Cは、その軸線方向が上下方向となるように配置されている。支持軸12Cは、後述する回動体12Dを回動可能に支持している。詳しくは、回動体12Dに設けられた後述する貫通孔22Bに支持軸12Cが挿通されることにより、スタンド12A(支持軸12C)は、回動体12Dを回動可能に支持している。そして、格納機構12が電気的に作動されることで、回動体12Dがスタンド12Aに対し上下方向周りに回動される。格納機構12は、スタンド12A内を介して、車体側の制御装置(図示省略)に電気的に接続されており、格納機構12は、制御装置の制御により電気的に作動される。
【0017】
図1に示す如く、格納機構12の回動体12Dには、外周体としての樹脂製のバイザ16が支持されている。バイザ16には、収容体としてのバイザボデー18が設けられており、バイザボデー18は、車両前側に第1スクリュー16A及び第2スクリュー16Bが締結等されることによって、回動体12Dに固定されている。バイザボデー18の車両前側には、回動体12Dと一体形成されたリンフォース24を介して、被覆部材としての湾曲板状のバイザカバー20が組付けられている。バイザカバー20は、外周がバイザボデー18の外周に嵌合されて、バイザボデー18の車両前側を被覆している。バイザカバー20には、上側の上カバー20Aと下側の下カバー20Bとが設けられており、バイザカバー20は、上カバー20Aと下カバー20Bとが組合わされて構成されている。
【0018】
図4及び図5に示す如く、回動体12Dは、樹脂製のケース22を備えており、ケース22の上側は開放されている。ケース22の下壁22Aには、円形状の貫通孔22Bが設けられている(図2及び図3参照)。貫通孔22Bの車幅方向外側には、モータベース22C(組付部材)が設けられている(図2及び図5参照)。
【0019】
また、図1図3に示す如く、回動体12Dは、ケース22の上側に被覆部材として樹脂製で容器状のカバー26を備えている。このカバー26の下側は開放されている。カバー26の下端は、ケース22の上端部外周に固定されている。そして、カバー26は、ケース22の上側を被覆することで、支持軸12Cや、後述するモータ50を覆っている(図2参照)。
【0020】
図2及び図3に示す如く、カバー26の内部であって支持軸12Cの上部には、保持部としての複数の板状のリブ26Aが支持軸12Cの軸心に向けて設けられている。この複数のリブ26Aは、支持軸12C側の面が支持軸12Cに当接しており、リブ26Aは、支持軸12Cを保持している。なお、カバー26において支持軸12Cに対して車幅方向外側のリブ26Aの切れ目に相当する部分は、逃げ部としての配線経路部26Bとされている(図2参照)。具体的には、配線経路部26Bにおいて、隣合うリブ26A同士の間隔は配線を構成するケーブル80が挿通可能な間隔に設定されている。以上のように、配線経路部26Bは、支持軸12Cの内部を挿通するケーブル80を格納機構12の内部に引込むことが可能とされている。
【0021】
図2に示す如く、格納機構12内には、駆動力の出力が可能な駆動手段としてのモータ50が設けられている。モータ50には、略楕円柱状の本体部50Aが設けられている。モータ50の本体部50Aは、モータベース22C内に上側から組付けられて固定されている。モータ50の本体部50Aからは、金属製の出力軸50B(モータシャフト)が同軸上に延出されている。出力軸50Bは、その軸方向が上下方向となるように配置され、モータベース22Cの底壁を貫通して、モータベース22Cの下側に延出されている。モータ50が駆動されて出力軸50Bが回転されることで、格納機構12が作動される。
【0022】
図4に示す如く、モータ50の本体部50Aには、回路基板70が接続されている。この回路基板70には、車両側から延伸し、支持軸12Cの内部を挿通し、配線経路部26Bを経て格納機構12の内部に引込まれたケーブル80が接続されている。また、回路基板70の上部には、一対の端子72が設けられている。一対の端子72は、回路基板70から車幅方向外側に延出されている。
【0023】
モータ50の本体部50Aの車幅方向内側面には、その上部に一対の差込口74が設けられている。一対の差込口74にはそれぞれ回路基板70の一対の端子72が差込まれており、モータ50と回路基板70とが電気的に接続されている。なお、回路基板70は、モータベース22Cに形成された溝22Dに差込まれて支持されている(図5参照)。これにより、回路基板70は、モータ50の車幅方向内側に組付けられている。
【0024】
図2に示す如く、ケース22内には、ギア機構52が設けられている。
【0025】
ギア機構52には、モータ50の下側において、初段ギアとして樹脂製のウォームギア54が設けられている。ウォームギア54は、その軸方向が上下方向になるように配置されると共に、下部がケース22の下壁22Aに回転自在に支持されている。ウォームギア54には、上側からモータ50の出力軸50Bが同軸上に挿入されており、出力軸50Bが回転されることで、ウォームギア54が出力軸50Bと一体に回転される。
【0026】
ギア機構52には、ウォームギア54の車幅方向内側において、中間ギアとしてウォームシャフト56が設けられている。ウォームシャフト56は、その軸方向が水平方向になるように配置されると共に、ケース22に回転自在に支持されている。ウォームシャフト56の一端側部分(車両後側部分)には、樹脂製のヘリカルギア部56Aが同軸上に設けられており、ウォームシャフト56の他端側部分(車両前側部分)には、金属製のウォームギア部56Bが同軸上に設けられている。ヘリカルギア部56Aは、ウォームギア54に噛合されており、ウォームギア54が回転されることで、ヘリカルギア部56A及びウォームギア部56Bが一体に回転されて、ウォームシャフト56が回転される。
【0027】
ギア機構52には、ウォームシャフト56の車幅方向内側に金属製のギアとしてのギアプレート58(ウォームホイル)が設けられている。ギアプレート58は、ウォームシャフト56等を介してモータ50の駆動力を外周面側で受ける部材であり、支持軸12Cの軸周りに設けられている。ギアプレート58には、スタンド12Aの支持軸12Cが同軸上に貫通されており、ギアプレート58は、支持軸12Cの軸周りに回転可能とされている。
【0028】
図2及び図3に示す如く、ギアプレート58の上面には環状の窪みが形成されている。この窪みの上面には後述するクラッチプレート60に下側から面接触する上側接触面58Aが形成されると共に、被係合部位として節度凹部58Bが形成されている。上側接触面58Aと節度凹部58Bとは、ギアプレート58の環状の上面において交互に(本実施形態では一例として各々四つずつ)形成されている。
【0029】
複数の節度凹部58Bは、ギアプレート58の周方向に等間隔で配置されている。節度凹部58Bは、ギアプレート58の周方向に沿った縦断面形状において底部側よりも上端開口側の寸法が長く設定された逆台形状に形成されている。
【0030】
ギアプレート58の上側には、支持軸12Cの軸周りにクラッチプレート60が設けられている。クラッチプレート60は金属製で略円筒状に形成されている。クラッチプレート60には、スタンド12Aの支持軸12Cが同軸上に貫通されている。また、クラッチプレート60の内周側には、クラッチプレート60の半径方向内側に凸とされてクラッチプレート60の軸線方向に延びる凸部60Cが形成されている。この凸部60Cは、クラッチプレート60の内周部の周方向に等間隔で複数形成されており、スタンド12Aの支持軸12Cに形成された溝部12Eに嵌入されている。これにより、クラッチプレート60は、支持軸12Cの軸周りに回転不能とされると共に、支持軸12Cの軸線方向(上下方向)に移動可能とされている。
【0031】
クラッチプレート60の下面には、通常時(バイザ16等に高荷重の外力が作用していない場合)においてギアプレート58の上側接触面58Aと面接触する下側接触面60Aが形成されると共に、係合部位として節度凸部60Bが形成されている。下側接触面60Aと節度凸部60Bとは、クラッチプレート60の環状の下面において交互に(本実施形態では一例として各々四つずつ)形成されている。
【0032】
複数の節度凸部60Bは、クラッチプレート60の周方向に等間隔で配置されている。節度凸部60Bは、クラッチプレート60の周方向に沿った縦断面形状において下端側よりも上端側の寸法が長く設定された逆台形状に形成されている。クラッチプレート60の節度凸部60Bの断面形状は、ギアプレート58の節度凹部58Bの断面形状に対して僅かに小さい相似形状にされている。
【0033】
すなわち、クラッチプレート60の節度凸部60Bはギアプレート58の節度凹部58Bに挿入可能とされ、ギアプレート58の節度凹部58Bとクラッチプレート60の節度凸部60Bとは互いに係合可能とされている。そして、クラッチプレート60の節度凸部60Bがギアプレート58の節度凹部58Bに挿入されることで、クラッチプレート60の下側接触面60Aがギアプレート58の上側接触面58Aに面接触するようになっている。
【0034】
クラッチプレート60の上側には、支持軸12Cの軸周りに付勢部材としてのコイルスプリング62(圧縮コイルばね)が設けられている。コイルスプリング62は、金属製で螺旋状に形成され、コイルスプリング62内には、スタンド12Aの支持軸12Cが同軸上に挿入されている。
【0035】
コイルスプリング62の上側には、略円環板状のプッシュナット64(係止部材)が設けられている。プッシュナット64は、スタンド12Aの支持軸12Cに係止される複数の係止爪64Aを備え、スタンド12Aの支持軸12Cに対して同軸的に固定されている(図4参照)。支持軸12Cに固定された状態のプッシュナット64は、コイルスプリング62を下側に押圧して圧縮させており、コイルスプリング62は、クラッチプレート60を下側に付勢してギアプレート58に接触させている。このため、コイルスプリング62は、付勢力により、クラッチプレート60をギアプレート58に係合させて、クラッチプレート60の節度凸部60Bがギアプレート58の節度凹部58Bに挿入された状態を保持しており、支持軸12Cの軸周りのギアプレート58の回転がクラッチプレート60等によって制限されている。
【0036】
一方、ギアプレート58には、ウォームシャフト56のウォームギア部56Bが噛合されている。そして、ウォームギア部56Bが回転される際には、ウォームギア部56Bがギアプレート58の周りを回動されることで、回動体12Dがウォームギア部56Bと一体にギアプレート58に対して回動されるようになっている。すなわち、ギアプレート58は、支持軸12Cの軸周りの回転が制限されながらモータ50の駆動力を受けた場合に当該回転の制限が維持されることでモータ50の駆動力を回動体12Dに回動力として作用させる。
【0037】
図1及び図6に示す如く、バイザボデー18には、収容部としての略直方体形箱状の収容壁18Aが設けられており、収容壁18A内は、車両後側に開放されている。
【0038】
図6に示す如く、収容壁18Aの車両前側壁(底壁)には、支持部としての支持壁18B(ケースロア部)が一体に設けられており、支持壁18Bは、収容壁18Aの車両前側壁の車両前側及び車両後側に突出されている。支持壁18Bは、略筒状にされており、支持壁18Bの中心軸線は、車両前後方向に平行に配置されている。支持壁18Bは、球壁状にされており、支持壁18Bの内径寸法は、車両後方へ向かうに従い徐々に大きくされている。
【0039】
支持壁18B内には、被覆部としての容器状の被覆壁18C(ケースアッパ部)が設けられており、被覆壁18Cの車両前側端の全周は、支持壁18Bの車両前側端の全周と一体にされている。被覆壁18Cの車両前側端と支持壁18Bの車両前側端との間には、平板状の連結壁18Dが一体に設けられており(図1参照)、連結壁18Dは、被覆壁18Cの車両前側端と支持壁18Bの車両前側端とが直接一体にされていない部分において、被覆壁18Cの車両前側端と支持壁18Bの車両前側端とを連結している。被覆壁18C内は、支持壁18Bの車両前側に開放されており、これにより、被覆壁18C内は、収容壁18Aの車両前側に開放されている。
【0040】
支持壁18Bの外周面には、車両前後方向中間部において、周囲部としての円筒状の嵌合筒18Eが一体に設けられており、嵌合筒18Eは、支持壁18Bから車両前側に突出されると共に、支持壁18Bと同軸上に配置されている。
【0041】
被覆壁18Cの車両後側壁(底壁)には、中央支持部としての略円筒状の保持筒28が一体に設けられており、保持筒28は、被覆壁18Cの車両後側壁の車両前側及び車両後側に突出されると共に、支持壁18Bと同軸上に配置されている。保持筒28の車両後側端部には、略球状の保持球28Aが設けられており、保持球28Aの車両前側部の周面は、球面状にされて、中心が支持壁18Bの内周面の中心と一致されている。
【0042】
図1に示す如く、バイザボデー18及び格納機構12の車両前側には、配置部材(補強体)としての略樹脂製で長尺板状のリンフォース24が設けられており、リンフォース24は、車幅方向に延伸されている。図4及び図5に示す如く、本実施形態のリンフォース24は、ケース22と一体に形成されており、リンフォース24は、ケース22の車幅方向外側の壁部における車両前側から車幅方向外側に延伸されている。リンフォース24の車幅方向外側部には、閉鎖部としての略円板状の底壁部24Aが設けられている。また、ケース22と底壁部24Aとの間には、連結部24Cが設けられている。
【0043】
リンフォース24は、バイザボデー18に比し剛性が高くされており、リンフォース24は、バイザボデー18及び回動体12Dを補強している。また、リンフォース24には、第3スクリュー16Cの締結によって、バイザ16のバイザカバー20(下カバー20B)が固定されており、これにより、上述の如くバイザカバー20がリンフォース24を介してバイザボデー18に組付けられている。
【0044】
図6に示す如く、底壁部24Aの車両後側面の外周部には、全周において、断面矩形状の挿入凹部24Bが形成されており、挿入凹部24Bには、バイザボデー18の支持壁18Bの車両前側端が挿入されている。底壁部24Aの外周面は、バイザボデー18の嵌合筒18E内に嵌合されており、挿入凹部24Bの外周面には、支持壁18Bの外周面が嵌合されている。これにより、底壁部24Aが、バイザボデー18の支持壁18B、被覆壁18C及び連結壁18Dの車両前側を被覆かつ閉鎖すると共に、支持壁18B、被覆壁18C及び連結壁18Dを補強している。
【0045】
図4及び図5に示す如く、底壁部24Aの中心部には、嵌入部としての略円柱状の嵌入柱24Dが一体に設けられており、嵌入柱24Dは、底壁部24Aから車両後側に突出されると共に、底壁部24Aと同軸上に配置されている。嵌入柱24Dの先端部は、縮径されており、嵌入柱24Dは、先端部がバイザボデー18の保持筒28内に車両前側から嵌入されて、保持筒28を補強している(図6参照)。
【0046】
底壁部24Aの上部及び車幅方向外側部には、円筒状の支持筒24Eが一体に設けられており、支持筒24Eは、底壁部24Aから車両後側に突出されると共に、底壁部24Aと中心軸線が平行に配置されている。
【0047】
図5に示す如く、リンフォース24内には、配線を構成する長尺板状のターミナル78が3個設けられており、リンフォース24は、内部にターミナル78が配置された状態で、成形(インサート成形)されて、製造されている。ターミナル78は、車幅方向に延伸されており、ターミナル78は、後述する給電コネクタ24Fから連結部24Cを介して底壁部24Aにかけて配置されている。
【0048】
回動体12Dのケース22には、受給部としての有底筒状の給電コネクタ24Fが一体に設けられている。一方、車両側から延伸し、支持軸12Cの内部を挿通し、配線経路部26Bを経て格納機構12の内部に引込まれたケーブル80にはプラグ76が接続されている。そして、このプラグ76が給電コネクタ24Fに挿入されることにより、ケーブル80とターミナル78とが結線される。給電コネクタ24F内には、ターミナル78の基端部(車幅方向内側端部)が延出されており、ターミナル78の基端部は、回動体12D内及びスタンド12A内を介して、制御装置に電気的に接続されている。
【0049】
1つのターミナル78の先端側部分(車幅方向外側部分)は、2つに分岐されており、ターミナル78(当該1つのターミナル78の各分岐部分を含む)の先端部は、底壁部24Aから車両後側に延出されて、接続部としての出力ターミナル78Aにされている。このため、出力ターミナル78Aが4個設けられて、二対の出力ターミナル78Aが設けられている。
【0050】
図6に示す如く、バイザボデー18の被覆壁18Cとリンフォース24の底壁部24Aとの間には、作動機構としての鏡面調整機構14が保持されている。
【0051】
鏡面調整機構14には、他の駆動手段としてのモータ30が一対設けられており、モータ30の本体部30Aは、被覆壁18Cと底壁部24Aとの間に狭持された状態で保持されている。図1に示す如く、本体部30Aからは、出力軸30Bが延出されており、出力軸30Bには、出力部材としてのウォーム32が固定されている。本体部30Aには、図示しない一対の差込口が設けられており、一対の差込口に一対の出力ターミナル78Aが差込まれることで、ターミナル78とモータ30とが電気的に接続される。そして、制御装置の制御により、モータ30に電力が供給されて、モータ30が駆動されることで、鏡面調整機構14が電気的に作動される。
【0052】
図1及び図6に示す如く、鏡面調整機構14には、伝達部材としての樹脂製で略円筒状のホイルドライブ34が一対設けられている。ホイルドライブ34は、車両前側部分が底壁部24Aの支持筒24E内に嵌入された状態で被覆壁18Cと底壁部24Aとの間に狭持されて、軸周りに回転自在に保持されている。
【0053】
ホイルドライブ34の外周部には、軸方向(車両前後方向)中間部において、ウォームホイル34Aが同軸上に形成されており、ウォームホイル34Aは、モータ30のウォーム32に噛合(係合)されている。このため、モータ30が駆動されて、ウォーム32が回転されることで、ウォームホイル34Aが回転されて、ホイルドライブ34が回転される。
【0054】
ホイルドライブ34の内周部には、ウォームホイル34Aの車両後側において、係合部としての噛合爪34Bが所定数(本実施形態では4個)形成されており、所定数の噛合爪34Bは、ホイルドライブ34の周方向に等間隔に配置されている。噛合爪34Bは、車両後側へ延出されて、弾性を有しており、噛合爪34Bの先端(車両後側端)は、ホイルドライブ34の径方向内側に突出されている。
【0055】
ホイルドライブ34内には、移動部材としての略円柱状のロッドドライブ36が同軸上に挿入されており、ロッドドライブ36は、被覆壁18Cから車両後側に突出されている。一方のロッドドライブ36は、バイザボデー18の支持壁18Bの中心軸線の上方(下方でもよい)に配置されており、他方のロッドドライブ36は、支持壁18Bの中心軸線の車幅方向外方(車幅方向内方でもよい)に配置されている。
【0056】
図6に示す如く、ロッドドライブ36の先端部(車両後側端部)以外の部分は、ネジ36Aにされており、ネジ36Aには、ホイルドライブ34の噛合爪34B先端が噛合(係合)されている。また、ロッドドライブ36の先端部は、略球状にされている。
【0057】
バイザボデー18の収容壁18A内には、視認手段としてのミラー体38が収容されており、ミラー体38の全周及び車両前側は、収容壁18Aによって被覆されている。
【0058】
ミラー体38の車両後側部分には、視認部としての略矩形板状のミラー40が設けられており、ミラー40の表面は、バイザボデー18の車両後側に露出されている。ミラー40の鏡面40A(裏側の反射層の表面)は、車両後側に向けられており、ミラー40によって車両の乗員(特に運転手)の車両後側の視認が補助される。
【0059】
ミラー体38の車両前側部分には、摺動体としての樹脂製で略矩形板状のミラーホルダ42が設けられており(図1参照)、ミラーホルダ42は、全周にミラー40の全周が固定(保持)されると共に、ミラー40の車両前側(裏側)を被覆している。
【0060】
ミラーホルダ42には、ミラー40の中央位置(重心位置)の車両前側において、取付部としての略筒状の取付壁42Aが形成されており、取付壁42Aは、バイザボデー18の支持壁18Bと同軸上に配置されている。取付壁42Aは、略球壁状にされており、取付壁42Aの内径寸法は、車両後方へ向かうに従い徐々に大きくされている。取付壁42A内には、バイザボデー18の保持筒28の保持球28Aが嵌入されており、これにより、取付壁42Aが保持球28Aに傾動可能かつ摺動可能に保持されている。
【0061】
ミラーホルダ42の車両前側には、摺動部としての略筒状の摺動壁42Bが一体に設けられており、摺動壁42Bは、バイザボデー18の支持壁18Bと同軸上に配置されている。摺動壁42Bは、球壁状にされており、摺動壁42Bの外径寸法は、車両後方へ向かうに従い徐々に大きくされている。摺動壁42Bの外周面は、支持壁18Bの内周面に当接されており、摺動壁42Bは、支持壁18Bの内周面に傾動可能かつ摺動可能に支持されている。
【0062】
ミラーホルダ42には、摺動壁42Bの径方向内側において、回動部としての略筒状の回動壁42Cが一対形成されており、一方の回動壁42Cは、バイザボデー18の支持壁18Bの中心軸線の上方(下方でもよい)に配置されると共に、他方の回動壁42Cは、支持壁18Bの中心軸線の車幅方向外方(車幅方向内方でもよい)に配置されている。回動壁42Cは、中心軸線がバイザボデー18の支持壁18Bの中心軸線と平行に配置されると共に、略球壁状にされており、回動壁42Cの内径寸法は、車両前後方向両端側から車両前後方向中央側へ向かうに従い徐々に大きくされている。
【0063】
回動壁42C内には、鏡面調整機構14におけるロッドドライブ36の先端部が嵌入されて保持されており、回動壁42Cは、ロッドドライブ36の先端部に対する回動を許容すると共に、ロッドドライブ36の軸周りの回転を規制している。このため、上述の如く、鏡面調整機構14において、ホイルドライブ34(噛合爪34Bを含む)が回転されることで、ロッドドライブ36のネジ36Aへの噛合爪34B先端の噛合位置が変位されて、ロッドドライブ36が車両前後方向(軸方向)へ移動(スライド)される。
【0064】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0065】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、格納機構12の電気的な作動により、モータ50が駆動されて、ウォームシャフト56(ウォームギア部56B)がギアプレート58の周りを回動する。すなわち、スタンド12Aに対し回動体12Dが回動されて、回動体12Dと一体にミラー体38(バイザ16(バイザボデー18及びバイザカバー20)、リンフォース24及び鏡面調整機構14を含む)が回動される。これにより、ミラー体38が車両後側かつ車幅方向内側に回動されることで、ミラー体38が格納される。さらに、ミラー体38が車両前側かつ車幅方向外側に回動されることで、ミラー体38が起立(展開、復帰)される。
【0066】
また、鏡面調整機構14の電気的な作動により、モータ30が駆動されて、ウォーム32が回転されることで、ホイルドライブ34が回転されて、ロッドドライブ36が車両前後方向へ移動される。このため、ロッドドライブ36によってミラー体38(ミラー40及びミラーホルダ42)が上下方向及び車幅方向の少なくとも一方において傾動されることで、ミラー40の鏡面40Aの角度(ミラー40が補助する乗員の視認方向)が上下方向及び車幅方向の少なくとも一方において調整される。
【0067】
以上のような構成及び作用を有する本実施形態についてまとめると、次のとおりとなる。
【0068】
本実施形態の車両用ドアミラー装置10は、格納機構12及び鏡面調整機構14を備えており、格納機構12はモータ50により、鏡面調整機構14は2個のモータ30によりそれぞれ駆動される。図2及び図4に示す如く、車体側から格納機構12(回動体12D)にかけて、モータ50及びモータ30に電力を供給ためのケーブル80が延出されている。このケーブル80には、二群の信号線が含まれており、一群の信号線は回路基板70に接続され、他の一群の信号線はプラグ76に接続されている。これらの信号線の接続は、回動体12Dにおけるカバー26の内部で行われている。以上、本実施形態の格納機構12では、鏡面調整機構14に電力を供給するためのケーブル80を取出すために開口を設ける必要がない。
【0069】
そして、モータ50は、端子72及び差込口74を介して回路基板70と接続されている。したがって、格納機構12においては、回動体12Dの内部で結線が完結しており、結線部分が格納機構12の外部に現れない。また、モータ30は、ターミナル78を介してプラグ76と接続されている。したがって、鏡面調整機構14においては、回動体12D及びリンフォース24の内部で結線が完結しており、結線部分が格納機構12及び鏡面調整機構14の外部に現れない。
【0070】
以上、本実施形態の車両用ドアミラー装置10は、格納機構12においてケーブル80を取出すための開口が存在せず、結線部分が格納機構12及び鏡面調整機構14の外部に現れないことから、防水性能を向上させることができる。また、格納機構12及び鏡面調整機構14の外部であってバイザ16の内部には、ケーブル80が存在しないことから、ケーブル80がバイザ16の内壁などに衝突して音が出ることを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態の車両用ドアミラー装置10では、カバー26の内部であって支持軸12Cの上部において支持軸12Cを保持するためのリブ26Aが設けられている。ここで従来の車両用視認装置では、支持軸を保持する保持部材において、支持軸の軸心に対応する部分にケーブルを取出すための開口を設ける必要があり、この開口を有する保持部材を覆うための被覆部材をさらに設ける必要があった。これに対し、本実施形態では、ケーブルを取出すための開口を設ける必要がないため、支持軸12Cを保持する保持部(リブ26A)と被覆部材(カバー26)とを一体化することができる。すなわち部品点数を削減することができる。また、これにより組付け数の低減が図られる。
【0072】
さらに、上述のように保持部(リブ26A)と被覆部材(カバー26)とを一体化した構造において、カバー26にケーブル80を挿通可能な配線経路部26Bを設けることで、格納機構12の内部にケーブル80を配設することができる。
【0073】
なお、本実施形態のカバー26には、保持部として複数の板状のリブ26Aを支持軸12Cの軸心に向けて設けたが、保持部の形状はこれに限らない。例えば、カバー26の内部に上下方向を軸方向とする円筒状の保持部を設けることができる。この場合、円筒状の保持部の内周面が支持軸12Cの外周面に当接されることにより、すなわち、円筒状の保持部が支持軸12Cと嵌合することにより、支持軸12Cは保持される。そして、円筒状の保持部の場合、ケーブル80が挿通可能な切欠きを保持部の壁面に対して軸方向に形成することにより、ケーブル80を格納機構12の内部に引込むことが可能となる。
【0074】
本実施形態では、リンフォース24を回動体12Dと一体に形成しているがこれに限らない。リンフォース24が回動体12Dと別体の場合、例えば、回動体12Dにおけるリンフォース24の固定部分に電気的な接合部を設けることにより、防水性を確保することができる。具体的には、リンフォース24においては、回動体12Dとの固定部分にターミナル78の露出部分、すなわち端子を設け、回動体12Dにおいては、リンフォース24との固定部分に当該端子の差込口を設ける。これにより、リンフォース24の回動体12Dへの固定に伴い、電気的な接続が完了すると共に、格納機構12及び鏡面調整機構14の外部に配線が現れることがない。
【0075】
また、本実施形態では、リンフォース24に設けたターミナル78を鏡面調整機構14に電気的に接続した。しかしこれに限らず、車両用ドアミラー装置10にランプ(ターンランプや照明ランプ)を設けて、リンフォース24のターミナル78を当該ランプに電気的に接続してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、ミラー体38を視認手段にした。しかしながら、撮像により乗員の視認を補助するカメラを視認手段にしてもよい。この場合、カメラにリンフォース24のターミナル78を電気的に接続してもよい。
【0077】
さらに、本実施形態では、車両用ドアミラー装置10(車両用視認装置)を車両のドアの外側に設置した。しかしながら、車両用視認装置を車両の他の位置に設置してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 車両用ドアミラー装置(車両用視認装置)
12 格納機構
12C 支持軸
12D 回動体
14 鏡面調整機構(作動機構)
18 バイザボデー(収容体)
26 カバー(被覆部材)
26A リブ(保持部)
26B 配線経路部(逃げ部)
38 ミラー体(視認手段)
78 ターミナル(配線)
80 ケーブル(配線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6