(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルムアンテナと、ケーブルと、前記フィルムアンテナが巻き付けられると共に前記ケーブルを保持する保持部を有する支持体とを備え、前記支持体に、前記ケーブルと前記フィルムアンテナとの接続部が配置される部分に欠損部が形成されるとともに、前記ケーブルの先端部を前記欠損部内に引き込むための通路とが形成されたアンテナ装置の製造方法において、
前記ケーブルを前記保持部に保持させると共に、前記ケーブルの前記先端部を前記欠損部内に前記通路を介して引き込む配線工程と、
前記配線工程を実施した後に、前記ケーブルの前記先端部を前記欠損部に配置された給電部に接続する接続工程と、
前記接続工程を実施した後に、前記欠損部を囲むように前記フィルムアンテナを前記支持体に巻き付ける巻付工程と、を含んでいる、
ことを特徴とするアンテナ装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
(アンテナ装置の構成)
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1の構成について、
図1から
図6を参照して説明する。
【0027】
図1は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1を示す図であり、
図1の(a)は、アンテナ装置1の上面側斜視図であり、
図1の(b)は、アンテナ装置1の下面側斜視図である。また
図1の(c)は、
図1の(a)に示すアンテナ装置1のA−A矢視図であり、
図1の(d)は、給電部周辺(
図1の(c)に示す領域B)の拡大断面図である。
【0028】
アンテナ装置1は、
図1に示すように、可撓性を有するフィルムアンテナ11と、フィルムアンテナ11に接続された同軸ケーブル12と、フィルムアンテナ11を支持するとともに同軸ケーブル12を保持する支持体13とを備えている。また、アンテナ装置1は、箱型(概ね直方体形状)の外形を有する剛性のある樹脂製の支持体13にフィルムアンテナ11が巻き付けられ、フィルムアンテナ11(アンテナ導体)の立体構造が維持されている。
【0029】
本実施形態のアンテナ装置1は、例えば自動車等の車体のルーフの後端に搭載される樹脂製スポイラーに内蔵される車載用アンテナとして用いることができる。この場合、アンテナ装置1は、図示したx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を前方、y軸負方向を後方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方とした状態で車体のルーフ後端に配置される。なお以下の説明において、図示したx軸正方向、x軸負方向、y軸正方向、y軸負方向、z軸正方向、z軸負方向を、それぞれ、右、左、前、後、上、下と表現することがあるものとする。
【0030】
図2は、
図1に示すアンテナ装置1が備えるフィルムアンテナ11の展開図である。フィルムアンテナ11は、
図2に示すように、可撓性を有する誘電体フィルム111と、誘電体フィルム111の表面に形成された第1及び第2のアンテナ導体112,113とにより構成されている。そして、第1及び第2のアンテナ導体112,113は、前者及び後者を放射素子とするダイポールアンテナ、又は、前者を放射素子とし後者を地板とするモノポールアンテナを構成する。また、可撓性を有するフィルムアンテナ11は、
図2に示すVV線、WW線に沿ってそれぞれ谷折りされ、支持体13に巻き付けられる。そして、第1及び第2のアンテナ導体112,113が所定の立体構造を取るように、可撓性を有するフィルムアンテナ11は、立体形状の支持体13に巻き付けられている。
【0031】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、支持体13上面の第3支持面(
図1に示す区間I3)に沿ってフィルムアンテナ11の第3区間J3を配置させることで、給電部114からy軸方向に沿って第2のアンテナ導体113を延在させている。また、第3支持面と直交する第2支持面(
図1に示す区間I2)に沿ってフィルムアンテナ11の第2区間J2を配置させ、第2支持面と直交する第1支持面(
図1に示す区間I1)に沿ってフィルムアンテナ11の第1区間J1を配置させることで、給電部114からz軸方向に沿って延びる第1のアンテナ導体112を屈曲させ、第2のアンテナ導体113と対向するようにy軸方向に沿って延在させている。このように、本実施形態のアンテナ装置1では、可撓性を有するフィルムアンテナ11を剛性のある支持体13に支持させることでアンテナ導体の立体構造が維持され、アンテナ特性の安定化が図られている。
【0032】
フィルムアンテナ11の給電部114に接続される同軸ケーブル12は、受信時にフィルムアンテナ11から出力された高周波電流を伝送する機能、及び、送信時にフィルムアンテナ11に入力する高周波電流を伝送する機能の少なくとも何れかを有する。同軸ケーブル12は、内側導体と、内側導体を覆う絶縁体と、絶縁体を覆う外側導体と、外側導体を覆う被覆とにより構成され、被覆を除去された同軸ケーブル12の先端部が、フィルムアンテナ11の給電部114(給電点114a,114b)に半田付けなどにより接続されている。具体的には、同軸ケーブル12の内側導体が第1のアンテナ導体112の給電点114aに接続され、同軸ケーブル12の外側導体が第2のアンテナ導体113の給電点114bに接続されている。
【0033】
なお、
図1の(b)に示すように、フィルムアンテナ11に接続された同軸ケーブル12は、支持体13に形成された複数の保持部により、屈曲した状態で保持されている。これにより、本実施形態のアンテナ装置1では、同軸ケーブル12が引っ張られても、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12との接続部にその力が伝わり難く、同軸ケーブル12の引っ張りに対する耐久性を向上させることができる。
【0034】
また、
図1の(c)に示すように、本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ装置1の製造時、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12との接続部にかかる負荷を低減させ、該接続部における接続信頼性を向上させるため、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12の接続部が配置される部分に形成された欠損部13Dと、欠損部13Dに同軸ケーブルを引き込むための通路が形成された支持体13が用いられている。
【0035】
また、
図1の(d)に示すように、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12の接続部(具体的には、フィルムアンテナ11の給電部114、同軸ケーブル12の先端部、及び、これらを接続するための半田)は、支持体13の欠損部13Dに収容され、この欠損部13Dに注入された流動性樹脂を硬化することにより得られる樹脂14によって封止されている。これにより、本実施形態のアンテナ装置1では、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12との接続部の湿気等による劣化防止を図ることができる。
【0036】
(支持体の構造)
アンテナ装置1が備える支持体13の構造について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3の(a)は、同軸ケーブル12が配線された支持体13の上面側斜視図であり、
図3の(b)は、同軸ケーブル12が配線された支持体13の下面側斜視図である。
図4は、後述する支持体13の右腕部13RのC−C矢視図である。
【0037】
支持体13は、y軸負方向側において中央に欠損部13Dが形成された箱形の外形を有する樹脂成型品である。欠損部13Dは、支持体13を上下に貫いており、支持体13の平面視形状は、U字型になる。支持体13に巻き付けられたフィルムアンテナ11の給電部114、及び、支持体13に保持された同軸ケーブル12の先端部は、この欠損部13Dに配置される。この欠損部13Dは、支持体13に巻き付けられたフィルムアンテナ11によって三方が覆われ閉塞される。
【0038】
以下、支持体13において、欠損部13Dよりもx軸負方向側に位置する部分を左腕部13Lと呼び、欠損部13Dよりもx軸正方向側に位置する部分を右腕部13Rと呼び、欠損部13Dよりもy軸正方向側に位置する部分を主要本体部13Mと呼ぶ。言い換えると、支持体13は、直方体状の主要本体部13Mと、この主要本体部13Mからy軸負方向にそれぞれ迫り出た直方体状の左腕部13L及び右腕部13Rとを備え、離間配置された左腕部13L及び右腕部13Rの間に欠損部13Dが形成されている。
【0039】
右腕部13Rの上面のy軸負方向側には、
図3の(a)に示すように、右腕部13Rをx軸方向に貫く(支持体13の外側面から欠損部13Dに至る)凹溝13R1が形成されている。同軸ケーブル12は、
図4に示すように、欠損部13D内に配置されたフィルムアンテナ11の給電部114から、凹溝13R1を通ってx軸正方向に向かって延びる。すなわち、凹溝13R1は、同軸ケーブル12を欠損部13D外に引き出すための(換言すれば、同軸ケーブル12を欠損部13D内に引き込むための)通路として機能する。
【0040】
また、右腕部13Rのx軸正方向側には、x軸正方向に突出した突出部13R2が設けられており、この突出部13R2の上面には、突出部13R2をy軸方向に貫く凹溝13R3が形成されている。上述した凹溝13R1(通路)から引き出された同軸ケーブル12は、y軸正方向に向かって延びるように折り曲げられ、この凹溝13R3に嵌め込まれる。すなわち、この凹溝13R3は、同軸ケーブル12を保持する第1保持部として機能する。
【0041】
さらに、主要本体部13Mの下面には、
図3の(b)に示すように、x軸方向に沿って延びる凹溝13Bが形成されている。凹溝13Bは、x軸方向に沿って延びる一対の溝壁13B1,13B2と、一対の溝壁13B1,13B2の間に形成されたy軸方向に沿って延びる5つの立壁部13B3〜13B7とを備えている。また、5つの立壁部のうち4つの立壁部13B3〜13B6には、同軸ケーブル12を圧入可能なスリット13B8〜13B11が形成されている。これら5つの立壁部13B3〜13B7を備える凹溝13B内に同軸ケーブル12を挿通させることで、同軸ケーブル12を蛇行させながら強固に保持できる。すなわち、凹溝13Bは、同軸ケーブル12を保持する第2保持部として機能する。
【0042】
また、主要本体部13Mのx軸負方向には、x軸負方向に突出した突出部13T1が形成され、この突出部13T1の上面には、突出部13T1をy軸方向に貫く凹溝13T2が形成されている。上述した凹溝13B(第2保持部)に保持された同軸ケーブル12は、y軸正方向に向けて折り曲げられ、この凹溝13T2に嵌め込まれる。すなわち、この凹溝13T2は、同軸ケーブル12を保持する第3保持部として機能する。
【0043】
さらに、主要本体部13Mの上面のy軸正方向側端部には、フィルムアンテナ11を貫通させるガイドリング13Gが形成されている。このガイドリング13Gによって、フィルムアンテナ11の第3区間J3と支持体13の上面(第3支持面I3)との接触が保たれる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置1が備える支持体13においては、(1)支持体13に巻き付けられたフィルムアンテナ11の給電部114が配置される部分に欠損部13Dが形成されており、(2)フィルムアンテナ11の給電部114に接続される同軸ケーブル12の先端部を欠損部13Dに引き込むための通路として、右腕部13Rの上面に、右腕部13Rをx軸方向に貫く凹溝13R1が形成されている。
【0045】
これにより、アンテナ装置1の製造に際し、同軸ケーブル12を支持体13に保持させると共に、凹溝13R1を介して同軸ケーブル12の先端部を欠損部13Dに引き込む配線工程を実施した後、欠損部13Dにおいて同軸ケーブル12の先端部をフィルムアンテナ11の給電部114に接続する接続工程を実施することができる。このため、ケーブルを配線するときに、フィルムアンテナとケーブルとの接続部にかかる負荷を軽減でき、該接続部における接続信頼性を向上させることができる。
【0046】
なお、支持体13のx軸正方向側及びx軸負方向側の各側面に、先端に突起13Q1,13Q2を有する弾性舌片13P1,13P2が、z軸負方向に向けて形成されている。これら各弾性舌片13P1,13P2の先端の各突起13Q1,13Q2は、後述するように、アンテナ装置1を設置対象物(例えば、自動車のスポイラー)に固定するために利用される。
【0047】
(アンテナ装置の製造方法)
アンテナ装置1の製造方法について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、アンテナ装置1の製造方法の流れを示すフローチャートであり、
図6は、製造中のアンテナ装置1を示す斜視図である。
【0048】
アンテナ装置1は、
図5に示す各工程、すなわち、配線工程S11、接続工程S12、巻付工程S13、注入工程S14、及び硬化工程S15を実施することにより製造することができる。各工程の内容は、以下のとおりである。
【0049】
(1)配線工程S11
同軸ケーブル12を支持体13の各保持部(凹溝13R3,凹溝13B,凹溝13T2)に保持させる共に、凹溝13R1を介して同軸ケーブル12の先端部を欠損部13Dに引き込む。このため、配線工程S11よりも後の工程では、同軸ケーブル12が引っ張られても、同軸ケーブル12が屈曲した状態で各保持部に保持されているため、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12との接続部にその力が伝わり難く、接続部への負荷を低減でき、該接続部における接続信頼性を向上させることができる。
図6の(a)は、配線工程S11を実施した後のアンテナ装置1を示す。
【0050】
(2)接続工程S12
配線工程S11において、同軸ケーブル12が配線された支持体13を、支持体13の上面(第3支持面I3)を下方に向けた状態で、フィルムアンテナ11上に載置する。この際、フィルムアンテナ11の第3区間J3を、支持体13の第3支持面I3に接触させ、フィルムアンテナ11の給電部114を、支持体13の欠損部13Dに配置する。そして、支持体13の欠損部13Dに引き込まれた同軸ケーブル12の先端部を、フィルムアンテナ11の給電部114に接続(本実施形態においては、半田付け)する。
図6の(b)は、接続工程S12を実施しているときのアンテナ装置1を示す。このような接続作業が可能であるのは、支持体13に欠損部13Dが形成されているからである。
【0051】
(3)巻付工程S13
接続工程S12において同軸ケーブル12に接続されたフィルムアンテナ11を、配線工程S11において同軸ケーブル12が配線された支持体13に巻き付ける。この際、フィルムアンテナ11を支持体13に沿わせて折り曲げ、フィルムアンテナ11の第2区間J2を支持体13の第2支持面I2に接触させると共に、フィルムアンテナ11を支持体13に沿わせて更に折り曲げ、フィルムアンテナ11の第1区間J1を支持体13の第1支持面I1に接触させる。これにより、欠損部13Dの三方(z軸正方向、y軸負方向、z軸負方向)がフィルムアンテナ11により覆われ、閉塞される。
図6の(c)は、巻付工程S13を実施した後のアンテナ装置1を示す。
【0052】
(4)注入工程S14
凹溝13R1が欠損部13Dの上方に配置されるように、アンテナ装置1を配置し、流動性樹脂を凹溝13R1から欠損部13Dに注入する。流動性樹脂の注入は、フィルムアンテナ11と同軸ケーブル12との接続部が流動性樹脂に埋没するまで行う。
図6の(d)は、注入工程S14を実施しているときのアンテナ装置1を示す。
【0053】
(5)硬化工程S15
アンテナ装置1を静置し、注入工程S14において欠損部13Dに注入した流動性樹脂を硬化させる。例えば、注入工程S14において欠損部13Dに注入した流動性樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、この流動性樹脂を冷却する(例えば、自然冷却する)。
【0054】
なお、欠損部13D内に詰め物(絶縁性の固形物等)を入れて欠損部13D内の空間を減らしておくことによって、注入工程S14にて注入する必要がある樹脂の量を減らすことができる。これにより、より低コストかつ、より軽量なアンテナ装置1を実現することができる。
【0055】
〔第2の実施形態〕
(アンテナ装置の構成)
本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置2の構成について、
図7から
図11を参照して説明する。
【0056】
本実施形態のアンテナ装置2は、第1の実施形態と同様に、スポイラーに内蔵される車載用アンテナとして用いられた場合、図示したx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を前方、y軸負方向を後方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方とした状態で車体のルーフ後端に配置される。なお以下の説明において、図示したx軸正方向、x軸負方向、y軸正方向、y軸負方向、z軸正方向、z軸負方向を、それぞれ、右、左、前、後、上、下と表現することがあるものとする。
【0057】
図7は、第2の実施形態に係るアンテナ装置2を示す図であり、
図7の(a)は、アンテナ装置2の上面側斜視図であり、(b)は、アンテナ装置2の下面側斜視図である。
【0058】
アンテナ装置2は、
図7に示すように、フィルムアンテナ21と、同軸ケーブル22と、支持体23とを備えている。アンテナ装置2が備えているフィルムアンテナ21及び同軸ケーブル22の機能及び構造は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備えているフィルムアンテナ11及び同軸ケーブル12の機能及び構造と同様である。したがって、ここでは、アンテナ装置2が備えているフィルムアンテナ21及び同軸ケーブル22の機能及び構造に関する説明を省略する。
【0059】
アンテナ装置2が備えている支持体23は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備えている支持体13と同様、フィルムアンテナ21の立体構造を維持すると共に、同軸ケーブル22を保持する機能を有している。本実施形態においても、支持体23として、樹脂成型品を用いる。
【0060】
本実施形態に係るアンテナ装置2は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様、フィルムアンテナ21が支持体23に巻き付けられているため、アンテナ特性の安定性が高い。また、本実施形態に係るアンテナ装置2は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様、同軸ケーブル22が支持体23に保持されているため、同軸ケーブル22の引っ張りに対する耐久性が高い。
【0061】
(支持体の構造)
アンテナ装置2が備える支持体23の構造について、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8の(a)は、同軸ケーブル22が配線された支持体23の上面側斜視図であり、
図8の(b)は、同軸ケーブル22が配線された支持体23の下面側斜視図である。
図9は、後述する支持体23の右腕部23RのD−D矢視図である。
【0062】
支持体23は、y軸負方向側において中央に欠損部23Dが形成された箱形の外形を有する樹脂成型品であり、主要本体部23Mと、左腕部23Lと、右腕部23Rとにより構成されている。支持体23を構成する主要本体部23M及び左腕部23Lの構造は、それぞれ、第1の実施形態に係る支持体13を構成する主要本体部13M及び左腕部13Lの構造と同様である。したがって、ここでは、支持体23を構成する主要本体部23M及び左腕部23Lの構造に関する説明を省略する。
【0063】
右腕部23Rには、右腕部23Rをx軸方向に貫く(支持体23の外側面から欠損部23Dに至る)貫通孔23R1が形成されている。同軸ケーブル22は、欠損部23D内に配置されたフィルムアンテナ21の給電部から、貫通孔23R1を通ってx軸正方向に向かって延びる。すなわち、貫通孔23R1は、同軸ケーブル22を欠損部23D外に引き出すための(換言すれば、同軸ケーブル22を欠損部23D内に引き込むための)通路として機能する。
【0064】
支持体23の上面(第3支持面I)を下方に向けた状態に支持体23を配置したとき、
図9に示すように、右腕部23Rにおいて貫通孔23R1の底面に位置することとなる部分は、外側(x軸正方向側)の高さが内側(x軸負方向側)よりも高くなるように傾斜する障壁23R4を構成している。この障壁23R4の高さ(x軸正方向側端部の高さ)は、フィルムアンテナ21と同軸ケーブル22との接続部(フィルムアンテナ21の給電部、同軸ケーブル22の先端部、及び、これらを接続するための半田)の高さよりも高く設定されている。この障壁23R4は、アンテナ装置2を製造する際に、欠損部23Dに注入された樹脂を堰き止める。
【0065】
また、右腕部23Rのx軸正方向側には、x軸正方向に突出した突出部23R2が設けられており、この突出部23R2の上面には、突出部23R2をy軸方向に貫く凹溝23R3が形成されている。上述した貫通孔23R1からx軸正方向に向けて引き出された同軸ケーブル22は、y軸正方向に向けて延びるように折り曲げられ、この凹溝23R3に嵌め込まれる。すなわち、この凹溝23R3は、同軸ケーブル22を保持する第1保持部として機能する。
【0066】
本実施形態に係るアンテナ装置2が備えている支持体23においても、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備えている支持体13と同様、(1)支持体23に巻き付けられたフィルムアンテナ21の給電部が配置される部分に欠損部23Dが形成されており、(2)フィルムアンテナ21に給電部に接続される同軸ケーブル22の先端部を欠損部23Dに引き込むための通路として、右腕部23Rに、右腕部23Rをx軸方向に貫く貫通孔23R1が形成されている。
【0067】
これにより、アンテナ装置2の製造に際し、同軸ケーブル22を支持体23に保持させると共に、貫通孔23R1を介して同軸ケーブル22の先端部を欠損部23Dに引き込む配線工程を実施した後、欠損部23Dにおいて同軸ケーブル22の先端部をフィルムアンテナ21の給電部に接続する接続工程を実施することができる。このため、ケーブルを配線するときに、フィルムアンテナとケーブルとの接続部にかかる負荷を軽減でき、該接続部における接続信頼性を向上させることができる。
【0068】
なお、ここでは、同軸ケーブル22を欠損部23Dから引き出すための通路として、右腕部23Rに形成された、右腕部23Rをx軸方向に貫く貫通孔23R1を用いているが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、同軸ケーブル22を欠損部23D外に引き出すための通路として、右腕部23Rの下面に形成された、右腕部23Rをx軸方向に貫く凹溝を用いても構わない。これにより、上述した配線工程の実施がより容易になる。
【0069】
(アンテナ装置の製造方法)
アンテナ装置2の製造方法について、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、アンテナ装置2の製造方法の流れを示すフローチャートであり、
図11は、製造中のアンテナ装置2を示す斜視図である。
【0070】
アンテナ装置2は、
図10に示す各工程、すなわち、配線工程S21、接続工程S22、第1巻付工程S23、注入工程S24、硬化工程S25、及び第2巻付工程S26を実施することにより製造することができる。各工程の内容は、以下のとおりである。
【0071】
(1)配線工程S21
同軸ケーブル22を支持体23の各保持部に保持させる共に、貫通孔23R1を介して同軸ケーブル22の先端部を欠損部23Dに引き込む。このため、配線工程S21よりも後の工程では、同軸ケーブル22が引っ張られても、同軸ケーブル22が屈曲した状態で各保持部に保持されているため、フィルムアンテナ21と同軸ケーブル22との接続部にその力が伝わり難く、接続部への負荷を低減でき、該接続部における接続信頼性を向上させることができる。
図11の(a)は、配線工程S21を実施した後のアンテナ装置2を示す。
【0072】
(2)接続工程S22
配線工程S21において同軸ケーブル22が配線された支持体23を、支持体23の上面(第3支持面I3)を下方に向けた状態で、フィルムアンテナ21上に載置する。この際、フィルムアンテナ21の第3区間J3を、支持体13の上面(第3支持面I3)に接触させ、フィルムアンテナ21の給電部を、支持体23の欠損部23Dに配置する。そして、支持体23の欠損部23Dに引き込まれた同軸ケーブル22の先端部を、フィルムアンテナ21の給電部に接続(本実施形態においては、半田付け)する。
図11の(b)は、接続工程S22を実施しているときのアンテナ装置2を示す。このような接続作業が可能であるのは、支持体23に欠損部23Dが形成されているからである。
【0073】
(3)第1巻付工程S23
フィルムアンテナ21の一部を、支持体23に巻き付ける。この際、フィルムアンテナ21を支持体23に沿わせて折り曲げ、フィルムアンテナ21の第2区間J2を支持体13の第2支持面I2に接触させる。これにより、欠損部13Dの三方のうち二方がフィルムアンテナ11によって囲まれる。
図11の(c)は、第1巻付工程S23を実施した後のアンテナ装置1を示す。この段階では、欠損部13Dの三方のうち一方(上方に向いた第1支持面I1側)が開放されている。
【0074】
(4)注入工程S24
アンテナ装置2を、支持体23の上面(第3支持面I3)を下方に向けて配置したまま、流動性樹脂を上方から欠損部23Dに注入する。流動性樹脂の注入は、フィルムアンテナ21と同軸ケーブル22との接続部が流動性樹脂に埋没するまで行う。この段階では、欠損部23Dの三方のうち一方(上方に向いた第1支持面I1側)がフィルムアンテナ21によって覆われていないので、フィルムアンテナ21と同軸ケーブル22との接続部が流動性樹脂に埋没したか否かを、目視にて容易に確認することができる。この際、貫通孔23R1は欠損部23Dの側方に位置し、欠損部23Dと連通しているが、貫通孔23R1に設けられた障壁23R4によって流動性樹脂が堰き止められるため、流動性樹脂が貫通孔23R1から漏れ出すことはない。
図11の(d)は、注入工程S24を実施しているときのアンテナ装置2を示す。
【0075】
(5)硬化工程S25
アンテナ装置2を静置し、注入工程S24において欠損部23Dに注入した流動性樹脂を硬化させる。例えば、注入工程S24において欠損部23Dに注入した流動性樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、この流動性樹脂を冷却する(例えば、自然冷却する)。或いは、注入工程S24において欠損部23Dに注入した流動性樹脂が光硬化性樹脂(例えば、紫外線硬化樹脂)である場合には、この流動性樹脂に光を照射する(例えば、紫外線を照射する)。
【0076】
(6)第2巻付工程S26
フィルムアンテナ21の残りの部分を、支持体23に巻付ける。この際、フィルムアンテナ21を支持体23に沿わせて折り曲げ、フィルムアンテナ21の第1区間J1を、支持体13の第1支持面I1に接触させる。これにより、欠損部13Dの三方がフィルムアンテナ11によって囲まれ、欠損部13Dが閉塞される。
図11の(e)は、第2巻付工程S26を実施した後のアンテナ装置2を示す。
【0077】
なお、欠損部23D内に詰め物(絶縁性の固形物等)を入れて欠損部23D内の空間を減らしておくことによって、注入工程S24にて注入する必要がある樹脂の量を減らすことができる。これにより、より低コストかつ、より軽量なアンテナ装置2を実現することができる。
【0078】
〔第1及び第2の実施形態に係るアンテナ装置のスポイラーへの収納方法〕
第1の実施形態に係るアンテナ装置1のスポイラー5への収納方法について、
図12を参照して説明する。
【0079】
アンテナ装置1が内蔵されるスポイラー5は、
図12に示すように、アンテナ装置1を筐体部51内に収納するための開口51aが筐体部上面に形成されている。なお、
図12では、アンテナ装置のスポイラーへの収納方法を分かり易く図示するために、アンテナ装置1及びスポイラー5の形状を模式化している。
【0080】
本実施形態のスポイラー5は、
図12の(a)に示すように、上面が開口した筐体部51と、筐体部51の開口51aを閉塞する蓋部52とから構成される。筐体部51は、スポイラー5が車体のルーフの後端に搭載されたとき、ルーフの後端から後方に迫り出る部分に配置される第1収納室511と、ルーフに沿って配置される第2収納室512とを備えている。第1及び第2収納室511,512は互いに連通し、第1収納室511は支持体13を収容可能な空間を有している。そして第1収納室511には、アンテナ装置1の支持体13を支持するための1対の支持板513,514が設けられている。
【0081】
本実施形態では、
図12の(b)に示すように、筐体部51の上面の開口51aからアンテナ装置1を筐体部51の内部に挿入し、アンテナ装置1の支持体13に形成された突起13Q1,13Q2を、支持板513,514に形成された係合孔に係合させてアンテナ装置1を支持板513,514に固定する。そして、
図12の(c)に示すように、蓋部52によって筐体部51の開口51aを閉塞し、アンテナ装置1を内蔵するスポイラー5を形成する。これにより、支持体13が第1収納室511に収納され、支持体13に巻き付けられたフィルムアンテナ11の一部が第2収納室512に延在する状態で、アンテナ装置1がスポイラー5に取付けられる。なお、フィルムアンテナ11に接続された同軸ケーブル12は、筐体部51に形成された貫通孔(不図示)を通って、筐体外部に引き出される。
【0082】
なお、第2の実施形態に係るアンテナ装置2も、第1の実施形態に係るアンテナ装置1をスポイラー5に収納する方法と同じ方法を用いてスポイラー5に収納することが可能である。
【0083】
〔第3の実施形態〕
(アンテナ装置の構成)
本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置3の構成について、
図13を参照して説明する。
図13は、アンテナ装置3の斜視図である。
【0084】
アンテナ装置3は、
図13に示すように、フィルムアンテナ31と、同軸ケーブル32と、支持体33とを備えている。アンテナ装置3が備えているフィルムアンテナ31及び同軸ケーブル32の機能及び構造は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備えているフィルムアンテナ11及び同軸ケーブル12の機能及び構造と同様である。したがって、ここでは、アンテナ装置3が備えているフィルムアンテナ31及び同軸ケーブル32の機能及び構造に関する説明を省略する。
【0085】
アンテナ装置3が備えている支持体33は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備えている支持体13と同様、フィルムアンテナ31の立体構造を維持すると共に、同軸ケーブル32を保持する機能を有している。本実施形態においても、支持体33として、樹脂成型品を用いる。
【0086】
本実施形態に係るアンテナ装置3は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様、フィルムアンテナ31が支持体33に巻き付けられているため、アンテナ特性の安定性が高い。また、本実施形態に係るアンテナ装置3は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様、同軸ケーブル32が支持体33に保持されているため、同軸ケーブル32の引っ張りに対する耐久性が高い。
【0087】
(支持体の構造)
アンテナ装置3が備える支持体33の構造について、
図14及び
図15を参照して説明する。
図14の(a)は、同軸ケーブル32が配線された支持体33の平面図であり、
図14の(b)は、同軸ケーブル32が配線された支持体33の底面図であり、
図14の(c)は、同軸ケーブル32が配線された支持体33の背面図である。
図15は、後述する支持体33の右腕部33RのE−E矢視図である。
【0088】
本実施形態に係るアンテナ装置3が備える支持体33は、y軸負方向側において、中央に欠損部33Dが形成された樹脂成型品であり、主要本体部33Mと、左腕部33Lと、右腕部33Rと、支持板33Sとにより構成されている。主要本体部33M、左腕部33L、及び右腕部33Rは、それぞれ、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備える支持体13の主要本体部13M、左腕部13L、及び右腕部13Rに対応する構成である。ただし、これら主要本体部33M、左腕部33L、及び右腕部33Rには、同軸ケーブル32の配線経路の違いに応じた変形が施されている。
【0089】
主要本体部33Mから、第3支持面と同一平面上にy軸正方向に向かって延在する板状の支持板33Sは、第1の実施形態に係るアンテナ装置1が備える支持体13にはない、本実施形態固有の構成である。そして、支持体33にフィルムアンテナ31が巻き付けられたとき、支持体33の上面(第3支持面I3及び支持板33S)に沿うようにフィルムアンテナ31の第2のアンテナ導体313が配置され、欠損部33D内にフィルムアンテナ31の給電部が配置される。
【0090】
なお、フィルムアンテナ31は、両面テープ34〜36によって支持体33に貼り付けられる。
図14では、各両面テープ34〜36の外形を点線で示している。そして、
図14の(a)に示すように、欠損部33D内に配置された同軸ケーブル32の先端部の近傍では、フィルムアンテナ31の給電部との導通接続を阻害しないように、両面テープ35に開口351が形成されている。
【0091】
さらに本実施形態では、支持体33の右腕部33Rの下面に、同軸ケーブル32を屈曲させた状態で保持する凹溝33R1が形成されている。凹溝33R1は、欠損部33Dからx軸正方向に向かって延びる同軸ケーブル32を保持するとともに、屈曲させてy軸正方向に向かって延びるように保持する。すなわち、この凹溝33R1は、同軸ケーブル32の先端部を欠損部33D内に引き込むための通路として機能すると共に、同軸ケーブル32を保持する第1保持部として機能する。
【0092】
支持体23の上面(第3支持面I3)を下方に向けた状態に支持体23を配置したとき、
図15に示すように、右腕部33Rにおいて凹溝33R1の底面に位置することとなる部分は、外側(x軸正方向側)の高さが内側(x軸負方向側)の高さよりも高くなるように傾斜する傾斜部33R3を構成している。この傾斜部33R3、同軸ケーブル32の先端部をフィルムアンテナ31に対して斜めに配置する機能を担う。このため、同軸ケーブル32の内側導体及び外側導体を、フィルムアンテナ31の2つの給電点に接続することができる。
【0093】
また、凹溝33R1内には、主要本体部33Mに向かうまでの間に、フィルムアンテナ31と同軸ケーブル32との接続部の高さよりも高い障壁33R2が設けられている。このため、アンテナ装置3を第2の実施形態に係るアンテナ装置2と同様の方法で製造する際に、フィルムアンテナ31と同軸ケーブル32との接続部を埋設するために欠損部33Dに注入された樹脂は、この障壁33R2により堰き止められ、主要本体部33M内に流入することはない。
【0094】
さらに、主要本体部33Mの下面には、
図14の(b)に示すように、x軸方向に沿って貫通する凹溝33Bが形成されている。凹溝33Bは、x軸方向に沿って延びる一対の溝壁33B1,33B2と、一対の溝壁33B1,33B2の間に形成されたy軸方向に沿って延びる複数の立壁部33B5〜33B7とを備えている。また、溝壁33B1には、第1保持部から延びる同軸ケーブル32を凹溝33B内に引き込むための切欠き33B3が形成され、溝壁33B2には、凹溝33B内に配線された同軸ケーブル32をy軸正方向に向けて引き出すための切欠き33B4が形成されている。また3つの立壁部33B5〜33B7には同軸ケーブル12を圧入可能なスリット33B8〜33B10が形成されている。このため、これら3つの立壁部33B5〜33B7を備える凹溝33B内に同軸ケーブル32を配線することで、同軸ケーブル32を強固に保持できる。すなわち、凹溝33Bは同軸ケーブル32を保持する第2保持部として機能する。なお、溝壁33B2に切り欠き33B4を形成し、これを同軸ケーブル32を凹溝33B外に引き出すための通路として利用する代わりに、溝壁33B2の中央に貫通孔を形成し、これを同軸ケーブル32を凹溝33B外に引き出すための通路として利用してもよい。
【0095】
さらに、溝壁33B2の切欠き33B4の近傍には、突出部33B12とL字型フック33B13とが形成されている。切り欠き33B4を通って凹溝33B外に引き出された同軸ケーブル32は、突起部33B12とL字型フック33B13との間に嵌め込まれてz軸方向の動きが規制された状態で、y軸正方向に向けて引き出される。すなわち、突出部33B12及びL字型フック33B13は、同軸ケーブル32を保持する第3保持部として機能する。
【0096】
なお主要本体部33Mには、左右側面からy軸正方向に向かって延びる弾性片33P1,33P2が形成され、その先端に突起33Q1,33Q2が形成されている。また、支持板33Sの先端領域には、左右幅方向に突出した拡張部33S1,33S2が形成されている。これら各弾性片33P1,33P2の先端の各突起33Q1,33Q2と、支持板33Sの先端領域の各拡張部33S1,S33は、後述するように、アンテナ装置3を設置対象物(例えば、自動車のスポイラー)に固定するために利用される。
【0097】
(変形例)
本実施形態に係るアンテナ装置3の変形例について、
図16及び
図17を参照して説明する。
【0098】
図16は、アンテナ装置3の第1の変形例を示す図である。
図16の(a)は、本変形例に係るアンテナ装置3が備える支持体33の平面図であり、
図16の(b)は、同支持体33の底面図であり、
図16の(c)は、同支持体33の背面図である。
【0099】
本変形例に係るアンテナ装置3が先に説明したアンテナ装置3と相違する点は、支持体33に右腕部33Rと左腕部33Lとを繋ぐ梁33F1がy軸負方向側の端部に付加されている点である。これにより、支持体33にフィルムアンテナ31を巻き付ける巻付工程を実施した後に、支持体33に巻き付けられたフィルムアンテナ31の形状をより安定的に保持することができる。
【0100】
図17は、アンテナ装置3の第2の変形例を示す図である。
図17の(a)は、本変形例に係るアンテナ装置3が備える支持体33の平面図であり、
図17の(b)は、同支持体33の底面図であり、
図17の(c)は、同支持体33の背面図である。
【0101】
本変形例に係るアンテナ装置3が先に説明したアンテナ装置3と相違する点は、右腕部33Rの下面側に形成された凹溝33R1を介して同軸ケーブル32を欠損部33Dから引き出す構成の代わりに、右腕部33Rの上面側に形成された凹溝33R4を介して同軸ケーブル32を欠損部33Dから引き出す構成を採用している点である。右腕部33Rの後端には、右腕部33Rを上下に貫く貫通孔33R5が形成されており、凹溝33R4を通った同軸ケーブル32は、この貫通孔33R5を通って右腕部33Rの下面側に引き出される。この凹溝33R4は、同軸ケーブル32の先端部を欠損部33Dから引き出すための通路として機能すると共に、同軸ケーブル32を保持する第1保持部として機能する。これにより、右腕部33Rの上面側の凹溝33R4と主要本体部33Mの下面側の凹溝33Bとにそれぞれ配線された同軸ケーブル32は、支持体33に三次元的に配線されて保持されることになるので、同軸ケーブル32の引っ張りに対する耐性が更に向上する。
【0102】
〔第3の実施形態に係るアンテナ装置のスポイラーへの収納方法〕
第3の実施形態に係るアンテナ装置3のスポイラー6への収納方法について、
図18を参照して説明する。
【0103】
アンテナ装置3が内蔵されるスポイラー6は、
図18に示すように、アンテナ装置3を筐体部61内に収納するための開口61aが筐体部側面(前方側面)に形成されている。なお、
図18では、アンテナ装置のスポイラーへの収納方法を分かり易く図示するために、アンテナ装置3及びスポイラー6の形状を模式化している。
【0104】
本実施形態のスポイラー6は、
図18の(a)に示すように、スポイラー6が車体のルーフの後端に搭載されたとき、ルーフの後端から後方に迫り出た部分に配置される筐体部61と、ルーフに沿って配置される天板62とを備えている。筐体部61内には、アンテナ装置3の支持体33が収容されるスペースが設けられ、筐体部側面(前方側面)には、アンテナ装置3の支持体33を筐体部内に挿入するための開口61aが形成されている。また、天板62には、アンテナ装置3の支持板33Sを保持するためのL型突起621,622が形成されている。
【0105】
本実施形態では、
図18の(b)に示すように、アンテナ装置3の支持板33Sの先端領域において左右幅方向に突出した拡張部33S1,33S2を、スポイラー6の天板62のL型突起621,622に支持させるようにアンテナ装置3を天板62に沿わせた後、アンテナ装置3の支持体33を、スポイラー6の筐体部61の開口61aから内部に挿入させるようにアンテナ装置3を天板62に沿ってスライド移動させる。このとき、アンテナ装置3の支持体33から延びる弾性片33P1,33P2を内側に撓ませて、弾性片33P1,33P2の先端の突起33Q1,33Q2を筐体部61内へ通過させ、開口61aの周囲の壁に突起33Q1,33Q2を係止させる。これにより、アンテナ装置3の支持体33が筐体部61の内部に固定され、アンテナ装置3がスポイラー6から意図せず脱落するのを防止できる。
【0106】
なお、弾性片33P1,33P2を内側に撓ませて、開口61aの周囲の壁と突起33Q1,33Q2との係止を解除すれば、筐体部61の内部から支持体33を取り出すことができ、スポイラー6からアンテナ装置3を取り外すことができる。
【0107】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。