(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1−3は、地盤の原位置において主に液状化判定のための試料採取の方法について開示しているものであって、正確に地下水位が測定できる方法に関する開示はされていない。
【0007】
また、特許文献2,3に開示された蓋は、蓋用に配置されたロッドを使って開閉されるため、土圧などの抵抗に対して変形させることなく操作可能にするには、径が太くなるなど大掛かりになるうえに、製作コストが高くなる。また、構造が複雑になることにより、損傷しやすくなる。
【0008】
そこで、本発明は、精度よく地下水位を測定できるうえに、簡単な構成で確実に所望する位置の土試料を採取することが可能な原位置試験装置、並びに地下水位の測定方法及び土試料の採取方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の原位置試験装置は、地下水位の測定及び土試料の採取を行うための原位置試験装置であって、周方向及び軸方向に間隔を置いて通水穴が穿孔された第1管体と、前記第1管体の外周側に配置されて、前記通水穴に重ねることが可能となる位置に複数の側面開口が設けられた第2管体とを備え、前記第2管体の先端には先端口が設けられており、前記第1管体の先端には前記先端口の開閉が自在となるように前記先端口から下方に向けて突出させる先端ヘッド部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、別の原位置試験装置の発明は、地下水位の測定及び土試料の採取を行うための原位置試験装置であって、周方向及び軸方向に間隔を置いて通水穴が穿孔された第1管体と、前記第1管体の外周側に配置されて、前記通水穴に重ねることが可能となる位置に複数の側面開口が設けられた第2管体とを備え、前記第2管体の先端には先端口が設けられているとともに、前記先端口より下方には筒状の延長部が延伸されており、前記先端口の開閉が可能となるように前記第2管体の内空側に設けられたバタフライ状の蓋部と、前記蓋部を開いた状態で保持させるスリットを有するとともに前記先端口から前記延長部内に向けて一部を突出させる前記第1管体の先端ヘッド部とを有することを特徴とする。
【0011】
ここで、上記いずれかに記載の原位置試験装置は、前記第2管体の外周側に配置される先端が開放された第3管体を備えた構成とすることができる。
【0012】
一方、地下水位の測定方法の発明は、上記いずれかに記載の原位置試験装置を使用した地下水位の測定方法であって、前記第2管体の内空に前記第1管体を挿入する工程と、前記通水穴と前記側面開口とが重ならないように前記第1管体及び第2管体の相対角度の位置合せを行い、地中に貫入させる工程と、所望する深度まで貫入させた時点で、前記通水穴と前記側面開口とを一致させるために前記第1管体又は第2管体を回転させる工程と、前記第1管体内の水位が安定した状態で水位計を挿入して地下水位を測定する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、土試料の採取方法の発明は、上記いずれかに記載の原位置試験装置を使用した土試料の採取方法であって、前記第2管体の内空に前記第1管体を挿入するとともに、前記先端ヘッド部によって前記先端口を閉じた状態にして地中に貫入させる工程と、前記先端ヘッド部を引き上げて前記先端口を開いた状態にして土試料を取り込む工程と、前記第1管体及び第2管体を引き上げる工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明の原位置試験装置は、周方向及び軸方向に間隔を置いて通水穴が穿孔された第1管体と、その外周側に配置されて通水穴に重ねることが可能となる位置に複数の側面開口が設けられた第2管体とを備えている。
【0015】
このため、第1管体と第2管体の相対角度を変更して通水穴と側面開口との位置を合わせることで、原位置地盤の地下水位の高さを精度よく測定することができる。
【0016】
また、第2管体の先端に設けられた先端口の開閉を第1管体の先端ヘッド部の昇降で行わせる構成であれば、管体を利用した簡単な構成となるうえに、第1管体又は第2管体を操作することで確実に所望する位置の土試料を採取することができる。
【0017】
さらに、先端口の開閉が可能となるように第2管体の内空側にバタフライ状の蓋部を設け、その開閉可能な先端口より下方に筒状の延長部が延伸されていれば、採取する土試料が砂質土であっても粘性土であっても採取することができる。
【0018】
そして、第2管体の外周側に先端が開放された第3管体を配置することで、孔壁が崩壊しやすい砂質土地盤においても、正確な地下水位の測定と、土試料の採取を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1−
図4は、本実施の形態の原位置試験装置4の構成を説明するための図である。本実施の形態の原位置試験装置4は、戸建て住宅などの小規模建築物や建物や構造物を構築する現場の原位置において使用される。
【0021】
原位置試験装置4は、
図1,2に示したように、三重管構造となる。ここで、最も径が細く内側に配置される第1管体を内管1とし、その外周側に配置される第2管体を中管2とし、最も径が太く外側に配置される第3管体を外管3とする。
【0022】
内管1、中管2及び外管3は、例えば直径の異なる鋼管によって形成される。また、内管1、中管2及び外管3の長さは、後述するように等しくはならないが、ほぼ同じ長さになる。
【0023】
内管1には、周方向及び軸方向に間隔を置いて通水穴11,・・・が穿孔される。通水穴11は、例えば円形に形成される。内管1の軸方向の同じ位置に設けられる一対の通水穴11,11は、例えば周方向に180度離れた対向する位置に設けられる。
【0024】
また、内管1の軸方向にも、一定の間隔を置いてそれぞれ対となる通水穴11,・・・が設けられる。なお、これらの通水穴11,・・・の周方向及び軸方向の位置や数は例示であり、これに限定されるものではない。
【0025】
一方、中管2にも、周方向及び軸方向に間隔を置いて側面開口21,・・・が設けられる。側面開口21は、例えば長円形又は楕円形状に形成される。中管2の軸方向の同じ位置に設けられる一対の側面開口21,21は、内管1と中管2の相対角度の所定の位置で、通水穴11,11とそれぞれ同時に一致する位置に設けられる。
【0026】
すなわち
図1の右下図(縦断面図)に示したように、ある側面で側面開口21の略中央に通水穴11が露出する状態では、
図1の右上図(横断面図)に示すように、背面側においても側面開口21と通水穴11の位置は一致している。これによって、中管2の外側に存在する水(地下水)は、側面開口21と通水穴11を通って内管1の内空に流れ込むことができる。
【0027】
また、中管2の軸方向にも、一定の間隔を置いてそれぞれ通水穴11,・・・に重ねることが可能となる位置に、側面開口21,・・・が設けられる。なお、側面開口21,・・・の周方向及び軸方向の位置や数も例示であり、これに限定されるものではない。
【0028】
これらに対して外管3は、周面に穴や開口が設けられていない外殻となる筒状部材である。また、外管3の先端(最下端)は、先端開口31として開放されている。一方、
図6に拡大して示したように、中管2の先端(最下端)も開口された先端口24となる。
【0029】
この先端口24は、先端ヘッド部13によって開閉させることができる。この先端ヘッド部13は、中管2の先端口24から下方に向けて鋭角状に突出される。
【0030】
また、先端ヘッド部13の鋭角状の先端部分の上縁には環状の顎部132が設けられ、この顎部132は先端口24周縁に張り出された環状の突縁部23に載せられる。すなわち内管1を降ろすと、顎部132の下面が中管2の突縁部23の上面に接触して、先端ヘッド部13の先端のみが先端口24から下方に向けて突出した状態になる。
【0031】
先端口24及び突縁部23は、中管2本体からは切り離し可能な下端部200に設けられる。この下端部200は、以下で説明する下端部200Aと切り替えることができる。下端部200Aに切り替える際には、内管1の先端ヘッド部13も先端ヘッド部12に切り替えることになる。これらの切り替えは、ネジ接続にしておくことで簡単に行える。
【0032】
図7に示すように、下端部200Aにも、軸心側に張り出された環状の突縁部23が設けられる。そして、突縁部23の内空が、先端口24となる。さらに先端口24には、開閉自在の蓋部22が設けられる。
【0033】
蓋部22は、半円形の2つの半円板221,221を直径位置でヒンジ222によって接続させた構成とすることができる。すなわち閉じた状態の蓋部22は、ほぼ円形となり、その周縁は突縁部23の上面に支持される。
【0034】
この蓋部22は、ヒンジ222によって上方に開くバタフライ状に形成され、半円板221,221を垂直に重ねた状態にすることができる。また、ヒンジ222には、半円板221,221を水平にする方向(蓋部22を閉じた状態にする方向)の力が付与できるように、弦巻バネや板バネなどのバネ(図示省略)が備えられている。
【0035】
そして、バネの復元力に反して開いた状態の蓋部22を保持することが可能な先端ヘッド部12が、中管2の内側に収容される内管1の先端(最下端)に取り付けられる。
【0036】
先端ヘッド部12には、蓋部22を開いた状態で保持させるスリット121が設けられる。このスリット121は、半円板221,221を重ねた状態で挿入可能な幅に形成され、内管1の軸方向に半円板221の高さ以上の長さに延伸される。
【0037】
先端ヘッド部12は、中管2の先端口24から下方に向けて鋭角状に突出される。また、先端ヘッド部12の鋭角状の先端部分の上縁には環状の顎部122が設けられ、この顎部122は突縁部23に載せられる。
【0038】
すなわち開いた蓋部22をスリット121に挿し込んだ状態で内管1を降ろすと、顎部122の下面が中管2の突縁部23の上面に接触して、先端ヘッド部12の先端は先端口24から下方に向けて突出した状態になる。
【0039】
図3には、原位置試験装置4の上端の接続構造を図示した。原位置試験装置4を回転又は圧入させるためのハンドル部41には、下方に向けて突出されたジョイント部42が設けられる。
【0040】
ジョイント部42は、下方に向かうほど径が細いネジとなるような階段状に形成される。最下段の最も径が細い円筒状の第1ネジ部421と、その直上の第2ネジ部422と、最上段の最も径が太い円筒状の第3ネジ部423とによって構成される。
【0041】
第1ネジ部421は、内管1の上端10の内周面に設けられたネジ溝にねじ込まれる。また、第2ネジ部422には、中管2の上端20の内周面に設けられたネジ溝がねじ込まれる。さらに、第3ネジ部423には、外管3の上端30の内周面に設けられたネジ溝がねじ込まれる。
【0042】
このようにしてジョイント部42に対して、内管1、中管2及び外管3を接続させることで、三重管を一体に取り扱うことができる。また、外管3だけを第3ネジ部423から外して、外管3の貫入を先行させることもできる。
【0043】
ここで、内管1、中管2及び外管3は、所望する長さにするために所定の長さの単管を繋いでいくことで全長が形成される。
図4に示した外管3を例に説明すると、単管32A,32Bには、上端に雌ネジ部321が設けられ、下端に雄ネジ部322が設けられている。
【0044】
そこで、下側の単管32Bの雌ネジ部321に、上側の単管32Aの雄ネジ部322をねじ込むことで、単管32A,32B同士を接続させることができる。この接続は、単管32Bの長さ分の貫入を終える毎に繰り返される。
【0045】
次に、本実施の形態の原位置試験装置4を使用した地下水位の測定方法、及び土試料の採取方法について説明する。本実施の形態では、原位置の地盤Gが粘性土地盤の場合と砂質土地盤の場合で説明する。粘性土地盤は、細粒分含有率が50%を超えるような比較的含水率のある粘性土を想定している。また砂質土地盤は、孔壁の崩壊が起きやすい砂質土を想定している。
【0046】
まず、
図2に示すように、内管1を中管2の内空に挿入する。この図では、内管1の先端に先端ヘッド部12,13が図示されていないが、最先端に配置される内管1には、粘性土地盤で採取する場合は先端ヘッド部13が取り付けられ、砂質土地盤で採取する場合は先端ヘッド部12が取り付けられる。
【0047】
さらに、中管2の外周側には外管3が配置される。これらの内管1、中管2及び外管3の上端は、
図3に示すように、上端10,20,30がジョイント部42に接続される。
【0048】
地盤Gに貫入する際の内管1と中管2と外管3との相対的な位置関係は、
図1の左側に示した状態になる。すなわち軸方向(鉛直方向)においては、外管3の先端が最も地盤Gの深部にまで貫入され、それより上方に下端(突縁部23)が配置される中管2の先端口24からは、内管1の先端ヘッド部13(12)の鋭角部分が突出される。
【0049】
また、内管1の通水穴11,・・・の軸方向の位置が、中管2の側面開口21,・・・の軸方向の略中央の位置とそれぞれ一致するように、2本の管体は重ねられる。さらに、内管1と中管2の周方向については、側面開口21,21と通水穴11,11とが重ならない位置に相対角度が調整される。
【0050】
例えば
図1の左上図に示すように、対峙する通水穴11,11間方向と側面開口21,21間方向とが平面視で略直交する相対角度となるように、位置合わせが行われる。
【0051】
このような内管1と中管2と外管3との相対的な位置合わせは、ジョイント部42の各ネジ部(421,422,423)へのねじ込み量によって調整される。
【0052】
そして、ハンドル部41を持って、内管1、中管2及び外管3が一体となった三重管構造の原位置試験装置4を地盤Gに貫入する。ここで、事前にスウェーデン式サウンディング試験などが行われていた場合は、その試験孔に原位置試験装置4の先端を挿入する。
【0053】
原位置試験装置4は、ハンドル部41を回転させながら下方に向けて押し付けていくことによって、圧入させる。最初にジョイント部42に接続された長さ分だけ貫入を終えた時点で、所望する深度に到達していない場合は、ジョイント部42を一旦取り外し、内管1、中管2及び外管3用の単管をそれぞれ継ぎ足す。
【0054】
このように圧入と接続を繰り返して所望する深度に先端が到達した時点で、ジョイント部42を解除してハンドル部41を取り外す。続いて、内管1又は中管2を回転させて、通水穴11,11と側面開口21,21とが一致する位置になるように周方向の相対角度を90度変更して位置合せを行う(
図1右側参照)。
【0055】
この状態でしばらく静置させると、外管3の先端開口31から流入した地下水が外管3と中管2との間の隙間を上昇する。さらにこの流入した地下水は、側面開口21と通水穴11を通って内管1の内空に流れ込むことになる。
【0056】
この内管1の水位は、
図5に示すように、時間の経過によって地盤Gの地下水位Wとほぼ等しくなる。そこで、内管1の内空にケーブル52に吊り下げられた水位計としての水位センサ51を降ろして、水面の位置(高さ)を測定する。
【0057】
すなわち、ケーブル52を繰り出しながら水位センサ51を降下させると、水面に接した際には水位計測器5の表示によって確認できるので、そのときのケーブル52の挿入長さから地下水位Wの位置(高さ)を特定する。
【0058】
続いて土試料の採取を行う。
図6は、原位置試験装置4の先端付近を拡大して示した図である。この図を参照しながら、本実施の形態の粘性土地盤の土試料の採取方法について説明する。
【0059】
採取を行いたい地盤Gが粘性土であると想定された場合には、内管1の先端に先端ヘッド部13が取り付けられ、中管2の先端には下端部200が取り付けられた状態で上述した貫入作業が行われている。
【0060】
図6の左図は、貫入時又は地下水位Wの測定時の状態を示している。この初期状態では、中管2の先端口24は先端ヘッド部13によって塞がれた状態になっている。このような状態で貫入させれば、意図せぬ深度の土砂が中管2に混入するのを防ぐことができる。
【0061】
本実施の形態の原位置試験装置4は、この先端ヘッド部13と先端口24が設けられた下端部200の空洞とによって採取手段が構成されている。
図6の中央図に示すように、内管1のみを引き上げる又は内管1位置を固定して中管2を押し下げると、先端口24から中管2の内空に土砂が取り込まれる。
【0062】
このようにして先端口24と先端ヘッド部13との間の中管2(下端部200)の内部に、土試料G1が収容されることになる。土試料G1が粘性土の場合は、中管2への付着力が大きく、さらには突縁部23の引っ掛かりもあるため、中管2と内管1をそのまま引き上げても、土試料G1は先端口24から漏れ出すことなく採取される。
【0063】
続いて砂質土地盤の土試料の採取方法について説明する。採取を行いたい地盤Gが砂質土であると想定された場合には、内管1の先端に先端ヘッド部12が取り付けられ、中管2の先端には下端部200Aが取り付けられた状態で上述した貫入作業が行われている。
【0064】
図7は、原位置試験装置4の先端付近を拡大して示した図である。
図7の左図は、貫入時又は地下水位Wの測定時の状態を示している。この初期状態では、内管1の先端ヘッド部12のスリット121に開いた蓋部22が収容されて、中管2の先端口24は先端ヘッド部12によって塞がれた状態になっている。このような状態で貫入させれば、意図せぬ深度の土砂が中管2に混入するのを防ぐことができる。
【0065】
下端部200Aと先端ヘッド部12に切り替えられた原位置試験装置4は、先端ヘッド部12と蓋部22とによって採取手段が構成される。
図7の中央図に示すように、内管1のみを引き上げると、地下水で飽和した砂質土などの地盤Gであれば、先端口24から中管2の内空に土砂が流れ込む。なお、土砂が流れ込みにくい地盤Gであれば、中管2のみを押し込むことによっても、土砂を取り込むことができる。
【0066】
この土砂の流入は、半円板221,221が先端ヘッド部12に支えられて蓋部22が開いている間は続くことになる。そして、
図7の右図に示すように、先端ヘッド部12のスリット121から蓋部22が抜け出すと、半円板221,221がヒンジ222に設けられたバネの復元力によって倒れ、先端口24が蓋部22によって塞がれる。
【0067】
このようにして蓋部22と先端ヘッド部12との間の中管2の内部に、砂質土の土試料G2が収容されることになる。この状態で中管2と内管1を引き上げると、土試料G2は先端口24から漏れ出すことなく採取される。
【0068】
次に、本実施の形態の原位置試験装置4、並びにそれを使用した地下水位の測定方法及び土試料の採取方法の作用について説明する。
【0069】
このように構成された本実施の形態の原位置試験装置4は、周方向及び軸方向に間隔を置いて通水穴11,・・・が穿孔された内管1と、その外周側に配置されて通水穴11,・・・に重ねることが可能となる位置に複数の側面開口21,・・・が設けられた中管2とを備えている。
【0070】
このため、内管1と中管2のいずれかを回転させることによって相対角度を変更して通水穴11,・・・と側面開口21,・・・との位置を合わせることで、原位置における地盤Gの地下水位Wの高さを精度よく測定することができる。
【0071】
また、採取手段が内管1の先端ヘッド部13,12と下端部200,200Aとによって構成され、先端口24の開閉が自在に行えるようになっていれば、管体を利用した簡単な構成となるうえに、内管1又は中管2を操作することで粘性土や砂質土など所望する位置の土試料G1,G2を確実に採取することができる。
【0072】
すなわち粘性土であれば付着力が高いため、下端部200に空洞を設けるだけで容易に採取することができる。一方、砂質土の場合は、採取手段として先端口24の開閉が可能となるように下端部200Aの内空側にバタフライ状の蓋部22を設け、その蓋部22を開いた状態で保持させるスリット121を有する先端ヘッド部12を内管1に設けることによって、内管1の引き上げだけで半円板221,221の拘束が解除されて蓋部22を閉じさせることができる。
【0073】
そして、中管2の外周側に先端開口31を有する外管3を配置することで、非常に孔壁が崩壊しやすい砂質土地盤においても、正確な地下水位Wの測定と、土試料G2の採取を行うことができるようになる。
【実施例】
【0074】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の実施例について、
図8,9を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
【0075】
本実施例では、前記実施の形態とは採取手段が異なる原位置試験装置4Aについて説明する。この原位置試験装置4Aの採取手段は、
図8,9に示すように、前記実施の形態で説明した先端ヘッド部12と、蓋部22によって開閉可能な先端口24Aと、先端口24Aより下方に筒状に延伸された延長部25とよって主に構成される。
【0076】
原位置試験装置4Aの第2管体となる中管2Aの下部には、最下端の開放口27より上方の内壁面から軸心側に張り出された環状の突縁部23Aが設けられる。この突縁部23Aに囲まれた中管2Aの狭隘部が先端口24Aとなる。
【0077】
そして、その先端口24Aに対して、前記実施の形態で説明した内管1の先端に取り付けられる先端ヘッド部12が嵌め込まれる。先端ヘッド部12の下端を突出させる延長部25には、開放口27周縁に張り出された環状の下突縁部26が設けられる。
【0078】
この原位置試験装置4Aは、
図8に示すように、先端口24Aが先端ヘッド部12で塞がれた状態で地盤Gに貫入される。このような状態で貫入させれば、延長部25より上方の空間に意図せぬ深度の土砂が混入するのを防ぐことができる。そして、この閉塞状態で前記実施の形態で説明したのと同様の手法で地下水位Wの測定を行う。
【0079】
続いて土試料の採取を行う際には、
図9に示すように内管1を引き上げて、蓋部22が開いている状態のときに土砂を流入させ、先端ヘッド部12を完全に引き上げることで半円板221,221を倒して先端口24Aを蓋部22によって塞がせる。
【0080】
採取を行う地盤Gが砂質土地盤の場合、蓋部22と先端ヘッド部12との間の中管2の内部に、砂質土の土試料G4が収容されることになる。一方、採取を行う地盤Gが粘性土地盤の場合は、内管1を引き上げても付着力によって蓋部22が閉じなくなる場合もあるが、
図8に示すように延長部25に収容された土試料G3は、粘性土の付着力や下突縁部26の引っ掛かりなどによって開放口27から漏れ出すことなく採取される。
【0081】
このように構成された本実施例の原位置試験装置4Aは、先端口24Aの開閉が可能となるように中管2Aの内空側にバタフライ状の蓋部22を設け、その開閉可能な先端口24Aより下方に筒状の延長部25が延伸されている。このため、採取する土試料G3,G4が粘性土又は砂質土のいずれであっても、一度の貫入作業で採取を行うことができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0082】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0083】
例えば、前記実施の形態及び実施例では、三重管として構成される原位置試験装置4,4Aについて説明したが、これに限定されるものではなく、外管3を省略した二重管の構成とすることもできる。要するに粘性土地盤などにおいて孔壁が自立可能な場合は、孔壁保護のために貫入される第3管体を省くことができる。
【0084】
また、前記実施の形態及び実施例では、三重管に組み立てた後に原位置試験装置4,4Aを地盤Gに貫入させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば外管3を先行して貫入させ、外管3で保護された孔に中管2と内管1を挿入させることもできる。