特許第6805042号(P6805042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805042
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】浄水器用カートリッジ及び軟化用浄水器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20201214BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20201214BHJP
   B01J 39/05 20170101ALI20201214BHJP
   B01J 39/20 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C02F1/42 A
   C02F1/28 D
   C02F1/28 R
   B01J20/28 Z
   B01J39/05
   B01J39/20
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-62335(P2017-62335)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-164867(P2018-164867A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】新明 康孝
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−193185(JP,A)
【文献】 特開2012−157790(JP,A)
【文献】 特開2016−022443(JP,A)
【文献】 特開2015−188829(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0146086(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/42
B01J 20/28
B01J 39/00−49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水の供給口及び軟化水の排出口が形成されているカートリッジ容器と、
該カートリッジ容器内の軟化処理材の充填領域に充填されている軟化処理材とを有し、
該軟化処理材が、真密度が1.20〜1.40g/mLであり、均一係数が1.00〜1.20であり、且つ、調和平均径が500〜700μmである塩形の強酸性カチオン交換樹脂と、体積基準の粒度分布において、0.180〜2.36mmの範囲に90%以上が存在し、真密度が1.8〜2.3g/mLであり、且つ、均一係数が1.2〜1.8である粒状活性炭と、の混合物からなること、
を特徴とする浄水器用カートリッジ。
【請求項2】
前記粒状活性炭に対する前記塩形の強酸性カチオン交換樹脂の混合比(塩形の強酸性カチオン交換樹脂/粒状活性炭)が、体積基準で、1〜20であることを特徴とする請求項1記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の浄水器用カートリッジと、
該浄水器用カートリッジを収納する筐体と、
を有することを特徴とする軟化用浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を浄化する共に軟化する軟化用浄水器及びそれに用いられる浄水器用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
軟水の効能として、(a)お茶やコーヒーの味をまろやかにする、(b)調理器具等のスケール発生を防止する、(c)石鹸の泡立ちが良くなる、(d)グラス等容器へのウォーターマーク発生を抑制する等がある。このため、従来から、軟化機能を有する浄水器が広く利用されている。
【0003】
水の軟化方法としては、(1)カチオン交換樹脂を用いる方法、(2)NF(Nanofiltration;ナノろ過)又はRO(Reverse Osmosis;逆浸透)膜を用いる方法、(3)アルカリ剤を添加することにより沈澱したものを除去する方法などがある。これらの中で、エネルギー効率や装置の維持管理面から、上記(1)のカチオン交換樹脂を用いる方法が優れている。
【0004】
軟化用浄水器として、カチオン交換樹脂を用いる方法を選択した場合、硬度除去性能が重要視されることはもちろんのこと、カチオン交換樹脂自体からの不純物の溶出により、処理水品質を損なわないことも重要である。
【0005】
カチオン交換樹脂自体からの溶出物対策としては、例えば、特開平7−204631号公報(特許文献1)に、カチオン交換樹脂と活性炭を混合した浄水器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−204631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、引用文献1の浄水器であってもなお、カチオン交換樹脂からの溶出物の溶出が起こることがあるとの問題、特に一定時間静置後、通水再開初期の軟化水への溶出物の溶出量が多いとの問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、カチオン交換樹脂からの溶出物の溶出を低減することができる浄水器用カートリッジ及びそれが用いられている軟化用浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、(1)塩形の強酸性カチオン交換樹脂と粒状活性炭を混合すれば、強酸性カチオン交換樹脂の溶出物の浄水器出口からの溶出を抑制することは可能だが、その混合状態によって、溶出量が異なること、(2)特に、一定時間静置(浸漬)後、通水再開初期の溶出物の溶出量を抑えるには、混合層最下部の混合状態が、均一又は活性炭リッチであることが重要であり、混合層最下部の混合状態が、強酸性カチオン交換樹脂リッチの場合、粒状活性炭での溶出物の除去が不十分となること、(3)塩形の強酸性カチオン交換樹脂の均一係数及び調和平均径等の塩形の強酸性カチオン交換樹脂の物性を特定の範囲に規定することにより、混合層最下部の混合状態を均一又は活性炭リッチにできるため、一定時間静置(浸漬)後、通水再開初期の溶出物の溶出量を低減できることを、見出した。更に、本発明者らは、粒状活性炭の粒度分布、真密度、均一度等の物性を特定の範囲に規定することにより、上記効果が高まることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明(1)は、水道水の供給口及び軟化水の排出口が形成されているカートリッジ容器と、
該カートリッジ容器内の軟化処理材の充填領域に充填されている軟化処理材と、
を有し、
該軟化処理材が、均一係数が1.00〜1.20であり、且つ、調和平均径が500〜700μmである塩形の強酸性カチオン交換樹脂と、粒状活性炭と、の混合物からなること、
を特徴とする浄水器用カートリッジを提供するものである。
【0011】
また、本発明(2)は、前記粒状活性炭は、体積基準の粒度分布において、0.180〜2.36mmの範囲に90%以上が存在し、真密度が1.8〜2.3g/mLであり、且つ、均一係数が1.2〜1.8である活性炭であることを特徴とする(1)の浄水器用カートリッジを提供するものである。
【0012】
また、本発明(3)は、前記塩形の強酸性カチオン交換樹脂の真密度が、1.20〜1.40g/mLであることを特徴とする(1)又は(2)いずれかの浄水器用カートリッジを提供するものである。
【0013】
また、本発明(4)は、前記粒状活性炭に対する前記塩形の強酸性カチオン交換樹脂の混合比(塩形の強酸性カチオン交換樹脂/粒状活性炭)が、体積基準で、1〜20であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかの浄水器用カートリッジを提供するものである。
【0014】
また、本発明(5)は、(1)〜(4)いずれかの浄水器用カートリッジと、
該浄水器用カートリッジを収納する筐体と、
を有することを特徴とする軟化用浄水器を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カチオン交換樹脂からの溶出物の溶出を低減することができる浄水器用カートリッジ及びそれが用いられている軟化用浄水器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の浄水器用カートリッジは、水道水の供給口及び軟化水の排出口が形成されているカートリッジ容器と、
該カートリッジ容器内の軟化処理材の充填領域に充填されている軟化処理材と、
を有し、
該軟化処理材が、均一係数が1.00〜1.20であり、且つ、調和平均径が500〜700μmである塩形の強酸性カチオン交換樹脂と、粒状活性炭と、の混合物からなること、
を特徴とする浄水器用カートリッジである。
【0017】
本発明の浄水器用カートリッジは、水道水の供給口及び軟化水の排出口が形成されているカートリッジ容器と、カートリッジ容器内の軟化処理材の充填領域に充填されて軟化処理材と、を有する。そして、本発明の浄水器用カートリッジは、水道水の供給口と、軟化用浄水器の筐体内に形成されている水道水の供給経路とが繋がり、且つ、軟化水の排出口と、軟化用浄水器の筐体内に形成されている軟化水の排出経路とが繋がるように、軟化用浄水器の筐体内に設置される。
【0018】
本発明の浄水器用カートリッジに係る軟化処理材は、塩形の強酸性カチオン交換樹脂と、粒状活性炭と、の混合物により構成されている。軟化処理材は、本発明の浄水器用カートリッジのカートリッジ容器内の軟化処理材の充填領域に充填されて、軟化処理材層を形成している。
【0019】
本発明の浄水器用カートリッジに係る塩形の強酸性カチオン交換樹脂は、均一係数が1.00〜1.20であり、且つ、調和平均径が500〜700μmである塩形の強酸性カチオン交換樹脂である。
【0020】
塩形の強酸性カチオン交換樹脂の基体は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体である。塩形の強酸性カチオン交換樹脂の基体を形成する樹脂材は、一定時間水中で静置されると、例えば、夜間に軟化浄水器が使用されないために、夜間軟化処理材の充填領域に満たされた水道水中に浸漬されると、溶出物を溶出する。
【0021】
塩形の強酸性カチオン交換樹脂のカチオン交換基は、スルホン酸基である。また、塩形の強酸性カチオン樹脂の塩形は、Na形、K形、又はLi形であり、Na形、K形が好ましい。
【0022】
塩形の強酸性カチオン交換樹脂としては、例えば、ダウケミカル製のアンバージェット1220Na、住化ケムテックス製のイマックHP1220Naが挙げられる。また、塩形の強酸性カチオン交換樹脂としては、強酸性カチオン交換樹脂であるダウエックス製のアンバージェット1020H等を、Na形、K形、Li形に変換したものでもよい。
【0023】
塩形の強酸性カチオン交換樹脂の均一係数は、1.00〜1.20、好ましくは1.00〜1.15、特に好ましくは1.00〜1.10である。塩形の強酸性カチオン交換樹脂の均一係数が、上記範囲であることにより、溶出物の溶出量を少なくすることができる。なお、均一係数の測定方法であるが、先ず、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置による粒度分布測定により、粒子の大きさを測定して、分布を作図し、得られる分布図より、ふるい残留百分率累計値(体積基準)が90%及び40%に対応するふるいの目開き(mm)を算出する。次いで、40%に対応する目開き(mm)に対する90%に対応する目開き(mm)の比を計算して、得られる値を均一係数とする。均一係数が小さいほど、粒子が均一であることを示す。
【0024】
塩形の強酸性カチオン交換樹脂の調和平均径は、500〜700μm、好ましくは550〜700μm、特に好ましくは550〜650μmである。塩形の強酸性カチオン交換樹脂の調和平均径が、上記範囲であることにより、溶出物の溶出量を少なくすることができる。
【0025】
塩形の強酸性カチオン交換樹脂の真密度は、好ましくは1.20〜1.40g/mL、特に好ましくは1.25〜1.35g/mLである。塩形の強酸性カチオン交換樹脂の真密度が、上記範囲にあることにより、溶出物の溶出量を少なくすることができる。塩形の強酸性カチオン交換樹脂の真密度が、上記範囲外だと、塩形の強酸性カチオン交換樹脂と粒状活性炭の混合性が悪くなる。特に、塩形の強酸性カチオン交換樹脂の真密度が、上記範囲を超えると、最下層に存在する塩形の強酸性カチオン交換樹脂の混合比率が大きくなり過ぎるので、溶出物の溶出量を少なくすることができない。
【0026】
本発明の浄水器用カートリッジに係る粒状活性炭は、球形又は不定形の粒状の活性炭である。粒状活性炭としては、木粉系、ヤシガラ系、フェノール樹脂系、石油コークス系、石炭コークス系、ピッチ系等の原料が賦活された材料が挙げられる。粒状活性炭としては、例えば、フタムラ社製の太閤活性炭CW480PGR、CN480Gや、クラレ製のクラレコールGW−B等が挙げられる。
【0027】
粒状活性炭は、体積基準の粒度分布において、0.180〜2.36mmの範囲に90%以上存在しているものが好ましく、0.180〜2.36mmの範囲に95%以上存在しているものが特に好ましい。粒状活性炭の粒度分布が上記範囲にあることにより、溶出物の溶出量を少なくすることができる。粒状活性炭の粒度分布が、上記範囲外だと、塩形の強酸性カチオン交換樹脂と粒状活性炭の混合性が悪くなる。特に、粒状活性炭の粒度分布が、上記範囲未満だと、最下層に存在する塩形の強酸性カチオン交換樹脂の混合比率が大きくなり過ぎるので、溶出物の溶出量を少なくすることができない。
【0028】
粒状活性炭の真密度は、好ましくは1.8〜2.3g/mL、特に好ましくは1.9〜2.3g/mLである。活性炭の真密度が、上記範囲にあることにより、溶出物の溶出量を少なくする効果が高まる。
【0029】
粒状活性炭の比表面積は、好ましくは600〜1800m/g、特に好ましくは800〜1800m/gである。また、粒状活性炭の全細孔容積は、好ましくは0.4〜1.4mL/g、特に好ましくは0.6〜1.4mL/gである。
【0030】
軟化処理材中、粒状活性炭に対する塩形の強酸性カチオン交換樹脂の混合比(塩形の強酸性カチオン交換樹脂/粒状活性炭)は、体積基準で、1〜20であることが好ましく、5〜10であることが特に好ましい。軟化処理材中、粒状活性炭に対する塩形の強酸性カチオン交換樹脂の混合比(塩形の強酸性カチオン交換樹脂/粒状活性炭)が、上記範囲にあることにより、溶出物の溶出量を少なくする効果が高くなる。
【0031】
本発明の浄水器用カートリッジは、水道水の供給口と、本発明の軟化用浄水器の筐体内に形成されている水道水の供給経路とが繋がり、且つ、軟化水の排出口と、本発明の軟化用浄水器の筐体内に形成されている軟化水の排出経路とが繋がるように、本発明の軟化用浄水器の筐体内に設置される。
【0032】
そして、水道水が、本発明の軟化浄水器内に供給され、本発明の軟化用浄水器の筐体内の水道水の供給経路を経て、軟化処理材の充填領域内に供給されて、軟化処理材層に通液される。水道水が、軟化処理材層に通過するときに、軟化処理材により、水道水中の硬度成分であるCaイオンが、軟化処理材の塩形の強酸性カチオン交換樹脂のNaイオン、Kイオン又はLiイオンに交換されて、水道水が軟化されると共に、軟化処理材中の粒状活性炭により、水道水中の塩素分、有機物等が除去されて、水道水が浄化される。軟化及び浄化された処理水は、本発明の軟化浄水器の筐体内の軟化水の排出経路を経て、本発明の軟化用浄水器の外に排出され、軟化水として使用される。
【0033】
カチオン交換樹脂と水道水が接触したときに、カチオン交換樹脂から水道水への溶出物の溶出が起こる。そして、カチオン交換樹脂と水道水との接触時間が短ければ、水道水中の溶出物の濃度は非常に低いので、問題とならない。一方、カチオン交換樹脂と水道水との接触時間が長くなると、水道水中の溶出物の濃度が高くなってしまう。
【0034】
ここで、カチオン交換樹脂が充填されている軟化用浄水器が、一定時間使用されないまま静置されると、例えば、夜間に使用されないままであると、浄水器用カートリッジの軟化処理材の充填領域内で、充填領域内に滞留している水道水に、軟化処理材が一定時間浸漬された状態が続く。つまり、軟化浄水器が、一定時間使用されないまま静置されているときは、水道水とカチオン交換樹脂とが長時間接触している。そのため、水道水の通水を再開した直後の軟化水中の溶出物の濃度が高くなってしまう。
【0035】
それに対して、本発明の軟化用浄水器が、一定時間使用されないまま静置されると、例えば、夜間に使用されないままであると、本発明の浄水器用カートリッジの軟化処理材の充填領域内で、充填領域内に滞留している水道水に、軟化処理材が一定時間浸漬された状態が続き、水道水とカチオン交換樹脂とが長時間接触したとしても、本発明の浄水器用カートリッジでは、本発明に規定の物性値を有する塩形の強酸性カチオン交換樹脂と粒状活性炭とが混合されている軟化処理材を用いることにより、あるいは、本発明に規定の物性値を有する塩形の強酸性カチオン交換樹脂と本発明に規定の物性値を有する粒状活性炭とが混合されている軟化処理材が用いることにより、上記のような、一定時間使用されないまま静置された後の通液再開直後の軟化水中の溶出物の濃度を低くすることができる。
【0036】
本発明の軟化用浄水器は、本発明の浄水器用カートリッジと、本発明の浄水器用カートリッジを収納する筐体と、を有することを特徴とする軟化用浄水器である。
【0037】
本発明の軟化用浄水器により処理される被処理水は、水道水である。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0039】
(実施例1)
内径4.6cm、高さ100cmのアクリルカラム内に、均一係数1.13、調和平均径610μm、真密度1.27g/mLのNa形強酸性カチオン交換樹脂(アンバージェット 1220Na、ダウケミカル社製)を900mLと、体積基準の粒度分布で、0.180〜2.36mmの範囲に99%存在し、真密度1.9g/mL、均一係数1.5、比表面積1400m/g、全細孔容積0.6mL/gの粒状活性炭(太閤活性炭CW480PGR、フタムラ化学社製)を100mLとを混合したものを充填し、カートリッジを作製した。
次いで、そのカートリッジ内に、水温23℃の水道水をSV60BV/hrで15分間通水を行った。その後、カーリッジ内に水道水が溜まった状態で、23℃の調節した室内にて、24時間放置した。
24時間放置後、再び、水温23℃の水道水をSV60BV/hrで1分間通水し、その間の処理水を採取した。次いで、処理水のTOC(全有機炭素)濃度を分析した。その結果を表1に示す。
【0040】
<強酸性カチオン交換樹脂の均一係数の測定方法、強酸性カチオン交換樹脂の調和平均径の測定方法、粒状活性炭の粒度分布の測定方法、粒状活性炭の均一係数の測定方法>
ベックマンコールター社製のレーザー回折散乱法粒度分布測定装置(商品名:LS 13 320(湿式システム))を用いて測定した。
【0041】
<強酸性カチオン交換樹脂の真密度の測定方法>
JISZ8807:2012「固体の密度及び比重の測定方法」に準拠して実施した。
【0042】
<粒状活性炭の真密度の測定方法>
JISZ8807:2012「固体の密度及び比重の測定方法」に準拠して実施した。
【0043】
(比較例1)
Na形強酸性カチオン交換樹脂として、均一係数が1.45、調和平均径が610μm、真密度が1.27g/mLのNa形強酸性カチオン交換樹脂(アンバージェット 1220Na、ダウケミカル社製)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0044】
(実施例2)
Na形強酸性カチオン交換樹脂として、均一係数が1.05、調和平均径が610μm、真密度が1.27g/mLのNa形強酸性カチオン交換樹脂(アンバージェット 1220Na、ダウケミカル社製のものを粒径調整したもの)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。
【0045】
(実施例3)
Na形強酸性カチオン交換樹脂として、均一係数が1.13、調和平均径が640μm、真密度が1.27g/mLのNa形強酸性カチオン交換樹脂(アンバージェット 1020H、ダウケミカル社製のものをNa形に変換したもの)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。
【0046】
(実施例4)
体積基準の粒度分布で、0.180〜2.36mmの範囲に98%存在し、真密度2.0g/mL、均一係数1.7、比表面積1100m/g、全細孔容積0.8mL/gの粒状活性炭(ダイヤホープMS10、カルゴンカーボンジャパン社製)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。
【0047】
(比較例2)
Na形強酸性カチオン交換樹脂として、均一係数が1.13、調和平均径が710μm、真密度が1.27g/mLのNa形強酸性カチオン交換樹脂(アンバーライト 200CTNa、ダウケミカル社製のものを粒径調整したもの)を用いること以外は、実施例1と同様に行った。
【0048】
【表1】
【0049】
カチオン交換樹脂の均一係数及び調和平均径が、本発明に規定の範囲にある実施例1〜4は、通水再開後のTOCが低く、カチオン交換樹脂からの溶出物の溶出が低減されていた。一方、カチオン交換樹脂の均一係数が、本発明の規定の範囲から外れている比較例1、及び調和平均径が、本発明の規定の範囲から外れている比較例2は、いずれも、通水再開後のTOCが、実施例1〜4に比べ高く、カチオン交換樹脂からの溶出物の溶出の低減が十分でなかった。