(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記下地材の位置等については建物の設計図等に記載されている。故に、設計図を参照することにより下地材の配置を把握することが可能である。しかしながら、下地材が面材の裏側等に隠れている点を考慮すると、設計図からの情報を実物に照らし合わせたとしてもその位置を正確に特定することは困難である。特に住人にとっては設計図等を見て下地材の位置を確認することが困難になると考えられる。また、壁面に対して針状の部材を突き刺すことで下地材の有無を確認する道具が一般に用いられるが、この道具では、下地材のレイアウトや形状等を把握することは困難である。このように、建物の施工後に建物設備や建材等を設置する際の作業性の向上を図る上では未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物の施工後に建物設備や建材を設置する際の作業性を向上することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.建物の構造に関する情報(例えば内部構造の3Dデータやヒンジ等の構成物の3Dデータ)を記憶する記憶手段(サーバ50の記憶部51)を備え、その記憶手段に記憶されている前記情報を、携帯端末(携帯端末60)の表示画面(表示画面62)に表示させる情報表示システムであって、
前記建物内の建物内空間に前記携帯端末が存在している場合に、前記建物内空間における前記携帯端末の位置と、前記携帯端末において前記表示画面の背面側が向いている向きとを判定する端末判定手段(サーバ50の制御部52にて位置及び向きを特定する機能)と、
前記端末判定手段により判定された前記位置及び前記向きに基づいて、表示対象とする構造(例えば、壁構造、床構造、天井構造)を特定する特定手段(サーバ50の制御部52にて付加情報を決定する機能)と、
前記特定手段により特定された前記表示対象の構造について、前記記憶手段に記憶されている前記情報を前記表示画面に表示させる表示制御手段(サーバ50の制御部52にて携帯端末50に付加情報を送信する機能)と
を備えていることを特徴とする情報表示システム。
【0008】
手段1に示す情報表示システムよれば、ユーザが建物(例えば部屋)内に携帯端末を持ち込んで携帯端末の向きを調整することで、携帯端末の位置と携帯端末において表示画面の背面側が向いている向きとに応じて建物の構造に関する情報が当該携帯端末の表示画面に表示される。この構成によれば、建物にて表示画面の背後に位置する部分(表示対象とする部位)に重ねるようにして、建物の構造に関する情報を表示することができる。ユーザは、携帯端末の表示画面に表示された情報(例えば仮想画像)と、建物における表示対象とする部位(実物)とを照らし合わせることができるため、端末の持ち込み及びその向きの調整という簡易な行為で見たい箇所の構造等を把握することができる。このようにして建物の構造に関する情報をユーザに提供することにより、エアコンや手すり等の各種製品を設置する場合にその設置箇所における下地材の有無等の確認を容易とし、設置時の作業性の向上に寄与できる。
【0009】
手段2.前記携帯端末から前記表示対象の構造までの距離を算出する距離算出手段(サーバ50の制御部52にて距離を特定する機能)を備え、
前記表示制御手段は、前記距離算出手段により算出された距離に基づいて、前記表示画面に表示する前記情報の内容を変更することを特徴とする手段1乃至手段3のいずれか1つに記載の情報表示システム。
【0010】
手段2によれば、表示対象の構造の情報は当該構造から携帯端末までの距離に応じてその内容が変更される。例えば、表示されている情報と実物との対応関係を確認する場合には、ユーザは携帯端末を保持したまま設置箇所として想定している箇所へ近づくと想定される。このような距離の変化に合わせて情報の内容が変更されることにより、利用者の利便性の向上に寄与できる。
【0011】
なお、例えば表示対象の構造までの距離が小さくなるにつれて表示される情報の内容が概要→詳細に変更される(例えば情報量が増える)構成とするとよい。
【0012】
手段3.前記携帯端末はカメラ(カメラ61)を有し、そのカメラにより前記表示画面の背面側を撮影可能となっており、
前記表示制御手段は、前記カメラにより撮影された撮影範囲を前記表示対象とし、その表示対象の構造について前記情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする手段1又は手段2に記載の情報表示システム。
【0013】
手段3に示すように、携帯端末のカメラ(撮影部)による撮影範囲を表示対象とし、その範囲について上述した情報が表示される構成とすれば、ユーザは情報を得たい部分を容易に指定することができ、情報表示システムの利便性を好適に貢献できる。
【0014】
手段4.前記端末判定手段は、前記カメラにより撮影された画像に基づいて、前記位置及び前記向きを判定することを特徴とする手段3に記載の情報表示システム。
【0015】
手段3に示したように携帯端末がカメラを有する構成においては、カメラによって撮影された画像に基づいて携帯端末の位置や向きを判定することでそれら位置等を判定するためにセンサ等の別途構成が必要になることを抑え、システム全体にて構成要素を少なくすることができる。
【0016】
例えば建物内空間における特徴部分を予め定めておき、その特徴部分が撮影画像に含まれることに基づいて携帯端末の位置や向きを特定するとよい。特徴部分については、建物空間内において窓開口や出入口等の開口、段差等、建物空間内における構造部でもよし、位置等の特定のために設けた特徴識別点(マーカ等)でもよい。なお、特徴部分は、建物内空間において天井付近に定められているとよい。建物内空間に家具や家電等が設置されたとしても、天井付近についてはそれら家具等により隠れずに視認可能となっている可能性が高いと考えられる。故に、特徴部分として認識される上で好都合である。
【0017】
手段5.前記カメラにより撮影された撮影画像において、前記表示対象とする構造の手前側に、当該構造とは異なる物体が写っていることを特定する物体判定手段(サーバ50の制御部52にて家具F等を特定する機能)を備え、
前記端末判定手段は、前記物体判定手段により前記構造とは異なる物体が写っていると判定された場合に、当該物体を除いた状態で前記位置及び前記向きを判定することを特徴とする手段4に記載の情報表示システム。
【0018】
建物においては施工後に家具や家電等が設置されることが多い。そこで、本手段においては携帯端末の位置や向きを判定する場合には、家具等の物体(障害物)を除いた状態で当該判定を行う。このため、情報表示システムの利用時に家具等を移動させる等の手間が増えることを回避できる。故に、情報表示システムの利便性を向上させることができる。
【0019】
なお、「物体判定手段」については、表示対象とする構造と上記物体(障害物)とを区別することができるのであれば具体的構成については任意である。例えば、カメラにより撮影された画像を解析することで物体を判定する構成としてもよいし、ユーザの指定に基づいて物体を判定する構成としてもよい。
【0020】
手段6.前記携帯端末において前記カメラにより撮影される撮影範囲が可変であり、
前記表示制御手段は、前記カメラにより撮影された撮影範囲に応じて、前記表示画面に表示する前記情報の内容を変更することを特徴とする手段3乃至手段5のいずれか1つに記載の情報表示システム。
【0021】
携帯端末のカメラが撮影範囲の変更機能(例えばズーム機能)を有している場合には、携帯端末の位置を変えることなく(例えば表示対象に近づけることなく)撮影範囲を変更することができる。本手段においては、そのよな事情に鑑みて、撮影範囲に応じて情報の内容を変更可能となっている。このような撮影範囲の変化に合わせて情報の内容が変更されることにより、利用者の利便性の向上に寄与できる。なお、例えば撮影範囲が狭くなる(ズームが強くなる)につれて情報の内容が概要から詳細等に変更される(例えば情報量が増える)構成とするとよい。
【0022】
手段7.前記携帯端末において前記表示画面の背面側が向いている方向に複数の構造部が存在している場合に、それら構造部についての情報を前記表示画面に表示させるか否かを切り替える切替手段を備えていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の情報表示システム。
【0023】
手段1等に示した情報表示システムにおいては、表示画面の背面側に位置する各構造部について上記情報を表示させる構成とすれば、当該情報表示システムの利便性を飛躍的に向上できる。しかしながら、このような構成においては、表示画面に表示される情報が前後に重複することでユーザが所望としている情報が他の情報に紛れ、煩わしとの印象を与える要因になり得る。そこで、本手段に示すように、携帯端末において表示画面の背面側が向いている方向に複数の構造部が存在している場合に各構造部についての情報を表示/非表示で切替可能とすることにより、そのような不都合の発生を抑制できる。
【0024】
手段8.前記表示制御手段は、前記表示画面に前記構造の情報として、実際の構造の仮想画像を表示することを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つに記載の情報表示システム。
【0025】
手段8によれば、表示画面に下地等の構造部の仮想画像が表示される。ユーザが表示画面に表示された画像を実物に照らし合わせる場合には、下地等の形状、位置、範囲等を容易に把握できる。
【0026】
手段9.前記表示制御手段は、前記建物内空間の壁、床、天井の少なくともいずれかを前記表示対象とし、その表示対象における下地材の情報を前記表示画面に表示させることを特徴とする手段1乃至手段8のいずれか1つに記載の情報表示システム。
【0027】
建物内空間においては壁の裏側、床下、天井裏等に配設された下地材(構造部)が壁パネル等の面材に隠れており、エアコン等の製品を下地材に取り付けようとした場合には下地材の位置等を特定する必要がある。ここで、手段1に示した技術的思想を適用すれば、下地材の位置等を容易に特定することができ、設置時の作業性の向上に寄与できる。
【0028】
手段10.前記表示制御手段は、前記情報として、前記表示対象における前記下地材(例えば下地材42)の仮想画像と、当該下地材及び前記携帯端末の間に位置し且つ前記建物内空間を形成している面材(例えば壁面材41)の仮想画像とを前記表示画面に表示させることを特徴とする手段9に記載の情報表示システム。
【0029】
下地材の仮想画像を表示する場合には、当該仮想画像と実物との関係が分かりにくくなる可能性がある。この点、本手段に示すように、下地材の仮想画像だけでなく、それよりも手前側に位置する面材の仮想画像を併せて表示することにより、当該仮想画像を上記関係を把握する際の目安(指標)とすることができる。故に、単に下地材の仮想画像のみを表示する場合と比べて、ユーザの理解を促しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を説明する。本実施の形態では、建物において壁面等の背後に隠れた内部構造に関する情報をユーザに提供する情報表示システムについて具体化している。以下、
図2〜
図4を参照して本情報表示システムが適用される建物10について説明し、その後情報表示システムを利用して施工後の建物に建物設備(具体的にはエアコン)を設置する場合の流れについて説明する。
図2は建物の間取りを示す概略図、
図3及び
図4は居室を示す概略図(
図2のA矢視図)である。なお、
図4においては、壁面材を取り外した状態を示している。
【0032】
本実施の形態に示す建物10については2階建てとなっている。
図2に示すように、建物10の二階部分には、複数の居室11〜13、廊下14、階段15、トイレ16が設けられている。例えば居室11においては、その居室空間が四方の壁部21〜24、床部26及び天井部25(
図3参照)により区画形成されている。壁部21〜24は、居室空間を形成する壁面材41(例えば石膏ボード、
図3参照)と、それら壁面材41の背後に位置する下地材42(例えば間柱や胴縁、
図4参照)とを有してなる。床部26及び天井部25についても同様に、面材の裏側に小梁等の下地材(内部構造に相当)が配設されているが、これら各種構成については説明の便宜上それら下地材については図示を省略している。なお、詳細な説明は省略するが、他の居室12〜13についても基本構造は居室11と同様である。また、空間を区画形成している面材及びその背後に隠れた下地材を有している点では、廊下14、階段15、トイレ16についても同様である。
【0033】
図3に示すように、例えば建物10の施工後に居室11の壁部21等へ建物設備E(エアコン)を設置しようとした場合、下地材42を取付対象とすることで取付強度を好適に確保することができる。但し、
図4に示すように壁面材41の裏側には下地材42が存在しているものの、
図3に示すように壁面材41が取り付けられた施工完了後の状態では壁面材41によって下地材42が覆われることで当該下地材42が視認不可となっている。つまり、建物10の施工完了後は壁面材41によって下地材42が隠れているため、下地材42の位置や形状を目視で直接確認することは困難となる。
【0034】
例えば針状の部材等の専用の器具を壁面材等に差し込むことにより下地材が存在しているか否かを特定し得るものの、下地材のレイアウトや形状等を把握することは困難である。つまり、専用の器具を用いたとしても固定位置を決める上で上記確認作業を繰り返す必要が生じ、作業の効率化を図る上で改善の余地がる。また、ユーザに配布された建築図面(設計図)を参照すれば、下地材42の大まかな位置を把握することはできるものの、ユーザにとっては建築図面と実物とを照らし合わせたとしてもその位置を正確に特定することは困難である。本実施の形態においては、情報表示システムによって上記不都合を解消する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、
図5のブロック図を参照して、情報表示システムについて説明する。
【0035】
情報表示システムは、各種情報処理を行う情報処理手段としてのサーバ50とユーザに情報を提供する情報提供手段を構成する携帯端末60とにより構成されている。携帯端末60は、カメラ61と当該カメラ61(詳しくは撮影部)によって撮影された画像を表示可能な表示画面62とを有している。カメラ61及び表示画面62は互いに逆向きとなるように配設されており、表示画面62においてはその背面側の映像が映し出される。
【0036】
携帯端末60はサーバ50と通信可能となっており、携帯端末60のカメラ61によって撮影された画像は、表示画面62に表示されるだけではなくサーバ50に送信される。サーバ50は、建物10に関する各種情報を記憶する記憶部51と、記憶部51によって記憶されている情報及び携帯端末60から送信された情報(撮影された画像等)に基づいて携帯端末60の表示画面62に表示させる情報を決定し且つ決定した情報が表示されるように携帯端末60の表示制御を実行する制御部63とを有している。
【0037】
本実施の形態に示す携帯端末60においては、情報表示システム用のアプリケーションがインストールされており、このアプリケーションを起動した状態でユーザが携帯端末60を操作することにより、表示画面62に建物の内部構造等に関する情報が表示される構成となっている。ここで、携帯端末60の制御部63にて実行される情報表示用の準備処理を
図6のフローチャートを参照して説明する。この準備処理は、アプリケーション起動後に定期的に実行される処理である。
【0038】
準備処理においては先ず、ステップS101にて情報表示用のアプリケーションが起動中であるか否かを判定する。ステップS101にて否定判定をした場合には、そのまま本準備処理を終了する。ステップS101にて肯定判定をした場合には、ステップS102に進み、携帯端末60の表示画面62にサポートメニューが表示されているか否かを判定する。サポートメニューは、アプリケーションの起動に伴って表示画面62に表示されるものであり、当該アプリケーションによるサポート項目の一覧が表示されたものである(
図7参照)。当該サポートメニューにおいては、機器建材の取付をサポートする項目(設置サポート)や、建物設備等の取扱説明に関する項目(取扱説明)が含まれており、携帯端末60の操作によってユーザが所望の項目を選択可能となっている。
【0039】
ステップS102にて肯定判定をした場合にはステップS103に進み、ユーザにより設置サポートが指定されたか否かを判定する。ステップS103にて否定判定をした場合には、そのまま本準備処理を終了する。ステップS103にて肯定判定をした場合には、ステップS104に進む。ステップS104では建物10の間取りを表示する。具体的には、先ず建物10の階層を指定する画面が表示し、ユーザにより階層が指定された場合には、指定された階層の間取りを示す概略図を表示する(
図7参照)。
【0040】
ステップS104の表示処理を実行した後はステップS105に進む。ステップS105では、サーバ50に設置サポートの通知を行う。詳細については後述するが、サーバ50の制御部52においてはこの通知に基づいてサポート表示用のデータを作成する。ステップS105にてサポート開始の通知を行った後は、本準備処理を終了する。
【0041】
ステップS102の説明に戻り、当該ステップS102にて否定判定をした場合、すなわちサポートメニューの表示中ではない場合には、ステップS106に進む。ステップS106では間取り表示中であるか否かを判定する。ステップS106にて肯定判定をした場合にはステップS107に進む。本実施の形態においては、表示されている間取りにて設置サポートの対象となるエリアをユーザが指定可能となっており、ステップS107ではユーザによってエリアが指定されたか否かを判定する。
【0042】
ステップS107にて否定判定をした場合にはそのまま本準備処理を終了する。ステップS107にて肯定判定をした場合には、ステップS108に進み、携帯端末60のカメラ61を起動させるべく起動処理を実行する。その後、ステップS109では、表示画面62に撮影態様を指示するメッセージを表示する。詳細については後述するが、本実施の形態においては、サーバ50の制御部52においてはカメラ61により撮影された画像、詳しくは表示画面62に表示されている画像に基づいて携帯端末60の位置や携帯端末60において表示画面62とは反対側が向いている向きと(以下、携帯端末60の向きという)を特定する構成となっている。この場合、撮影された画像に位置や向きの特定を行う上で必要な情報が含まれていなければそのような特定が困難になり得る。そこで、ステップS109においてはユーザに撮影範囲を指示する。具体的には、機器を設置したい対象(例えば壁部)の全体が表示されるようにして撮影を行うべき旨のメッセージを表示画面62に表示させる。
【0043】
その後、ステップS110のエリア情報送信処理にて、今回指定されたエリアをサーバ50に伝えた後、本準備処理を終了する。
図2に示したように、建物10には形が類似となる複数の居室(例えば居室12〜13)が存在している。このため、撮影された画像から携帯端末60の位置、詳しくは携帯端末60が存在しているエリアを特定することが困難になり、エリアの混同が生じ得る。この点、上述の如くユーザによるエリア指定を経て画像に基づく位置の特定を行う構成とすれば、そのような不都合の発生が抑制される。
【0044】
ステップS106の説明に戻り、当該ステップS106にて否定判定をした場合、すなわち間取り表示中ではないと判定した場合には、ステップS111に進む。ステップS111ではカメラ61によって撮影された画像、詳しくは表示画面62に表示されている画像をサーバ50へ送信するタイミングであるか否かを判定する。ステップS111にて否定判定をした場合には、そのまま本準備処理を終了する。ステップS111にて肯定判定をした場合には、ステップS112にて画像送信処理を実行した後、本準備処理を終了する。
【0045】
携帯端末60にインストールされた情報表示システム用のアプリケーションについては、その起動の有無をサーバ50側にて特定可能となっている。そして、サーバ50の制御部52では、情報表示システム用のアプリケーションが起動している場合に、携帯端末60からの画像に基づいて携帯端末60の位置や向きを特定し、特定した位置や向きに応じて携帯端末60の表示制御用の処理(表示制御処理)を行う。この表示制御処理については、アプリケーションの起動中に定期処理の一環として実行される。以下、
図8のフローチャートを参照して、表示制御処理について説明する。
【0046】
表示制御処理においては先ず、ステップS201にて情報表示システム用のアプリケーションが起動中であるか否かを判定する。ステップS201にて否定判定をした場合には、そのまま本表示制御処理を終了する。ステップS201にて肯定判定をした場合にはステップS202に進む。ステップS202では、記憶部51に登録された登録データの読み出しを完了しているか否かを判定する。
【0047】
ここで、登録データについて補足説明する。本実施の形態における記憶部51には、建物10の仕様、建築図面データ(2Dデータ)、建物10に使用された建材の形状等の各種データが記憶されている。サーバ50の制御部52では、例えば情報システム用のアプリケーションが初めて起動された際に、それら各種データに基づいて建物10の3Dデータ(3Dモデル)を作成する。この3Dデータにおいては、壁や床等だけでなく、壁等に隠れている部分(内部構造)についても再現されている。このようにして作成された3Dデータが、上記登録データとしてサーバ50に登録(記憶)される。
【0048】
ステップS202にて否定判定をした場合にはステップS203に進む。ステップS203では、携帯端末60からサポート開始の通知(ステップS105参照)があったか否かを判定する。ステップS203にて否定判定をした場合には、そのまま表示制御処理を終了する。ステップS203にて肯定判定をした場合には、ステップS204に進む。ステップS204では登録データの読み出し処理を行う。登録データは3Dデータであり、そのデータ量が嵩む。そこで、サポート開始の通知を契機として登録データの読み出しを開始することで、表示制御の応答性の向上を図っている。
【0049】
ステップS202の説明に戻り、当該ステップS202にて肯定判定をした場合、すなわち登録データの読み出しが完了している場合には、ステップS205に進む。ステップS205ではエリアを特定済みであるか否かを判定する。ステップS205にて否定判定をした場合にはステップS206に進む。ステップS206では携帯端末60からエリア情報を受信したか否かを判定する。ステップS206にて否定判定をした場合には、そのまま本表示制御処理を終了する。ステップS206にて肯定判定をした場合には、ステップS207に進む。ステップS207ではユーザによって指定されたエリアを特定するエリア特定処理を行う。
【0050】
ステップS205の説明に戻り、当該ステップS205にて肯定判定をした場合には、ステップS208に進む。ステップS208では、携帯端末60から画像を受信したか否かを判定する。ステップS208にて否定判定をした場合には、そのまま本表示制御処理を終了する。ステップS208にて肯定判定をした場合にはステップS209に進む。ステップS209では、受信した画像に基づいて携帯端末60の位置及び向きを特定する。
【0051】
具体的には、サーバ50の制御部52では、携帯端末60によって撮影された画像を解析することにより、エリア(居室)を形成している天井、床、壁等の各種構成を特定し、更には窓や扉等の特徴的な構成を特定する。そして、携帯端末60からそれら特定した各種構成までの距離を計測する(
図9の概略図参照)。その後、特定した各種構成や計測した各距離を上記登録データ(3Dデータ)と照合することで、携帯端末60の詳細な位置(基準位置)及び向き(基準方向)を特定する(
図10の概略図参照)。
【0052】
例えば居室11を構成する壁部21〜24には、壁部毎に固有の構成が設けられている(
図3参照)。具体的には、
図3の中央に位置している壁部21には扉31と居室11の出入口を隠す袖壁32とが設けられており、
図3の左側に位置している壁部22には窓33が設けられており、
図3の右側に位置している壁部23には段部34が形成されている。携帯端末60の位置や向きを特定する上では、これら固有の構成の位置や形を参照している。なお、床部26については壁部23側がフローリング35且つ壁部22側が畳36となっており、画像解析にてこれらフローリング35及び畳36を検知した場合に、その検知情報が携帯端末60の向きを特定する足掛かりとなり得る。
【0053】
図8の説明に戻り、ステップS209にて携帯端末60の位置及び向きを特定した後はステップS210に進む。ステップS210では、それら特定した位置及び向きと上記3Dデータとに基づいて携帯端末60の表示画面62に表示する情報、詳しくはカメラ61により撮影されている画像に付加して表示する付加情報(「内部構造の情報」に相当)を作成する。具体的には、
図1の概略図に示すように、内部構造に対応する3Dデータをキャプチャすることで携帯端末60の表示画面62に表示する付加情報を作成する。3Dデータのキャプチャ範囲(倍率を含む)やキャプチャ方向については、携帯端末60の表示画面62に表示されている画像の撮影範囲(倍率を含む)及び撮影方向に合致するようにして設定される。
【0054】
ここで、本実施の形態においては、内部構造のうち付加情報とするものをユーザの指示(操作)に応じて携帯端末60が配置されているエリアに対応するものに制限可能となっており、ユーザの利便性の向上に配慮されている。例えば、
図1に示すように携帯端末60のカメラ61が壁部21側を向いている場合には、その向いている先に階段15が存在する(
図2参照)。階段15を挟んで居室11とは反対側に位置する壁部の内部構造の情報(詳しくは当該内部構造を模した画像)を付加情報とするか否かがユーザの指示に応じて決定される。壁部21用の下地材42に関する付加情報を見たい場合に階段15側の内部構造に関する付加情報が提供されることは、情報が過剰となってユーザを困惑させる要因になると想定される。そこで、このようなケースでは、階段15に係る内部構造については付加情報の対象から外すことにより、付加情報が分かりづらくなることを抑制できる。これに対して、階段15側の内部構造の付加情報を参照したい場合には、上記制限を解除することによりユーザは階段15側に回り込まなくてもその付加情報を参照することができる。
【0055】
続くステップS211では、ステップS210にて作成された付加情報を携帯端末60に送信して、本表示制御処理を終了する。このようにして作成された付加情報については、少なくとも下地材(内部構造)を模した画像を含むものであり、携帯端末60の表示画面62に表示されることで、実際の下地材の形状やレイアウトが明示されることとなる。
【0056】
次に、
図11のフローチャートを参照して、携帯端末60の制御部63にて実行される表示処理について説明する。表示処理についても上記準備処理と同様に、上記アプリケーション起動後に定期処理の一環として実行される処理である。
【0057】
表示処理においては先ず、ステップS301にて情報表示システム用のアプリケーションが起動中であるか否かを判定する。ステップS301にて否定判定をした場合には、そのまま本表示処理を終了する。ステップS301にて肯定判定をした場合には、ステップS302に進む。ステップS302では表示画面62に表示されている画像(すなわち携帯端末60の位置及び向き)に対応する画像であるサーバ50から受信した付加情報を同表示画面62に表示している最中であるか否かを判定する。ステップS302にて否定判定をした場合には、ステップS303に進む。
【0058】
ステップS303ではサーバ50から付加情報を受信したか否かを判定する。ステップS303にて否定判定をした場合には、そのまま本表示処理を終了する。ステップS303にて肯定判定をした場合には、ステップS304に進む。ステップS304では受信している付加情報を表示画面62に表示させる付加情報表示処理を実行する。これにより、表示画面62には、カメラ61によって撮影された画像に重なるようにして付加情報が表示されることとなる。
【0059】
ステップS302の説明に戻り、当該ステップS302にて肯定判定をした場合には、ステップS305に進む。ステップS305ではサーバ50から表示更新の指示があったか否かを判定する。本実施の形態においては、カメラ61が起動している最中に携帯端末60の位置や向きが変化することにより、表示画面62に表示されている画像が変化する。このような場合には、位置や向きの変化に合せて付加情報が変更(更新)されることとなる。
【0060】
ステップS305にて否定判定をした場合には、そのまま本表示処理を終了する。ステップS305にて肯定判定をした場合には、ステップS306にて表示更新処理を実行した後、本表示処理を終了する。表示更新処理を実行することで、表示画面62に表示されている付加情報が携帯端末60の位置及び向きの変化に合せて変更されることとなる。
【0061】
ここで、
図1の概略図を参照して、付加情報を表示している場合の具体例について説明する。
図1においては居室11の壁部21に建物設備Eを設置するにあたり、携帯端末60のカメラ61によって壁部21を撮影している状態を示している。なお、
図1及び
図10においては、実物とそれを模した画像とを識別すべく、後者については符号の末尾に「X」を付与している。
【0062】
表示画面62には、カメラ61によって撮影された壁部21,22及び床部26の画像に重ねて下地材42X(詳しくは下地材42を模した画像)が表示されている。つまり、本来であれば壁部21,22の背後に隠れることで視認不可となっている下地材42があたかも壁部21,22を通して透けて見えているかのように表示される。画像の投影方向等は携帯端末60(カメラ61)の向きや位置に合せて設定されているため、下地材42Xの見え方が実際の下地材42からかけ離れたものになることが抑制されている。
【0063】
既に説明したように、携帯端末60においてはカメラ61と表示画面62とが逆向きとなるように構成されているため、ユーザは携帯端末60越しに壁部21等を見ることができ、表示画面62の表示内容と実物(壁部21)とを見比べることで実際にどのあたりに下地材42が位置しているかを容易に把握することができる。ここで、壁部21に建物設備Eを設置する場合には、壁部21からある程度離れた位置から全体を見て凡その位置を決め、壁部21に近寄って固定箇所に下地材42が存在しているか否かを確認するものと想定される。つまり、状況に応じて建物設備Eの設置対象として想定している壁部21と携帯端末60との距離が変化し得る。本実施の形態においては、このような事情に配慮して、付加情報の表示態様を建物設備Eの設置対象、すなわち表示画面62の背後に位置している壁部21と携帯端末60との距離によって変更する構成となっている。以下、
図12の概略図を参照して、距離と表示態様との関係について補足説明する。
【0064】
対象から携帯端末60までの距離が大きく離れている場合には、付加情報として表示される内部構造の詳細な形状が省略され、内部構造が簡略化された状態で表示される。このように、内部構造の概略が表示されることで、ユーザにとって内部構造を構成する各種部材の大まかなレイアウトを把握することが可能となる。対象から携帯端末60までの距離が小さくなると、内部構造を構成する各種部材の形状がより詳細に表示されることとなる。例えば、
図12の例では、各種部材の幅が反映されるている。そして、更に距離が小さくなった場合には、その幅寸法や厚さ寸法、更には、壁面材41(ボード材)の厚さ寸法が併せて表示されることとなる。
【0065】
上述の如く建物設備Eを壁部に取り付けようとした場合には、遠くから見て大まかな配置を決めた上で、固定具の詳細な取付位置を壁部に近づいて確認すると想定される。そこで、対象との距離が小さくなることで、ユーザに提供される情報量が増える構成とすれば、情報が過多となって見づらさが顕著になることを好適に抑制できる。
【0066】
以上詳述した情報表示システムによれば、携帯端末60の表示画面62に当該携帯端末60の位置及び向きに応じて内部構造の情報が表示される。これにより、壁面材41(「建材」に相当)の背後に隠れて目視での確認が困難又は不可となっている下地材42等の内部構造を容易に把握できる。このようにして内部構造の情報をユーザに提供することにより、建物設備Eを設置する場合にその設置箇所における下地材42の有無や位置の特定を行うための手間を減らし、設置時の作業性の向上に寄与できる。
【0067】
持ち運びを前提としている携帯端末60にて内部構造の情報を表示する場合には、情報表示中に携帯端末60の位置や向きが変わる可能性がある。このような場合には、携帯端末60の位置及び向きに合せて表示される所定の内部構造の情報を変更(更新)することにより、提供されている情報と実物との対応関係が利用者に誤認されることを抑制できる。また、携帯端末60の位置及び向きに応じて情報が更新されるため、好ましい設置箇所等を探す手間を減らすことができる。
【0068】
内部構造の情報として実際の内部構造(下地材42)を模した画像が表示される。これにより、下地材42の形状やレイアウト等を容易に特定できる。特に、カメラ61によって撮影された画像に重ねて内部構造を模した画像が表示されるため、提供された内部構造の情報と実物との対応関係を分かりやすくすることができる。
【0069】
カメラ61によって撮影された画像に内部構造情報を重ねて表示する構成とする場合には、撮影された画像に基づいて携帯端末60の位置や向きを特定する構成とすることで所定の内部構造の情報を選定するためにセンサ等の別途構成が必要になることを抑え、システム全体にて構成要素を少なくすることができる。
【0070】
<第2の実施の形態>
建物10においては施工完了後に家具等が設置されることが一般的であり、それらの構成については建築図面等に反映されていないことが多い。このため、第1の実施の形態に示したように携帯端末60によって撮影された画像と登録データ(3Dデータ)とを照合して携帯端末60の位置や向きを特定する上では、家具等の構成の有無が妨げになり得る。そして、第1の実施の形態に示した情報表示システムを利用する際に家具等を移動させる必要が生じることはユーザの利便性の向上を図る上で妨げになる。本実施の形態においては、このような事情に配慮した工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、
図13及び
図14の概略図を参照して、第1の実施の形態との相違点を中心に上記工夫について説明する。
【0071】
例えば、
図13に示すように、家具Fによって壁部21の大部分が覆われている場合には、画像解析によって壁部21を特定することが困難となり、更には壁部21と携帯端末60との距離を測定する場合に測定対象が家具Fとなることで特定された携帯端末60の位置についてその確からしさが著しく低下し得る。このような事象が発生した場合には、表示画面62に表示される付加情報(内部構造の画像)と、カメラ61により撮影された実際の画像とにずれが生じると懸念される。
【0072】
そこで、本実施の形態においては、家具F等の障害物が存在している場合には、距離の測定を行う対象となる部分をユーザが指定可能となっている。具体的には、表示画面62に表示されている壁部21のうち家具Fによって覆われていない部分をユーザが指定(表示画面62上の壁部21をタップ)することにより、その部分が壁部21であるとして上記距離測定や照合等の各種処理が実行されることとなる。具体的には、
図14に示すように、携帯端末60から壁部21までの距離を測定する場合には、家具Fを回避する位置にて仮測定が行われた上で、その仮測定結果を換算することで携帯端末60から壁部21までの実際の距離が測定される。
【0073】
これにより、登録データと撮影された画像とに家具F等の有無の差が生じる場合であっても上記情報表示システムの利用を促すことができる。家具Fをそのままに付加情報を表示することが可能となり、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0074】
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0075】
(1)上記実施の形態では、カメラ61付の携帯端末60を用いて情報表示システムを構築したが、少なくとも建物10の構造に関する情報を表示可能な表示画面を有し且つ携帯端末の位置と携帯端末において表示画面の背面側が向いている向きとに応じて下地等の内部構造に関する情報を表示させることができるのあれば足り、カメラ61を必須とするものではない。
【0076】
また、上記実施の形態においては、携帯端末60によって撮影された画像に基づいて当該携帯端末60の位置と携帯端末60において表示画面62の背面側が向いている向きとを特定することができるのであれば、その具体的構成については任意である。例えば、建物10に携帯端末60の位置を検知する位置検知センサを別途配設し、位置検知センサからの情報に基づいて携帯端末60の位置を特定する構成としてもよい。また、携帯端末60の位置情報(例えば座標)及び向き情報をユーザが入力可能な構成とし、ユーザによって入力された情報に基づいて携帯端末の位置及び向きを特定する構成としてもよい。更には、携帯端末に当該携帯端末から離れた物体までの距離を計測する計測手段を有している場合には、この計測手段によって壁等の周辺構成までの距離を測定し、それら測定結果に基づいて携帯端末60の位置や向きを特定する構成とすることも可能である。なお、これら各種方法を併用して携帯端末60の位置や向きを特定する構成としてもよい。
【0077】
(2)上記実施の形態に示したように、画像を解析して携帯端末の位置を特定する場合には、解析に要する処理負荷が大きくなりやすい。これは情報表示の応答性を低下させる要因になり得る。このような事情に配慮した場合、携帯端末60によって撮影すべき具体的対象をシステム側で指定する構成とするとよい。例えば、指定した構成(「特徴部分」に相当)に基づいて最初に携帯端末60の位置や向きと3Dデータとのリンク付を行い、その後に携帯端末60の位置や向きが変化した場合にその変化に基づいて表示される内部構造の情報を変更する構成とすればよい。
【0078】
上記リンク付けについて具体的には、天井に換気口がある場合にはその換気口をリンク付けを行う際の撮影対象(「特徴部分」に相当)としたり、壁部に窓が形成されている場合にはその窓をリンク付けを行う際の撮影対象としたりするとよい。建物については家具等を設置することで壁部等が覆われることが多い。つまり、床部寄りとなる部分に上記リンク付の基準となる構成を設定した場合には、情報提供システムを利用する場合に、家具等を移動させて基準となる構成を撮影可能とするといった予備行為が必要となる。これは、ユーザの利便性の向上を図る上で妨げになると想定される。この点、一部の構成をリンク付の基準として設定する上でそれら基準となる構成を天井部又は壁部にて天井寄りとなる部分に設定すれば、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0079】
(3)上記実施の形態では、付加情報を表示している状況下にて携帯端末の位置及び向きの少なくとも一方が変化した場合に、新たな位置及び向きに対応する情報が表示されるように表示が変更(更新)される構成とした。このような構成とする上では、都度画像解析を行うことで携帯端末の位置や向きを特定しようとすれば、更新スピードが低下し、情報表示の応答性が低下し得る。そこで、位置や向きの変化を画像以外の情報から特定し、その特定結果に基づいて付加情報を変更する構成としてもよい。
【0080】
例えば、携帯端末が電子方位センサや傾きセンサ等を有している場合、これらセンサからの情報をサーバ50へ送信し、サーバ50では当該情報に基づいて携帯端末の向きの変化を特定する構成とすることも可能である。
【0081】
(4)上記実施の形態では、ユーザにエリアの指定を促すことで、画像解析→照合を行う際の対象を絞り込む構成としたが、このような絞り込みを行うか否かについては任意である。情報表示用のアプリケーションを立ち上げに伴ってカメラが起動し、エリア指定を行うことなく画像解析が開始される構成とすることにより、ユーザの手間を省略できる。
【0082】
なお、上記実施の形態では、ユーザの操作に基づいてエリアが指定される構成としたが、例えば携帯端末がGPS等を内蔵している場合には、このGPSからの情報をサーバ50へ送信し、その情報に基づいて携帯端末が存在しているエリアを絞り込む構成とすることも可能である。
【0083】
(5)上記実施の形態では、内部構造の情報として下地材42を模した画像を携帯端末60の表示画面62に表示させる構成としたが、そもそも3Dデータには下地材42以外の構成(例えば壁面材41)を含んでいる。そこで、下地材42を模した画像に追加して当該下地材42の手前側に位置している周辺構成(壁面材41)を模した画像を表示させる構成とすることも可能である。手前側の壁(特にその端部)を併せて表示すれば、内部構造のみを表示する場合と比較して、ユーザに実物と付加情報との対応関係の理解を好適に促すことができる。
【0084】
(6)建物の壁部等においては内部が配線等の収容領域となっている場合があり、ネジ等の固定具が配線に当たることは断線等の要因になり得る。このように、壁部等においては、機器の設置に向かない部分が存在する。このような事情に配慮して、情報提供システムにって提供される情報に、設置付加の領域を示す情報を含めてもよい。
図15の概略図に示す例では、袖壁32内に配線が収容されている。そこで、袖壁32を機器の設置を控えるべき領域であることを示すべく、他の部分とは区別するようにして回避領域45Xを表示している。
【0085】
(7)上記実施の形態では、壁部等によって隠れている内部構造の情報をユーザに提供する構成としたが、これに限定されるものではない。このシステムを用いて、建物設備等の取扱方法に関する情報をユーザに提供する構成とすることも可能である。例えば、
図7に示したように、サポートメニューに取扱方法が含まれている場合、このメニューを選択することで建物設備を検知するモードとなり、
図16の概略図に示すように、画像解析等によってユニットバスを検知した場合にはユニットバスの使用方法を携帯端末60の表示画面62に表示し、キッチンを検知した場合にはキッチンの使用方法を携帯端末60の表示画面62に表示し、扉31の蝶番38を検知した場合には蝶番38を模した画像及びその調整に係る構成の説明を表示画面62に表示する構成としてもよい(
図17の概略図参照)。このように建物の構造(各種構成物)の使用方法等を説明する上では、それら構造に関する情報として、例えば扉の蝶番の3Dデータや備付となるユニットバス等の3Dデータをサーバ50にて記憶しておくとよい。
【0086】
なお、対象を検知した場合には、直ちに上記使用方法や説明等の付加情報を表示させるのではなく、先に説明用のアイコンを表示し、当該説明用のアイコンが操作され場合に付加情報を表示させる構成としてもよい。
【0087】
(8)上記実施の形態では、サーバ50にて3Dモデルを形成しその3Dモデルを用いて付加情報を作成する構成としたが、携帯端末が3Dモデルの作成機能を有する構成とすることも可能である。
【0088】
(9)上記実施の形態においては、壁部21に建物設備Eを設置する場合について例示したが、これに限定されるものではない。例えば、他の壁部22〜24や、他のエリアの壁部、更には天井部や床部に建物設備Eを設置する場合であっても同様である。建物設備Eを天井部に設置する場合には、携帯端末60によって天井部を撮影することで、天井部の面材によって隠れている下地材等を表示する構成とすることも可能である。
【0089】
(10)上記実施の形態では、「構造の情報」として3Dデータを形成したが、作成されるデータについては必ずしも3Dデータである必要はなく、2Dデータであってもよい。また、記憶されている2Dデータから3Dデータを形成するのではなく、予めデータを3Dデータとして記憶することも可能である。
【0090】
(11)上記実施の形態では、「携帯端末」として表示画面62とは反対側を向いている部分にカメラ61が配設された携帯端末60を例示したが、これに限定されるものではない。少なくとも、携帯端末において表示画面の背面側が向いている側を撮影可能であれば足り、カメラ61の位置については任意である。また、カメラ61の向きについては変更可能となっていてもよい。
【0091】
(12)上記実施の形態では、建物設備Eとしてエアコンを設置する際に情報表示システムを利用する場合について例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、廊下14や階段15等に手すりを設置する場合であっても情報表示システムの利用の流れは同様である。