(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の健康状態に対応付けて栄養素の必要量を記憶する第1のデータベースと、料理メニューごとに栄養素の含有量を記憶する第2のデータベースと、を参照して、ある健康状態に対する前記栄養素の必要量を取得し、前記必要量と前記料理メニューにおける前記栄養素の含有量とに基づいて料理メニューをポイント化する評価部と、
気圧、気温、湿度を含む気象要素の変化を示す気象情報を取得して、前記気象情報に応じて前記料理メニューのポイントを調整し、前記ポイントの高い前記料理メニューを選び出す決定部と、
選び出された料理メニューの情報を出力する通信部と、
を備えていることを特徴とするメニュー提供システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態におけるメニュー提供システムを
図1に示す。メニュー提供システムは、ユーザの健康情報に基づいてユーザに応じた料理メニュー情報を提供する管理装置1と、ユーザの健康状態に関する健康情報を取得する端末装置2,3と、健康状態に対する有効な栄養素を有する食材に関する情報を格納した食材データベース4と、料理メニューごとに使用される食材の栄養素に関する情報を格納した料理メニューデータベース5と、このシステムに登録されたユーザに関する情報を格納したユーザ情報データベース6と、疾患とその疾患によって現れる様々な症状をまとめた症例データベース7とから構成される。
【0014】
管理装置1は、医療機関や福祉機関などのシステム運営機関に設置されるサーバとされ、クライアント側の端末装置2,3と管理装置1とは、インターネット、携帯電話網、LAN、WANなどのネットワークを通じて通信可能とされる。
【0015】
端末装置2は、ユーザが所有するスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、パソコンといったデータ通信可能な通信端末である。このようなユーザ用の端末装置2は、無線あるいは有線でネットワークに接続され、管理装置1と双方向のデータ通信を行う。ユーザが体調や疾病の症例、生体情報などの健康状態に関する健康情報を端末装置2に入力することにより、端末装置2はユーザの健康情報を取得する。端末装置2は、取得した健康情報を管理装置1に送信する。
【0016】
また、端末装置3は、ユーザの生体情報を収集するセンサや測定器とされる。このような情報収集用の端末装置3は、体重、体温、血圧、血糖、心拍、活動量、呼吸、睡眠状態などの生体情報をユーザ自身から収集する。
【0017】
情報収集用の端末装置3は、ユーザ用の端末装置2に接続され、ユーザ用の端末装置2を通じて管理装置1にデータを送信する。あるいは、情報収集用の端末装置3が通信機能を有しているとき、情報収集用の端末装置3は、管理装置1とデータ通信を行う。なお、ユーザ用の端末装置2として、生体情報を収集可能なようにセンサや測定器を内蔵したウェアラブル端末としてもよい。
【0018】
端末装置2,3がネットワークとの通信機能を有していない場合、ゲートウェイ8が設けられる。ゲートウェイ8は、ネットワークに接続され、管理装置1と通信可能とされる。端末装置2,3は、ブルートゥース(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの無線通信によりゲートウェイ2,3と通信可能とされる。あるいは、端末装置2,3は、USBなどによりゲートウェイ8に接続され、端末装置2,3とゲートウェイ8との間で通信が行われる。これにより、端末装置2,3はゲートウェイ8を通じて管理装置1と通信を行う。
【0019】
食材データベース4、料理メニューデータベース5、ユーザ情報データベース6および症例データベース7はそれぞれデータベースサーバに構築され、各データベースサーバがネットワークに接続される。なお、これらのデータベース4〜7を1つのデータベースサーバに構築してもよい。あるいは、これらのデータベース4〜7を管理装置1に内蔵された記憶装置、あるいは管理装置1に外付けされた記憶装置に構築してもよい。
【0020】
管理装置1は、複数の端末装置2,3とネットワークを通じて通信を行い、端末装置2,3から情報を収集したり、端末装置2,3に情報を提供する。また、管理装置1は、各データベース4〜7の管理を行い、各データベース4〜7にアクセスして、各データベース4〜7に対してデータの読み出し、書き込みを行う。
【0021】
図2に示すように、食材データベース4には、健康状態を具体的に示す疾病、自覚症状、体調などの症例データベース7から得た症例と、症例に対する栄養素と、栄養素の必要量と、栄養素が含まれる食材と、栄養素の効能と、食材を使った料理メニューといったデータがそれぞれ保存され、症例ごとに関連するデータがまとめて管理される。
【0022】
食材データベース4に格納された症例として、高血圧症、低血圧症、糖尿病、動脈硬化症、貧血、高脂血症、狭心症、肥満、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、疲れ目、耳鳴り、口内炎、関節炎、花粉症、インフルエンザ、肺炎、気管支炎、食中毒、日焼け、水虫、ノイローゼ、神経症、自律神経失調症、うつ病、不眠症などがあげられる。
【0023】
そして、高血圧症に対する有効な栄養素として、カリウム、EPA、DHA、水溶性植物繊維、キチン・キトサン、アリシン、タウリン、α−リノレン酸、ビタミンE、セレン、オレイン酸、リノール酸、アルギン酸、マグネシウム、カルシウム、ビタミンD、イソロシン、ナトリウム、飽和脂肪酸、糖質・高カロリー、LDLコレステロールなどがあげられる。
【0024】
カリウムに関するデータとして、
必要量:(男性)2.5g、(女性)2.0g
食材:昆布、ひじき、ほうれん草、サトイモ、サツマイモ、大豆、木綿豆腐、キウイ、アボガド、バナナ
効能:Naを排出し、血圧を下げる。筋肉のエネルギーづくり
レシピ:大豆とひじきのおろしドレッシング、アボガドバナナドリンク、サトイモとイカの煮物、高野豆腐ととろろ昆布のすまし汁
【0025】
同様に、他の栄養素に対しても、必要量、食材、効能、レシピのデータが食材データベース4に保存される。また、各症例についても同様にデータが保存される。なお、
図2のデータベース4に記載されている栄養素(有効成分)の必要量は1日当たりの数値である。
【0026】
ところで、それぞれの症例に対する栄養素において、症例に対して非常に有効な栄養素であって、必ず摂取すべき栄養素、有効であるので摂取すべき栄養素、症例に悪影響を及ぼすので摂取してはいけない栄養素などがある。それぞれの栄養素の有効性には軽重がある。そこで、症例に対する栄養素の重要度を設定して、重要度に応じて必要な栄養素がランク付けされる。必須の栄養素は重要度が高く設定され、最重要(A)、重要(B)、良(C)、不可(D)といったように段階的に重要度が設定される。食材データベース4には、この重要度に関するデータも保存されている。
【0027】
上記の高血圧症に対する栄養素では、カリウム、EPA、DHA、水溶性植物繊維、キチン・キトサン、アリシンが最重要とされる。タウリン、α−リノレン酸、ビタミンE、セレン、オレイン酸、リノール酸、アルギン酸、マグネシウムが重要とされる。カルシウム、ビタミンD、イソロシンが良とされる。ナトリウム、飽和脂肪酸、糖質・高カロリー、LDLコレステロールが不可とされる。
【0028】
図3に示すように、料理メニューデータベース5には、料理メニュー、料理メニューで使用する食材、食材の使用量、食材に含まれる栄養素とその含有量やカロリー量に関するデータがそれぞれ保存され、料理メニューごとに関連するデータがまとめて管理される。料理メニューデータベース5には、日本だけでなく世界各国の郷土料理や各地域特産の食材を使った地域固有の料理メニューが含まれる。
【0029】
多数の料理メニューが料理メニューデータベース5に格納され、随時料理メニューが追加あるいは更新される。格納された料理メニューの一例として、「鶏肉の香味焼き」4人分の場合、食材は、鶏もも肉150g、青じそ1枚、パン粉大さじ3、バター20g、サラダ菜2枚、玉ねぎのすりおろし1/2個分、にんじんのすりおろし1/2本分、酒大さじ2、みりん大さじ2、薄口しょうゆ大さじ2とされる。
【0030】
そして、食品成分データベース5に基づいて、食材ごとのカロリー量および栄養素のデータが保存される。例えば、鶏もも肉では、カロリー量253kcal、たんぱく質17.3g、脂質19.1g、ナトリウム42mg、カルシウム8mgといったように多数の栄養素の含有量のデータが保存される。なお、このデータベース5に示されている値は、可食部100g当たりに含まれる成分を表している。他の食材についても同様にカロリー量および各栄養素の含有量のデータが保存される。また、各料理メニューについても同様にデータが保存される。
【0031】
ユーザ情報データベース6には、システムに登録されたユーザの居住地、出身地などの個人情報、生体情報や病歴などの健康情報、過去に食事した料理メニューなどの食事履歴に関する食事情報などのデータがそれぞれ保存され、個人ごとに関連するデータがまとめて管理される。管理装置1は、ユーザの健康情報や食事情報を取得すると、これらの情報をユーザ情報データベース6に蓄積していく。
【0032】
図4に示すように、管理装置1は、ネットワークを通じて通信を行う通信部10と、ユーザに提供する料理メニュー情報を選定するための処理を行う制御部11とを備えている。そして、ユーザの現状の健康状態に応じた適切な料理メニュー情報を合理的に選定するために、制御部11は、ユーザに必要な栄養素を抽出する分析部12と、必要栄養素に基づいて料理メニューを選び出す評価部13と、ユーザが食事する時点において適切と思われる料理メニューを決める決定部14とを有する。
【0033】
制御部11は、管理装置1に実装された料理メニュー提供用のアプリケーションソフトウェアに基づいて所定の手順で各部の動作を実行していく。
【0034】
通信部10は、端末装置2,3と通信を行い、ユーザ用の端末装置2から健康情報および情報収集用の端末装置3から生体情報を受け取る。また、通信部10は、制御部11により選定された料理メニューに関する料理メニュー情報をユーザ用の端末装置2に出力する。
【0035】
分析部12は、料理メニューデータベース5から選択された料理メニューに使用される食材をリストアップし、食材データベース4から特定の健康状態に関連する栄養素を抽出して、特定の健康状態に対する栄養素の必要量を確定する。また、分析部12は、端末装置2,3からユーザの健康情報を取得したとき、健康情報に基づいてユーザの症例を判断して、現状の健康状態を特定する。そして、分析部12は、この健康状態に対して必要な栄養素を抽出する。
【0036】
評価部13は、現状の健康状態に対する栄養素の必要量と料理メニューにおける栄養素の含有量とに基づいて料理メニューをポイント化して、料理メニューデータベース5に格納されている各料理メニューを食材データベース4に格納されている健康状態ごとに評価する。
【0037】
すなわち、評価部13は、現状の健康状態に対する栄養素の必要量と料理メニューにおける栄養素の含有量とを比較して、現状の健康状態に応じた料理メニューのポイントを算出する。ここで、料理メニューにおける栄養素の含有量は、料理メニューに使用される各食材に含まれる栄養素の含有量を合計したものである。
【0038】
評価部13は、栄養素ごとに比較を行い、後者の含有量が前者の必要量以上のとき、料理メニューのポイントを加点し、後者の含有量が前者の必要量未満のとき、ポイントを加点しない。
【0039】
例えば、料理メニューの栄養素の含有量が現状の健康状態に対する栄養素の必要量より少ないとき、0ポイント、前者の含有量が後者の必要量と同じとき、3ポイント、前者の含有量が後者の必要量より多いとき、5ポイントが付与される。このとき、栄養素の重要度が高いほどポイントが高くされる。例えば、重要度が最重要の栄養素では、ポイントが2倍される。重要度が重要の栄養素では、ポイントは1倍とされる。なお、必要量の所定範囲内、例えば±10%内に含有量があるとき、含有量と必要量とは同じとする。
【0040】
また、評価部13は、現状の健康状態に対する必要なカロリーと料理メニューのカロリーとを比較する。評価部は、後者のカロリーが前者のカロリーより低いとき、料理メニューのポイントを加点する。すなわち、後者のカロリーが前者のカロリー以下のとき、料理メニューのポイントが加点され、後者のカロリーが前者のカロリーより多いとき、料理メニューのポイントが減点され、両者のカロリーが同じとき、0ポイントとされる。
【0041】
評価部13は、料理メニューのポイントを合計して、
図5に示すような料理メニューデータベース5にある料理メニューに対する症例ごとのポイントを一覧にした評価テーブルを作成する。評価テーブルは、管理装置1の記憶装置に保存される、あるいはいずれかのデータベースに保存される。
【0042】
そして、評価部13は、各料理メニューのポイントの高低によって現状の健康状態に対する料理メニューの適否を評価する。すなわち、評価部13は、ポイントの高い料理メニューはユーザの健康状態に対して必要な栄養素を摂取できることが可能な料理メニューであると判断して、ポイントの高い順に複数の料理メニューをピックアップする。
【0043】
決定部14は、最新の気象情報を取得して、気象情報および季節や食事時間などの時間情報に基づいて、評価部13によりピックアップされた複数の料理メニューの中から適切な料理メニューを絞り込む。すなわち、決定部14は、ユーザが食事する時点での健康状態を推測して、この健康状態に対して必要な栄養素を摂取できるように、ピックアップされたポイントの高い料理メニューのポイントを調整し、最終的にポイントの高い料理メニューを複数選び出す。
【0044】
ユーザがいる位置における最新の気象情報を取得するために、管理装置1は、ユーザの位置情報を確認する。端末装置2がGPSを備えているとき、端末装置2は、GPSによりユーザの現在の位置情報を取得して、ユーザの位置情報を管理装置1に送信する。管理装置1は、端末装置2からユーザの位置情報を取得する。また、端末装置2が携帯電話網などを利用して無線通信するとき、管理装置1は、基地局や無線LANアクセスポイントなどの通信用の中継機から得られる位置情報に基づいてユーザの位置情報を取得する。
【0045】
管理装置1がユーザの位置情報を取得すると、決定部14は、ユーザの現在地における気象情報を取得する。管理装置1は、特定の位置における気象変化を予測した気象情報を作成する気象サーバ15にネットワークを通じてアクセス可能とされる。
【0046】
決定部14は、気象サーバ15からユーザの現在地の気象情報を取得して、予測される気象変化に基づいて食事する時間における気象を推測して、この気象に基づいて料理メニューのポイントを加減算する。そして、決定部14は、ポイントの高い複数の料理メニューをユーザに提供するのに適切な料理メニューとして選び出す。
【0047】
ユーザがこのシステムを利用できるように、ユーザが管理装置1に登録される。まず、ユーザは、端末装置2を操作して、管理装置1にアクセスする。管理装置1の制御部11は、料理メニュー提供用のアプリケーションソフトウェアを稼動して、ユーザ用の端末装置2の表示部16に入力画面を表示させる。
【0048】
ユーザは、表示された入力画面においてユーザ情報を入力する。端末装置2は、入力されたユーザ情報を管理装置1に送信する。管理装置1の制御部11は、受け取ったユーザ情報をユーザ情報データベース6に保存して、ユーザ登録を行う。ユーザ情報として、ユーザ名、居所、出身地、生年月日、身長体重などの身体的特徴量、既往症、健康基礎調査データが入力される。健康基礎調査データは、睡眠、食事、日常活動、社会活動、人的構成、住居、健康状態などの項目を含む。
【0049】
ここで、
図6に示すように、登録されたユーザが料理メニューの提供を希望するとき、ユーザは端末装置2の表示部16に表示されているレシピボタンを操作する(S1)。管理装置1は、現在の体調などのユーザの健康情報を入力させるための操作画面を端末装置2に表示させる。
【0050】
ユーザが端末装置2の操作画面を通じて、体調や体重、血圧、体温などの生体情報を入力する。例えば、体調を入力するための操作画面には、人体の部位名の入力ボタンが配置された人体の絵が表示される。ユーザは、申告したい部位の入力ボタンを操作して、痛い、具合が悪いといった具体的な状況を入力すると、端末装置2は、ユーザの体調に関する健康情報を生成する。端末装置2は、体調、生体情報を含むユーザの健康情報を管理装置1に送信する。管理装置1は、受け取ったユーザの健康情報をユーザ情報データベース6に蓄積していく(S2)。
【0051】
一方、定期的にあるいは随時、情報収集用の端末装置3がユーザの生体情報を収集すると、情報収集用の端末装置3は、直接管理装置1に生体情報を送信する、あるいはユーザ用の端末装置2を通じて管理装置1に生体情報を送信する。
【0052】
管理装置1の制御部11は、情報収集用の端末装置3から取得したユーザの健康情報もユーザ情報データベース6に蓄積していく。管理装置1が端末装置2,3からユーザの健康情報を受け取ったとき、制御部11は、受け取った健康情報に生体情報が含まれていないことを確認すると、ユーザ情報データベース6から当該ユーザの最新の生体情報を読み出すことにより、ユーザの健康情報を取得する。
【0053】
管理装置1の制御部11は、ユーザの健康情報を取得するとともに、ユーザ用の端末装置2からユーザの位置情報を取得して、ユーザの位置情報に基づき気象サーバ15からユーザの現在地における気象情報を取得する(S3)。気象サーバ15が提供する気象情報は、1kmメッシュの予報範囲の気象情報であり、一定時間ごと、例えば5分ごとに更新される。
【0054】
制御部11は、取得した気象情報からユーザの現在地における今後の気象変化を分析し、ユーザの健康情報を解析してユーザの現状の健康状態を認識し、生気象学に基づいて今後の気象変化を考慮した健康アドバイスを生成する。制御部11は、健康アドバイスに関する情報をユーザ用の端末装置2に送信する。ユーザ用の端末装置2は、受け取った情報を表示して、ユーザに健康アドバイスを提示する(S4)。
【0055】
管理装置1が料理メニューを選定するとき、管理装置1の制御部11は、ユーザの体調などを含む健康情報およびユーザの現在地における気象情報に基づいて、ユーザにとって必要な栄養素を抽出して、必要な栄養素を含む料理メニューを選び出す。このように選定された料理メニューがユーザの現状の健康状態にとって適切な食事となる。
【0056】
まず、分析部12は、端末装置2,3から取得した健康情報を分析して、ユーザの体調、生体情報を確認する。また、分析部12は、ユーザ情報データベースから該当するユーザのユーザ情報を読み出し、健康情報やユーザ情報に基づいてユーザの現状の健康状態を認識する(S5)。そして、分析部12は、ユーザの現状の健康状態に対応する1つあるいは複数の症例を導き出す(S6)。
【0057】
次に、評価部13は、導き出された症例に対する各料理メニューのポイント化を行う(S7)。ここで、すでに評価テーブルが作成されている場合、評価部13は、評価テーブルを参照して、導き出された症例に対する各料理メニューのポイントを読み出す。なお、評価テーブルがない場合、評価部13は、ユーザの症例にとって必要な栄養素の必要量と料理メニューにおける栄養素の含有量とを比較して、ユーザの症例に応じた料理メニューのポイントを算出する。
【0058】
評価部13は、料理メニューデータベース5に格納されている各料理メニューに対してそれぞれポイントを算出する。なお、食材データベース4の栄養素の必要量は1日当たりの数値であるので、1回の食事での必要量に換算される。このとき、1回の必要量は朝食、昼食、夕食のように食事時間に応じて換算されるが、ユーザの時間ごとの食事量に応じて換算の割合は異なる。例えば、昼食の食事量が最も多いユーザは、昼食時での必要量は夕食時での必要量よりも多くされる。また、評価部13は、ユーザ情報データベース6からユーザの年齢、性別、体格(身長、体重、体脂肪率)出身地を確認して、栄養素の必要量を補正する。すなわち、年齢が若い、男性、体格がよいといった場合、栄養素の必要量が多めに設定される。また、暑い国出身、寒い国出身といった出身地によって基礎代謝量が異なるので、出身地も考慮して、栄養素の必要量が補正される。
【0059】
例えば、ユーザが高血圧症であるとき、食材データベース4によると、最も必要な栄養素は、カリウム、EPA、DHA、水溶性植物繊維、キチン・キトサン、アリシンとされる。料理メニューを鶏肉の香味焼きとして、料理メニューデータベース5に基づいてポイントの採点を行う。
【0060】
この料理メニューに使用される各食材のカリウムの含有量の合計は必要量よりも少ないので、ポイントは0となる。EPA、DHAを含む食材は使用されていない。水溶性植物繊維の含有量は必要量に足らず、ポイントは0。最重要のアリシンを含む食材が使用されているので、ポイントは6。重要のα−リノレン酸、オレイン酸、リノール酸を含む食材が使用されているので、ポイントはそれぞれ3。ビタミンE、セレン、マグネシウムのそれぞれの含有量は必要量よりも少なく、ポイントは0。アルギン酸を含む食材は使用されていない。料理メニューのカロリーは高血圧症に対して必要なカロリーよりも高いので、ポイントは0。したがって、鶏肉の香味焼きの高血圧症に対するポイントは、15となる。また、季節に応じて旬の食材が出てくるので、旬の食材を使用した料理メニューではポイントを加点してもよい。
【0061】
決定部14は、気象サーバ15から取得した気象情報に基づいて、ユーザの現在地における予測された気象変化から今後の気象を推測する(S8)。ユーザが食事時間を端末装置2に入力したとき、決定部14は、所定時間後の気象、すなわち食事する時点での気象を推測する。決定部14は、この気象に基づいて料理メニューのポイントを加減算して、食事する時点での気象に応じて料理メニューのポイントを調整する(S9)。
【0062】
気圧が低下すると、体にむくみがでる、気温が低下すると、血圧が高くなる、高温多湿になると、不快指数が上がる、といったように、急激な気候変化は人体にストレスを与え、体調が悪くなったり、情緒不安定といったように人体に影響を及ぼす。そこで、気候変化の影響を極力低減できるような食事を取ることが望ましい。
【0063】
そこで、気温が下がると予測されるとき、暖かい料理メニューではポイントが加点され、冷たい料理メニューではポイントが減点される。気温の低下により血圧が高くなるので、血圧を下げる効能を有する食材を含む料理メニューではポイントが加点される。気温が上がると予測されるとき、水分の多い食材あるいは体を冷やす効能を有する食材を含む料理メニューではポイントが加点される。逆に、体を温める効能を有する食材を含む料理メニューではポイントが減点される。
【0064】
気圧が下がると予測されるとき、血圧を下げる食材あるいは血行をよくする食材を含む料理メニューではポイントが加点される。また、むくみが起きやすくなるので、利尿作用がある食材を含む料理メニューではポイントが加点される。湿度が下がる、あるいは空気が乾燥すると予測されるとき、風邪やインフルエンザにかかりにくくするために免疫力を高める効能を有する食材を含む料理メニューではポイントが加点される。
【0065】
また、決定部14は、ユーザの位置情報から得られる地域特有の食材を使った料理メニューやその地域の郷土料理などの地域固有の料理メニューに対して、ポイントを加点する。(S10)。
【0066】
そして、決定部14は、ポイントを調整した料理メニューにおいて、ポイントの高い料理メニューをユーザに提供するのに適切な料理メニューとして選び出す(S11)。ポイントの高い順に複数の料理メニューが選び出される。このとき、決定部14は、ユーザ情報データベース6のユーザの食事情報を参照して、過去に食事された料理メニューを確認して、同種の料理メニューが含まれているかをチェックする。同種の料理メニューがあるとき、決定部14は、この料理メニューを選択の対象から除外する。
【0067】
この後、決定部14は、選定された複数の料理メニューをユーザに提示する(S12)。制御部11は、選定された料理メニューに関して、レシピとユーザの健康状態に対するアドバイスを含む料理メニュー情報を作成して、料理メニュー情報をユーザの端末装置2に出力する。また、制御部11は、作成した料理メニュー情報を当該ユーザの食事情報としてユーザ情報データベース6に蓄積する。
【0068】
ユーザの端末装置2は、管理装置1から料理メニュー情報を受信すると、表示部16に料理メニュー情報を表示させる。表示部16には、料理メニューに用いる食材やレシピが表示される。このとき、最もポイントの高い1番目の料理メニューが最も目立つように表示される。例えば、それぞれの料理メニューが載せられた複数のページが重ねて表示され、1番目の料理メニューのページが最前面に表示される。
【0069】
ユーザは、端末装置2に表示された料理メニューを見て、複数の料理メニューから1つの料理メニューを選択する操作を行うと、端末装置2は、選択された料理メニューのレシピを表示する。端末装置2に、料理メニューの作り方と使用される食材が表示される。ユーザが提示された料理メニューから希望する料理メニューを決めると、端末装置2は、ユーザが選択した料理メニューを管理装置1に送信する。管理装置1の制御部11は、選ばれた料理メニューをユーザが食事した料理メニューとしてユーザ情報データベース6に蓄積する。このようにして、ユーザの食事履歴を管理することができる。
【0070】
ここで、ユーザがこの料理メニューを希望するとき、料理メニューを作るために必要な食材を準備しなければならない。このために、管理装置1は、食材を購入できるようにするための手段を提供する。この手段として、例えば、ユーザが所望する食材をユーザの手元に届けるネットショッピングである場合、管理装置1は、端末装置2にショッピングサイトのページを表示させ、ユーザは、端末装置2を操作して、所望する食材を注文する。あるいは、ユーザ自身が店舗に買いに行けるように、管理装置1は、食材を購入可能な店舗の情報を端末装置2に表示させる。そして、管理装置1は、端末装置2にこの店舗に行くために電車、バスなどの交通機関を案内する情報を表示させる。ユーザは、提供された情報を見て、買い物に行く。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。管理装置1がユーザの健康情報に基づいてユーザの現状の健康状態を解析した結果、複数の症例が導き出されるとき、1つの料理メニューに対してそれぞれの症例ごとにポイントが算出される。この場合、最も高いポイントがこの料理メニューに対するポイントとされる。
【0072】
料理メニューを提示するとき、複数回分の料理メニューを提示してもよい。管理装置1の制御部11は、ユーザがアクセスした時間に基づいて、朝食と昼食、昼食と夕食、朝食と昼食と夕食といったように食事時間ごとの料理メニューを選定する。このとき、決定部14は、それぞれの食事時間における気象を予測して、各料理メニューのポイントを調整する。
【0073】
また、気象情報は一定時間ごとに更新されるので、管理装置1の制御部11は、最新の気象情報に基づいて急激な気象変化が予測されるかをチェックする。急激な気象変化が予測されると、決定部14は、気象変化に応じて料理メニューのポイントを調整して、ユーザにとって適切な料理メニューを再び選び出す。選定された複数の料理メニューがユーザに提示される。