特許第6805092号(P6805092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6805092警告出力装置、警告出力方法、及び警告出力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805092
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】警告出力装置、警告出力方法、及び警告出力システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-137028(P2017-137028)
(22)【出願日】2017年7月13日
(65)【公開番号】特開2019-20894(P2019-20894A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤地 雅史
(72)【発明者】
【氏名】古賀 昌史
(72)【発明者】
【氏名】古郡 弘滋
(72)【発明者】
【氏名】阿部 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 大志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 誠
【審査官】 佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−217956(JP,A)
【文献】 特開2017−033126(JP,A)
【文献】 特開2014−095987(JP,A)
【文献】 特開2012−111274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00−60/00
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手がよそ見をしたことを示すよそ見情報を取得する運転手状況取得部と、
車両状況を取得する車両状況取得部と、
前記車両状況に応じた警告である車両警告を受信する車両警告受信部と、
前記運転手がよそ見をし、かつ前記警告を受信した場合に生成される適応ルール情報であって、受信した前記警告に係る前記車両状況から定まる所定の条件と、前記運転手の識別情報と、を関連付けて生成され適応ルール情報を取得する適応ルール取得部と、
前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得すると、前記適応ルール情報においてよそ見をした前記運転手と関連付けられた前記所定の条件と、前記車両状況取得部により取得された前記車両状況とを比較し、前記所定の条件を前記車両状況が満たすか否かを判定する出力判定部と、
前記出力判定部が前記所定の条件を満たすと判定する場合に、よそ見に関する警告であるよそ見警告を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする、警告出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の警告出力装置であって、
前記出力部は、前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得しても、前記車両状況が前記所定の条件を満たさない場合には、前記よそ見警告の出力を抑制することを特徴とする、警告出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の警告出力装置であって、
運転手の特定に用いる運転手関連情報を取得する運転手関連情報取得部を備え、
前記適応ルール取得部は、前記運転手関連情報を用いて特定された前記運転手について生成された前記適応ルール情報を取得し、
前記出力部は、前記運転手関連情報を用いて特定された前記運転手の運転による前記車両状況が、該運転手に係る前記適応ルール情報により特定される前記所定の条件を満たす場合に、前記よそ見警告を出力することを特徴とする、警告出力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の警告出力装置であって、
前記適応ルール取得部は、前記運転手関連情報を用いて特定された前記運転手の前記適応ルール情報が特定できない場合には該適応ルール情報を取得せず、
前記出力部は、前記適応ルール取得部が前記適応ルール情報を取得しない場合であって、前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得した場合に、前記よそ見警告を出力することを特徴とする、警告出力装置。
【請求項5】
請求項1に記載の警告出力装置であって
記車両警告受信部は、種別を特定した前記車両警告を受信し、
前記適応ルール情報には、前記種別が含まれ、
前記出力判定部は、前記種別を用いて特定される閾値を前記所定の条件として特定し、前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得すると、前記車両状況取得部により取得される前記車両状況を示す値と前記閾値とを用いて前記所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする、警告出力装置。
【請求項6】
請求項1に記載の警告出力装置であって、
前記出力部は、前記よそ見警告に応じた振動パターンを特定し、該振動パターンを用いて運転席を振動させることを特徴とする、警告出力装置。
【請求項7】
警告出力装置が行う警告出力方法であって、
前記警告出力装置は、運転手状況取得部と、車両状況取得部と、車両警告受信部と、適応ルール取得部と、出力判定部と、出力部と、を備え、
前記運転手状況取得部は、運転手がよそ見をしたことを示すよそ見情報を取得する運転手状況取得手順を実行し、
前記車両状況取得部は、車両状況を取得する車両状況取得手順を実行し、
前記車両警告受信部は、前記車両状況に応じた警告である車両警告を受信する車両警告受信手順を実行し、
前記適応ルール取得部は、前記運転手がよそ見をし、かつ前記警告を受信した場合に生成される適応ルール情報であって、前記警告に係る前記車両状況から定まる所定の条件と、前記運転手の識別情報と、を関連付けて生成され適応ルール情報を取得する適応ルール取得手順を実行し、
前記出力判定部は、前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得すると、前記適応ルール情報においてよそ見をした前記運転手と関連付けられた前記所定の条件と、前記車両状況取得部により取得された前記車両状況とを比較し、前記所定の条件を前記車両状況が満たすか否かを判定する出力判定手順を実行し、
前記出力部は、前記出力判定手順において前記所定の条件を満たすと判定される場合に、よそ見に関する警告であるよそ見警告を出力する出力手順を実行することを特徴とする、警告出力方法。
【請求項8】
ルール管理装置と、車両の有する警告出力装置と、を備える警告出力システムであって、
前記ルール管理装置は、
前記車両の運転手がよそ見をし、かつ前記警告出力装置が車両状況に応じた警告である車両警告を受信した場合に、前記警告に係る前記車両状況から定まる所定の条件と、前記運転手の識別情報と、を関連付けて適応ルール情報を生成する情報生成部と、
前記適応ルール情報を前記警告出力装置に送信する適応ルール送信部と、を備え、
前記警告出力装置は、
前記運転手がよそ見をしたことを示すよそ見情報を取得する運転手状況取得部と、
前記車両状況を取得する車両状況取得部と、
前記車両警告を受信する車両警告受信部と、
前記運転手がよそ見をし、かつ前記警告を受信した場合に生成される適応ルール情報を取得する適応ルール取得部と、
前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得すると、前記適応ルール情報においてよそ見をした前記運転手と関連付けられた前記所定の条件と、前記車両状況取得部により取得された前記車両状況とを比較し、前記所定の条件を前記車両状況が満たすか否かを判定する出力判定部と、
前記出力判定部が前記所定の条件を満たすと判定する場合に、よそ見に関する警告であるよそ見警告を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする、警告出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告出力装置、警告出力方法、及び警告出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転支援装置に関する技術が開示されている。該文献の段落[0035]には、「危険運転検知部31は、車両の運転者の危険回避行動(危険運転)を検知する。」と記載され、段落[0040]には、「危険履歴作成部34は、危険運転検知部31が危険回避行動を検知するごとに、危険回避行動を検知した時の自車の位置を少なくとも含む危険履歴情報を作成し、記憶部14に記憶させる。」と記載されている。また、段落[0020]には、「スピーカ15は、制御部16により制御されて、自車が前記危険履歴情報に含まれた位置に向かっていると、安全運転を促す警告情報などの各種情報に対応した音声やビープ音などを出力する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−219736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転手がよそ見をした場合に、警告を出力する技術がある。しかしながら、右折や左折等の進路変更や車線変更等、運転操作に必要な視線移動についても警告が出力されることがあり、煩わしさが生じる。また、特許文献1に記載するように、危険回避行動等の車両状況の履歴を蓄積し、同じ場所に位置したときに運転手に注意を促す技術にあっては、場所の情報のみで警告が出力されてしまうため、出力される警告が運転手にとって本当に注意すべきとは限らない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、適切に警告の出力を行うことができる警告出力装置、警告出力方法、及び警告出力システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の警告出力装置は、運転手がよそ見をしたことを示すよそ見情報を取得する運転手状況取得部と、車両状況を取得する車両状況取得部と、前記車両状況に応じた警告である車両警告を受信する車両警告受信部と、前記運転手がよそ見をし、かつ前記警告を受信した場合に生成される適応ルール情報であって、前記警告に係る前記車両状況から定まる所定の条件と、前記運転手の識別情報と、を関連付けて生成され適応ルール情報を取得する適応ルール取得部と、前記運転手状況取得部が前記よそ見情報を取得すると、前記適応ルール情報においてよそ見をした前記運転手と関連付けられた前記所定の条件と、前記車両状況取得部により取得された前記車両状況とを比較し、前記所定の条件を前記車両状況が満たすか否かを判定する出力判定部と、前記出力判定部が前記所定の条件を満たすと判定する場合に、よそ見に関する警告であるよそ見警告を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切に警告の出力を行うことができる警告出力装置、警告出力方法、及び警告出力システムを提供することができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】警告出力システムの機能ブロックの一例を示す図である。
図2】出力警告情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3】出力特定情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4】車両警告検知情報のデータ構造の一例を示す図(その1)である。
図5】車両警告検知情報のデータ構造の一例を示す図(その2)である。
図6】個人適応ルール情報のデータ構造の一例を示す図である。
図7】警告出力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】運転支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9】ルール管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10】ルール管理装置の記憶部に記憶された個人適応ルール情報の生成処理の一例を示すシーケンス図である。
図11】警告出力装置における警告出力処理の一例を示すフローチャートである。
図12】出力情報の一例を示す図(その1)である。
図13】出力情報の一例を示す図(その2)である。
図14】出力情報の一例を示す図(その3)である。
図15】出力情報の一例を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。図1は、警告出力システム1の機能ブロックの一例を示す図である。本実施形態における警告出力システム1は、車両(以下、「車両A」と記載)に搭載される警告出力装置10及び運転支援装置20と、ルール管理装置30と、を含む。
【0012】
警告出力装置10は、ユーザーに情報を出力する、車載される装置である。警告出力装置10は、例えばナビゲーション装置、電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)、PC(Personal Computer)、又はスマートフォン等の情報処理装置である
【0013】
運転支援装置20は、例えば先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)の機能や、自動運転制御システムの機能を有する、車載される装置である。運転支援装置20は、ECU等の情報処理装置であってもよい。運転支援装置20は、カメラや赤外線等のセンサーを用いて車両Aの走行状況及び周囲を測定するとともに、前方や周囲を走行中の車両や歩行者等、車両Aの外にある物を検出する。なお、警告出力装置10と運転支援装置20とは通信可能に接続されていればよく、通信方法は限定しない。
【0014】
ルール管理装置30は、例えばサーバー装置、又はPC等の情報処理装置である。ルール管理装置30は、例えば複数の車両に対し警告を出力させるサービスを提供する事業者の有する装置である。ルール管理装置30は、警告を出力する際の条件に関する情報を運転手毎に管理する個人適応ルール情報を生成する装置であって、1又は複数の警告出力装置10と通信可能に接続される。
【0015】
運転支援装置20は、車外用カメラ401と通信可能に接続されている。また、警告出力装置10は、車内用カメラ402と、シート振動機能403と、スピーカー404と、ヘッドアップディスプレイ405と、メーターディスプレイ406と、に通信可能に接続されている。車外用カメラ401及び車内用カメラ402は、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサーを用いた撮像装置であって、静止画又は動画を撮影する。車外用カメラ401は車外の状況を撮影し、車内用カメラ402は車内の状況を撮影する。
【0016】
なお、運転支援装置20は、車両Aと、車両Aを除く他の車両及び障害物との位置関係等、車両Aの外部の状況と、車速及びブレーキ操作の有無等の車両Aの走行状況と、を含む車両状況を取得可能である。運転支援装置20は、車両状況を取得するため、車外用カメラ401に代えて、又は車外用カメラ401に加えて、車外の物との距離を特定可能なセンサーや、レーダー、又はLIDER(Light Detection and Ranging)と接続されていてもよい。
【0017】
また、運転支援装置20は、車速センサー、測位信号受信機、ジャイロセンサ、地磁気センサー、傾斜センサー、温度センサー、人感センサー等、CAN(Controller Area Network)を介して接続された他の装置から車両状況を取得してもよい。なお、車外用カメラ401は、警告出力装置10とも通信可能に接続されていてもよい。
【0018】
シート振動機能403は、運転席に内蔵され、例えば振動子を用いて運転席を振動させる。シート振動機能403は、例えば運転席の異なる位置に設置される複数の振動子を有し、各々の振動子は独立して制御することができる。シート振動機能403により、運転手に対して通知する情報に応じて予め定められたパターンで各々の振動子を振動させることができる。
【0019】
スピーカー404は、音声を出力する装置である。ヘッドアップディスプレイ405は、車内のフロントガラス下部にあるインストルメントパネル上部に配置されるディスプレイである。ヘッドアップディスプレイ405は、例えばフロントガラス手前に設けられたコンバイナーに画像を投影することにより機能を発揮するディスプレイであってもよいし、フロントガラスに直接映像を投影させることによりその機能を発揮するものであってもよい。
【0020】
メーターディスプレイ406は、インストルメントパネルに設置されたLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイである。
【0021】
警告出力装置10は、制御部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、車内用通信部150と、車外用通信部160と、を備える。制御部110は、警告出力装置10の全体を統括的に制御する。記憶部120は、制御部110の処理に必要な情報を記憶する。入力部130は、タッチパネル等の入力装置を介して入力された情報を取得する。出力部140は、シート振動機能403、スピーカー404、ヘッドアップディスプレイ405、又はメーターディスプレイ406等の出力装置に対して情報を出力する。車内用通信部150は、運転支援装置20との情報の送信及び受信を仲介する。車外用通信部160は、例えば図示しないネットワークを介してルール管理装置30との情報の送信及び受信を仲介する。
【0022】
制御部110は、個人適応ルール取得部111と、車両状況取得部112と、運転手状況取得部113と、運転手関連情報取得部114と、車両警告受信部115と、出力判定部116と、を備える。個人適応ルール取得部111は、車両Aの運転手について生成された個人適応ルール情報をルール管理装置30から取得する。
【0023】
なお、運転手に対して個人適応ルール情報が生成されていない場合には、ルール管理装置30は個人適応ルール情報を送信しないため、個人適応ルール取得部111は個人適応ルール情報を取得しない。
【0024】
車両状況取得部112は、車両Aの状況に関する車両状況を取得する。車両状況取得部112は、例えば車外用カメラ401を用いて運転支援装置20が取得した車両状況を定期的に取得する。先述したように、車両状況とは、車両Aの外部の状況、及び車両Aの走行状況であって、例えば他の車両の車両Aに対する相対的な位置及び車両Aとの間隔や、歩行者や自転車を含む車両Aの周辺の物の位置及び車両Aとの間隔、車両Aの車速、ブレーキ操作の有無等を含む。
【0025】
運転手状況取得部113は、運転手の状況を示す運転手状況を取得する。より具体的には、運転手状況取得部113は、運転手がよそ見をしたことを示すよそ見情報を取得する。
【0026】
運転手の視点から車両Aの前方方向へと延伸する方向を正常視線方向とし、正常視線方向から上下左右に向けて所定角度以内(例えば20度)の範囲を正常視野とする。よそ見とは、運転手の視線が正常視野外へと向いている状態をいう。運転手状況取得部113は、車内用カメラ402を用いて運転手の視点及び視線方向を取得し、視線方向が正常視野外へと向いているか否かを判定することにより、よそ見を検知する。運転手状況取得部113がよそ見を検知した場合には、よそ見情報を取得したものと取り扱う。
【0027】
なお、画像データから運転手の視線方向を取得する技術は一般的なものを用いることができる。
【0028】
運転手状況取得部113は、運転手の視線に関する状況以外の、運転手に関する情報を運転手状況として取得してもよい。例えば、運転手状況取得部113は、図示しない生体センサーを用いて検知された、運転手の脈拍や心拍、呼吸数等の生体情報を運転手状況として取得してもよい。以下、よそ見や不適切な姿勢等、警告すべき状況として予め定められた運転手状況を、運転手要因として説明する。
【0029】
運転手関連情報取得部114は、車両Aの運転手の特定に用いる運転手関連情報を取得する。運転手関連情報は、例えば運転手の生体情報である。運転手関連情報取得部114は、例えば車内用カメラを用いて運転手の顔を撮影し、目、鼻、口等の位置情報、即ち運転手の生体情報を運転手関連情報として取得する。運転手関連情報取得部114は、取得した運転手関連情報をルール管理装置30に送信する。
【0030】
なお、運転手関連情報取得部114は、図示しない生体認証用デバイスを用いて運転手の生体情報を取得してもよいし、入力部130を介して入力された運転手の個人番号等の識別情報を運転手関連情報として取得してもよい。
【0031】
車両警告受信部115は、運転支援装置20から送信される車両警告を受信する。車両警告は、車両状況が所定の状況である場合に運転支援装置20から送信されるが、詳細は後述する。受信する車両警告には、車両警告の種別が特定されている。
【0032】
出力判定部116は、警告出力装置10の有する、又は警告出力装置10に接続される各ディスプレイやシート振動機能403等の出力装置に対して、警告を出力するか否かを判定する。出力判定部116は、運転支援装置20から車両警告を受信した場合に、車両警告に関する情報を運転手に対し出力する。
【0033】
また、出力判定部116は、運転手状況取得部113の取得した運転手状況が、運転手要因に該当するか否かを判定する。判定には、予め記憶部120に記憶された図示しない運転手要因の定義情報を用いてもよい。また、出力判定部116は、運転手要因が検知された場合であって、個人適応ルール情報により特定される所定の条件を、車両状況が満たす場合には、運転手要因に関する注意を促す運転手要因警告を出力すると判定する。
【0034】
なお、運転手要因としてよそ見が検知された場合、出力判定部116はよそ見への注意を促すよそ見警告を運転手要因警告として出力する。
【0035】
記憶部120は、個人適応ルール情報121と、出力警告情報122と、出力特定情報123と、を記憶する。個人適応ルール情報121は、車両Aの運転手に対して生成された情報であって、運転手の識別情報をルール管理装置30に送信することにより取得される。出力警告情報122は、各出力装置に出力する情報の詳細を示すものである。出力特定情報123は、車両警告、運転手要因、又は車両警告と運転手要因との組合せに対し、出力する情報を特定する出力識別情報が関連付けられた情報である。
【0036】
運転支援装置20は、制御部210と、通信部220と、を備える。制御部210は、運転支援装置20の全体を統括的に制御する。通信部220は、警告出力装置10との間の車両警告の送受信を仲介する。
【0037】
制御部210は、状況検知部211と、車両警告通知部212と、を備える。状況検知部211は、車外用カメラ401を用いて車両状況を検知する。車両警告通知部212は、状況検知部211の検知した車両状況が、警告要因として予め定められた状況である場合に、種別を特定した車両警告を警告出力装置10に送信する。車両警告通知部212は、例えば前方車両との車間距離が所定距離以下である場合に、車両警告を通知する。また、車両警告通知部212は、状況検知部211の検知した車両状況を警告出力装置10に通知する。
【0038】
ルール管理装置30は、制御部310と、記憶部320と、通信部330と、を備える。制御部310は、ルール管理装置30の全体を統括的に制御する。記憶部320は、ルール管理装置30による個人適応ルール情報322の管理に必要な情報を記憶する。通信部330は、警告出力装置10との間で情報の送受信を仲介する。
【0039】
制御部310は、情報生成部311と、個人適応ルール送信部312と、運転手特定部313と、を備える。情報生成部311は、警告出力装置10が運転支援装置20から車両警告を受信し、かつ該警告出力装置10を有する車両Aの運転手のよそ見を含む運転手要因が検知された場合に、運転手の識別情報を関連付けた個人適応ルール情報322を生成する。個人適応ルール情報322には、警告出力装置10が受信した車両警告の種別が含まれる。
【0040】
また、情報生成部311は、記憶部320の図示しない領域に格納された、車両警告の種別に対する車両状況の閾値を個人適応ルール情報322に関連付ける。
【0041】
個人適応ルール送信部312は、警告出力装置10から送信された運転手関連情報を用いて運転手を特定し、当該運転手について生成された個人適応ルール情報322を警告出力装置10に送信する。運転手特定部313は、警告出力装置10からの運転手関連情報を用いて後述の運転手情報を参照することにより、運転手の識別情報を特定する。個人適応ルール送信部312は、運転手の識別情報を用いて、該運転手の個人適応ルール情報322を特定する。
【0042】
記憶部320は、車両警告検知情報321と、個人適応ルール情報322と、運転手情報323とを記憶している。車両警告検知情報321は、警告出力装置10が車両警告を受信した場合に生成される情報であって、車両警告の種別や、車両警告受信の際の車両状況等を含む。
【0043】
個人適応ルール情報322は、警告出力装置10の運転手毎に生成される情報であって、車両警告の種別を含む。ルール管理装置30の記憶部320に記憶される個人適応ルール情報322は、該ルール管理装置30に接続される1又は複数の警告出力装置10を有する車両Aの運転手毎に生成される情報である。一方、警告出力装置10の記憶部120に記憶される個人適応ルール情報121は、該警告出力装置10の有する車両Aの運転手に対し生成される情報である。
【0044】
運転手情報323は、警告出力装置10から受信する生体情報等の運転手関連情報と、運転手の識別情報とを関連付けた情報である。警告出力装置10から受信した運転手関連情報を用いて運転手情報323を参照することにより、運転手の識別情報が特定可能である。
【0045】
図2は、出力警告情報122のデータ構造の一例を示す図である。出力警告情報122は、出力識別情報122aと、ヘッドアップディスプレイ122bと、メーターディスプレイ122cと、シート振動機能122dと、音声情報122eと、を含む。
【0046】
出力識別情報122aは、出力警告情報122の各レコードを特定する識別情報である。ヘッドアップディスプレイ122bは、ヘッドアップディスプレイ405に表示する情報を特定する識別情報である。メーターディスプレイ122cは、メーターディスプレイ406に表示する情報を特定する識別情報である。シート振動機能122dは、シート振動機能403の振動パターンを特定する識別情報である。音声情報122eは、スピーカー404を介して出力する音声情報を特定する情報である。
【0047】
例えば、図2に示す出力警告情報122の最上位のレコードに含まれる出力識別情報122aを出力すると警告出力装置10が判定した場合、該レコードに含まれるヘッドアップディスプレイ122b、メーターディスプレイ122cにより特定される情報が出力される。また、同レコードに含まれるシート振動機能122dにより特定される振動パターンで、シート振動機能403が振動する。また、スピーカー404を介して、「よそ見注意 前方車間距離に注意してください」と発声する音声情報122eが出力される。
【0048】
図3は、出力特定情報123のデータ構造の一例を示す図である。出力特定情報123は、警告種別123aと、運転手要因123bと、出力識別情報123cと、を含む。警告種別123aは、車両警告の種別を示す情報である。運転手要因123bは、運転手要因を示す情報である。出力識別情報123cは、出力装置に出力する情報を特定する識別情報である。
【0049】
図4は、車両警告検知情報321のデータ構造の一例を示す図(その1)である。車両警告検知情報321は、運転手識別情報321aと、検知識別情報321bと、車両警告321cと、車両警告発生時の周辺状況321dと、を含む。
【0050】
運転手識別情報321aは、車両警告を受信した警告出力装置10を有する車両Aの運転手を特定する識別情報である。検知識別情報321bは、車両警告検知情報321のレコードを特定する識別情報である。車両警告321cは、警告出力装置10の受信した車両警告の種別を示す情報である。
【0051】
車両警告321cは、例えば「前方衝突」、「後方衝突」、「歩行者」、「自転車」、「ふらつき」「車線逸脱」等の情報を種別として含む。「前方衝突」とは、車両Aと車両Aの前方の車両との車間距離が所定距離以下となる警告要因が検知された場合の車両警告の種別であって、「歩行者」とは、車両Aと歩行者との間隔が所定距離以下となる場合の車両警告の種別である。
【0052】
車両警告発生時の周辺状況321dは、警告出力装置10が車両警告を受信した際の、車両Aの周辺の状況を示す情報である。車両Aの周辺の状況には、道路種別や、自車位置等の情報が含まれる。なお、道路種別や自車位置等の情報は、警告出力装置10が記憶部120の図示しない領域に記憶された地図情報と、後述の測位信号受信装置を用いて得られる車両Aの位置情報とを参照することにより特定可能である。なお、地図情報は、例えば車線、停止線、縁石、横断歩道、標識位置などのデータが数cmの誤差精度で記録されている高精度地図情報である。
【0053】
図5は、車両警告検知情報321のデータ構造の一例を示す図(その2)である。本図に示す車両警告検知情報321は、図4に示す車両警告検知情報321と併せて1つの車両警告検知情報321を構成する。図5に示す車両警告検知情報321は、図4に示す車両警告検知情報321と同様に、検知識別情報321bにより各レコードが特定される。
【0054】
図5に示す車両警告発生時の周辺状況321dには、周囲の車の状況や、自車の状況、歩行者及び自転車の有無を示す情報が含まれている。周囲の車の状況や、自車の状況、歩行者及び自転車の有無を示す情報は、例えば運転支援装置20から取得する車両状況を示す情報を参照することにより特定可能である。
【0055】
また、車両警告検知情報321は、運転手の状況321eを含む。運転手の状況321eは、車内用カメラ3211と、生体情報3212とを含む。車内用カメラ3211は、よそ見の検知や不適切な姿勢の検知など、車内用カメラを用いて特定可能な情報を含んでいる。生体情報3212は、運転手の脈拍や呼吸数等、例えば生体センサーを用いて特定可能な情報を含んでいる。
【0056】
図6は、個人適応ルール情報322のデータ構造の一例を示す図である。個人適応ルール情報322は、運転手識別情報322aと、車両警告種別322bと、ルール識別情報322cと、運転手要因322dと、検知識別情報322eと、出力識別情報322fと、閾値情報322gと、を含む。
【0057】
運転手識別情報322aは、車両Aの運転手を特定する識別情報である。車両警告種別322bは、運転支援装置20から送信された車両警告の種別を特定する情報である。ルール識別情報322cは、個人適応ルール情報322のレコードを特定する識別情報である。運転手要因322dは、車両警告が送信された際に検知された運転手要因を示す情報である。運転手要因322dは、例えばよそ見の検知を示す情報や、不適切な姿勢を検知したことを示す情報等である。
【0058】
検知識別情報322eは、車両警告検知情報321のレコードを特定する情報であって、車両警告検知情報321の検知識別情報321bと対応している。出力識別情報は、出力警告情報122のレコードを特定する情報であって、出力警告情報122の出力識別情報122aと対応している。閾値情報322gは、車両状況の閾値を示す情報である。
【0059】
なお、閾値情報322gにより、運転手要因による警告情報を出力するか否かが判定される。即ち、閾値情報322gは、運転手要因警告を出力するか否かの条件を示す情報といえる。車両状況取得部112により取得される車両状況が、閾値情報322gにより特定される数値範囲内である場合に、運転手要因に応じた警告情報が出力される。
【0060】
付言すれば、警告出力装置10に記憶される個人適応ルール情報121は、図6に示す個人適応ルール情報121と同様であってもよいし、図6に示す個人適応ルール情報322のうち運転手識別情報322aが含まれていなくてもよい。何故ならば、警告出力装置10に記憶される個人適応ルール情報121は、車両Aを運転する特定の運転手に関するルールを示す情報だからである。
【0061】
図7は、警告出力装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。警告出力装置10は、演算装置161、メモリ162、外部記憶装置163、測位信号受信装置164、入力I/F(Interface)165、出力I/F166、通信装置167a、通信装置167b、及び記憶媒体駆動装置168を備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0062】
演算装置161はCPU(Central Processing Unit)等の中央演算装置であって、メモリ162又は外部記憶装置163に記録されたプログラムに従って処理を実行する。制御部110を構成する各処理部は、演算装置161がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0063】
メモリ162は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。外部記憶装置163は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等、書き込み及び読み出し可能な記憶メディアである。
【0064】
測位信号受信装置164は、GPS(Global Positioning System)、又はGPSよりも高精度な現在位置算出に用いられる準天頂衛星システムからの測位信号を受信可能な装置である。測位信号受信装置164は、移動体の現在地、進行速度および進行方向を測定する。
【0065】
入力I/F165は、運転手を含む利用者からの入力操作を受け付ける入力装置(図示略)と接続するためのインターフェイスであり、例えばタッチパネル、マイク等からの入力を受け付ける。また、入力I/F165は、車内用カメラ402から、運転手の視線等の車内の状況に関する情報や、車外の物の位置等の情報の入力を受け付ける。
【0066】
出力I/F166は、出力装置に対して情報を出力するためのインターフェイスである。出力I/F166には、シート振動機能403、スピーカー404、ヘッドアップディスプレイ405、及びメーターディスプレイ406を含む出力装置が接続されている。なお、出力I/F166には、警告出力装置10の有する他の出力装置(例えばタッチパネル)が接続されていてもよい。
【0067】
通信装置167aは、警告出力装置10を車内ネットワークに接続するための装置であって、例えばCAN(Controller Area Network)等の通信規格に準拠した通信デバイスである。なお、警告出力装置10と運転支援装置20とは、車内ネットワーク経由ではなく、接続インターフェイスで直接接続されていてもよい。車内用通信部150は、通信装置167aによりその機能が実現される。通信装置167bは、警告出力装置を車外のネットワークに接続するための装置である。車外用通信部160は、通信装置167bによりその機能が実現される。
【0068】
記憶媒体駆動装置168は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の可搬性のメディア169から情報を入出力する装置である。記憶部120は、メモリ162又は外部記憶装置163によりその機能が実現される。また、記憶部120は、ネットワーク上の記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0069】
図8は、運転支援装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。運転支援装置20は、演算装置261、メモリ262、外部記憶装置263、入力I/F265、出力I/F266、及び通信装置267を備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0070】
演算装置261、メモリ262、外部記憶装置263、入力I/F265、出力I/F266、及び通信装置267は、警告出力装置10の有する演算装置161、メモリ162、外部記憶装置163、入力I/F165、出力I/F166、及び通信装置167aと同様であるため、説明を省略する。なお、運転支援装置20は、測位信号受信装置や記憶媒体駆動装置を有していてもよい。
【0071】
図9は、ルール管理装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。ルール管理装置30は、演算装置361、メモリ362、外部記憶装置363、入力I/F365、出力I/F366、通信装置367、及び記憶媒体駆動装置368を備え、各構成要素はバスにより接続されている。
【0072】
演算装置361、メモリ362、外部記憶装置363、入力I/F365、出力I/F366、通信装置367、及び記憶媒体駆動装置368は、警告出力装置10の有する演算装置161、メモリ162、外部記憶装置163、入力I/F165、出力I/F166、通信装置167b、及び記憶媒体駆動装置168と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
なお、警告出力装置10、運転支援装置20、及びルール管理装置30の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、警告出力装置10、運転支援装置20、及びルール管理装置30の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0074】
図10は、ルール管理装置30の記憶部320に記憶された個人適応ルール情報322の生成処理の一例を示すシーケンス図である。
【0075】
まず、警告出力装置10の運転手関連情報取得部114は、運転手関連情報を取得し、ルール管理装置30に送信する(ステップS11)。運転手関連情報取得部114は、車内用カメラ402を用いて運転手の生体情報等の運転手関連情報を取得し、ルール管理装置30に送信する。なお、先述したように、車両状況取得部112は運転手を特定することのできる情報を取得すればよく、取得する情報は限定されない。
【0076】
次に、運転支援装置20の状況検知部211は、車両状況を検知する(ステップS12)。状況検知部211は、車外用カメラ401を用いて車両Aの車両状況を検知する。
【0077】
次に、運転支援装置20の車両警告通知部212は、警告要因を検知する(ステップS13)。具体的には、車両警告通知部212は、ステップS12で検知した車両状況が、警告要因として予め定められた状況であるか否かを特定する。車両警告通知部212が、車両状況が警告要因として定められた状況に該当すると判定する場合、車両警告通知部212は次のステップに処理を進める。
【0078】
なお、車両警告通知部212は、車両状況が警告要因に該当しないと判定する場合、処理をステップS12に戻す。即ち、車両状況が警告要因に該当すると判定されるまで、状況検知部211はステップS12の処理を繰り返す。
【0079】
次に、車両警告通知部212は、車両警告及び車両状況を送信する(ステップS14)。具体的には、車両警告通知部212は、ステップS13において警告要因に該当すると判定された車両状況の警告の種別を特定し、該種別を含む車両警告を警告出力装置10に送信する。なお、警告の種別は、運転支援装置20の図示しない記憶部に記憶された、警告要因の定義情報を参照することにより、特定可能である。また、車両警告通知部212は、ステップS12で検知された車両状況を、警告出力装置に送信する。
【0080】
次に、警告出力装置10の車両状況取得部112は、車両Aの車両警告及び車両状況を取得する(ステップS15)。具体的には、車両状況取得部112は、ステップS14において送信された車両警告と、車両Aの外部の状況や走行状況等の車両状況を取得する。また、車両状況取得部112は、警告出力装置10の有する測位信号受信装置164及び図示しない地図情報等を用いて、車両Aの走行している道路の種別や、車線の位置等を示す周辺状況を示す情報を車両状況として取得する。
【0081】
なお、車両Aの外部の状況や走行状況等の情報は、運転支援装置20から受信せず、警告出力装置10に接続された車外用カメラ401等を用いて、警告出力装置10の車両状況取得部112が取得するものであってもよい。
【0082】
次に、警告出力装置10の運転手状況取得部113は、運転手状況を取得する(ステップS16)。具体的には、運転手状況取得部113は、車内用カメラ402を用いて、運転手の視線や姿勢を特定し、よそ見や不適切な姿勢の有無を検知する。運転手状況取得部113は、生体センサー等を用いて、運転手の脈拍数や呼吸数等の生体情報を運転手状況として取得してもよい。なお、運転手状況は、運転支援装置20からステップS14において送信される車両状況を示す情報に含まれるものであってもよい。この場合、運転支援装置20の状況検知部211は、運転支援装置20に接続された車内用カメラ等を用いて運転手状況を取得する。
【0083】
次に、車両警告受信部115は、警告種別と車両状況、及び運転手状況をルール管理装置30に送信する(ステップS17)。具体的には、車両警告受信部115は、ステップS15で取得した車両警告の種別及び車両状況と、ステップS16で取得した運転手状況とを、ルール管理装置30に送信する。
【0084】
次に、ルール管理装置30の運転手特定部313は、運転手の識別情報を特定する(ステップS18)。具体的には、運転手特定部313は、ステップS11で警告出力装置10から送信された運転手関連情報を用いて運転手情報323を参照し、運転手の識別情報を特定する。なお、運転手情報323において、ステップS11で送信された運転手関連情報に対応する識別情報が存在しない場合、未だ登録されていない運転手の運転手関連情報であるとして、運転手特定部313は新たな識別情報を生成し、送信された運転手関連情報と関連付けて運転手情報323に格納する。
【0085】
次に、ルール管理装置30の情報生成部311は、車両警告検知情報321を生成する(ステップS19)。具体的には、情報生成部311は、ステップS17で取得した警告種別、車両状況、及び運転手状況と、ステップS18で特定した運転手の識別情報とを関連付けて車両警告検知情報321を生成し、記憶部320に記憶させる。即ち、新たな検知識別情報321bを生成し、運転手の識別情報を運転手識別情報321aとし、警告種別を車両警告321cとし、車両状況を車両警告発生時の周辺状況321dとし、運転手状況を運転手の状況321eとして互いに関連付けることにより、車両警告検知情報321を生成する。
【0086】
次に、情報生成部311は、運転手要因がある場合に、個人適応ルール情報322を生成する(ステップS20)。具体的には、情報生成部311は、ステップS19で生成した車両警告検知情報321のうち、運転手の状況321eを参照し、運転に際し適切でない運転手の状況があるか否かを判定する。情報生成部311は、例えばよそ見が検知されたことを示す情報、又は不適切な姿勢が検知されたことを示す情報が運転手の状況321eに含まれる場合に、運転手要因があるものと判定する。なお、運転手要因の有無の判定には、例えば呼吸数の上限値等、記憶部320の図示しない領域に予め定められた基準を用いてもよい。
【0087】
情報生成部311は、運転手要因があると判定する場合に、ステップS19で生成した車両警告検知情報321を用いて、個人適応ルール情報322を生成する。より具体的には、ルール管理装置30は、警告種別及び運転手要因の組合せに対し、出力する情報を特定する出力識別情報と、該情報を出力する条件となる閾値情報と、が予め関連付けられた図示しない定義情報を、記憶部320に有する。
【0088】
情報生成部311は、当該定義情報を参照し、ステップS19にて生成した車両警告検知情報321に含まれる運転手要因と警告種別との組合せに関連する出力識別情報と、閾値情報とを特定する。情報生成部311は、車両警告検知情報321に含まれる検知識別情報321bと、車両警告321cと、運転手要因を示す運転手の状況321eと、特定した出力識別情報と、閾値情報と、ステップS18で特定した運転手識別情報と、を関連付け、新たなルール識別情報322cを付することにより、個人適応ルール情報322を生成する。運転支援装置20、警告出力装置10、ルール管理装置30は、その後本シーケンス図の処理を終了する。
【0089】
なお、情報生成部311は、個人適応ルール情報322の各々のレコードに対し、生成日時を関連付けておく。情報生成部311は、例えば生成日時から所定期間が経過した個人適応ルール情報322のレコードを削除する。
【0090】
本実施形態により、運転支援装置20から車両状況に関する警告が出力された場合であって、よそ見等の運転手要因が検知された場合に、検知された状況の履歴を保持しておくことができる。
【0091】
図11は、警告出力装置10における警告出力処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば警告出力装置10の電源が投入されると開始される。
【0092】
まず、車両状況取得部112は、運転手関連情報を取得し、ルール管理装置30に送信する(ステップS31)。本ステップで行われる処理は、図10に示すステップS11で行われる処理と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
なお、先述したように、ルール管理装置30の運転手特定部313は、受信した運転手関連情報を用いて運転手の識別情報を特定する(上述のステップS18と同様)。その後、個人適応ルール送信部312が、該識別情報を含む個人適応ルール情報322を特定し、警告出力装置10に送信する。
【0094】
次に、個人適応ルール取得部111は、個人適応ルール情報121を取得する(ステップS32)。具体的には、個人適応ルール取得部111は、ステップS31で送信した運転手関連情報により特定可能な運転手について生成された個人適応ルール情報322を受信し、個人適応ルール情報121として記憶部120に記憶させる。なお、ルール管理装置30において、車両Aの運転手について個人適応ルール情報322が生成されていない場合、本ステップでは個人適応ルール情報121が取得されない。
【0095】
ステップS31及びステップS32の処理は、警告出力装置10において定期的に行われてもよい。
【0096】
次に、車両状況取得部112が、車両状況を取得する(ステップS33)。具体的には、車両状況取得部112は、運転支援装置20の車両警告通知部212から送信される車両状況を取得する。また、車両状況取得部112は、上述の図10に示すステップS15と同様に、該車両状況取得部112の有する測位信号受信装置164及び図示しない地図情報等を用いて、車両状況を取得してもよい。
【0097】
次に、車両状況取得部112は、運転手状況を取得する(ステップS34)。ステップS34において行われる処理は、図10に示すステップS16において行われる処理と同様であるため、説明を省略する。なお、ステップS33及びステップS34の処理は、警告出力装置10において例えば定期的に行われる。
【0098】
次に、車両警告受信部115は、車両警告を受信したか否かを判定する(ステップS35)。車両警告受信部115は、警告要因が検知された際に運転支援装置20から送信される車両警告を受信したか否かを判定する。なお、車両警告受信部115が、車両警告を受信したと判定する場合には、先述したようにルール管理装置30において車両警告検知情報321が生成される(図10のステップS19)。
【0099】
車両警告受信部115が、車両警告を受信したと判定する場合(ステップS35で「YES」の場合)、出力判定部116は、運転手要因があるか否かを判定する(ステップS36)。具体的には、出力判定部116は、ステップS34において取得した運転手状況を参照し、よそ見の検知や不適切な姿勢の検知など、運転手要因となる運転手状況が検知されたか否かを判定する。
【0100】
出力判定部116が、運転手要因がないと判定する場合(ステップS36で「NO」の場合)、出力部140は、車両警告を出力する(ステップS37)。具体的には、出力判定部116は、運転手要因がないと判定する場合、ステップS35で取得した車両警告に含まれる警告の種別を示す情報を用いて出力特定情報123を参照し、当該種別を警告種別123aに含み、かつ運転手要因のないことを示す運転手要因123bを含むレコードを特定する。出力判定部116は、当該レコードに含まれる出力識別情報123cを特定する。
【0101】
出力判定部116は、出力警告情報122において、特定した出力識別情報123cに対応する出力情報を用いて、出力部140に車両警告を示す警告情報を出力させる。制御部110は、その後処理をステップS33に戻す。
【0102】
なお、運転支援装置20の状況検知部211は、警告出力装置10に送信した車両警告の要因となる車両状況を監視し、警告要因が解消したか否かを検知する。警告要因が解消したことが検知されると、車両警告受信部115は警告要因の解消を示す情報を受信する。車両警告受信部115が当該情報を受信すると、出力判定部116は警告情報の出力を停止する。
【0103】
図12は、出力情報の一例を示す図(その1)である。本図は、運転支援装置20から車両警告が送信され、かつ運転手要因のない場合の出力情報の一例を示す。図12(a)は、本例における車両状況を示す。車両Aが前方車両に接近し、車間距離が所定距離以下となったため、運転支援装置20が「前方衝突」の種別の車両警告を、警告出力装置10に送信する。
【0104】
図12(b)は、本例におけるヘッドアップディスプレイ405の表示の一例である。ヘッドアップディスプレイ405の表示画面1711は、表示領域1712を有する。表示領域1712には、警告の内容を示す警告情報が表示される。本例において、出力判定部116は記憶部120を参照することにより、「車間注意」を示す文字列を車両警告として特定し、表示領域1712に表示させる。
【0105】
図12(c)は、本例におけるメーターディスプレイ406の表示の一例である。メーターディスプレイ406の表示画面1721は、表示領域1722を有する。表示領域1722には、例えば警告の要因となる状況を説明する情報が表示される。本例において、車両警告受信部115は「前方衝突」の種別の車両警告を受信しているため、出力判定部116は記憶部120を参照することにより、「前方衝突」の要因となる状況を示す出力情報を特定し、表示領域1722に表示させる。図12(c)の表示領域1722には、車両Aが前方車両に接近している状況が表示されている。
【0106】
図13は、出力情報の一例を示す図(その2)である。本図は、運転支援装置20から車両警告が送信され、かつ運転手要因のない場合の出力情報の他の一例を示す。図13(a)は、本例における車両状況を示す。車両Aが歩行者に接近し、車両Aと歩行者との間隔が所定距離以下となったため、運転支援装置20が「歩行者」の種別の車両警告を、警告出力装置10に送信する。
【0107】
図13(b)は、本例におけるヘッドアップディスプレイ405の表示の一例である。ヘッドアップディスプレイ405の表示領域1712には、「歩行者注意」を示す文字列が車両警告として表示されている。図13(c)は、本例におけるメーターディスプレイ406の表示の一例である。表示領域1722には、警告の要因となる状況を説明する情報として、車両Aが歩行者に接近している状況が示されている。
【0108】
説明を図11に戻す。ステップS36において、出力判定部116が、運転手要因があると判定する場合(ステップS36で「YES」の場合)、出力部140は、車両警告と運転手要因警告とを出力する(ステップS38)。具体的には、出力判定部116は、運転手要因を示す情報と、車両警告の種別とを用いて、ステップS32で取得した個人適応ルール情報121を参照する。出力判定部116は、特定した車両警告種別及び運転手要因の組合せに応じた出力識別情報を特定する。
【0109】
なお、車両警告種別及び運転手要因の組合せが個人適応ルール情報121に含まれない場合、出力判定部116は、出力特定情報123を参照し、当該警告種別123aと運転手要因123bとの組合せに応じた出力識別情報123cを特定する。
【0110】
出力判定部116は、出力警告情報122において、特定した出力識別情報122aと対応するヘッドアップディスプレイ122b、メーターディスプレイ122c、シート振動機能122d、及び音声情報122eを特定し、出力部140を介して出力させる。その後、制御部110は処理をステップS33に戻す。
【0111】
ステップS35において、車両警告受信部115が、車両警告を受信しないと判定する場合(ステップS35で「NO」の場合)、運転手状況取得部113は、運転手要因があるか否かを判定する(ステップS39)。本ステップで行われる処理は、ステップS36で行われる処理と同様であるため、説明を省略する。
【0112】
車両警告受信部115が、運転手要因がないと判定する場合(ステップS39で「NO」の場合)、車両警告受信部115は処理をステップS33に戻す。
【0113】
車両警告受信部115が、運転手要因があると判定する場合(ステップS39で「YES」の場合)、出力判定部116は、個人適応ルール情報121があるか否かを判定する(ステップS40)。具体的には、出力判定部116は、ステップS32において、運転手の個人適応ルール情報121を取得したか否かを、記憶部120を参照することにより判定する。
【0114】
出力判定部116が、個人適応ルール情報121がないと判定する場合(ステップS40で「NO」の場合)、出力判定部116は、運転手要因警告を出力する(ステップS41)。なお、警告出力装置10において、運転手の個人適応ルール情報121がない場合には「通常モード」、個人適応ルール情報121がある場合には「個人適応モード」として取り扱われる。
【0115】
出力判定部116は、個人適応ルール情報121がないと判定する場合、即ち「通常モード」の場合、ステップS34で取得した運転手状況のうち、運転手要因となる運転手状況を用いて出力特定情報123を参照する。出力判定部116は、当該運転手要因を運転手要因123bに含み、警告種別123aに警告の種別を含まないレコードを特定する。出力判定部116は、当該レコードに含まれる出力識別情報123cを用いて出力警告情報122を参照することにより、運転手要因への警告を示す出力情報を特定する。出力判定部116は、特定した出力情報を、出力部140を介して出力する。その後、出力判定部116は、処理をステップS33に戻す。
【0116】
このように、「通常モード」の場合に運転手要因が検知されれば、運転手要因に応じた警告が出力される。これにより、運転手要因の発生の際に適切に警告を行うことができる。
【0117】
車両警告受信部115が、個人適応ルール情報121があると判定する場合(ステップS40で「YES」の場合)、出力判定部116は、個人適応ルール情報121に対応する閾値情報を抽出する(ステップS42)。具体的には、個人適応ルール情報121がある場合、即ち「個人適応モード」の場合、出力判定部116は、ステップS39において運転手要因ありと判定された該運転手要因を用いて、個人適応ルール情報121を参照する。出力判定部116は、当該運転手要因と対応する閾値情報を抽出する。
【0118】
なお、ステップS39における運転手要因が個人適応ルール情報121に含まれない場合、出力判定部116は、「通常モード」の時と同様に運転手要因警告を出力する。
【0119】
次に、出力判定部116は、閾値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS43)。上述するように、1つのレコードに含まれる閾値情報を参照すると、運転手要因の警告情報を出力する条件となる数値範囲が特定される。出力判定部116は、ステップS42で抽出した個人適応ルール情報121の閾値情報と、ステップS33で取得した車両状況を比較することにより、車両Aの車両状況が、運転手要因警告を出力すべき状況であるか否かを判定する。
【0120】
図6に示す個人適応ルール情報322を用いて、より具体的に説明する。運転手要因として、「よそ見」が検知された場合、ステップS42において、運転手要因322dが「よそ見」であることを示すレコードが抽出される。例えば図6の最上位のレコードには、車両警告種別322bが「前方衝突検知」で、運転手要因322dが「よそ見」であるレコードが含まれている。本レコードの閾値情報322gには、例えば「前方車両との間隔が20m以下」であることを示す情報が格納されているとする。この場合、「よそ見」である運転手要因の警告情報を出力するための数値範囲は、「前方車両との間隔が0m以上20m以下」である。
【0121】
同様に、車両警告種別322bが「後方衝突検知」であって、運転手要因322dが「よそ見」である個人適応ルール情報の閾値情報322gには、「後方車両との間隔が25m以下」であることを示す情報が格納されている。車両警告種別322bが「歩行者検知」であって、運転手要因322dが「よそ見」である個人適応ルール情報322の閾値情報322gには、「歩行者との間隔が30m以下」であることを示す情報が格納されている。車両Aと他の車両又は歩行者との間隔が、閾値情報322gにより特定される数値範囲内である場合、出力判定部116は警告情報を出力する。
【0122】
例えば、ステップS39において、運転手要因として「よそ見」が検知され、ステップS33において「前方車両との間隔が20m以下」である車間距離が車両状況として取得されたとする。出力判定部116は、車両状況が、ステップS42にて抽出された閾値情報のうち、個人適応ルール情報121の最上位のレコードに含まれる閾値情報により特定される数値範囲内であると判定する。
【0123】
説明を図11に戻す。出力判定部116が、車両状況が閾値の範囲内であると判定する場合(ステップS43で「YES」の場合)、出力判定部116は、運転手要因警告を出力する(ステップS44)。具体的には、出力判定部116は、個人適応ルール情報121を参照し、ステップS42で抽出したレコードのうち、ステップS43で車両状況が閾値の範囲内であると判定されたレコードを特定する。出力判定部116は、特定されたレコードの出力識別情報を特定する。
【0124】
出力判定部116は、特定した出力識別情報を用いて出力警告情報122を参照し、各出力装置に出力するための出力情報を特定する。出力判定部116は、特定した出力情報を用いて、出力部140を介して運転手要因に係る警告情報を出力させる。その後、出力判定部116は処理をステップS33に戻す。
【0125】
一方、出力判定部116が、閾値の範囲内でないと判定する場合(ステップS43で「NO」の場合)、出力判定部116は、処理をステップS33に戻す。即ち、ステップS39において運転手状況取得部113がよそ見等の運転手要因があると判定したとしても、個人適応ルール情報121により特定される条件を車両状況が満たさない場合には、出力判定部116は運転手要因警告の出力を抑制する。
【0126】
なお、出力判定部116は、運転手要因警告の出力後、ステップS34で運転手状況取得部113の取得する運転手状況を用いて、運転手要因が解消したか否かを判定する。出力判定部116は、運転手要因が解消したと判定する場合、運転手要因警告の表示を停止する。
【0127】
付言すれば、運転手がよそ見をし、すぐに進行方向に視線を戻した場合にも、ステップS36又はステップS39においてよそ見を示す運転手要因が検知されれば、よそ見警告が出力される。その後、運転手要因の解消が検知されると、出力判定部116はよそ見警告の出力を停止する。
【0128】
図14は、出力情報の一例を示す図(その3)である。本図は、図12(a)に示す車両状況に基づく車両警告(種別は「前方衝突」である)が運転支援装置20から出力され、個人適応ルール情報322が生成された後の状況を説明するために用いる。図14(a)は、車両Aが前方車両に接近しつつあるものの、車両警告を出力されるには至っていない車両状況を示す。この車両状況において、よそ見が検知された場合について説明する。
【0129】
車両Aの運転手の前方衝突検知に対する個人適応ルール情報322が生成されており、かつよそ見が検知された場合、出力判定部116は個人適応ルール情報322の閾値情報322gにより特定される数値範囲内に車両状況を示す値が含まれるか否かを判定する。本例の場合、前方衝突検知の車両警告に基づく個人適応ルール情報322が生成されているため、生成されたレコードには前方車両との車間距離に関する閾値である閾値情報が含まれている。即ち、出力判定部116は、前方車両との車間距離が当該閾値により特定される数値範囲内である場合に、よそ見に関する運転手要因警告であるよそ見警告を出力すると判定する。
【0130】
図14(b)は、よそ見警告出力の際のヘッドアップディスプレイ405の表示例を示す。ヘッドアップディスプレイ405の表示領域1712には、警告情報として、よそ見の注意を促す文字列が表示されている。図14(c)は、よそ見警告出力の際のメーターディスプレイ406の表示例を示す。メーターディスプレイ406の表示領域1722には、よそ見警告の要因となる状況を説明する情報が出力される。図14(c)の表示領域1722には、車両Aが前方車両に接近しつつある状況が表示されている。
【0131】
図15は、出力情報の一例を示す図(その4)である。本図は、図13(a)に示す車両状況に基づく車両警告(種別は「歩行者」である)が出力され、個人適応ルール情報322が生成された後の状況を説明するために用いる。図15(a)は、車両Aが歩行者に接近しつつあるものの、車両警告を出力されるには至っていない車両状況を示す。この車両状況において、よそ見が検知された場合について説明する。
【0132】
車両Aの運転手の歩行者検知に対する個人適応ルール情報322が生成されており、かつよそ見が検知された場合、出力判定部116は個人適応ルール情報322の閾値情報322gにより特定される数値範囲内に車両状況を示す値が含まれるか否かを判定する。本例の場合、歩行者検知の車両警告に基づく個人適応ルール情報322が生成されているため、生成されたレコードには車両Aと歩行者との間隔に関する閾値である閾値情報が含まれている。即ち、出力判定部116は、歩行者との間隔が当該閾値により特定される数値範囲内である場合に、よそ見警告を出力すると判定する。
【0133】
図15(b)は、よそ見警告出力の際のヘッドアップディスプレイ405の表示例を示す。ヘッドアップディスプレイ405の表示領域1712には、警告情報として、よそ見の注意を促す文字列が表示されている。図15(c)は、よそ見警告出力の際のメーターディスプレイ406の表示例を示す。メーターディスプレイ406の表示領域1722には、よそ見警告の要因となる状況を説明する情報が出力される。図15(c)の表示領域1722には、車両Aが歩行者に接近しつつある状況が表示されている。
【0134】
本実施形態では、ルール管理装置30が運転手毎に該運転手の操作に応じた個人適応ルール情報322を生成し、管理する。運転の際に運転手が特定されれば、個人適応ルール情報322がルール管理装置30から警告出力装置10に送信され、警告出力装置10において個人適応ルール情報121に基づき警告の表示を行う。これにより、例えばレンタカーやカーシェアリング等、異なる運転手が共通の車両を運転する場合にも、運転手に応じた適切な表示を行うことができる。
【0135】
なお、個人適応ルール情報322の生成及び管理は、警告出力装置10が行うものであってもよい。その場合、例えば警告出力装置10が運転手を特定し、運転手毎に個人適応ルール情報322を生成するとともに、生成した個人適応ルール情報322を用いて警告情報の表示を行ってもよい。これにより、外部機器との通信を行わずに、運転手に応じた適切な表示を行うことができる。
【0136】
また、本実施形態では、よそ見等の運転手要因が検知された場合にも、過去に運転手要因のある状況で車両警告が出力されたか否かを判定し、現在の車両状況と車両警告出力の際の車両状況との比較により運転手要因警告の出力を行うか否かを判定する。これにより、運転手要因が検知されれば必ず警告を出力する実施形態に比べ、不要な警告出力による煩雑さを回避することができる。
【0137】
以上、本発明に係る各実施形態及び変形例の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0138】
また、上記の警告出力装置10、運転支援装置20、及びルール管理装置30の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。警告出力装置10、運転支援装置20、及びルール管理装置30の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【符号の説明】
【0139】
1:警告出力システム、10:警告出力装置、20:運転支援装置、30:ルール管理装置、110・210・310:制御部、111:個人適応ルール取得部、112:車両状況取得部、113:運転手状況取得部、115:車両警告受信部、116:出力判定部、120・320:記憶部、121・322:個人適応ルール情報、122:出力警告情報、123:出力特定情報、130:入力部、140:出力部、150:車内用通信部、160:車外用通信部、161:演算装置、162:メモリ、163:外部記憶装置、164:測位信号受信装置、165:入力I/F、166:出力I/F、167a・167b:通信装置、168:記憶媒体駆動装置、169:メディア、211:状況検知部、212:車両警告通知部、220・330:通信部、311:情報生成部、312:個人適応ルール送信部、313:運転手特定部、321:車両警告検知情報、323:運転手情報、401:車外用カメラ、402:車内用カメラ、403:シート振動機能、404:スピーカー、405:ヘッドアップディスプレイ、406:メーターディスプレイ、1711・1721:表示画面、1712・1722:表示領域
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