特許第6805259号(P6805259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6805259改善された電源除去を有する低ドロップアウト電圧レギュレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805259
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】改善された電源除去を有する低ドロップアウト電圧レギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   G05F1/56 310C
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-539145(P2018-539145)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公表番号】特表2019-507427(P2019-507427A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】US2016068436
(87)【国際公開番号】WO2017131906
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年11月25日
(31)【優先権主張番号】15/009,600
(32)【優先日】2016年1月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100184332
【弁理士】
【氏名又は名称】中丸 慶洋
(72)【発明者】
【氏名】ラスマス、トッド・モーガン
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0298499(US,A1)
【文献】 特開2006−065836(JP,A)
【文献】 特開2000−156616(JP,A)
【文献】 特開2015−230585(JP,A)
【文献】 特開2010−199719(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104699161(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
H03F 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧レギュレータであって、
電力供給レールと前記電圧レギュレータの出力との間に結合された第1のパス素子、ここにおいて、前記第1のパス素子は、前記第1のパス素子の抵抗を制御するための制御入力を有する、と、
第1のフィードバック回路であって、
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の抵抗と、第2の抵抗と、電流源とを備える第1の増幅器、ここにおいて、前記第2のトランジスタのゲートは、基準電圧に結合され、ここにおいて、前記第1のトランジスタのゲートは、フィードバック電圧に結合され、前記第2のトランジスタのドレインは、前記第1のパス素子の前記制御入力に結合され、ここにおいて、前記フィードバック電圧は、前記電圧レギュレータの前記出力における電圧に略等しいかそれに比例し、前記第1の増幅器は、前記基準電圧と前記フィードバック電圧との差分を低減する方向に前記第1のパス素子の前記抵抗を調整するように構成され、ここにおいて、前記電流源は、前記第1および第2のトランジスタの両方のソースに結合される、と、
第2のパス素子、ここにおいて、前記第2のパス素子は、それぞれ前記第1および第2の抵抗器を介して、前記第1および第2のトランジスタの前記ドレインと、前記電力供給レールとの間に結合され、ここにおいて、前記第2のパス素子は、前記第2のパス素子の抵抗を制御するための制御入力を有し、ここにおいて、前記第1のフィードバック回路は、前記第2のパス素子と前記第1の増幅器との間のバイアス電圧を有する、と
を備える第1のフィードバック回路と、
前記基準電圧に結合された第1の入力と、前記フィードバック電圧に結合された第2の入力と、前記第2のパス素子の前記制御入力に結合された出力とを有する第2のフィードバック回路、ここにおいて、前記第2のフィードバック回路は、前記第2のパス素子の前記抵抗を調整することによって、前記基準電圧と前記フィードバック電圧との前記差分を低減する方向に前記第1のフィードバック回路の前記バイアス電圧を調整するように構成される、と
を備える電圧レギュレータ。
【請求項2】
前記第1のフィードバック回路は、前記電力供給レール上の高速過渡に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減するように構成される、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項3】
前記第1のフィードバック回路は、前記電圧レギュレータの前記出力に結合された負荷の高速変化に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減するように構成される、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項4】
前記第2のフィードバック回路は、前記第1の増幅器の利得誤差に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減するように構成される、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項5】
前記第2のパス素子は、前記電力供給レールに結合されたソースと、前記第2のフィードバック回路の前記出力に結合されたゲートと、前記第1の増幅器に結合されたドレインとを有するp型電界効果トランジスタ(PFET)を備える、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項6】
前記第1の増幅器は、
前記第1および第2のトランジスタを備える差動ドライバと、
前記第2のパス素子と前記差動ドライバの第1の出力との間に結合された第1の負荷と、
前記第2のパス素子と前記差動ドライバの第2の出力との間に結合された第2の負荷と、ここにおいて、前記差動ドライバは、前記基準電圧と前記フィードバック電圧とに基づいて、前記第1の負荷および前記第2の負荷を駆動するように構成される、
を備える、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項7】
前記第2のフィードバック回路は、前記第1の負荷を通る電流と前記第2の負荷を通る電流との差分を低減する方向に前記第2のパス素子の前記抵抗を調整するように構成される、請求項6に記載の電圧レギュレータ。
【請求項8】
前記電流源は、前記第1の増幅器にバイアス電流を供給するように構成され、前記第2のパス素子を通る電流は、前記バイアス電流に略等しい、請求項6に記載の電圧レギュレータ。
【請求項9】
前記第2のフィードバック回路は、前記基準電圧に結合された第1の入力と、前記フィードバック電圧に結合された第2の入力と、前記第1のフィードバック回路に結合された出力とを有する第2の増幅器を備え、前記第1の増幅器は、低い利得で高い帯域幅の増幅器であり、前記第2の増幅器は、高い利得で低い帯域幅の増幅器であり、前記電圧レギュレータは、前記第2のパス素子と前記第1の増幅器との間に結合された第1の端と、前記第2の増幅器の前記出力に結合された第2の端を有するキャパシタをさらに備える、請求項4に記載の電圧レギュレータ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の前記電圧レギュレータを用いた電圧制御のための方法であって、
基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に前記第1のパス素子の抵抗を調整することと、前記フィードバック電圧は、前記電圧レギュレータの前記出力における電圧に等しいかそれに比例する、
前記第1のフィードバック回路中の第2のパス素子を使用して、前記第1のフィードバック回路のバイアス電圧を調整することと、ここで、前記バイアス電圧は、前記基準電圧と前記フィードバック電圧との前記差分を低減する方向に調整される、
を備える、方法。
【請求項11】
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整することは、前記電圧レギュレータの前記入力における高速過渡に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整することは、前記電圧レギュレータの前記出力に結合された負荷の高速変化に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のフィードバック回路の前記バイアス電圧を調整することは、前記第1の増幅器の利得誤差に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のフィードバック回路の前記バイアス電圧を調整することは、前記第2のパス素子の抵抗を調整することを備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2016年1月28日に米国特許商標庁に出願された非仮出願第15/009,600に対する優先権およびその利益を主張し、その全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示の態様は一般に、電圧レギュレータに関し、より具体的には、低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]電圧レギュレータは、様々なシステム内の回路に電力供給する(power)ための被制御電圧(regulated voltage)を供給するために、これらのシステムにおいて使用される。一般に使用される電圧レギュレータは、低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータである。LDO電圧レギュレータは、ノイズのある(noisy)入力供給電圧から回路に電力供給するための安定した被制御電圧を供給するために使用され得る。LDO電圧レギュレータは典型的に、安定した基準電圧に基づいて略一定の出力電圧に保つために、フィードバックループにおいて結合されたパス素子と増幅器とを含む。
【発明の概要】
【0004】
[0004]以下に、1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を与えるために、そのような実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は、予期されるすべての実施形態の広範な概観ではなく、すべての実施形態の主要または重要な要素を識別するようにも、任意またはすべての実施形態の範囲を定めるようにも意図されていない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への前置きとして、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0005】
[0005]ある態様にしたがって、電圧レギュレータが提供される。電圧レギュレータは、電圧レギュレータの入力と出力との間に結合された第1のパス素子を含み、ここにおいて、第1のパス素子は、第1のパス素子の抵抗を制御するための制御入力を有する。電圧レギュレータはまた、基準電圧に結合された第1の入力と、フィードバック電圧に結合された第2の入力と、第1のパス素子の制御入力に結合された出力とを有する第1のフィードバック回路を含み、ここにおいて、フィードバック電圧は、電圧レギュレータの出力における電圧に略等しいかそれに比例する、第1のフィードバック回路は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のパス素子の抵抗を調整するように構成される。電圧レギュレータは、基準電圧に結合された第1の入力と、フィードバック電圧に結合された第2の入力と、第1のフィードバック回路に結合された出力とを有する第2のフィードバック回路をさらに含み、ここにおいて、第2のフィードバック回路は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のフィードバック回路のバイアス電圧を調整するように構成される。
【0006】
第2の態様は、電圧制御のための方法に関する。方法は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のパス素子の抵抗を、フィードバック回路を使用して、調整することを含み、ここにおいて、第1のパス素子は、電圧レギュレータの入力と出力との間に結合され、フィードバック電圧は、電圧レギュレータの出力における電圧に等しいかそれに比例する。方法は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向にフィードバック回路のバイアス電圧を調整することをさらに含む。
【0007】
[0006]第3の態様は、電圧制御のための装置に関する。装置は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のパス素子の抵抗を調整するための手段を含み、ここにおいて、第1のパス素子は、電圧レギュレータの入力と出力との間に結合され、フィードバック電圧は、電圧レギュレータの出力における電圧に等しいかそれに比例する。装置は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のパス素子の抵抗を調整するための手段のバイアス電圧を調整するための手段をさらに含む。
【0008】
[0007]前述の目的および関連する目的の達成のために、1つまたは複数の実施形態は、下文に十分に説明され、かつ、特許請求の範囲において具体的に示される特徴が含まれる。以下の説明および付属の図面は、1つまたは複数の実施形態のある特定の実例となる態様を詳細に述べる。しかしながら、これらの態様は、様々な実施形態の原理が用いられ得る様々な手法のごく一部を示すものであり、この説明される実施形態は、すべてのそのような態様およびそれらの同等物を含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0008]図1は、本開示の特定の態様に係る、低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータの例を示す。
図2】[0009]図2は、本開示の特定の態様に係る、LDO電圧レギュレータの別の例を示す。
図3】[0010]図3は、本開示の特定の態様に係る、LDO電圧レギュレータ中の増幅器の例示的なインプリメンテーションを示す。
図4】[0011]図4は、本開示の特定の態様に係る、第1および第2のフィードバック回路を含むLDO電圧レギュレータの例を示す。
図5】[0012]図5は、本開示の特定の態様に係る、第2のフィードバック回路中の増幅器の例示的なインプリメンテーションを示す。
図6】[0013]図6は、本開示の特定の態様に係る、第2のフィードバック回路の帯域幅を低減するための例示的な抵抗器−キャパシタ(RC)ネットワークを示す。
図7】[0014]図7は、本開示の特定の態様に係る、電圧制御のための方法を示すフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0010】
[0015]添付の図面に関連して以下に示される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書で説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すよう意図されるものではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を与えるために特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者に明らかであるだろう。いくつかの事例では、そのような概念を曖昧にしないために、周知の構造および構成要素はブロック図の形式で示される。
【0011】
[0016]図1は、本開示の特定の態様に係る、低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータ100の例を以下に示す。LDO電圧レギュレータ100は、パス素子110とフィードバック回路120とを含む。パス素子110は、LDO電圧レギュレータ100の入力108と出力130との間に結合される。LDO電圧レギュレータ100の入力108は、電力供給レール105上で入力供給電圧VDDに結合され得る。出力130における被制御電圧(「Vreg」と表される)は、VDDからパス素子110にわたる電圧低下を引いたものに略等しい。パス素子110は、レギュレータ100の入力108と出力130との間のパス素子110の抵抗を制御するための制御入力114を含む。
【0012】
[0017]フィードバック回路120の出力は、パス素子110の抵抗を制御するためにパス素子110の制御入力114に結合される。パス素子110の抵抗を制御するために、フィードバック回路120は、パス素子110にわたる電圧低下を、ゆえに、レギュレータ100の出力130における被制御電圧Vregを、制御することができる。さらに以下で説明するように、フィードバック回路120は、被制御電圧Vregを所望の電圧前後(at approximately)に保つように、被制御電圧Vregのフィードバックに基づいてパス素子110の抵抗を調整する。
【0013】
[0018]図1の例では、フィードバック回路120は、増幅器122(たとえば、演算増幅器)を含み、パス素子110は、パスp型電界効果トランジスタ(PFET)112を含む。この例では、パスPFET112は、LDO電圧レギュレータ100の入力108に結合されたソースと、増幅器122の出力に結合されたゲートと、LDO電圧レギュレータ100の出力130に結合されたドレインとを有する。増幅器122は、パスPFET112のゲート電圧を調整することで、LDO電圧レギュレータ100の入力108と出力130との間でパスPFET112の流路抵抗(channel resistance)を制御する。この例では、増幅器122は、ゲート電圧を増加させることでパスPFET112の抵抗を増加させ、ゲート電圧を減少させることでパスPFET112の抵抗を減少させる。また、パスPFET112は、飽和領域(saturation region)において動作される。
【0014】
[0019]LDO電圧レギュレータ100の出力130は、抵抗性負荷Rおよび容量性負荷Cに結合され、これらは、LDO電圧レギュレータ100に結合された回路(図示されない)の抵抗性負荷および容量性負荷を表し得る。LDO電圧レギュレータ100の出力130における被制御電圧(「Vreg」と表される)は、フィードバック回路にフィードバック電圧(「Vfb」)を供給するために、負のフィードバックループを介してフィードバック回路120にフィードバックされる。この例では、被制御電圧Vregがフィードバック回路120に直接供給されるため、この例では、フィードバック電圧Vfbは、被制御電圧Vregに略等しい。基準電圧(「Vref」と表される)もまた、フィードバック回路120に入力される。基準電圧Vrefは、帯域ギャップ回路(図示されない)または別の安定した電圧源からもたらされ得る(come from)。フィードバック回路120が増幅器122を含む例の場合、フィードバック電圧Vfbは、増幅器122の第1の入力(+)に結合され、基準電圧Vrefは、増幅器122の第2の入力(−)に結合され、増幅器122の出力は、パス素子110の制御入力114に結合される。
【0015】
[0020]動作中、フィードバック回路120は、基準電圧Vrefとフィードバック回路120に入力されるフィードバック電圧Vfbとの差分(誤差)を低減する方向にパス素子110の制御入力114を駆動する。この例では、フィードバック電圧Vfbが被制御電圧Vregに略等しいため、フィードバック回路120は、パス素子110の制御入力114を駆動して、被制御電圧Vregを強制的に基準電圧Vrefにほぼ等しくする。たとえば、被制御電圧Vreg(ゆえに、フィードバック電圧Vfb)が基準電圧Vrefを超えて増加する場合、フィードバック回路120は、パス素子110の抵抗を増加させ、これは、パス素子110にわたる電圧低下を増加させる。増加した電圧低下は、出力130における被制御電圧Vregを低下させ、それによって、VrefとVfbとの差分(誤差)を低減する。被制御電圧Vregが基準電圧Vrefを下回る場合、フィードバック回路120は、パス素子110の抵抗を減少させ、これは、パス素子110にわたる電圧低下を減少させる。この電圧低下の減少は、出力130における被制御電圧Vregを上昇させ、それによって、VrefとVregとの差分(誤差)を低減する。ゆえに、この例では、フィードバック回路120は、(たとえば、ノイズにより)電源が変化したときおよび/または電流負荷が変化したときでさえ、出力130において略一定の被制御電圧Vregに保つように、パス素子110の抵抗を動的に調整する。
【0016】
[0021]図1の例では、被制御電圧Vregは、フィードバック回路120に直接供給される。しかしながら、本開示がこの例に限定されないことは認識されるべきである。たとえば、図2は、LDO電圧レギュレータ200の別の例を示し、ここでは、被制御電圧Vrefは、分圧器225を介してフィードバック回路120にフィードバックされる。分圧器225は、LDO電圧レギュレータ200の出力130に結合された2つの直列抵抗器RFB1およびRFB2を含む。抵抗器RFB1とRFB2をとの間のノード220における電圧が、フィードバック回路120にフィードバックされる。この例では、フィードバック電圧Vfbは、被制御電圧Vregに次のように関連している。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、式(1)のRFB1およびRFB2は、それぞれ、抵抗器RFB1およびRFB2の抵抗である。ゆえに、この例では、フィードバック電圧Vfbは、被制御電圧Vregに比例し、ここで、この比例は、抵抗器RFB1およびRFB2の抵抗の比によって設定される。
【0019】
[0022]フィードバック回路120は、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分(誤差)を低減する方向にパス素子110の制御入力114を駆動する。このフィードバックにより、被制御電圧Vregは、次の式にほぼ等しくなる。
【0020】
[0023]
【数2】
【0021】
式(2)に示されているように、この例では、被制御電圧は、抵抗器RFB1およびRFB2の抵抗の比を相応に設定することで、所望の電圧に設定され得る。本開示では、フィードバック電圧Vfbが被制御電圧Vregに等しいかそれに比例し得ることは認識されるべきである。
【0022】
[0024]LDO電圧レギュレータ100または200のパフォーマンスの重要な測定は、電源除去比(power supply rejection ratio:PSRR)である。PSRRは、電源上のノイズを除去するLDO電圧レギュレータ100または200の能力を測定する。PSRRが大きいほど、ノイズ除去は大きくなり、ゆえに、LDO電圧レギュレータの出力130に伝播する電源ノイズの量が少なくなる。
【0023】
[0025]LDO電圧レギュレータ100または200のPSRRは、LDO電圧レギュレータのユニティゲイン帯域幅(unity gain bandwidth)を増加させることで増加され得る。これは、LDO電圧レギュレータ100または200が、電源上の過渡電流(transients)に対してより迅速に応答すること、したがって、より高い周波数において電源ノイズを除去することを可能にする。しかしながら、ユニティゲイン帯域幅を増加させることは、さらに以下で説明するように、LDO電圧レギュレータのフィードバックループにおいて不安定を引き起こす可能性がある。
【0024】
[0026]LDO電圧レギュレータ100または200のフィードバックループは、2つの極を有し得る。第1の極は、主に、LDO電圧レギュレータの出力130での容量性負荷Cおよび抵抗性負荷Rによるものであり得る。第2の極は、主に、パス素子110の制御入力114での容量および増幅器122の出力インピーダンスによるものであり得る。典型的に、負荷容量およびパス素子110の制御入力114での容量は大きい。パス素子110がパスPFET112でインプリメントされる例の場合、パスPFET112のゲート容量は典型的に大きい。これは、パスPEFT112が大きな負荷電流を通すことができるように、大きいパスPFET112が典型的に使用されるためである。
【0025】
[0027] 大きい負荷容量およびパス素子110の制御入力114での大きい容量の結果として、第1および第2の極は、典型的に、低周波数に位置し、これは、低周波数におけるフィードバックループにおいて過度の位相シフトを引き起こす。過度の位相シフトは、180度に迫り得、これは、フィードバックループを再生式(regenerative)にさせ、したがって、不安定にさせる。
【0026】
[0028]フィードバックループの安定性を改善する1つのアプローチは、フィードバック回路120内の増幅器122の出力インピーダンスを低くすることである。低い出力インピーダンスは、フィードバックループの第2の極をより高い周波数に押し上げ、これは、低周波数における過度の位相シフトを防ぐ。しかしながら、低い出力インピーダンスはまた、増幅器122に対して低い利得をもたらす。低い利得による問題は、図3を参照してさらに以下で説明するように、低い利得が、被制御電圧Vregにおいてより大きい利得誤差を招く可能性があることである。
【0027】
[0029]図3は、増幅器122の例示的なインプリメンテーションを示し、ここでは、被制御電圧Vregは、増幅器122に直接供給される(すなわち、Vfbは、Vregに略等しい)。増幅器122は、差動ドライバ322と、第1の負荷抵抗器R1と、第2の負荷抵抗器R2と、電流源310とを含む。図3の例では、差動ドライバ322は、第1の入力n型電界効果トランジスタ(NFET)325と第2の入力NFET330とを含む。第1の負荷抵抗器R1は、電力供給レール105と第1の入力NFET325のドレインとの間に結合され、第2の負荷抵抗器R2は、電力供給レール105と第2の入力NEFT330のドレインとの間に結合される。電流源310は、第1の入力NFET325および第2の入力NFET330のソースに結合され、増幅器122にバイアス電流を供給する。
【0028】
[0030]この例では、フィードバック電圧Vfbは、第1の入力NFET325のゲートに対応する差動ドライバ322の第1の入力327に入力される。基準電圧Vrefは、第2の入力NFET330のゲートに対応する差動ドライバ322の第2の入力332に入力される。増幅器122の出力は、図3に示されるように、第2の負荷抵抗器R2と第2の入力NEFT330のドレインとの間のノード315で取り出される(is taken)。
【0029】
[0031]この例では、負荷抵抗器R2の抵抗は、増幅器122に低い出力インピーダンスおよび高い帯域幅を提供するために、低くされ得る。上で説明したように、低い出力インピーダンスは、フィードバックループ320の第2の極をより高い周波数に押し上げ、これは、フィードバックループ320の安定性を改善する。低い出力インピーダンスはまた、増幅器122の利得を低下させる。これは、増幅器122のオープンループ利得が、出力インピーダンスと増幅器122のトランスコンダクタンスとの積であるためである。低い利得は、さらに以下で説明するように、被制御電圧Vregにおける大きな利得誤差をもたらす。
【0030】
[0032]動作中、電流源310のバイアス電流は、通常、第1の負荷抵抗器R1と第2の負荷抵抗器R2との間で均等に分けられない(すなわち、これら負荷抵抗器を通って流れる電流は均衡を保っていない)。第2の負荷抵抗器R2を通る電流は、以下に略等しい。
【0031】
【数3】
【0032】
ここで、I2は、第2の負荷抵抗器R2を通る電流であり、Voutは、増幅器122の出力電圧であり、式(3)中のR2は、第2の負荷抵抗器R2の抵抗である。第1の負荷抵抗器R1を通る電流は、以下によって求められる。
【0033】
【数4】
【0034】
ここで、I1は、第1の負荷抵抗器R1を通る電流であり、Ibiasは、電流源310のバイアス電流である。図3の例では、フィードバックループ320は、VrefとVfbとの差分を低減する方向に(パス素子110の制御入力114を駆動する)増幅器122の出力電圧Voutを調整する。通常、これにより、第2の負荷抵抗器R2を通る電流I2は、第1の負荷抵抗器R1を通る電流I1とは異なるものになる。
【0035】
[0033]負荷抵抗器R1を通る電流I1と負荷抵抗器R2を通る電流I2とが異なることは、(負荷抵抗器R1およびR2の抵抗が略等しいと仮定して)負荷抵抗器R1にわたる電圧低下と負荷抵抗器R2にわたる電圧低下とを異なるものにする。これは、次に、第1の入力NFET325のドレイン電圧Vd1を、第2の入力NFET330のドレイン電圧Vd2とは異なるものにする。これらドレイン電圧の差分は、Vd1とVd2との差分を増幅器122の利得で除算することで求められる入力参照電圧オフセット(input-referred voltage offset)につながる。増幅器122の利得が低いため、増幅器122の入力参照電圧オフセットは比較的高い。高い入力参照電圧オフセットは、増幅器122の入力電圧であるVrefとVfbとの間の比較的大きい利得誤差をもたらす。
【0036】
[0034]ゆえに、増幅器122の低い利得は、VregとVfbとの間の大きい利得誤差をもたらす。LDOレギュレータ100のフィードバックループ320は、このVregとVfbとの間の利得誤差を訂正するのに効果的ではない。これは、VregとVfbとの差分が理想上はゼロボルトであるべきであるときに、この差分が入力参照電圧オフセットに略等しくなるように、フィードバックループ320が、パス素子110の制御入力114を駆動するためである。入力参照電圧オフセット(ゆえに、VrefとVfbとの利得誤差)は、増幅器122の出力インピーダンス(ゆえに、利得)を増加させることで低減され得る。しかしながら、上で説明したように、フィードバックループ320の安定性を提供するために増幅器122の出力インピーダンスを低く保つことが望ましい。したがって、増幅器122の出力インピーダンスを低く保ちつつ利得誤差を低減する方法およびシステムが必要である。
【0037】
[0035]本開示の実施形態は、さらに以下で説明するように、利得誤差を低減する第2のフィードバックループをLDO電圧レギュレータに設けることで、上で説明した利得誤差を低減する。
【0038】
[0036]図4は、本開示の特定の態様による、LDO電圧レギュレータ400を示す。LDO電圧レギュレータ400は、図3に示されるパス素子110を含む。以下での説明では、パス素子110は、このパス素子を、さらに以下で説明されるLDO電圧レギュレータ400内の別のパス素子と区別するために、第1のパス素子110と呼ばれる。
【0039】
[0037]LDO電圧レギュレータ400は、第1のフィードバック回路420も含む。第1のフィードバック回路420は、図3に示された増幅器122と、第2のパス素子410とを含む。以下での説明では、増幅器122は、この増幅器を、さらに以下で説明されるLDO電圧レギュレータ400内の別の増幅器と区別するために、第1の増幅器122と呼ばれる。図4の例では、第1の増幅器122は、図3の増幅器122と同様に、フィードバック電圧Vfbに結合された第1の入力327と、基準電圧Vrefに結合された第2の入力332と、第1のパス素子110の制御入力114に結合された出力315とを有する。特定の態様では、第1の増幅器122は、安定した被制御電圧Vregに保つために、第1のフィードバック回路420が電力供給レール105上の高速過渡および電流負荷の高速変化に応答することを可能にする低い利得と高い帯域幅とを有する。これは、第1のフィードバック回路420が、電源上の高速過渡および/または負荷電流の高速変化に起因する、VfbとVregとの差分を低減する方向に第1のパス素子110の抵抗を迅速に調整することを可能にする。しかしながら、第1のフィードバック回路420はまた、上で説明したように、第1の増幅器122の低い利得により、高い利得誤差を有し得る。
【0040】
[0038]第2のパス素子410は、電力供給レール105と第1の増幅器122のバイアスノード427との間に結合される。バイアスノード427は、図4に示されるように、第1の増幅器122の負荷抵抗器R1およびR2に結合され得る。ゆえに、この例では、負荷抵抗器R1およびR2は、図3にあるように電源105に直接結合されるのではなく、第2のパス素子410を通して電力供給レール105に結合される。
【0041】
[0039]結果として、第1のフィードバック回路420のバイアスノード427におけるバイアス電圧(「Vdd」と表される)は、VDDから、第2のパス素子410にわたる電圧低下を引いたものに略等しい。第2のパス素子410は、第2のパス素子410の抵抗を制御するための制御入力414を含む。第2のパス素子410の抵抗が第2のパス素子410にわたる電圧低下を制御するため、バイアスノード427におけるバイアス電圧は、第2のパス素子410の抵抗を調整することで調整され得る。第2のパス素子410を通る電流は、電流源310のバイアス電流に略等しく、第2のパス素子410の抵抗が第2のフィードバック回路430によって調整されるため略一定であろう。第2のパス素子410は大きい負荷電流を通す必要がないため、第2のパス素子410が第1のパス素子110よりはるかに小さい可能性があることは認識されるべきである。
【0042】
[0040]LDO電圧レギュレータ400は、第2のフィードバック回路430も含む。図4の例では、第2のフィードバック回路430は、基準電圧Vrefに結合された第1の入力(+)と、フィードバック電圧Vfbに結合された第2の入力(−)と、第2のパス素子410の制御入力414に結合された出力とを有する第2の増幅器432を含む。図4の例では、被制御電圧Vregは、第2の増幅器432の第2の入力(−)に直接供給される。ゆえに、この例では、第2の増幅器432の第2の入力(−)におけるフィードバック電圧Vfbは、Vregに略等しい。第2の増幅器432の出力は、制御入力414を介して第2のパス素子410の抵抗を制御し、これは、次に、第2のパス素子410にわたる電圧低下を、ゆえに、第1のフィードバック回路420のバイアスノード427におけるバイアス電圧Vddを制御する。これは、第2の増幅器432が第1のフィードバック回路420のバイアスノード427におけるバイアス電圧Vddを調整することを可能にする。さらに以下で説明するように、第2の増幅器432は、第1のフィードバック回路420の利得誤差を訂正するために、被制御電圧Vregのフィードバックに基づいて、第1のフィードバック回路420のバイアス電圧Vddを調整する。
【0043】
[0041]第2のパス素子410は、図4に示されるように、第2のパスPFET412を含み得る。この例では、第2のパスPFET412は、電力供給レール105に結合されたソースと、第2の増幅器432の出力に結合されたゲートと、第1のフィードバック回路420のバイアスノード427に結合されたドレインとを有する。第2の増幅器432は、第2のパスPFET412のゲート電圧を調整することで、第2のパスPFET412の流路抵抗(ゆえに、バイアス電圧Vdd)を制御する。この例では、第2の増幅器432は、ゲート電圧を増加させることで、第2のパスPFET412の抵抗を増加させる(ゆえに、バイアス電圧Vddを低減する)。第2の増幅器432は、ゲート電圧を減少させることで、第2のパスPFET412の抵抗を減少させる(ゆえに、バイアス電圧Vddを増加させる)。また、第2のパスPFET412は、飽和領域で動作される。
【0044】
[0042]動作中、第2のフィードバック回路430は、第1のフィードバック回路420の利得誤差に起因する、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分を低減する方向に第2のパス素子410の制御入力414を駆動する。第2のフィードバック回路430は、第1の増幅器122の第1の負荷抵抗器R1および第2の負荷抵抗器R2を通って流れる電流の均衡を保つ方向に第2のパス素子410を介してバイアス電圧Vddを調整することでこれを行う。結果として、負荷抵抗器R1およびR2にわたる電圧低下は略等しく、これにより、第1の入力NFET325のドレイン電圧Vd1と第2の入力NFET330のドレイン電圧Vd2とが略等しくなる。これは、Vd1とVd2との差分を低減し、それによって、第1の増幅器120の入力参照電圧オフセット、ゆえに、第1のフィードバック回路420の利得誤差を低減する。
【0045】
[0043]たとえば、第2の負荷抵抗器R2を通る電流が、第1の負荷抵抗器R1を通る電流より大きい場合、第2のフィードバック回路430は、第2のパス素子410の抵抗を増加させることで、バイアスノード427におけるバイアス電圧Vddを減少させる。バイアス電圧Vddの減少は、第2の負荷抵抗器R2にわたる電圧低下を低減し、これは、Vdd−Voutに略等しい。電圧低下の低減により、第2の負荷抵抗器R2を通る電流が減少する。結果として、電流源310のバイアス電流のより多くが、第1の負荷抵抗器R1にステアリングされる。これは、第1の負荷抵抗器R1を通る電流を増加させ、それによって、第1の負荷抵抗器R1を通る電流と第2の負荷抵抗器R2を通る電流との差分を低減する。
【0046】
[0044]上で説明したように、第2のフィードバック回路430の第2の増幅器432は、高い利得と低い帯域幅とを有し、したがって、第1のフィードバック回路420の第1の増幅器122よりはるかに低い利得誤差を有する。これは、第2のフィードバック回路430が、第1のフィードバック回路420の高速過渡応答に対してほとんどまたはまったくインパクトを与えないままで、第1のフィードバック回路420の利得誤差に起因する、VfbとVrefとの差分を低減することを可能にする。
【0047】
[0045]ゆえに、LDO電圧レギュレータ400の第1のフィードバック回路420は、電源上の高速過渡および負荷電流の高速変化に応答するための低い利得と高い帯域幅とを有する。LDO電圧レギュレータ400の第2のフィードバック回路430は、第1のフィードバック回路420の利得誤差を訂正するための高い利得と低い帯域幅とを有し、ここで、利得誤差は、第1のフィードバック回路420の低い利得によるものである。図4では、第1のフィードバック回路420のフィードバックループは、320とラベル付けされている破線で示され、第2のフィードバック回路430のフィードバックループは、450とラベル付けされている破線で示される。
【0048】
[0046]特定の態様では、LDO電圧レギュレータ400は、第1のフィードバック回路420のユニティ帯域幅(すなわち、オープンループ利得が0dBを超える周波数範囲(ユニティゲイン))内である電源上の高速過渡に応答することができる。たとえば、第1のフィードバック回路420は、100MHzまたはそれより高いユニティゲインを有し得る。ゆえに、この例では、LDO電圧レギュレータ400は、100MHzまたはそれより高い周波数範囲内の高速過渡に応答することができる。特定の態様では、第1のフィードバック回路420は、100pSから500pSのときに、定格最大負荷(rated maximum load)の20%の高速電流負荷変化に応答し得る。本開示の実施形態が、上の例に限られないことは認識されるべきである。
【0049】
[0047]本開示の実施形態が、図4に示される第1の増幅器122の例示的なインプリメンテーションに限られないことは認識されるべきである。本開示の実施形態は、低い利得を有する他の増幅器からの利得誤差を訂正するために使用され得る。さらに、図4は、被制御電圧Vregが第1のフィードバック回路420および第2のフィードバック回路430に直接フィードバックされる例を示すが、本開示がこの例に限られないことは認識されるべきである。たとえば、被制御電圧Vregは、分圧器(たとえば、分圧器225)を通して第1および第2のフィードバック回路420にフィードバックされ得、このケースでは、フィードバック電圧Vfbは、被制御電圧Vregに比例し得る。
【0050】
[0048]図5は、本開示の特定の態様に係る、第2の増幅器432の例示的なインプリメンテーションを示す。この例では、第2の増幅器432は、差動ドライバ522と、第1のPFET540と、第2のPFET550と、電流源510とを含む。図5の例では、差動ドライバ522は、第1の入力NFET520と第2の入力NFET525とを含む。
【0051】
[0049]この例では、基準電圧Vrefが、第1の入力NFET520のゲートに対応する差動ドライバ522の第1の入力527に入力される。フィードバック電圧Vfbは、第2の入力NFET525のゲートに対応する差動ドライバ522の第2の入力532に入力される。第2の増幅器432の出力は、図5に示されるように、第2のPFET550のドレインと第2のNFET525のドレインとの間のノード515で取り出される。
【0052】
[0050]第1のPFET540は、電力供給レール105に結合されたソースと、第1の入力NFET520のドレインに結合されたドレインとを有する。第1のPFET540のゲートおよびドレインは互いに結合される。第2のPFET550は、電力供給レール105に結合されたソースと、第1のPFET540のゲートに結合されたゲートと、第2の入力NFET525のドレインに結合されたドレインとを有する。さらに以下で説明するように、第2のPFET550は、第2の増幅器432の出力515において高インピーダンスアクティブ負荷を提供する。電流源510は、第1の入力NFET520および第2の入力NFET525のソースに結合され、第2の増幅器432にバイアス電流を供給する。
【0053】
[0051]この例では、第2の増幅器432の出力515における第2のPFET550のドレインに対する(looking into)インピーダンスは、第1の増幅器122の出力インピーダンスと比べて高い。高インピーダンスは、第1の増幅器122よりはるかに高い利得を第2の増幅器432に提供する。この高い利得は、上で説明したように、第2のフィードバック回路430が第1のフィードバック回路420の利得誤差を訂正することを可能にする。
【0054】
[0052]図6は、本開示の特定の態様による、LDO電圧レギュレータ600を示す。LDO電圧レギュレータ600は、図5のLDO電圧レギュレータ400と同様であり、第1のフィードバック回路420と第2のフィードバック回路432との間に結合された抵抗器−キャパシタ(RC)ネットワーク610をさらに含む。図6の例では、RCネットワーク610は、直列に結合されたキャパシタCmおよび抵抗器Rmを含む。RCネットワーク610は、第2のフィードバック回路430の出力におけるRC時定数を増加させることで、第2のフィードバック回路430の帯域幅を低減するように構成される。この例では、第2のフィードバック回路430の帯域幅は、第2のフィードバック回路430が高周波数において第1のフィードバック回路420の動作に干渉するのを防ぐために低減され得る。
【0055】
[0053]図6の例では、キャパシタCmは、第2のパスPFET412のゲートとドレインとの間に結合される。これは、ミラー効果(Miller effect)を通したキャパシタCmの等価容量を増加させ、これは、キャパシタCmの物理的なサイズが縮小されることを可能にする。
【0056】
[0054]図7は、本開示の特定の態様に係る、電圧制御のための例示的な方法700を示すフローチャートである。方法は、LDO電圧レギュレータ400または600によって実行され得る。
【0057】
[0055]ステップ710において、第1のパス素子の抵抗は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に、フィードバック回路を使用して調整され、ここにおいて、第1のパス素子は、電圧レギュレータの入力と出力との間に結合され、フィードバック電圧は、電圧レギュレータの出力における電圧に等しいかそれに比例する。たとえば、第1のパス素子は、図4−6の第1のパス素子410を含み得る。
【0058】
[0056]ステップ720において、フィードバック回路のバイアス電圧は、基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に調整される。たとえば、フィードバック回路は、パス素子(たとえば、第2のパス素子410)および増幅器(たとえば、第1の増幅器122)を含み得、ここでは、バイアス電圧(たとえば、Vdd)は、パス素子と増幅器との間にあり、バイアス電圧は、パス素子の抵抗を調整することで調整される。
【0059】
[0057]本開示の先の説明は、当業者による本開示の実行または使用を可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正は当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義された包括的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の変形に適用され得る。ゆえに、本開示は、本明細書で説明した例に限定されるよう意図されるのではなく、本明細書で開示された原理および新規な特徴に合致する最も広い範囲が与えられるべきである。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
電圧レギュレータであって、
前記電圧レギュレータの入力と出力との間に結合された第1のパス素子と、ここにおいて、前記第1のパス素子は、前記第1のパス素子の抵抗を制御するための制御入力を有する、
基準電圧に結合された第1の入力と、フィードバック電圧に結合された第2の入力と、前記第1のパス素子の前記制御入力に結合された出力とを有する第1のフィードバック回路と、ここにおいて、前記フィードバック電圧は、前記電圧レギュレータの前記出力における電圧に略等しいかそれに比例し、前記第1のフィードバック回路は、前記基準電圧と前記フィードバック電圧との差分を低減する方向に前記第1のパス素子の前記抵抗を調整するように構成される、
前記基準電圧に結合された第1の入力と、前記フィードバック電圧に結合された第2の入力と、前記第1のフィードバック回路に結合された出力とを有する第2のフィードバック回路と、ここにおいて、前記第2のフィードバック回路は、前記基準電圧と前記フィードバック電圧との前記差分を低減する方向に前記第1のフィードバック回路のバイアス電圧を調整するように構成される、
を備える電圧レギュレータ。
[C2]
前記電圧レギュレータの前記入力は、電力供給レールに結合され、前記第1のフィードバック回路は、前記電力供給レール上の高速過渡に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減するように構成される、C1に記載の電圧レギュレータ。
[C3]
前記第1のフィードバック回路は、前記電圧レギュレータの前記出力に結合された負荷の高速変化に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減するように構成される、C1に記載の電圧レギュレータ。
[C4]
前記第1のフィードバック回路は、前記基準電圧に結合された第1の入力と、前記フィードバック電圧に結合された第2の入力と、前記第1のパス素子の前記制御入力に結合された出力とを有する第1の増幅器を備え、前記第2のフィードバック回路は、前記第1の増幅器の利得誤差に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減するように構成される、C1に記載の電圧レギュレータ。
[C5]
前記第1のフィードバック回路は、電力供給レールと前記第1の増幅器との間に結合された第2のパス素子をさらに備え、前記第2のパス素子は、前記第2のパス素子の抵抗を制御するための制御入力を有し、前記第2のフィードバック回路の前記出力は、前記第2のパス素子の前記制御入力に結合され、前記第1のフィードバック回路の前記バイアス電圧は、前記第2のパス素子と前記第1の増幅器との間にあり、前記第2のフィードバック回路は、前記第2のパス素子の前記抵抗を調整することで、前記第1のフィードバック回路の前記バイアス電圧を調整するように構成される、C4に記載の電圧レギュレータ。
[C6]
前記第2のパス素子を通る電流は、前記第2のパス素子の前記抵抗が調整されるため、略一定のままである、C5に記載の電圧レギュレータ。
[C7]
前記第2のパス素子は、前記電力供給レールに結合されたソースと、前記第2のフィードバック回路の前記出力に結合されたゲートと、前記第1の増幅器に結合されたドレインとを有するp型電界効果トランジスタ(PFET)を備える、C5に記載の電圧レギュレータ。
[C8]
前記第1の増幅器は、
差動ドライバと、
前記第2のパス素子と前記差動ドライバの第1の出力との間に結合された第1の負荷と、
前記第2のパス素子と前記差動ドライバの第2の出力との間に結合された第2の負荷と、ここにおいて、前記差動ドライバは、前記基準電圧と前記フィードバック電圧とに基づいて、前記第1の負荷および前記第2の負荷を駆動するように構成される、
を備える、C5に記載の電圧レギュレータ。
[C9]
前記第2のフィードバック回路は、前記第1の負荷を通る電流と前記第2の負荷を通る電流との差分を低減する方向に前記第2のパス素子の前記抵抗を調整するように構成される、C8に記載の電圧レギュレータ。
[C10]
前記第1の増幅器は、前記第1の増幅器にバイアス電流を供給するように構成された電流源をさらに備え、前記第2のパス素子を通る電流は、前記バイアス電流に略等しい、C8に記載の電圧レギュレータ。
[C11]
前記第2のフィードバック回路は、前記基準電圧に結合された第1の入力と、前記フィードバック電圧に結合された第2の入力と、前記第1のフィードバック回路に結合された出力とを有する第2の増幅器を備え、前記第1の増幅器は、低い利得で高い帯域幅の増幅器であり、前記第2の増幅器は、高い利得で低い帯域幅の増幅器である、C4に記載の電圧レギュレータ。
[C12]
前記第2のパス素子と前記第1の増幅器との間に結合された第1の端と、前記第2の増幅器の前記出力に結合された第2の端を有するキャパシタをさらに備える、C11に記載の電圧レギュレータ。
[C13]
電圧制御のための方法であって、
基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のパス素子の抵抗を、フィードバック回路を使用して、調整することと、ここにおいて、前記第1のパス素子は、電圧レギュレータの入力と出力との間に結合され、前記フィードバック電圧は、前記電圧レギュレータの前記出力における電圧に等しいかそれに比例する、
前記基準電圧と前記フィードバック電圧との前記差分を低減する方向に前記フィードバック回路のバイアス電圧を調整することと
を備える方法。
[C14]
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整することは、前記電圧レギュレータの前記入力における高速過渡に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、C13に記載の方法。
[C15]
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整することは、前記電圧レギュレータの前記出力に結合された負荷の高速変化に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、C13に記載の方法。
[C16]
前記フィードバック回路は、増幅器を備え、前記フィードバック回路の前記バイアス電圧を調整することは、前記増幅器の利得誤差に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、C13に記載の方法。
[C17]
前記フィードバック回路は、電力供給レールと前記増幅器との間に結合された第2のパス素子をさらに備え、前記フィードバック回路の前記バイアス電圧は、前記第2のパス素子と前記増幅器との間にあり、前記フィードバック回路の前記バイアス電圧を調整することは、前記第2のパス素子の抵抗を調整することを備える、C16に記載の方法。
[C18]
前記第2のパス素子を通る電流は、前記第2のパス素子の前記抵抗が調整されるため、略一定のままである、C17に記載の方法。
[C19]
前記増幅器は、第1の負荷および第2の負荷を備え、前記第2のパス素子の前記抵抗を調整することは、前記第1の負荷を通る電流と前記第2の負荷を通る電流との差分を低減する方向に前記第2のパス素子の前記抵抗を調整することを備える、C17に記載の方法。
[C20]
電圧制御のための装置であって、
基準電圧とフィードバック電圧との差分を低減する方向に第1のパス素子の抵抗を調整するための手段と、ここにおいて、前記第1のパス素子は、電圧レギュレータの入力と出力との間に結合され、前記フィードバック電圧は、前記電圧レギュレータの前記出力における電圧に等しいかそれに比例する、
前記基準電圧と前記フィードバック電圧との前記差分を低減する方向に前記第1のパス素子の前記抵抗を調整するための前記手段のバイアス電圧を調整するための手段と
を備える装置。
[C21]
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整するための前記手段は、前記電圧レギュレータの前記入力における高速過渡に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、C20に記載の装置。
[C22]
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整するための前記手段は、前記電圧レギュレータの前記出力に結合された負荷の高速変化に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、C20に記載の装置。
[C23]
前記第1のパス素子の前記抵抗を調整するための前記手段は、増幅器を備え、前記バイアス電圧を調整するための前記手段は、前記増幅器の利得誤差に起因する、前記フィードバック電圧と前記基準電圧との前記差分を低減する、C20に記載の装置。
[C24]
前記増幅器は、第1の負荷および第2の負荷を備え、前記バイアス電圧を調整するための前記手段は、前記第1の負荷を通る電流と前記第2の負荷を通る電流との差分を低減する方向に前記バイアス電圧を調整する、C23に記載の装置。
図1
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図7