特許第6805275号(P6805275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805275
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】流体を調量する弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   F16K31/06 305J
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-568922(P2018-568922)
(86)(22)【出願日】2017年6月21日
(65)【公表番号】特表2019-520531(P2019-520531A)
(43)【公表日】2019年7月18日
(86)【国際出願番号】EP2017065269
(87)【国際公開番号】WO2018001829
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】102016211904.4
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102017207273.3
(32)【優先日】2017年4月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】チェルニィ、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アベル、ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】シェーンロック、オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ベー、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ログラー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シャード、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ビューナー、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マイアー、ユルゲン
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−518859(JP,A)
【文献】 特表2015−529306(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02634413(EP,A1)
【文献】 特表2005−518497(JP,A)
【文献】 特開2017−096131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06−31/11
F02M 39/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のための燃料噴射弁として機能する流体を調量する弁(1)であって、
電磁アクチュエータ(3)と、
前記電磁アクチュエータ(3)により操作可能な弁ニードル(7)であって、弁座面(9)と協働してシール座を成す弁閉鎖体(8)を操作するために役立つ前記弁ニードル(7)と、
を備え、
前記電磁アクチュエータ(3)のアーマチャ(6)が、前記弁ニードル(7)の長手方向軸線(15)に沿って可動的に前記弁ニードル(7)に案内されており、前記アーマチャ(6)の移動が、前記弁ニードル(7)に関して、前記弁ニードル(7)に配置されたストッパ要素(16、17)の少なくとも1つのストッパ面(18、19)によって制限されており、前記アーマチャ(6)が、少なくとも1つの貫通流路(30〜35)を有する、前記弁(1)であって、
前記ストッパ要素(16、17)、及び/又は、前記アーマチャ(6)は、前記ストッパ要素(16、17)と、前記アーマチャ(6)の、前記ストッパ要素(16、17)寄りの端面(23、24)と、の間に駆動中に常に、前記弁ニードル(7)に隣接する間隙(53)が残存するように、形成され、
前記アーマチャ(6)と前記ストッパ面(18、19)とが駆動中に接触する場合には、前記ストッパ面(18、19)が、少なくとも接触領域(60)において、前記アーマチャ(6)の、前記ストッパ要素(16、17)寄りの前記端面(23、24)に当接し、前記アーマチャ(6)と前記ストッパ面(18、19)とが駆動中に接触する場合に、前記接触領域(60)は、前記間隙(53)と、前記貫通流路(30〜35)の開口(45)と、の間に配置されることを特徴とする、弁(1)において、
前記ストッパ面(18、19)が形成されている前記ストッパ要素(16、17)は、前記弁ニードル(7)と結合され又は前記弁ニードル(7)に形成されており、前記ストッパ要素(16、17)は、前記間隙(53)内の流体が駆動中に、前記ストッパ面(18、19)に前記アーマチャ(6)が当たることにより可能となる前記ストッパ要素(16、17)の動的な変形によって少なくとも部分的に絞り間隙(61)を介して前記間隙(53)から押し出されるように形成され、
前記長手方向軸線(15)によって垂直に貫かれた投影平面(41)であって、前記アーマチャ(6)と前記ストッパ面(18、19)とが駆動中に少なくとも部分的にそこで接触する前記投影平面(41)への、前記ストッパ面(18、19)の縁部(42)の投影(42’)は、前記投影平面への、前記ストッパ面(18、19)寄りの前記貫通流路(30〜35)の前記開口(45)の投影を通過している、
ことを特徴とする、弁(1)。
【請求項2】
前記投影平面(41)への前記ストッパ面(18、19)の前記縁部(42)の前記投影(42’)は、前記投影平面(41)への、前記ストッパ面(18、19)寄りの前記貫通流路(30〜35)の前記開口(45)の前記投影(45’)を、以下のように通過しており、即ち、前記投影平面(41)への、前記ストッパ面(18、19)寄りの前記貫通流路(30〜35)の前記開口(45)の前記投影(45’)が、一方では、前記投影平面(41)への前記ストッパ面(18、19)の前記縁部(42)の前記投影(42’)に存在する内側部分平面(50)と、他方では、前記投影平面(41)への前記ストッパ面(18、19)の前記縁部(42)の前記投影(42’)に存在する外側部分平面(51)と、に分けられるように、通過しており、
前記アーマチャ(6)と前記ストッパ面(18、19)とは、以下のように形成され、即ち、駆動中に一時的に前記間隙(53)と内部空間(11)との間の流体交換が、前記間隙(53)から、前記絞り間隙(61)、前記開口(45)の領域の前記貫通流路(30〜35)、及び、前記外側部分平面(51)の前記貫通流路(30〜35)を介して、前記内部空間(11)へと可能となり又はその逆も然りであるように、形成され、前記絞り間隙(61)は、前記ストッパ面(18、19)の前記接触領域(60)と、前記アーマチャ(6)の、前記ストッパ面(18、19)寄りの前記端面(23、24)と、の間に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の弁(1)。
【請求項3】
前記アーマチャ(6)と前記ストッパ面(18、19)とが駆動中に前記投影平面(41)で接触する場合に、前記アーマチャ(6)の、前記ストッパ要素(16、17)寄りの前記端面(23、24)は、前記投影平面(41)に存在し、及び/又は、前記ストッパ面(18、19)と前記貫通流路(30〜35)とは、前記内側部分平面(50)が前記外側部分平面(51)より大きくならないように、形成されることを特徴とする、請求項2に記載の弁(1)。
【請求項4】
前記ストッパ面(18、19)の前記縁部(42)は、前記ストッパ面(18、19)の外縁(42)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁。
【請求項5】
前記ストッパ面(18、19)は、1つ以上の部分(62)で、前記長手方向軸線(15)に沿って先細りする本体の側面(62)として形成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の弁(1)。
【請求項6】
前記長手方向軸線(15)に沿って先細りする前記本体は、円錐又は切頭円錐に基づいていることを特徴とする、請求項5に記載の弁(1)。
【請求項7】
前記ストッパ要素(16、17)には、前記間隙(53)を画定する面(71)が形成され、前記面(71)は、前記長手方向軸(15)に対して直交して方向付けられており及び前記間隙(53)を画定し、前記面(71)と前記ストッパ面(18、19)の間には、段部(72)が形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の弁(1)。
【請求項8】
前記間隙(53)は、前記弁ニードル(7)の前記長手方向軸線(15)に対して少なくとも近似的に回転対称的に形成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に内燃機関の燃料噴射弁として機能する流体を調量する弁に関する。特に、本発明は、好適に内燃機関の燃焼室への燃料の直接噴射が行われる、自動車の燃料噴射装置のためのインジェクタの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10345967号明細書では、内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁が開示されている。この公知の燃料噴射弁は、電磁コイルと、電磁コイルによってスロトーク方向に、戻りバネに抗して負荷を加えることが可能なアーマチャと、を備える。アーマチャは、ニードルと結合された第1のフランジであって、ストローク方向におけるアーマチャの運動を制限する上記第1のフランジと、弁ニードルと結合された第2のフランジと、の間に可動的に弁ニードルに配置されている。アーマチャと、第2のフランジと、の間にはバネが設けられている。このバネによって、燃料噴射弁が静止した状態において、以下のように、アーマチャに対して負荷が加えられており、即ち、アーマチャ自由経路(Ankerfreiweg)が形成された状態でアーマチャが第2のフランジのストッパ面から間隔が置かれているように、負荷が加えられている。その際には、螺旋バネとして形成されたバネを皿バネの代わりに使用することが有利であることが既に分かっている。というのは、皿バネは、アーマチャと、アーマチャストッパと、バネと、の間に存在する燃料の均等化を妨げ、これにより、アーマチャの領域での燃料の液圧的挙動が制御できなくなる可能性があるためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
請求項1の特徴を備えた本発明に係る弁には、改良された構成及び機能形態が可能となるという利点がある。特に、開弁時及び閉弁時の動的な挙動が改善されうる。特に、液圧的な固着(hydraulisches Kleben)等の望まれぬ液圧的な影響、及び/又は、アーマチャの強い衝突等の望まれぬ機械的な影響が回避され、又は少なくとも低減される。
【0004】
従属請求項に記載された措置によって、請求項1に示された弁の有利な発展形態が可能である。
【0005】
アーマチャは好適に、少なくとも駆動中は液状の流体で満たされた弁の内部空間に配置されている。好適な構成において、液状の流体とは、上記弁によって調量される流体である。従って、燃料噴射弁としての弁の構成においては液体燃料でありうる。
【0006】
このような構成において、従来の構成でそうであるように、初期状態において又は操作サイクルの間においても、アーマチャの平坦な端面が平坦なストッパ面と面的に接触した場合には、液圧的な媒体、即ち液状の流体に基づいて、アーマチャがストッパ面から離れる際に液圧的な固着効果が生じる。この液圧的な固着効果は、特に、既存の狭い間隙へと液状の流体が最初に流れ込まざるをえないことに起因する。反対に、従来の構成では、アーマチャがストッパ面に接近する際には液圧的な減衰が起こる。なぜならば、液状の流体が、どんどん狭くなる空隙から押し出されざるをえないからである。操作サイクルにおいては、この2つの効果が各ストッパ面で交互に生じる。これにより、弁の作動時のダイナミクス(Dynamik)に関する減衰作用及び遅延が生じる。他方では、従来の構成では、閉弁時にこのような形でアーマチャの強い衝撃が低減される。
【0007】
提案される弁では、場合により対応して更に発展しているのだが、アーマチャの1つ以上の貫通流路の重なり合い、及びアーマチャのための1つ又は2つのストッパの剛性が以下のように最適化され、即ち、閉弁時の液圧的な減衰と、開弁時のアーマチャのこれに関するストッパ面での好適に僅かな液圧的固着と、の組み合わせが弁の構成ごとに達成されるように、最適化される。
【0008】
請求項2に係る発展形態には、一方では、貫通流路を通る有利な貫流が可能となり、他方では、間隙と内部空間との間の流体交換が有利な形態により保証されるという利点がある。これにより、特に、アーマチャがストッパ面から離れる駆動状態において、液圧的な固着効果が充分に小さいように調整されうる。その際にこの過程は、特に、流体が内部空間から貫通流路の開口の領域内の貫通流路へと再流入することにより容易になる。それにも関わらず、他方では、アーマチャがストッパ面に当たりストッパ要素の弾性的な変形が生じた場合には、間隙内で有利な圧力形成が起こりうる。
【0009】
請求項3に係る発展形態によって、アーマチャとストッパ面とが投影平面で接触する場合には、有利に、間隙と内部空間との間の流体交換が、内から外へ又は外から内へと、貫通流路と、縁部より外側に形成された外側部分平面と、を介して可能となる。
【0010】
ストッパ面は、弁ニードルの長手方向軸線を中心として一周する外縁を有する。原則的に、ストッパ面が形成されるストッパ要素には、貫通開口部、特に貫通孔も形成することが可能であり、これにより、ストッパ面の内部に存在する縁部、特に環状の縁部が形成されうる。貫通流路の配置、構成及び数に従って、個々の貫通流路について流体の貫流を可能とするためにストッパ面を適切に形成することが可能である。例えば、複数の貫通流路を設けることが可能であり、この複数の貫通流路のうち、一部は弁ニードルの長手方向軸線の近傍に配置されており、他の部分は弁ニードルの長手方向軸線から遥かに遠ざけて配置されている。関連するストッパ面を、対応する大きさに構成すべき場合には、提案する解決策が、より内側に存在する貫通流路と、より外側に存在する貫通流路と、の双方のために実現されうる。その際に、より内側に存在する貫通流路について、縁部が対応して内側に存在する特に内側に存在する貫通開口部が、ストッパ面の安定性を保証するために実現されうる。ここで、請求項5に係る発展形態には以下の利点があり、即ち、少なくとも1つの関連する貫通流路の配置、特に長手方向軸線からの貫通流路の距離と、ストッパ面の寸法、特にストッパ面の縁部から長手方向軸線までの半径とが、以下のように互いに調整可能であり、即ち、提案する解決策が、これに関する貫通開口部がストッパ面が形成されるストッパ要素に設けられなくても実現されるように、互いに調整可能である。
【0011】
関連するストッパ面は、ストッパ要素に形成されている。ここでは、請求項4に係る発展形態に対応した構成が特に有利である。本構成では、2つのストッパ要素を設けることも可能であり、この2つのストッパ要素のうち、例えば、一方が弁ニードルに形成され、他方が弁ニードルと結合されており、従って、中央に貫通孔を有する単体のアーマチャが弁ニードルに付け足され、続いて、アーマチャの移動が2つのストッパ要素間で制限されると解されたい。しかしながら、例えば、セグメントに分かれたアーマチャが使用される場合には、弁ニードルに2つのストッパ要素が形成された構成も可能である。さらに、提案されるストッパ面の構成が、2つのストッパ面の一方のみに形成されてもよく、2つのストッパ面で同じやり方で実現されてもよく、又は、2つのストッパ面で異なるやり方で実現されていてもよい。これにより、各適用ケースに対する調整、特に、弁の所望のダイナミクスと、閉弁時に要求される衝突挙動と、に対する調整が可能である。特に、噴射サイクルの間に複数の噴射が実現可能である必要がある所望の多点点火性能を実現するために、大幅な衝突回避が必要となる可能性がある。
【0012】
提案される弁ニードルの構成によって、移動を制限する際の減衰挙動が強化されうる。ここでは、アーマチャがストッパ要素に当たった際に間隙で正圧が形成され、又は、アーマチャが逆戻りした際には、間隙で負圧が形成され、これにより、アーマチャの起こりうる衝突の特に効果的な低減が得られる。これにより特に、弁が閉じた状態でのその初期ポジションに関する、アーマチャの迅速な鎮静化が達成され、従って、噴射サイクルにおける個々の噴射間の休止時間が短くても、多点点火性能が達成される。
【0013】
請求項6に係る発展形態には、間隙が、ストッパ要素に設けられた、輪郭において観察される面取り部によって実現可能であるという利点がある。有利な発展形態が、請求項7に従って可能である。
【0014】
請求項8で示す更なる別の有利な構成では、間隙が、その容積に関して、少なくとも部分的に、ストッパ面と、ストッパ要素に設けられた好適に部分環状の面と、の間の段部の高さを介して調整されうる。ここでは、ストッパ要素の、間隙を画定する面と、ストッパ面と、が互いに平行に形成され、双方が長手方向軸線に対して直交して方向付けられており、その際に、段部は、間隙を画定する面とストッパ面との間に存在しており、従って、面取りされた領域等が設けられていないことが更に有利である。この構成では、好適に環状の面であって、間隙を画定する上記環状の面に対するストッパ面の平行度の良好な測定が可能となるという利点がある。これにより、大量生産の枠組みにおいては、工程調整と、工程監視と、場合により、品質管理と、が可能である。特に、大量生産においては、ごく僅かなテーパ比(Konizitaet)が許容されるという公差設定を予め設定することが可能である。ごく僅かなテーパ比は、アーマチャとストッパ面とが駆動中に接触した場合に、接触領域とストッパ要素寄りのアーマチャの端面との間の絞り間隙に鑑みて十分な絞り効果が保証されることによって定められ、従って、アーマチャがストッパ面に当たった際に直接的に、間隙において十分な大きさの圧力が形成され、従って、提案される液圧的な減衰が実現される。
【0015】
特に、間隙を画定する面を円環状の面として構成することによって、請求項9に係る発展形態が実現されうる。
【0016】
請求項10に係る発展形態は、特に、以下のことにより実現可能であり、即ち、ストッパ面寄りのアーマチャの端面が平坦に形成され、弁ニードルの長手方向軸線が、アーマチャの端面を垂直に貫くように方向付けられていることにより実現可能である。このことは、長手方向軸に対して直交して方向付けられた平坦なストッパ面との組み合わせにおいて実現されうる。
【0017】
請求項10の発展形態には、以下のような利点があり、即ち、一方では、場合によっては、内側部分平面に関する絞り効果が実現可能であり、他方では、アーマチャを加速させるために通常では必要となる貫通流路を通る貫流が、対応する大きさの外側部分平面によって、正にアーマチャがストッパ面から離れる際にあまり強く絞られないという利点がある。特に、内側部分平面及び接触領域は、動的な挙動の調整のために、及び/又は、対応する液圧的な絞り効果の形成による衝突回避のために、場合によっては小さく選択することも可能であるが、その一方で、最大可能な大きさの外側部分平面によって、所望の形態によるアーマチャでの貫流が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の好適な実施例が、以下の明細書の記載に、添付の図面を参照してより詳細に解説される。図面では、対応する要素に、統一的な符号が付されている。
図1】本発明の一実施例に対応する弁を、抜粋による概略的な断面図で示す。
図2】分解図又は展開図による、図1に示した弁の構成を解説するための抜粋による概略的な図を示す。
図3図1に示した弁の詳細を示す。
図4】他の実施例に対応する、図3に示した弁の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一実施例に対応する流体を調量する弁1の、抜粋による概略的な断面図を示している。弁1は、特に燃料噴射弁1として構成されうる。好適な適用ケースは、このような燃料噴射弁1が高圧噴射弁1として構成されており内燃機関の対応配置された燃料室への燃料の直接噴射のために用いられる燃料噴射装置である。ここでは、燃料として、液体又は気体の燃料が使用されうる。
【0020】
弁1は、複数の部分から成る弁ハウジング2と、電磁コイル4及び内極5及びアーマチャ6を含む電磁アクチュエータ3と、電磁アクチュエータ3により操作可能な弁ニードル7と、を有し、弁ニードル7は、駆動時に当該弁ニードル7と結合された弁閉鎖体8を、弁閉鎖体8と弁座面9との間に形成されたシール座を開放するために操作する。その際に、燃料は、内極5の軸方向の孔10を介して弁ハウジング2の内部空間11へと案内され、さらに、内部空間11から環状流路12を介してシール座へと案内され、従って、シール座が開放された際には、燃料が噴射口を介して空間13へと、特に燃焼室13へと噴射されうる。
【0021】
本実施例では、弁1が内開弁1として構成され、弁1を開くために、弁ニードル7が、開放方向14に長手方向軸線15に沿って位置調整される。
【0022】
アクチュエータ3のアーマチャ6は、弁ニードル7に浮動状態で支承されており、従って、長手方向軸線15に沿った、開放方向14における及び開放方向14とは逆方向におけるアーマチャ6の移動が可能である。この移動は、弁ニードル7に関してストッパ要素16、17によって制限される。ここでは、ストッパ要素16、17がそれぞれ弁ニードル7と結合され、又は弁ニードル7に形成されうる。本実施例では、ストッパ要素16は、弁ニードル7と固定的に結合されたストッパスリーブ16として構成される。さらに、ストッパ要素17は、本実施例では、同様に弁ニードル7と固定的に結合されたストッパリング17として構成される。このような固定的な結合は、例えば溶接により実現されうる。ストッパ要素16、17にはストッパ面18、19が形成されており、このストッパ面18、19は、互いに向き合っており、このストッパ面18、19の間で、アーマチャ6が所定のアーマチャ自由経路(Ankerfreiweg)20に対応して位置調整されうる。
【0023】
さらに、戻しバネ21が設けられており、この戻しバネ21は、本実施例ではストッパ要素17によって弁ニードル7に対して開放方向14に抗して負荷を加え、従って、弁ニードル7が自身の初期ポジションへと位置が調整され、この初期ポジションではシール座が閉鎖されている。さらに、バネ22が設けられており、このバネ22は、アーマチャ6に対してその初期ポジションへと負荷を加え、この初期ポジションでは、アーマチャ6の端面23がストッパ面18に当接している。この初期ポジションにおいて、端面23とは反対方向を向いたアーマチャ6の端面24と、ストッパ面19と、の間にアーマチャ自由経路20が生じる。
【0024】
弁1が操作される際には、電磁コイル4に通電され、従って、作用する磁力に基づいて、アーマチャ6が開放方向14に加速させられる。その際に、弁ニードル7は、アーマチャ6の端面24がストッパ要素17のストッパ面19に当たるまでは、その初期ポジションに留っている。アーマチャ6が加速されることによって、弁ニードル7の位置を調整するためのより大きな開放インパルス(Oeffnungsimpuls)が可能となる。この場合、アーマチャ6の移動が、内極5に当たることによって、弁ハウジング2に対して相対的に制限される。その際にさらに、弁ニードル7が或る程度逆行する可能性が存在する。
【0025】
弁1を閉鎖するためには、電磁コイル4への通電が切られ、従って、戻しバネ21を介して、開放方向14とは逆方向に弁ニードル7の位置が元に戻され、その際に、ストッパ面17によって、アーマチャ6が一緒に運ばれる。弁閉鎖体8がそのシール座に落ちた場合には、図1に示す初期位置へとアーマチャ6が元に戻され、その際には、バネ22がこの初期ポジションを保証する。
【0026】
内部空間11は、本実施例では液体燃料で満たされている。ここでは、アーマチャ6の内部に形成された貫通流路30〜35によって、孔10から環状流路12の方向へと燃料を通して案内することが可能となる。さらに、燃料は、アーマチャ6と、当該アーマチャ6の近傍の弁ハウジング2と、の間も流過しうる。
【0027】
操作過程においては、まず、アーマチャ6の端面24とストッパ要素17のストッパ面19との間の液体燃料が押し出される。続いて、アーマチャ6の端面24が、ストッパ要素17のストッパ面19から離れざるをえない。さらに、弁1が閉鎖される際には、ストッパ要素16のストッパ面18とアーマチャ6の端面23との間の液体燃料が押し出される。特に重要なことは、操作過程の開始時にも、ストッパ面16からアーマチャ6が離れることであり、その際には、液体燃料が、アーマチャ6の端面23とストッパ要素16のストッパ面18との間に流入せざるをえない。有利な液圧的挙動を保証するために、ストッパ要素16のストッパ面18及び/又はストッパ要素17のストッパ面19での特別な構成が提案される。ここでは、以下にストッパ要素16及びアーマチャ6を用いて記載する構成が、代替的又は追加的に、ストッパ要素17に関しても実現可能であると理解されたい。
【0028】
図2は、分解図(展開図)による、図1に示した弁1の構成を解説するための、抜粋による概略的な図を示している。ここでは、図を簡略化するため、弁ニードル7の位置を明示するために弁ニードル7の長手方向軸線15のみ記載する。さらに平面39、40、41が示されており、平面39、40、41はそれぞれ、長手方向軸線15によって垂直に貫かれている。平面39〜41はそれぞれ、その中心が長手方向軸線15に存在する円のトルテ形状の部分によって示されている。ここで、平面41は、弁1が適切なポジションにある状態でストッパ面16とアーマチャ6とが接触する投影平面である。平面40は、この平面40上にアーマチャ6の端面23が存在することにより特徴付けられる。但し、アーマチャ6の構成は、アーマチャ6の端面23が平面40に存在しこれにより長手方向軸線15によって垂直に貫かれていることに必ずしも限定されない。特に、端面23が、平坦な構成に始まり、幾つかの領域に凹設部又は隆起部も有することが構想されうる。
【0029】
平面39は、この平面39上に接触領域60とストッパ要素16のストッパ面18の縁部42とが存在することにより特徴付けられる。本実施例では、縁部42は、輪状線状の縁部42として構成されており、図2では、縁部42の輪状線の一部分が示されている。ストッパ面18はここでは部分62に、即ち部分単位で、円錐の側面62に対応して形成されている。さらに、ストッパ面18は、接触領域60がそこに存在する部分63に平坦に、かつ長手方向軸線15に対して直交して方向付けられて形成されている。例えば、側面62上を稜64から直線的に長手方向軸線15へと伸びる母線43に注目すると、これに関して、消失しない(nicht verschwindend)傾斜角44が定められる。この傾斜角44は、以下のように獲得される。長手方向軸線15に対して平行な、平面39への母線43の投影は半径43’である。傾斜角44は、傾斜角44に関して斜辺としての母線43及び隣辺としての半径43’を有する直角三角形から得られる。稜64は、ここでは輪状線状の稜64であり、径方向に見て、接触領域60を内側に画定する。
【0030】
変更された構成において、上記消失しない傾斜角44は、縁部42に沿って変化してもよい。但し本実施例では、ストッパ面18が部分単位で、円錐の側面62から生じているため、傾斜角44は縁部42に沿って一定である。
【0031】
縁部42は、長手方向軸線15に沿って、即ち長手方向軸15に対して平行に投影平面41へと投影される。これにより、縁部42の投影42’が得られる。
【0032】
本実施例では、貫通流路30の開口45が平面40に存在する。開口45は、本実施例では、円形の開口45として形成されている。従って開口45は、本実施例では輪状線46として構成された閉じた線46により画定されている。開口45又は輪状線46は、長手方向軸線15に沿って投影平面41へと投影されている。これにより、投影平面41上に、開口45の投影45’又は輪状線46の投影46’が生じる。
【0033】
弁1は、提案する解決策に対応して、以下のように構成され、即ち、長手方向軸線15によって垂直に貫かれた投影平面41であって、アーマチャ6とストッパ面18とが駆動中にそこで接触する上記投影平面41への、ストッパ面18の縁部42の投影42’が、投影平面41への、ストッパ面18寄りの貫通流路30の開口45の投影45’を通過するように、構成される。投影平面41への縁部42の投影42’によって、投影平面41への開口45の投影45’が、内側部分平面50と外側部分平面51とに分けられる。さらに、稜64の投影64’が、投影平面41上に径方向に見て、径方向の最小長75の分だけ、輪状線64の投影64’又は開口45の投影45’から間隔が置かれており、その際に、稜64の投影64’は、投影46’又は投影45’よりも長手方向軸線15の近傍に存在する。
【0034】
投影平面41への投影は常に、投影が投影平面41に対して垂直に行われると解されることに注意されたい。このことは、投影平面41が長手方向軸線15によって垂直に貫かれているため、投影が常に長手方向軸線15に沿って又は長手方向軸線に対して平行に行われることを意味している。但し、弁1が具体的に実現される際には、公差と、アーマチャ6と弁ニードル7との間の所望の遊びと、類似した公差又は構造に因る影響と、によって、理想とする構造又は投影からのずれが結果的に生じることも理解されたい。例えば、このような影響によって、特に、アーマチャ6と弁ニードル7との間の遊びによって、投影平面41への輪状線46の投影46’についての曲線族が生じる可能性があり、この曲線族は、理想とする投影46’の分だけ径方向に幾分長手方向軸線15へとずれた輪状線を含んでいる。さらに、ストッパ面18の回転対称的な構成ではいずれにせよ、長手方向軸線15を中心とするアーマチャ6の相対的な回転が、ストッパ要素16に関して同等に当てはまると見做されうると理解されたい。具体的な個別ケースで必要である場合には、場合によっては、アーマチャ6のこのような相対的な回転を制限又は防止する、弁ニードル7に沿ったアーマチャ6の案内も実現されうる。
【0035】
図3は、図1に示した弁1の詳細を示している。ここでは、一方では、弁1の操作の開始時点であって、電磁コイル4に正に通電される上記開始時点に発生するような状況が示されている。ここでは、磁力が52の方向にアーマチャ6対して加えられ、この磁力によって、アーマチャ6は52の方向に加速され、又は自身の初期位置から移動する。他方では、以下で詳細に記載するような、ストッパ要素16にアーマチャ6が当たる時点が関わりうる。
【0036】
上記初期位置では、アーマチャ6とストッパ面18とが接触しているため、図2で示した平面39〜41が空間的に一致している。
【0037】
ストッパ面18の上記構成に基づいて、ストッパ面18の部分62とアーマチャ6の端面23との間には、本実施例では長手方向軸線15に対して回転対称的な間隙53が形成されている。間隙53は、ここではまず、弁1の内部空間11から隔離された部分空間53であって、原則的にはアーマチャがストッパ面18から離れた後に初めて内部空間11と液圧的に連通する上記部分空間53として見做されうる。52の方向へのアーマチャ6の移動が起こった際には、間隙53が拡大する。このことは、間隙53では圧力降下が起こる傾向にあることを意味している。この圧力降下は、内部空間11から、上記アーマチャ6が離れた際に形成される絞り間隙61を介して液状の流体が流入することによって補正される。即ち、絞り間隙61と、内側に存在する部分平面50又は内側部分平面50と、開口45の領域内の貫通流路30と、外側の部分平面51又は外側に存在する部分平面51と、を通じた外から内部への流体交換が行われる。しかしながら、液圧的な固着効果は発生せず、又は間隙53でごくわずかに発生する。これにより、52の方向における移動の開始時に直ぐに、アーマチャ6がストッパ要素16から離れることが容易になる。これにより、液圧的な固着が著しく低減される。
【0038】
図3に示す弁1の詳細は、操作過程における第2の時点であって、弁1の閉鎖時にアーマチャ6が54の方向にストッパ面16に向かって案内される上記第2の時点も示している。アーマチャ6がストッパ面16に近づくと、間隙53から液状の流体が押し出され、又は、間隙53で圧力上昇が起こる傾向にある。これにより液状の流体が、間隙53から、形成された絞り間隙61と、内側部分平面50と、開口45の領域内の貫通流路30と、外側部分平面51と、を通って内部空間11へと、内から外へと押し出される。この流体交換では、接触領域60とアーマチャ6の端面23との間の絞り間隙61を介して、強度に絞られた燃料の案内が起きる。
【0039】
力学的に見れば、弁1が閉鎖される際、又は54の方向にアーマチャ6がストッパ要素16に向かって衝突した際に、さらに、ストッパ要素16の弾性的な変形も生じる。これにより、弁1が閉鎖された際に、アーマチャ6がストッパ要素16に衝突して逆戻りすることが低減されうる。
【0040】
図3に示す輪郭56に対するストッパ要素16の弾性的な変形により、部分62では、傾斜角44が小さくなり、従って、アーマチャ6とストッパ面16との間の間隙53が縮小し、その際に、間隙53から内部空間11への、内から外への流体交換が、圧搾間隙(Quetschspalt)61として作用する絞り間隙61を介して絞られる。このことにより、間隙53内で、対応する強度による圧力上昇が引き起こされる。このことにより、54の方向とは逆方向の制御されていない液圧的な力が引き起こされ、この液圧的な力が、端面23でアーマチャ6に対して作用する。追加的に、ストッパ要素16の弾性的な変形により弾性的な力又はバネの力が作用し、この弾性的な力又はバネの力は、弁ニードル7に案内されたアーマチャ6に対して54の方向とは逆方向に作用する。全体的として、これら作用により、アーマチャ6の或る程度の移動領域に亘って、54の方向に動くアーマチャ6への抑制された制動がもたらされる。
【0041】
弁1は、ここでは好適に以下のように構成されており、即ち、いずれの時点にも間隙53が完全に消えないように、即ち、アーマチャ6が弁ニードル7に対して相対的に静止状態となり、制動過程のダイナミクス(Dymanik)に対応してアーマチャ6の運動方向の反転(Bewegungsumkehr)が起こった場合に、液状の流体が間隙53に存在するように、構成されている。
【0042】
操作過程では、アーマチャ6の運動方向の反転の後で、弁1が引き続き閉鎖された状態で、ストッパ要素16が、輪郭56で示されるストッパ要素16のポジションであって、負荷が掛かっていない上記ポジションに跳ね返った際には、間隙53の容積の増大が引き起こされる。このことにより、内部空間11内の圧力に対する間隙53内の負圧が引き起こされる。従って、アーマチャ6に対する制御されていない液圧的な力が、54の方向とは逆方向に生じる。ストッパ要素16が、負荷が掛かっていないその初期ポジションへと戻ることによって、52の方向におけるアーマチャ6に対する力が引き起こされるため、間隙53内の負圧が、運動方向の反転の後のアーマチャ6の運動を減衰させる。これにより、アーマチャ6の跳ね返りが抑制される。ストッパ要素16への負荷解消に対応して、間隙23への流体交換は、強度に絞る絞り間隙61のみを介して可能となる。
【0043】
これにより、52の方向へのアーマチャ6の跳ね返りが、間隙53で生じている負圧によって制動される。弁1の構成に応じて、場合によっては未だ更なる再揺り戻しが発生する可能性がある。但し、有利な減衰が達成され、従って、アーマチャ6の沈静化が改善される。特にこれにより、アーマチャ6が跳ね返って弁1が再度開くこと、及びアーマチャ自由経路20が完全に通過されることが回避され又は完全に予防される。さらに、新たに操作される際にアーマチャ自由経路20が少なくとも十分にアーマチャ6のための加速区間として提供される程度にまで、短時間でアーマチャ6を沈静化させることが可能であり、従って、アーマチャ6の十分に大きな運動インパルスを用いた弁1の信頼性の高い開放が達成される。従って、例えば、所望の多点点火性能において、噴射サイクルの個別噴射間の短い休止時間が可能となる。
【0044】
以上まとめると、本実施例ではストッパ要素16に、初期状態においてアーマチャ6の端面23がストッパ要素16のストッパ面18に当接する接触領域60が形成され、その際に、ストッパ要素16には機械的に負荷が掛かっていない。この接触領域60は、ここでは、間隙53と貫通流路30の開口45との間に形成される。これにより、弁1の操作の開始時に、その際にはアーマチャ6は開放方向16に加速されるのだが、アーマチャ6がストッパ面18から離れた後に初めて流体交換が起こる。特に、弁1が閉鎖される際には、接触領域60において絞り効果が発生し、液状の流体は、弾性的に縮み(einfedern)又は跳ね返る(ausfedern)際に、接触領域60に存在する狭い絞り間隙61又は圧搾間隙61を通って流れざるをえない。その際に生じる圧力差によって、間隙53内の圧力によるアーマチャ6の端面23への圧力の印加と、これにより発生する補正されていない液圧的な力と、の協働において、弾性的に縮む際にも跳ね返る際にも、アーマチャ6への制動又は減衰がもたらされる。
【0045】
図4は、他の実施例に対応した、図3に示した弁1の詳細を示している。本実施例では、ストッパ要素16に環状の平坦な面71が形成され、この面71によって、間隙53が画定される。更に、環状の面71とストッパ面18との間に配置された段部72が設けられている。段部72は、高さ73を有する。高さ73を介して、間隙52の容積であって、ストッパ要素16の、負荷が掛かっていない初期状態において生じる上記容積が調整可能である。
【0046】
さらに、アーマチャ6と弁ニードル7との間にはガイド間隙74が設けられている。可能な構成において、高さ73は、例えば、ガイド間隙74により設定されるガイド遊隙74’の例えば2倍の大きさに設定されてもよい。例えば、段部72の高さ73は、20μmであってもよい。
【0047】
環状の面71とストッパ面18とは、好適に、弁ニードル7の長手方向軸線15に対して直交して方向付けられている。
【0048】
径方向の最小長75の設定を介して、弁1が作動した際の液圧的又は動的な挙動の調整が可能である。アーマチャ6がストッパ面18から離れるアーマチャ6の操作の開始時には、流体は、ストッパ面18の接触領域60と、アーマチャ6の端面23と、の間へと流入せざるを得ない。その際には、アーマチャ6が52の方向に少しストッパ面18から離れるまで、液圧的な固着効果が作用する。径方向の最小長75が短く設定されるほど、液圧的な固着効果は小さくなる。
【0049】
更なる別の効果が、アーマチャ6がストッパ要素16に当たった際に発生し、その際にはまず、絞り間隙61、特に圧搾間隙61の形成が起きる。その際には、間隙53内の圧力が上昇する。径方向の最小長75が長く設定されるほど、間隙53で形成される最大圧力が大きくなる傾向にありうる。従って、径方向の最小長75を介して、間隙53での最大で達成可能な圧力を調整することが可能である。さらに、ストッパ要素16が弾性的に変形した際に、間隙53の或る程度の容積が確保されたままであることに注意されたい。そうでなければ、間隙53での圧力が非常に早く解消されてしまうからである。絞り間隙61又は圧搾間隙61が閉鎖される際には、液体容積の一部が、間隙53から絞り間隙61を介して押し出される。その際に、上記容積の一部が、ガイド間隙74を介しても押し出されうる。しかしながら、ガイド間隙74における圧力上昇は、弁軸15に対して直交して作用し、通常では円周を介しても補正される。
【0050】
従って、アーマチャ6がストッパ要素16に当たった際には、最初から、高い絞り効果が絞り間隙61を介して達成され、即ち、ストッパ要素16の弾性的な変形が未だ発生する前に達成され、従って同時に、間隙53内で圧力上昇が起こる。間隙53内の圧力は、ストッパ要素16が長く延在するほど、さらに上昇しうる。この場合、絞り間隙61を介して達成される絞り効果によって、達成可能な最大圧力が制限され、実際の制限値の範囲内での径方向の最小長75の設定を介して、アーマチャが54の方向に移動した際にアーマチャ6に対して液圧的に作用する制動力の、或る程度の調整が可能となる。
【0051】
以上、これにより、開弁時の低減された液圧的な固着と、閉弁時の液圧的な減衰と、に鑑みた調整が可能である。
【0052】
図面は、大きさの比率、特に傾斜角44及び段部72の高さ73が、好適な構成に関して明らかに誇張して示された概略的な図として理解すべきものと解されたい。
【0053】
本発明は、上記の実施例には限定されない。
図1
図2
図3
図4