【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の板材の有利な一実施形態では、第1の板材の、電気加熱可能なコーティングが配置された表面は、熱可塑性の中間層を介して第2の板材に面接続されている。
【0019】
第1の板材と、場合によっては第2の板材としては、基本的に、本発明の板材の製造条件および使用条件下において熱的および化学的に安定的であり、かつ寸法安定的であるあらゆる電気絶縁性基板が適している。
【0020】
第1の板材および/または第2の板材は、有利にはガラスを含み、特に有利には板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、石灰ソーダガラスまたはクリアプラスチック、有利には剛性のクリアプラスチック、とりわけポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニルおよび/またはこれらの混合物を含む。第1の板材および/または第2の板材は有利には、特に車両のフロントガラスまたはリアガラスとして当該板材を使用するため、または、高い光透過率が望ましい他の用途のために、透明である。ここで、本発明において「透明」とは、板材が可視スペクトル領域において、70%を超える透過率を有することをいう。運転者の交通上重要な視界内に位置しないガラス、たとえばルーフガラスの場合には、透過率を格段に低くすること、たとえば5%超とすることもできる。
【0021】
本発明の板材の厚さは幅広く変動することができるので、個別的事例の要求に合わせて調整できるという点に優れている。有利には、車両用ガラスでは標準厚さが1.0mmから25mmまで、有利には1.4mmから2.5mmまでである板材が使用され、家具、機器および建物、とりわけ電気加熱体には、標準厚さが有利には4mmから25mmまでの板材が用いられる。板材のサイズは幅広く変動することができ、本発明の使用のサイズに従って定まる。第1の板材と、場合によっては第2の板材の通常の面積は、たとえば車両産業や建築分野では200cm
2から20m
2までである。
【0022】
本発明の板材は、任意の3次元形状を有することができる。有利にはこの3次元形状は、たとえば陰極スパッタリングによってコーティングできるように、陰のゾーンを有しない。有利には、基板は平坦であるか、または、空間の1方向もしくは複数方向に軽くもしくはきつく湾曲している。特に、平坦な基板が用いられる。板材は無色または有色とすることができる。
【0023】
複数の板材を少なくとも1つの中間層によって互いに結合することができる。中間層は有利には、少なくとも1種の熱可塑性プラスチックを含み、有利にはポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。また熱可塑性の中間層は、たとえばポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート樹脂、注型用樹脂、フッ化エチレンプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニルおよび/またはエチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体、またはこれらのコポリマーもしくは混合物を含むこともできる。熱可塑性の中間層は、1つの熱可塑性フィルムにより、または、複数の熱可塑性フィルムを積層したものにより構成することができる。その際には、1つの熱可塑性フィルムの厚さは有利には0.25mmから1mmまで、典型的には0.38mmまたは0.76mmである。
【0024】
第1の板材と中間層と第2の板材とから成る本発明の複合板材の場合、電気加熱可能なコーティングを第1の板材に直接被着することができ、または、支持フィルムもしくは中間層自体に被着することも可能である。第1および第2の各板材は、内側表面と外側表面とを有する。第1および第2の板材の内側表面は互いに向き合っており、熱可塑性の中間層を介して互いに結合されている。第1および第2の板材の外側表面は互いに反対側を向いており、かつ、熱可塑性の中間層とは反対側を向いている。 導電性コーティングは、第1の板材の内側表面に被着されている。もちろん、第2の板材の内側表面にも、別の導電性コーティングを被着することができる。板材の各外側表面も、コーティングを有することができる。「第1の板材」および「第2の板材」との用語は、本発明の複合板材における2つの板材を区別するために選択されたものであり、当該用語は、幾何学的配置について特定するものではない。本発明の板材がたとえば、車両または建物等の開口内に設けられて外部周辺から内側スペースを分離するためのものである場合、第1の板材はこの内側スペース側または外部周辺側に位置することができる。
【0025】
本発明の透明板材は、少なくとも板材面の大部分にわたって、とりわけ板材面の視野にわたって延在する加熱可能な導電性の透明なコーティングを備えている。導電性のコーティングは、給電電圧の印加によって、両集電極間に形成された加熱場を介して加熱電流が流れるように、電圧源の両極に電気的に接続される少なくとも2つの集電極に電気的に接続されており、この集電極はとりわけ2つである。典型的には、両集電極はそれぞれ、電流を導電性コーティング内に導入して広幅に分布させるためのストリップ状または帯状の電極または集電バーまたはバスバーの形態である。こうするため、集電極は加熱層に直流接続されている。
【0026】
有利には、両集電極のうち少なくとも1つ、特に1つの集電極、有利には、透明板材が組み付けられた状態のときに上方に位置する集電極は、少なくとも2つ、特に2つの、互いに分離された部分領域に分割されている。
【0027】
1つの有利な実施形態では、集電極は、印刷および焼成された導電パターン部として形成されている。印刷された集電極は有利には、少なくとも1種の金属、金属合金、金属化合物および/または炭素、特に有利には貴金属と、とりわけ銀を含む。集電極を形成するための印刷ペーストは有利には、金属性の粒子、金属粒子および/または炭素と、とりわけ貴金属粒子、たとえば銀粒子等を含む。その導電性は、有利には導電性粒子によって達成される。粒子は、有利にはガラスフリットを含む印刷ペーストとして、ペーストまたはインク等の有機および/または無機マトリクス中に存在することができる。
【0028】
印刷された集電極の層厚は、有利には5μmから40μmまでであり、特に有利には8μmから20μmまでであり、非常に傑出して有利には8μmから12μmまでである。上述の厚さの印刷された集電極は、技術的に簡単に実現することができ、有利な電流容量を有する。
【0029】
集電極の比抵抗ρ
aは、有利には0.8μΩ・cmから7.0μΩ・cmまでであり、特に有利には1.0μΩ・cmから2.5μΩ・cmまでである。かかる範囲内の比抵抗を有する集電極は、技術的に簡単に実現することができ、有利な電流容量を有する。
【0030】
これに代えて、集電極をストリップとして形成することができ、または、集電極が複数の部分領域に分割されている場合には集電極を導電性フィルムの少なくとも2つ、特に2つのストリップとして形成することもできる。その際には集電極は、たとえば少なくともアルミニウム、銅、錫めっきされた銅、金、銀、亜鉛、タングステンならびに/もしくは錫またはその合金を含む。かかるストリップは、有利には10μmから500μmまでの厚さ、特に有利には30μmから300μmまでの厚さを有する。上述の厚さの導電性フィルムから成る集電極は、技術的に簡単に実現することができ、有利な電流容量を有する。ストリップは、たとえばはんだ材、導電性接着剤または直接載置により、上述の導電パターン部に導電接続することができる。
【0031】
本発明の板材の導電性コーティングは、加熱場、すなわち、加熱電流を導入できるように両集電極間に位置する、当該導電性コーティングの加熱可能な部分と、加熱される加熱場外の領域とに分割することができる。
【0032】
電気加熱可能なコーティングは、たとえば独国特許実用新案第202008017611号明細書(DE 20 2008 017 611 U1)、欧州特許第0847965号明細書(EP 0 847 965 B1)または国際公開第2012/052315号(WO2012/052315 A1)から公知である。その導電性コーティングは典型的には、1つの機能層または複数の機能層を、たとえば2つ、3つまたは4つの導電性の機能層を含む。この機能層は有利には少なくとも1種の金属、たとえば銀、金、銅、ニッケルもしくはクロム、または金属合金を含む。機能層は特に有利には、少なくとも90重量%の金属、とりわけ少なくとも99.9重量%の金属を含む。機能層は、上述の金属または金属合金から成ることができる。機能層は特に有利には、銀または銀含有合金を含む。かかる機能層は、特に有利な導電性を示すと同時に、可視スペクトル領域において高い透過率を示す。機能層の厚さは、有利には5nmから50nmまでであり、特に有利には8nmから25nmまでである。機能層の厚さの上述の範囲内では、可視スペクトル領域において有利な高さの透過率と、特に有利な導電性とが達成される。
【0033】
典型的には、導電性コーティングの各2つの隣接する機能層間にそれぞれ、少なくとも1つの誘電体層が配置されている。有利には、最初の機能層の下方および/または最後の機能層の上方に、さらに別の誘電体層が配置されている。誘電体層は、たとえば窒化シリコン等の窒化物または酸化アルミニウム等の酸化物等の誘電体材料から成る少なくとも1つの単層を含む。また、誘電体層は複数の単層を含むこともでき、たとえば誘電体材料の複数の単層、平坦化層、整合層、ブロック層および/または反射防止層を含むこともできる。1つの誘電体層の厚さは、たとえば10nmから200nmまでである。
【0034】
かかる積層体は一般的に、磁場アシスト陰極スパッタリング等の真空法により行われる成膜プロセスの連続によって得られる。
【0035】
他の適した導電性コーティングは有利には、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープされた酸化錫(SnO
2:F)またはアルミニウムドープされた酸化亜鉛(ZnO:Al)を含む。
【0036】
導電性コーティングは原則的に、電気的にコンタクトされるあらゆるコーティングとすることができる。本発明の板材が、たとえば窓領域の板材のように透視性を可能とするものである場合、導電性コーティングは有利には透明である。導電性コーティングは有利には電磁波に対して透明であり、特に有利には300nmから1300nmまでの波長の電磁波に対して、特に可視光に対して透明である。
【0037】
1つの有利な実施形態では導電性コーティングは、総厚が2μm以下、特に有利には1μm以下の1つの層または複数の単層の積層体である。
【0038】
有利な導電性コーティングは、0.4Ω/□から10Ω/□までのシート抵抗を有する。特に有利な一実施形態では、本発明の導電性コーティングは0.5Ω/□から1Ω/□までのシート抵抗を有する。かかるシート抵抗のコーティングは、12Vから48Vの典型的な車載電圧の場合において車両ガラスを加熱するため、または、最大500Vの典型的な車載電圧の電気自動車において、特に適している。
【0039】
導電性コーティングは、第1の板材の表面全体にわたって延在することができる。これに代えて、導電性コーティングは第1の板材の表面の一部のみにわたって延在することもできる。導電性コーティングは有利には、第1の板材の内側表面の少なくとも50%にわたって、特に有利には少なくとも70%にわたって、非常に傑出して有利には少なくとも90%にわたって延在する。
【0040】
複合板材としての本発明の透明板材の有利な一実施形態では、第1の板材の内側表面は、導電性コーティングが施されていない2mmから50mmまでの幅の周縁部領域を有し、この周縁部領域の幅は有利には5mmから20mmまでである。その際には、導電性コーティングは周囲との接触部を有さず、板材の内側において熱可塑性の中間層により、有利には損傷や腐食から保護される。
【0041】
本発明の透明板材では加熱場は、導電性コーティングが存在しない少なくとも1つのコーティング無しゾーンを含む。コーティング無しゾーンは、少なくとも一部が上述の導電性コーティングによって形成されているゾーン縁部によって区切られている。
【0042】
とりわけコーティング無しゾーンは、全部が上述の導電性コーティングによって形成される環状のゾーン縁部を有する。
【0043】
かかる際、コーティング無しゾーンが、本発明の透明板材の、板材縁部を包囲するコーティング無しの縁部ストリップに直接接続されるように、ゾーン縁部は導電性コーティングの環状のコーティング縁部に接続することができる。
【0044】
コーティング無しゾーンは、実に様々な輪郭を有し得る。たとえばこの輪郭は、丸められた角および/または曲線の辺を有する正方形、長方形、台形、3角形、5角形、6角形、7角形または8角形とすることができ、かつ、円形、オーバル形、雫形または楕円形とすることができる。その輪郭線は、直線、波形、ジグザグ形および/または鋸歯形の形状を有することができる。かかる幾何学的特徴のうち複数を、同一のコーティング無しゾーンにおいて実現することができる。
【0045】
とりわけコーティング無しゾーンは、電磁波を、とりわけIR放射、レーダ放射および/または無線放射に対して透過性である通信窓として機能する。さらに、かかる通信窓内にセンサを、たとえば降雨センサを配置することも可能である。
【0046】
コーティング無しゾーンはたとえば、加熱層を基板上に被着するときにマスキングによって、または、電気加熱可能なコーティングの被着後に、たとえば機械的ならびに/もしくは化学的除去によりおよび/または電磁波の照射による除去により加熱層を除去することによって、形成することができる。電磁波の照射はとりわけレーザ光照射である。
【0047】
1つの有利な実施形態では、少なくとも1つ、とりわけ1つのコーティング無しゾーンが設けられている。
【0048】
有利には、この少なくとも1つの第2のコーティング無しゾーンは、本発明の透明板材が組み付けられた状態にあるとき、少なくとも1つの第1のコーティング無しゾーンより上方に位置する。
【0049】
有利には、上述の少なくとも1つの第2のコーティング無しゾーンは、上記にて説明した輪郭や輪郭線を有する。
【0050】
有利には、少なくとも1つの第2のコーティング無しゾーンの面積は、少なくとも1つの第1のコーティング無しゾーンより小さい。
【0051】
本発明の透明板材の格別な利点は、
・少なくとも1つ、特に1つの第1のコーティング無しゾーン、および、少なくとも1つ、特に1つの第2のコーティング無しゾーン、
・少なくとも1つ、特に1つの第1のコーティング無しゾーン、および、縁部ストリップの少なくとも1つのゾーン、
・少なくとも1つ、特に1つの第2のコーティング無しゾーン、および、縁部ストリップの少なくとも1つのゾーン、または、
・少なくとも1つ、特に1つの第1のコーティング無しゾーン、少なくとも1つ、特に1つの第2のコーティング無しゾーン、および、縁部ストリップの少なくとも1つのゾーン
が、少なくとも1つ、特に1つの統一したコーティング無しゾーンを構成できることである。
【0052】
有利には、透明板材が組み付けられた状態にあるとき、上述の少なくとも1つのコーティング無しゾーンは、透明板材の上部分に位置する。
【0053】
本発明では、本発明の透明板材の本質的な特徴は、透明板材が、電圧源の1極と電気的に接続される少なくとも1つの、とりわけ1つの追加電極または第3のバスバーを備えており、追加電極または第3のバスバーの少なくとも一部、とりわけ電極区間のみが、コーティング無しゾーン内に、または有利には、電気加熱可能なコーティングの加熱場内ならびに/もしくは加熱場上に配置され、給電電圧が印加されると加熱電流の一部が、加熱場の、追加電極またはコーティング無しゾーンと、電圧源の他方の極に接続される集電極との間にある加熱場部分を介して流れるように、当該追加電極または第3のバスバーが導電性コーティングに電気的に接続されていることである。
【0054】
複数の追加電極のうち少なくとも1つ、または前記1つの追加電極は、少なくとも2つ、とりわけ2つの、互いに分離された部分領域に分割することができる。
【0055】
有利には、上述の少なくとも1つの追加電極または追加電極の上述の少なくとも2つの互いに分離された部分領域は、少なくとも1つのコーティング無しゾーンのゾーン縁部のうち本発明の透明板材が組み付けられた状態のときに下方にあるゾーン縁部に沿って延在する。「沿って」とは、追加電極またはその互いに分離された複数の部分領域が、ゾーン下縁部に対してほぼ平行または正確に平行に延在することをいう。
【0056】
加熱場のゾーン縁部と追加電極またはその部分領域との間の面が未だコーティング無しであるように、追加電極またはその少なくとも2つの互いに分離された部分領域がコーティング無しゾーン内に配置されている場合、追加電極と上述の加熱場部分との電気的接続は、少なくとも2つ、有利には少なくとも3つ、好適には少なくとも4つ、特に少なくとも5つの接続端区間を用いてなされる。追加電極が少なくとも2つ、特に2つの、互いに分離された部分領域に分割されている場合、少なくとも1つの部分領域、または特にすべての部分領域が、少なくとも2つ、有利には少なくとも3つ、好適には少なくとも4つ、特に少なくとも5つの接続端区間を有する。
【0057】
接続端区間は、長さが幅より大きい直線のまたは曲げ部を有するストリップの形状を有することができる。
【0058】
また、追加電極またはその部分領域がたとえば波形、ジグザグ形、鋸歯形またはメアンダ形に延在する場合、接続端区間を、追加電極またはその部分領域の凹部および/または凸部によって形成することにより、加熱場に部分的に接触させることもできる。
【0059】
接続端区間は、追加電極またはその互いに分離された複数の部分領域から、加熱場の、当該追加電極またはその部分領域と、逆極性に荷電される集電極との間の加熱場部分内へ、とりわけ、本発明の透明板材が組み付けられた状態のときに下方にある集電極との間の加熱場部分内へ、延在する。
【0060】
有利には、追加電極または追加電極の少なくとも2つの互いに分離された部分領域と電圧源との1極との電気的接続は、両集電極のうち1つを介して、とりわけ、本発明の板材が組み付けられた状態のときに上方にある集電極を介して行われる。
【0061】
有利な一実施形態の透明板材では、両集電極のうち少なくとも1つ、とりわけ1つから、少なくとも2つ、とりわけ2つの電流供給線が、上述の少なくとも1つ、とりわけ1つの追加電極まで敷設されている。
【0062】
他の有利な一実施形態の透明板材では、両集電極のうち少なくとも1つ、とりわけ1つから、それぞれ少なくとも1つ、とりわけ1つの電流供給線が、追加電極の上述の少なくとも2つ、とりわけ2つの各部分領域まで敷設されている。
【0063】
さらに他の有利な一実施形態の透明板材では、集電極の少なくとも2つ、とりわけ2つの各部分領域から、それぞれ少なくとも1つ、とりわけ1つの電流供給線が、上述の少なくとも1つ、とりわけ1つの追加電極まで敷設されている。
【0064】
さらに他の有利な一実施形態の透明板材では、集電極の少なくとも2つ、とりわけ2つの各部分領域から、それぞれ少なくとも1つ、とりわけ1つの電流供給線が、追加電極の少なくとも2つ、とりわけ2つの各部分領域まで敷設されている。
【0065】
さらに他の有利な一実施形態の透明板材では、少なくとも1つの集電極または少なくとも1つの集電極の少なくとも1つの部分領域から結合線路が、追加電極に対して配置された2つの電流供給線の端部まで敷設されている。換言すると結合線路は、1つのノード点において2つの電流供給線に分岐し、これら2つの電流供給線は、追加電極の両端まで、または、追加電極の2つの部分領域の各一端まで繋がっている。
【0066】
さらに他の有利な一実施形態の透明板材では、少なくとも1つの集電極または少なくとも1つの集電極の少なくとも1つの部分領域と、少なくとも1つの追加電極または1つの追加電極の少なくとも2つの部分領域との電気的接続は、該当の集電極または少なくとも1つの集電極の該当の部分領域と少なくとも1つ、とりわけ1つの結合電極との間に位置する、加熱場の結合場を介した直流結合によってなされる。結合電極は2つの電流供給線の各一端を接続し、これらの電流供給線は、1つの追加電極の両端まで、または、追加電極の部分領域の各一端まで繋がっている。よってかかる構成では、対応する第1のコーティング無しゾーンが、結合電極と2つの電流供給線と1つの追加電極または1つの追加電極の少なくとも2つの部分領域とから成る環状の導電路によって包囲されることとなる。
【0067】
上述の有利な実施形態では、追加電極の複数の部分領域の直流接続または直流結合は、加熱場の、当該追加電極またはその部分領域と、逆極性に荷電される集電極との間の加熱場部分を介して、とりわけ、本発明の透明板材が組み付けられた状態のときに下方にある集電極との間の加熱場部分を介して行われる。
【0068】
本発明では、少なくとも1つの電流供給線、とりわけすべての電流供給線は、少なくとも部分的に、
・加熱場内に、および/または、
・導電性コーティングのうち加熱場外にある少なくとも1つの部分領域内、すなわち、導電性コーティングのうち、集電極もしくはその部分領域と板材縁部との間に位置する領域内に、および/または、
・導電性コーティングの領域内の、加熱場外にある縁部ストリップの少なくとも1つのゾーン内に、および/または、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第2のコーティング無しゾーンの、導電性コーティングによって形成されたゾーン縁部の外部ならびに/もしくは内部に、および/または、
・少なくとも1つの第1のコーティング無しゾーンに対して、または、少なくとも1つ、とりわけ1つの第2のコーティング無しゾーンに対して配置された、縁部ストリップの少なくとも1つ、とりわけ1つのゾーン内に、および/または、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第1のコーティング無しゾーン内に、および/または、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第1のコーティング無しゾーンの少なくとも1つのゾーン側縁部の内部ならびに/もしくは外部に、とりわけ2つのゾーン側縁部の内部ならびに/もしくは外部に
配置されている。
【0069】
有利な一実施形態では、少なくとも2つ、特に2つの電流供給線は、部分的に、
・導電性コーティングのうち加熱場外にある少なくとも2つ、とりわけ2つの部分領域内、すなわち、導電性コーティングのうち、集電極もしくはその部分領域と板材縁部との間に位置する領域外に、および/または、
・導電性コーティングの領域内の、加熱場外にある縁部ストリップの少なくとも2つ、とりわけ2つのゾーン内に、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第2のコーティング無しゾーンの、導電性コーティングによって形成されたゾーン縁部の内部に、および、
・加熱場内において、少なくとも1つ、とりわけ1つの第1のコーティング無しゾーンの2つのゾーン側縁部に沿って
延在する。
【0070】
電流供給線の長さは幅広く変動することができるので、個別的事例の要求に合わせて調整できるという点に優れている。
【0071】
また、電流供給線の幅も幅広く変動することができるので、これも、個別的事例の要求に合わせて調整できるという点に優れている。
【0072】
電流供給線は局所的に、直線、曲線、波形、ジグザグ形、鋸歯形および/またはメアンダ形に延在することができる。
【0073】
有利には、追加電極またはその部分領域の電圧が、加熱場の、追加電極またはその部分領域およびコーティング無しゾーンに隣接する領域と加熱可能なコーティングの加熱場部分とにおいて生じる温度と、加熱されるコーティングの他の部分の温度との偏差が僅かのみ、有利には5℃から50℃までのみ、とりわけ5℃から40℃までのみ、理想的には全く無くなるような電圧となるように、電流供給線の長さ、幅および形状、とりわけ長さと幅を、個別事例ごとに選択する。
【0074】
より具体的にいうと、追加電極またはその部分領域の長さによって、追加電極またはその部分領域に流れる電流が可能な限り多くなるように、とりわけ加熱場との接続箇所における電位が調整され、なおかつ、ホットスポットの形成を回避するためには、流れることができる電流の量は、追加電極またはその部分領域とその直近の周辺が過熱しない程度の量のみである、ということである。よって、追加電極の電位ないしは電気的抵抗は、理論的には追加電極の幅のみだけで適切に調整することも可能ではあるが、かかる場合には、電圧降下全部を非常に短い追加電極だけで消失させなければならないという問題が生じ、これは、追加電極またはその部分領域自体の過熱を生じさせる原因となり得る。しかしこの問題は、電流供給線を可能な限り長くすることにより解消することができ、かかる電流供給線により過熱が防止される。
【0075】
有利には電流供給線は、集電極と同一の導電性材料から成る。
【0076】
本発明では、加熱場内において少なくとも部分的に少なくとも1つの電流供給線に沿って、少なくとも2つ、とりわけ2つの電流供給線に沿って、少なくとも1つのコーティング無し線、とりわけ少なくとも2つ、とりわけ2つのコーティング無し線が延在することにより、ホットスポットの形成がさらに効果的に防止される。
【0077】
その際には、コーティング無し線は常に、電流供給線の、コーティング無しゾーンとは反対側において延在する。
【0078】
本発明ではコーティング無し線は、少なくとも部分的に一続きで延在し、および/または、複数の離散的な切れ目の不連続の線として延在する。有利には、コーティング無し線はその全長において一続きで、すなわち切れ目無しで延在する。
【0079】
有利な一実施形態では、コーティング無し線は1つの集電極から加熱場を通過して、追加電極の高さまたは追加電極の部分領域の高さまで延在する。
【0080】
他の有利な一実施形態では、コーティング無し線は1つの集電極から加熱場を通過して、追加電極の高さまたは追加電極の部分領域の高さまで延在し、この高さから部分的に加熱場部分を通過して、追加電極に沿って、または追加電極の最も長い部分領域に沿って延在する。
【0081】
さらに他の有利な一実施形態では、コーティング無し線は加熱場内において、集電極からある程度の距離の場所を起点とする。有利にはコーティング無し線は、少なくとも局所的に直線、波形、鋸歯形、メアンダ形および/またはジグザグ形に延在する。有利にはコーティング無し線は、その全長において、各コーティング無し線に対応する電流供給線に沿って直線に延在する。
【0082】
コーティング無し線の長さは幅広く変動することができるので、個別的事例の要求に合わせて調整できるという点で有利である。とりわけ、コーティング無し線の長さは、各コーティング無し線に対応する各電流供給線の、加熱場内における区間の長さに応じて定まる。
【0083】
コーティング無し線の幅はその長さより格段に小さく、コーティング無し線の形状は変化することができる。有利には、その幅は全長において一定である。有利には、幅は10μmから1mmまでの範囲内である。
【0084】
総合的に、集電極と追加電極と電流供給線とコーティング無し線との本発明の構成により、加熱出力がほぼ均一に分布し、加熱出力が減少した箇所または上昇した箇所(ホットスポット)の形成が効果的に防止される。
【0085】
よって、本発明の上述の構成により、本発明の透明板材のコーティング無しゾーンの領域において氷および/または凝縮水から成る残留物の形成も、効果的に防止することができる。
【0086】
集電極および/またはその部分領域の電気的なコンタクトは、1つまたは複数の給電線により行われる。
【0087】
給電線は有利には、フレキシブルなフィルム導体またはフラット導体またはフラットリボン導体として形成されている。これは、幅が厚さより格段に大きい電気導体をいう。かかるフラット導体はたとえば、銅、錫めっきされた銅、アルミニウム、銀、金もしくはその合金を含むまたはこれから成るストリップまたはリボンである。フラット導体はたとえば、2mmから16mmまでの幅と、0.03mmから0.1mmまでの厚さとを有する。フラット導体は、絶縁性の、有利にはポリマーの外被を備えることができ、かかる外被はたとえばポリイミド系である。板材内の導電性コーティングのコンタクトを行うのに適したフラット導体の総厚は、たとえば0.3mmのみである。かかる薄さのフラット導体は、困難を伴わずに、各板材間において熱可塑性の中間層内に埋め込むことができる。フラット導体リボン内には、互いに電気的に絶縁された複数の導電層を設けることができる。
【0088】
これに代えて、細い金属ワイヤを給電線として使用することもできる。かかる金属ワイヤは、とりわけ銅、タングステン、金、銀、アルミニウムまたはこれらのうち少なくとも2種の金属の合金を含む。合金は、モリブデン、レニウム、オスミウム、イリジウム、パラジウムまたは白金を含むこともできる。
【0089】
本発明の有利な一実施形態の透明板材では、少なくとも2つ、とりわけ2つの各集電極が、それぞれフラット導体を用いて電圧源の極に導電接続されている。
【0090】
他の有利な一実施形態では、少なくとも1つ、とりわけ1つの集電極の少なくとも2つ、とりわけ2つの各部分領域が、電圧源に接続されたそれぞれ1つのフラット導体に導電接続されている。有利にはこれらのフラット導体は、部分領域のうち、板材縁部の各対応する第2の辺の付近にある部分に配置されている。かかる実施形態では、電流供給線からのフラット導体の電気的絶縁は、各構成要素を空間的に分離することにより行われる。
【0091】
他の有利な一実施形態では、少なくとも1つ、とりわけ1つの集電極の少なくとも2つ、とりわけ2つの各部分領域が、1つのフラット導体に導電接続されている。かかる実施形態では有利には、フラット導体は、部分領域の互いに反対側の両端間の中央に配置される。有利にはかかる構成は、1つの共通の導電性の接続部品によって、または、各部分領域に対応する2つの導電性の接続部品によって実現される。フラット導体は、平坦な金属ストリップ、とりわけ銅ストリップによって、導電性の接続部品に接続することができる。
【0092】
フラット導体と少なくとも1つの接続部品と、場合によっては平坦な金属ストリップ、とりわけ銅ストリップとは、上述の少なくとも2つの電流供給線から電気的に絶縁されて配置されている。
【0093】
かかる場合、フラット導体と接続部品との間の電気的絶縁、および、フラット導体と少なくとも2つの電流供給線との電気的絶縁は、フラット導体と接続部品との間かつフラット導体と少なくとも2つの電流供給線との間において電気絶縁層を用いて、とりわけストリップ状の電気絶縁層を用いて行われる。この電気絶縁層、とりわけストリップ状の電気絶縁層は、少なくとも、接続部品と少なくとも2つの電流供給線との交点を覆う。また、電気絶縁層は、部分領域の互いに反対側の両端面に突き当たることも可能である。
【0094】
有利には、上述の構成は全体的に、
・板材と、
・電流供給線の、絶縁部によって覆われた区間と、
・コーティングのうち加熱場外にある、電流供給線に隣接する部分領域であって、当該部分領域のゾーン縁部に、電気絶縁層の互いに反対側の端面が突き当たり、それと同時に、当該端面は、集電極の両部分領域の互いに反対側の端面に突き当たることができる部分領域と、
・電気絶縁層上に載置されるフラット導体と、
・集電極の部分領域と、
・集電極の部分領域に電気的に接続された接続部品と
を上下に重ねたものから成る層状構成を有する。
【0095】
かかる構成の重要な利点は、1つの集電極の2つの部分領域に給電するために必要なフラット導体が1つのみとなることであり、このことにより、本発明の透明板材の製造が格段に簡素化される。
【0096】
本発明の有利な一実施形態の透明板材では、集電極と1つまたは複数のフラット導体と1つまたは複数の追加電極と電流供給線とコーティング無しゾーンとが配置された領域の一部または全部を、通常の公知の不透明または非透光性のマスキングテープによって光学的にマスキングする。有利には、マスキングテープは黒色に着色されている。有利には、マスキングテープの事前製品をスクリーン印刷によって、未だコーティングされていない板材上に塗布し、その後に、塗布された層を焼成する。
【0097】
本発明の板材は、通常の公知の手法で作製することができる。有利には、本発明の板材は本発明の方法を用いて作製される。
【0098】
本発明の方法は、
(A)導電性コーティングを作製するステップと、
(B)導電性コーティングに少なくとも1つのコーティング無しゾーンまたは少なくとも2つの、特に2つのコーティング無しゾーンを加熱場において形成するステップと、
(C)(c1)電圧源の両極に接続される少なくとも2つ、特に2つの集電極であって、給電電圧の印加により両集電極間に位置する加熱場に加熱電流が流れるように導電性コーティングに電気的に接続される集電極、および/または、
(c2)電圧源の両極に接続される少なくとも2つの集電極であって、導電性コーティングに電気的に接続されており、両集電極のうち少なくとも1つが少なくとも2つの互いに分離された部分領域に分割される集電極
を形成するステップと、
(D)(d1)両集電極のうち少なくとも1つに電気的に接続される少なくとも1つの追加電極、および/または、
(d2)両集電極のうち少なくとも1つ、とりわけ両集電極に電気的に接続される、追加電極の少なくとも2つ、特に2つの部分領域、および/または、
(d3)少なくとも2つの互いに分離された部分領域に電気的に接続される少なくとも1つの、特に1つの追加電極、および/または、
(d4)前記少なくとも2つ、特に2つの互いに分離された部分領域のうちそれぞれ少なくとも1つ、とりわけ1つに電気的に接続される、追加電極の少なくとも2つ、特に2つの部分領域
を作製するステップと、
(E)少なくとも1つ、特に1つの追加電極または追加電極の少なくとも2つ、特に2つの部分電極に対する少なくとも2つ、特に2つの電流供給線であって、
(e1)両集電極のうち少なくとも1つ、特に1つから、少なくとも1つ、特に1つの追加電極まで敷設される電流供給線、
(e2)電流供給線のうちそれぞれ少なくとも1つ、特に1つが、少なくとも2つの各部分領域から少なくとも1つ、特に1つの追加電極まで敷設される電流供給線、
(e3)電流供給線のうちそれぞれ少なくとも1つ、特に1つが、両集電極のうち少なくとも1つ、特に1つから、追加電極の少なくとも2つ、特に2つの各部分領域まで敷設される電流供給線、および/または、
(e4)電流供給線のうちそれぞれ少なくとも1つ、特に1つが、少なくとも2つ、特に2つの各部分領域から、追加電極の少なくとも2つ、特に2つの各部分領域まで敷設される電流供給線、
(e5)両電流供給線が結合線路に接続され、結合線路は両集電極のうち少なくとも1つ、特に1つまで、または、少なくとも1つの集電極の少なくとも2つの部分領域のうち少なくとも1つまで敷設される電流供給線、または、
(e6)両電流供給線が結合電極に接続され、結合電極は、加熱場において当該結合電極と少なくとも1つの集電極または少なくとも1つの集電極の少なくとも2つの部分領域のうち少なくとも1つとの間に存在する結合場を介して、当該少なくとも1つの集電極または少なくとも1つの集電極の少なくとも2つの部分領域のうち少なくとも1つに電気的に接続(すなわち直流結合)される電流供給線
を作製するステップと、
(F)ステップ(B)の前、ステップ(B)を行う間またはステップ(B)の後、加熱場において、少なくとも1つの電流供給線および特に2つの電流供給線の少なくとも1つの区間の、少なくとも1つのコーティング無しゾーンとは反対側に沿って、少なくとも1つのコーティング無し線および特に2つのコーティング無し線を作製するステップと
を有し、
(G)ステップ(C),(D)および(E)を順次または同時に行う。
【0099】
本発明の方法の有利な一実施形態では、ステップ(E)において少なくとも1つの電流供給線および特に少なくとも2つの、特に2つの電流供給線(16,16’)を少なくとも部分的に、
・導電性コーティングのうち加熱場外にある少なくとも1つの部分領域および特に少なくとも2つの部分領域に、および/または、
・縁部ストリップの、コーティング縁部のゾーンの領域内にある少なくとも1つのゾーンおよび特に少なくとも2つの、特に2つのゾーンに、および/または、
・表面上にフラット導体、および、当該フラット導体と少なくとも2つ、特に2つの部分領域との少なくとも1つ、特に1つの共通の接続部品ならびに/もしくは少なくとも2つ、特に2つの接続部品を配置した少なくとも1つ、特に1つの電気絶縁層の下方に、および/または、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第2のコーティング無しゾーンの、導電性コーティングによって形成されたゾーン縁部の外部ならびに/もしくは内部に、および/または、
・加熱場内に、および/または、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第1のコーティング無しゾーン内に、および/または、
・少なくとも1つ、とりわけ1つの第1のコーティング無しゾーンの少なくとも1つのゾーン側縁部の内部ならびに/もしくは外部に、および、とりわけ少なくとも2つ、とりわけ2つのゾーン側縁部の外部に
延在するように作製する。
【0100】
本発明の方法の特に有利な一実施形態では、ステップ(C)、(D)および(E)を同時に実施する。その際に有利なのは、スクリーン印刷法を使用することである。
【0101】
特に有利には、コーティング無し線(21,21’)をステップ(F)において、加熱場(12)の導電性コーティング(8)のレーザアブレーションによって形成する。
【0102】
具体的には、ステップ(A)において導電性コーティングの成膜を自明の手法により、有利には磁場アシスト陰極スパッタリングによって行うことができる。かかる成膜は、本発明の板材が複合板材として構成されている場合、第1の板材のコーティングを簡単、迅速、低コストかつ均一に行えるという観点で、特に有利である。また、加熱可能な導電性コーティングは、たとえば蒸着法、化学蒸着法(chemical vapour deposition、CVD)、プラズマアシスト気相蒸着法(PECVD)または湿式化学的手法により成膜することもできる。
【0103】
ステップ(A)の後、第1の板材に温度処理を施すことができる。その際には、導電性コーティングが設けられた第1の板材を、少なくとも200℃、有利には少なくとも300℃の温度まで加熱する。かかる温度処理は、導電性コーティングの透過率の上昇および/またはシート抵抗の低下に用いることができる。
【0104】
ステップ(A)の後、第1の板材を、典型的には500℃から700℃までの温度で曲げることができる。平面の板材にコーティングすることの方が技術的に簡単であるから、かかる手順は、第1の板材を曲げる必要がある場合に有利である。しかしこれに代えて、たとえば導電性コーティングが損傷を生じずに曲げ工程に耐えるのに適していない場合には、第1の板材をステップ(A)の前に曲げることも可能である。
【0105】
ステップ(C)において集電極を設け、ステップ(E)において電流供給線を設けることは、有利には、導電性ペーストをスクリーン印刷法またはインクジェット法で印刷して焼成することにより行われる。これに代えて、集電極および電流供給線を導電性フィルムのストリップとして導電性コーティング上に被着すること、有利には載置、はんだ付けまたは接着することができる。
【0106】
スクリーン印刷法では、横方向における成形は、織布のマスキングによって、金属粒子を含む印刷ペーストを織布に通過させて印刷することにより行われる。マスキングの適切な成形により、たとえば、集電極の幅を特に簡単に設定および変更することができる。
【0107】
ステップ(B)において有利には、ステップ(A)において作製された加熱可能なコーティングを機械的に除去することにより、コーティング無しゾーンを形成する。機械的な除去に代えて、または機械的な除去と共に、適切な化学物質を用いた処理および/または電磁波の照射を行うこともできる。
【0108】
本発明の方法の有利な一実施形態は、少なくとも以下の更なるステップを有する:
・第1の板材のコーティングされた表面上に熱可塑性の中間層を配置し、熱可塑性の中間層上に第2の板材を配置するステップ、および、
・熱可塑性の中間層を介して第1の板材と第2の板材とを結合するステップ。
【0109】
かかるステップでは、第1の板材の表面のうち、加熱可能なコーティングが施された表面が、熱可塑性の中間層の方を向くように、第1の板材を配置する。このことにより、当該表面は第1の板材の内側表面となる。
【0110】
熱可塑性の中間層は、単一の熱可塑性フィルムによって構成することができ、または、2つ以上の熱可塑性フィルムを面で互いに重ねて配置することにより構成することもできる。
【0111】
第1の板材と第2の板材との結合は有利には、熱、真空および/または圧力の作用下で行われる。板材を製造するための自明の手法を使用することができる。
【0112】
たとえば、約10バールから15バールまでの昇圧した圧力で、かつ130℃から145℃までの温度で、約2時間にわたっていわゆるオートクレーブ法を実施することが可能である。自明の真空袋法または真空リング法は、たとえば約200ミリバールおよび80℃から110℃までで動作する。第1の板材と、熱可塑性の中間層と、第2の板材とを、カレンダーで少なくとも1対のローラ間でプレスして板材にすることもできる。かかる方式の設備は、板材作製において公知であり、通常は、プレス機構前に少なくとも1つの加熱トンネルを備える。プレス工程中の温度は、たとえば40℃から150℃までである。カレンダー法とオートクレーブ法との組み合わせは、実用上特に優れていることが判明している。これに代えて、真空ラミネータを使用することもできる。この真空ラミネータは、1つまたは複数の加熱可能かつ排気可能なチャンバから成り、このチャンバ内において、第1の板材と第2の板材とをたとえば約60分以内で、0.01ミリバールから800ミリバールまでの降圧した圧力で、かつ80℃から170℃までの温度で貼り合わせる。
【0113】
本発明の透明板材、とりわけ、本発明の方法を用いて作製された本発明の透明板材は、機能的ならびに/もしくは装飾的独立品として、および/または、家具、機器、建物の組付部品として、地上用移動手段、航空用移動手段もしくは水上移動手段において、特に自動車において、たとえばフロントガラス、リアガラス、サイドガラスおよび/またはガラスルーフとして使用できるという点で優れている。有利には本発明の透明板材は、車両フロントガラスまたは車両サイドガラスとして構成される。
【0114】
もちろん、上記および下記にて詳細に説明する特徴は、記載された組み合わせや構成でだけ使用できるという訳ではなく、別の組み合わせや構成で、または単独で、本発明の開示内容を逸脱することなく使用できると解すべきである。
【0115】
図面の簡単な説明
以下、複数の実施例に基づき、添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図面は、簡素化して、原寸とは異なる比率となっている。