特許第6805318号(P6805318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805318
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】プログラム及びゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/69 20140101AFI20201214BHJP
   A63F 13/20 20140101ALI20201214BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20201214BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20201214BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20201214BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20201214BHJP
【FI】
   A63F13/69
   A63F13/20 A
   A63F13/80 B
   A63F13/25
   A63F13/53
   A63F13/79
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-202564(P2019-202564)
(22)【出願日】2019年11月7日
(62)【分割の表示】特願2018-164767(P2018-164767)の分割
【原出願日】2015年10月15日
(65)【公開番号】特開2020-72918(P2020-72918A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】格和 真理
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−220979(JP,A)
【文献】 特開2015−39441(JP,A)
【文献】 特開2015−112386(JP,A)
【文献】 特開2013−244217(JP,A)
【文献】 特開2000−157721(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/82720(US,A1)
【文献】 特開2007−54441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F13/00−13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム内に登場する登場オブジェクトに対応付けられた物品であって、該登場オブジェクトを示すゲーム情報を有する物品から取得された該ゲーム情報を使用する前記ゲームに係るプログラムであって、
コンピュータに、
前記取得されたゲーム情報に基づき、該ゲーム情報及び該ゲーム情報と派生関係にあるゲーム情報を除いたゲーム情報を対象として抽選する処理と、
前記抽選により得られたゲーム情報を前記ゲームに使用する処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記抽選する処理は、前記取得されたゲーム情報が分類されるカテゴリに属するゲーム情報のうちの、前記取得されたゲーム情報及び前記派生関係にあるゲーム情報を除いたゲーム情報を対象とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
ゲーム内に登場する登場オブジェクトに対応付けられた物品であって、該登場オブジェクトを示すゲーム情報を有する物品から該ゲーム情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたゲーム情報に基づき、該ゲーム情報及び該ゲーム情報と派生関係にあるゲーム情報を除いたゲーム情報を対象として抽選処理を行う抽選手段と、
前記取得手段により取得されたゲーム情報、及び前記抽選手段により得られたゲーム情報を使用して前記ゲームを実行する実行手段と、
を備えるゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及びゲーム装置に関し、特に物品から情報取得を行うことにより該物品に関連するゲーム体験を提供するプログラム及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カードや玩具体等の物品に付された情報を取得することで、該物品に対応するキャラクタやアイテムをゲーム内に登場させ、プレイヤに使用可能ならしめるゲーム装置がある。また、このようなゲーム装置の中には、プレイヤにより行われたゲームプレイの内容に応じてキャラクタやアイテムを変化させ、次回のゲームプレイ時に変化後のキャラクタやアイテムをゲーム内に登場させることが可能なように、対応する情報を付した物品を新たに排出するものも存在する。
【0003】
特許文献1のゲーム装置では、変化後のキャラクタを再度のゲームプレイにおいてプレイヤに使用可能ならしめるため、ゲームプレイ時に反映されるパラメータ(特性データ)が二次元コードとして印刷したカードをプリンタに出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−065936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のゲーム装置では、ゲームプレイにより成長したキャラクタが新たなカードとして出力される。これによりプレイヤは、同一のキャラクタについて、ゲームプレイにあたり使用した成長前のキャラクタに係るカードと、ゲームプレイ後に得られた成長後のキャラクタに係るカードと、の複数枚を所有することになる。
【0006】
同一のキャラクタについて複数のカードを所有している場合、プレイヤが誤って成長前のキャラクタに係るカードを使用してゲームプレイを開始してしまう可能性がある。あるいは、同一のキャラクタについて重複して使用してゲームプレイを開始することになる等、興趣性が低減してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、プレイヤの利便性を高めたゲーム体験を提供するプログラム及びゲーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプログラムは、ゲーム内に登場する登場オブジェクトに対応付けられた物品であって、該登場オブジェクトを示すゲーム情報を有する物品から取得された該ゲーム情報を使用するゲームに係るプログラムであって、コンピュータに、取得されたゲーム情報に基づき、該ゲーム情報及び該ゲーム情報と派生関係にあるゲーム情報を除いたゲーム情報を対象として抽選する処理と、抽選により得られたゲーム情報をゲームに使用する処理と、を実行させる
【発明の効果】
【0009】
このような構成により本発明によれば、プレイヤの利便性を高めたゲーム体験を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置100の機能構成を示したブロック図
図2】本発明の実施形態に係るゲーム装置100で実行される出力時処理を例示したフローチャート
図3】本発明の実施形態1に係るゲーム装置100で実行される登録処理を例示したフローチャート
図4】本発明の実施形態2に係るゲーム装置100で実行される登録処理を例示したフローチャート
図5】本発明の実施形態1に係るカードDB104で管理されるカード情報、及びキャラクタDB105で管理されるキャラクタ情報のデータ構成を例示した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、ゲーム装置の一例としての、ゲーム内に登場するキャラクタに対応するカードからゲーム情報を取得することで、該キャラクタを登場させたゲームプレイをプレイヤに提供するゲーム装置に、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、カードに限られず、ゲーム内に登場するキャラクタまたはアイテムを含む登場オブジェクトに対応した物品であって、該登場オブジェクトを示すゲーム情報を有する物品からゲーム情報を取得して、同様のゲームプレイを提供することが可能な任意の機器に適用可能である。即ち、物品はカードに限られるものでなく、ゲーム情報を記録した態様であれば、フィギュア、メダル等の玩具体であってもよい。なお、登場オブジェクトはキャラクタやアイテムの他、ゲーム内のキャラクタ等について使用可能な行動(コマンド、技)や、ゲームを行うプレイフィールド、再生楽曲等を含むものであってもよい。
【0012】
《ゲーム装置の構成》
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0013】
制御部101は、例えばCPUであり、ゲーム装置100が有する各ブロックの動作を制御する。制御部101は、例えば記録媒体102に記録されている各ブロックの動作プログラムや、対価の支払いに応じてゲーム体験を提供する本実施形態のゲーム(提供ゲーム)に係るプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより各ブロックの動作を制御する。
【0014】
記録媒体102は、例えば内蔵メモリやHDD等の恒久的に情報記録を行う記録装置であり、ゲーム装置100に内蔵あるいは着脱可能に接続されるものであってよい。記録媒体102は、ゲーム装置100が有する各ブロックの動作プログラム等に加え、各ブロックの動作において必要となるパラメータや表示用画像等の種々の情報を格納している。メモリ103は、例えばRAM等の揮発性の記憶装置である。メモリ103は、各ブロックの動作プログラム等の展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データの格納領域や、各ブロックの動作に係る作業領域としても用いられてよい。
【0015】
カードDB104は、提供ゲームのプレイにあたり使用することが可能なカードの各々について情報(カード)を管理するデータベースである。本実施形態のカードDB104において管理されるカード情報は、図5(a)に示されるようにカードを識別するカードID501に関連付けて、該カードに対応するキャラクタを識別するキャラクタID502、及びカードを使用したゲームプレイの履歴等を示す管理情報503を含む。
【0016】
本実施形態のゲーム装置100で実行される提供ゲームでは、プレイヤはゲームプレイにあたり、規定数のカードを後述の認識部106に認識(スキャン)させることで、カードに対応するキャラクタをゲーム中の使用キャラクタとして登録させ、対戦ゲームにおいて所定の対戦キャラクタと対戦させることができる。また1回のゲームプレイに係る提供ゲームの終了時には、プレイヤは、使用キャラクタを含むプレイ中に登場したキャラクタのうちから所定数のキャラクタを新たなカードとして排出することができる。このとき、新たなカードとするキャラクタが使用キャラクタ、即ち既にカードを所有するキャラクタである場合、キャラクタのパラメータは更新(成長:パラメータ、キャラクタ画像等が、キャラクタごとに予め定められた成長ルールやゲーム結果に従って変更)される。つまり、本実施形態の提供ゲームでは使用キャラクタを排出対象として選択した場合、使用キャラクタの登録に用いたカードから、同キャラクタ(もしくは成長関係にある異なるキャラクタ等)の新たなカードを「派生」して出力することができる。以下、カードの対応関係を理解しやすいよう、使用キャラクタを成長させて新たに出力したカードを「派生カード」、成長前の使用キャラクタの登録に用いたカードを「基礎カード」として必要に応じて言及する。
【0017】
本実施形態のカードDB104ではこのようなカード間の対応関係を示すよう、少なくとも基礎カードに係る管理情報503には、派生カードを特定するための情報(カードIDであってよい)が含まれる。また派生カードは、ゲームプレイ時に派生カードを使用して使用キャラクタを登録し、同使用キャラクタをカードとして出力した場合にもさらに派生させたカードを出力することができる。即ち、1つのカードについての派生カードは間接的な派生を考慮すると複数枚存在し得ることになる。後述するように本実施形態の提供ゲームでは、誤って基礎カードが登録に使用された場合等、同様のゲーム展開のシナリオをプレイヤが再度プレイすることを回避するため、管理情報503には派生系譜のうちの最新の派生カードを特定するための情報が含められる。例えば、カードAから派生して生成されたカードB、さらにカードBから派生して生成されたカードCが存在する場合、カードA及びカードBに係る管理情報503には、カードCを特定するための情報が格納される。
【0018】
なお、本実施形態では管理情報503には、派生系譜のうちの最新の派生カードを特定するための情報が格納されるものとして説明するが、これに限られるものでないことは容易に理解されよう。例えば派生カードを示すために、管理情報503は対応するカードを使用して生成された派生カード、即ち直接的(派生系譜において直後)に派生させた派生カードを特定するための情報が格納されるものであってよい。この場合、最新の派生カードを特定するためには、管理情報503に派生カードを特定するための情報が含まれないカードまで、派生カードの管理情報503を辿りながら参照するように処理すればよい。あるいは、派生系譜の頂点、即ちいずれの派生もさせない状態を記録した基礎カード(親カード)に係る管理情報503に派生系譜の全ての派生カード(子カード)を特定するための情報と親カードであることを示す情報とを格納するようにし、これらの子カードに係る各々の管理情報503には、親カードを特定するための情報と子カードであることを示す情報とを格納するようにしてもよい。
【0019】
また本実施形態では、1回のゲームプレイに係る提供ゲームの終了時に1つの使用キャラクタを成長させることで派生カードを出力することができる、即ち1つの基礎カードに対して1つの派生カードを生成できるものとして説明するが、これに限られるものでない。例えば、派生させるための成長要素として他のカードや使用キャラクタとの組み合わせ(合体/合成)を用いてよく、該組み合わせに応じて派生カードを出力可能としてもよい。この場合、1つの派生カードに対して複数の基礎カードが存在することに相当するため、該複数の基礎カード各々の管理情報503には同一の派生カードを特定するための情報が格納されてよい。
【0020】
この他、管理情報503には、例えば該カードについて行われたゲームプレイの戦績やキャラクタのパラメータ補正に係る情報等が含まれていてもよい。管理情報503に含められる情報は、ゲームプレイにあたり、あるいはカード出力にあたり参照されるものであってよい。
【0021】
本実施形態ではカードDB104を用いて、ゲーム装置100から出力されたカードを含む、ゲーム装置100において使用可能な全てのカードについて、各々のカード情報を管理するものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。カード情報はカードを所有しているプレイヤごとに管理されるものであってもよく、この場合カードDB104とは別に各プレイヤについての情報を管理するプレイヤDBにおいて、プレイヤの識別情報に関連付けて管理情報503が管理されるものであってよい。
【0022】
キャラクタDB105は、提供ゲームに登場するキャラクタの各々についての各種情報(キャラクタ情報)を管理する。本実施形態のキャラクタDB105において管理されるキャラクタ情報は、図5(b)に示されるようにキャラクタを識別するキャラクタID511に関連付けて、該キャラクタを提供ゲームに登場させてゲーム画面に表示させる際に該画面の構成/生成に用いられるキャラクタ画像512、該キャラクタについて定められた成長過程の推移を示す成長情報513を含む。キャラクタ画像512は、キャラクタの成長段階に応じて異なる画像が定められるものであってよく、この場合、成長段階ごとにゲーム画面に表示される画像や出力されるカードに表示されるカードも関連して変化するものとして定められるものであってもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、カードDB104及びキャラクタDB105はゲーム装置100が有する構成として示すが、これらのデータベースに管理されるような複数のゲーム装置において参照が生じうる情報は、各ゲーム装置に記録されている必要はない。即ち、カードDB104及びキャラクタDB105の少なくともいずれかは、後述の通信部110を介してゲーム装置100と通信可能に接続されたサーバ等、外部装置の構成であってもよい。この場合、プレイヤは派生カードを生成したゲーム装置とは異なるゲーム装置であっても、基礎カードを用いてゲームプレイを行う場合に後述の各種処理に係る利便性が向上したゲーム体験が可能である。
【0024】
認識部106は、例えばゲーム装置100の内部構成として設けられた、あるいはゲーム装置100に接続されたカードリーダ等の情報取得装置がスキャンによりカードから取得した情報に基づき、いずれのキャラクタに係るカードであるかを認識する。例えば認識部106は、認識対象のカードから取得されたカードID501に基づき、カードDB104を参照して該カードに係るカード情報(キャラクタID502及び管理情報503)を取得する。また認識部106は、得られたキャラクタID502に基づき対応するキャラクタのキャラクタ情報を取得する。認識部106により取得されたキャラクタ情報は、カードID及び管理情報とともに、あるいは所定の変換処理が適用されて、使用キャラクタ情報としてメモリ103に格納されればよい。
【0025】
描画部107は、例えばGPU等の描画装置であり、提供ゲームに係る各種画面の描画処理を行う。描画部107は、例えば提供ゲームのプレイ中は、ゲーム画面として使用キャラクタのキャラクタ画像を適用したゲーム画面を描画する。また描画部107はゲーム画面に限らず、ゲームプレイ後に出力するカードに係る印刷内容である画像データも生成してもよい。
【0026】
表示部108は、例えばLCD等のゲーム装置100が有する表示装置であり、描画部107により生成されたゲーム画面を所定のフレームレートで表示することで、提供ゲームに係るゲーム体験をプレイヤに可能せしめる。
【0027】
出力部109は、例えばゲーム装置100の内部構成として設けられた、あるいはゲーム装置100に接続されたプリンタ等の印刷装置に出力命令を行うことで、提供ゲームのゲームプレイにおいて使用可能なカードの出力を実現する。出力命令は、カードに印刷される画像データとともになされ、印刷装置は所定の印刷媒体(カード用紙/ロール紙等)に該画像データを印刷し、所定の排出機構を介してプレイヤが取得可能な態様でカードを排出する。
【0028】
通信部110は、ゲーム装置100が有する他の装置との通信インタフェースである。ゲーム装置100は、通信部110により所定のネットワークを介して同様の構成で提供ゲームの提供を行う他のゲーム装置や、所定のサーバと接続し、情報のやり取りを行うことができる。通信部110を介する通信方式は、予め定められた規格に準じて行われればよく、いずれの規格を用いるものであるか、あるいは通信が有線/無線によるものであるかは特に限定されない。
【0029】
操作入力部111は、例えばボタンや方向指示用スティック等のゲーム装置100が有する操作入力インタフェースである。操作入力部111は、操作入力インタフェースに対する操作入力がなされたことを検出すると、該操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。
【0030】
《出力時処理》
以下、このような構成をもつ本実施形態のゲーム装置100において、1回のゲームプレイにつき行われるカード出力に係る出力時処理について、図2のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記録媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本出力時処理は、例えば提供ゲームにおいて所定の対戦キャラクタとの対戦ゲームが終了した際に開始されるものとして説明する。
【0031】
S201で、制御部101は、カード出力を行うキャラクタ(出力キャラクタ)の選択がなされたか否かを判断する。本実施形態の提供ゲームでは、プレイヤは、ゲームプレイにあたりプレイヤが登録した使用キャラクタと、対戦ゲームの相手である対戦キャラクタのうちからカード出力の対象となるキャラクタを選択することができる。制御部101は、出力キャラクタの選択がなされたと判断した場合は処理をS202に移し、なされていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。
【0032】
S202で、制御部101は、出力キャラクタとして選択されたキャラクタが使用キャラクタであるか否かを判断する。即ち、制御部101は、ゲームプレイに際しプレイヤが対応するカードを用いて登録した使用キャラクタのうちから出力キャラクタが選択されたか否かを判断する。制御部101は、出力キャラクタが使用キャラクタであると判断した場合は処理をS203に移し、使用キャラクタではないと判断した場合は処理をS205に移す。
【0033】
S203で、制御部101は、出力キャラクタについてメモリ103に格納されている各種パラメータの情報を更新し、新たなカードID(出力カードID)を割り当てて派生後の出力キャラクタに係る出力カード情報(派生カードの情報)を生成する。そして制御部101は、生成した出力カード情報をカードDB104に格納させる。出力カード情報は、カード情報と同じ構成を有するものとする。即ち、制御部101は、カードID501として出力カードIDを、キャラクタID502として出力キャラクタのキャラクタIDを有し、さらに更新後のパラメータの情報に基づいた管理情報503を有する出力カード情報を生成する。なお、派生により出力キャラクタが異なる種別のキャラクタに変化するよう定められている場合、各種パラメータの情報更新の際に変化後キャラクタのキャラクタID及び各種パラメータがキャラクタDB105から取得され、該情報に基づき出力カード情報は構成されてよい。
【0034】
S204で、制御部101は、出力キャラクタとして選択された使用キャラクタについて、カードDB104に格納されている管理情報503を変更する。本ステップでは、使用キャラクタに基づいて派生カードが生成される場合に、該使用キャラクタに係るカードについてカードDB104に管理されている管理情報503に、派生カード(出力カード)を特定するための情報の追加が行われる。具体的には制御部101は、該当の使用キャラクタの管理情報503に、派生カードを特定するための情報として出力カードIDを追加するよう、カードDB104にカード情報の更新要求を行う。なお、カードDB104内に派生系譜で関連付けされている他のカード情報が管理されている場合、即ち、使用キャラクタの登録に用いられたカードのカードIDを派生カードを特定するための情報として管理情報503に含むカード情報が管理されている場合、制御部101は該カード情報に対しても同様の更新要求を行えばよい。
【0035】
一方S202において出力キャラクタが使用キャラクタではない、即ち対戦キャラクタであると判断した場合、制御部101はS205で、選択された対戦キャラクタのキャラクタ情報に基づき、出力カードIDを割り当てた出力カード情報を生成する。そして制御部101は、生成した出力カード情報をカードDB104に格納させる。
【0036】
S206で、制御部101は出力カード情報に係る画像データを描画部107に生成させる。さらに制御部101は、生成された画像データに係るカードが印刷装置から排出されるよう、出力部109を制御する。
【0037】
このように本出力時処理を実行することにより、一度派生カードを生成した基礎カードについては、該派生カードを特定するための情報を関連付けることができる。
【0038】
《登録処理》
次に、出力時処理により印刷出力されたカードを含む、提供ゲームについて使用可能なカードを用いて1回のゲームプレイにおいて使用キャラクタを登録する登録処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記録媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本登録処理は、例えば1回のゲームプレイに係る対価の支払いがなされ、対戦ゲームのプレイヤ準備を行うシーケンスに提供ゲームの処理が至った際に開始されるものとして説明する。
【0039】
S301で、認識部106は、使用キャラクタとして登録するカードのスキャンがなされたか否かを判断する。即ち、認識部106は、提供ゲームについて使用可能なカードからの情報取得がなされたか否かを判断する。認識部106は、カードのスキャンがなされたと判断した場合は処理をS302に移し、なされていないと判断した場合は本ステップの処理を繰り返す。
【0040】
S302で、認識部106は、カードから取得された情報に含まれるカードIDに基づき、カードDB104から対応するカード情報を取得し、検出カード情報としてメモリ103に格納する。そして認識部106は、該検出カード情報を参照し、スキャンされたカードが既に派生カードの生成が行われたカードであるか否かを判断する。具体的には認識部106は、検出カード情報の管理情報503に、派生カードを特定するための情報が含まれているか否かに基づき本ステップの判断を行う。認識部106は、スキャンされたカードが既に派生カードの生成が行われたカードであると判断した場合は処理をS303に移し、まだ派生カードの生成が行われていないカードであると判断した場合は処理をS304に移す。
【0041】
S303で、認識部106は、派生カードを特定するための情報(カードID)に基づいてカードDB104から派生カードのカード情報を取得し、S302において格納した検出カード情報を更新する。
【0042】
S304で、認識部106は、検出カード情報のキャラクタID502に基づき、キャラクタDB105から対応するキャラクタ情報を取得し、使用キャラクタ情報としてメモリ103に格納する。このとき認識部106は、成長状況に基づくパラメータ変更を反映するため、取得したキャラクタ情報を検出カード情報の管理情報503に基づいて変換し、変換後のキャラクタ情報を使用キャラクタ情報として格納してもよい。なお、キャラクタ情報にはキャラクタ画像512が含まれているが、認識部106はこれを描画部107による描画処理に使用可能な状態に展開してメモリ103に格納すればよい。このようにすることで、既に派生カードの生成が行われたカードについては、スキャンされたカードについて派生後のキャラクタ情報を割り当てて登録し、ゲーム画面においても該カードについて派生後のキャラクタの画像が対応して表示されるよう構成できる。
【0043】
S305で、制御部101は、ゲームプレイについて使用可能と定めた規定数の使用キャラクタ情報が登録されたか否かを判断する。制御部101は、規定数の使用キャラクタ情報が登録されたと判断した場合は処理をS306に移し、規定数の使用キャラクタ情報が登録されていないと判断した場合は処理をS301に戻す。なお、プレイヤが規定数のカードを所有していない場合等、規定数の使用キャラクタ情報の登録を行う旨の操作入力がプレイヤによりなされた場合は、制御部101は本ステップの判断によらず処理をS306に移してよい。
【0044】
S306で、制御部101は、提供ゲームのシーケンスを対戦ゲーム開始のシーケンスに移し、本登録処理を完了する。
【0045】
このようにすることで、派生カードが存在しないカードを用いて使用キャラクタの登録が行われた場合は、基礎カードから取得されたキャラクタIDに基づくキャラクタ情報が使用キャラクタ情報として登録され、派生カードが存在するカードを用いて使用キャラクタの登録が行われた場合は、基礎カードから取得されたキャラクタIDとは異なる、派生カードに係るキャラクタIDに基づいて取得されたキャラクタ情報が使用キャラクタ情報として登録される。即ち、派生カードを生成した後であれば、対応する基礎カードがあればプレイヤは派生カードを出力した状態からゲームプレイ可能であるため、派生カードを出力するためのゲームをプレイし直す必要がなくなる。また派生関係にある類似するカードを所有している場合であっても、プレイヤは最新の派生カードでゲームプレイ可能となるため、意図しない(派生前の)カードを誤ってスキャンしてしまった場合もキャラクタ登録をやり直す必要がない。
【0046】
なお、本実施形態のカードDB104では、上述したように管理情報503には最新の派生カードを特定するための情報が含められるものとした。該構成によれば、派生系譜にある最新の派生カード以外のカードをスキャンした場合に、使用キャラクタのキャラクタIDとして最新の派生カードに係るキャラクタIDを一意に取得できる。一方で、派生カードが存在する基礎カードをスキャンした場合には、該基礎カードより後に派生して出力されたカードに基づく使用キャラクタでゲームプレイ可能であれば、少なくとも該基礎カードから派生カードを出力するためのゲームを再度プレイする事態は回避される。即ち、本発明の実施において派生カードが存在するカードをスキャンした場合に、必ずしも「最新の」派生カードに係るキャラクタIDに基づいてキャラクタ情報を取得する必要はない。例えばスキャンした基礎カードから直接的及び間接的に派生して出力されたカードが複数ある場合には、該複数の派生カードのうちのいずれかのカードに対応するキャラクタが使用キャラクタとして設定可能なように構成されてもよい。
【0047】
また、例えば他プレイヤにより成長させられたキャラクタに係る派生カードを使用してゲームプレイ可能ならしめることは、所謂ゲームバランスやゲームストーリー理解の観点からプレイヤの好適なゲーム体験を妨げ得る。従って、上述したようにプレイヤDBを用いてプレイヤごとの所有カードの情報を管理する構成とし、他プレイヤの所有するカードが使用された場合は、カードの対応するキャラクタとは異なり、例えば初期パラメータを有する(いずれのプレイヤにも所有されていない状態の)予め定められたキャラクタ群のうちから、選択された1つのキャラクタを使用キャラクタとして登録することで、ゲームプレイを許容するようにしてもよい。なお、プレイヤが所有するカードの情報は、プレイヤDBとして管理される必要はなく、プレイヤが戦歴等を記録可能に構成された、ICカード等のキャラクタカードとは異なる所定の記録媒体に記録されており、登録処理時に照会するよう構成してもよい。
【0048】
[実施形態2]
上述した実施形態1では、派生カードが存在するカードを使用キャラクタの登録に使用した場合に、最新の派生カードに対応するキャラクタが使用キャラクタとして登録されるものとして説明した。
【0049】
一方で、成長の過程で外観が異なるキャラクタとなった、派生関係を有する(派生系譜で繋がる)2種類のキャラクタは、派生関係を有することをカードの図柄の外観を一見しただけでは判断できない可能性がある。即ち、外観が異なることに起因して、プレイヤが最新の派生カードが同一である複数のカードを使用キャラクタの登録時にスキャンする可能性がある。このような場合、実施形態1に例示した構成では、最新の派生カードに係るキャラクタが使用キャラクタとして複数体登録されるため、好適なゲーム体験を妨げるゲームバランスの崩壊を引き起こし得る。
【0050】
本実施形態では、派生関係を有する複数のカードに基づいて使用キャラクタの登録が行われる場合に、同一のキャラクタが複数体使用キャラクタとして登録されることを回避する構成について説明する。
【0051】
なお、本実施形態のゲーム装置100は、上述の実施形態1と同様の構成を有するものとして機能構成の説明は省略する。一方で、本実施形態のカードDB104で管理されるカード情報は、基礎カードである場合に管理情報503に最新の派生カードを特定するための情報が含められるだけでなく、派生カードである場合には派生カードであることを示す情報が管理情報503に含められるものとする。
【0052】
《登録処理》
以下、本実施形態の登録処理について、図4のフローチャートを参照して詳細を説明する。なお、本実施形態の登録処理において、実施形態1の登録処理と同様の処理を行うステップについては同一の参照番号を付して説明を省略し、以下では本実施形態に特徴的な処理を行うステップの説明に留める。
【0053】
S301においてカードのスキャンがなされたと判断した後、認識部106はS401で、カードから取得されたカードIDに対応するカード情報をカードDB104から取得する。また認識部106は、取得したカード情報の管理情報503を参照し、スキャンされたカードが派生カードまたは派生カードが存在する基礎カードであるか否かを判断する。認識部106は、スキャンされたカードが派生カードまたは基礎カードであると判断した場合は処理をS402に移し、それ以外のカードであると判断した場合は処理をS304に移す。
【0054】
S402で、認識部106は、スキャンされたカードと派生関係にあるカードがゲームプレイに係る使用キャラクタの登録に使用されたか否かを判断する。即ち、今回スキャンされたカードよりも前に、該カードと派生関係にあるカードがゲームプレイに係る使用キャラクタの登録に使用されていたのであれば、その最新の派生カードに係る使用キャラクタ情報は既に格納されていることになる。従って、認識部106は例えば、取得したカード情報の管理情報503に含まれる派生カードを特定するための情報(カードID)に基づいたカード情報の取得を、既に使用登録したカードについて行ったか否かを基に本ステップの判断を行えばよい。認識部106は、スキャンされたカードと派生関係にあるカードがゲームプレイに係る使用キャラクタの登録に使用されたと判断した場合は処理をS403に移し、使用されていないと判断した場合は処理をS303に移す。
【0055】
S403で、認識部106は、カードから取得された情報に含まれるカードIDに基づき、カードDB104から対応するカード情報を取得する。そして認識部106は、取得したカード情報のキャラクタID502に基づき定められたキャラクタ群のうちから、使用キャラクタとして登録するキャラクタを抽選する抽選処理を行う。抽選処理は、例えばキャラクタDB105に登録されている全てのキャラクタIDから、取得したカード情報のキャラクタID502及びその派生関係にあるキャラクタのキャラクタIDを除外したキャラクタID群を対象に行われてよい。また例えば、取得したカード情報のキャラクタID502のキャラクタが分類されるカテゴリ(ランク、レアリティ、種族、属性等)に属する全てのキャラクタIDから、取得したカード情報のキャラクタID502及びその派生関係にあるキャラクタのキャラクタIDを除外したキャラクタID群を対象に行われてもよい。また例えば、抽選処理の対象として予め定められたキャラクタID群のうちから、取得したカード情報のキャラクタID502及びその派生関係にあるキャラクタのキャラクタIDを除外したキャラクタID群を対象に行われてもよい。また当然、抽選処理の対象となるキャラクタ群は、最新の派生カードについて取得されたカード情報のキャラクタID502に基づいて同様に定められるものであってもよいことは言うまでもない。
【0056】
認識部106は、抽選処理の結果得られた1つのキャラクタIDに基づいてキャラクタDB105から対応するキャラクタ情報を取得し、使用キャラクタ情報としてメモリ103に格納する。このとき、抽選処理により定まるキャラクタはスキャンされたカードに基づかず定まるキャラクタであるため、認識部106はS304のような変換等は行わなくてよい。使用キャラクタ情報の格納の後、認識部106は処理をS305に移す。
【0057】
このようにすることで、派生関係を有する複数のカードに基づいて使用キャラクタの登録が行われる場合であっても、同一のキャラクタを使用キャラクタとして登録することになる等の興趣性の低減要素を除外し、好適なゲーム体験を担保することができる。
【0058】
[変形例]
上述した実施形態2では、派生関係を有する複数のカードが使用キャラクタの登録に使用された場合に、1つのカードを除いて、カードに基づく使用キャラクタを抽選処理により決定するものとして説明した。しかしながら、抽選処理に基づく使用キャラクタの決定はこのような条件に限らず行われてよい。
【0059】
例えば、派生カードが存在するカードが使用された場合は、派生関係を有する他のカードを用いて使用キャラクタの登録がなされているかに依らず、抽選処理により使用キャラクタの登録を行うようにしてもよい。このとき、抽選処理の対象となるキャラクタ群は、スキャンされたカードやその派生カードに対応するキャラクタを除外して決定されてもよいし、除外しなくてもよい。除外した場合は、実施形態1及び2同様に所定のゲームのプレイし直しを発生させない効果を担保でき、また派生カードが存在するカードであることをプレイヤに判別させることができる。また除外しない場合は、複数回ゲームプレイを行うことになるプレイヤの興趣を持続させるため、例えばゲーム進行を変化させる、派生するキャラクタを変化させる等、提供ゲームの実行を制御すればよい。
【0060】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。また本発明に係るゲーム装置は、コンピュータを該ゲーム装置として機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0061】
100:ゲーム装置、101:制御部、102:記録媒体、103:メモリ、104:カードDB、105:キャラクタDB、106:認識部、107:描画部、108:表示部、109:出力部、110:通信部、111:操作入力部
図1
図2
図3
図4
図5