特許第6805323号(P6805323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6805323ロボットグリッパーと構成要素との間の位置方位を較正する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805323
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ロボットグリッパーと構成要素との間の位置方位を較正する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20201214BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   B25J9/16
   B25J9/10 A
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-500861(P2019-500861)
(86)(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公表番号】特表2019-520994(P2019-520994A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】US2017039580
(87)【国際公開番号】WO2018013344
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】62/362,529
(32)【優先日】2016年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ベンジャミン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,スティーブン
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−162180(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0005829(US,A1)
【文献】 特表2013−529556(JP,A)
【文献】 特開2001−246267(JP,A)
【文献】 特開2007−185746(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0025674(US,A1)
【文献】 特表2015−530276(JP,A)
【文献】 特表2016−501733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
G05B 19/18 − 19/416
G05B 19/42 − 19/46
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルラックに対してグリッパーの位置を較正する方法において、
前記グリッパーを備えるロボットを配備し、この際、前記グリッパーは、座標系において移動可能であり、圧潰センサー及び衝突センサーを備え、前記圧潰センサーは、垂直方向の圧潰事象を検知するように構成され、前記衝突センサーは、水平方向の衝突事象を検知するように構成され、
前記グリッパーに連結された較正ツールを配備し、
サンプルラックを配備し、この際、前記サンプルラックの反対側で互いに離れて位置する2つの較正孔、圧潰ゾーン及び複数の検体容器用のレセプタクルを前記サンプルラックに備え、
前記座標系において前記グリッパーを降下させ、前記圧潰センサーによって検知される、前記較正ツールと前記サンプルラックの前記圧潰ゾーンとの間の垂直接触を検知し、
前記圧潰センサーによって検知された前記垂直接触の前記座標系における前記垂直位置を記録し、
前記座標系において前記グリッパーを移動させ、前記較正ツールを前記2つの較正孔のそれぞれ内に位置決めし、この際
前記グリッパーを前記座標系において第1の水平方向に移動させ、前記衝突センサーによって、前記較正ツールと前記位置決めの対象とされている前記較正孔の2つの第1の水平位置との間の接触を検知し、
前記グリッパーを前記座標系において第2の水平方向に移動させ、前記衝突センサーによって、前記較正ツールと前記位置決めの対象とされている前記較正孔の2つの第2の水平位置との間の接触を検知し、
前記2つの第1の水平位置及び前記2つの第2の水平位置を記録し、
前記2つの第1の水平位置及び前記2つの第2の水平位置を処理することを、前記2つの較正孔内に位置決めされた各場合について行うことで、前記2つの較正孔のそれぞれの中心の位置を求める、
各ステップを含む、方法。
【請求項2】
前記較正ツールは、前記グリッパーのグリッパーフィンガーによって握持され、前記較正ツールは、前記グリッパーフィンガーのうちの1つ以上に形成された1つ以上のグリッパー位置決め特徴部と係合する1つ以上のツール位置決め特徴部を備える、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ツール位置決め特徴部は、1つ以上のピンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の水平方向はX軸に沿ったものであり、前記第2の水平方向はY軸に沿ったものであり、又はその逆である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記較正ツールと前記サンプルラックの前記圧潰ゾーンとの接触を前記検知することは、前記較正ツールのスタイラスを前記サンプルラック上に形成された平坦面と接触させることを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のツール位置決め特徴部から前記スタイラスの平坦な底部表面までの垂直距離は所定の距離である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記2つの較正孔は、前記サンプルラック上で、互いに離れた対角側に位置する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
グリッパーと、垂直方向の圧潰事象を検知するように構成された圧潰センサーと、水平方向の衝突事象を検知するように構成された衝突センサーとを備えるとともに、座標系において前記グリッパーの移動を引き起こすように構成されているロボットと、
前記グリッパーに連結された較正ツールと、
2つの較正孔、圧潰ゾーン及び複数の検体容器用のレセプタクルを備える前記座標系に位置決めされたサンプルラックであって、前記2つの較正孔は前記サンプルラックの反対側で互いに離れて位置するサンプルラックと、
前記ロボットに動作可能に連結されたコントローラーであって、
前記較正ツールの垂直移動を引き起こして、前記圧潰ゾーンと接触させ、前記座標系における垂直接触座標を記録することと、
前記較正ツールの互いに異なる2つの水平移動を引き起こして、2つの水平移動のそれぞれにおいて前記位置決めの対象とされた前記較正孔の対向する側面と接触させることで、前記座標系における水平接触座標を4つ記録することを、前記校正ツールが前記2つの較正孔のそれぞれ内に位置決めされた各場合において行うこと、
前記圧潰センサーから受信され、記録された前記垂直接触座標と、前記衝突センサーから受信され、記録された前記水平接触座標とを処理して、前記座標系における前記サンプルラックの垂直特徴部の位置と、前記2つの較正孔のそれぞれの中心とを求めることと、
を行うように構成されかつ動作可能なコントローラーと、
を備える、ロボット較正装置。
【請求項9】
平坦な端面と、所定の寸法の水平な円筒直径を有するスタイラスを前記較正ツールに備える、請求項に記載のロボット較正装置。
【請求項10】
前記グリッパーの届く範囲内に前記較正ツールの格納位置を備える、請求項又はに記載のロボット較正装置。
【請求項11】
前記ロボットは可動アームを備え、前記グリッパーは、該可動アームのうちの1つに連結されている、請求項10のいずれか1項に記載のロボット較正装置。
【請求項12】
可動アーム及び該可動アームのうちの1つに連結されたグリッパーと、圧潰事象を検知するように構成された圧潰センサーと、衝突事象を検知するように構成された衝突センサーとを備えるとともに、座標系において前記グリッパーの移動を引き起こすように構成されているロボットと、
前記グリッパーに連結された較正ツールと、
2つの較正孔、平坦面、及び特徴部を備えるとともに、前記座標系に位置決めされた構成要素であって、前記2つの較正孔は前記構成要素の反対側で互いに離れて位置する構成要素と、
前記ロボットに動作可能に連結されたコントローラーであって、
第1の方向における前記較正ツールの移動を引き起こして、前記平坦面と接触させ、前記圧潰センサーからの信号に基づいて前記座標系における前記第1の方向の第1の接触座標を記録することと、
互いに異なる2つの水平方向における前記較正ツールの移動を引き起こして、前記2つの較正孔のうちの対象となるひとつの対向する側面と接触させることを水平方向における各移動において行い、前記衝突センサーからの信号に基づいて前記座標系における前記互いに異なる2つの水平方向の一方に対する第2の接触座標を2つ、前記座標系における前記互いに異なる2つの水平方向の他方に対する第3の接触座標を2つ、それぞれ記録することを、前記2つの較正孔のそれぞれに対して行うことと、
前記圧潰センサー及び前記衝突センサーから受信された前記第1、前記第2、及び前記第3の接触座標を処理して、前記第1の方向における前記構成要素の平坦面の位置と、
前記2つの較正孔のそれぞれの中心とを求めることと、
を行うように構成されかつ動作可能なコントローラーと、
を備える、ロボット較正装置。
【請求項13】
前記構成要素はサンプルラックを含み、前記平坦面は圧潰ゾーンを含む、請求項12に記載のロボット較正装置。
【請求項14】
前記第1の方向は垂直方向である、請求項12又は13に記載のロボット較正装置。
【請求項15】
前記構成要素は、生体液体検体容器用の冷蔵位置を備える、請求項1214のいずれか1項に記載のロボット較正装置。
【請求項16】
前記構成要素は、検体容器運搬装置の撮像を提供するように構成された視覚システムのカメラを取り付けるように構成されたカメラマウントを備える、請求項1215のいずれか1項に記載のロボット較正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年7月14日に出願された米国仮出願第62/362,529号の優先権を主張する。この米国仮出願の内容は、引用することによってその全内容が本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示の実施の形態は、生体液体容器を搬送するシステムにおけるサンプルラック等の別の構成要素に対してロボットグリッパー等のロボット構成要素の位置方位を較正するように適合された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
医療検査及び医療処理においては、ロボット工学を用いることによって、生体液体サンプル(別名「検体(specimens:被検物)」と呼ばれる)への曝露若しくは生体液体サンプルとの接触を最小にすることができ、及び/又は、生産性を向上させることができる。例えば、幾つかの自動化された検査システム及び処理システム(例えば、臨床分析器)では、生体液体容器(試験管、バイアル等)がサンプルラック(「カセット」とも呼ばれることがある)との間及び検査装置の検査位置又は処理装置の処理位置との間で搬送される場合がある。
【0004】
そのような搬送は、生体液体容器を把持するように構成された対向する把持指(グリッパーフィンガー)を有することができる連結された把持部(グリッパー)を有するロボット等の自動化メカニズムを用いることによって行うことができる。このグリッパーは、ロボットによって2つ以上の座標方向に移動させることができる。このように、生体液体容器(検査又は処理される検体を含む)は、グリッパーによって握持することができ、その後、或る位置から、検査位置又は処理位置に関係した別の位置に移動させることができる。例えば、生体液体容器は、サンプルラックのレセプタクル(receptacles:貯蔵所)との間で移動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットの不正確な較正は、グリッパーフィンガーの不正確な位置決めを招くおそれがあり、これによって、場合によっては、グリッパーと生体液体容器との間及び/又は移動中の生体液体容器と検査システム若しくは処理システム及び/又はサンプルラックとの間で、衝突又はつっかえ(jams:ジャム)が引き起こされるおそれがある。加えて、不正確な較正は、場合によっては、グリッパーによる生体液体容器の取り上げ及び配置(ピックアンドプレース)動作を震動させることに寄与する場合があり、これは、望まれない検体のこぼれに寄与するおそれがある。
【0006】
したがって、検査システム及び処理システムにおいて、サンプルラック等の物品に対するグリッパーの位置決めの正確度を改善することができる方法及び装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
方法の実施形態において、サンプルラックに対してグリッパーの位置を較正する方法が提供される。該方法は、前記グリッパーを備えるロボットを配準(準備)することであって、該グリッパーは、座標系において可動であり、圧潰センサー(crush sensor)及び衝突センサー(crash sensor)を備え、該圧潰センサーは、垂直圧潰事象を検知するように構成され、該衝突センサーは、水平衝突事象を検知するように構成されていることと、前記グリッパーに連結された較正ツールを配備することと、サンプルラックを配備し、この際、サンプルラックの反対側で互いに離れて位置する2つの較正孔、圧潰ゾーン(crush zone)及び複数の検体容器用のレセプタクルをサンプルラックに備えることと、前記座標系において前記グリッパーを降下させ、前記圧潰センサーによって検知される、前記較正ツールと前記サンプルラックの前記圧潰ゾーンとの間の垂直接触を検知することと、前記圧潰センサーによって検知された前記垂直接触の前記座標系における前記垂直位置を記録することと、前記座標系において前記グリッパーを移動させ、前記較正ツールを前記2つの較正孔のそれぞれ内に位置決めし、この際前記グリッパーを前記座標系において第1の水平方向に移動させ、前記衝突センサーによって、前記較正ツールと前記位置決めの対象とされている前記較正孔の2つの第1の水平位置との間の接触を検知することと、前記グリッパーを前記座標系において第2の水平方向に移動させ、前記衝突センサーによって、前記較正ツールと前記位置決めの対象とされている前記較正孔の2つの第2の水平位置との間の接触を検知することと、前記2つの第1の水平位置及び前記2つの第2の水平位置を記録することと、前記2つの第1の水平位置及び前記2つの第2の水平位置を処理することを、前記2つの較正孔内に位置決めされた各場合について行うことで、前記2つの較正孔のそれぞれの中心の位置を求めることとを含む。
【0008】
装置の実施形態において、ロボット較正装置(システム)が提供される。該ロボット較正装置は、グリッパーと、垂直方向の圧潰事象を検知するように構成された圧潰センサーと、水平方向の衝突事象を検知するように構成された衝突センサーとを備えるとともに、座標系において前記グリッパーの移動を引き起こすように構成されているロボットと、前記グリッパーに連結された較正ツールと、2つの較正孔、圧潰ゾーン及び複数の検体容器用のレセプタクルを備える座標系に位置決めされたサンプルラックであって、前記2つの較正孔は前記サンプルラックの反対側で互いに離れて位置するサンプルラックと、前記ロボットに動作可能に連結されたコントローラーであって、前記較正ツールの垂直移動を引き起こして、前記圧潰ゾーンと接触させ、前記座標系における垂直接触座標を記録することと、前記較正ツールの互いに異なる2つの水平移動を引き起こして、2つの水平移動のそれぞれにおいて前記位置決めの対象とされた前記較正孔の対向する側面と接触させることで、前記座標系における水平接触座標を4つ記録することを前記校正ツールが前記2つの較正孔のそれぞれ内に位置決めされた各場合において行うこと、前記圧潰センサーから受信され、記録された前記垂直接触座標と、前記衝突センサーから受信され、記録された前記水平接触座標とを処理して、前記座標系における前記サンプルラックの垂直特徴部の位置と、前記2つの較正孔のそれぞれの中心とを求めることとを行うように構成されかつ動作可能なコントローラーとを備える。
【0009】
別の装置の実施形態において、ロボット較正装置が提供される。前記ロボット較正装置は、可動アーム及び前記可動アームのうちの1つに連結されたグリッパーと、圧潰事象を検知するように構成された圧潰センサーと、衝突事象を検知するように構成された衝突センサーとを備えるとともに、座標系において前記グリッパーの移を引き起こすように構成されているロボットと、前記グリッパーに連結された較正ツールと、2つの較正孔、平坦面、及び特徴部を備えるとともに、前記座標系に位置決めされた構成要素であって、前記2つの較正孔は前記構成要素の反対側で互いに離れて位置する構成要素と、前記ロボットに動作可能に連結されたコントローラーであって、第1の方向における前記較正ツールの移動を引き起こして、前記平坦面と接触させ、前記圧潰センサーからの信号に基づいて前記座標系における前記第1の方向の第1の接触座標を記録することと、互いに異なる2つの水平方向における前記較正ツールの移動を引き起こして、前記2つの較正孔のうちの対象となるひとつの対向する側面と接触させることを水平方向における各移動において行い、前記衝突センサーからの信号に基づいて前記座標系における前記互いに異なる2つの水平方向の一方に対する第2の接触座標を2つ、前記座標系における前記互いに異なる2つの水平方向の他方に対する第3の接触座標を2つ、それぞれ記録することを、前記2つの較正孔のそれぞれに対して行うことと、前記圧潰センサー及び前記衝突センサーから受信された前記第1、前記第2、及び前記第3の接触座標を処理して、前記第1の方向における前記構成要素の平坦面の位置と、前記2つの較正孔のそれぞれの中心とを求めることとを行うように構成されかつ動作可能なコントローラーとを備える。
【0010】
本開示の更に他の態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するために考えられた最良の形態を含む複数の例示の実施形態を示すことによって以下の詳細な説明から容易に明らかになり得る。本発明は、種々の実施形態に対応することもでき、その幾つかの詳細は全て、本開示の範囲から逸脱することなく様々な点で変更することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲において画定される本発明の範囲内に含まれる全ての変更形態、均等形態、及び代替形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つ以上の実施形態によるロボット較正装置の概略側面図である。
図2A】1つ以上の実施形態による較正ツールの第1の側面平面図である。
図2B】1つ以上の実施形態による、図2Aの第1の側面平面図から90度回転された較正ツールの第2の側面平面図である。
図3A】1つ以上の実施形態によるサンプルラックを含む構成要素の平面図である。
図3B】1つ以上の実施形態による、圧潰ゾーンと、第1の方向及び第2の方向における較正ツールのスタイラスの水平方向移動を示す矢印とを示すサンプルラックの部分上面図である。
図3C】1つ以上の実施形態による、較正ツールのスタイラスの更なる方向移動と、較正ツールの位置決め穴を備える陥凹部とを示すサンプルラックの別の部分上面図である。
図3D】1つ以上の実施形態による、レセプタクルを含む陥凹部における較正ツールのスタイラスの4つの移動を示すサンプルラックの部分上面図である。
図4】1つ以上の実施形態による、較正ツールの複数の位置決め陥凹部の位置を示す、中央部分が省略されたサンプルラックの2つの部分の部分上面図である。
図5】1つ以上の実施形態による、撮像位置を備えるロボット較正装置及び冷蔵システムの部分上面図である。
図6】実施形態による構成要素(例えば、サンプルラック)に対してグリッパーの位置を較正する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
臨床分析器又は他の検査システム若しくは処理システムにおいてロボットによる取り上げ・配置動作を行うのに用いられるようなロボットにおいては、前述の理由によって、グリッパーの配置における精度を達成することが所望の目標である。本明細書において用いられるような「グリッパー」は、取り上げ・配置動作のように、或る位置から別の位置に物品(例えば、検体容器)を把持し及び/又は移動させるロボット動作に用いられる、ロボット(例えば、ロボットアーム)に連結された任意の部材である。そのようなロボットでは、前述の衝突、つっかえ(ジャム)、及びこぼれを防止するために、例えば、取り上げ位置又は配置位置を有する構成要素(例えば、サンプルラックのレセプタクル)に対する、検体容器を運搬及び/又は回収するグリッパーの相対的に高い位置決め精度が所望される場合がある。しかしながら、座標系において可動なグリッパーに対してそのような取り上げ位置又は配置位置の正確な位置を容易に較正することは難しく、幾つかの場合には、それを行う高度な光学システムを必要としていた。
【0013】
上記に鑑み、本開示の実施形態は、1つ以上の定められた位置に対して物品(例えば、検体容器)を正確に取り上げ及び/又は配置するようにグリッパーを構成することができるように、グリッパーによってアクセス可能な構成要素に対するロボットのグリッパーの実際の位置を容易に求めることができる較正方法及びロボット較正装置を提供する。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態のこれらの態様及び特徴並びに他の態様及び特徴は、本明細書において図1図5を参照して説明される。
【0015】
図1に最も良く示すような第1の装置の実施形態によれば、ロボット較正装置100と、このロボット較正装置100を用いた較正方法とが説明される。ロボット較正装置100は、第1の位置(例えば、ステージング位置)にある採血容器、サンプル管等のサンプル容器(図1に図示せず)を把持して、このサンプル容器を第2の位置(例えば、処理位置)に移送するのに役立つロボット105を備える。ロボット105は、臨床分析器、遠心分離機、又は他の処理システム若しくは検査システム(例えば、生体流体検体処理システム又は生体流体検体検査システム)といった自動化検査器具等の診断機において用いることができる。
【0016】
ロボット105は、当該ロボット105の可動部分(例えば、ロボット105の第2のロボットアーム105B)に連結されたグリッパー108を備える。グリッパー108は、機械メカニズムによって連結することができる。この機械メカニズムは、幾つかの実施形態では、図示するように、垂直及び/又は水平に或る制限された運動を可能にすることができる。この制限された運動は、以下で説明するように、或る量の限られた変位の後にトリガー信号を生成することを可能にすることによって、センシングに対応することを提供することができる。グリッパー108は、2つ以上のグリッパーフィンガー108A、108Bを備えることができる。グリッパーフィンガー108A、108Bは、対向し、互いに対して相対的に可動とすることができるとともに、検体容器(例えば、採血容器)等の物品を把持するように適合させることができる。
【0017】
グリッパーフィンガー108A、108Bは、作動メカニズム108Cによって、Z軸に垂直なXY平面において任意の適した方向に沿って(例えば、X方向若しくはY方向又はそれらを組み合わせた方向に)開閉するように駆動することができる。作動メカニズム108Cは、握持能力を提供するように直線的又は枢動的(回動的)に可動とすることができるグリッパーフィンガー108A、108Bに連結された電気、空気圧、又は液圧(油圧)サーボモーター等とすることができる。グリッパーフィンガー108A、108Bの握持動作をもたらす他の適したメカニズムを用いてもよい。さらに、2つのフィンガーが図示されているが、本発明は、2つのグリッパーフィンガー108A、108Bよりも多くのフィンガーを有するグリッパー108にも等しく適用可能である。他のグリッパータイプも同様に用いることができる。ロボット105は、(例えば、3次元空間において)XYZ座標系内でグリッパー108を移動させることが可能な任意の適したロボットとすることができる。
【0018】
ロボット105は、例えば、図示するように、RθZロボットとすることができる。ロボット105は、第1のロボットアーム105Aを回転方向θにおける所望の角度方位に回転させるように構成された回転モーター105Rを有することができる。ロボット105は、図示するように、第2のロボットアーム105B及び連結されたグリッパー108を(XY平面における)±R方向に移動させるように構成することができる並進モーター105Tを備えることができる。ロボット105は、(例えば、図示した軸によって示されるように±Z方向に沿って)垂直方向に直立部材105Uを移動させるように構成することができる垂直モーター105Vを備えることができる。ただし、X、θ、及び/又はZの運動又は運動の他の組み合わせ(例えば、X、Y、及びZ)を与える他の適したロボットモーター及びメカニズムが設けられてもよい。位置及び/又は回転エンコーダー等からの適したフィードバックメカニズムを移動の度合いごとに設けることができる。このように、グリッパー座標系は、RθZ又はXYZとすることもできるし、それらの任意のサブセット又は組み合わせとすることもできる。
【0019】
1つ以上の実施形態では、検体容器(図示せず)の、サンプルラック112のレセプタクル112R等の陥凹部への配置若しくは陥凹部からの取り出し、又はロボット105によってアクセス可能な他の位置への配置若しくは他の位置からの取り出しを行うことができるように、ロボット105を用いてグリッパー108の移動を行うことができる。
【0020】
加えて、1つ以上の実施形態では、ロボット105は、グリッパーフィンガー108A、108Bを検体容器(図示せず)に対して正確に回転させて方位付けすることができるように、グリッパー回転軸109の回りにグリッパー108の回転を行うことができる。ロボット105は、グリッパー回転軸109の回りの回転運動をグリッパーフィンガー108A、108Bに与えるように適合されたグリッパー回転モーター108Rを備えることができる。グリッパーフィンガー108A、108Bの回転方位に関する情報をコントローラー114にフィードバックする回転エンコーダーが備えられてもよい。モーターは、ステッパーモーター、1つ以上のサーボモーター、1つ以上の空気圧若しくは液圧モーター、1つ以上の電気モーター、又はそれらの組み合わせとすることができる。
【0021】
コントローラー114は、マイクロプロセッサと、処理回路(A/D変換器、増幅器、フィルター等を含む)と、メモリと、様々なロボット構成要素(例えば、回転モーター105R、並進モーター105T、及び垂直モーター105V、作動メカニズム108C、並びにグリッパー回転モーター108R)の動作を制御するように構成されかつ動作可能な駆動回路及びフィードバック回路と、エンコーダー及びセンサーからのプロセス入力とを備えることができる。座標系においてグリッパー108の運動を与えるのに、ガントリーロボット、マルチアーム関節ロボット等の、図示したロボット105以外の他のタイプのロボットを用いてもよい。
【0022】
ロボット105は、垂直接触及び/又は水平接触を検知することができるようにコントローラー114に結合された圧潰(crush)センサー116及び衝突(crash)センサー118を備えることができる。圧潰センサー116は、垂直圧潰事象を検知するように構成することができ、衝突センサー118は、水平衝突事象を検知するように構成することができる。圧潰センサー116は、幾つかの実施形態では、Z方向におけるグリッパー108の制限された移動を可能にすることができ、したがって、グリッパー108がZ方向において物品と接触した時を、ロボット105が検知することを可能にすることができる。この場合、トリガーの起動は、或る特定の変位が達成された後である。他の実施形態では、信号が圧潰センサー116及び/又は衝突センサー118から送信され、それぞれの信号の或る特定の大きさ(magnitude)が所定の圧潰閾値又は衝突閾値を越えているときに、接触があったと判断される。閾値を越えていることは、接触が行われたことを示す。
【0023】
幾つかの実施形態では、トリガーの起動は、グリッパー108によって把持された検体容器と物品との間又はグリッパー108と物品との間の激しい接触を示している。例えば、圧潰センサー116は、グリッパー108によって握持された検体容器がレセプタクル112Rの底部に十分に挿入された時を検知することができる。衝突センサー118は、物品とグリッパー108によって把持された品物との間又はグリッパー108と物品との間の水平方向の衝突を検知するように構成することができる。
【0024】
衝突センサー118は、或る所定の変位を越えると、起動してコントローラー114に衝突信号を提供するように動作可能とすることができる。他の実施形態では、信号をコントローラー114に提供することができ、信号が閾値を越えており、したがって、グリッパー108によって把持された品物と物品との間又はグリッパー108と物品との間の接触が示されると、接触があったものと判断される。例えば、グリッパー108によって運搬される検体容器と第2の検体容器との間の横方向接触が発生したとき、又は、サンプルラック112のレセプタクル112Rの予想位置が実際の位置と実質的に一致しておらず、そのため、検体容器が水平にずれていたとき、衝突センサー118は、衝突信号を提供することができる。
【0025】
ロボット105及びグリッパー108を用いて検体容器の搬送を試みる前に、ロボット較正装置100を用いて、別の実施形態による較正方法を実行することができる。この較正方法の間、ロボット較正装置100は較正ツール110を備える。較正ツール110は、グリッパーフィンガー108A、108Bを用いてグリッパー108を把持すること等によって、グリッパーに既知の方位で連結することができる。較正ツール110を用いると、較正を容易にすることができる。特に、較正ツール110は、自動化検査システム及び/又は自動化処理システム上に配置することもできるし、それらの内部に収納することもできる。例えば、較正ツール110は、ロボット105を備える自動化検査システム及び/又は自動化処理システム内又はそれらのシステム上の格納位置121にある壁又はフレーム120に取り付けることができる。格納位置121及び較正ツール110は、ロボット105によってアクセス可能な位置に配置することができる。それ以外に、較正ツール110は、作業者によってグリッパー108に手動で連結されてもよい。
【0026】
図2A及び2Bに最も良く示されるように、較正ツール110は、グリッパー108に連結されるように構成された本体を備えることができる。例えば、図示した実施形態では、較正ツール110は、グリッパーフィンガー108A、108Bによって握持することができる。特に、グリッパーフィンガー108A、108Bは、第1の突起部(boss:ボス)222及び第2の突起部224を把持するように構成することができる。第1の突起部222及び第2の突起部224は、1つ以上のツール位置決め特徴部226を備えることができる。1つ以上のツール位置決め特徴部226は、グリッパーフィンガー108A、108Bのうちの1つ以上に形成された1つ以上のグリッパー位置決め特徴部228と動作可能なように係合する。幾つかの実施形態では、ツール位置決め特徴部226は、1つ以上のピンを備える。1つ以上のグリッパー位置決め特徴部228は、1つ以上のピンが収容される孔を備えることができる。
【0027】
較正ツール110は、その下端にスタイラス227を備えることができる。スタイラス227は、既知の円筒形の寸法(例えば、直径)の円筒形端部227Cと、較正ツール110の中心軸229に垂直に方位付けられた平坦な下側表面227Fとを備えることができる。円筒形端部227Cの上部に陥凹部227Rを設けることができる。グリッパーフィンガー108A、108Bのうちの1つ以上に形成された1つ以上のツール位置決め特徴部226からスタイラス227の平坦な下側表面227Fまでの垂直距離は既知の距離である。
【0028】
次に、サンプルラック112に対してグリッパー108の位置を較正する1つの方法を説明する。図6に最も良く示されるように、この方法600は、602において、グリッパー(例えば、グリッパー108)を備えるロボット(例えば、ロボット105)を準備することを含む。このグリッパーは、座標系において可動であり、圧潰センサー(例えば、圧潰センサー116)及び衝突センサー(例えば、衝突センサー118)を備える。圧潰センサーは垂直圧潰事象を検知するように構成され、衝突センサーは水平衝突事象を検知するように構成されている。
【0029】
方法600は、604において、上記で説明したようにグリッパー(例えば、グリッパー108)に連結された較正ツール(例えば、較正ツール110)を準備することと、606において、陥凹部(例えば、レセプタクル112R又は較正孔332)及び圧潰ゾーン(例えば、圧潰ゾーン334)を備えるサンプルラック(例えば、サンプルラック112)を準備することとを更に含む。
【0030】
図3Aに最も良く示されるように、サンプルラック112は、例えば、成型プラスチックから形成されたラック本体112Bを備えることができる。ラック本体112Bは、当該本体に形成された複数の陥凹部を備えることができる。陥凹部は、検体容器(図示せず)を収容するように構成された複数のレセプタクル112Rを含むことができる。レセプタクル112Rは、横列(例えば、図示した横列1〜11)及び縦列(図示した縦列A〜E)に配列することができる。ただし、異なる数の横列又は縦列を有するサンプルラック112が用いられてもよい。
【0031】
各レセプタクル112Rは、1つ以上の実施形態では、レセプタクル112Rへの挿入時に検体容器を中心に位置決めするか又はレセプタクル112Rの一方の側に押動するように構成された1つ以上のばね330を備えることができる。レセプタクル112Rに加えて、第1の較正孔332A及び第2の較正孔332B等の1つ以上の追加の陥凹部をサンプルラック112に設けることができる。さらに、圧潰ゾーン334をサンプルラック112に設けることができる。圧潰ゾーン334は、平坦面を有するゾーンとすることができる。この平坦面は、例えば、圧潰ゾーン334にわたって±0.5mmの平坦度を有するように精密機械加工又は精密成型することができる。圧潰ゾーン334は、例えば、約250mm以上のエリアとすることができる。円形を有する圧潰ゾーン334が示されている。しかしながら、正方形、三角形、長方形等の任意の形状を用いることができる。ロボット105の許容誤差の蓄積を考慮して、圧潰ゾーン334は、較正ツール110と接触することができるように、十分大きく作製することができる。圧潰ゾーン334は、サンプルラック112における他の場所に設けることもできるし、複数の圧潰ゾーンを2つ以上の位置に設けることもできる。圧潰ゾーン334は、幾つかの実施形態では、上側表面よりも低く陥凹させることができる。圧潰ゾーン334は、その最上面又はそのレセプタクル112Rの底部等のサンプルラック112の特徴部に対して既知の位置関係で設けられる。
【0032】
方法600によれば、608において、グリッパー108は、座標系において降下され、較正ツール110とサンプルラック112の圧潰ゾーン334との間の垂直接触が、圧潰センサー116によって検知される。610において、垂直接触の座標系における垂直位置が、圧潰センサー116によって検知されたとおりに記録される。垂直接触位置は、ロボット105の垂直エンコーダーの読み取り値に基づいて求めることができ、垂直接触位置はメモリに記録することができる。グリッパー108の端部から較正ツール110のスタイラス227の平坦な下側表面227Fまでの垂直オフセット距離が、Z方向におけるロボットのゼロ点から測定された垂直接触位置に加算され、圧潰ゾーン334までの較正された垂直距離が提供される。圧潰ゾーン334は、レセプタクル112Rの底部、サンプルラック112の最上部、又はそれらの双方からの既知の距離に設けられる。このように、圧潰センサー116を用いた較正は、サンプルラック112の最上部及び/又はレセプタクル112Rの底部までの較正された距離を求めるのに用いることができる。
【0033】
さらに、方法600は、612において、図3Bに示すように座標系においてグリッパー108を移動させて、較正ツール110(例えば、スタイラス227)を陥凹部(例えば、レセプタクル112R、較正孔332A、又は較正孔332B)内で位置決めすることを含む。陥凹部に入ると、614において、グリッパー108は、座標系において第1の水平方向336に移動され、較正ツール110と陥凹部の2つの第1の水平位置との間の接触が、衝突センサーによって検知される。2つの第1の水平位置に接触することは、陥凹部の第1の側面に接触することと、これに続いて、陥凹部の対向する第2の側面に接触することとを伴う。
【0034】
方法600によれば、616において、グリッパーを座標系において第2の水平方向338に移動させることができ、衝突センサー118によって検知される、較正ツール110(例えば、スタイラス227)と陥凹部の2つの第2の水平位置(例えば、図示するようにレセプタクル112R)との間の接触を検知することができる。
【0035】
方法600によれば、618において、2つの第1の水平位置及び2つの第2の水平位置は、(例えば、メモリに)記録され、次に、620において、2つの第1の水平位置及び2つの第2の水平位置は、コントローラー114によって処理され、座標系における陥凹部の中心の位置が求められる。測定された2つの第1の水平位置を平均することによって、Xにおける位置を提供することができる一方、2つの第2の水平位置の単純平均によって、Yにおける位置を提供することができる。
【0036】
図3Aを参照して説明したように、座標系における第1のレセプタクル112Rの中心位置を見つけた後、図3Bに示すように、方法600を進めて、第2のレセプタクル112R’を備える第2の陥凹部の中心位置を求めることができる。これは、第2のレセプタクル112R’に対して上述した方法600を繰り返すことによって、第3の方向340に沿った2つの第3の水平位置と、第4の方向342に沿った2つの第4の水平位置とを求めることによって行うことができる。
【0037】
第1の陥凹部(例えば、レセプタクル112R)及び第2の陥凹部(第2のレセプタクル112R’)の中心位置が分かると、サンプルラック112の他の特徴部の位置(例えば、1つ以上の他のレセプタクル112Rの位置)を、中心位置が判明したレセプタクル112R、112R’に対するサンプルラック112の既知の幾何形状に基づいて求めることができる。任意の2つの陥凹部を用いることができる。ただし、1つの実施形態では、互いに最も遠く離れた対角コーナーに位置する陥凹部が用いられてもよい。
【0038】
図3Cに示すような幾つかの実施形態では、陥凹部は、較正孔332Aとすることができ、中心を見つける方法は、較正孔332内において上記で論述した方法で実行される。較正孔332は、サンプルラック112におけるレセプタクル112Rの配置に対して既知の位置に設けられる。較正孔332は、スタイラスの直径の数倍のように、スタイラス227よりも大きな直径を有することができる。例えば、較正孔332は、約6mmの直径を有することができるのに対して、スタイラス227は、例えば、約2mmの直径を有することができる。他の値が用いられてもよい。
【0039】
図3Dは、陥凹部(例えば、レセプタクル112R)において方向(例えば、X及びY)のそれぞれに沿って複数の測定を行うことができることを示している。各測定は、ばね330等の、レセプタクル112R内に存在し得るいずれの予想される構成要素との干渉も回避するように、その構成要素から遠ざかる方向に僅かに移動して行うことができる。
【0040】
図4は、第1の較正孔332Aとしての第1の陥凹部と、サンプルラック112の別の部分における第2の較正孔332Bとしての第2の陥凹部とを示している。その場合、スタイラス227及び実施形態による方法500を用いて第1の較正孔332A及び第2の較正孔332Bの中心位置を求めることは、他の特徴部のX、Y、及びZ位置を画定するために用いることができる。例えば、レセプタクル112Rの配置のそれぞれの中心位置は、第1の較正孔332A及び第2の較正孔332Bの中心位置と、構成要素(例えば、サンプルラック112)の幾何形状とを知ることに基づいて求めることができる。このレセプタクル112Rの配列のそれぞれの中心は、X方向及びY方向において求めることができ、各レセプタクル112Rの底部は、既知の幾何形状及び圧潰ゾーン334からの深さに基づいて求めることができる。
【0041】
図5は、方法500を実行するように構成されたロボット較正装置500の別の実施形態を示している。ロボット較正装置500は、可動アームを備えるロボット510を備える。これらの可動アームは、クロスビームアーム510B上を前後に移動することができる可動クロスアーム510Aを含むことができる。同様に、クロスビームアーム510Bは、ガントリービーム510L、510R上を前後に移動することができる。グリッパー108は、可動クロスアーム510Aに対して垂直に可動な垂直アーム510V等の可動アームのうちの1つに連結することができる。したがって、ロボット510は、グリッパー108がサンプルラック112のレセプタクル112Rにアクセスすることができるとともに、検体容器運搬装置540と、冷却された検体容器502C(少数のものが参照符号を付けられている)を収容する冷蔵システム542とにもアクセスすることができるように、XYZ座標系においてグリッパー108を移動させることができる。したがって、ロボット510及びグリッパー108は、サンプルラック112及び/又は冷却されたサンプルラック512Cと検体容器運搬装置540との間で検体容器502、502Cを搬送することができる。検体容器運搬装置540は、トラック541上を、検査又は処理が検体容器502、502Cに含まれる検体に対して行われる1つ以上の目的地まで進む。
【0042】
グリッパー108は、図1及び図2を参照して説明したものと同じ構造を有し、粉砕事象を検知するように構成された圧潰センサー116と、検体容器502、502Cの移動時におけるような衝突事象を検知するように構成された衝突センサー118とを備える。圧潰センサー116及び衝突センサー118は、検体容器102、102Lと別の物品との間の接触を判断し、したがって、検体容器の破壊又は他の物品との激しい接触を最小にするために、検体容器502、502Cの搬送中にグリッパー108において用いられる。較正方法を実行するために、前述したようにグリッパー108を較正ツール110に連結することができる。
【0043】
ロボット較正装置500は、座標系に位置決めされた1つ以上の構成要素を備えることができる。例えば、これらの1つ以上の構成要素は、検体容器運搬装置540及び/又は検体容器502の撮像に用いられるカメラをトラック541に取り付けるように構成及び適合された1つ以上のカメラマウント545(2つが図示されている)とすることができる。カメラマウント545は、トラック541に固定された関係で設けることができ、留め具(例えば、ボルト、ねじ等)等によってトラックに堅固に連結することができる。したがって、カメラマウント545の位置を求めることによって、トラック541の位置及び方位を求めることができる。なぜならば、これらの2つは、固定された幾何学的関係で設けられているからである。1つ以上の構成要素(例えば、カメラマウント545)は、陥凹部545R及び平坦面545Fを備える。1つ以上のカメラは、その方位を定めるために陥凹部545R及び平坦面545Fに位置合わせされる。カメラは、留め具(例えば、ボルト、ねじ等)等によって既知の構成及び方位でカメラマウント545に固定することができる。
【0044】
別の実施形態では、構成要素は冷蔵システム542とすることができる。それぞれの場合におけるこの構成要素は、陥凹部と、圧潰ゾーンとして機能する平坦面とを備える。例えば、冷蔵システム542では、この平坦面は、冷却されたサンプルラック512Cの特徴部まで垂直の方向で既知の距離に位置決めされた任意の適した平坦面(例えば、1つ以上のレジストリー面(registry surface)542S)とすることができる。例えば、冷却されたサンプルラック512Cの最上面と圧潰ゾーンのレジストリー面542Sとの間の垂直距離は既知とすることができる。上記陥凹部は、冷却されたサンプルラック512Cにおけるレセプタクル512Rのうちの1つ以上とすることができる。
【0045】
ロボット較正装置500は、ロボット510に動作可能に連結されたコントローラー514を備えることができ、コントローラー514は、第1の方向(例えば、Z方向)における較正ツール110の移動を引き起こして、圧潰ゾーンである平坦面(例えば、平坦面545F及び/又はレジストリー面542S)と接触させ、圧潰センサー116からの信号に基づいて座標系における第1の方向の第1の接触座標を記録するように構成されかつ動作可能である。同様に、コントローラー514は、第2の方向(例えば、X方向及びY方向)における較正ツール110の運動を引き起こして、陥凹部(例えば、レセプタクル512R及び/又は陥凹部545R)の対向する側面と接触させ、衝突センサー118からの信号に基づいて座標系における第2の方向の第2の接触座標を記録するように構成されかつ動作可能である。
【0046】
コントローラー514は、圧潰センサー116及び衝突センサー118から受信された第1の接触座標及び第2の接触座標を処理して、第1の方向における構成要素の特徴部の位置(例えば、Z方向における高さ)と、陥凹部(例えば、レセプタクル512R及び/又は陥凹部545R)の中心位置とを求めるように構成されかつ動作可能である。この情報から、グリッパーが、冷蔵システム542において検体容器502Cを正確に取り上げ又は配置することができるように、グリッパー108を構成要素(複数の場合もある)に対して容易に較正することができる。同様に、カメラマウント545に取り付けたカメラをトラック541に対して正確に較正することができる。
【0047】
グリッパー108の既存の圧潰センサー116及び衝突センサー118を用いることによる、サンプルラック112を備える構成要素の位置の較正は、前述したとおりのものとすることができる。
【0048】
本発明は、様々な変更及び代替形態が受け入れることができるが、具体的なシステム及び装置の実施形態並びにそれらの方法が、図面に例として示され、本明細書に詳細に説明されている。しかしながら、本発明を、開示された特定のシステムにも、装置にも、方法にも限定することは意図されておらず、それとは逆に、本発明の範囲内に含まれる全ての変更形態、均等形態、及び代替形態を包含することが意図されていることが理解されよう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6