(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
−−−ネットワーク構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態の保険金請求支援システム100を含むネットワーク構成例を示す図である。
図1に示す保険金請求支援システム100は、種々のチャネルからの情報を適宜に処理し、効率的で的確な保険金支払請求の支援を可能とするためのコンピュータシステムである。
【0016】
こうした保険金請求支援システム100はネットワーク10に接続され、ユーザ端末200、保険会社システム300、健保システム400、および、病院システム500とデータ通信可能となっている。
【0017】
このうちユーザ端末200は、保険会社の医療保険(死亡保障を契約内容に含む各種保険の概念含む)について契約している保険契約者の端末である。このユーザ端末200としては、具体的には、スマートフォン、通信機能を備えたタブレット端末やPC等を想定出来るが、これらに限定しない。
【0018】
また、保険会社システム300は、上述の保険会社が運用するシステムであり、保険金請求支援システム100から送信されてくる診療情報に基づき、当該診療情報に関する保険金支払請求を承認するか判断し(担当者による判断結果を取得する概念も含む)、その判断結果を保険金請求支援システム100に返す装置である。この保険会社システム300としては、具体的には、サーバ装置を想定出来るが、これに限定しない。
【0019】
また、健保システム400は、上述の保険契約者や被保険者が所属する健康保険組合のシステムであり、レセプトなどの診療情報を保険金請求支援システム100に提供するコンピュータシステムである。この健保システム400としては、具体的には、サーバ装置を想定出来るが、これに限定しない。
【0020】
また、病院システム500は、上述の被保険者が診療行為を受ける医療機関のシステムであり、レセプトや電子カルテ等の診療情報を保険金請求支援システム100に提供するコンピュータシステムである。この病院システム500としては、具体的には、サーバ装置を想定出来るが、これに限定しない。
【0021】
−−−ハードウェア構成例−−−
また、保険金請求支援システム100のハードウェア構成は以下の如くとなる。保険金請求支援システム100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置101、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ103、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行しシステム自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの演算装置104、ネットワーク10と接続し、ユーザ端末200、保険会社システム300、健保システム400、および病院システム500といった他装置との通信処理を担う通信装置105を備える。
【0022】
なお、上述の記憶装置101には、プログラム202の他、フィルタリングマスタテーブル125、支払フィルタテーブル126、除外フィルタテーブル127、ユーザマスタテーブル128、契約内容マスタテーブル129、被保険者マスタテーブル130、および、診療履歴テーブル131が格納されている。これら各テーブルの詳細については後述する。
【0023】
−−−データ構成例−−−
続いて、本実施形態の保険金請求支援システム100が用いるテーブル類について説明する。
図3に、本実施形態におけるフィルタリングマスタテーブル125の一例を示す。 このフィルタリングマスタテーブル125は、各保険会社の保険商品ごとに、診療情報のフィルタリング方法を規定したテーブルである。このフィルタリング方法とは、保険金請求支援システム100が、記憶装置101に蓄積している所定期間分の診療情報の中から、保険金支払請求の承認判断を求めるべく保険会社システム300に送信する対象を選択する方法に該当する。
【0024】
そのデータ構造は、保険すなわち保険商品を一意に特定する保険商品IDをキーとして、当該保険商品を販売している保険会社、当該保険商品の商品名・特約名、および、フィルタ方式といったデータから成るレコードの集合体である。このうち、フィルタ方式の具体例としては、ホワイトリスト方式とブラックリスト方式とを想定する。
【0025】
ホワイトリスト方式は、保険会社が各保険商品に関して規定している保険金支払事由の情報に照合し、当該保険金支払事由に該当する傷病ないし診療行為の情報を含む診療情報を選択する方式である。このホワイトリスト方式の詳細な内容は、後述する支払フィルタテーブル126にて規定されている。
【0026】
一方、ブラックリスト方式は、保険会社が各保険商品に関して規定している保険金支払事由に該当しない傷病ないし診療行為の情報に照合し、当該保険金支払事由に該当しない傷病ないし診療行為の情報を含まない診療情報を選択する方式である。このブラックリスト方式の詳細な内容は、除外フィルタテーブル127にて規定されている。
【0027】
図4Aは、本実施形態における支払フィルタテーブル126の構成例を示す図である。この支払フィルタテーブル126は、上述のホワイトリスト方式が規定された保険商品の保険金支払事由を格納したテーブルである。
【0028】
そのデータ構造は、保険商品を一意に特定する保険商品IDをキーとして、当該保険商品を販売する保険会社、当該保険商品の商品名・特約名、および支払事由、といったデータから成るレコードの集合体である。
【0029】
図4Bは、本実施形態における除外フィルタテーブル127の構成例を示す図である。この除外フィルタテーブル127は、上述のブラックリスト方式が規定された保険商品の保険金の支払除外事由を格納したテーブルである。
【0030】
そのデータ構造は、保険商品を一意に特定する保険商品IDをキーとして、当該保険商品を販売する保険会社、当該保険商品の商品名・特約名、および支払の除外事由、といったデータから成るレコードの集合体である。
【0031】
図5Aは、本実施形態におけるユーザマスタテーブル128の構成例を示す図である。このユーザマスタテーブル128は、保険契約者の情報を格納したテーブルである。そのデータ構造は、保険契約者すなわち保険商品の契約者を一意に特定する契約者IDをキーとして、契約者氏名、当該保険商品の証券番号といったデータから成るレコードの集合体である。なお、一人の保険契約者が複数の保険商品について契約を有する場合もあるため、1レコードにおいて複数の証券番号が含まれうる。
【0032】
図5Bは、本実施形態における契約内容マスタテーブル129の構成例を示す図である。この契約内容マスタテーブル129は、上述のユーザマスタテーブル125に格納されている証券番号に対応する契約内容を格納したテーブルである。
【0033】
そのデータ構造は、上述のユーザマスタテーブル125に格納されている証券番号をキーとして、該当保険商品の保険商品ID、被保険者を一意に特定する被保険者ID、および、保険金の受取人、といったデータから成るレコードの集合体である。
【0034】
図5Cは、本実施形態における被保険者マスタテーブル130の構成例を示す図である。この被保険者マスタテーブル130は、上述の契約内容マスタテーブル129にIDが格納されている被保険者に関する情報を格納したテーブルである。
【0035】
そのデータ構造は、上述の契約内容マスタテーブル129に格納されている被保険者IDをキーとして、被保険者の氏名、および、健康保険証番号、といったデータから成るレコードの集合体である。
【0036】
図6は、本実施形態における診療履歴テーブル131の構成例を示す図である。この診療履歴テーブル131は、ユーザ端末200,健保システム400、および、病院システム500といった各チャネルから送信されてきた診療情報を格納したテーブルである。
【0037】
そのデータ構造は、診療情報が含む、被保険者の健康保険証番号をキーに、氏名、当該被保険者が診療を受けた日時、検知区分(診療情報を受信したチャネルの種類)、診療を行った医療機関名、診療対象の傷病名、診療区分(通院/入院)、診療費の窓口支払額、保険外診療フラグ、診断未確定フラグ、フィルタ処理フラグ、および、重複削除フラグ、といったデータから成るレコードの集合体である。
【0038】
このうち、保険外診療フラグは、診療情報のうち、保険外診療に関する診療情報に付与するフラグである。
【0039】
また、診断未確定フラグは、診療情報のうち、確定していない診断内容に関する診療情報に付与するフラグに該当する。この診断未確定フラグが付与されている診療情報については、保険会社システム300への送信対象から除外することとなる。
【0040】
また、フィルタ処理フラグは、診療情報(診療履歴テーブルのレコード)のうち、当該診療情報の示す被保険者が契約内容に規定された全ての保険商品(契約内容マスタテーブル129に情報が格納されている)に関して、後述する支払請求の可否判定(
図7A:s111)が完了しているものに対し付与されるフラグである。
【0041】
一方、重複削除フラグは、診療情報(診療履歴テーブルのレコード)のうち、同一の被保険者(すなわち健康保険証番号が同一)の同一の診療機会(すなわち、診療日時、医療機関名、傷病名、および診療区分が同一)に関する診療情報が複数存在、すなわち重複している場合、重複している複数の診療情報のうち、所定の優先順位に従って選択した1つの診療情報以外の診療情報に付与される。
【0042】
上述の優先順位の例としては、検知区分が「レセプト」>「病院直」(電子カルテデータ等)>手動(保険契約者がユーザ端末200から手動入力)、といった順を想定出来るが、勿論、これに限定しない。
【0043】
−−−フロー例−−−
以下、本実施形態における保険金請求支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する保険金請求支援方法に対応する各種動作は、保険金請求支援システム100がメモリ103に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、これらのプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0044】
図7Aは、本実施形態における保険金請求支援方法のフロー例1を示す図である。まず、保険金請求支援システム100は、事前処理として、保険会社システム300など保険会社の適宜な情報処理装置(以降、保険会社システム300とする)から、保険商品に関する支払事由の登録を受け付ける(s100)。
【0045】
なお、この支払事由の登録受付に際し、
図7Bの詳細フローで示すように、保険金請求支援システム100は、例えば、各保険商品の被保険者の診療情報をどのような方針でフィルタリングするべきか、について保険会社に問う画面等のインターフェイスを、例えば、保険会社システム300に送信する(s1001)。
【0046】
上述のインターフェイスは、例えば、ホワイトリスト方式かブラックリスト方式かを保険会社に問う画面となる。保険会社が或る保険商品に係わる診療情報に関して希望するフィルタリングの方式が、ホワイトリスト方式の場合、当該保険商品に関して、支払フィルタテーブル126が必要となる。他方、保険会社が或る保険商品の診療情報に関して希望するフィルタリングの方式が、ブラックリスト方式の場合、当該保険商品に関して、除外フィルタテーブル127が必要となる。
【0047】
上述の保険会社の担当者等は、保険会社システム300にて上述の画面等を確認し、自社の各保険商品に係わる診療情報に関して適用したいフィルタリングの方式を選択する。この時、保険会社システム300は、当該選択の値を取得して保険金請求支援システム100に返信する。
【0048】
保険金請求支援システム100は、保険会社システム300から上述のフィルタリングの方式の値を受信し(s1002)、これを、該当保険商品および保険会社と紐付けたレコードを生成し、フィルタリングマスタテーブル125に格納する(s1003)。
【0049】
次に、保険金請求支援システム100は、保険会社システム300からの返信が示すフィルタリングの方式に関する情報を取得する(s1004)。
【0050】
上述で得たフィルタリングの方式に関する情報が、ホワイトリスト方式を示すものであった場合(s1005:w)、保険金請求支援システム100は、保険会社システム300に対し、保険金の支払事由の登録受付画面を送信し、当該保険会社システム300から支払事由データを受信する(s1006)。保険金請求支援システム100は、受信した支払事由データを、該当保険商品と紐付けてレコードを生成し、これを支払フィルタテーブル126に格納する(s1007)。
【0051】
他方、上述で得たフィルタリングの方式に関する情報が、ブラックリスト方式を示すものであった場合(s1005:b)、保険金請求支援システム100は、保険会社システム300に対し、保険金の支払対象とならない傷病名等の事由データ、すなわち除外事由データの登録受付画面を送信し、当該保険会社システム300から除外事由データを受信する(s1008)。保険金請求支援システム100は、受信した除外事由データを、該当保険商品と紐付けてレコードを生成し、これを除外フィルタテーブル127に格納する(s1009)。
【0052】
ここで
図7Aのメインフローの説明に戻る。保険金請求支援システム100は、上述のステップs100に続いて、保険金の支払請求支援を受けたいユーザ、すなわち保険契約者からのユーザ登録を受け付ける(s101)。
【0053】
この場合の保険契約者は、上述のユーザ登録に際して、保険金請求支援システム100から所定アプリをユーザ端末200にダウンロードおよびインストールしている(勿論、この形態に限定しない)。保険契約者は、このアプリのインターフェイス上で、自身の氏名、契約中の保険会社および保険商品、その証券番号、被保険者名、健康保険証番号といった情報を入力することとなる。情報入力を受けたアプリは、ユーザ端末200およびネットワーク10を介し、入力情報を保険金請求支援システム100にアップロードする。 続いて、保険金請求支援システム100は、s101で受け付けたユーザ登録の内容について不備等の問題有無を判定する(s102)。
【0054】
この判定の結果、例えば所定項目の入力漏れが特定されたり、或いは、保険契約者が入力した証券番号は存在しないものであることが(保険会社システム300に問い合わせて)判明するといった結果となった場合(s103:n)、保険金請求支援システム100は、ユーザ登録不可である旨を該当ユーザのユーザ端末200に通知し(s104)、一旦処理を終了する。
【0055】
他方、上述の判定の結果、問題が特定されなかった場合(s103:y)、保険金請求支援システム100は、s101で受け付けたユーザ登録の内容が含む各項目の値を適宜に抽出し、ユーザマスタテーブル128、契約内容マスタテーブル129、および被保険者マスタテーブル130の各レコードを生成し、登録する(s105)。
【0056】
その後、保険金請求支援システム100は、上述のユーザ登録がなされた保険契約者の被保険者に関して、その診療情報を、各チャネルに対応する、ユーザ端末200、健保システム400、および病院システム500の少なくともいずれかから受信し、これを記憶装置101の診療履歴テーブル131に格納する(s106)。なお、保険契約者と被保険者が同一である場合と、保険契約者と被保険者が異なる場合の両方ありうる。
【0057】
ここで取得して登録する診療情報としては、健保から保険契約者ごとに毎月配信される医療費通知、健保ないし支払基金からデータ連携されたレセプト、医療機関からデータ連携された電子カルテやレセコン、および、被保険者が診療機会ごとに医療機関から得たレシート情報、といったものが例として想定出来る。
【0058】
なお、上述の診療情報のうち、レシート情報に関しては、医療機関で被保険者が受け取ったレシートを得た保険契約者がユーザ端末200を操作して手動入力してきたものを取得するケースか、或いは、ユーザ端末200のカメラ機能およびOCRアプリ等を適宜利用してスキャンしたものを取得するケースの両方が想定出来る。
【0059】
このように、保険契約者がユーザ端末200を操作して診療情報を保険金請求支援システム100に登録することを望む場合がある。その場合、ユーザ端末200からの所定リクエストを受けた保険金請求支援システム100は、
図8Aまたは
図8Bに例示する入力画面1000、1010を、当該保険契約者のユーザ端末200に返す。
【0060】
保険契約者は、例えば病院等の医療機関から発行された上述のレシートを参考にしつつ、いずれかの入力画面1000、1010において、診療情報の入力動作を行うことになる。当該保険契約者が入力画面1000を利用する場合、上述のレシートをユーザ端末200のカメラで撮影し、適宜なOCRアプリによって、診療情報の読み取りを実行する。その結果、ユーザ端末200は、診療日時、医療機関名、といった値を診療情報として取得し、これを保険金請求支援システム100に送信することとなる。
【0061】
一方、上述の保険契約者が入力画面1010を利用する場合、上述のレシートを参照しつつ、診療情報の手入力あるいは選択動作を実行する。その結果、ユーザ端末200は、診療日時、診療区分、傷病名、といった値を診療情報として取得し、これを保険金請求支援システム100に送信することとなる。
【0062】
また、上述の診療情報のうち、医療費通知に関しては、健保システム400からデータ連携を受けて、電子データとして取得出来るケースと、医療費通知の内容を閲覧した保険契約者がユーザ端末200を操作して手動入力してきたものを取得するケースの両方が想定出来る。
【0063】
また、上述のように診療情報が医療費通知である場合、それには傷病名のデータが含まれていない。よって、保険金請求支援システム100は、この医療費通知に基づく診療情報を特定し、当該診療情報に関して傷病名の入力を受け付ける所定インターフェイス(
図8Cの画面1020)を、該当保険契約者のユーザ端末200に送信して傷病名の情報入力を受け付ける。この場合の保険金請求支援システム100は、当該受け付けた傷病名の情報を、上述の診療情報における傷病名欄に設定することとなる。
【0064】
一方、上述の診療情報のうちレセプトや電子カルテやレセコンのデータは、詳細な情報が含まれており、不足データを補う措置等は基本的に不要である。ただし、レセプトに関しては、いわゆる「レセプト病名」、「疑い病名」といった、診断が未確定の傷病等に関する記載を含む場合に所定の処理が必要となる。
【0065】
この場合、保険金請求支援システム100は、該当診療情報に対して診断未確定フラグ「1」を付与するものとする。この診断未確定フラグが付与された診療情報は、後述するs111での保険会社システム300への送信対象から除外、すなわち保険金支払可否の承認判断の対象外とすることができる。
【0066】
続いて、保険金請求支援システム100は、ステップs106で診療履歴テーブル131に格納した診療情報のうち、所定属性のものを選択する事前フィルタリング処理を行う(s107)。
【0067】
この場合の保険金請求支援システム100は、このフィルタリング処理に際し、
図7Cのフローのごとく、診療履歴テーブル131の各レコードすなわち診療情報のうち、同一の被保険者(同一の健康保険証番号の者)の同一の診療機会(診療日時、医療機関名、傷病名、診察区分が同一)に関する診療情報が複数存在する場合、当該複数の診療情報から1つの診療情報を、種類の異なる診療情報の間について予め定めた優先順位に基づき選択する(s1071)。
【0068】
具体的な優先順位の例としては、診療情報の「検知区分」の値が「レセプト」>「病院直」(電子カルテデータ等)>手動(保険契約者がユーザ端末200から手動入力)、といった順を想定出来るが、勿論、これに限定しない。
【0069】
保険金請求支援システム100は、このs1071で選択した、診療履歴テーブル131の1つの診療情報以外のもの、すなわち、s1071で選択されなかった診療情報に対して、重複削除フラグ「1」を付与する(s1072)。
【0070】
また、保険金請求支援システム100は、上述のs1071で選択した診療情報のうち、保険外診療に関する診療情報が存在する場合、当該診療情報に保険外診療フラグ「1」を付与する(s1074)。
【0071】
ここで
図7Aのフローの説明に戻る。保険金請求支援システム100は、上述の事前フィルタリング(s107)で選択され、重複削除フラグが付与されていない診療情報であり、かつ、診断未確定フラグが付与されていない診療情報から、健康保険証番号、傷病名、および、診察区分の各値を抽出する(s108)。
【0072】
次に保険金請求支援システム100は、s108で得た値のうち、例えば健康保険証番号を、被保険者マスタテーブル130に照合して被保険者IDを特定し、この被保険者IDをキーに契約内容マスタテーブル129にて保険商品IDを特定する(s109)。なお、ここで特定出来る保険商品IDは、該当被保険者IDが契約内容マスタテーブル129の「被保険者ID」欄に規定されたレコード数に応じたものとなり、1つの場合も複数の場合もある。
【0073】
また、保険金請求支援システム100は、s109で特定した1または複数の保険商品IDのうち所定の1つ(例:最初に特定したもの)をキーにフィルタリングマスタテーブル125で該当保険商品のフィルタ方式を特定する(s110)。
【0074】
続いて、保険金請求支援システム100は、s110で特定した保険商品およびフィルタ方式に基づいて、支払フィルタテーブル126または除外フィルタテーブル127から支払事由または除外事由の情報を取得し、これに基づき、該当診療情報に関して、(保険会社に対する)支払請求の可否を判定する(s111)。なお、保険金請求支援システム100は、上述のs110およびs111の各処理を、s109で特定できた保険商品IDの数だけ、すなわち該当被保険者に適用される保険契約の数だけ実行し(s112:n→s110→s112→s112:y)、各保険契約の全てに関してs110、s111の処理を実行済みとなった当該診療情報に関して、フィルタ処理フラグを診療履歴テーブル131に設定する。
【0075】
一方、s111における保険金請求支援システム100は、支払フィルタテーブル126を利用する場合、該当診療情報に関してs108で得ている各値を、支払フィルタテーブル126の該当保険商品に関する支払事由の情報に照合し、当該支払事由に該当する傷病ないし診療行為に対応しているか否か判定する。
【0076】
他方、保険金請求支援システム100は、除外フィルタテーブル127を利用する場合、該当診療情報に関してs108で得ている各値を、除外フィルタテーブル127の該当保険商品に関する除外事由の情報に照合し、当該除外事由に該当する診療情報であるか否か判定する。
【0077】
上述のs111における判定の結果、該当診療情報は保険金の支払請求不可と判明した場合(s113:n)、保険金請求支援システム100は、該当診療情報は保険金の支払請求対象となりえない旨を示す棄却レポートを、当該保険契約者のユーザ端末200に返し(s114)、処理を終了する。
【0078】
他方、該当診療情報は保険金の支払請求可能と判明した場合(s113:y)、保険金請求支援システム100は、該当診療情報に関して保険金の支払請求が可能であり、実際に支払請求を行うか否かを問う通知(
図9の画面1030参照)を、当該保険契約者のユーザ端末200に宛てて送信する(s115)。
【0079】
なお、保険金請求支援システム100は、上述のs115での通知の送信に際し、契約内容マスタテーブル129にて該当保険契約のレコードが示す、保険金受取人または被保険者の少なくともいずれかの端末に該当通知を送信するとしてもよい。
【0080】
上述の通知の送信後、当該ユーザ端末200から支払請求の実施不要との返信を受けた場合(s116:n)、保険金請求支援システム100は処理を終了する。一方、当該ユーザ端末200から支払請求の実施要との返信を受けた場合(s116:y)、保険金請求支援システム100は、該当診療情報を含む支払請求の承認要求を、該当保険商品を販売する保険会社の保険会社システム300に送信する(s117)。
【0081】
保険会社では、保険会社システム300で受けた上述の承認要求に関して、所定の担当者等或いは所定の業務システムが判定処理を実行し、保険金支払いの可否を判断することとなる。また、この判断結果は、保険会社システム300から保険金請求支援システム100に返信される。
【0082】
この場合、保険金請求支援システム100は、上述の診療情報に基づく保険金支払請求の承認可否の判断結果を、保険会社システム300から受信する(s118)。
【0083】
この判断結果が、保険金の支払い不可を示すものである場合(s119:n1)、保険金請求支援システム100は、棄却レポート(
図10Aの画面1040参照)を該当保険契約者のユーザ端末200に配信し(s120)、処理を終了する。
【0084】
一方、上述の判断結果が、保険金支払いに別途確認手続が必要との回答を示すものである場合(s119:n2)、保険金請求支援システム100は、この確認手続が必要である旨の通知を、上述の該当保険契約者のユーザ端末200に送信し(s121)、処理をS118に一旦戻す。
【0085】
他方、上述の判断結果が、保険金支払い可を示すものである場合(s119:y)、保険金請求支援システム100は、保険金支払いが承認された結果(
図10Bの画面1050参照)を、該当保険契約者のユーザ端末200に送信し(s122)、処理を終了する。
【0086】
本実施形態によれば、保険契約者において、契約対象の被保険者の通院・治療行為に関する、保険契約者本人による申告を不要とすると共に、プロアクティブな保険金支払、貰いそびれの回避といったことが可能となる。従って、保険金の支払請求漏れが適宜に防止されることとなる。また、「診断書を送付する、保険会社に保険契約者自らアクションする」などの支払請求にかかる面倒な手続きが簡素化される。一方、保険会社において、保険金の不払い事象が効果的に低減される。このことは保険契約者への優良な顧客体験の提供とともに、それに伴う企業価値の向上が期待される。また支払請求にあたり、営業職員に顧客(保険契約者)との接触機会が創出される。
【0087】
すなわち、種々のチャネルからの情報を適宜に処理し、効率的で的確な保険金支払請求の支援が可能となる。
【0088】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記選択した所定属性の診療情報に基づき、保険金の支払請求が可能である旨の通知を、前記契約者の端末に宛てて送信し、当該端末より支払請求の実施要求を受けた場合、前記診療情報を前記保険会社の情報処理装置に送信するものである、としてもよい。
【0089】
これによれば、保険の契約者における実施意思に応じて、保険金の支払請求の手順を進めることが可能となり、意思に反した保険金支払請求を的確に回避できる。ひいては、種々のチャネルからの情報を適宜に処理し、より効率的で的確な保険金支払請求の支援が可能となる。
【0090】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記通知の送信に際し、予め記憶装置にて保持する前記保険契約の内容情報に基づき、保険金受取人または被保険者を特定し、前記契約者、前記保険金受取人、および前記被保険者の少なくともいずれかの端末に前記通知を送信するものである、としてもよい。
【0091】
これによれば、保険契約者だけでなく、被保険者ないし保険金受取人といった対象者にも、保険金支払請求の要否を確認出来る。これにより、これら各対象者らの意思に反した保険金支払請求を更に的確に回避できる。
【0092】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記所定属性の診療情報を選択するに際し、前記格納した診療情報のうち、同一の被保険者の同一の診療機会に関する診療情報が複数存在する場合、前記複数の診療情報から1つの診療情報を所定アルゴリズムで選択するものである、としてもよい。
【0093】
これによれば、一人の被保険者の、同一の診療機会に関する、医療費通知、電子カルテ、レセプト、保険契約者による手入力といった種々のチャネルからの診療情報が所定期間に格納された場合にも的確に対応し、保険会社に対して診療情報を重複送信する事態を回避出来る。
【0094】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記1つの診療情報を選択するに際し、種類の異なる診療情報の間について予め定めた優先順位に基づき、前記複数の診療情報から1つの診療情報を選択するものである、としてもよい。
【0095】
これによれば、一人の被保険者の、同一の診療機会に関して得られた、医療費通知、電子カルテ、レセプト、保険契約者による手入力といった種々のチャネルからの診療情報のうち、例えば、より詳細な診療情報が得られるレセプトを優先し、それ以外の診療情報を保険会社への送信対象外とすることが可能となる。ひいては、保険会社に対する診療情報の重複送信を的確かつ効率的に回避出来る。
【0096】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記所定属性の診療情報を選択するに際し、前記格納した診療情報を、前記保険会社が当該保険に関して規定している保険金支払事由の情報に照合し、当該保険金支払事由に該当する傷病ないし診療行為の情報を含む診療情報を選択するものである、としてもよい。
【0097】
これによれば、保険金支払事由に該当する傷病等に関する診療情報のみを特定し、これを保険会社に送信し、保険金支払可否の承認判断の対象とすることができる。
【0098】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記所定属性の診療情報を選択するに際し、前記格納した診療情報を、前記保険会社が当該保険に関して規定している保険金支払事由に該当しない傷病ないし診療行為の情報に照合し、当該保険金支払事由に該当しない傷病ないし診療行為の情報を含まない診療情報を選択するものである、としてもよい。
【0099】
これによれば、数ある診療情報の中から、保険金支払事由に該当しない傷病等に関する診療情報を除外し、この除外後の診療情報のみを保険会社に送信し、保険金支払可否の承認判断の対象とすることができる。
【0100】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記受信した診療情報のうち、確定していない診断内容に関する診療情報が存在する場合、当該診療情報に診断未確定フラグを付与して、前記保険会社の情報処理装置への送信対象から除外する処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0101】
これによれば、レセプトにおける、いわゆる「レセプト病名」、「疑い病名」といった、診断が未確定の傷病等に関する記載を含む診療情報を特定し、これを保険会社への送信対象から除外、すなわち保険金支払可否の承認判断の対象外とすることができる。
【0102】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記受信した診療情報のうち、保険外診療に関する診療情報が存在する場合、当該診療情報に保険外診療フラグを付与して、前記保険会社の情報処理装置に送信するものである、としてもよい。
【0103】
これによれば、保険金の支払事由に該当する診療情報のうち、保険外診療に関する情報を含むものを特定し、これを保険会社に提供することが出来る。この場合、保険会社では、当該保険契約者が契約中の保険について、保険外診療に対する特約と保険金支払の規定を確認して、保険金支払請求の承認可否判断を迅速に行いやすくなる。
【0104】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記受信した診療情報のうち傷病名が含まれていないものを特定し、当該診療情報に関して傷病名の入力を受け付ける所定インターフェイスを、前記契約者の端末に送信して傷病名の情報入力を受け付け、当該受け付けた傷病名の情報を、前記診療情報に付加した上で、前記所定アルゴリズムによる選択処理の対象とするものである、としてもよい。
【0105】
これによれば、例えば、医療費通知など傷病名の情報が含まれない診療情報しか取得できない場合でもこれに対応し、この診療情報を保険会社への送信対象とするか否かの判断対象とできる。
【0106】
また、本実施形態の保険金請求支援システムにおいて、前記演算装置は、前記診療情報を前記保険会社の情報処理装置に送信した後、当該診療情報に基づく保険金支払請求の承認可否の判断結果を、前記情報処理装置から受信し、当該受信した判断結果を、前記契約者の端末に送信する処理を更に実行するものである、としてもよい。
【0107】
これによれば、保険契約者等は、保険金の支払請求を要求した診療情報に関して、その承認判断の結果を確実に認識し、ひいては、以後の支払請求の実施要求の検討時に、無駄な実施要求を回避しやすくなる。このことは、より効率的で的確な保険金支払請求の処理につながる。
【0108】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記選択した所定属性の診療情報に基づき、保険金の支払請求が可能である旨の通知を、前記契約者の端末に宛てて送信し、当該端末より支払請求の実施要求を受けた場合、前記診療情報を前記保険会社の情報処理装置に送信する、としてもよい。
【0109】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記通知の送信に際し、予め記憶装置にて保持する前記保険契約の内容情報に基づき、保険金受取人または被保険者を特定し、前記契約者、前記保険金受取人、および前記被保険者の少なくともいずれかの端末に前記通知を送信する、としてもよい。
【0110】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記所定属性の診療情報を選択するに際し、前記格納した診療情報のうち、同一の被保険者の同一の診療機会に関する診療情報が複数存在する場合、前記複数の診療情報から1つの診療情報を所定アルゴリズムで選択する、としてもよい。
【0111】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記1つの診療情報を選択するに際し、種類の異なる診療情報の間について予め定めた優先順位に基づき、前記複数の診療情報から1つの診療情報を選択する、としてもよい。
【0112】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記所定属性の診療情報を選択するに際し、前記格納した診療情報を、前記保険会社が当該保険に関して規定している保険金支払事由の情報に照合し、当該保険金支払事由に該当する傷病ないし診療行為の情報を含む診療情報を選択する、としてもよい。
【0113】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記所定属性の診療情報を選択するに際し、前記格納した診療情報を、前記保険会社が当該保険に関して規定している保険金支払事由に該当しない傷病ないし診療行為の情報に照合し、当該保険金支払事由に該当しない傷病ないし診療行為の情報を含まない診療情報を選択する、としてもよい。
【0114】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記受信した診療情報のうち、確定していない診断内容に関する診療情報が存在する場合、当該診療情報に診断未確定フラグを付与して、前記保険会社の情報処理装置への送信対象から除外する処理を更に実行する、としてもよい。
【0115】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記選択した所定属性の診療情報のうち、保険外診療に関する診療情報が存在する場合、当該診療情報に保険外診療フラグを付与して、前記保険会社の情報処理装置に送信する、としてもよい。
【0116】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記受信した診療情報のうち傷病名が含まれていないものを特定し、当該診療情報に関して傷病名の入力を受け付ける所定インターフェイスを、前記契約者の端末に送信して傷病名の情報入力を受け付け、当該受け付けた傷病名の情報を、前記診療情報に付加した上で、前記所定アルゴリズムによる選択処理の対象とする、としてもよい。
【0117】
本実施形態の保険金請求支援方法において、前記情報処理システムが、前記診療情報を前記保険会社の情報処理装置に送信した後、当該診療情報に基づく保険金支払請求の承認可否の判断結果を、前記情報処理装置から受信し、当該受信した判断結果を、前記契約者の端末に送信する処理を更に実行する、としてもよい。