特許第6805352号(P6805352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6805352ボールジョイント用のソケットアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805352
(24)【登録日】2020年12月7日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ボールジョイント用のソケットアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/06 20060101AFI20201214BHJP
   B60S 1/18 20060101ALI20201214BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   F16C11/06 D
   B60S1/18 Z
   F16C11/10 F
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-532990(P2019-532990)
(86)(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公表番号】特表2020-502444(P2020-502444A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2017079587
(87)【国際公開番号】WO2018114160
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】62/436,079
(32)【優先日】2016年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】セルヒオ デル バジェ フレスノ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ダルコ ヴレティチ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ウッド
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−247526(JP,A)
【文献】 特開2003−312365(JP,A)
【文献】 特開昭58−156716(JP,A)
【文献】 特開昭62−132024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00−11/12
B60S 1/00− 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールスタッドを受容しかつ保持するように構成されたソケットアセンブリであって、該ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと弾性的な保持部材とを有しており、
前記ソケットハウジングは、
第1の端部と、
該第1の端部の周囲を包囲する側壁と、
前記第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含み、該第2の端部は開いておりかつ前記側壁の自由縁部により画定されており、
前記側壁の内面は球状の輪郭を有しており、該球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされており、
前記側壁の外面は、
前記第1の端部に対して平行でありかつ前記球状の輪郭の前記中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、
前記平面と前記第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含み、該第2の溝は前記第1の溝に対して平行であり、
前記第2の溝内には前記保持部材が配置されており
前記ソケットハウジングは、前記側壁に形成されたスリットを含み、該スリットは、前記側壁の厚さを貫通していると共に、前記第2の端部において開いており、
前記スリットは、前記平面に対して垂直な方向で、前記第1の端部に向かって延在しており、前記スリットは、前記第1の溝と前記第2の溝との間に配置された端部において終わっており、
前記保持部材は、その周方向に沿って切れ目を有し、前記切れ目は、所定範囲の角度に相当する円弧に沿って延在している、ソケットアセンブリ。
【請求項2】
前記側壁は、前記平面の下で、前記中心を通過しかつ前記側壁の前記自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る、請求項1記載のソケットアセンブリ。
【請求項3】
前記スリットは、前記第2の溝と交差している、請求項記載のソケットアセンブリ。
【請求項4】
前記保持部材は、C字形クリップである、請求項1記載のソケットアセンブリ。
【請求項5】
前記保持部材は、途切れた平座金である、請求項1記載のソケットアセンブリ。
【請求項6】
ソケットアセンブリとボールスタッドとを含むボールジョイントであって、
前記ボールスタッドは、
円筒状の軸部と、
該軸部の一方の端部に配置されたボール部とを含み、該ボール部は、前記軸部の長手方向軸線に対して垂直でありかつ最大直径の位置において球状部材と交差する線により規定される大径を含み、
前記ソケットアセンブリは、前記ボール部を受容しかつ保持するように構成されており、前記ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと、弾性的な保持部材とを含み、
前記ソケットハウジングは、
第1の端部と、
該第1の端部の周囲を包囲する側壁と、
前記第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含み、該第2の端部は開いておりかつ前記側壁の自由縁部により画定されており、
前記側壁の内面は、球状の輪郭を有しており、該球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされており、
前記側壁の外面は、
前記第1の端部に対して平行でありかつ前記球状の輪郭の前記中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、
前記平面と前記第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含み、該第2の溝は、前記第1の溝に対して平行であり、
前記第2の溝内には前記保持部材が配置されており
前記ソケットハウジングは、前記側壁に形成されたスリットを含み、該スリットは、前記側壁の厚さを貫通していると共に、前記第2の端部において開いており、
前記スリットは、前記平面に対して垂直な方向で、前記第1の端部に向かって延在しており、前記スリットは、前記第1の溝と前記第2の溝との間に配置された端部において終わっており、
前記保持部材は、その周方向に沿って切れ目を有し、前記切れ目は、所定範囲内の角度に相当する円弧に沿って延在している、ボールジョイント。
【請求項7】
前記側壁は前記平面の下で、前記中心を通過しかつ前記側壁の前記自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る、請求項記載のボールジョイント。
【請求項8】
リンクアセンブリであって、
第1の開口を含む第1の端部を有するリンク部材と、
前記第1の開口内に配置されたソケットアセンブリとを含み、該ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと、弾性的な保持部材とを含み、
前記ソケットハウジングは、
第1の端部と、
該第1の端部の周囲を包囲する側壁と、
前記第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含み、該第2の端部は開いておりかつ前記側壁の自由縁部により画定されており、
前記側壁の内面は球状の輪郭を有しており、該球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされており、
前記側壁の外面は、
前記第1の端部に対して平行でありかつ前記球状の輪郭の前記中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、
前記平面と前記第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含み、該第2の溝は、前記第1の溝に対して平行であり、
前記第2の溝内には前記保持部材が配置されており
前記ソケットハウジングは、前記側壁に形成されたスリットを含み、該スリットは、前記側壁の厚さを貫通していると共に、前記第2の端部において開いており、
前記スリットは、前記平面に対して垂直な方向で、前記第1の端部に向かって延在しており、前記スリットは、前記第1の溝と前記第2の溝との間に配置された端部において終わっており、
前記保持部材は、その周方向に沿って切れ目を有し、前記切れ目は、所定範囲内の角度に相当する円弧に沿って延在している、リンクアセンブリ。
【請求項9】
前記側壁は前記平面の下で、前記中心を通過しかつ前記側壁の前記自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る、請求項記載のリンクアセンブリ。
【請求項10】
ワイパアームを作動させるように構成されたワイパ作動アセンブリであって、該ワイパ作動アセンブリは、
アクチュエータと、
該アクチュエータを前記ワイパアームに接続するリンク機構とを含み、
該リンク機構は、
第1の開口を有する第1の端部を備えたリンク部材と、
前記第1の開口内に配置されたソケットアセンブリとを含み、該ソケットアセンブリは、ソケットハウジングとばね部材とを含み、
前記ソケットハウジングは、
第1の端部と、
該第1の端部の周囲を包囲する側壁と、
前記第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含み、該第2の端部は開いておりかつ前記側壁の自由縁部により画定されており、
前記側壁の内面は、球状の輪郭を有しており、該球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされており、
前記側壁の外面は、
前記第1の端部に対して平行でありかつ前記球状の輪郭の前記中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、
前記平面と前記第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含み、該第2の溝は、前記第1の溝に対して平行であり、
前記第2の溝内には保持部材が配置されており
前記ソケットハウジングは、前記側壁に形成されたスリットを含み、該スリットは、前記側壁の厚さを貫通していると共に、前記第2の端部において開いており、
前記スリットは、前記平面に対して垂直な方向で、前記第1の端部に向かって延在しており、前記スリットは、前記第1の溝と前記第2の溝との間に配置された端部において終わっており、
前記保持部材は、その周方向に沿って切れ目を有し、前記切れ目は、所定範囲内の角度に相当する円弧に沿って延在している、ワイパ作動アセンブリ。
【請求項11】
前記側壁は前記平面の下で、前記中心を通過しかつ前記側壁の前記自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る、請求項10記載のワイパ作動アセンブリ。
【請求項12】
前記スリットは、前記第2の溝と交差している、請求項10記載のワイパ作動アセンブリ。
【請求項13】
前記保持部材は、C字形クリップである、請求項10記載のワイパ作動アセンブリ。
【請求項14】
前記保持部材は、途切れた平座金である、請求項10記載のワイパ作動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
車両は一般に、乗員室の前方にウインドシールドを有している。ウインドシールドに隣接してウインドシールドワイパシステムが配置されており、ウインドシールドワイパシステムは、ワイパブレードを支持するワイパアームを有している。ワイパアームは、ピボット軸上で所定の運動範囲にわたって旋回するため、ブレードはウインドシールドにわたって揺動し、ウインドシールドから水分、汚れおよび/または破片を除去する。ピボット軸は、アクチュエータを含むワイパ作動アセンブリにより駆動される。アクチュエータは、アクチュエータの軸の回転をワイパアームの揺動運動に変換するリンクシステムにより、ピボット軸に接続され得る。リンク機構は、ボールソケットとボールスタッドとを含むボールジョイントを介してピボット軸に力を伝達する1つ以上のリンク部材を含む。ボールソケットは、一方のリンク部材に設けられた開口内に取り付けられており、ボールスタッドは、他方のリンク部材の開口内に取り付けられていて、ボールソケット内で回転する。時間にわたるボールソケットの摩耗は、ボールソケットからのボールスタッドの離脱を招き、このことは結果的に、ワイパシステムの機能損失につながる恐れがある。ボールソケットからのボールスタッドの離脱が防止されたボールジョイントが必要とされている。
【0002】
概要
いくつかの態様では、ソケットアセンブリは、ボールスタッドを受容しかつ保持するように構成されている。ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと、弾性的な保持部材とを含む。ソケットハウジングは、第1の端部と、第1の端部の周囲を包囲する側壁と、第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含む。第2の端部は開いており、側壁の自由縁部により画定される。側壁の内面は、球状の輪郭を有しており、球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされている。側壁の外面は、第1の端部に対して平行でありかつ球状の輪郭の中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、前記平面と第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含む。第2の溝は第1の溝に対して平行であり、第2の溝内には保持部材が配置されている。
【0003】
ソケットアセンブリは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてよい。すなわち:側壁は前記平面の下で、中心を通過しかつ側壁の自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る。ソケットハウジングは、側壁に形成されたスリットを含み、スリットは、側壁の厚さを貫通していると共に、第2の端部において開いている。スリットは、前記平面に対して垂直な方向に延在している。スリットは、第2の溝と交差している。保持部材は、C字形クリップである。保持部材は、途切れた平座金である。
【0004】
いくつかの態様では、ボールジョイントは、ソケットアセンブリと、ボールスタッドとを含む。ボールスタッドは、円筒状の軸部と、この軸部の一方の端部に配置されたボール部とを含む。ボール部は、軸部の長手方向軸線に対して垂直でありかつ最大直径の位置において球状部材と交差する線により規定される大径を含む。ソケットアセンブリは、ボール部を受容しかつ保持するように構成されている。ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと、弾性的な保持部材とを含む。ソケットハウジングは、第1の端部と、第1の端部の周囲を包囲する側壁と、第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含む。第2の端部は開いており、側壁の自由縁部により画定される。側壁の内面は、球状の輪郭を有しており、球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされている。側壁の外面は、第1の端部に対して平行でありかつ球状の輪郭の中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、前記平面と第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含む。第2の溝は第1の溝に対して平行であり、第2の溝内には保持部材が配置されている。
【0005】
ボールジョイントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてよい。すなわち:側壁は前記平面の下で、中心を通過しかつ側壁の自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る。ソケットハウジングは、側壁に形成されたスリットを含み、スリットは、側壁の厚さを貫通していると共に、第2の端部において開いている。スリットは、前記平面に対して垂直な方向に延在している。スリットは、第2の溝と交差している。保持部材は、C字形クリップである。保持部材は、途切れた平座金である。
【0006】
いくつかの態様では、リンクアセンブリは、第1の開口を含む第1の端部を有するリンク部材を含む。ソケットアセンブリは、第1の開口内に配置されている。ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと、弾性的な保持部材とを含む。ソケットハウジングは、第1の端部と、第1の端部の周囲を包囲する側壁と、第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含む。第2の端部は開いており、側壁の自由縁部により画定される。側壁の内面は球状の輪郭を有しており、球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされている。側壁の外面は、第1の端部に対して平行でありかつ球状の輪郭の中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、前記平面と第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含む。第2の溝は第1の溝に対して平行であり、第2の溝内には保持部材が配置されている。
【0007】
リンクアセンブリは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてよい。すなわち:側壁は前記平面の下で、中心を通過しかつ側壁の自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る。ソケットハウジングは、側壁に形成されたスリットを含み、スリットは、側壁の厚さを貫通していると共に、第2の端部において開いている。スリットは、前記平面に対して垂直な方向に延在している。スリットは、第2の溝と交差している。保持部材は、C字形クリップである。保持部材は、途切れた平座金である。
【0008】
いくつかの態様では、ワイパ作動アセンブリは、ワイパアームを作動させるように構成されている。ワイパ作動アセンブリは、アクチュエータと、アクチュエータをワイパアームに接続するリンク機構とを含む。リンク機構は、第1の開口を有する第1の端部を備えたリンク部材を含む。第1の開口内にはソケットアセンブリが配置されている。ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと保持部材とを含む。ソケットハウジングは、第1の端部と、第1の端部の周囲を包囲する側壁と、第1の端部とは反対の側の第2の端部とを含む。第2の端部は開いており、側壁の自由縁部により画定される。側壁の内面は、球状の輪郭を有しており、球状の輪郭は、中心を有しかつ内部にボールスタッドのボール部を受容しかつ保持するように寸法決めされている。側壁の外面は、第1の端部に対して平行でありかつ球状の輪郭の中心を含む平面内に設けられた、周方向に延在する第1の溝と、前記平面と第2の端部との間に配置された、周方向に延在する第2の溝とを含む。第2の溝は第1の溝に対して平行であり、第2の溝内には保持部材が配置されている。
【0009】
ワイパ作動アセンブリは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてよい。すなわち:側壁は前記平面の下で、中心を通過しかつ側壁の自由縁部と交差する線が、前記平面に対して所定の角度を形成する範囲まで延在しており、前記角度は30度を上回る。ソケットハウジングは、側壁に形成されたスリットを含み、スリットは、側壁の厚さを貫通していると共に、第2の端部において開いている。スリットは、前記平面に対して垂直な方向に延在している。スリットは、第2の溝と交差している。保持部材は、C字形クリップである。保持部材は、途切れた平座金である。
【0010】
いくつかの態様では、ボールジョイントは、ボールスタッドと組み合わされて、ボールスタッドとボールソケットとの間の回転可能な接続を保持するために働くように設計されたロック機能を提供するソケットアセンブリを含む。ソケットアセンブリは、ソケットハウジングと、弾性的な保持部材とを含み、ソケットハウジングと弾性的な保持部材とは、動作負荷が加えられた状態でボールスタッドの離脱を防止するように協働する。ソケットハウジングは、いくつかの従来型のソケットハウジングに対して延長された長さを有する側壁を含み、弾性的な部材は、ボールソケットの側壁の、延長された長さに相当する位置の外面に形成された周方向の溝内に配置されている。保持部材は、ボールスタッドと組み合わされるよりも先にボールソケットと組み合わされてよい、またはボールスタッドがボールソケットと組み合わされてから、ボールソケットに組み合わされてもよい。弾性的な保持部材は、例えばC字形クリップ、ばね、割ピンまたは別の適当な締結具であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ワイパアーム(図示せず)にアクチュエータを接続するリンク機構を含む車両ワイパ作動アセンブリの平面図である。
図2】ボールジョイントを用いて相互連結された複数のリンク部材を含む、図1に示したリンク機構の平面図である。
図3】ボールソケットに結合されたボールスタッドを含むボールジョイントの側面図である。
図4図3に示したボールジョイントの側方断面図である。
図5】ボールスタッドの軸部の長手方向軸線に対して所定の角度で配置されたボールソケットを示す、図3に示したボールジョイントの斜視図である。
図6図5に示したボールジョイントの側方断面図である。
【0012】
詳細な説明
図1図4を参照すると、車両ワイパ作動アセンブリ1は、1対のワイパブレード(図示せず)が、ウインドシールドから水分、汚れおよび/または破片を除去するように車両ウインドシールド(図示せず)にわたり払拭するために用いられる。ワイパ作動アセンブリ1は、アクチュエータ2と、このアクチュエータ2をワイパアーム(図示せず)に接続するマルチバーリンク機構8とを含み、各ワイパアームはワイパブレードを支持している。ワイパアームは、車両に対してピボット軸(図示せず)において支持されており、ワイパアームはリンク機構8を介してワイパ作動アセンブリ1により、ピボット軸を中心として回動される。図示の実施形態では、リンク機構8はボールジョイント28により相互連結された4つのリンク部材9,12,15,18を含んでいる。例えば、第1のリンク部材9の第1の端部は、第1のボールジョイント28aを介して第1のピボット板15に接続されており、第1のリンク部材9の第2の端部は、第2のボールジョイント28bを介して第2のピボット板18に接続されている。ボールジョイント28a,28bはそれぞれ、ソケットアセンブリ60とボールスタッド30とを含んでいる。第1のリンク部材9の両端部はリンク開口10を含み、ソケットアセンブリ60はリンク開口10内に取り付けられている。同様に、各ピボット板15,18の一方の端部もピボット板開口16を含み、このピボット板開口16内にはボールスタッド30の軸部32が取り付けられている。以下で詳細に説明するように、ソケットアセンブリ60はボールスタッド30のボール部36を受容しかつその内部でボール部36を保持するように構成されている。
【0013】
ボールスタッド30は円筒状の軸部32を含み、ボール部36は軸部32の第1の端部33に配置されている。軸部32は、第1の端部33から離間した第2の端部34と、軸部の第1の端部33と第2の端部34との間に延在する長手方向軸線35とを有している。ボール部36は、軸部32の直径39よりも大きな大径38を有する球状部材である。ボール部36の大径38は、軸部の長手方向軸線35に対して垂直な直線に相当し、ボール部36の中心40を通過して、各端部においてボール部36の外面に達する。
【0014】
ソケットアセンブリ60は、ソケットハウジング62と、弾性的な保持部材82とを含み、弾性的な保持部材82はソケットハウジング62の一部を取り囲んでいて、以下でさらに説明するように、ソケットハウジング62の摩耗状態にかかわらず、ソケットハウジング62内でボール部36を保持するための第2の保持機能として働く。
【0015】
ソケットハウジング62はドーム形構造であり、ほぼ円筒状の側壁65を含むと共に、閉じられた第1の端部63を有している。ソケットハウジング62は、第1の端部63とは反対の側の第2の端部64を含む。第2の端部64は開かれており、側壁65の自由縁部66により画定されている。側壁65の内面67は、その内部にボールスタッド30のボール部36を受容しかつ保持するように寸法決めされた、球状の輪郭を有している。特に内面67は、ボールスタッドのボール部36の形状および寸法に対応するように形成されかつ寸法決めされており、ソケットハウジング62の摩耗状態にかかわらずソケットハウジング62の内部でボール部36を保持するための第1の保持機能を提供する。ボール部36と同様に、ソケットハウジングの内面67も大径73を画定する。ソケットハウジングの大径73は、ソケットハウジングの内面67により画定された球状の輪郭の中心76を通過しかつソケットハウジングの第1の端部63および第2の端部64に対して平行に延在している。
【0016】
側壁の外面68は、ソケットハウジング62の周方向に延在する第1の溝69を備えて形成されている。第1の溝69は、第1の端部63に対して平行な平面72内に設けられておりかつソケットハウジングの大径73に相当する長手方向位置に配置されている。第1の溝69は、リンク開口10の断面の形状および寸法に相当するように形成されかつ寸法決めされた断面を有している。図示の実施形態では例えば、第1の溝69はほぼ矩形の断面形状を有している。使用時に、第1の溝69は第1のリンク部材9に設けられた開口10の縁部を受容して束縛し、これによりソケットハウジング62が第1のリンク部材9に取り付けられることになる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ソケットハウジング62はリンク部材9の端部において開口10内にインサート成形されたプラスチック部材であり、これにより、開口10を画定するリンク部材9の縁部が、第1の周方向の溝69内に受容されている。
【0018】
側壁の外面68は、内部に保持部材82を受容しかつ保持するように構成された第2の溝70を備えて形成されている。第2の溝70は、ソケットハウジング62の周方向に延在しており、かつ平面72とソケットハウジングの第2の端部64との間に位置している。第2の溝70は、第1の溝69に対して平行である。第2の溝70は、保持部材82の断面の形状および寸法に相当するように形成されかつ寸法決めされた断面を有している。図示の実施形態では例えば、第2の溝70はほぼ円形の断面形状を有している。
【0019】
平面72とソケットハウジングの第2の端部64との間の位置に収容能力を有する第2の溝70を形成するために、ソケットハウジング62は、軸部の第1の端部33に隣接する位置においてボール部36に被さるように、従来のいくつかのソケットハウジングに対して延長された長さを有する側壁65を備えて形成されている。つまり、側壁65は平面72の下で、球状輪郭の中心76を通過しかつ側壁の自由縁部66と交差する線75が、平面72に対して角度θを形成する範囲まで延在している。図示の実施形態では、角度θは30度を上回っている。ただし、角度θはソケットハウジング、保持部材等のサイズや形状に応じて、より大きくてもまたはより小さくてもよい。このことは、球状の輪郭の中心を通過しかつ側壁の自由縁部と交差する線が約25度の角度を形成する、従来のいくつかのソケットハウジングと比較され得る。
【0020】
ソケットハウジングの側壁65は、側壁65の厚さを貫通する少なくとも1つのスリット71を備えて設けられてよい。図示の実施形態では例えば、側壁65はソケットハウジングの第2の端部64の周方向に等間隔で配置された6つのスリット71を含んでいる。スリット71は、ソケットハウジングの第2の端部64において開いており、平面72に対して垂直な方向で、ソケットハウジングの第1の端部63に向かって延在している。スリット71は、第1の溝69と第2の溝70との間に配置された隠れた端部において終わっている。この配置により、各スリット71は第2の溝70と交差している。スリット71は、ハウジングの第2の端部64を介してソケットハウジング62内へボール部36を挿入する間、ソケットハウジングの第2の端部64が外側に向かって拡張することを可能にする。
【0021】
保持部材82は、平面図を見たときにC字形を有するようにその周方向に沿って切れ目を有する、環状の弾性部材である。切れ目は、例えば20度〜30度の範囲内の角度に相当する円弧に沿って延在している。いくつかの実施形態では、保持部材82は、円形の断面形状または正方形の断面形状を有するC字形クリップである。いくつかの実施形態では比較的高い保持力が必要とされており、保持部材82は、矩形の断面形状を有する途切れた平座金であってよい。
【0022】
図5および図6も参照すると、保持部材82は第2の溝70内に配置されておりかつソケットハウジング62の一部を包囲している。保持部材82は、ソケットハウジング62の摩耗にかかわらず、車両ワイパ作動アセンブリ1の作動中はソケットハウジング62内でボール部36を保持する保持力を提供するように、十分に剛性である。さらに保持部材82は、ボールスタッド30に対するソケットハウジング62の、約0度〜約15度の範囲内での角変位αに対してソケットハウジング62内でボール部36を保持する保持力を提供するように、十分に剛性である。例えば、図5および図6に示す実施形態では、前記角度αは10度である。
【0023】
保持部材82が、ボールスタッド30と組み合わされるよりも先にソケットハウジング62と組み合わされるいくつかの実施形態では、保持部材82は、ソケットハウジング62内へのボールスタッド30の挿入を可能にするように、十分に弾性的でもある。
【0024】
図示の実施形態では、ソケットハウジングの側壁65は、等間隔に配置され、側壁65の厚さを貫通する、6つのスリット71を有している。ただし、ソケットハウジングはこの構成に限定されるものではない、ということは自明である。例えば、側壁65は特定の用途による要求に応じて、より多数のまたはより少数のスリットを備えて、またはスリットを全く備えずに形成されてもよい。別の例では、側壁は特定の用途による要求に応じて不規則な間隔および/またはサイズを有する複数のスリットを備えて形成されてもよい。
【0025】
図示の実施形態において説明するソケットアセンブリ60のソケットハウジング62は、閉じた第1の端部63と、開いた第2の端部64とを有している。ただし、ソケットハウジングはこの構成に限定されるものではない。例えばいくつかの実施形態では、第1の端部と第2の端部とは両方共開いていてよく、保持部材を含むソケットアセンブリを、ダブルボールスタッドを有するモータクランクを備えたワイパシステムに見られるようなダブルボールスタッドと共に使うことができるようになっている。
【0026】
車両ワイパ作動アセンブリ用のボールジョイントの図示の選択的な実施形態を、上である程度詳細に説明した。ここではボールジョイントを明確にするために必要と見なされた構造のみを説明したものと理解されたい。ボールジョイントおよび車両ワイパ作動アセンブリのその他の従来型の構造および付属の補助的なコンポーネントといったものは当然、当業者には周知であると想定される。さらに、ボールジョイントを含む車両ワイパ作動アセンブリの1つの実施例を上で説明したが、車両ワイパ作動アセンブリおよび/またはボールジョイントは、上で説明した実施例に限定されるものではなく、請求項に記載の車両ワイパ作動アセンブリおよび/またはボールジョイントから逸脱すること無しに、多様な設計変更が実施され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6