(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
防災および地震発生時の対処に関する対策情報であって、所定規模より大きい地震が発生した場合に備えてユーザがあらかじめ得ておくべき第1の対策情報と、上記所定規模より大きい地震が実際に発生した場合に上記第1の対策情報に対する再度の確認を行うための第2の対策情報とを記憶した対策情報記憶部と、
上記所定規模以下の地震の発生を検知する第1の地震発生検知部と、
上記所定規模より大きい地震の発生を検知する第2の地震発生検知部と、
上記第1の地震発生検知部により上記所定規模以下の地震の発生が検知されたとき、上記対策情報記憶部に記憶されている上記第1の対策情報を上記対策情報記憶部から抽出するとともに、上記第2の地震発生検知部により上記所定規模より大きい地震の発生が検知されたとき、上記対策情報記憶部に記憶されている上記第2の対策情報を上記対策情報記憶部から抽出する対策情報抽出部と、
上記対策情報抽出部により抽出された上記対策情報をユーザの端末に送信する対策情報送信部とを備えた
ことを特徴とする災害対策情報提供システム。
防災および地震発生時の対処に関する対策情報であって、所定規模より大きい地震が発生した場合に備えてユーザがあらかじめ得ておくべき第1の対策情報と、上記所定規模より大きい地震が実際に発生した場合に当該大きい地震の発生から所定時間以内にユーザに提供すべき第2の対策情報とを記憶した対策情報記憶部と、
上記所定規模以下の地震の発生を検知する第1の地震発生検知部と、
上記所定規模より大きい地震の発生を検知する第2の地震発生検知部と、
上記第1の地震発生検知部により上記所定規模以下の地震の発生が検知されたとき、上記対策情報記憶部に記憶されている上記第1の対策情報を上記対策情報記憶部から抽出するとともに、上記第2の地震発生検知部により上記所定規模より大きい地震の発生が検知されたとき、上記対策情報記憶部に記憶されている上記第2の対策情報を上記対策情報記憶部から抽出する対策情報抽出部と、
上記対策情報抽出部により抽出された上記対策情報をユーザの端末に送信する対策情報送信部とを備えた
ことを特徴とする災害対策情報提供システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による災害対策情報提供システムの全体構成例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、第1の実施形態による災害対策情報提供システムは、個々のユーザが所持するユーザ端末100と、当該ユーザ端末100に対して災害対策情報を提供するサーバ200とを備えて構成されている。ユーザ端末100は、例えばスマートフォン、タブレットのような携帯端末である。ユーザ端末100とサーバ200との間は、インターネット等の通信ネットワーク300により接続可能に構成されている。
【0015】
第1の実施形態による災害対策情報提供システムは、災害に関する対策情報をサーバ200に記憶しておき、所定規模以下の小さい地震が発生したときに、対策情報をサーバ200からユーザ端末100に送信するようにしたものである。ユーザ端末100には、サーバ200から対策情報を受信して表示するためのアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションという)がインストールされている。このアプリケーションは、例えば、通信ネットワーク300を介してサーバ200または図示しない専用のアプリ提供サイトからダウンロードすることが可能である。
【0016】
図2は、第1の実施形態によるサーバ200の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態によるサーバ200は、記憶媒体として、対策情報記憶部201および設定地点情報記憶部202を備えている。また、サーバ200は、その機能構成として、地震発生検知部21、対策情報抽出部22、対策情報送信部23、経過時間計測部24およびユーザ情報設定部25を備えている。
【0017】
上記各機能ブロック21〜25は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック21〜25は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0018】
対策情報記憶部201は、防災および地震発生時の対処に関する対策情報をあらかじめ記憶している。対策情報は、所定規模より大きい地震が発生した場合に備えて、日頃の防災への取り組みを促す情報や、一般的な防災知識に関する情報などである。防災知識に関する情報としては、例えば、地震発生時に身の安全を確保するためにとるべき行動、2次災害の発生を防ぐためにとるべき行動、避難の仕方、避難生活の仕方などに関する情報がある。対策情報は、文字のみによる情報である必要は無く、イラストや、イラストと文字との組み合わせであってもよい。例えば、「避難の仕方」に関する対策情報は、避難する際に持って行くべきものや、持って行くべきことが推奨されるもの(懐中電灯や、飲み物等)を絵によって表した静止画であってもよい。また、対策情報は、静止画のみならず、動画、音声情報であってもよい。
【0019】
設定地点情報記憶部202は、ユーザがユーザ端末100からサーバ200に設定した地点の位置情報を記憶する。ユーザが設定する地点は任意である。例えば、自宅または勤務会社がある地点をユーザ端末100からサーバ200に設定し、設定地点情報記憶部202に記憶させることが可能である。具体的には、ユーザがユーザ端末100のアプリケーションを利用してサーバ200にアクセスし、所定の設定画面を通じて所望の地点を設定する。設定地点情報記憶部202は、このときに使用されたユーザID等の識別情報に対応づけて、ユーザが設定した地点の位置情報を記憶する。
【0020】
ユーザ情報設定部25は、ユーザに関する情報を設定する。第1の実施形態では、ユーザ情報設定部25は、上述のように所定の設定画面をユーザ端末100に提供し、当該設定画面を通じてユーザが設定した地点の位置情報を設定地点情報記憶部202に記憶させる。
【0021】
地震発生検知部21は、所定規模以下の地震の発生を検知する。地震発生検知部21は、例えば、気象庁が発表する緊急地震速報および地震速報を通信ネットワーク300を介して取得し、この緊急地震速報および地震速報をもとに、設定地点情報記憶部202においてユーザIDごとに記憶されている設定地点における地震の発生を検知する。緊急地震速報は、予想震度や予想到達時間を計算する情報である。地震速報は、各地の震度を表す情報である。以下、この2つの情報をまとめて「緊急地震速報等」と書く。ここで、地震発生検知部21は、設定地点の震度またはマグニチュードが所定値以下であることが緊急地震速報等により示されている場合に、その設定地点において所定規模以下の地震が発生したことを検知する。
【0022】
対策情報抽出部22は、地震発生検知部21によりユーザの設定地点において所定規模以下の地震の発生が検知されたとき、対策情報記憶部201に記憶されている対策情報を抽出する。対策情報送信部23は、対策情報抽出部22により抽出された対策情報をユーザ端末100に送信する。ここでは、対策情報送信部23は、所定規模以下の地震の発生が検知された地域内に設定地点があるユーザのユーザ端末100に対して対策情報を送信する。
【0023】
経過時間計測部24は、地震発生検知部21により所定規模以下の地震の発生が検知されたとき、当該地震の発生からの経過時間を計測する。対策情報抽出部22および対策情報送信部23は、経過時間計測部24により計測される経過時間が所定時間(例えば、1ヶ月)に達するまで、対策情報を対策情報記憶部201から抽出してユーザ端末100に送信する処理を繰り返し実行する。地震発生時に1回のみ対策情報をユーザ端末100に送信することとしてもよいが、小さい地震の発生後の日常生活では、何もないと防災に関する関心が薄れるおそれがあるので、繰り返し情報を提供するのが好ましい。この場合における繰り返しの周期は任意である。例えば、1週間毎とすることが可能である。
【0024】
以上のように構成した第1の実施形態によれば、所定規模以下の小さい地震が発生したときに、防災および地震発生時の対処に関する対策情報がユーザ端末100に送られてくるので、対策情報を受け取ったユーザは、大きい地震が実際に発生した場合に備えて日頃注意しておくことや、大きい地震の発生時に注意すべきことなどの役立つ情報を確認することができる。しかも、この対策情報は、小規模ながら実際に地震が発生したときに送られてくるので、ユーザに対する注意を喚起しやすい。このように、第1の実施形態によれば、大きい地震が実際に発生する前から十分な対策情報を適切にユーザに提供することができ、ユーザは地震発生時に適切な対応をとることができるようになる。
【0025】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例では、対策情報記憶部201は、ある種類の対策情報について、季節と時間帯との組み合わせによって適切な内容が異なる場合には、季節と時間帯との組み合わせごとに異なる内容の対策情報を記憶する。例えば、上述した第1の実施形態では、対策情報として、「地震発生時に身の安全を確保するためにとるべき行動」、「2次災害の発生を防ぐためにとるべき行動」、「避難の仕方」、「避難生活の仕方」を例示した。
【0026】
これら対策情報は、地震および地震に付随する事象が発生したときに実行すべき行動の指針を示す対策情報であるが、地震または地震に付随する事象が発生した場合に気温が寒い冬に取ることが適切な行動と、気温が暑い夏に取ることが適切な行動とは異なる。例えば、「避難の仕方」に関し、季節が冬の場合は防寒を十分に考慮した避難をすべきであるし、また、季節が夏の場合は水分補給を十分に考慮した避難をすべきである。さらに、地震または地震に付随する事象が発生した場合に明るい昼間に取ることが適切な行動と、暗い夜間に取ることが適切な行動とは異なる。例えば、「避難の仕方」に関し、時間帯が夜間の場合は光源(懐中電灯等)の確保を十分に考慮した避難をすべきであるし、また、時間帯が日中の場合は熱中症の防止を十分に考慮した避難をすべきである。従って、対策情報記憶部201は、地震および地震に付随する事象が発生したときに実行すべき行動の指針を示す対策情報(全ての種類の対策情報ではなくてもよい)については、季節と時間帯ごとに異なる内容の対策情報を記憶する。
【0027】
また、本変形例では、対策情報抽出部22は、地震発生検知部21による所定規模以下の地震の発生の検知に応じて対策情報記憶部201に記憶されている対策情報を抽出する際、以下の処理を実行する。対策情報抽出部22は、現時点が属する季節を取得すると共に、現時点が属する時間帯を取得する。なお、本変形例では、事前に一年が季節ごとに区分されると共に、事前に一日が時間帯ごとに区分されている。次いで、対策情報抽出部22は、一の種類の対策情報をユーザに送信する対象とする場合において、当該一の種類の対策情報について季節と時間帯との組み合わせごとに異なる内容の対策情報が存在する場合には、現時点が属する季節と時間帯との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。対策情報抽出部22により抽出された対策情報は、対策情報送信部23によりユーザ端末100に送信される。
【0028】
本変形例によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本変形例では、小規模の地震が発生したときに、ユーザに対して現時点の季節と時間帯との組み合わせに応じた内容の対策情報が提供される。このため、ユーザは、提供された対策情報の内容を参照することにより、現時点の季節および時間帯に適した対策情報を、季節および時間帯に由来する環境的な影響(温度や、屋外の明るさ、季節の雰囲気等)を実際に実感しながら得ることができる。このため、ユーザにとって対策情報の記憶の定着がよく、対策情報の提供について、大地震が発生したときのための啓蒙としての実効性が高い。
【0029】
なお、対策情報抽出部22は、小規模な地震が発生した場合、対策情報を送信する対象の各ユーザについて、所定時間(例えば、1ヶ月)の間、間隔(例えば、1週間毎)をあけて対策情報を抽出することになる。対策情報抽出部22は、例えば、以下の2つの方法の何れかで対策情報の抽出を行う。1つ目の方法では、対策情報抽出部22は、対策情報を抽出する各タイミングで、その時点(現時点)の季節と時間帯との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。これによれば、ユーザは、都度、現時点の季節および時間帯に由来する環境的な影響を実際に実感しながら対策情報を得ることができる。2つ目の方法では、対策情報抽出部22は、対策情報を抽出する各タイミングで、地震発生時点(初回に対策情報を抽出した時点)の季節と時間帯との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。これによれば、ユーザは、小規模な地震が発生したときの季節および時間帯に対応する対策情報を繰り返し得ることができ、ユーザにとって対策情報の記憶の定着が更によくなり、対策情報の提供について、大地震が発生したときのための啓蒙としての実効性を効果的に高めることができる。
【0030】
なお、本変形例に関し、季節を春夏秋冬で単純に区切る必要はない。地震発生時における季節の影響の相違(災害が発生した場合に実行するべき適切な行動の相違等)に応じて、例えば、梅雨の季節、台風が発生しやすい季節、冬の中でも特に温度が低い季節等、季節を様々に定義することが可能である。また、各月(1月、2月、3月・・・)をそれぞれ異なる季節と定義してもよい。また、本変形例に関し、時間帯は、あらかじめ定められた時間によって一日を固定的に区分したものである必要はない。例えば、季節によって時間帯を異ならせてもよい。
【0031】
また、本変形例では、対策情報記憶部201は、季節と時間帯との組み合わせごとに異なる内容の対策情報を記憶していた。この点に関し、対策情報記憶部201が季節ごとに異なる内容の対策情報を記憶する構成でもよい。この場合、対策情報抽出部22は、現時点の季節に対応する対策情報を抽出する。また、対策情報記憶部201が時間帯ごとに異なる内容の対策情報を記憶する構成でもよい。この場合、対策情報抽出部22は、現時点が属する時間帯に対応する対策情報を抽出する。
【0032】
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。本変形例では、対策情報記憶部201は、ある種類の対策情報について、区分エリア(特許請求の範囲の「エリア」に相当)と季節との組み合わせによって適切な内容が異なる場合には、区分エリアと季節ごとに異なる内容の対策情報を記憶する。区分エリアとは、同一時点であっても、季節による影響(気温や、降雪の有無等)が異なるという観点で区分された領域であり、行政区画や、慣用されている地方区分等を区分エリアとして利用可能である。一例として、区分エリアは、慣用されている地方区分に基づく北海道エリア、東北エリア、関東甲信越エリア・・・である。
【0033】
例えば、対策情報の種類が「避難の仕方」である場合において、北海道エリアの冬および沖縄エリアの冬を考える。北海道エリアでは季節が冬の場合、雪が降っている可能性が高く、避難に際しては雪が降っていることを考慮した避難をすべきである。一方で、沖縄エリアでは季節が冬の場合、雪が降っている可能性はほとんどなく、避難に際しては雪が降っていることについては考慮する必要がない。このように、対策情報の種類によっては、区分エリアと季節との組み合わせによって、適切な内容が異なる場合がある。これを踏まえ、本変形例に係る対策情報記憶部201は、所定の種類の対策情報については、区分エリアと季節との組み合わせごとに、その区分エリアと季節との組み合わせにとって適切な内容の対策情報を記憶する。
【0034】
また、本変形例では、対策情報抽出部22は、地震発生検知部21による所定規模以下の地震の発生の検知に応じて対策情報記憶部201に記憶されている対策情報を抽出する際、以下の処理を実行する。まず、対策情報抽出部22は、地震が発生した設定地点が属する区分エリアを特定する。本例では、区分エリアに関する情報を有する地図データがサーバ200に記憶されており、対策情報抽出部22は、地図データを利用して区分エリアを特定する。上述したように、設定地点は、ユーザの自宅や、勤務会社(通学する学校であってもよい)であり、地震が起きたときにユーザが位置している可能性が高い地点である。従って、設定地点が属する区分エリアは、ユーザが位置している可能性が高いエリアである。
【0035】
更に、対策情報抽出部22は、現時点が属する季節を取得する。次いで、対策情報抽出部22は、一の種類の対策情報をユーザに送信する対象とする場合において、当該一の種類の対策情報について区分エリアと季節との組み合わせごとに異なる内容の対策情報が存在する場合には、地震が発生した設定地点が属する区分エリアと現時点が属する季節との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。対策情報抽出部22により抽出された対策情報は、対策情報送信部23によりユーザ端末100に送信される。
【0036】
本変形例によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本変形例では、小規模の地震が発生したときに、ユーザに対して区分エリアと季節との組み合わせに応じた内容の対策情報が提供される。このため、ユーザは、提供された対策情報の内容を参照することにより、区分エリアおよび季節に適した対策情報を、区分エリアおよび季節に由来する環境的な影響(温度や、季節の雰囲気等)を実際に実感しながら得ることができる。このため、ユーザにとって対策情報の記憶の定着がよく、対策情報の提供について、大地震が発生したときのための啓蒙としての実効性が高い。
【0037】
なお、対策情報抽出部22は、小規模な地震が発生した場合、対策情報を送信する対象の各ユーザについて、所定時間(例えば、1ヶ月)の間、間隔(例えば、1週間毎)をあけて対策情報を抽出することになる。対策情報抽出部22は、例えば、以下の2つの方法の何れかで対策情報の抽出を行うことができる。1つ目の方法では、対策情報抽出部22は、対策情報を抽出する各タイミングで、その時点において設定地点が属する区分エリアと、その時点(現時点)が属する季節との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。2つ目の方法では、対策情報抽出部22は、対策情報を抽出する各タイミングで、地震発生時点において設定地点が属していた区分エリアと、地震発生時点が属する季節との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。
【0038】
なお、本変形例では、対策情報記憶部201は、区分エリアと季節との組み合わせごとに異なる内容の対策情報を記憶していた。この点に関し、第1実施形態の第1の変形例を応用し、対策情報記憶部201が、区分エリアと季節と時間帯との組み合わせごとに異なる内容の対策情報を記憶する構成でもよい。この場合、対策情報抽出部22は、設定地点が属する区分エリアと、現時点が属する季節と、現時点が属する時間帯との組み合わせに対応する対策情報を抽出する。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。第2の実施形態による災害対策情報提供システムの全体構成は、
図1と同様である。
図3は、第2の実施形態によるサーバ200の機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図3において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0040】
図3に示すように、第2の実施形態によるサーバ200は、記憶媒体として、プロフィール情報記憶部203および防災属性情報記憶部204を更に備えるとともに、対策情報記憶部201に代えて対策情報記憶部201Aを備えている。また、第2の実施形態によるサーバ200は、その機能構成として、防災属性情報生成部26を更に備えるとともに、対策情報抽出部22およびユーザ情報設定部25に代えて対策情報抽出部22Aおよびユーザ情報設定部25Aを備えている。
【0041】
プロフィール情報記憶部203は、ユーザの性別、年齢、家族構成、職業を含むプロフィール情報を記憶する。ユーザ情報設定部25Aは、第1の実施形態で説明した設定地点に加えて、ユーザの性別、年齢、家族構成、職業を含むプロフィール情報をユーザ端末100から取得する。そして、設定地点を設定地点情報記憶部202に記憶させるとともに、プロフィール情報をプロフィール情報記憶部203に記憶させる。なお、ここでは設定地点情報記憶部202とプロフィール情報記憶部203とを分けて構成しているが、両方を合わせてユーザ情報記憶部としてもよい。
【0042】
防災属性情報生成部26は、ユーザの防災に関連した防災属性を表す防災属性情報を生成して防災属性情報記憶部204に記憶させる。防災属性情報記憶部204は、防災属性情報をユーザごとに記憶する。ここで、防災属性情報は、防災に対する関心の高さを表す防災感度情報、防災に対する関心が高い時期か否かを表す防災気分情報、地震が発生したときに被災するリスクの高さを表す防災リスク度情報、地震が発生したときに准支援者として行動する能力の高さを表す防災対応能力情報の少なくとも1つである。
【0043】
防災属性情報生成部26は、ユーザがユーザ端末100を用いて防災に関連するウェブページを閲覧したアクセス履歴を取得し、防災に関連するウェブページの閲覧回数に応じて、防災感度情報を生成する。なお、ウェブページに対するアクセス履歴は、防災属性情報生成部26がウェブページから直接的に取得するようにしてもよいし、他の図示しないアクセス解析サーバが取得して保存したアクセス履歴情報を、当該アクセス解析サーバから取得するようにしてもよい。
【0044】
例えば、インターネット上に存在する防災に関連する複数のウェブページに、アクセス履歴取得のためのタグを埋設しておく。防災属性情報生成部26は、ユーザ端末100のアプリケーションを通じてウェブページに対して行われたアクセスの履歴を、そのウェブページ内のタグを通じて取得する。そして、取得したアクセス履歴情報をもとに、所定期間内におけるウェブページの閲覧回数をユーザごとに検出し、その閲覧回数に応じて、ユーザの防災に対する関心の高さを複数段階で評価し、その評価値を防災感度情報として生成する。閲覧回数が多いほど防災に対する関心が高く、評価値は大きくなる。
【0045】
また、防災属性情報生成部26は、ユーザがユーザ端末100を用いて防災に関連するウェブページを閲覧したアクセス履歴を取得し、防災に関連するウェブページを閲覧したときからの経過時間に応じて、防災気分情報を生成する。例えば、上述のように取得したアクセス履歴情報をもとに、防災に関連するウェブページを直近で閲覧したときからの経過時間をユーザごとに検出し、その経過時間に応じて、ユーザの防災に対する関心がどの程度維持されているかを複数段階で評価し、その評価値を防災気分情報として生成する。経過時間が短いほど防災に対する関心が高いまま維持されていると評価し、評価値は大きくなる。
【0046】
また、防災属性情報生成部26は、プロフィール情報記憶部203からユーザのプロフィール情報を取得し、当該プロフィール情報をもとに、地震が発生したときに被災に見舞われるリスクの高さを表した防災リスク度情報を生成する。例えば、男性よりも女性の方が被災のリスクが高いことが知られている。また、高齢になるほど被災のリスクが高くなることが知られている。また、乳幼児や幼児がいる家庭、高齢者がいる家庭、病人や要介護者がいる家庭などは、被災のリスクが高いことが知られている。また、職業によって被災の高さが異なることも知られている。
【0047】
そこで、防災属性情報生成部26は、ユーザの性別、年齢、家族構成、職業に応じて被災のリスクの高さを複数段階で表した定義情報をあらかじめ持ち、プロフィール情報記憶部203から取得したユーザのプロフィール情報を定義情報と照合することにより、防災リスク度情報を生成する。なお、ここではユーザの性別、年齢、家族構成、職業の4つのプロフィール情報を用いる例について説明したが、この中の何れか1つ、2つまたは3つを用いるようにしてもよい。また、ここに示したもの以外のプロフィール情報を用いてもよい。
【0048】
また、防災属性情報生成部26は、ユーザ端末100を通じてユーザから所定のアンケート回答情報を取得し、アンケート回答情報から防災対応能力情報を生成する。例えば、防災属性情報生成部26は、ユーザがアプリケーションをユーザ端末100にインストールして、サーバ200に対してユーザ登録をしたときに、所定のアンケートをユーザ端末100に提供する。このアンケートには、過去に准支援者として行動したことがあるか否かを問う質問が含まれている。准支援者とは、行政等から被災地に派遣された支援者ではなく、自らが被災者で支援される側の立場でありながら、支援の補助に回る人のことをいう。
【0049】
防災属性情報生成部26は、過去に准支援者として行動したことがあると回答したユーザについて、准支援者として行動する能力が高いと評価する一方、過去に准支援者として行動したことがないと回答したユーザについて、准支援者として行動する能力が低いと評価し、2段階の評価値を防災対応能力情報として生成する。なお、過去に准支援者として行動したことがある回数や、どの程度の規模の地震で准支援者として行動したことがあるか、日頃の近所づきあいの様子などを問うアンケートの回答情報をもとに、准支援者として行動する能力の高さを3段階以上で評価するようにしてもよい。
【0050】
対策情報記憶部201Aは、防災属性ごとに異なる対策情報を記憶する。例えば、対策情報記憶部201Aは、防災感度または防災気分の高さに応じて異なる対策情報を記憶する。また、対策情報記憶部201Aは、防災リスク度の高さに応じて異なる対策情報を記憶する。また、対策情報記憶部201Aは、防災対応能力の高さに応じて異なる対策情報を記憶する。
【0051】
例えば、防災感度または防災気分が高いユーザは、ユーザが自ら防災に関連するウェブサイトにアクセスして必要な情報を普段から入手している。そのため、防災感度または防災気分が高い防災属性に関しては、必要最小限の対策情報を対応付けて記憶すればよい。また、防災感度または防災気分が最高レベルで高い防災属性については、対策情報を不要としてもよい。一方、防災感度または防災気分が低い防災属性については、日頃の防災への取り組みを強く促す情報や、防災に関して注意すべき重要事項などの情報を対策情報として記憶する。
【0052】
同様に、防災リスク度が低い防災属性に関しては、必要最小限の対策情報を対応付けて記憶すればよい。一方、防災リスク度が高い防災属性に関しては、日頃の防災への取り組みを強く促す情報や、防災に関して注意すべき重要事項などの情報を対策情報として記憶する。この場合、性別、年齢、家族構成、職業ごとにまたはその組み合わせごとに、異なる対策情報を記憶するようにしてもよい。
【0053】
防災対応能力が高い属性情報に関しては、例えば、准支援者として行動する際の注意事項に関する対策情報を記憶する。一方、防災対応能力が低い属性情報に関しては、必要最小限の対策情報を対応付けて記憶するか、対策情報の記憶を不要としてよい。
【0054】
対策情報抽出部22Aは、防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報に応じた対策情報を対策情報記憶部201Aから抽出する。例えば、対策情報抽出部22Aは、防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報で示される防災感度または防災気分の高さに応じた対策情報を対策情報記憶部201Aから抽出する。また、対策情報抽出部22Aは、防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報で示される防災リスク度の高さに応じた対策情報を対策情報記憶部201Aから抽出する。また、対策情報抽出部22Aは、防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報で示される防災対応能力の高さに応じた対策情報を対策情報記憶部201Aから抽出する。
【0055】
ここで、対策情報抽出部22Aは、防災感度または防災気分の高さに応じた対策情報と、防災リスク度の高さに応じた対策情報と、防災対応能力の高さに応じた対策情報とのそれぞれを抽出する。また、防災感度の高さに応じた対策情報と、防災気分の高さに応じた対策情報とを更に分けて抽出するようにしてもよい。対策情報送信部23は、対策情報抽出部22Aにより抽出されたそれぞれの対策情報をユーザ端末100に送信する。
【0056】
なお、ここでは、防災感度または防災気分の高さに応じて異なる対策情報、防災リスク度の高さに応じて異なる対策情報、防災対応能力の高さに応じて異なる対策情報をそれぞれ対策情報記憶部201Aに記憶しておき、それぞれの対策情報を抽出してユーザ端末100に提供するようにしているが、本発明はこの例に限定されない。例えば、防災感度または防災気分の高さ、防災リスク度の高さおよび防災対応能力の高さの組み合わせに応じて異なる対策情報を対策情報記憶部201Aに記憶しておき、各防災属性の組み合わせに応じた対策情報を対策情報記憶部201Aから抽出してユーザ端末100に提供するようにしてもよい。
【0057】
一例として、防災感度が高く、性別は男性であるが妻子があるために防災リスク度が高く、防災対応能力が高いという組み合わせの防災属性の場合、在宅避難という選択肢に関する情報や、家族・近隣住民の安否確認に関する情報を対策情報抽出部22Aが対策情報記憶部201Aから抽出して、抽出した対策情報を対策情報送信部23がユーザ端末100に送信する。
【0058】
また、防災感度が低く、性別が女性で独身、母親と二人暮らしであるために防災リスク度が高く、防災対応能力が低いという組み合わせの防災属性の場合、女性の災害用品に関する情報や、避難所での生活不活発症に関する情報を対策情報抽出部22Aが対策情報記憶部201Aから抽出して、抽出した対策情報を対策情報送信部23がユーザ端末100に送信する。
【0059】
また、防災感度が低く、性別が男性で独身、一人暮らしであるために防災リスク度が低く、防災対応能力が低いという組み合わせの防災属性の場合、在宅避難の判断基準(生活必需品)に関する情報や、避難時における近隣での助け合いに関する情報を対策情報抽出部22Aが対策情報記憶部201Aから抽出して、抽出した対策情報を対策情報送信部23がユーザ端末100に送信する。
【0060】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態では、防災感度、防災気分、防災リスク度および防災対応能力の少なくとも1つの観点からユーザの防災属性を特定し、当該防災属性に応じた対策情報をサーバ200からユーザ端末100に提供するようにしている。これにより、所定規模以下の小さい地震が発生したときに、ユーザの防災属性に応じて、そのユーザに合ったより適切な対策情報を提供することができ、ユーザは実際の地震発生時に適切な対策をとることができるようになる。
【0061】
なお、対策情報抽出部22Aは、小規模な地震が発生した場合、対策情報を送信する対象の各ユーザについて、所定時間(例えば、1ヶ月)の間、間隔(例えば、1週間毎)をあけて対策情報を抽出することになる。対策情報抽出部22Aは、例えば、以下の2つの方法の何れかで対策情報の抽出を行うことができる。1つ目の方法では、対策情報抽出部22Aは、対策情報を抽出する各タイミングで、その時点において防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報に応じた対策情報を、対策情報記憶部201Aから抽出する。2つ目の方法では、対策情報抽出部22Aは、対策情報を抽出する各タイミングで、地震発生時点において防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報に応じた対策情報を、対策情報記憶部201Aから抽出する。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。第3の実施形態による災害対策情報提供システムの全体構成は、
図1と同様である。
図4は、第3の実施形態によるサーバ200の機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図4において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0063】
図4に示すように、第3の実施形態によるサーバ200は、記憶媒体として、地点情報記憶部203Bを更に備えるとともに、対策情報記憶部201および設定地点情報記憶部202に代えて対策情報記憶部201Bおよび現在位置情報記憶部202Bを備えている。また、第3の実施形態によるサーバ200は、その機能構成として、現在位置検出部27を更に備えるとともに、地震発生検知部21、対策情報抽出部22およびユーザ情報設定部25に代えて地震発生検知部21B、対策情報抽出部22Bおよびユーザ情報設定部25Bを備えている。
【0064】
対策情報記憶部201Bは、場所ごとに異なる対策情報を記憶する。ここでいう場所とは、自宅、職場、学校といった日頃の生活でユーザが居る可能性の高い場所を意味する。また、上記以外の場所では、市街地、海岸の近く、河川の近く、山間部といった場所のほか、鉄塔、高層ビル、発電所などの特定の施設が近くにある場所が含まれる。また、上記以外の場所の例としては、地下鉄、空港、総合病院、車、スキー場等がある。例えば、自宅に応じた対策情報は、ユーザが自宅にいるときに地震が発生した場合に役立つ対策情報である。同様に、職場に応じた対策情報は、ユーザが職場にいるときに地震が発生した場合に役立つ対策情報である。
【0065】
地点情報記憶部203Bは、ユーザの自宅、職場、学校の位置を含む地点情報を記憶する。ユーザ情報設定部25Bは、第1の実施形態で説明した設定地点に代えて、ユーザの自宅、職場、学校の位置情報を地点情報としてユーザ端末100から取得する。そして、取得した地点情報を地点情報記憶部203Bに記憶させる。
【0066】
現在位置検出部27は、ユーザ端末100の現在位置を検出する。具体的には、現在位置検出部27は、ユーザ端末100が搭載しているGPS受信機等により検出された現在位置情報を、通信ネットワーク300を介して取得することにより、ユーザ端末100の現在位置を検出する。例えば、現在位置検出部27は、定期的にユーザ端末100の現在位置を検出し、検出した現在位置情報を現在位置情報記憶部202Bに更新しながら記憶する。
【0067】
地震発生検知部21Bは、気象庁が発表する緊急地震速報等をもとに、現在位置情報記憶部202BにおいてユーザIDごとに記憶されている現在位置における地震の発生を検知する。ここで、地震発生検知部21Bは、ユーザ端末100の現在位置の震度またはマグニチュードが所定値以下であることが緊急地震速報等により示されている場合に、その現在位置において所定規模以下の地震が発生したことを検知する。
【0068】
対策情報抽出部22Bは、現在位置情報記憶部202Bに記憶されているユーザ端末100の現在位置に対応する場所に応じた対策情報を対策情報記憶部201Bから抽出する。すなわち、対策情報抽出部22Bは、現在位置情報記憶部202Bに記憶されているユーザ端末100の現在位置が、そのユーザ端末100のユーザに関して地点情報記憶部203Bに記憶された自宅、職場、学校の何れかに該当するか否かを判定するとともに、該当しない場合はどのような場所に該当するかを更に判定し、判定された場所に応じた対策情報を対策情報記憶部201Bから抽出する。例えば、ユーザ端末100の現在位置が自宅に該当する場合は、自宅に応じた対策情報を対策情報記憶部201Bから抽出する。
【0069】
なお、対策情報抽出部22Bは、小規模な地震が発生した場合、対策情報を送信する対象の各ユーザについて、所定時間(例えば、1ヶ月)の間、間隔(例えば、1週間毎)をあけて対策情報を抽出することになる。対策情報抽出部22Bは、例えば、以下の2つの方法の何れかで対策情報の抽出を行うことができる。1つ目の方法では、対策情報抽出部22Bは、対策情報を抽出する各タイミングで、その時点(現時点)で現在位置情報記憶部202Bに記憶されているユーザ端末100の現在位置に対応する場所に応じた対策情報を対策情報記憶部201Bから抽出する。2つ目の方法では、対策情報抽出部22Bは、対策情報を抽出する各タイミングで、地震発生時点で現在位置情報記憶部202Bに記憶されていたユーザ端末100の現在位置に対応する場所に応じた対策情報を対策情報記憶部201Bから抽出する。
【0070】
以上のように、第3の実施形態では、ユーザ端末100の現在位置を検出し、当該現在位置がどのような場所かに応じた対策情報をサーバ200からユーザ端末100に提供するようにしている。これにより、所定規模以下の小さい地震が発生したときに、そのときユーザがいる場所に応じて、そのユーザに合ったより適切な対策情報を提供することができる。このため、今と同じ場所または同種の場所で実際に大きい地震が発生した場合に、ユーザはより適切な対策をとることができるようになる。
【0071】
なお、上述した第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて適用するようにしてもよい。また、第1実施形態の第1、第2の変形例を更に組み合わせてもよい。
【0072】
また、第3実施形態では、対策情報記憶部201Bは、場所ごとに異なる対策情報を記憶していた。この点に関し、対策情報記憶部201Bが、場所の属性ごとに異なる対策情報を記憶する構成でもよい。特に、ユーザが居る可能性が高い場所として地点情報記憶部203Bに記憶されたユーザの自宅、職場、学校については、小規模な地震が発生したときにユーザが自宅、職場または学校に居る場合には、ユーザが居る場所の属性に応じた対策情報を提供することが好ましい。ただし、自宅、場所、学校以外の場所についても、場所の属性に応じて対策情報を提供してもよいことは勿論である。
【0073】
場所の属性は、例えば、場所が「自宅」の場合は、一戸建て、高層マンション、低層マンションなどである。一戸建てについて、さらに、木造建築物かどうかによって属性を分けてもよい。また、場所が「職場」の場合は、高層ビルや、雑居ビルなどである。また、場所が「学校」の場合は、木造校舎や、鉄筋コンクリートによる校舎などである。以上の構成によれば、ユーザに対して、小規模な地震が発生したときにユーザが実際に居た場所の属性に対応した適切な内容の対策情報を提供することができる。
【0074】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。第4の実施形態による災害対策情報提供システムの全体構成は、
図1と同様である。
図5は、第4の実施形態によるサーバ200の機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図5において、
図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0075】
第4の実施形態では、所定規模以下の地震が発生したときに対策情報をユーザ端末100に提供することに加えて、所定規模より大きい地震が実際に発生した際にも、対策情報をユーザ端末100に提供するようにしたものである。大きな地震が発生する前にあらかじめ対策情報を提供しているものの、ユーザがそれを忘れてしまっている可能性もある。また、大きな地震でパニックを起こしてしまう可能性もある。
【0076】
そこで、第4の実施形態では、所定規模より大きい地震が実際に発生した際にも、再度の確認のための対策情報をユーザ端末100に提供する。特に、第4の実施形態では、地震発生時点からの経過時間に応じて、必要な対策情報を段階的に提供するようにしている。
【0077】
図4に示すように、第4の実施形態によるサーバ200は、記憶媒体として、対策情報記憶部201に代えて対策情報記憶部201Cを備えている。また、第4の実施形態によるサーバ200は、その機能構成として、第2の地震発生検知部21Cおよび第2の経過時間計測部24Cを更に備えるとともに、対策情報抽出部22に代えて対策情報抽出部22Cを備えている。
【0078】
第2の地震発生検知部21Cは、所定規模より大きい地震の発生を検知する。地震発生検知部21Cは、例えば、気象庁が発表する緊急地震速報等を通信ネットワーク300を介して取得し、この緊急地震速報等をもとに、設定地点情報記憶部202においてユーザIDごとに記憶されている設定地点における地震の発生を検知する。ここで、地震発生検知部21Cは、設定地点の震度またはマグニチュードが所定値より大きいことが緊急地震速報等により示されている場合に、その設定地点において所定規模より大きい地震が発生したことを検知する。
【0079】
第2の経過時間計測部24Cは、第2の地震発生検知部21Cにより所定規模より大きい地震の発生が検知されたとき、当該地震の発生からの経過時間を計測する。
【0080】
対策情報記憶部201Cは、第1の実施形態で説明した対策情報に加えて、所定規模より大きい地震の発生からの経過時間ごとに異なる対策情報を記憶する。例えば、対策情報記憶部201Cは、大きい地震の発生から数秒以内に提供すべき対策情報、地震の発生から数分以内に提供すべき対策情報、地震の発生から数時間以内に提供すべき対策情報、地震の発生から数日以内に提供すべき対策情報を記憶する。
【0081】
ここで、大きい地震の発生から数秒以内に提供すべき対策情報は、揺れている最中に身の安全の確保を促す情報である。地震の発生から数分以内に提供すべき対策情報は、揺れが収まった後に身の安全の確保を促す情報である。地震の発生から数時間以内に提供すべき対策情報は、被災状況を確認した上で避難を促す情報である。地震の発生から数日以内に提供すべき対策情報は、避難生活に役立てられる情報である。
【0082】
対策情報抽出部22Cは、地震発生検知部21によりユーザの設定地点において所定規模以下の地震の発生が検知されたときに対策情報記憶部201Cから対策情報を抽出することに加えて、所定規模より大きい地震が発生した場合に、第2の経過時間計測部24Cにより計測される経過時間が複数の所定時間に達するごとに、達した経過時間に応じた対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。
【0083】
例えば、対策情報抽出部22Cは、大きい地震の発生から数秒が経過したときに、数秒以内に提供すべき対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。また、対策情報抽出部22Cは、大きい地震の発生から数分が経過したときに、数分以内に提供すべき対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。また、対策情報抽出部22Cは、大きい地震の発生から数時間が経過したときに、数時間以内に提供すべき対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。さらに、対策情報抽出部22Cは、地震の発生から数日が経過したときに、数日以内に提供すべき対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。
【0084】
対策情報送信部23は、対策情報抽出部22Cにより対策情報が抽出されるごとに、抽出された対策情報をユーザ端末100に送信する。
【0085】
なお、この第4の実施形態において、上述した第2の実施形態と組み合わせて適用するのが好ましい。この場合、対策情報記憶部201Cは、所定規模より大きい地震の発生からの経過時間ごとおよび防災属性ごとに異なる対策情報を記憶する。また、対策情報抽出部22Cは、第2の経過時間計測部24Cにより計測される経過時間が複数の所定時間に達するごとに、達した経過時間および防災属性情報記憶部204に記憶されているユーザの防災属性情報に応じた対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。
【0086】
また、第4の実施形態において、上述した第3の実施形態と組み合わせて適用するのも好ましい。この場合、対策情報記憶部201Cは、所定規模より大きい地震の発生からの経過時間ごとおよび場所ごとに異なる対策情報を記憶する。また、対策情報抽出部22Cは、第2の経過時間計測部24Cにより計測される経過時間が複数の所定時間に達するごとに、達した経過時間および現在位置検出部27により検出されたユーザ端末100の現在位置に対応する場所に応じた対策情報を対策情報記憶部201Cから抽出する。
【0087】
また、第4の実施形態において、上述した第2の実施形態および第3の実施形態と組み合わせて適用するのが更に好ましい。
【0088】
なお、上記第4の実施形態では、ユーザの設定地点(第3の実施形態を組み合わせた場合はユーザの現在位置)において所定規模より大きい地震の発生が検知された場合に、そのユーザのユーザ端末100に対策情報を提供する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ある地域において所定規模より大きい地震の発生が検知された場合、その地域内に設定地点があるユーザに限らず、所定規模以下の地震の発生が検知された地域(揺れが体感されない地域も含む)に設定地点があるユーザにも対策情報を提供するようにしてもよい。
【0089】
すなわち、大きな地震が発生したときは、震源地から比較的遠く離れた地域にいて小さな揺れを体感した人も、揺れを体感しなかった人も、その地震は事後の報道等により関心事となることが多い。そこで、自分が被災したらどうなるだろうというシミュレーションとして、所定規模より大きい地震の発生が検知された場合と同じ対策情報を提供する。このようにすれば、小さな地震が発生したときに対策情報が送られてくる場合に比べて、ユーザはその対策情報をより強い関心をもって見る可能性があり、将来の備えとしての注意喚起を強く働かせることができる。
【0090】
また、上記第4の実施形態では、所定規模より大きい地震の発生が検知された場合に、地震の発生から所定時間を経過するごとに必要な対策情報を段階的に提供する例について説明したが、所定規模以下の小さい地震の発生が検知された場合も同様に、地震の発生から所定時間を経過するごとに必要な対策情報を段階的に提供するようにしてもよい。
【0091】
一例として、小さい地震の発生から数秒以内に提供すべき対策情報は、大きい地震の発生直後に何をすべきかを喚起させる情報である。小さい地震の発生から数分以内に提供すべき対策情報は、今の地震が大きかったらどんな点に注意しなければならないかを喚起させる情報である。小さい地震の発生から数時間以内に提供すべき対策情報は、さっきの地震が大きかったら今頃はどんな点に注意しなければならないかを喚起させたり、被害を軽減するために日頃どんな点に注意しなければならないかを喚起させたりする情報である。小さい地震の発生から数日以内に提供すべき対策情報は、先日の地震が大きくて避難生活を余儀なくされた場合に備えて日頃どんな点に注意しなければならないかを喚起する情報や避難に役立つ情報である。
【0092】
このように、所定規模以下の小さい地震の発生時にも対策情報を段階的に提供する場合、第2の経過時間計測部24Cにより計測される経過時間に応じて、地震発生から数日までの間に段階的な情報提供が終わった後に、経過時間計測部24により計測される経過時間が所定時間(例えば、1ヶ月)に達するまで、第1〜第3の実施形態で説明したような対策情報の提供を行うようにしてもよい。
【0093】
あるいは、小さい地震の発生が検知された地域にユーザの設定地点(第3の実施形態を組み合わせた場合はユーザの現在位置)があるユーザについては上記のような段階的な対策情報の提供を行い、小さい地震の発生時に揺れが体感されない地域にユーザの設定地点があるユーザについては第1〜第3の実施形態で説明したような対策情報の提供を行うようにしてもよい。
【0094】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図面に基づいて説明する。
図6は、第5の実施形態による災害対策情報提供システムの全体構成例を示す図である。なお、第5の実施形態の説明において、第1実施形態の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0095】
図6に示すように、第5の実施形態による災害対策情報提供システムは、サーバ200Dと表示装置400Dとを備えて構成されている。サーバ200Dと表示装置400Dとの間は、通信ネットワーク300により接続可能に構成されている。表示装置400Dは、いわゆるデジタルサイネージに用いられるディスプレイであり、不特定の人間が視認可能な場所に設けられる。表示装置400Dは、例えば、屋外(建物の壁や、駅等)や、店舗の内部、会場(コンサート会場や、スポーツ会場等)、公共施設に設けられる。第5実施形態による災害対策情報提供システムは、所定規模以下の小さい地震が発生したときに、対策情報を表示装置400Dに表示するようにしたものである。
【0096】
図7は、第5の実施形態によるサーバ200Dの機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図7において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図7に示すように、第5の実施形態によるサーバ200Dは、記憶媒体として、対策情報記憶部201に代えて対策情報記憶部201Dを備え、設定地点情報記憶部202に代えて装置情報記憶部202Dを備えている。また、サーバ200Dは、その機能構成として、対策情報抽出部22に代えて対策情報抽出部22Dを備え、対策情報送信部23に代えて対策情報送信部23Dを備え、ユーザ情報設定部25に代えて装置情報設定部25Dを備えている。
【0097】
対策情報記憶部201Dは、ある種類の対策情報について、集合人間特徴によって適切な内容が異なる場合には、集合人間特徴ごとに異なる内容の対策情報を記憶する。集合人間特徴とは、表示装置400Dが設けられた場所(空間)に集まる人間(=表示装置400Dが表示する情報を視認する可能性のある人)の特徴(傾向)のことである。例えば、集合人間特徴は、集まる人間の年齢の傾向(若年者が多いや、年配者が多い等)や、性別の傾向、一緒に行動するグループの態様の傾向(男女のカップルが多いや、家族連れが多い等)等である。本実施形態では、集合人間特徴を決定する複数の要素の類型に応じて、集合人間特徴が複数のタイプに分類されており、集合人間特徴は、何れかのタイプによって表される。
【0098】
対策情報の種類によっては、集合人間特徴によって適切な内容が異なる場合がある。例えば、「避難の仕方」に関し、若年者が多く集まる場所と、年配者が多く集まる場所とでは、取ることが適切な行動が異なる。若年者が多く集まる場所では、各人が比較的機敏に行動すると考えられるが、年配者が多く集まる場所では、各人の動作が緩やかになることが想定されるからである。
【0099】
装置情報記憶部202Dは、表示装置400Dのそれぞれについて、表示装置400Dが設けられた場所の位置情報と、表示装置400Dが設けられた場所の集合人間特徴(本実施形態では、予め定義されたタイプの何れか)とを対応付けて記憶する。
【0100】
装置情報設定部25Dは、表示装置400Dに関する情報(位置情報および集合人間特徴)を設定する。位置情報について、装置情報設定部25Dは、管理者等が各種情報を入力するための所定の設定画面を所定の端末に提供し、当該設定画面を通じて管理者等が設定した位置情報を装置情報記憶部202Dに記憶させる。
【0101】
また、集合人間特徴について、装置情報設定部25Dは、例えば、以下の処理を実行する。すなわち、まず、表示装置400Dごとにアンケート回答情報を入力するためのウェブページが事前に用意される。ウェブページは、集合人間特徴を決定するために必要な情報を入力する欄が設けられたページであり、年齢や、性別、一緒に行動するグループの態様等を入力する欄が設けられている。さらに、表示装置400Dの近傍や、表示装置400Dの表示画面に、当該ウェブページにアクセスするための情報(URLや、URLが記録された2次元コード)が表示される。
【0102】
表示装置400Dが設置された場所に集まった人間は、自身が所持する携帯端末により当該ウェブページにアクセスし、アンケート回答情報を入力する。なお、多くのアンケート回答情報を得るために、当該ウェブページのアクセスに応じて、または、アンケートへの回答に応じて、何らかの特典を付与することが望ましい。サーバ200Dにおいて、当該ウェブページに入力されたアンケート回答情報は、表示装置400Dごとに累積して記憶される。装置情報設定部25Dは、表示装置400Dのそれぞれについて、累積して記憶されたアンケート回答情報を分析し、集合人間特徴(のタイプ)を決定する。分析は、既存の統計学的手法、その他の手法を用いて適切に行われる。装置情報設定部25Dは、決定した集合人間特徴を装置情報記憶部202Dに記憶させる。なお、集合人間特徴を決定する方法はどのような方法でもよく、例えば、人為的な調査が行われ、調査結果に基づいて集合人間特徴が決定される構成でもよい。
【0103】
対策情報抽出部22Dは、地震発生検知部21により所定規模以下の地震の発生が検知された場合に、以下の処理を実行する。まず、対策情報抽出部22Dは、装置情報記憶部202Dが記憶する情報、および、地震発生検知部21の検知結果に基づいて、地震が発生した領域内に位置している表示装置400Dを特定する。ここで特定された表示装置400Dは、対策情報を送信し、対策情報を表示させる対象となる装置である。
【0104】
次いで、対策情報抽出部22Dは、装置情報記憶部202Dを参照し、特定した表示装置400Dの集合人間特徴を特定する。次いで、対策情報抽出部22Dは、特定した表示装置400Dに一の種類の対策情報を送信する対象とする場合において、集合人間特徴ごとに異なる内容の対策情報が存在する場合には、特定した表示装置400Dが設置された場所の集合人間特徴に対応する対策情報を抽出する。
【0105】
対策情報送信部23Dは、対策情報抽出部22Dにより抽出された対策情報を、表示装置400Dに送信する。表示装置400Dは、対策情報を受信した場合、対策情報を表示する機能が実装されている。以上の処理が行われる結果、一の表示装置400Dが設置された場所において、所定規模以下の地震が発生した場合、当該一の表示装置400Dが設けられた場所に集まる人間の特徴(集合人間特徴によって表される特徴)を反映した適切な対策情報が当該一の表示装置400Dに表示されることになる。
【0106】
また、本実施形態では、対策情報記憶部201Dは、集合人間特徴ごとに異なる内容の対策情報を記憶していた。この点に関し、第1の実施形態の第1、第2の変形例を応用し、以下の構成としてもよい。すなわち、対策情報記憶部201Dが、「集合人間特徴」と、「季節、時間帯および区分エリアのうちの1つまたは2つ以上の組み合わせ」との組み合わせごとに異なる内容の対策情報を記憶する構成でもよい。この場合、対策情報抽出部22Dは、対応する組み合わせに対応する対策情報を抽出する。
【0107】
また、第5の実施形態を、上述した第4の実施形態と組み合わせて適用するのが好ましい。
【0108】
上記第1〜第5の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。