特許第6805441号(P6805441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805441
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】ウエアラブル端末を装備した眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/00 20060101AFI20201214BHJP
   G02C 5/04 20060101ALI20201214BHJP
   G02C 9/00 20060101ALI20201214BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20201214BHJP
   G02C 5/20 20060101ALI20201214BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G02C5/00
   G02C5/04
   G02C9/00
   G02C11/00
   G02C5/20
   G02B27/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-99222(P2019-99222)
(22)【出願日】2019年5月28日
(65)【公開番号】特開2020-194068(P2020-194068A)
(43)【公開日】2020年12月3日
【審査請求日】2020年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596179070
【氏名又は名称】関 則雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】関 則雄
【審査官】 三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−036143(JP,A)
【文献】 特開2018−040922(JP,A)
【文献】 特表2003−505718(JP,A)
【文献】 特開平07−318850(JP,A)
【文献】 特開2010−074220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配列したレンズ(2)をレンズ保持枠(1)の内に配置させ、ツル(4)の先端側を垂直に折曲した段差部(41)を設け、該段差部(41)を各レンズ(2)の中心と前記ツル(4)の後端側の高さが合致される段差とし、更に前記レンズ(2)を上下移動又は上下反転可能な機能を有した眼鏡に、ウエアラブル端末(7)を装備したものであって、少なくとも、前記レンズ(2)の上下方向の一方に拡大レンズ(21)を取付け、該拡大レンズ(21)の前方に、前記レンズ保持枠(1)の両端と略同じ幅で1枚に形成すると共に文字や図形等の情報を直接表面に表示するディスプレイ(71)を配置し、該ディスプレイ(71)と前記拡大レンズ(21)の間隔(L)を調節可能とする焦点調節手段(72)を設け、該焦点調節手段(72)が、前記ディスプレイ(71)の両端に固着させる軸受A(721)と、前記レンズ保持枠(1)の両端に固着させる軸受B(722)と、前記軸受A(721)に頭部(723a)を軸支させて空回りする頭付きネジ(723)と、該頭付きネジ(723)のネジ部(723b)を螺合させると共に軸受B(722)に軸支させて全体が空回りする調節ナット(724)と、から少なくとも構成されたことを特徴とするウエアラブル端末を装備した眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上下移動又は上下反転させて、ウエアラブル端末の役目と眼鏡の役目を使い分け出来るウエアラブル端末を装備した眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に眼鏡型ウエアラブル端末としては、ウエアラブルコンピューターのディスプレイが、装着者の片方の目の前に来るように固定されている。例えば、特開2017−21227や市販品でメガネスーパー製のメガネ型ウエアラブル端末などがある。これらは、装着者の顔の前面にウエアラブル端末が露出して目立ち、外観に違和感を生じ、使用する際に嵩張り、且つ、装着感が良くないものであった。
尚、前記ディスプレイを両方の目の前に固定すると、大半の人の左右の視力が異なるため、映像がずれてダブってしまうので、片方の目の前に固定するのが主流である。
【0003】
又、装着者の顔の前面にウエアラブル端末やそれを支持するフレームなどを最小限に形成させたものとして、特許第5555366号「ウエアラブルコンピューター付眼鏡」が提案されている。これは、使用者の片方の耳殻から後頭部に沿って他方の耳殻に至り、更に眉間部前方まで終端を延伸させて成るフレーム体と、フレーム体の延伸部の終端に取付けたノーズパッド部から成る眼鏡フレームと、その終端又はノーズパッド部に眼鏡レンズと、眼鏡レンズを支持するブリッジ部とから成る眼鏡レンズ組立体を有し、フレーム体の延伸部に、ウエアラブルコンピューターを構成したものである。
しかしなら、特許第5555366号は、フレーム体が使用者の片方の耳殻から後頭部に沿って他方の耳殻に至り、更に眉間部前方まで終端を延伸させたものであり、頭部を取り囲む概ね4分の3の略円形状を形成させていると、段落番号0025に記載されているが、上記の形状であると、一般の眼鏡のように折り畳みができず、収納する際に嵩張るものとなっていた。
【0004】
更に、両方の目を覆い被せるように装着して、大画面や立体画像などを投影して見るヘッドマウントディスプレイがあるが、これは左右のディスプレイに映像を照射するため、例えば、メールの文字などの微細なものは、不鮮明であった。従って、メールの文字などの微細なものをディスプレイに映像を照射して判読できるものは今までになかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−21227号公報
【特許文献2】特許第5555366号公報
【特許文献3】特許第6379266号公報
【特許文献4】特許第6268247号公報
【特許文献5】特許第6330090号公報
【特許文献6】特許第6170993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の眼鏡型ウエアラブル端末は、眼球方向に画像を投影する方式が主流になっているが、ディスプレイの表面に直接表示された文字や図形等の情報を両眼で視認できるような眼鏡型ウエアラブル端末の開発が要望されている。
しかしながら、両方の目の前からディスプレイを約20〜30cm前後離して見なければメールの文字などの微細なものは判読できず、そのまま商品化すると、眼鏡フレームからディスプレイが約20〜30cm前後飛び出るため、眼鏡型ウエアラブル端末を実用化することは困難であった。
更に眼鏡に於いて、ウエアラブル端末の役目と眼鏡の役目を使い分けることのできる眼鏡はなかった。
【0007】
本発明は上下移動又は上下反転させて、ウエアラブル端末の役目と眼鏡の役目を簡単に使い分け出来ると共に、ディスプレイの表面に直接表示された文字や図形等の情報を両眼で視認でき、且つ、ディスプレイの焦点を近接させることができるウエアラブル端末を装備した眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記現状に鑑みて成されたものであり、つまり、上下に配列したレンズをレンズ保持枠の内に配置させ、ツルの先端側を垂直に折曲した段差部を設け、該段差部を各レンズの中心とツルの後端側の高さが合致される段差とし、更にレンズを上下移動又は上下反転可能な機能を有すると共にウエアラブル端末を装備した眼鏡であって、少なくとも、レンズの上下方向の一方に拡大レンズを取付け、該拡大レンズの前方に、レンズ保持枠の両端と略同じ幅で1枚に形成すると共に文字や図形等の情報を直接表面に表示するディスプレイを配置し、該ディスプレイと拡大レンズの間隔を調節可能とする焦点調節手段を設け、該焦点調節手段として、ディスプレイの両端に固着させる軸受Aと、レンズ保持枠の両端に固着させる軸受Bと、軸受Aに頭部を軸支させて空回りする頭付きネジと、該頭付きネジのネジ部を螺合させると共に軸受Bに軸支させて全体が空回りする調節ナットと、から少なくとも構成する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように上下に配列したレンズ(2)を上下移動又は上下反転可能な機能を有した眼鏡に、ウエアラブル端末(7)を装備したものであって、少なくとも、レンズ(2)の上下方向の一方に拡大レンズ(21)を取付け、該拡大レンズ(21)の前方に、レンズ保持枠(1)の両端と略同じ幅で1枚に形成すると共に文字や図形等の情報を直接表面に表示するディスプレイ(71)を配置し、且つ、該ディスプレイ(71)と拡大レンズ(21)の間隔(L)を調節可能とする焦点調節手段(72)を設けることにより、ウエアラブル端末の役目と眼鏡の役目を使い分けることが簡単で確実に行えると共にディスプレイ(71)の解像度を上昇させて明瞭な画像が得られ、且つ、装着感が良いものとなる。
又、拡大レンズ(21)の前方にディスプレイ(71)を配置することにより、ディスプレイ(71)と拡大レンズ(21)の間隔(L)を狭めることが可能となり、更に明瞭な画像を見ることができるため、メールやインターネット操作も可能となる。また眼鏡を装着したままディスプレイ(71)の画像を見ることができるため、ハンドフリーになる。
更に焦点調節手段(72)として、ディスプレイ(71)の両端に固着させる軸受A(721)と、レンズ保持枠(1)の両端に固着させる軸受B(722)と、軸受A(721)に頭部を軸支させて空回りする頭付きネジ(723)と、該頭付きネジ(723)のネジ部(723b)を螺合させると共に軸受B(722)に軸支させて全体が空回りする調節ナット(724)と、から少なくとも構成することにより、ディスプレイ(71)と拡大レンズ(21)の間隔(L)をスムーズに調節することができるため、明瞭な画像を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の上下移動手段を有した眼鏡の実施形態を示す説明図である。
図2】本発明の上下移動手段を有した眼鏡の別実施形態を示す説明図である。
図3】本発明の上下移動手段を有した眼鏡の他の実施形態を示す説明図である。
図4】本発明の上下反転手段を有した眼鏡の実施形態を示す説明図である。
図5】本実施形態の焦点調節手段の分解部品を示す斜視図である。
図6】本実施形態の焦点調節手段の作用を示す説明図である。
図7】本実施形態の別の焦点調節手段の分解部品を示す斜視図である。
図8】本実施形態の上下移動手段と焦点調節手段の要部を示す説明図である。
図9】本発明の上下移動手段を有した眼鏡の作用を示す説明図である。
図10】本発明の上下反転手段を有した眼鏡の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。(1)は眼鏡のレンズ保持枠である。
(2)はレンズ保持枠(1)の内に配置すると共に上下に配列したレンズであり、該レンズ(2)の上方には拡大レンズ(21)が設けられている(図1図3図4参照)。尚、拡大レンズ(21)は図2に示すようにレンズ(2)の下方に設けても良い。また拡大レンズ(21)は後述するディスプレイ(71)の焦点を近接するためのものであり、その拡大レンズ(21)としては、凸レンズ,シート型凸レンズ,凹凸レンズ群などを用いれば良い。前記シート型拡大レンズとしては、池田レンズ工業株式会社製のシートレンズを用いるのが好ましい。又、シート型拡大レンズとして、凹凸レンズ群を用いると、拡大レンズ(21)と後述するディスプレイ(71)の間隔(L)をより狭くすることが容易に可能となる。また前記拡大レンズ(21)以外のレンズ(2)の一方には、凹レンズ,凸レンズ,素通しや偏光板などの板ガラス,サングラスなどの色付きガラス等を用いる。
【0012】
(3)は後述するツル(4)の先端を連結した連結杆であり(図1図8参照)、該連結杆(3)にはツル(4)の先端と連結する垂直部(32)を介した水平部(31)がある。尚、前記連結杆(3)は図1に示す実施例の場合のみに使用する。
【0013】
(4)は先端側を上下に折曲して設けた段差部(41)を有するツルであり、該ツル(4)の段差部(41)の段差は、後端側の高さがレンズ(2)の各中心と合致するように設けられている。
【0014】
(5)は上下移動手段であり、該上下移動手段(5)としては、図1に示すようなボックス状の連結杆(3)の垂直部(32)の内部に駒を入れ、その駒を上下移動させると共に、該駒とレンズ保持枠(1)を接続杆で接続させている。また垂直部(32)の上部で停止状態を保持するためのストッパーが設けられた構造であり(図8参照)、この上下移動手段(5)は、本発明者が提案した特許第6379266号の図11に示す構造と同一又は類似のものを用いる。
又、図2に示す上下移動手段(5)は、ツル(4)の段差部(41)を利用した構造のものであり、これは本発明者が提案した特許第6268247号で記載された構造と同一又は類似のものを用い、更に図3に示すような1対の板バネを貫通した固定板を上下移動させる上下移動手段(5)を用いても良く、これは本発明者が提案した特許第6330090号で記載された構造と同一又は類似のものを用いる。
【0015】
(6)は図4に示す上下反転手段であり、該上下反転手段(6)としては、半球面凹状の内面を有する本体と、該本体の内部で抱持される球体と、本体に取付ける蓋体と、本体に蓋体を取付けるための締結材と、から少なくとも成されたものであり、この構造は本発明者が提案した特許第6170993号で記載された構造と同一又は類似のものを用いる。
【0016】
(7)はウエアラブル端末であり、該ウエアラブル端末(7)には、拡大レンズ(21)の前方に配置し、レンズ保持枠(1)の両端と略同じ幅で1枚に形成すると共に文字や図形等の情報を直接表面に表示するディスプレイ(71)と、該ディスプレイ(71)と拡大レンズ(21)の間隔(L)を調節可能とするために設けた焦点調節手段(72)と、フレキシブルケ−ブル(74)を介して設けたディスプレイ(71)を表示させるウエアラブルコンピューター(73)と、がある。前記フレキシブルケ−ブル(74)としては、フラットフレキシブルケ−ブルを用いるのが好まし。
【0017】
前記ディスプレイ(71)としては、透過型ヘッドマウントディスプレイ,有機ELディスプレイ,光学透過ディスプレイ(シースルーディスプレイ)などを用いるのが好ましい。図1に於いては、ディスプレイ(71)の周囲に、ディスプレイ保持枠(711)があるが、強度的に問題がなければ必ずしも必要ではない。尚、ディスプレイ(71)としては上記以外に、バックライトを用いるスマートフォン方式などを使用しても良い。又、ディスプレイ(71)にロールアップとロールダウンの機能を有したものを使用すると、ディスプレイ(71)の表示がエンドレスに表示され、拡大レンズ(21)の狭い視界範囲の中に多量の情報が読み取れる。またディスプレイ(71)の操作は、目の動きに応じて画面上の操作部が操作できるソフトを利用する。
【0018】
前記焦点調節手段(72)としては図5に示すように、ディスプレイ保持枠(711)の両端に固着させる軸受A(721)と、レンズ保持枠(1)の両端に固着させる軸受B(722)と、軸受A(721)に頭部(723a)を挟持し軸支させて空回りする頭付きネジ(723)と、該頭付きネジ(723)のネジ部(723b)を螺合させると共に軸受B(722)に挟持し軸支させて全体が空回りする調節ナット(724)と、軸受A(721)と軸受B(722)を固定させる複数本の取付ネジ(725)と、から構成されている。前記軸受A(721)と軸受B(722)の材質としては、中央の穴に、後述する頭部(723a)の溝(723c)や調節ナット(724)の外周の溝(724b)を嵌入させた後、それらが抜けずに空回りすれば良いので、弾力性を有した材料を用いるのが好ましい。また前記頭付きネジ(723)には、頭部(723a)とネジ部(723b)とがあり、該頭部(723a)には溝(723c)が設けられている。又、前記調節ナット(724)の内側にはネジ穴(724a)が形成されており、前記調節ナット(724)の外周には溝(724b)が設けられていると共に、溝(724b)以外の外周全体にはローレット加工を施しておくと、調節ナット(724)を回転させる際、滑らずに確実に回転できるものとなる。又、前記調節ナット(724)の形状は、図中に於いては円筒状であるが、六角形や八角形などの多角形状の筒状としても良い。
【0019】
他の焦点調節手段(72)としては図7に示すように、ディスプレイ(71)側に固着させたラック付きシャフト(726)と、前記レンズ保持枠(1)側に固着させると共に前記ラック付きシャフト(726)に噛合するラック受(727)と、から少なくとも構成される。前記ラック受(727)にラック付シャフト(726)を挿入させて噛合状態にさせ、移動させる時は、ラック付シャフト(726)を少し浮かせ、噛合状態が解除できる構造になっている。前記ラック付シャフト(726)はディスプレイ保持枠(711)に取付ネジ(725)で固定し、ラック受(727)はレンズ保持枠(1)に取付ネジ(725)で固定されている。
【0020】
前記ウエアラブルコンピューター(73)の機能としては、受信送信機能,スマートフォンなどの情報源と接続しその画像を表示させる機能,スマートフォン等で用いる選択ボタン機能,文字入力機能や音声入力機能などを有しておくと良い。またウエアラブルコンピューター(73)には、電源部や操作部なども装備しておくと良い。
【0021】
本発明の使用方法について説明する。まず始めにウエアラブル端末として用いる場合の使用方法について説明する。予め装着者の左右の視力に合せた拡大レンズ(21)を設けておく。先ず始めにウエアラブルコンピューター(73)のスイッチを入れ、ディスプレイ(71)に情報を表示させる。次に使用者は、眼鏡を耳に掛けて装着する。すると、拡大レンズ(21)の前方にディスプレイ(71)が配備される。その後、使用者は画面がぼけている場合は、左右の調節ナット(724)を回転させ、一番ハッキリするところで調節ナット(724)の回転を止めて焦点調節が完了する。
【0022】
本発明の使用方法について説明する。まず始めにウエアラブル端末として用いる場合の使用方法について説明する。予め装着者の左右の視力に合せた拡大レンズ(21)を設けておく。先ず始めにウエアラブルコンピューター(73)のスイッチを入れ、ディスプレイ(71)に情報を表示させる。次に使用者は、眼鏡を耳に掛けて装着する。すると、拡大レンズ(21)の前方にディスプレイ(71)が配備される。その後、使用者は画面がぼけている場合は、左右の調節ナット(724)を回転させ、一番ハッキリするところで調節ナット(724)の回転を止めて焦点調節が完了する。
【0023】
この時の焦点調節手段(72)の操作を詳細に説明する。先ず調節ナット(724)を指で回転させると、ネジ部(723b)の端部が調節ナット(724)のネジ穴(724a)から後方(図中では右側)へ出るか、或いは前方(図中では左側)に移動する。この時、調節ナット(724)全体が空回りするので、拡大レンズ(21)側はそのままの位置にある。一方、頭付きネジ(723)の方が前後に移動するので、ディスプレイ(71)が前後に移動し、拡大レンズ(21)とディスプレイ(71)の間隔(L)が可変する(図6参照)。
従って、調節ナット(724)を指で回転させれば、ピント合せができるため、ディスプレイ(71)の表面に直接表示された文字や図形等の情報を両眼で視認することができるものとなる。
その後、好みの機能を使用し、ウエアラブルコンピューター(73)を操作すれば良い。
尚、本発明は、バーチャル・リアリティの映像の如く片方の拡大レンズ(21)で見る画像と他方の拡大レンズ(21)で見る画像が別々であるのに対して、本発明品では両方の拡大レンズ(21)でディスプレイ(71)に表示された1つの画像を見るためのものであり、バーチャル・リアリティの構造のものとは異なる。
【0024】
一方、図7に示す別の焦点調節手段(72)を用いてピント合せをする場合は、上記同様にしてディスプレイ(71)の端部を片手で支持すると共に、他方の手で拡大レンズ(21)側を支持する。この状態で、拡大レンズ(21)側を下げて、隙間を空けることにより、ラック付シャフト(726)とラック受(727)の噛合状態が解除される。その後、ディスプレイ(71)を移動させてピントが合った位置で、拡大レンズ(21)側を上げると、ラック付シャフト(726)とラック受(727)が噛合状態になるのである。この時、ディスプレイ(71)の左右を交互に移動させて、拡大レンズ(21)と平行になるように調節する。又、ラック付シャフト(726)或いはラック受け(727)の少なくとも一方に弾性材を用いると、噛合部の弾性材の変形により、噛合状態やその解除が極めて容易にできるため、拡大レンズ(21)側を上下せず、水平方向に力を加えるだけで移動が可能となり、ピント合せがより簡単になる。
【0025】
次に本発明の焦点調節手段(72)の作用を図6に基づいて説明する。予め拡大レンズ(21)をディスプレイ(71)と目の間に配置させておくと共に拡大レンズ(21)を選定しておくことにより、ディスプレイ(71)の表示が視認できる距離を数分の1に縮めることができる。このため、拡大レンズ(21)とディスプレイ(71)の間隔(L)を10cm以下にでき、見栄えも良いものとなる。更に前記間隔(L)を約3〜6cm前後の範囲に収めるのが好ましい。又、拡大レンズ(21)とディスプレイ(71)の間隔(L)を、予め標準視力の人に合せておくと、微調節が少なくて済む。尚、L1はディスプレイ(71)が拡大レンズ(21)に一番近付いた2点鎖線の状態を示し、L2はディスプレイ(71)が拡大レンズ(21)から一番遠ざかった1点鎖線の状態を示す。
【0026】
次に図9(a)のようにウエアラブル端末の役目から、図9(b)のように眼鏡の役目に切換える場合について説明する。先ず始めに上下移動手段(5)を有した眼鏡の場合は、連結杆(3)を片手で押え、他の手でレンズ保持枠(1)を握り、それを上方へ持ち上げる。すると、連結杆(3)の垂直部(32)の内部にある駒が上方へ移動する。この時、駒の係止状態は押圧力によって自然に穴から係止片が外れる。その後、駒が上部の所定位置に来ると、係止片が穴に係止して停止状態が保持される。
すると、下方のレンズ(2)の中心が装着者の目の高さと合致するので、物を見る時に正視できるため、目の疲れが激減出来るものとなる。
【0027】
次に図9(a)のようにウエアラブル端末の役目から、図9(b)のように眼鏡の役目に切換える場合について説明する。先ず始めに上下移動手段(5)を有した眼鏡の場合は、連結杆(3)を片手で押え、他の手でレンズ保持枠(1)を握り、それを上方へ持ち上げる。すると、連結杆(3)の垂直部(32)の内部にある駒が上方へ移動する。この時、駒の係止状態は押圧力によって自然に穴から係止片が外れる。その後、駒が上部の所定位置に来ると、係止片が穴に係止して停止状態が保持される。
すると、下方のレンズ(2)の中心が装着者の目の高さと合致するので、物を見る時に正視できるため、目の疲れが激減出来るものとなる。
【0028】
次に上下反転手段(6)を有した眼鏡の場合は、図10に示すように、先ず始めに図10(a)の状態でウエアラブル端末の役目を果たし、その後、眼鏡の役目に切換える。この切換える場合について説明する。上記同様に先ず始めに片手でレンズ保持枠(1)を握り、他の手でツル(4)を摘み回転させて、上下を反転させる。すると、図10(a)の図中に示す2点鎖線のように耳当部が上下反転されるので、眼鏡全体を反転させて、眼鏡を掛けると、図10(b)の状態となる。
すると、下方にあったレンズ(2)が目の前になると共に該レンズ(2)の中心が装着者の目の高さと合致するので、物を見る時に正視できるため、目の疲れが激減出来るものとなる。
【0029】
このように上下移動又は上下反転させて使用すれば、ウエアラブル端末の役目と眼鏡の役目の使い分けが可能なものとなる。
【符号の説明】
【0030】
1 眼鏡フレーム本体
1 レンズ保持枠
2 レンズ
21 拡大レンズ
4 ツル
41 段差部
7 ウエアラブル端末
71 ディスプレイ
72 焦点調節手段
721 軸受A
722 軸受B
723 頭付きネジ
723a 頭部
723b ネジ部
724 調節ナット
726 ラック付きシャフト
727 ラック受
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10