【文献】
WATKINS,LR.,Spectroscopic ellipsometer based on direct measurement of polarization ellipticity,APPLIED OPTICS,2011年 6月20日,Vol.50,No.18,2973-2978
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(誤差補正方法及び誤差補正装置)
本発明の誤差補正方法は、光強度測定工程と、誤差算出工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0017】
本発明の誤差補正装置は、光強度測定手段と、誤差算出手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0018】
本発明の誤差補正方法は、本発明の誤差補正装置により好適に実施することができ、前記光強度測定工程は前記光強度測定手段により行うことができ、前記誤差算出工程は前記誤差算出手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0019】
<光強度測定工程及び光強度測定手段>
前記光強度測定工程は、偏光子及び位相子をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物に照射し、前記測定対象物から反射し検光子を通過した光の二次元画像を受光手段により受光して、前記二次元画像のピクセル毎の光強度を求める工程であり、光強度測定手段により実施することができる。
前記光強度測定工程は、偏光子及び位相子をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物に照射し、前記測定対象物から反射し検光子を通過した光の二次元画像を受光手段により受光して、下記数式(1)で表される前記二次元画像のピクセル毎の光強度Iを求める工程であることが好ましい。
【0020】
[数式(1)]
【数3】
ただし、前記数式(1)中、aは、入射光強度や受光手段の量子効果等と関連する量である。bは、受光手段の暗電流の影響を示す量である。δは、位相子のリタデーションである。θ
Qは、位相子の主軸方位である。θ
Pは、偏光子の透過軸方位である。N=cos2Ψ、C=sin2ΨcosΔ、S=sin2ΨsinΔ(ただし、Ψは、s偏光とp偏光の反射振幅比角、Δは、s偏光とp偏光の位相差を表す)である。
【0021】
−測定対象物−
前記測定対象物としては、表面ラフネスが小さく、斜入射で測定が行えるものであれば特に制限はなく、半導体計測からバイオテクノロジーまでの幅広い分野に用いられ、例えば、半導体の基板、薄膜、ゲート絶縁膜、リソグラフィー膜等;化学分野のポリマー膜、自己組織化膜、タンパク質、DNA;ディスプレイのTFT膜、透明導電膜、有機LED等;反射防止用の各種誘電体膜、CD及びDVD等の相変化材料、磁気光学膜;化学気相成長法(CVD)、プラズマCVD、分子線エピタキシー(MBE)、エッチング、酸化・熱処理、溶液処理、薄膜形成過程等の実時間観測などが挙げられる。
なお、前記測定対象物としての標準試料は、N、C、及びSが既知の安定した物質であり、例えば、シリコン基板や均一な酸化シリコン(SiO
2)膜付きのシリコン基板などが挙げられる。
【0022】
−二次元偏光解析装置−
前記光強度の二次元測定は、二次元偏光解析装置を用いて行われる。なお、前記測定対象物の偏光状態の変化(DEL(Δ)、PSI(Ψ))を二次元計測する反射型の二次元偏光解析装置は、イメージングエリプソメーターとも呼ばれ、光源と、偏光子と、位相子と、検光子と、受光手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
なお、透過型の二次元偏光解析装置では、測定対象物は存在せず(空気)、光源と偏光素子と、受光手段とを平行に配置している。
【0023】
−−光源−−
前記光源としては、平行光源が好ましく、例えば、レーザー、重水素(D
2)ランプ、キセノン(Xe)ランプ、ハロゲンランプ、グローバーランプ、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0024】
−−偏光子(検光子)−−
前記偏光子は、通常は、光源の前に設置され、非偏光な光源から直線偏光を取り出すために使用される。
前記検光子は、受光手段の手前に置かれ、検光子を通過する光強度から偏光状態が決定される。
前記偏光子と前記検光子は、全く同じ偏光素子であるが、それぞれ役割が違うために区別して呼ばれている。
前記偏光子(又は検光子)としては、方解石と呼ばれるCaCO
3結晶のプリズム(グランテーラー・プリズム)等が用いられている。前記方解石は、垂直方向にだけ光学異方性を示すので1軸性の結晶である。
前記グランテーラー・プリズムは、プリズムを2つ組み合わせた構造となっており、光源からの非偏光な光から直線偏光だけが取り出される。x軸方向の直線偏光だけが通過する場合、このx軸は透過軸と呼ばれる。即ち、偏光子の透過軸方位とは、透過軸の方位をいう。
【0025】
−−位相子−−
前記位相子は、補償子又は移相子とも呼ばれ、偏光子の後ろ又は検光子の手前に設置され、直線偏光を楕円偏光に変換するために用いられる。前記位相子は偏光子と同様に屈折率の異方性を利用しており、基本的に立方形の複屈折結晶だけで構成されている。
前記位相子により45°の直線偏光が左回り円偏光に変換される場合、屈折率に異方性がある場合には、進相軸の光は相対的に速く進み、遅相軸では遅く進む。そのため、45°の直線偏光を位相子に入射すると、位相子から出た光のx、y成分には位相差(リタデーション)δが発生する。この位相差(リタデーション)δは、下記式で表される。
δ=2π/λ|n
e−n
0|d(ただし、式中、dは位相子の厚さを示す。)
上記式からわかるように、入射光の波長が変わるとδは変化する。δ=π/2の位相子のように位相が波長に対してλ/4ずれる場合には、位相子はλ/4波長板とも呼ばれる。
位相子の主軸方位は、s、p座標系における位相子の進相軸(進相軸と垂直に遅相軸がある)の方位をいう。
前記位相子としては、例えば、MgF
2や雲母などが用いられている。
【0026】
−−受光手段−−
前記受光手段は、前記検光子を通過した光の強度を受光でき、受光単位を複数有する素子が用いられ、これらの中でも、複数のピクセルからなる二次元画像を取得できる撮像素子が好適に用いられる。前記撮像素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、ゲートCCDなどが挙げられる。
【0027】
−−その他の手段−−
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段などが挙げられる。
【0028】
エリプソメトリー(偏光解析法)は、入射光の偏光状態が測定対象物の表面の反射により変化する現象から、測定対象物の薄膜の厚みや屈折率などを得る方法である。エリプソメトリーを用いた測定系をエリプソメーターという。
光は電磁波であり、その電界ベクトルは光の進行方向に対して垂直に振動している。光はその電界ベクトルの振動がランダムな無偏光と、規則的な偏光とに区別される。偏光では、その電界ベクトルの先端の軌跡が、光の進行方向に垂直な平面内で直線、円、楕円を描いており、このような光はそれぞれ直線偏光、円偏光、及び楕円偏光と呼ばれている。
【0029】
図1に示すように、電場が入射面に対し平行に振動する直線偏光をp偏光、電場が入射面に対し垂直に振動する直線偏光をs偏光と呼ぶ。p偏光とs偏光は異なる振幅反射係数をもつ。そのため、測定対象物表面での反射によりp、s偏光成分のそれぞれの振幅及び位相は大きく変化する。エリプソメトリーでは、反射後のp、s偏光の位相差及び振幅比を角度で表したDEL(Δ)及びPSI(Ψ)を決定する。
【0030】
前記反射光の偏光状態の変化は、下記数式(a)のストークスベクトルSで表される。前記ストークスベクトルSを用いると、あらゆる偏光状態を表示することができる。
【0031】
[数式(a)]
【数4】
ただし、前記数式(a)中、S
0は、入射光強度を示す。S
1は、x方向の直線偏光が示す光強度I
xからy方向の光強度I
yを引いたものを示す。S
2は、+45°方向の直線偏光の光強度I
+45°から−45°方向の光強度I
-45°を引いたものを示す。S
3は、右回り円偏光の光強度I
Rから左回り円偏光の光強度I
Lを引いたものを示す。Tは、転置行列を表す。
【0032】
前記光源からの入射光(自然光、非偏光)のストークスベクトルS
inは、下記数式(b)で表される。
【0033】
[数式(b)]
【数5】
ただし、前記数式(b)中、Tは、転置行列を表す。
【0034】
ここで、光と測定対象物(物体又は物質)の相互作用を示す量としてミューラー行列がある。
前記ミューラー行列は4×4の行列で、測定対象物によってその16の要素が異なる。
以下に、偏光子(又は検光子)のミューラー行列を下記数式(c)、位相子(補償子)のミューラー行列を下記数式(d)、及び測定対象物のミューラー行列を下記数式(e)にそれぞれ示す。
【0035】
[数式(c):偏光子(又は検光子)のミューラー行列:M
P(θ
P)]
【数6】
ただし、前記数式(c)中、θ
pは偏光子の透過軸方位である。
【0036】
[数式(d):位相子のミューラー行列:M
R(δ,θ)]
【数7】
ただし、前記数式(d)中、δは位相子のリタデーション、θは位相子の主軸方位である。
【0037】
[数式(e):測定対象物のミューラー行列:M
S]
【数8】
ただし、前記数式(e)中、Ψは、s偏光とp偏光の反射振幅比角、Δは、s偏光とp偏光の位相差を表す。
【0038】
したがって、前記エリプソメトリーにおいては、N(=cos2Ψ)、C(=sin2ΨcosΔ)、及びS(=sin2ΨsinΔ)を測定することにより、前記測定対象物のPSI(Ψ)、及びDEL(Δ)を求めることができる。
【0039】
図2に示す反射型の二次元偏光解析装置100において、光源2からの入射光L
inは偏光子3、及び位相子4を通過し、測定対象物1表面により反射され、反射光L
outは検光子5を通過した後、受光手段6により受光する。
本発明においては、測定対象物1のN(=cos2Ψ)、C(=sin2ΨcosΔ)、及びS(=sin2ΨsinΔ)を測定するために、検光子5の透過軸方位を45°(π/4)に固定し、偏光子3と位相子4をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物1に照射し、測定対象物1から反射した光(反射光)のストークスベクトルS
outは、下記数式(f)で表される。
前記条件としては、例えば、回転、偏光素子(偏光子、位相子)の位置合わせなどが挙げられる。
【0040】
[数式(f)]
【数9】
ただし、前記数式(f)中、M
P(45°)は、透過軸方位を45°に固定した検光子のミューラー行列、M
Sは、測定対象物のミューラー行列、M
R(δ、θ
Q)は、位相子のミューラー行列、M
P(θ
P)は、偏光子のミューラー行列、(1,0,0,0)は、光源からの入射光のストークスベクトルS
inである。Tは、転置行列を表す。
【0041】
前記数式(f)の反射光のストークスベクトルS
outにおいて、受光手段6から検出できるのは出射光のストークスベクトルS
outのうちS
0成分のみである。したがって、受光手段6により受光される二次元画像のピクセル毎の光強度Iは、下記数式(1)で表される。
【0042】
[数式(1)]
【数10】
ただし、前記数式(1)中、aは、入射光強度や受光手段の量子効果等と関連する量である。bは、受光手段の暗電流の影響を示す量である。δは、位相子のリタデーションである。θ
Qは、位相子の主軸方位である。θ
Pは、偏光子の透過軸方位である。N=cos2Ψ、C=sin2ΨcosΔ、S=sin2ΨsinΔ(ただし、Ψは、s偏光とp偏光の反射振幅比角、Δは、s偏光とp偏光の位相差を表す)である。
【0043】
ここで、前記数式(1)中の位相子のリタデーションδは、90°であることが理想であるが、前記位相子のリタデーションδには位相子を製造する際に生じる製造誤差が必ず存在し、前記位相子のリタデーションの製造誤差は前記位相子の場所毎に異なる。
また、前記位相子と前記偏光子をそれぞれ回転させるときに、アライメント誤差としての位相子の主軸方位θ
Qの初期誤差と、偏光子の透過軸方位θ
Pの初期誤差が必ず生じる。
そこで、前記位相子のリタデーションの製造誤差をε
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差をε
Q、前記偏光子の透過軸方位の初期誤差をε
Pとすると、前記数式(1)は、下記数式(2)に示すように複雑になる。
【0044】
[数式(2)]
【数11】
ただし、前記数式(2)中、a、b、δ、θ
Q、θ
P、N、C、及びSは、上記数式(1)と同じ意味を表す。ε
δは、位相子のリタデーションの製造誤差を表す。ε
Qは、位相子の主軸方位の初期誤差を表す。ε
Pは、偏光子の透過軸方位の初期誤差を表す。
【0045】
<誤差算出工程及び誤差算出手段>
前記誤差算出工程は、前記位相子のリタデーションの製造誤差、前記位相子の主軸方位の初期誤差、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差があるときに、これらの誤差で補正した状態で前記二次元画像のピクセル毎の光強度を求め、これらの光強度の結果から前記位相子のリタデーションの製造誤差、前記位相子の主軸方位の初期誤差、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差を求める工程であり、誤差算出手段により実施することができる。
前記誤差算出工程は、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pがあるときに、前記ε
δ、前記ε
Q、及び、前記ε
Pにより、前記数式(1)を前記数式(2)に補正し、前記ε
δ、前記ε
Q、及び、前記ε
Pを求めることが好ましい。
【0046】
前記数式(2)において、未知のパラメーターは、a、b、N、C、S、ε
δ、ε
Q、及びε
Pの8つであり、これら8つの未知のパラメーターは、少なくとも8つの連立方程式を解くことにより求めることができる。
したがって、以下に詳細に説明するとおり、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を前記受光手段で受光し、得られた8つの二次元画像に対応する8つの連立方程式を解くことにより、前記8つ未知のパラメーターのをすべて求めることができる。
【0047】
(A)位相子の主軸方位θ
Qが0のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、又はπ/2にそれぞれ回転させたとき、前記数式(2)は、下記数式(3)になる。
【0048】
[数式(3)]
【数12】
ただし、前記数式(3)中、a、b、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。前記数式(3)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pが0のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/2のとき−符号である。
【0049】
(B)位相子の主軸方位θ
Qが0のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させたとき、前記数式(2)は、下記数式(4)になる。
【0050】
[数式(4)]
【数13】
ただし、前記数式(4)中、a、b、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。前記数式(4)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pが−π/4のとき−符号である。
【0051】
(C)位相子の主軸方位θ
Qがπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、又はπ/2にそれぞれ回転させたとき、前記数式(2)は、下記数式(5)になる。なお、前記数式(5)では、位相子が0からπ/4に回転するため、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δがε’
δとなる。
【0052】
[数式(5)]
【数14】
ただし、前記数式(5)中、a、b、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。ε’
δは、位相子の主軸方位θ
Qをπ/4回転させたときの位相子のリタデーションの製造誤差を表す。前記数式(5)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pが0のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/2のとき−符号である。
【0053】
(D)位相子の主軸方位θ
Qがπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させたとき、前記数式(2)は、下記数式(6)になる。なお、前記数式(6)では、位相子が0からπ/4に回転するため、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δがε’
δとなる。
【0054】
[数式(6)]
【数15】
ただし、前記数式(6)中、a、b、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。ε’
δは、位相子の主軸方位θ
Qをπ/4回転させたときの位相子のリタデーションの製造誤差を表す。前記数式(6)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pが−π/4のとき−符号である。
【0055】
次に、前記数式(3)において、偏光子の透過軸方位θ
Pが0とπ/2のときの差分をとると、下記数式(7)を導き出すことができる。前記数式(7)では、未知のパラメーターbが除かれており、受光手段(撮像素子)の暗電流の影響を除くことができる。
【0056】
[数式(7)]
【数16】
ただし、前記数式(7)中、a、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、及び前記数式(2)と同じ意味を表す。
【0057】
前記数式(7)において、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが既知であるとき(例えば、2回目以降の測定時など)には、前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを前記数式(7)に代入して、下記数式(7’)となる。
【0058】
[数式(7’)]
【数17】
ただし、前記数式(7’)中のe
11〜e
13は、以下のとおりである。
【数18】
【0059】
次に、前記数式(4)において、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4と−π/4のときの差分をとると、下記数式(8)が得られる。前記数式(8)では、未知のパラメーターbが除かれており、受光手段(撮像素子)の暗電流の影響を除くことができる。
【0060】
[数式(8)]
【数19】
ただし、前記数式(8)中、a、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、及び前記数式(2)と同じ意味を表す。
【0061】
前記数式(6)において、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが既知(例えば、2回目以降の測定時など)であるときには、前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを前記数式(8)に代入して、下記数式(8’)となる。
【0062】
[数式(8’)]
【数20】
ただし、前記数式(8’)中のe
21〜e
23は、以下のとおりである。
【数21】
【0063】
次に、前記数式(5)において、偏光子の透過軸方位θ
Pが0とπ/2のときの差分をとると、下記数式(9)が得られる。前記数式(9)によると、未知のパラメーターbが除かれており、受光手段(撮像素子)の暗電流の影響を除くことができる。
【0064】
[数式(9)]
【数22】
ただし、前記数式(9)中、a、ε’
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、前記数式(2)、前記数式(5)、及び前記数式(6)と同じ意味を表す。
【0065】
前記数式(9)において、位相子のリタデーションの製造誤差ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが既知(例えば、2回目以降の測定時など)であるときには、前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを前記数式(9)に代入して、下記数式(9’)となる。
【0066】
[数式(9’)]
【数23】
ただし、前記数式(9’)中のe
31〜e
33は、以下のとおりである。
【数24】
【0067】
次に、前記数式(6)において、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4と−π/4のときの画像信号の差分をとると、下記数式(10)が得られる。前記数式(10)では、未知のパラメーターbが除かれており、受光手段(撮像素子)の暗電流の影響を除くことができる。
【0068】
[数式(10)]
【数25】
ただし、前記数式(10)中、a、ε’
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、前記数式(2)、前記数式(5)、及び前記数式(6)と同じ意味を表す。
【0069】
前記数式(10)において、位相子のリタデーションの製造誤差ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが既知(例えば、2回目以降の測定時など)であるときには、前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを前記数式(10)に代入して、下記数式(10’)となる。
【0070】
[数式(10’)]
【数26】
ただし、前記数式(10’)中のe
41〜e
43は、以下のとおりである。
【数27】
【0071】
上述したとおり、前記数式(2)から導き出した前記数式(7)〜(10)において、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、二次元画像の中心部は光軸(位相子の回転軸)位置にあるため、位相子の回転前後で位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δは変化しない。しかし、二次元画像の中心部以外の部分では、位相子のリタデーションが位相子の場所毎に異なるため、位相子の回転前後で位相子の場所毎のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δが異なるが、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pは同じである。
したがって、前記数式(7)〜(10)において、補正が必要なパラメーターは、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pである。
【0072】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御工程、記憶工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段、記憶手段などが挙げられる。
【0073】
前記制御手段としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリなどを有し、誤差補正装置全体の動作を制御するための制御プログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0074】
前記記憶手段としては、各種情報を記憶することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)ドライブなどが挙げられる。また、記憶手段は、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドの一部であってもよい。
【0075】
ここで、本発明の誤差補正方法の第1及び第2の実施形態について、フローチャートを参照して詳細に説明する。
【0076】
[第1の実施形態の誤差補正方法]
第1の実施形態の誤差補正方法は、
図4に示すフローチャートにしたがって、前記数式(7)〜(10)中の前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求めるものである。
【0077】
まず、ステップS101では、
図3に示すような透過型の二次元偏光解析装置101を用い、空気中での測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を受光手段により受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS102に移行させる。なお、空気のN、C、及びSは、それぞれ0、1、及び0である。
【0078】
次に、ステップS102では、前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求める。前記二次元画像の中心部以外の部分は前記二次元画像の中心部とε
δ、ε’
δは異なるがε
Q、ε
Pは同じである。そこで、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られたε
Q、ε
Pを前記数式(7)〜(10)に代入し、画像の中心部以外の部分の位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δを求めると、本処理を終了させる。
以上により、前記数式(7)〜(10)中のε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pをすべて求めることができる。
【0079】
[第2の実施形態の誤差補正方法]
第2の実施形態の誤差補正方法は、
図5に示すフローチャートにしたがって、前記数式(7)〜(10)中の前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求めるものである。
【0080】
まず、ステップS201では、
図2に示すような反射型の二次元偏光解析装置100を用い、標準試料について、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップ202に移行する。なお、標準試料のN、C、及びSは既知である。
【0081】
次に、ステップS202では、前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求める。前記二次元画像の中心部以外の部分は前記二次元画像の中心部とε
δ、ε’
δは異なるがε
Q、ε
Pは同じである。そこで、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られたε
Q、ε
Pを前記数式(7)〜(10)に代入して、二次元画像の中心部以外の部分のε
δ、ε’
δを求めると、本処理を終了させる。
以上により、前記数式(7)〜(10)中のε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pをすべて求めることができる。
【0082】
以上説明したように、本発明の誤差補正方法及び誤差補正装置は、一回の二次元計測により測定対象物の反射光の偏光状態の変化を迅速かつ高精度に測定するためのものであり、例えば、点計測の偏光解析法、二次元偏光解析法などに用いられるが、以下の本発明の二次元偏光解析法及び二次元偏光解析装置に特に好適に用いられる。
【0083】
(二次元偏光解析法及び二次元偏光解析装置)
本発明の二次元偏光解析法は、本発明の誤差補正方法を用いることを特徴とする。
本発明の二次元偏光解析装置は、本発明の誤差補正装置を有することを特徴とする。
【0084】
本発明の二次元偏光解析装置における各手段が行う制御は、本発明の二次元偏光解析法を実施することと同義であり、本発明の二次元偏光解析法は、本発明の二次元偏光解析装置により好適に実施することができるので、本発明の二次元偏光解析法の説明を通じて本発明の二次元偏光解析装置の詳細についても明らかにする。
【0085】
本発明の二次元偏光解析法は、第1−1の形態では、本発明の前記誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
透過モードでの空気中の測定により、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を前記受光手段で受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程(なお、空気のN、C、及びSは、それぞれ0、1、及び0である)と、
前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求め、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られた前記ε
Q、及びε
Pを、前記数式(7)〜(10)に代入して、前記二次元画像の中心部以外の部分のε
δ、ε’
δを求め、前記数式(7)〜(10)中の前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及びε
Pを得る工程と、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記測定対象物から求めた前記数式(7)〜(10)に、本発明の前記誤差補正方法で求めた前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを代入し、前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0086】
本発明の二次元偏光解析法は、第1−2の形態では、本発明の前記誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
反射モードでの標準試料の測定により、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程(なお、標準試料のN、C、及びSは既知である)と、
前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求め、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られた前記ε
Q、及びε
Pを前記数式(7)〜(10)に代入して、前記二次元画像の中心部以外の部分のε
δ、ε’
δを求め、前記数式(7)〜(10)中の前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及びε
Pを得る工程と、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記測定対象物から求めた前記数式(7)〜(10)に、本発明の前記誤差補正方法で求めた前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを代入し、前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0087】
本発明の二次元偏光解析法は、第2の形態では、本発明の前記誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
透過モードでの空気中の測定により、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を前記受光手段で受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程(なお、空気のN、C、及びSは、それぞれ0、1、及び0である)と、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記空気中での前記数式(7)〜(10)と前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)を用いて、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0088】
本発明の二次元偏光解析法は、第3の形態では、本発明の前記誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
反射モードでの標準試料の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程(なお、標準試料のN、C、及びSは既知である)と、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、下記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である下記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記標準試料での前記数式(7)〜(10)と前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)を用いて、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0089】
前記第1〜第3の形態の二次元偏光解析法において、前記数式(3)〜前記数式(10)は、以下に示すとおりであり、これらは、本発明の誤差補正方法で説明した方法により導出することができる。
【0090】
[数式(3)]
【数28】
ただし、前記数式(3)中、a、b、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。前記数式(3)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pが0のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/2のとき−符号である。
【0091】
[数式(4)]
【数29】
ただし、前記数式(4)中、a、b、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。前記数式(4)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pが−π/4のとき−符号である。
【0092】
[数式(5)]
【数30】
ただし、前記数式(5)中、a、b、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。ε’
δは、位相子の主軸方位θ
Qをπ/4回転させたときの位相子のリタデーションの製造誤差を表す。前記数式(5)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pが0のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/2のとき−符号である。
【0093】
[数式(6)]
【数31】
ただし、前記数式(6)中、a、b、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。ε’
δは、位相子の主軸方位θ
Qをπ/4回転させたときの位相子のリタデーションの製造誤差を表す。前記数式(6)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pが−π/4のとき−符号である。
【0094】
[数式(7)]
【数32】
ただし、前記数式(7)中、a、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、及び前記数式(2)と同じ意味を表す。
【0095】
[数式(8)]
【数33】
ただし、前記数式(8)中、a、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、及び前記数式(2)と同じ意味を表す。
【0096】
[数式(9)]
【数34】
ただし、前記数式(9)中、a、ε’
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、前記数式(2)、前記数式(5)、及び前記数式(6)と同じ意味を表す。
【0097】
[数式(10)]
【数35】
ただし、前記数式(10)中、a、ε’
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、前記数式(2)、前記数式(5)、及び前記数式(6)と同じ意味を表す。
【0098】
本発明の第1〜第3の形態の二次元偏光解析法においては、得られた前記測定対象物のN、C、及びSを、下記数式(11)及び(12)に代入して、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したΨと位相差Δを求める工程を含むことが好ましい。これにより、各形態で得られた測定対象物のN、C、及びSから、測定対象物のPSI(Ψ)とDEL(Δ)を求めることができる。
【0101】
本発明の二次元偏光解析法は、第4の形態では、本発明の前記誤差補正方法、又は本発明の前記二次元偏光解析法により、得られた位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを、前記数式(7)〜(10)に代入して、下記数式(7’)〜(10’)を求める工程と、
前記数式(7’)〜(10’)から、下記数式(13)又は(13’)、数式(14)又は(14’)、及び数式(15)又は(15’)を導出し、測定対象物のaN、aC、及びaSを求める工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記数式(13)〜(15)は、I
1(前記数式(7))、I
2(前記数式(8))、及びI
4(前記数式(10))から導いた数式である。
前記数式(13’)〜(15’)は、I
1(前記数式(7))、I
3(前記数式(9))、及びI
4(前記数式(10))から導いた数式である。
【0102】
このように、前記第4の形態の二次元偏光解析法によれば、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが既知の場合(例えば、2回目以降の測定時の場合)には、標準試料を用いることなく、簡便かつ迅速に前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pから、aN、aC、及びaSを求めることができる。
【0103】
[数式(7’)]
【数38】
ただし、前記数式(7’)中のe
11〜e
13は、以下のとおりである。
【数39】
【0104】
[数式(8’)]
【数40】
ただし、前記数式(8’)中のe
21〜e
23は、以下のとおりである。
【数41】
【0105】
[数式(9’)]
【数42】
ただし、前記数式(9’)中のe
31〜e
33は、以下のとおりである。
【数43】
【0106】
[数式(10’)]
【数44】
ただし、前記数式(10’)中のe
41〜e
43は、以下のとおりである。
【数45】
【0107】
[数式(13)]
【数46】
[数式(13’)]
【数47】
ただし、前記数式(13)及び(13’)中、e
11〜e
43は、前記数式(7’)〜(10’)と同じ意味を表す。
【0108】
[数式(14)]
【数48】
[数式(14’)]
【数49】
ただし、前記数式(14)と(14’)中、e
11〜e
43は、前記数式(7’)〜(10’)と同じ意味を表す。
【0109】
[数式(15)]
【数50】
[数式(15’)]
【数51】
ただし、前記数式(15)と(15’)中、e
11〜e
43は、前記数式(7’)〜(10’)と同じ意味を表す。
【0110】
前記第4の形態の二次元偏光解析法は、得られた前記測定対象物のaN、aC、及びaSを、下記数式(16)及び(17)に代入して、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したΨと位相差Δを求める工程を含むことが好ましい。
【0113】
ここで、第1から第5の実施形態の二次元偏光解析法について、
図6〜
図10に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0114】
[第1の実施形態の二次元偏光解析法]
第1の実施形態の二次元偏光解析法では、
図6に示すフローチャートにしたがって、測定対象物の偏光状態変化の測定を行うものである。
【0115】
まず、ステップS301では、
図3に示すような透過型の二次元偏光解析装置101を用い、空気中での測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を受光手段により受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS302に移行する。なお、空気のN、C、及びSは、それぞれ0、1、及び0である。
【0116】
次に、ステップS302では、前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求める。前記二次元画像の中心部以外の部分は前記二次元画像の中心部とε
δ、ε’
δは異なるがε
Q、ε
Pは同じである。そこで、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られたε
Q、ε
Pを前記数式(7)〜(10)に代入し、画像の中心部以外の部分の位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δを得る。以上により、前記数式(7)〜(10)中のε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pを求めると、処理をステップS303に移行する。なお、ステップS301〜ステップS302は、
図4のフローチャートに示す第1の実施形態の誤差補正方法と同じである。
【0117】
次に、ステップS303では、
図2に示すような反射型の二次元偏光解析装置100を用い、測定対象物について、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS304に移行する。
【0118】
次に、ステップ(S3−4)では、前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)に、前記空気中での前記数式(7)〜(10)で求めた前記ε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pを代入して、前記測定対象物のN、C、及びSを求めると、処理をステップS305に移行する。
【0119】
次に、ステップS305では、得られた測定対象物のN、C、及びSから、前記数式(11)及び(12)により、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を求めると、本処理を終了する。
【0120】
[第2の実施形態の二次元偏光解析法]
第2の実施形態の二次元偏光解析法では、
図7に示すフローチャートにしたがって、測定対象物の偏光状態変化の測定を行うものである。この第2の実施形態では、透過型で計測しなくてすみ、標準試料を用いた簡便な反射型によって、点計測にも用いることができるので、有効な方法である。
【0121】
まず、ステップS401では、
図2に示すような反射型の二次元偏光解析装置100を用い、標準試料について、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS402に移行する。なお、標準試料のN、C、及びSは既知である。
【0122】
次に、ステップS402では、前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求める。前記二次元画像の中心部以外の部分は前記二次元画像の中心部とε
δ、ε’
δは異なるがε
Q、ε
Pは同じである。そこで、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られたε
Q、ε
Pを前記数式(7)〜(10)に代入して、二次元画像の中心部以外の部分のε
δ、ε’
δを求めると、処理をステップS403に移行する。
以上により、前記数式(7)〜(10)中のε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pが求められる。なお、ステップS401〜ステップS402は、
図5のフローチャートに示す第2の実施形態の誤差補正方法と同じである。
【0123】
次に、ステップS403では、
図2に示す反射型の二次元偏光解析装置100を用い、測定対象物について、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS404に移行する。
【0124】
次に、ステップS404では、前記測定対象物から求めた前記数式(7)〜(10)に、前記空気中での前記数式(7)〜(10)で求めた前記ε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pを代入して、前記測定対象物のN、C、及びSを求めると、処理をステップS405に移行する。
【0125】
次に、ステップS405では、得られた前記測定対象物のN、C、及びSから、前記二次元偏光解析法の第1の実施形態と同様にして、測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を求めると、本処理を終了する。
【0126】
[第3の実施形態の二次元偏光解析法]
第3の実施形態の二次元偏光解析法では、
図8に示すフローチャートにしたがって、測定対象物の偏光状態変化の測定を行うものである。
【0127】
まず、ステップS501では、
図3に示すような透過型の二次元偏光解析装置101を用い、空気中で、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、8つの画像信号を受光し、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS502に移行する。なお、空気のN、C、及びSは、それぞれ0、1、及び0である。
【0128】
次に、ステップS502では、
図2に示すような反射型の二次元偏光解析装置100を用い、測定対象物の8つの画像信号を前記空気中と同様にして、受光し、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS503に移行する。
【0129】
次に、ステップS503では、前記空気中での前記数式(7)〜(10)と、前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)を用いて、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに前記測定対象物のN、C、及びSを求めると、処理をステップS504に移行する。なお、ステップS501〜ステップS503は、本発明の第3の実施形態の誤差補正方法とすることができる。
【0130】
次に、ステップS504では、得られた測定対象物のN、C、及びSから、前記二次元偏光解析法の第1の実施形態と同様にして、前記数式(11)及び(12)により、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を求めると、本処理を終了する。
【0131】
[第4の実施形態の二次元偏光解析法]
第4の実施形態の二次元偏光解析法では、
図9に示すフローチャートにしたがって、測定対象物の偏光状態変化の測定を行うものである。この第4の実施形態では、透過型で計測しなくてすみ、標準試料を用いた簡便な反射型であり、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに測定対象物のN、C、及びSを一度に迅速に求めることができるので、極めて実用的なものである。
【0132】
まず、ステップS601では、
図2に示すような反射型の二次元偏光解析装置100を用い、標準試料について、位相子の主軸方位θ
Q=0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS602に移行する。なお、標準試料のN、C、及びSは既知である。
【0133】
次に、ステップS602では、
図2に示すような反射型の二次元偏光解析装置100を用い、測定対象物について、位相子の主軸方位θ
Q=0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を得ると、処理をステップS603に移行する。
【0134】
次に、ステップS603では、前記標準試料での前記数式(7)〜(10)と、前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)を用いて、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに前記測定対象物のN、C、及びSを求めると、処理をステップS604に移行する。なお、ステップS601〜ステップS603は、本発明の誤差補正方法の第4の実施形態とすることができる。
【0135】
次に、ステップS604では、得られた測定対象物のN、C、及びSから、第1の実施形態と同様にして、前記数式(11)及び(12)により、測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を求めると、本処理を完了する。
【0136】
[第5の実施形態の二次元偏光解析法]
第5の実施形態の二次元偏光解析法では、
図10に示すフローチャートにしたがって、測定対象物の偏光状態変化の測定を行うものである。この第5の実施形態では、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが、既知の場合(例えば、2回目以降の測定時)には、更に簡便に測定対象物のaN、aC、及びaSを求めることができる。
【0137】
まず、ステップS701では、本発明の前記誤差補正方法、又は本発明の前記二次元偏光解析法により、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを得ると、処理をステップS702に移行する。
本発明の前記誤差補正方法としては、上述した第1の実施形態の誤差補正方法、又は第2の実施形態の誤差補正方法がある。
本発明の前記二次元偏光解析法としては、上述した第1〜第4の実施形態の二次元偏光解析法がある。
【0138】
次に、ステップS702では、前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及び前記ε
P、を、前記数式(7)〜(10)に代入して、前記数式(7’)〜(10’)を求めると、処理をステップS703に移行する。
【0139】
次に、ステップS703では、前記数式(7’)〜(10’)から、下記数式(13)又は(13’)、数式(14)又は(14’)、及び数式(15)又は(15’)を導出し、測定対象物のaN、aC、及びaSを求めると、処理をステップS704に移行する。
【0140】
次に、ステップS704では、得られた前記測定対象物のaN、aC、及びaSを、前記数式(16)及び(17)に代入して、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を求めると、本処理を終了する。
【0141】
本発明の誤差補正方法及び二次元偏光解析法、並びに誤差補正装置及び二次元偏光解析装置は、一回の二次元計測により測定対象物の反射光の偏光状態の変化を迅速かつ高精度に測定することができ、例えば、測定対象物の表面や表面上の薄膜の膜厚や屈折率等の二次元情報を正確に測定することができる。また、成膜やエッチング等の製造過程におけるその場観察が可能となり、半導体素子やディスプレイデバイス等の電子機器や光学機器等の製造過程において、製造管理やリアルタイムでの測定データ収集に用いることができる。
【実施例】
【0142】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0143】
(実施例1〜3)
−シミュレーション計測−
表1に示すように、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pが存在する場合、以下のシミュレーション条件に基づき、実施例1〜3のPSI(Ψ)とDEL(Δ)の誤差補正前後のシミュレーション結果を求めた。結果を表1に示した。
【0144】
−シミュレーション条件−
測定対象物のPSI(Ψ)とDEL(Δ)の値が20°と170°に対し、aの値を1と仮定し、誤差ε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pがそれぞれ、表1の実施例1〜3で示す値である場合、前記数式(7)〜(10)にこれらの値を代入し、得られた信号から、前記数式(13)〜(15)又は前記数式(13’)〜(15’)用いて、誤差補正を行う前後の測定対象物のN、C、及びSを求め、前記数式(16)又は(17)を用いて、測定対象物のPSI(Ψ)とDEL(Δ)を得た。
なお、誤差補正を行う前の場合は、前記数式(13)〜(15)と前記数式(13’)〜(15’)を用いて計算する結果が異なる。表1の誤差補正前の分析結果において、括弧外の値は前記数式(13)〜(15)を用いて計算した結果であり、括弧内の値は前記数式(13’)〜(15’)を用いて計算した結果である。
誤差補正後の場合は、前記数式(13)〜(15)と前記数式(13’)〜(15’)を用いた計算結果が同じになる。
【0145】
【表1】
表1の結果から、測定対象物が同じで誤差が異なる場合でも、誤差補正を行うことにより、誤差補正前に比べて、理論値に近い正確なPSI(Ψ)とDEL(Δ)が得られることがわかった。
【0146】
(実施例4)
−実測−
図2に示す二次元偏光解析装置100を用いて、下記装置内容及び測定方法に基づき、測定対象物No.1(熱酸化膜付きシリコンウェハ、フィルテック社製)の誤差補正前後のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を測定した。測定対象物No.1の誤差補正前後のPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)の結果を
図11に示した。
【0147】
−装置内容−
・装置名:イメージングエリプソメーター(自作)
・光源:LED(波長532nm)
・偏光子:Edmund Optics社製
・位相子:Edmund Optics社製
・検光子:Edmund Optics社製
・受光手段:CMOS(Edmund Optics社製)
測定面積:6.4×4.8(X×Y)mm
2
【0148】
−測定方法−
波長532nmにおける標準試料(シリコン基板)と測定対象物No.1(熱酸化膜付きシリコンウェハ、フィルテック社製)の画像を、前記CMOSを用いて8枚ずつ撮像し、これらの画像から、第4の実施形態の二次元偏光解析法を用いて測定対象物のN、C、及びSを求めた(誤差補正前)。
【0149】
次に、
図9のフローチャート(第4の実施形態の二次元偏光解析法)と同様にして、誤差補正後の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を測定した。
即ち、
図2に示す反射型の二次元偏光解析装置100を用い、位相子の主軸方位θ
Qが0とp/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
Pが0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの標準試料と8つの測定対象物No.1の二次元画像を受光することにより、前記標準試料と前記測定対象物No.1の前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記標準試料と前記測定対象物No.1の前記数式(7)〜(10)を得た。
標準試料としては、シリコン基板を用いた。この標準試料のN、C、及びSは0.653、−0.757、及び0.037であった。
【0150】
次に、前記標準試料での前記数式(7)〜(10)と前記測定対象物No.1での前記数式(7)〜(10)を用いて、位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに測定対象物No.1のN、C、及びSを求めた(誤差補正後)。
得られた測定対象物No.1のN、C、及びSから、前記数式(11)及び(12)により、測定対象物No.1の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を求めた。
誤差補正後のPSI(Ψ)とDEL(Δ)の値は、それぞれ67°と175°付近であり、市販の点計測用エリプソメーター(RC2 ellipsometer, J.A.Woollam,Co.(USA))で測定した値に近かった。
【0151】
(実施例5)
−実測−
実施例4において、測定対象物No.1を、測定対象物No.2(シリコン基板)に代え、実施例4で求めたε
δ、ε’
δ、ε
Q、及びε
Pと前記数式(13)〜(15)を用いてピクセル毎の測定対象物No.2の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)を測定した。測定対象物No.2の誤差補正前後のPSI(Ψ)と位相差DEL(Δ)の結果を
図12に示した。
誤差補正後のPSI(Ψ)とDEL(Δ)の値は、それぞれ24°と177°付近であり、実施例4と同じ市販の点計測用エリプソメーターで測定した値に近かった。
【0152】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 偏光子及び位相子をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物に照射し、前記測定対象物から反射し検光子を通過した光の二次元画像を受光手段により受光して、前記二次元画像のピクセル毎の光強度を求める光強度測定工程と、
前記位相子のリタデーションの製造誤差、前記位相子の主軸方位の初期誤差、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差があるときに、これらの誤差で補正した状態で前記二次元画像のピクセル毎の光強度を求め、これらの光強度の結果から前記位相子のリタデーションの製造誤差、前記位相子の主軸方位の初期誤差、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差を求める誤差算出工程と、
を含むことを特徴とする誤差補正方法である。
<2> 偏光子及び位相子をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物に照射し、前記測定対象物から反射し検光子を通過した光の二次元画像を受光手段により受光して、下記数式(1)で表される前記二次元画像のピクセル毎の光強度Iを求める光強度測定工程と、
前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pがあるときに、前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pにより、前記数式(1)を下記数式(2)に補正し、前記数式(2)から前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求める誤差算出工程と、
を含む前記<1>に記載の誤差補正方法である。
[数式(1)]
【数1】
ただし、前記数式(1)中、aは、入射光強度や受光手段の量子効果等と関連する量である。bは、受光手段の暗電流の影響を示す量である。δは、位相子のリタデーションである。θ
Qは、位相子の主軸方位である。θ
Pは、偏光子の透過軸方位である。N=cos2Ψ、C=sin2ΨcosΔ、S=sin2ΨsinΔ(ただし、Ψは、s偏光とp偏光の反射振幅比角、Δは、s偏光とp偏光の位相差を表す)である。
[数式(2)]
【数2】
ただし、前記数式(2)中、a、b、δ、θ
Q、θ
P、N、C、及びSは、前記数式(1)と同じ意味を表す。ε
δは、位相子のリタデーションの製造誤差を表す。ε
Qは、位相子の主軸方位の初期誤差を表す。ε
Pは、偏光子の透過軸方位の初期誤差を表す。
<3> 前記数式(2)から前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求める誤差算出工程において、
前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させ、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を前記受光手段で受光することにより、前記数式(2)から、下記数式(3)〜(6)を求める前記<2>に記載の誤差補正方法である。
[数式(3)]
【数3】
ただし、前記数式(3)中、a、b、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。前記数式(3)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pが0のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/2のとき−符号である。
[数式(4)]
【数4】
ただし、前記数式(4)中、a、b、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。前記数式(4)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pが−π/4のとき−符号である。
[数式(5)]
【数5】
ただし、前記数式(5)中、a、b、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。ε’
δは、位相子の主軸方位θ
Qをπ/4回転させたときの位相子のリタデーションの製造誤差を表す。前記数式(5)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pが0のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/2のとき−符号である。
[数式(6)]
【数6】
ただし、前記数式(6)中、a、b、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)及び前記数式(2)と同じ意味を表す。ε’
δは、位相子の主軸方位θ
Qをπ/4回転させたときの位相子のリタデーションの製造誤差を表す。前記数式(6)中の±は、偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4のとき+符号、偏光子の透過軸方位θ
Pが−π/4のとき−符号である。
<4> 前記数式(3)及び(5)において、前記偏光子の透過軸方位θ
Pが0とπ/2のときの差分をとり、下記数式(7)及び(9)を導出し、
前記数式(4)及び(6)において、前記偏光子の透過軸方位θ
Pがπ/4と−π/4のときの差分を取ることにより、下記数式(8)及び(10)を導出する前記<3>に記載の誤差補正方法である。
[数式(7)]
【数7】
ただし、前記数式(7)中、a、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、及び前記数式(2)と同じ意味を表す。
[数式(8)]
【数8】
ただし、前記数式(8)中、a、ε
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、及び前記数式(2)と同じ意味を表す。
[数式(9)]
【数9】
ただし、前記数式(9)中、a、ε’
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、前記数式(2)、前記数式(5)、及び前記数式(6)と同じ意味を表す。
[数式(10)]
【数10】
ただし、前記数式(10)中、a、ε’
δ、ε
Q、ε
P、N、C、及びSは、前記数式(1)、前記数式(2)、前記数式(5)、及び前記数式(6)と同じ意味を表す。
<5> 前記数式(7)〜(10)から、前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求める処理であって、
透過モードでの空気中の測定により、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を前記受光手段で受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める処理と、
前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求め、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られた前記ε
Q、及びε
Pを、前記数式(7)〜(10)に代入して、前記二次元画像の中心部以外の部分のε
δ、ε’
δを求め、前記数式(7)〜(10)中の前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及びε
Pを得る処理と、
を含む前記<4>に記載の誤差補正方法である。
<6> 前記数式(7)〜(10)から、前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求める処理であって、
反射モードでの標準試料の測定により、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める処理と、
前記数式(7)〜(10)を用いて、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ=ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを求め、前記二次元画像の中心部のピクセルの信号から得られた前記ε
Q、及びε
Pを前記数式(7)〜(10)に代入して、前記二次元画像の中心部以外の部分のε
δ、ε’
δを求め、前記数式(7)〜(10)中の前記ε
δ、ε’
δ、前記ε
Q、及びε
Pを得る処理と、
を含む前記<4>に記載の誤差補正方法である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の誤差補正方法を用いることを特徴とする二次元偏光解析法である。
<8> 前記<5>から<6>のいずれかに記載の誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記測定対象物から求めた前記数式(7)〜(10)に、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを代入し、前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、
を含む前記<7>に記載の二次元偏光解析法である。
<9> 前記<4>に記載の誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
透過モードでの空気中の測定により、前記位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、前記偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの二次元画像を前記受光手段で受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める工程と、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記空気中での前記数式(7)〜(10)と前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)を用いて、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、
を含む前記<7>に記載の二次元偏光解析法である。
<10> 前記<4>に記載の誤差補正方法を用いた二次元偏光解析法であって、
反射モードでの標準試料の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記標準試料の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める工程と、
反射モードでの測定対象物の測定により、位相子の主軸方位θ
Qが0とπ/4のとき、偏光子を該偏光子の透過軸方位θ
P=0、π/2、π/4、又は−π/4にそれぞれ回転させて、それぞれの回転角度での8つの前記測定対象物の二次元画像を受光することにより、前記数式(3)〜(6)を求め、これらの差分である前記数式(7)〜(10)を求める工程と、
前記標準試料での前記数式(7)〜(10)と前記測定対象物での前記数式(7)〜(10)を用いて、前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
P、並びに前記測定対象物のN、C、及びSを求める工程と、
を含む前記<7>に記載の二次元偏光解析法である。
<11> 得られた前記測定対象物のN、C、及びSを、下記数式(11)及び(12)に代入して、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したΨと位相差Δを求める工程を含む前記<8>から<10>のいずれかに記載の二次元偏光解析法である。
[数式(11)]
【数11】
[数式(12)]
【数12】
<12> 前記<5>から<6>のいずれかに記載の誤差補正方法、又は前記<8>から<10>のいずれかに記載の二次元偏光解析法により、得られた位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、ε’
δ、位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pを、前記数式(7)〜(10)に代入して、下記数式(7’)〜(10’)を求める工程と、
前記数式(7’)〜(10’)から、下記数式(13)又は(13’)、数式(14)又は(14’)、及び数式(15)又は(15’)を導出し、測定対象物のaN、aC、及びaSを求める工程と、
を含むことを特徴とする二次元偏光解析法である。
[数式(7’)]
【数13】
ただし、前記数式(7’)中のe
11〜e
13は、以下のとおりである。
【数14】
[数式(8’)]
【数15】
ただし、前記数式(8’)中のe
21〜e
23は、以下のとおりである。
【数16】
[数式(9’)]
【数17】
ただし、前記数式(9’)中のe
31〜e
33は、以下のとおりである。
【数18】
[数式(10’)]
【数19】
ただし、前記数式(10’)中のe
41〜e
43は、以下のとおりである。
【数20】
[数式(13)]
【数21】
[数式(13’)]
【数22】
ただし、前記数式(13)及び(13’)中、e
11〜e
43は、前記数式(7’)〜(10’)と同じ意味を表す。
[数式(14)]
【数23】
[数式(14’)]
【数24】
ただし、前記数式(14)と(14’)中、e
11〜e
43は、前記数式(7’)〜(10’)と同じ意味を表す。
[数式(15)]
【数25】
[数式(15’)]
【数26】
ただし、前記数式(15)と(15’)中、e
11〜e
43は、前記数式(7’)〜(10’)と同じ意味を表す。
<13> 得られた前記測定対象物のaN、aC、及びaSを、下記数式(16)及び(17)に代入して、前記測定対象物の二次元画像のピクセル毎の出射光のp、s成分の振幅比を角度で表したΨと位相差Δを求める工程を含む前記<12>に記載の二次元偏光解析法である。
[数式(16)]
【数27】
[数式(17)]
【数28】
<14> 偏光子及び位相子をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物に照射し、前記測定対象物から反射し検光子を通過した光の二次元画像を受光手段により受光して、前記二次元画像のピクセル毎の光強度を求める光強度測定手段と、
前記位相子のリタデーションの製造誤差、前記位相子の主軸方位の初期誤差、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差があるときに、これらの誤差で補正した状態で前記二次元画像のピクセル毎の光強度を求め、これらの光強度の結果から前記位相子のリタデーションの製造誤差、前記位相子の主軸方位の初期誤差、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差を求める誤差算出手段と、
を有することを特徴とする誤差補正装置である。
<15> 偏光子及び位相子をそれぞれの条件を変えて光変調した光を測定対象物に照射し、前記測定対象物から反射し検光子を通過した光の二次元画像を受光手段により受光して、下記数式(1)で表される前記二次元画像のピクセル毎の光強度Iを求める光強度測定手段と、
前記位相子のリタデーションの製造誤差ε
δ、前記位相子の主軸方位の初期誤差ε
Q、及び前記偏光子の透過軸方位の初期誤差ε
Pがあるときに、前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pにより、前記数式(1)を下記数式(2)に補正し、前記数式(2)から前記ε
δ、前記ε
Q、及び前記ε
Pを求める誤差算出手段と、
を有する前記<14>に記載の誤差補正装置である。
[数式(1)]
【数29】
ただし、前記数式(1)中、aは、入射光強度や受光手段の量子効果等と関連する量である。bは、受光手段の暗電流の影響を示す量である。δは、位相子のリタデーションである。θ
Qは、位相子の主軸方位である。θ
Pは、偏光子の透過軸方位である。N=cos2Ψ、C=sin2ΨcosΔ、S=sin2ΨsinΔ(ただし、Ψは、s偏光とp偏光の反射振幅比角、Δは、s偏光とp偏光の位相差を表す)である。
[数式(2)]
【数30】
ただし、前記数式(2)中、a、b、δ、θ
Q、θ
P、N、C、及びSは、前記数式(1)と同じ意味を表す。ε
δは、位相子のリタデーションの製造誤差を表す。ε
Qは、位相子の主軸方位の初期誤差を表す。ε
Pは、偏光子の透過軸方位の初期誤差を表す。
<16> 前記<14>から<15>のいずれかに記載の誤差補正装置を有することを特徴とする二次元偏光解析装置である。
【0153】
前記<1>から<6>のいずれかに記載の誤差補正方法、前記<7>から<13>のいずれかに記載の二次元偏光解析法、前記<14>から<15>のいずれかに記載の誤差補正装置、及び前記<16>に記載の二次元偏光解析装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。