特許第6805478号(P6805478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805478
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20201214BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20201214BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H02M3/28 Z
   H05K7/20 D
   H05K7/20 F
   H01L23/46 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-176667(P2015-176667)
(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公開番号】特開2017-55519(P2017-55519A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】池澤 輝
(72)【発明者】
【氏名】水上 豊
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/147930(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/147963(WO,A1)
【文献】 特開2014−175589(JP,A)
【文献】 実開平01−139612(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00〜 3/44
H02M 1/00〜 1/44
H02M 7/00〜 7/98
H05K 7/20
H01L23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に搭載される巻線部品と、
前記回路基板に搭載された複数の半導体素子と、
前記回路基板を収容する筐体と、
前記筐体の底面を冷却する冷媒を流通させる冷媒流路を有する第1の冷却手段と、
を備え、
前記冷媒流路の方向に沿って見たときに、前記複数の半導体素子の少なくとも一部は、前記巻線部品を挟んで配置され、
前記回路基板において、前記複数の半導体素子が搭載される位置の裏面側が、前記筐体の底面と熱的に接続されている電源装置。
【請求項2】
前記複数の半導体素子の少なくとも一部は、前記回路基板の端部に搭載され、
前記回路基板の端部は、前記筐体の底面から延びる側壁と近接している請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記筐体の側壁は、冷媒流路を有する第2の冷却手段を備える請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記巻線部品と前記筐体の側壁とを接続し、前記巻線部品からの熱を前記筐体の側壁へ伝熱させる伝熱部材をさらに備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記複数の半導体素子には同一種類の半導体素子が複数含まれ、前記同一種類の複数の半導体素子は、前記第1の冷却手段における前記冷媒流路の流通方向に対して略直交する方向に、前記回路基板の端部に連続して搭載されている請求項1〜のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記同一種類の複数の半導体素子は、前記第1の冷却手段における前記冷媒流路の上流側及び下流側のそれぞれに連続して搭載される請求項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電源装置では、半導体素子、トランス等の電子部品が搭載又は接続された基板が、筐体内に収容される。電子部品には高温に発熱するものが含まれるため、電源装置では、筐体の底面(ベースプレート)を介して放熱を行うことが一般的である。また、特許文献1のように、冷媒が流れる冷媒通路を有する冷却部を設けて電子部品を冷却する構成も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−34270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電源装置は搭載すべき電子部品に含まれる発熱部品の点数が多い。搭載される電子部品それぞれを冷却するためにベースプレート上に広げて配置をすると、電源装置自体が大型化してしまう。一方で、冷却手段を大型化すると、電源装置の大型化を導く可能性がある。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、放熱効果が高められた電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電源装置は、回路基板と、前記回路基板に搭載される巻線部品と、前記回路基板に搭載された複数の半導体素子と、前記回路基板を収容する筐体と、前記筐体の底面を冷却する冷媒を流通させる冷媒流路を有する第1の冷却手段と、を備え、前記冷媒流路の方向に沿って見たときに、前記複数の半導体素子は、前記巻線部品を挟んで配置されることを特徴とする。
【0007】
上記の電源装置によれば、冷媒流路の方向に沿って見たときに、複数の半導体素子が巻線部品を挟んで配置される。これにより、冷媒流路の方向に沿って半導体素子同士が近接配置される場合と比較して、発熱部品である半導体素子からの第1の冷却手段を利用した放熱の効果を高めることができる。
【0008】
ここで、前記複数の半導体素子の少なくとも一部は、前記回路基板の端部に搭載され、前記回路基板の端部は、前記筐体の底面から延びる側壁と近接している態様とすることができる。
【0009】
回路基板の端部が側壁と近接していて、半導体素子が回路基板の端部に搭載されることで、半導体素子からの熱を側壁から外部に放熱することも可能となる。したがって、電源装置における放熱効果が高められる。
【0010】
前記筐体の側壁は、前記冷媒流路を有する第2の冷却手段を備える態様とすることができる。
【0011】
側壁が第2の冷却手段を備えることで、側壁に近接する巻線部品や半導体素子からの放熱を好適に行うことができるため、放熱効果が高められる。
【0012】
前記回路基板において、前記複数の半導体素子が搭載される位置の裏面側が、前記筐体の底面と熱的に接続されている態様とすることができる。
【0013】
上記の構成を備えることで、特に高温になりがちな半導体素子からの熱を筐体の底面からも放熱することができるため、放熱効果が高められる。
【0014】
前記冷媒流路の方向から見たときに、前記複数の半導体素子と前記巻線部品とは互いに重ならない位置に搭載される態様とすることができる。
【0015】
冷媒流路の方向から見たときに、複数の半導体素子と巻線部品とが互いに重ならない位置に搭載される場合、冷媒流路を流れる冷媒が半導体素子及び巻線部品の両方を冷却することを防ぐことができるため、放熱効果が高められる。
【0016】
前記巻線部品からの熱を前記筐体の側壁へ伝熱させる伝熱部材をさらに備える態様とすることができる。
【0017】
上記のように伝熱部材を備えることで、回路部品に搭載された巻線部品からの熱についても放熱が可能となるため、電源装置における冷却効率が高められる。
【0018】
また、本発明の一形態に係る電源装置は、回路基板と、前記回路基板に搭載される巻線部品と、前記回路基板に搭載された同一種類の複数の半導体素子と、前記回路基板を収容する筐体と、前記筐体の底面を冷却する冷媒を流通させる第1の冷媒流路を有する冷却手段と、を備え、前記同一種類の複数の半導体素子は、前記第1の冷媒流路の流通方向に対して略直交する方向に、前記回路基板の端部に連続して搭載されていることを特徴とする。
【0019】
上記の電源装置によれば、同一種類の複数の半導体素子は、第1の冷媒流路の流通方向に対して略直交する方向に、回路基板の端部に連続して搭載される。これにより、第1の冷媒流路の方向に沿って複数の半導体素子が近接配置される場合と比較して、第1の冷媒流路を流れる冷媒によって各半導体素子を好適に冷却することができるため、放熱の効果を高めることができる。
【0020】
ここで、前記同一種類の複数の半導体素子は、前記第1の冷媒流路の上流側及び下流側のそれぞれに連続して搭載される態様とすることができる。
【0021】
上記のように、第1の冷媒流路の上流側及び下流側のそれぞれに連続して搭載することで、同一種類の複数の半導体素子同士が近接配置することを防ぐことができるため、電源装置における冷却効率が高められる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、放熱効果が高められた電源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る電源装置の概略構成を説明する斜視図である。
図2】電源装置の下面側からの斜視図である。
図3】主回路基板及び主回路基板上の電子部品に係る配置を説明する概略平面図である。
図4】電源装置の概略構成を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図1,2,4では、X軸、Y軸及びZ軸を記載している。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る電源装置の概略構成を説明する斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る電源装置の下面側からの斜視図である。また、図3は、電源装置の概略構成を説明する分解斜視図であり、図4は、主回路基板及び主回路基板上の電子部品に係る配置を説明する概略平面図である。
【0026】
本実施形態で説明する電源装置は、例えば、入力端子に接続された高圧バッテリから入力された直流電圧を電圧変換(降圧)し、所望の直流出力電圧を生成するスイッチング電源装置等である。本実施形態の電源装置1は、2次側が同期整流型のDC−DCコンバータである場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0027】
電源装置1は、入力平滑コンデンサ、スイッチング素子、トランス、整流回路、出力平滑コンデンサ、インダクタ等の電子部品が主回路基板20(回路基板)に接続されて筐体10内に収容されたものである。このうち、トランス及びインダクタは、巻線と巻線が巻回されるコアとを備える所謂巻線部品である。図1では、主回路基板20、1次側と2次側との間に配置されるメイントランス30を構成する一対の磁性体コア31、1次側のチョークコイルである共振インダクタ40を構成する一対の磁性体コア41、4つの半導体素子が一列に配置された2つの1次側のスイッチング素子群50A(スイッチング素子51〜54),50B(スイッチング素子55〜58)、2つの半導体素子が一列に配置された2つの2次側の整流素子群60A(整流素子61〜63),60B(整流素子64〜66)を図示している。電源装置1は、上記の電子部品の他多数の電子部品を含んで構成されるが、本実施形態に係る電源装置1における主要な電子部品を除いて、記載を省略する。
【0028】
筐体10は、電源装置1の構成部材を収容する金属製ケースの一部を構成する。筐体10は、筐体10の底面を形成するベースプレート11とベースプレート11を取り囲む側壁12とを含んで構成される。電源装置1では、筐体10の内部に上記の電子部品を収容した後にカバー(図示せず)で覆われる。各構成部材は筐体10の底面を構成するベースプレート11の上に取り付けられる。また、筐体10はアルミニウム等の金属からなり、ベースプレート11の裏面側(図1の下側:素子や基板が固定される面とは逆の面側)には、Y軸方向に延びる放熱用のフィン13が取り付けられる。
【0029】
また、ベースプレート11の裏面に設けられる放熱用のフィン13は、図2に示すように、ベースプレート11の四方を囲む側壁12のうちX軸方向に沿って延びて対向配置された側壁12A,12Bの外側にも連続している。放熱用のフィン13は、筐体10の外部においてベースプレート11の裏面側を冷却する空気がY軸方向に移動する際の流路として機能する第1の冷却手段を形成する。この場合、放熱用のフィン13により形成される冷媒流路(第1の冷媒流路)における冷媒の流通方向はY軸方向となる。また、側壁12A,12Bにおいては、筐体10の外部において空気が放熱用のフィン13に沿ってZ軸方向に移動する際の流路として機能する。すなわち、側壁12A,12Bにおける放熱用のフィン13は、冷媒を流通させる冷媒流路を有する第2の冷却手段を形成する。放熱用のフィン13の間を空気が移動することで、放熱用のフィン13が空冷される。これにより、ベースプレート11の表面側に固定された電源装置1の各素子において発生する熱がベースプレート11及び側壁12A,12Bに伝熱し、ベースプレート11の裏面側及び側壁12A,12Bの外側から外部に放熱される。このように、ベースプレート11及び側壁12A,12Bは、放熱機能を有するヒートシンクとしても機能する。
【0030】
なお、放熱用のフィン13は、ベースプレート11及び側壁12A,12Bとは異なる部材から構成されていてもよいし、同一の部材から構成されていてもよい。また、ベースプレート11及び側壁12A,12Bに取り付けられる放熱用のフィン13は、本実施形態のように連続していなくてもよい。また、空冷による放熱用のフィン13を取り付ける構成に代えて、ベースプレート11の裏面側に水冷用の冷却液流路を設けて、ベースプレート11を水冷することで、ベースプレート11の裏面側から外部に放熱する構成としてもよい。
【0031】
筐体10には、筐体10の内外を電気的に接続する入力端子15及び出力端子16が取り付けられる。入力端子15から直流電圧を入力し、電圧変換(降圧)した後に出力端子16から出力する。
【0032】
主回路基板20は、例えば、樹脂等の絶縁材料からなるベース板の表裏面に導体からなる回路パターンを形成し、さらに樹脂等の絶縁材料によって回路パターンを覆うことにより形成される。本実施形態では、主回路基板20はXY平面に沿って延びる長方形状をなしている。主回路基板20として、絶縁材料と回路パターン(導体層)とが交互に積層された多層基板を用いてもよい。回路パターンの導体は、主回路基板20に対して接続する半導体素子等の電子部品に対して接続されて、電源装置1における電源回路を構成する。本実施形態における主回路基板20には巻線部品におけるコイルのパターンも形成されている。
【0033】
主回路基板20は筐体10のベースプレート11上に載置されている。平面視において筐体10の大きさは主回路基板20の形状に対応したものとされていて、主回路基板20の端部に対して、筐体10の側壁が近接して配置されている。なお、近接とは、主回路基板20の端部と筐体10の側壁との距離が、最低限必要な電気的絶縁距離を保って配置されていることをいう。本実施形態では、近接とは、主回路基板20の短辺の長さの1/3よりも小さい程度である。
【0034】
主回路基板20及び主回路基板20に取り付けられる電子部品についてさらに説明する。本実施形態では、主回路基板20に搭載される電子部品のうち、本発明の特徴に関係する電子部品のみを抽出して示している。
【0035】
図1図3等に示すように、巻線部品の1つであるメイントランス30を構成する磁性体コア31は、所謂EI型の磁性体コアを構成している。具体的には、主回路基板20の上方側(+Z軸側)にY軸方向が長手方向となるようにE型コア31Aを配置し、下方側(−Z軸側)にI型コア(図示せず)を配置している。主回路基板20には、E型コア31Aの脚部を挿通させるための3つの開口21A,21B,21CがY軸方向に沿って設けられている。E型コア31Aの3つの脚部は、それぞれ開口21A,21B,21Cに対して挿入される。主回路基板20内には、中央の開口21Bの周囲を巻回するように、パターンコイル25(図3参照)が形成されると共に、パターンコイル部分の上流側及び下流側の回路パターン(図示せず)が形成される。パターンコイル25におけるコイルの巻数は特に限定されない。
【0036】
また、メイントランス30のE型コア31Aの上方には、側壁12A,12Bと接続される伝熱部材35(図1図3参照)が取り付けられる。伝熱部材は、E型コア31A及び側壁12A,12Bと熱的に接続され、E型コア31Aを含むメイントランス30からの熱を側壁12A,12Bへ伝熱する。
【0037】
また、巻線部品の1つ(第2の巻線部品)である共振インダクタ40を構成する磁性体コア41についても同様に、所謂EI型の磁性体コアを構成している。具体的には、主回路基板20の上方側(+Z軸側)にY軸方向が長手方向となるようにE型コア41Aを配置し、下方側(−Z軸側)にI型コア(図示せず)を配置している。主回路基板20には、E型コア41Aの脚部を挿通させるための3つの開口22A,22B,22CがY軸方向に沿って設けられている。E型コア41Aの3つの脚部は、それぞれ開口22A,22B,22Cに対して挿入される。主回路基板20内には、中央の開口22Bの周囲を巻回するように、パターンコイル26(図3参照)が形成されると共に、パターンコイル部分の上流側及び下流側の回路パターン(図示せず)が形成される。パターンコイル26におけるコイルの巻数は特に限定されない。
【0038】
また、図4に示すように、主回路基板20を載置する筐体10のベースプレート11は、主回路基板20の裏面側と可能な限り熱的に接続可能とされている。特に、スイッチング素子群50A,50B及び整流素子群60A,60Bが搭載される位置の裏面側では、主回路基板20とベースプレート11とが熱的に接続する形状となっている。本実施形態の電源装置1では、主回路基板20の裏面側とベースプレート11の表面とが熱的に接続可能なように、メイントランス30及び共振インダクタ40のI型コアを収容可能な凹部17,18を形成することで、凹部17,18との段差を利用して主回路基板20の裏面側とベースプレート11の表面とを熱的に接続している。なお、主回路基板20の裏面側とベースプレート11とを熱的に接続するために、両者の間にサーマルコンパウンド等を塗布してもよい。
【0039】
ここで、電源装置1におけるメイントランス30及び共振インダクタ40は、図3に示すように、主回路基板20の短辺(Y軸方向)の中央付近(略中央)に配置される。そして、1次側のスイッチング素子群50A(スイッチング素子51〜54),50B(スイッチング素子55〜58)及び2次側の整流素子群60A(整流素子61〜63),60B(整流素子64〜66)は、メイントランス30及び共振インダクタ40を挟んで対向するように主回路基板20の端部に配置される。ここでいう端部とは、図3に示すようにスイッチング素子群50A,50B及び整流素子群60A,60Bが主回路基板20の縁から若干の余裕をもってメイントランス30又は共振インダクタ40側に配置されているような、主回路基板20全体から見たときの相対的な端部をいう。本実施形態では、主回路基板20の主面の端からの距離が主回路基板20の短辺の長さに対して1/4程度までの領域を端部という。
【0040】
本実施形態に係る電源装置1では、放熱用のフィン13がY軸方向に延びるように形成されている。すなわち、冷媒流路がY軸方向に形成されている。Y軸方向に沿って見たときに、巻線部品である共振インダクタ40を挟んで、半導体素子であるスイッチング素子群50A,50Bが配置されている。このように、冷媒流路方向に沿って見たときに、複数のスイッチング素子51〜58が共振インダクタ40を挟んで配置されることで、半導体素子の放熱効果が高められる。
【0041】
半導体素子は、発熱性が高い部品である。したがって、これらを近接して配置した場合、冷媒流路を流れる冷媒による冷却を十分に行うことができない可能性がある。特に、冷媒流路の方向に沿って複数近接配置すると、上流側に位置する半導体素子の熱の影響により、冷媒の移動方向の下流側に位置する半導体素子は十分に冷却されない可能性がある。これに対して、本実施形態の電源装置1のように、冷媒流路方向(Y軸方向)に沿って見たときに巻線部品であるメイントランス30や共振インダクタ40を挟んで配置することで、冷媒流路方向に見たときに複数の半導体素子の間の距離を確保することができるため、冷媒流路を移動する冷媒による放熱効果を高めることができる。この場合、半導体素子を冷却するための冷却手段の別途設ける必要もないので、電源装置1が大型化することについても防ぐことができる。
【0042】
また、整流素子63,66については、冷媒流路方向(Y軸方向)から見たときに、巻線部品であるメイントランス30及び共振インダクタ40と重ならない位置に配置される。メイントランス30及び共振インダクタ40のような巻線部品は、半導体素子と比較すると発熱量は少ないが、発熱する部品である。したがって、冷媒流路方向(Y軸方向)から見たときに、巻線部品と半導体素子とが互いに重ならないように配置することで、巻線部品及び半導体素子の両者における冷媒流路を移動する冷媒による放熱効果を高めることができる。そして、冷媒流路方向(Y軸方向)から見たときに巻線部品と半導体素子とが互いに重ならないように半導体素子を配置した場合であっても、整流素子63,66のように、冷媒流路方向(Y軸方向)から見たときに互いに重なりあう半導体素子については、互いに離間して配置することで、冷媒による放熱効果をさらに高めることができる。
【0043】
また、1次側のスイッチング素子群50A(スイッチング素子51〜54),50B(スイッチング素子55〜58)及び2次側の整流素子群60A(整流素子61〜63),60B(整流素子64〜66)は、主回路基板20の端部に配置されている。電源装置1では、主回路基板20の大きさは、筐体10に若干のマージンをもって収容される大きさであって、スイッチング素子群50A及び整流素子群60A(整流素子61,62)が配置された主回路基板20の端部は、側壁12Aと近接している。同様に、スイッチング素子群50B及び整流素子群60B(整流素子64,65)が配置された主回路基板20の端部は、側壁12Bと近接している。側壁12A,12Bには、放熱用のフィン13が取り付けられているので、他の側壁と比較しても放熱用のフィン13による放熱効果が高められる。なお、側壁12A,12Bに放熱用のフィン13が設けられていない場合であっても、側壁12A,12Bは外部に露出していることから、冷却効果が大きい。したがって、電源装置1のように、側壁と近接配置される主回路基板の端部に半導体素子を搭載することで、半導体素子に係る放熱効果を高めることができる。
【0044】
また、主回路基板20では、半導体素子(スイッチング素子群50A,50B及び整流素子群60A,60B)が搭載される位置の裏面側が、ベースプレート11と熱的に接続されている。したがって、半導体素子については、主回路基板20及びベースプレート11を経由した放熱も好適に行われる。
【0045】
また、メイントランス30のように、巻線部品で発生した熱を伝熱部材35を介して側壁12A,12Bに対して伝熱する構成を備えている場合、主回路基板20の中央に搭載された巻線部品についても側壁への放熱を行うことができるため、電源装置1における放熱性を向上させることができる。特に、メイントランス30のように、磁性体コア31の長手方向が冷媒流路の方向(Y軸方向)と同じである場合、冷媒によって磁性体コア31を十分に冷却することができないことが考えられる。このような場合に、伝熱部材35を利用して、磁性体コア31の上方から側壁12A,12Bへの放熱経路を設けることで、特に磁性体コア31からの放熱を好適に行うことができる。
【0046】
上記の電源装置1における半導体素子の配置の特徴は、以下のように言うこともできる。すなわち、同一種類の複数の半導体素子(例えば、スイッチング素子群50Aに含まれるスイッチング素子51〜54等)は、第1の冷媒流路の流通方向(Y軸方向)に対して略直交する方向に、主回路基板20の端部に連続して搭載されている。したがって、複数の半導体素子が近接配置される場合と比較して、冷媒流路である放熱用のフィン13を流れる冷媒によって各半導体素子を好適に冷却することができるため、放熱の効果を高めることができる。
【0047】
また、同一種類の複数の半導体素子(例えば、スイッチング素子群50Aに含まれるスイッチング素子51〜54、及び、スイッチング素子群50Bに含まれるスイッチング素子55〜58)は、それぞれ冷媒流路(放熱用のフィン13)の上流側及び下流側のそれぞれであって、主回路基板20の端部に連続して搭載されている。これにより、同一種類の複数の半導体素子同士が近接配置することを防ぐことができるため、電源装置1における冷却効率が高められる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態の電源装置について説明したが、本発明は、上記実施形態の態様に限定されない。
【0049】
例えば、上記実施形態では、メイントランス30及び共振インダクタ40が主回路基板20の中央に配置されている例について説明したが、中央に配置されていなくてもよい。また、半導体素子の数は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…電源装置、10…筐体、11…ベースプレート、12…側壁、20…主回路基板、25,26…パターンコイル、30…メイントランス、40…共振インダクタ、50A,50B…スイッチング素子群、51〜58…スイッチング素子、60A,60B…整流素子群,61〜66…整流素子。

図1
図2
図3
図4