(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
図1は、防塵体2が貼付されたガラス基板1を示す図である。
図2は、防塵体2の詳細を説明する図である。
図2(a)は、防塵体2の斜視図であり、
図2(b)は、防塵体2の防塵用シート4側から見た平面図である。
図2(c)は、防塵体2の側面図である。
【0011】
ガラス基板1は、電子回路等のパターンPがその表面上に描かれたフォトマスクであり、その外形は矩形状に形成されている。本実施形態のガラス基板1は、石英や、ソーダライムガラス等が用いられる。
防塵体2は、ガラス基板1に設けられたパターンPを塵等の異物から保護するために設けられており、
図1に示すように、ガラス基板1のパターンPを覆うようにして貼付されている。本実施形態の防塵体2は、
図2に示すように、枠体3、防塵用シート4、接着層5等から構成される。
【0012】
枠体3は、防塵体2の骨格となる枠部材であり、ガラス基板1に設けられたパターンPを囲むようにして配置される。枠体3は、防塵用シート4のシート面がガラス基板1のパターンPに接触してしまうのを防ぐために設けられている。本実施形態の枠体3は、アルミニウム等の金属部材により厚み方向から見た形状が矩形状に形成されており、枠材3A〜3Dにより構成されている。
枠体3の一方の開口部には、その開口部を塞ぐようにして防塵用シート4が貼付されている。また、他方の開口部の縁上には、防塵体2をガラス基板1に接着する接着層5が設けられている。
【0013】
また、本実施形態の枠体3は、枠材3A〜3Dのうち、互いの対向する枠材3A及び枠材3Bの外側の側面に、未貫通の円形状の穴(3a〜3d)が2つずつ設けられている。具体的には、枠材3Aの一方の端部に穴3aが形成され、枠材3Aの他方の端部に穴3cが形成されている。また、同様に、枠材3Bの一方の端部に穴3bが、枠材3Bの他方の端部に穴3dが形成されている。
この穴3a〜3dは、防塵体2をガラス基板1から剥離する場合に用いられる(詳細は後述する)。各穴3a〜3dは、各枠材の両端部近傍、すなわち、枠体3の角部近傍に設けられている。ここで、枠体3の角部近傍とは、枠体の角部だけでなく、角部から25mm以内で離れた領域も含むものをいう。
なお、各穴3a〜3dは、防塵体2をガラス基板1から剥離するために専用に設けてもよく、また、他の工程等で使用する既存の穴や切り欠き等を流用するようにしてもよい。
【0014】
防塵用シート4は、ガラス基板1の表面に設けられたパターンPに異物が付着してしまうのを防ぐために設けられた、いわゆるペリクルフィルムである。防塵用シート4は、光透過性を有するニトロセルロースや、酢酸セルロース、フッ素系樹脂などから構成されている。防塵用シート4は、上述したように、枠体3の一方の開口部を塞ぐようにして貼付されている。
接着層5は、防塵体2をガラス基板1に対して固定する接着剤の層である。接着層5は、例えば、アクリル系接着剤や、スチレン系接着剤、シリコン系接着剤等が用いられている。接着層5は、枠体3の他方の開口部の縁上に隙間なく設けられている。
【0015】
次に、ガラス基板1に貼付された防塵体2を剥離する剥離装置10について説明する。
図3は、本実施形態の防塵体2の剥離装置10の全体構成を示す図である。
図3(a)は、防塵体2が接着されたガラス基板1が保持された剥離装置10の斜視図である。また、
図3(b)は、剥離装置10の基板保持台11に対するガラス基板1の配置状態を説明する図である。
なお、
図3では、説明を明確にするために、XYZの直交座標系を用いて剥離装置10の鉛直方向をZ方向とし、奥行き方向をY方向とし、鉛直方向及び奥行き方向に直交する前後方向をX方向とする。ここで、鉛直方向のうち鉛直上側を+Z側とし、鉛直下側を−Z側とし、また、奥行き方向のうち奥側を+Y側とし、手前側を−Y側とし、更に、前後方向のうち前側を−X側とし、後側を+X側とする。
【0016】
剥離装置10は、ガラス基板1に貼付された防塵体2を剥離する装置である。本実施形態の剥離装置10は、ガラス基板1を保持するとともに、ガラス基板1に貼付される防塵体2を複数箇所で保持して、保持した箇所のうちの一か所から徐々に防塵体2をガラス基板1から引き剥がす装置である(詳細は、後述する)。剥離装置10は、
図3(a)に示すように、基板保持台11、防塵体剥離部20(20A〜20D)、制御部30等から構成されている。
【0017】
基板保持台11は、ガラス基板1を載置して、保持する平板状の台であり、剥離装置10の不図示のフレームに固定されている。基板保持台11は、その中央部に矩形状の貫通孔11aが設けられている。この貫通孔11aは、ガラス基板1が、防塵体2が接着される側の面を下側(−Z側)にして基板保持台11上に配置された場合に、防塵体2が基板保持台11に干渉してしまうのを防止するために設けられている。そのため、貫通孔11aの前後方向(X方向)及び奥行き方向(Y方向)における形状は、防塵体2の外形よりも大きい寸法で形成されている。
本実施形態の基板保持台11は、載置されるガラス基板1が貫通孔11aから落下してしまうのを抑制するために、
図3(b)に示すように、略8角形状に形成されており、ガラス基板1の角部に対応する位置に、その角部を保持する保持部11bが設けられている。
【0018】
防塵体剥離部20は、基板保持台11に保持されたガラス基板1の防塵体2を保持して、ガラス基板1から防塵体2を引き剥がす部分である。本実施形態の防塵体剥離部20は、4台(20A〜20D)設けられており、防塵体2の枠体3に設けられた4つの穴3a〜3dを介して、防塵体2を4点で保持する。
本実施形態では、防塵体剥離部20Aは、剥離装置10の前側(−X側)であって手前側(−Y側)に配置されており、防塵体剥離部20Bは、剥離装置10の後側(+X側)であって手前側(−Y側)に配置されている。また、防塵体剥離部20Cは、剥離装置10の前側(−X側)であって奥側(+Y側)に配置されており、防塵体剥離部20Dは、剥離装置10の後側(+X側)であって奥側(+Y側)に配置されている。以下、防塵体剥離部20Aについて説明するが、防塵体剥離部20B〜20Dについても同様である。
【0019】
防塵体剥離部20Aは、
図3(a)に示すように、駆動部材21A、保持部材22A、駆動部23A等から構成されている。
駆動部材21Aは、その上端部に設けられる保持部材22Aを鉛直方向に移動させる部材であり、その下端部側に駆動部23Aが配置されている。本実施形態では、駆動部材21Aには、不図示の歯車(ラックギア)が設けられており、駆動部23Aに設けられる不図示の回転モータに接続される歯車(ピニオンギア)が係合することにより、いわゆるラック・アンド・ピニオンの機構が構成されており、回転モータの回転運動を鉛直方向の直動運動に変換している。
【0020】
保持部材22Aは、防塵体2の枠体3に設けられた穴に挿入され、防塵体2を保持する円柱状の部材である。本実施形態では、保持部材22Aは、枠体3の穴3aに挿入され、保持部材22Bは、枠体3の穴3bに挿入され、保持部材22Cは、枠体3の穴3cに挿入され、保持部材22Dは、枠体3の穴3dに挿入される。
各保持部材の円柱状の外径は、枠体の各穴の直径よりも若干小さい寸法で形成されている。
なお、各保持部材は、各駆動部材に対して一体に形成されていてもよく、また、別体で形成されていてもよく、更に、各駆動部材に対して取り外し可能に固定されるようにしてもよい。
【0021】
駆動部23Aは、駆動部材21Aを鉛直方向(Z方向)に駆動させる駆動源であり、本実施形態では、不図示の回転モータと、その回転モータの回転軸に設けられた歯車(ピニオンギア)等から構成される。駆動部23Aは、上述したように、回転モータに設けられた歯車が、駆動部材21Aの不図示の歯車に係合しており、回転モータが回転することによって、駆動部材21Aを鉛直方向に移動させる。駆動部23Aは、制御部30に電気的に接続されており、制御部30から送信される駆動信号に基づいて駆動される。
【0022】
制御部30は、防塵体剥離部20A〜20Dに接続され、各防塵体剥離部20A〜20Dの駆動部23A〜23Dを統括制御する制御回路であり、例えばCPU等から構成される。制御部30は、不図示の記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0023】
次に、剥離装置10の動作(防塵体の剥離方法)について説明する。
図4は、本実施形態の剥離装置の動作を説明するフローチャートである。
図5は、本実施形態の防塵体の剥離装置によって防塵体を剥離する状態を示す図である。
図5は、
図3(a)に対応する図である。
最初に、剥離装置10の基板保持台11上に、防塵体2が固定されたガラス基板1を載置する。ここで、ガラス基板1は、
図5に示すように、防塵体2が固定された側の面を鉛直下側(−Z側)に向けて、防塵体2が貫通孔11a内に配置されるようにして、基板保持台11上に配置される(基板保持工程)。本実施形態では、ガラス基板1は、防塵体2の枠体3に設けられた穴3aが奥行き方向(Y方向)の手前側(−Y側)であって前後方向(X方向)の前側(−X側)に、穴3bが手前側(−Y側)であって後側(+X側)に、穴3cが奥側(+Y側)であって前側に、穴3bが奥側であって後側にそれぞれ位置するようにして配置される。
それから、各防塵体剥離部20A〜20Dに設けられた保持部材22A〜22Dを、それぞれ、防塵体2の枠体3に設けられた穴3a〜3dに挿入して、保持部材により防塵体2の枠体3を保持させる(枠体保持工程)。
【0024】
ガラス基板1が基板保持台11に対して適正に配置されるとともに、各保持部材により防塵体2の枠体3が適正に保持されたら、剥離装置10の不図示の電源を投入し、剥離装置10による防塵体2の剥離作業を開始する。
まず、
図4に示すように、ステップ(以下、Sという)1において、制御部30は、4台の防塵体剥離部20のうち、防塵体剥離部20Aの駆動部23Aのみを駆動させて、所定の速度で駆動部材21Aを鉛直下側(−Z方向)へ移動させる(第1剥離工程)。
【0025】
ここで、駆動部材21Aに設けられた保持部材22Aは、枠体3の角部近傍に設けられた穴3aに挿入されているので、駆動部材21Aが鉛直下側(−Z側)に移動することによって、防塵体2は、ガラス基板1に対して4つの角部のうち穴3aの近傍の角部から徐々に引き剥がされる。
各駆動部材の駆動速度は、接着層5に用いられる接着剤の種類や特性等に応じて、適宜設定することができる。この駆動速度は、接着剤の飛び散りや、ガラス基板1への残存を抑制する観点から、1.0mm/分以下であることが望ましく、0.2mm/分以下であることが更に望ましい。本実施形態の各駆動部材の駆動速度は、0.2mm/分である。
【0026】
S2において、制御部30は、所定の時間(例えば、2.5分)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないものと判定した場合(S2:No)、制御部30は、引き続き駆動部23Aのみを駆動させる。
所定の時間が経過したものと判定した場合(S2:Yes)、制御部30は、S3において、防塵体剥離部20Bの駆動部23Bを駆動させて、所定の速度(0.2mm/分)で駆動部材21Bを鉛直下側へ移動させる(第2剥離工程)。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3bの近傍の角部においても、ガラス基板1から引き剥され始められる。このとき、制御部30は、駆動部23Aの駆動も継続している。
【0027】
ここで、S3において駆動させる防塵体剥離部は、接着層5の接着剤を、ガラス基板1に残存させることなく、ガラス基板1から剥離させる観点から、最初に駆動させた防塵体剥離部20Aに最も近接した位置に配置される防塵体剥離部20であることが望ましい。そのため、本実施形態では、防塵体剥離部20Aに最も近い位置に配置される防塵体剥離部20Bが、S3において駆動される。
また、上述のS2における所定の時間は、各駆動部材の駆動速度に応じて適宜設定することができ、例えば、防塵体剥離部によって剥がされる防塵体とガラス基板との距離を基準にして設定することができる。本実施形態では、防塵体剥離部20Aの駆動により防塵体2の穴3aの位置とガラス基板1との距離が0.5mmとなった時に、防塵体剥離部20Bを駆動させるようにしている。本実施形態では、各駆動部材の駆動速度が上述のように0.2mm/分であるので、所定の時間は、2.5分に設定される。
【0028】
続いて、S4において、制御部30は、S2と同様に、所定の時間(例えば、2.5分)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないものと判定した場合(S4:No)、制御部30は、駆動部23A及び駆動部23Bを引き続き駆動させる。
所定の時間が経過したものと判定した場合(S4:Yes)、制御部30は、S5において、防塵体剥離部20Cの駆動部23Cを駆動させて、0.2mm/分の速度で駆動部材21Cを鉛直下側へ移動させる。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3cの近傍の角部においても、ガラス基板1から引き剥され始められる。なお、このとき、制御部30は、駆動部23A及び駆動部23Bの駆動も継続する。
【0029】
それから、S6において、制御部30は、所定の時間(例えば、2.5分)経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないものと判定した場合(S6:No)、制御部30は、駆動部23A、駆動部23B、駆動部23Cを引き続き駆動させる。
所定の時間が経過したものと判定した場合(S6:Yes)、制御部30は、S7において、防塵体剥離部20Dの駆動部23Dを駆動させて、0.2mm/分の速度で駆動部材21Dを鉛直下側へ移動させる。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3cの近傍の角部においても、ガラス基板1から引き剥され始められる。
なお、このとき、制御部30は、駆動部23A、駆動部23B、駆動部23Cの駆動も継続するため、剥離装置10の全ての駆動部が駆動することとなる。各駆動部を継続して駆動させて、ガラス基板1から防塵体2が完全に剥離されたら、制御部30による各駆動部の制御を停止させ、剥離作業が完了となる。
【0030】
以上より、本実施形態の防塵体の剥離方法、剥離装置10は、以下のような効果を奏する。
本実施形態の防塵体2の剥離方法及び剥離装置は、防塵体剥離部20Aに保持された枠体3の穴3aが設けられる部分(第1部分)をガラス基板1から引き剥がす工程の後に、防塵体剥離部20Bに保持された枠体3の穴3bが設けられる部分(第2部分)をガラス基板1から引き剥がす工程を行っている。これにより、ガラス基板1から防塵体2を一点から徐々に引き剥がすことができ、接着層5の接着剤が、ガラス基板1側に残ったり、引き剥がす際に接着剤が飛び散ったりしてしまうのを抑制することができ、ガラス基板1に接着剤が残存してしまうのを抑制することができる。
【0031】
本実施形態の防塵体2の剥離方法及び剥離装置は、枠体3の穴3aが設けられる部分をガラス基板1に対して1mm/分以下の速度で引き剥がし、また、枠体3の穴3bが設けられる部分をガラス基板1に対して1mm/分以下の速度で引き剥がす。これにより、接着層5の接着剤が、ガラス基板1側に残ったり、引き剥がす際に接着剤が飛び散ったりしてしまうのをより効率よく抑制することができる。
【0032】
本実施形態の防塵体2の剥離方法及び剥離装置は、枠体3の角部近傍に設けられた各穴3a〜3dを各防塵体剥離部20の各保持部材22によって保持しているので、接着剤のガラス基板1への残存や、飛び散りを抑制した状態で、防塵体2をガラス基板1からより効率よく剥離することができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、防塵体の剥離方法の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態の剥離装置10は、制御部30が設けられておらず、作業者が手動で各防塵体剥離部20A〜20Dの駆動部23A〜23Dを操作する点で、上述の第1実施形態の剥離装置10と相違している。
各防塵体剥離部20A〜20Dの駆動部23A〜23Dには、上述の第1実施形態の回転モータの代わりに不図示の回転ハンドルが設けられている、この回転ハンドルの回転軸にはピニオンギアが設けられ、そのピニオンギアが駆動部材21に設けられるラックギアに係合しており、回転ハンドルを手動で回転させることによって、駆動部材21を鉛直方向に所定の速度で駆動することができる。
【0034】
次に、本実施形態の防塵体2の剥離方法について説明する。
上述の第1実施形態と同様に、まず、剥離装置10の基板保持台11上に、防塵体2が固定されたガラス基板1を載置して保持させる(基板保持工程)。
それから、各防塵体剥離部に設けられた保持部材22A〜22Dを、それぞれ防塵体2の枠体3に設けられた各穴3a〜3dに挿入して、保持部材により防塵体2の枠体3を保持させる(枠体保持工程)。
【0035】
続いて、作業者は、4台の防塵体剥離部20のうち、防塵体剥離部20Aの駆動部23Aの回転ハンドルを操作して、駆動部23Aのみを駆動させて、所定の速度(0.2mm/分)で駆動部材21Aを鉛直下側(−Z方向)へ移動させる(第1剥離工程)。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3aの近傍の角部において、ガラス基板1から徐々に引き剥され始められる。
続いて、作業者は、所定の時間(例えば、2.5分)の経過を待った上で、駆動部23Aの回転ハンドルの操作を止め、防塵体剥離部20Bの駆動部23Bに設けられた回転ハンドルを操作して駆動部23Bを駆動させて、所定の速度(0.2mm/分)で駆動部材21Bを鉛直下側へ移動させる(第2剥離工程)。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3bの近傍の角部においても、ガラス基板1から引き剥され始められる。
【0036】
続いて、作業者は、駆動部23Bの駆動を開始してから所定の時間(例えば、2.5分)の経過を待った上で、駆動部23Bの回転ハンドルの操作を止め、防塵体剥離部20Cの駆動部23Cに設けられた操作部を操作して駆動部23Cを駆動させて、所定の速度(0.2mm/分)で駆動部材21Cを鉛直下側へ移動させる。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3cの近傍の角部においても、ガラス基板1から引き剥され始められる。
【0037】
それから、作業者は、駆動部23Cの駆動を開始してから所定の時間(例えば、2.5分)の経過を待った上で、駆動部23Cの回転ハンドルの操作を止め、防塵体剥離部20Dの駆動部23Dに設けられた操作部を操作して駆動部23Dを駆動させて、所定の速度(0.2mm/分)で駆動部材21Dを鉛直下側へ移動させる。これにより、防塵体2は、枠体3の穴3dの近傍の角部においても、ガラス基板1から引き剥され始められる。
以上の操作により、防塵体2の各角部は、ガラス基板1から剥離されることとなる。上述の作業により、防塵体2の一部が、まだガラス基板1から剥離されていない場合は、防塵体2がガラス基板1から完全に剥離されるまで、上述の駆動部23A、駆動部23B、駆動部23C、駆動部23Dの各操作を順に繰り返す。
【0038】
以上より、本実施形態の防塵体の剥離方法は、上述の第1実施形態の剥離方法と同様の効果、すなわち接着層5の接着剤が、ガラス基板1側に残ったり、引き剥がす際に接着剤が飛び散ったりしてしまうのを抑制することができ、ガラス基板1に接着剤が残存してしまうのを抑制することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0040】
(変形形態)
(1)上述の第1実施形態において、防塵体2の剥離方法、剥離装置10は、防塵体剥離部20Aを駆動した後、防塵体剥離部20B、防塵体剥離部20Cを順次、駆動させる例を示したが、これに限定されるものでなく、防塵体剥離部20Bの駆動と同時に防塵体剥離部20Cを同時に駆動するようにしてもよい。これにより、防塵体2の枠体3の穴3b及び穴3c近傍の角部を同時に剥離することができ、剥離作業を効率よくすることができる。防塵体剥離部20Aに対する防塵体剥離部20B及び防塵体剥離部20Cの距離が同等である場合に、特に有効である。
【0041】
(2)ガラス基板1に保持された防塵体2の接着層5を予め加熱した上で、上述の各実施形態に記載の防塵体の剥離方法を実行するようにしてもよい。これにより、接着層5を形成する接着剤を軟化させて、ガラス基板1からの防塵体2の剥離をより容易にすることができる。なお、接着層5の加熱は、例えば、ガラス基板1の防塵体2が接着された側とは反対側の面に、ヒーターを配置して、ガラス基板1を介して行うことができる。
【0042】
(3)上述の各実施形態において、防塵体2の枠体3の4点を保持して剥離する例を示したが、これに限定されるものでなく、接着層5に用いられる接着剤の種類や、防塵体2のサイズ等に応じて2点や、3点、5点以上で保持して剥離するようにしてもよい。
【0043】
(4)上述の第1実施形態において、剥離装置10は、駆動部(23A)の動作開始後、所定の時間(例えば、2.5分)経過後に近接する駆動部(23B)を駆動させる例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、枠体3の角部近傍に変位センサを設け、ガラス基板1と防塵体2の枠体3の各角部との距離を測定可能にし、剥離装置10は、その距離が所定の値(例えば、0.5mm)以上となった場合に、隣接する駆動部を駆動させるようにしてもよい。
【0044】
(5)上述の各実施形態において、防塵体剥離部20はラック・アンド・ピニオンの機構により、駆動部材21を駆動する例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、駆動部に空圧式や油圧式のシリンダを用いて、駆動部材21を駆動するようにしてもよい。