(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された洗面化粧台は、センサ領域の表示態様にバリエーションを持たせたという点で興味深いものではあったが、センサ領域の発光状態がOFFであっても(センサ領域が消灯されていても)センサ領域を視認することができる必要がある。
【0007】
具体的には、特許文献1の段落0025に記載されているように、「防曇ヒータ等の電気器具が動作中のときは同時にセンサ領域Sを発光させ、電気器具が停止中のときはセンサ領域Sを消灯させるようになした」場合、なるほど「使用者は、電気器具のOFF状態を一瞥するだけで容易に確認できる」という効果が得られるが、その後に電気器具をONにするためには、消灯されている状態のセンサ領域Sを認識できる必要がある。
【0008】
実際、特許文献1に開示された洗面化粧台は、センサ領域が鏡面に設けられているために、鏡面において銀膜が形成されていない部分が残されていたり、及び/または、鏡面の一部がブラスト加工等の粗面化処理を施されたりしていて、消灯されている状態であってもセンサ領域Sは容易に認識できる。
【0009】
ところで、本件発明者は、使用者に高級感を与えられるような洗面化粧台の開発ないし実現に向けて、鋭意検討を重ねてきた。
【0010】
使用者が接近していない状態の洗面化粧台は、例えば廊下等から遠目に見えることがある一方で、センサ領域(操作領域)を表示する必要がない。従って、そのような状態の洗面化粧台においてセンサ領域の表示が無いスッキリした外観を提供することができれば、使用者に高級感を与えることが期待できる。
【0011】
検討の結果、使用者の接近の検知を利用してセンサ領域(操作領域)の表示を開始することが、使用者に高級感を与えるために有効であるとの結論に至った。
【0012】
というのは、本件発明者の知見によれば、使用者の接近に伴ってセンサ領域の表示を開始すると、そのような洗面化粧台の反応がまるで使用者を「お出迎え」しているような印象を与えて、使用者が高級感を感じることが確認できたからである。
【0013】
本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものである。本発明の目的は、使用者に高級感を与えることが期待できる水周り装置、特には使用者を「お出迎え」しているような印象を与えることが期待できる水周り装置、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
水周り装置であって、当該水周り装置
の正面に立った使用者を検知する人体検知センサと、吐水口からの吐水状態を操作するための操作部と、を備えた水周り装置であって、前記操作部は、光を透過する部分を有し、使用者によって視認される外観を提供する板状部材と、前記板状部材の裏面側に配置され、操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に操作領域を視認可能に表示させる発光部材と、前記板状部材の裏面側に配置され、前記板状部材の表面側に視認可能に表示された前記操作領域への検知体の接近または接触を検知する操作検出手段と、前記操作検出手段の検知状態に応じて吐水口からの吐水状態を操作する操作本体部材と、を有しており、前記発光部材は、前記人体検知センサが
当該水周り装置の正面に立った使用者の接近を検知した時に、前記操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に前記操作領域を視認可能に表示させるようになって
おり、前記操作本体部は、前記操作検出手段が前記板状部材の表面側に視認可能に表示された前記操作領域への検知体の接近または接触を検知した時に、前記吐水口からの吐水状態を変更するようになっており、前記人体検知センサは、前記吐水口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする水周り装置である。
【0015】
本発明によれば、使用者が検知されていない状態では、操作領域標識が発光されておらず板状部材の表面側に操作領域が視認可能に表示されていないので、例えば廊下等から遠目に見える際、デザイン性の高いシンプルな外観を提供することができ、使用者に高級感を与えることができる。
【0016】
そして、本発明によれば、使用者が検知された時に、操作領域標識が発光されて板状部材の表面側に操作領域が視認可能に表示されるので、まるで使用者を「お出迎え」しているような印象を与えて、使用者に高級感を与えることができる。
【0017】
あるいは、本発明は、水周り装置であって、当該水周り装置への使用者の接近を検知する人体検知センサと、吐水口からの吐水状態を操作するための操作部と、前記吐水口または当該吐水口の近傍に配置され、当該吐水口へ近づいた使用者の手を検知する第2人体検知センサ
と、を備えた水周り装置であって、前記操作部は、光を透過する部分を有し、使用者によって視認される外観を提供する板状部材と、前記板状部材の裏面側に配置され、操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に操作領域を視認可能に表示させる発光部材と、前記板状部材の裏面側に配置され、前記板状部材の表面側に視認可能に表示された前記操作領域への検知体の接近または接触を検知する操作検出手段と、前記操作検出手段の検知状態に応じて前記吐水口からの吐水状態を操作する操作本体部材と、を有しており、前記発光部材は、前記人体検知センサが使用者を検知した時に、前記操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に前記操作領域を視認可能に表示させるようになっており、前記発光部材が発光させる前記操作領域は、自動水栓モードと手動吐水モードとを切り替えるためのモード操作領域を含んでおり、前記操作検出手段は、前記モード操作領域への検知体の接近または接触を検知するモード操作検出手段を含んでおり、前記操作本体部材は、前記モード操作検出手段の検知状態に応じて前記自動水栓モードが選択されている時には、前記第2人体検知センサによる使用者の手の検知に応じて吐水がなされるようになっており、前記モード操作検出手段の検知状態に応じて前記手動吐水モードが選択されている時には、前記第2人体検知センサが使用者の手を検知しただけでは吐水がなされないようになっている
ことを特徴とする水周り装置である。
【0018】
この場合、例えば水周り装置の清掃時等において、手動吐水モードを選択しておけば、清掃作業中に第2人体検知センサによって意図しない使用者の接近が検知されて不所望に(自動的に)吐水がなされてしまうことが防止できる。
【0019】
あるいは、
本発明は、水周り装置であって、当該水周り装置への使用者の接近を検知する人体検知センサと、吐水口からの吐水状態を操作するための操作部と、を備えた水周り装置であって、前記操作部は、光を透過する部分を有し、使用者によって視認される外観を提供する板状部材と、前記板状部材の裏面側に配置され、操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に操作領域を視認可能に表示させる発光部材と、前記板状部材の裏面側に配置され、前記板状部材の表面側に視認可能に表示された前記操作領域への検知体の接近または接触を検知する操作検出手段と、前記操作検出手段の検知状態に応じて前記吐水口からの吐水状態を操作する操作本体部材と、を有しており、前記発光部材は、前記人体検知センサが使用者を検知した時に、前記操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に前記操作領域を視認可能に表示させるようになっており、前記人体検知センサ
は、前記吐水口よりも高い位置に配置され、使用者の検知範囲として斜め前下方向に広がる2つの有効電波領域を形成しており、前記2つの有効電波領域のうち第1有効電波領域は、第1の判定閾値に基づいて当該水周り装置へ近づいた使用者を検知する検知範囲として形成されており、前記2つの有効電波領域のうち第2有効電波領域は、第2の判定閾値に基づいて前記吐水口へ近づいた使用者の手を検知する検知範囲として形成されていることが好ましい。そして、更に好ましくは、前記発光部材は、前記人体検知センサが第1有効電波領域において第1の判定閾値に基づいて使用者を検知した時に、前記操作領域標識を発光させることで前記板状部材の表面側に前記操作領域を視認可能に表示させるようになっており、前記発光部材が発光させる前記操作領域は、自動水栓モードと手動吐水モードとを切り替えるためのモード操作領域を含んでおり、前記操作検出手段は、前記モード操作領域への検知体の接近または接触を検知するモード操作検出手段を含んでおり、前記操作本体部材は、前記モード操作検出手段の検知状態に応じて前記自動水栓モードが選択されている時には、第2有効電波領域における第2の判定閾値に基づく前記人体検知センサによる使用者の手の検知に応じて吐水がなされるようになっており、前記モード操作検出手段の検知状態に応じて前記手動吐水モードが選択されている時には、第2有効電波領域において第2の判定閾値に基づいて前記人体検知センサが使用者の手を検知しただけでは吐水がなされないようになっている
ことを特徴とする水周り装置である。
【0020】
この場合も、例えば水周り装置の清掃時等において、手動吐水モードを選択しておけば、清掃作業中に意図しない使用者の接近が検知されて不所望に(自動的に)吐水がなされてしまうことが防止できる。また、この場合は、単一の人体検知センサが2つの有効電波領域を形成して2タイプの接近検知センサとして機能するため、水周り装置の構成を簡素化することができる。
【0021】
また、人体検知センサは、当該水周り装置からの使用者の離反をも検知するようになっており、発光部材は、人体検知センサが使用者の離反を検知した時に、操作領域標識の発光を停止するようになっていることが好ましい。これにより、水周り装置の状態は、使用者の接近前の状態に戻される。あるいは、操作領域の発光は、使用者の離反を検知した後、数秒間を経過してから停止されてもよい。その場合、まるで使用者を「お見送り」しているような印象を与えることができる。使用者の離反を検知してから操作領域の発光を停止するまでの時間遅れ(0を含む)について、使用者が設定できるようになっていてもよい。もっとも、少なくとも本件出願の時点では、本発明は、人体検知センサが使用者の接近を検知した後、当該使用者が離反するか否かに拘わらず、操作領域標識を所定時間に亘って継続的に発光させる、という態様を排除しない。そのような態様では、必ずしも使用者の離反を検知する必要がない。具体的には、当該所定時間の間、人体検知センサの機能を停止させておく(例えば電源を遮断してしまう)ことも可能である。
【0022】
操作検出手段は、例えば、マイクロ波センサを含む。マイクロ波センサは、自動水栓機能のために使用者の手を検知するセンサとして実績があり、板状部材の裏側からでも使用者の指等の接近を確実に検知することができる。具体的には、使用者の指等の接近信号をノイズ信号に対して識別することが容易である。
【0023】
あるいは、操作検出手段は、静電容量センサを含んでいてもよい。静電容量センサとは、電極に使用者の指等が接近した際に生じる静電容量の変化を検知するセンサであり、簡単な構成でありながら、使用者の指等の接近を確実に検知することができる。
【0024】
また、板状部材は、吐水口よりも上方に配置されることが好ましい。この場合、飛散した水滴が板状部材に付着するということが生じにくいため、操作検出手段が水滴を使用者の指等と誤検知してしまうことが効果的に防止される。
【0025】
また、板状部材は、水平方向に対して0度よりも大きく90度よりも小さい角度で傾斜していることが好ましい。この場合、何らかの事情で飛散した水滴が板状部材に付着しても、当該水滴は傾斜に沿って流下するため、操作検出手段が水滴を使用者の指等と誤検知してしまうことが効果的に防止される。
【0026】
なお、人体検知センサについても、例えば、板状部材の裏面側に配置されたマイクロ波センサで構成され得る。この場合、人体検知センサも水周り装置内部に隠蔽され得るため、水周り装置のデザインをさらにシンプルなものとすることができる。
【0027】
また、水周り装置は、前記人体検知センサが使用者を検知した時に当該水周り装置の周辺を照らす照明装置と、前記照明装置の照明状態を操作するための照明操作部と、を更に備え、前記照明操作部は、光を透過する部分を有し、使用者によって視認される外観を提供する照明操作用板状部材と、前記照明操作用板状部材の裏面側に配置され、照明操作領域標識を発光させることで前記照明操作用板状部材の表面側に前記照明操作領域を視認可能に表示させる照明操作用発光部材と、前記照明操作用板状部材の裏面側に配置され、前記照明操作用板状部材の表面側に視認可能に表示された前記照明操作領域への検知体の接近または接触を検知する照明操作検出手段と、前記照明操作検出手段の検知状態に応じて前記照明装置の照明状態を操作する照明操作本体部材と、を有しており、前記照明操作用発光部材は、前記人体検知センサが使用者を検知した時に、前記照明操作領域標識を発光させることで前記照明操作用板状部材の表面側に前記照明操作領域を視認可能に表示させるようになっていることが好ましい。
【0028】
この場合、使用者が検知されていない状態では、照明操作領域が発光しておらず板状部材の表面側に照明操作領域が視認可能に表示されていないので、例えば廊下等から遠目に見える際、デザイン性の高いシンプルな外観を提供することができ、使用者に高級感を与えることができる。また、この場合、使用者が検知された時に、照明操作領域標識が発光されて板状部材の表面側に照明操作領域が視認可能に表示されるので、まるで使用者を「お出迎え」しているような印象を与えて、使用者に高級感を与えることができる。そして、使用者は、照明操作領域に対する操作(使用者の指等の接近ないし接触)を介して、照明装置の照明状態を適宜に制御することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、使用者が検知されていない状態では、操作領域標識が発光されておらず板状部材の表面側に操作領域が視認可能に表示されていないので、例えば廊下等から遠目に見える際、デザイン性の高いシンプルな外観を提供することができ、使用者に高級感を与えることができる。そして更に、本発明によれば、使用者が検知された時に、操作領域標識が発光されて板状部材の表面側に操作領域が視認可能に表示されるので、まるで使用者を「お出迎え」しているような印象を与えて、使用者に高級感を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、添付図面を参照して、本発明の水周り装置の一実施形態による洗面化粧台について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態による洗面化粧台の使用者の接近前の概略正面図であり、
図2は、
図1の洗面化粧台の使用者の接近後の概略正面図である。
図3は、視認可能に表示された操作領域の拡大図であり、
図4は、操作部の構成の詳細を示す概略断面図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態による洗面化粧台1は、正面略中央に吐水口11が設けられており、吐水口11の上部には、左右方向に延在する板状部材21が設けられている。そして、板状部材21の裏面側に、洗面化粧台1への使用者の接近を検知する人体検知センサ12が設けられている。本実施形態では、人体検知センサ12は、マイクロ波センサからなっている。
【0034】
本実施形態の板状部材21は、薄肉部においてのみ光を透過する材質からなり、薄肉部の裏面側において発光する部材については表面側から視認可能であるが、それ以外の裏面側の部材については表面側から視認できないようになっている。従って、本実施形態の人体検知センサ12は、板状部材21の裏面側に隠蔽されている。これにより、
図1に示すように、洗面化粧台1のデザインはシンプルなものとなっている。
【0035】
そして、本実施形態による洗面化粧台1は、人体検知センサ12が使用者を検知した時に、吐水口11からの吐水状態を操作するための操作部20の操作領域が視認可能に表示されるようになっている(
図2参照)。逆に言えば、人体検知センサ12が使用者を検知する前は、吐水口11からの吐水状態を操作するための操作部20の操作領域は、視認可能に表示されていない(
図1参照)。
【0036】
本実施形態で表示される操作領域は、
図3に拡大して示すように、自動水栓モード(AUTO)と手動吐水モード(MANU)とを切り替えるためのモード操作領域MOであり、略正方形状の領域である。
【0037】
更に、本実施形態の洗面化粧台1では、人体検知センサ12が使用者の接近を検知した時に、洗面化粧台1の周辺を照らす照明装置61の照明状態を操作するための照明操作部60の照明操作領域も視認可能に表示されるようになっている(
図2参照)。逆に言えば、人体検知センサ12が使用者の接近を検知する前は、照明装置61の照明状態を操作するための照明操作部60の照明操作領域は、視認可能に表示されていない(
図1参照)。
【0038】
本実施形態で表示される照明操作領域は、
図3に拡大して示すように、照明装置61のON・OFFを切り替えるための照明操作領域LOであり、略正方形状の領域である。
【0039】
続いて、
図4に示すように、操作部20は、板状部材21と、板状部材21の裏面側に配置されモード操作領域標識(本実施形態では略正方形状のモード操作領域MOの輪郭情報)を発光させることで板状部材21の表面側にモード操作領域MOを視認可能に表示させる発光部材22と、を有している。
【0040】
より具体的には、本実施形態の板状部材21は、厚み3mm程度のABS樹脂板からなり、モード操作領域MOの輪郭相当部分21cが肉薄に(線幅 1mm程度、厚み 1mm程度)加工されている。そして、発光部材22は、モード操作領域MOの輪郭相当部分21cに配置されたLEDからなっている。このような発光部材22が発光する時、板状部材21の輪郭相当部分21cを光が透過して、板状部材21の表面側にモード操作領域MOの輪郭が表示されることとなり、結果的にモード操作領域MOが視認可能となる。
【0041】
そして、板状部材21の裏面側には、板状部材21の表面側に視認可能に表示されたモード操作領域MOへの検知体(通常は使用者の指)の接近または接触を検知するモード操作検出手段(操作検出手段の一例)として、静電容量センサ23が設けられている。
【0042】
静電容量センサ23は、当該静電容量センサ23の検知状態に応じて吐水口11からの吐水状態を操作する操作本体部材24に接続されている。具体的には、本実施の形態の操作本体部材24は、モード操作領域MOへの検知体の接近または接触の度毎に、自動水栓モード(AUTO)と手動吐水モード(MANU)とを切り替えるよう機能するようになっている。
【0043】
本実施形態では、
図3に示すように、モード操作領域MOに隣接して、「AUTO」の文字を表示する領域と、「MANU」の文字を表示する領域と、手を模したマークを表示する領域と、が設けられている。具体的には、これらの各文字及びマークに沿っても板状部材21が肉薄に加工されていて、また、LEDからなる発光部材が肉薄部分の裏面側に配置されていて、当該発光部材が発光することによって当該肉薄部分を介して板状部材21の表面側において各文字及びマークが視認されるようになっている。
【0044】
本実施形態では、「AUTO」の文字に対応する発光部材も「MANU」の文字に対応する発光部材も手を模したマークに対応する発光部材も、モード操作領域MOの輪郭相当部分に対応する発光部材22が発光しない時には、発光しないようになっている。すなわち、人体検知センサ12が使用者を検知する前は、「AUTO」の文字も「MANU」の文字も手を模したマークも視認可能に表示されていない(
図1参照)。
【0045】
そして、自動水栓モード(AUTO)が選択されている時に、人体検知センサ12が使用者を検知してモード操作領域MOの輪郭相当部分に対応する発光部材22が発光する時には、同時に「AUTO」の文字及び手を模したマークも発光するようになっている。この時、「MANU」の文字は発光しないままであるか、弱い強度あるいは弱い印象の別の色で発光してもよい。逆に、手動吐水モード(MANU)が選択されている時に、人体検知センサ12が使用者を検知してモード操作領域MOの輪郭相当部分に対応する発光部材22が発光する時には、同時に、「MANU」の文字及び手を模したマークも発光するようになっている。この時、「AUTO」の文字は発光しないままであるか、弱い強度あるいは弱い印象の別の色で発光してもよい。
【0046】
モード操作領域MOの輪郭相当部分に対応する発光部材22が発光している間に、静電容量センサ23がモード操作領域MOへの検知体の接近または接触を検知すると、自動水栓モード(AUTO)と手動吐水モード(MANU)との選択状態が切り替わり、これに連動して、「AUTO」の文字の発光状態と「MANU」の文字の発光状態とが入れ替わるようになっている。
【0047】
さて、
図1に戻って、本実施の形態では、吐水口11の根元に相当する部位に(適当な例示のつもりですが、ご確認をお願いいたします)、吐水口11へ近づいた使用者の手を検知する第2人体検知センサ15が設けられている。本実施形態では、第2人体検知センサ15も、マイクロ波センサからなっている。
【0048】
そして、本実施形態の吐水口11は、静電容量センサ23の検知状態に応じて自動水栓モードが選択されている場合、操作本体部材24の制御によって、第2人体検知センサ15が使用者の手を検知している間、あるいは、第2人体検知センサ15が使用者の手を検知してから所定時間、自動的に吐水を行なうようになっている。
【0049】
本実施の形態では、吐水口11から吐水される水の水温については、公知の水温調整用レバー17によって調製可能となっている(
図1参照)。また、本実施形態の水温調整用レバー17は、手動吐水モードが選択されている場合には、水温のみならず吐水口11からの吐水の開閉(ON・OFF)ないし流量をも調整できるようになっている。
【0050】
すなわち、本実施形態の吐水口11は、静電容量センサ23の検知状態に応じて手動吐水モードが選択されている場合、操作本体部材24の制御によって、第2人体検知センサ15が使用者の手を検知しただけでは自動的に吐水を行なうことはなく、吐水には水温調整用レバー17の手動操作を要するようになっている。
【0051】
再び
図4を参照して、板状部材21と発光部材22との間の間隔(ギャップ)は、スペーサ25によって規定されている。発光部材22が板状部材21に対して近すぎると、発光時に発行部材22の位置が表面側から視認される可能性があって好ましくない。例えば、ABS樹脂製の板状部材21の厚みが3mm、肉薄の輪郭相当部分21cの厚みが1mmである時、板状部材21と発光部材22との間の間隔は、5mm〜15mm程度が好適である。また、スペーサ25は光漏れ防止の機能も備えている。光を透過させたくない薄肉部へ光が漏れていかないように、光を透過させたい薄肉部の周囲に配置されている。
【0052】
続いて、
図5に示すように、照明操作部60は、照明操作用板状部材としての板状部材21と、板状部材21の裏面側に配置され照明操作領域標識(本実施形態では略正方形状の照明操作領域LOの輪郭情報)を発光させることで板状部材21の表面側に照明操作領域LOを視認可能に表示させる発光部材62と、を有している。
【0053】
より具体的には、本実施形態の板状部材21は、照明操作領域LOの輪郭相当部分21dも肉薄に加工されている。そして、発光部材62は、照明操作領域LOの輪郭相当部分に配置されたLEDからなっている。このような発光部材62が発光する時、板状部材21の輪郭相当部分21dを光が透過して、板状部材21の表面側に照明操作領域LOの輪郭が表示されることとなり、結果的に照明操作領域LOが視認可能となる。
【0054】
そして、板状部材21の裏面側には、板状部材21の表面側に視認可能に表示された照明操作領域LOへの検知体(通常は使用者の指)の接近または接触を検知する照明操作検出手段として、静電容量センサ63が設けられている。
【0055】
静電容量センサ63は、当該静電容量センサ63の検知状態に応じて照明装置61の照明状態を操作する照明操作本体部材64に接続されている。具体的には、本実施の形態の照明操作本体部材64は、照明操作領域LOへの検知体の接近または接触の度毎に、照明装置61のONとOFFとを切り替えるよう機能するようになっている。
【0056】
本実施形態では、
図3に示すように、照明操作領域LOに隣接して、「ON」の文字を表示する領域と、「OFF」の文字を表示する領域と、電球を模したマークを表示する領域と、が設けられている。具体的には、これらの各文字及びマークに沿っても板状部材21が肉薄に加工されていて、また、LEDからなる発光部材が肉薄部分の裏面側に配置されていて、当該発光部材が発光することによって当該肉薄部分を介して板状部材21の表面側において各文字及びマークが視認されるようになっている。
【0057】
本実施形態では、「ON」の文字に対応する発光部材も「OFF」の文字に対応する発光部材も電球を模したマークに対応する発光部材も、照明操作領域LOの輪郭相当部分に対応する発光部材62が発光しない時には、発光しないようになっている。すなわち、人体検知センサ12が使用者の接近を検知する前は、「ON」の文字も「OFF」の文字も電球を模したマークも視認可能に表示されていない(
図1参照)。
【0058】
そして、本実施の形態では、人体検知センサ12が使用者の接近を検知する時、照明装置61が点灯して、照明操作領域LOの輪郭相当部分に対応する発光部材62が発光するのと同時に「ON」の文字及び電球を模したマークも発光するようになっている。この時、「OFF」の文字は発光しないままであるか、弱い強度あるいは弱い印象の別の色で発光してもよい。
【0059】
その後、照明操作領域LOの輪郭相当部分に対応する発光部材62が発光している間に、静電容量センサ63が照明操作領域LOへの検知体の接近または接触を検知すると、ON状態からOFF状態へと選択状態が切り替わり、これに連動して、照明装置61のON・OFFが操作される(照明装置の点灯状態のON・OFFが切り替わる)と共に、「ON」の文字の発光状態と「OFF」の文字の発光状態とが入れ替わるようになっている。
【0060】
再び
図5を参照して、板状部材21と発光部材62との間の間隔(ギャップ)は、スペーサ65によって規定されている。発光部材62が板状部材21に対して近すぎると、発光時に発行部材62の位置が視認される可能性があって好ましくない。例えば、ABS樹脂製の板状部材21の厚みが3mm、肉薄の輪郭相当部分21dの厚みが1mmである時、板状部材21と発光部材62との間の間隔は、5mm〜15mm程度が好適である。また、スペーサ65は光漏れ防止の機能も備えている。光を透過させたくない薄肉部へ光が漏れていかないように、光を透過させたい薄肉部の周囲に配置されている。
【0061】
次に、以上のような構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0062】
図1に示すように、人体検知センサ12が使用者を検知する前は、吐水口11からの吐水状態を操作するための操作部20の操作領域は、視認可能に表示されていない。このために、本実施形態の洗面化粧台1は、例えば廊下等から遠目に見える際、デザイン性の高いシンプルな外観を提供することができ、使用者に高級感を与えることができる。
【0063】
そして、本実施形態の洗面化粧台1は、人体検知センサ12が使用者を検知した際には、
図2に示すように、操作領域標識が発光されて板状部材21の表面側に操作領域が視認可能に表示される。このような洗面化粧台1の動作は、まるで使用者を「お出迎え」しているような印象を与えて、より一層使用者に高級感を与えることができる。
【0064】
より詳細に説明すれば、本実施形態の操作領域は、吐水口11からの吐水状態を操作するための操作部20の操作領域と、洗面化粧台1の周辺を照らす照明装置61の照明状態を操作するための照明操作部60の照明操作領域である。より具体的には、操作部20の操作領域は、自動水栓モード(AUTO)と手動吐水モード(MANU)とを切り替えるための略正方形状のモード操作領域MOであり、照明操作部60の照明操作領域は、照明装置61のON・OFFを切り替えるための略正方形状の照明操作領域LOである。そして、各操作領域MO、LOの輪郭に対応する板状部材21の部分21c、21dが肉薄に加工されていることにより、人体検知センサ12が使用者の接近を検知したことに応じて発光部材22、62が発光する時、板状部材21の輪郭相当部分21c、21dを光が透過して、板状部材21の表面側に各操作領域MO、LOの輪郭が表示されて、結果的に各操作領域MO、LOが視認可能となる。
【0065】
本実施形態では、
図2に示すように、各操作領域MO、LOの輪郭相当部分の発光と同時に、「AUTO」または「MANU」の文字と(
図2では「AUTO」の文字)、手を模したマークと、「ON」または「OFF」の文字と(
図2では「ON」の文字)、電球を模したマークと、が表示されるため、使用者を「お出迎え」しているような印象をしっかりと提供することができる。
【0066】
本実施形態では、静電容量センサ23が、モード操作領域MOへの検知体(通常は使用者の指)の接近または接触を検知することによって、自動水栓モード(AUTO)と手動吐水モード(MANU)とを切り替えることができる。これに伴って、「AUTO」の文字の発光状態と「MANU」の文字の発光状態も入れ替わる。
【0067】
そして、本実施形態の吐水口11は、静電容量センサ23の検知状態に応じて自動水栓モードが選択されている場合、操作本体部材24の制御によって、第2人体検知センサ15が使用者の手の検知している間、あるいは、第2人体検知センサ15が使用者の手を検知してから所定時間、自動的に吐水を行なう。
【0068】
一方、本実施形態の吐水口11は、静電容量センサ23の検知状態に応じて手動吐水モードが選択されている場合、操作本体部材24の制御によって、第2人体検知センサ15が使用者の手を検知しても自動的に吐水を行なわない(吐水には水温調整用レバー17の手動操作を要する)。
【0069】
また、静電容量センサ63が、照明操作領域LOへの検知体の接近または接触を検知することによって、照明装置61のON・OFFが操作される(照明装置の点灯状態のON・OFFが切り替わる)と共に、「ON」の文字の発光状態と「OFF」の文字の発光状態とが入れ替わる。
【0070】
以上のように、本実施形態によれば、使用者が検知されていない状態では、操作領域MO、LOに対応する操作領域標識が発光されておらず、板状部材21の表面側に操作領域MO、LOが視認可能に表示されていないので、例えば廊下等から遠目に見える際、デザイン性の高いシンプルな外観を提供することができ、使用者に高級感を与えることができる。
【0071】
そして、本実施形態によれば、使用者の接近が検知された時に、操作領域MO、LOに対応する操作領域標識が発光されて板状部材21の表面側に操作領域MO、LOが視認可能に表示されるので、まるで使用者を「お出迎え」しているような印象を与えて、使用者に高級感を与えることができる。
【0072】
また、本実施形態の洗面化粧台1によれば、人体検知センサ12が、板状部材21の裏面側に配置されたマイクロ波センサで構成されていて、洗面化粧台1の内部に隠蔽されている。このことによっても、洗面化粧台1のデザインはさらにシンプルなものになっている。
【0073】
また、本実施形態の洗面化粧台1によれば、装置の清掃時等において、手動吐水モードを選択しておくことによって、清掃作業中に第2人体検知センサ15によって意図しない使用者の手が検知されて不所望に(自動的に)吐水がなされてしまうことが防止できる。
【0074】
また、
図1から明らかなように、本実施形態の板状部材21は、吐水口11よりも上方に配置されている。これにより、飛散した水滴が板状部材21に付着するということが生じにくいため、操作検出手段である静電容量センサ23、63が水滴を使用者の指等と誤検知してしまうことが効果的に防止される。
【0075】
また、本実施形態の操作検出手段ないし照明操作検出手段は、静電容量センサ23、63によって構成されているため、簡単な構成でありながら、使用者の指等の接近を確実に検知することができる。もっとも、操作検出手段ないし照明操作検出手段は、第2人体検知センサ15と同様に、それぞれマイクロ波センサによって構成されてもよい。
【0076】
なお、本実施形態において、操作部20及び照明操作部60の発光部材22、62(並びに各文字及びマークに対応する発光部材)は、人体検知センサ12が使用者を検知しなくなった時に、発光を停止するようになっていることが好ましい。これにより、洗面化粧台1の状態は、使用者の接近前の状態(
図1の状態)に戻される。
【0077】
あるいは、操作部20及び照明操作部60の発光部材22、62(並びに各文字及びマークに対応する発光部材)は、人体検知センサ12が使用者を検知しなくなってから所定の時間(例えば数秒間)を経過してから停止されてもよい。その場合、まるで使用者を「お見送り」しているような印象を与えることができる。接近検知が途絶えてから操作領域の発光を停止するまでの時間遅れ(0を含む)については、使用者等が設定できるようになっていることが好ましい。
【0078】
なお、板状部材21は、水平方向に対して0度よりも大きく90度よりも小さい角度で傾斜していることが好ましい。このような改良例を
図6に示す。
図6に示すような傾斜を採用すれば、何らかの事情で飛散した水滴が板状部材21に付着したとしても、傾斜に沿って水滴が流下するため、操作検出手段である静電容量センサ23、63が水滴を使用者の指等と誤検知してしまうことが効果的に防止される。
【0079】
また、人体検知センサ12と第2人体検知センサ15とは、一体化することも可能である。すなわち、単一の人体検知センサ12をして、前記実施形態の第2人体検知センサ15の機能を果たさせるような態様も実現可能である。このような実施形態を、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0080】
この場合、例えば、人体検知センサ12は、吐水口11よりも高い位置に配置され、使用者の検知範囲として斜め前下方向に広がる2つの有効電波領域FR、SRを形成することになる。当該2つの有効電波領域のうち第1有効電波領域FRが、第1の判定閾値に基づいて洗面化粧台1へ近づいた使用者を検知する検知範囲として形成され、当該2つの有効電波領域のうち第2有効電波領域SRが、第2の判定閾値に基づいて吐水口11へ近づいた使用者の手を検知する検知範囲として形成される。
【0081】
そして、
図7に示すように、人体検知センサ12が第1有効電波領域FRにおいて第1の判定閾値に基づいて使用者を検知した時に、発光部材22、62は、操作領域標識(操作領域MO、LOの輪郭情報)を発光させることで板状部材21の表面側に操作領域MO、LOを視認可能に表示させる。
【0082】
そして、静電容量センサ23の検知状態に応じて自動水栓モードが選択されている場合、操作本体部材24の制御によって、
図8に示すように、第2有効電波領域SRにおける第2の判定閾値に基づく人体検知センサ12による使用者の手の検知に応じて、当該検知が継続している間、あるいは、当該検知がなされた後の所定時間、自動的に吐水口11から吐水が行なわれる。静電容量センサ23の検知状態に応じて手動吐水モードが選択されている場合は、操作本体部材24の制御によって、第2有効電波領域SRにおける第2の判定閾値に基づいて人体検知センサ12が使用者の手を検知しても、自動的には吐水は行なわれない(吐水には水温調整用レバー17の手動操作を要する)。
【0083】
なお、以上の実施形態では、板状部材21が光を透過する構造として、薄肉部を形成する方法を採用しているが、本発明はそのような態様に限定されない。例えば、板状部材21として光を透過する材料を採用した上で、光を透過させたくない領域に光不透過性の被覆材を印刷するという方法も採用可能である。
【0084】
さらに、人体検知センサ12についても、マイクロ波センサの他に、赤外線センサ、焦電センサ、超音波センサ等を採用することが可能である。