特許第6805518号(P6805518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6805518樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置
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  • 特許6805518-樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805518
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20201214BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20201214BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20201214BHJP
   C08K 5/5399 20060101ALI20201214BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   C08L21/00
   C08L63/00 Z
   C08K3/00
   C08K5/5399
   H05K1/03 610L
   H05K1/03 610Q
【請求項の数】12
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-64639(P2016-64639)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-179013(P2017-179013A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪内 啓之
【審査官】 中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−032436(JP,A)
【文献】 特開2014−005433(JP,A)
【文献】 特開2010−235744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00−101/14
C08K3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エラストマー、(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d)フォスファゼン化合物を含有する樹脂組成物であって、
(a)成分の含有量が、(c)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%〜85質量%であり、
(c)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%〜95質量%であり、
樹脂組成物を180℃で1時間熱硬化させた熱硬化物の23℃における弾性率が18GPa以下であり、
(a)成分が、イミド構造単位を有する、樹脂組成物。
【請求項2】
(a)エラストマー、(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d)フォスファゼン化合物を含有する樹脂組成物であって、
(a)成分の含有量が、(c)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、55質量%〜85質量%であり、
(c)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%〜95質量%であり、
樹脂組成物を180℃で1時間熱硬化させた熱硬化物の23℃における弾性率が18GPa以下である、樹脂組成物。
【請求項3】
(a)成分が、イミド構造単位を有する、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(d)成分が、フェノール性水酸基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(d)成分が、下記式(1)で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいグリシジル基を表し、Aは、それぞれ独立に単結合、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリーレン基、スルフォニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表す。nは3〜25の整数を表し、m1及びm2は、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。R、R、及びAが複数存在する場合、R、R、及びAは同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、R及びRの少なくとも1つは水酸基である。)
【請求項6】
(a)成分が、ブタジエン構造単位、ポリシロキサン構造単位、(メタ)アクリレート構造単位、アルキレン構造単位、アルキレンオキシ構造単位、イソプレン構造単位、イソブチレン構造単位、及びポリカーボネート構造単位から選択される1種以上の構造単位を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(a)成分が、ガラス転移温度が25℃以下の樹脂、及び25℃で液状である樹脂から選択される1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(a)成分が、(b)成分と反応し得る官能基を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(a)成分が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
支持体と、該支持体上に設けられた、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
【請求項12】
請求項11に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、樹脂組成物を使用した、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットPCといった小型の高機能電子機器の需要が増大しており、それに伴い、これら小型の電子機器に用いられる半導体パッケージ用絶縁材料(絶縁層)も更なる高機能化が求められている。
【0003】
このような絶縁層は、樹脂組成物を硬化して形成されるもの等が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−82535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウエハレベルチップサイズパッケージ、又は埋め込み型の配線層を備える配線板に使用する絶縁層には一定の難燃性が求められるので、難燃剤を樹脂組成物に含有させることが一般的である。
【0006】
しかしながら、樹脂組成物層に難燃剤を含有させると、リフロー処理後に絶縁層と導体層との間に膨れが生じるという問題があった。
【0007】
また、上記絶縁層には、難燃性以外に、パッケージ基板の反りの抑制、及び導体層との密着性も求められているが、要求される反りの抑制及び導体層との密着性を満たすまでには至っていないのが現状である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、反りの発生が抑制され、難燃性、ピール強度及びリフロー耐性に優れる樹脂組成物;該樹脂組成物を使用した、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (a)エラストマー、(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d)フォスファゼン化合物を含有する樹脂組成物であって、
(a)成分の含有量が、(c)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%〜85質量%であり、
(c)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%〜95質量%であり、
樹脂組成物を180℃で1時間熱硬化させた熱硬化物の23℃における弾性率が18GPa以下である、樹脂組成物。
[2] (d)成分が、フェノール性水酸基を有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (d)成分が、下記式(1)で表される、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいグリシジル基を表し、Aは、それぞれ独立に単結合、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリーレン基、スルフォニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表す。nは3〜25の整数を表し、m1及びm2は、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。R、R、及びAが複数存在する場合、R、R、及びAは同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、R及びRの少なくとも1つは水酸基である。)
[4] (a)成分が、ブタジエン構造単位、ポリシロキサン構造単位、(メタ)アクリレート構造単位、アルキレン構造単位、アルキレンオキシ構造単位、イソプレン構造単位、イソブチレン構造単位、及びポリカーボネート構造単位から選択される1種以上の構造単位を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] (a)成分が、ガラス転移温度が25℃以下の樹脂、及び25℃で液状である樹脂から選択される1種以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (a)成分が、(b)成分と反応し得る官能基を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (a)成分が、イミド構造単位を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] (a)成分が、フェノール性水酸基を有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
[11] [10]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反りの発生が抑制され、難燃性、ピール強度及びリフロー耐性に優れる樹脂組成物;該樹脂組成物を使用した、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、部品仮付け内層基板の断面の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置について詳細に説明する。
【0013】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(a)エラストマー、(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d)フォスファゼン化合物を含有する樹脂組成物であって、(a)成分の含有量が、(c)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%〜85質量%であり、(c)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%〜95質量%であり、樹脂組成物を180℃で1時間熱硬化させた熱硬化物の23℃における弾性率が18GPa以下である。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、反りの発生が抑制され、難燃性、ピール強度及びリフロー耐性を向上させる観点から、樹脂組成物は、(a)エラストマー、(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d)フォスファゼン化合物を含有する。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(e)硬化剤、(f)硬化促進剤、及び(g)その他の添加剤を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0015】
<(a)エラストマー>
樹脂組成物は(a)エラストマーを含む。本発明においてエラストマーとは、柔軟性を有する樹脂を意味し、特に限定されないが、例えば分子内に、ブタジエン構造単位、ポリシロキサン構造単位、(メタ)アクリレート構造単位、アルキレン構造単位、アルキレンオキシ構造単位、イソプレン構造単位、イソブチレン構造単位、及びポリカーボネート構造単位から選択される1種または2種以上の構造を有することで柔軟性を示す樹脂が挙げられる。(a)成分のような柔軟な樹脂を含むことで、銅等に対するめっきピール強度が向上し、さらに反り等の発生を抑制することができる。
【0016】
より具体的には、(a)成分は、ポリブタジエン及び水添ポリブタジエン等のブタジエン構造単位、シリコーンゴム等のポリシロキサン構造単位、(メタ)アクリレート構造単位、アルキレン構造単位(好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは炭素原子数3〜10、さらに好ましくは炭素原子数5〜6)、アルキレンオキシ構造単位((好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは炭素原子数3〜10、さらに好ましくは炭素原子数5〜6)、イソプレン構造単位、イソブチレン構造単位、及びポリカーボネート構造単位から選択される1種または2種以上の構造単位を有することが好ましく、ブタジエン構造単位、ポリシロキサン構造単位、(メタ)アクリレート構造単位、イソプレン構造単位、イソブチレン構造単位、またはポリカーボネート構造単位から選択される1種または2種以上の構造単位を有することが好ましく、ブタジエン構造単位、(メタ)アクリレート構造単位から選択される1以上の構造単位を有することがより好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートを指す。
【0017】
(a)成分は柔軟性を示すために高分子量であることが好ましく、数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜9,00,000である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0018】
(a)成分は柔軟性を示すために、ガラス転移温度が25℃以下の樹脂、及び25℃で液状である樹脂から選択される1種以上である樹脂であることが好ましい。
【0019】
ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である樹脂のガラス転移温度は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に限定されないが、通常−15℃以上とし得る。また、25℃で液状である樹脂としては、好ましくは20℃以下で液状である樹脂、より好ましくは15℃以下で液状である樹脂である。
【0020】
(a)成分としては、柔軟な樹脂であれば特に限定されないが、後述する(b)成分と反応し得る官能基を有することが好ましい。なお、(b)成分と反応し得る官能基としては、加熱によって現れる官能基も含めるものとする。
【0021】
好適な一実施形態において、(b)成分と反応し得る官能基は、ヒドロキシ基(より好ましくはフェノール性水酸基)、カルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基である。中でも、当該官能基としては、ヒドロキシ基、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基が好ましく、ヒドロキシ基、酸無水物基、エポキシ基がより好ましい。ただし、官能基としてエポキシ基を含む場合、(a)成分は芳香族構造を有さない。
【0022】
(a)成分の好適な一実施形態は、ブタジエン樹脂である。ブタジエン樹脂としては25℃で液状またはガラス転移温度が25℃以下のブタジエン樹脂が好ましく、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂(例えば水素化ポリブタジエン骨格含有エポキシ樹脂)、ヒドロキシ基含有ブタジエン樹脂(より好ましくはフェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂)、カルボキシ基含有ブタジエン樹脂、酸無水物基含有ブタジエン樹脂、エポキシ基含有ブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ブタジエン樹脂及びウレタン基含有ブタジエン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましい。ここで、「ブタジエン樹脂」とは、ブタジエン構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂においてブタジエン構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。ブタジエン構造は一部または全てが水素添加されていてもよい。ここで、「水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂」とは、ポリブタジエン骨格の少なくとも一部が水素化された樹脂をいい、必ずしもポリブタジエン骨格が完全に水素化された樹脂である必要はない。
【0023】
ブタジエン樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは7,500〜30,000、さらに好ましくは10,000〜15,000である。である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0024】
ブタジエン樹脂が官能基を有する場合の官能基当量は、好ましくは100〜10000、より好ましくは200〜5000である。なお、官能基当量とは、1グラム当量の官能基を含む樹脂のグラム数である。例えば、エポキシ基当量は、JIS K7236に従って測定することができる。水酸基当量はJIS K1557−1に従って測定した水酸基価でKOHの分子量を割ることで算出することができる。
【0025】
ブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 657」(エポキシ基含有ポリブタジエン)、「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達(株)製の「JP−100」、「JP−200」(エポキシ化ポリブタジエン)、「GQ−1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G−1000」、「G−2000」、「G−3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI−1000」、「GI−2000」、「GI−3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、(株)ダイセル製の「PB3600」、「PB4700」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「エポフレンドA1005」、「エポフレンドA1010」、「エポフレンドA1020」(スチレンとブタジエンとスチレンブロック共重合体のエポキシ化物)、ナガセケムテックス(株)製の「FCA−061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「R−45EPT」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。
【0026】
また(a)成分の他の好適な一実施形態として、ヒドロキシ基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号記載のポリイミド)を使用することもできる。該ポリイミド樹脂のブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0027】
(a)成分の他の好適な一実施形態は、アクリル樹脂である。アクリル樹脂としては、Tgが25℃以下のアクリル樹脂が好ましく、ヒドロキシ基含有アクリル樹脂(より好ましくはフェノール性水酸基含有アクリル樹脂)、カルボキシ基含有アクリル樹脂、酸無水物基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、イソシアネート基含有アクリル樹脂及びウレタン基含有アクリル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましい。ここで、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂において(メタ)アクリレート構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
【0028】
アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜900,000である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0029】
アクリル樹脂が官能基を有する場合の官能基当量は、好ましくは1000〜50000、より好ましくは2500〜30000である。
【0030】
アクリル樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス(株)製のテイサンレジン「SG−70L」、「SG−708−6」、「WS−023」「SG−700AS」「SG−280TEA」(カルボキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂、酸価5〜34mgKOH/g、重量平均分子量40万〜90万、Tg-30〜5℃)、「SG−80H」、「SG−80H-3」、「SG−P3」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂、エポキシ当量4761〜14285g/eq、重量平均分子量35万〜85万、Tg11〜12℃)、「SG−600TEA」、「SG−790」」(ヒドロキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂、水酸基価20〜40mgKOH/g、重量平均分子量50万〜120万、Tg−37〜−32℃)、根上工業(株)製の「ME−2000」、「W−116.3」(カルボキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂)、「W−197C」(水酸基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂)、「KG−25」、「KG−3000」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂)等が挙げられる。
【0031】
また、(a)成分の好適な一実施形態は、カーボネート樹脂である。カーボネート樹脂としてはガラス転移温度が25℃以下のカーボネート樹脂が好ましく、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂(より好ましくはフェノール性水酸基含有カーボネート樹脂)、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、エポキシ基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂及びウレタン基含有カーボネート樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が好ましい。ここで、「カーボネート樹脂」とは、カーボネート構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂においてカーボネート構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
【0032】
カーボネート樹脂の数平均分子量(Mn)、官能基当量はブタジエン樹脂と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0033】
カーボネート樹脂の具体例としては、旭化成ケミカルズ(株)製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ(株)製の「C−1090」、「C−2090」、「C−3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
【0034】
またヒドロキシ基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(PCT/JP2016/053609)を使用することもできる。該ポリイミド樹脂のカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、PCT/JP2016/053609の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0035】
また、さらなる(a)成分の好適な一実施形態は、ポリシロキサン樹脂、アルキレン樹脂、アルキレンオキシ樹脂(例えば、三菱化学(株)製の「YX−7180」(エーテル結合を有するアルキレン構造を含有する樹脂))、イソプレン樹脂、及びイソブチレン樹脂、である。
【0036】
ポリシロキサン樹脂の具体例としては信越シリコーン(株)製の「SMP−2006」、「SMP−2003PGMEA」、「SMP−5005PGMEA」。またアミン基末端ポリシロキサン、四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(WO2010/053185)等が挙げられる。アルキレン樹脂の具体例としては旭化成せんい(株)製の「PTXG−1000」、「PTXG−1800」等が挙げられる。イソプレン樹脂の具体例としてはクラレ(株)製の「KL−610」、「KL613」等が挙げられる。イソブチレン樹脂の具体例としてはカネカ(株)製の「SIBSTAR−073T」(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)、「SIBSTAR−042D」(スチレン−イソブチレンジブロック共重合体)等が挙げられる。
【0037】
またさらなる(a)成分の好適な実施形態として、アクリルゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴムなどのゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体が挙げられ、具体的には、XER−91(日本合成ゴム(株)製)、スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、ガンツ化成(株)製)、パラロイドEXL2655、EXL2602(以上、呉羽化学工業(株)製)等が挙げられる。ポリアミド微粒子の具体例としてはとしては、ナイロンのような脂肪族ポリアミド、さらには、ポリアミドイミド等柔軟な骨格であればどのようなものでも良く、具体的には、VESTOSINT 2070(ダイセルヒュルス(株)製)や、SP500(東レ(株)製)等が挙げられる。
【0038】
樹脂組成物中の(a)成分の含有量は、柔軟性付与の観点から(c)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%〜85質量%であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。また、下限は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上である。
【0039】
<(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(b)芳香族構造を有するエポキシ樹脂を含む。芳香族構造を有するエポキシ樹脂(以下、単に「エポキシ樹脂」ともいう)は、芳香族構造を有していれば特に限定されない。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。
【0040】
芳香族構造を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(b)成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂から選択される1種以上であることがより好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂であることがさらに好ましい。
【0041】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
【0042】
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するエステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂及び芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がさらに好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「JER806」、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
液状エポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香環構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、固体状エポキシ樹脂としては1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香環構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0044】
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がさらに好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」、「HP−7200L」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「HP−7200HHH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、「157S70」(ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:15の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:10の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:8の範囲がさらに好ましい。
【0046】
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0047】
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
【0048】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
【0049】
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0050】
<(c)無機充填材>
樹脂組成物は、(c)無機充填材を含む。無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
無機充填材の平均粒径は、回路埋め込み性を向上させ、表面粗度の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.2μm以下、より好ましくは2μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、(株)アドマテックス製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」、電気化学工業(株)製「UFP−30」、(株)トクヤマ製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」、(株)アドマテックス製「SC2500SQ」、「SO−C6」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」等が挙げられる。
【0052】
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」等を使用することができる。
【0053】
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業(株)製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
【0054】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
【0055】
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
【0056】
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱膨張率が低い絶縁層を得る観点から、50質量%〜95質量%である。好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上、70質量%以上、又は75質量%以上である。上限は、絶縁層の機械強度、特に伸びの観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは87質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
【0057】
<(d)フォスファゼン化合物>
樹脂組成物は、(d)フォスファゼン化合物を含む。(d)成分を含むことで、反りの発生が抑制され、難燃性、ピール強度及びリフロー耐性に優れる樹脂組成物を提供可能となる。
【0058】
(d)成分は、窒素とリンを構成元素とする環状化合物であれば特に限定されないが、(d)成分は、フェノール性水酸基を有するフォスファゼン化合物であることが好ましい。フェノール性水酸基を有すると、(d)成分は、(a)成分及び/又は(b)成分(以下、「(a)成分等」ともいう)と反応しやすくなる。該(d)成分が(a)成分等と反応することで、(d)成分と(a)成分等とからなる三次元架橋構造を構成し、ピール強度及びリフロー耐性に優れるようになる。また、フェノール性水酸基を有することで、高温時においても(a)成分等と相溶性が高くなり、難燃性だけでなく、リフロー処理後の外観も向上するようになる。
【0059】
中でも、(d)成分としては、下記式(1)で表されるフォスファゼン化合物であることが好ましい。
【化2】
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいグリシジル基を表し、Aは、それぞれ独立に単結合、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリーレン基、スルフォニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表す。nは3〜25の整数を表し、m1及びm2は、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。R、R、及びAが複数存在する場合、R、R、及びAは同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、R及びRの少なくとも1つは水酸基である。)
【0060】
及びRが表す、炭素原子数1〜6のアルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。炭素原子数1〜6のアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分枝のアルキル基が好ましい。炭素原子数1〜6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0061】
及びRが表す、炭素原子数1〜6のアルコキシ基は、炭素原子数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルコキシ基がさらに好ましい。炭素原子数1〜6のアルキル基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数1〜6のアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分枝のアルコキシ基が好ましい。
【0062】
及びRが表す、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、及びグリシジル基は置換基を有していてもよい。
【0063】
置換基としては、特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、−OH、−O−C1−6アルキル基、−N(C1−6アルキル基)、C1−6アルキル基、C6−10アリール基、−NH、−CN、−C(O)O−C1−6アルキル基、−COOH、−C(O)H、−NO等が挙げられる。
【0064】
ここで、「Cp−q」(p及びqは正の整数であり、p<qを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がp〜qであることを表す。例えば、「C1−6アルキル基」という表現は、炭素原子数1〜6のアルキル基を示す。
【0065】
上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
【0066】
Aが表す、炭素原子数6〜10のアリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。
【0067】
Aが表す、炭素原子数1〜6のアルキレン基は、炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基がさらに好ましい。炭素原子数1〜6のアルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分枝のアルキレン基が好ましい。炭素原子数1〜6のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、ジメチルメチレン基、n−ブチレン基、t−ブチレン基、ペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0068】
Aが表す、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリーレン基、スルフォニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基としては、特に限定されないが、フェニルスルフォニル基、4−ヒドロキシフェニルスルフォニル基、フェニルジメチルメチレン基、4−ヒドロキシフェニルジメチルメチレン基等が挙げられる。
【0069】
Aが表す、炭素原子数6〜10のアリーレン基、及び炭素原子数1〜6のアルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、Rが表す炭素原子数1〜6のアルキル基が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0070】
nは3〜25の整数を表し、3〜15の整数を表すことが好ましく、3〜10の整数を表すことがより好ましく、3がさらに好ましい。
【0071】
m1及びm2は、それぞれ独立に1〜5の整数を表し、1〜4の整数を表すことが好ましく、1〜3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことがさらに好ましく、1が特に好ましい。
【0072】
また、(d)成分としては、下記式(2)で表されるフォスファゼン化合物であることが好ましい。
【化3】
(式(2)中、R11及びR21は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいグリシジル基を表す。n1は3〜25の整数を表す。ただし、R11及びR21の少なくとも1つは水酸基である。)
【0073】
11及びR21は、式(1)中のR及びRと同義であり、好ましい範囲も同様である。n1は、式(1)中のnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0074】
(d)成分の具体例としては、下記構造のフォスファゼン化合物などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化4】
【化5】
(式(3)及び式(4)中、n2は3から25の整数を表す。)
【化6】
【化7】
【化8】
【0075】
(d)成分は市販品を用いてもよく、例えば、大塚化学(株)製、「SPH−100」、「SPS−100」、「SPB−100」「SPE−100」、(株)伏見製薬所製の「FP−100」、「FP−110」、「FP−300」、「FP−400」等が挙げられ、大塚化学(株)製、「SPH−100」が好ましい。
【0076】
(d)成分の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。また、下限は特に制限はないが好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。
【0077】
<(e)硬化剤>
樹脂組成物は、(e)硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては、(b)成分等の樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(e)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましい。
【0078】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、配線層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び配線層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
【0079】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495V」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」、群栄化学(株)製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」等が挙げられる。
【0080】
配線層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0081】
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
【0082】
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学(株)製)、「YLH1030」(三菱化学(株)製)、「YLH1048」(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
【0083】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
【0084】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0085】
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
【0086】
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、下限は特に制限はないが1質量%以上が好ましい。
【0087】
<(f)硬化促進剤>
樹脂組成物は、(f)硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
【0089】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
【0090】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
【0091】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学(株)製の「P200−H50」等が挙げられる。
【0092】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
【0093】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0094】
樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、(b)成分と硬化剤の不揮発成分合計量を100質量%としたとき、0.01質量%〜3質量%が好ましい。
【0095】
<(g)任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びにバインダー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
【0096】
本発明の樹脂組成物は、反りを抑制する観点から、180℃で1時間熱硬化させた熱硬化物の23℃における弾性率が18GPa以下であり、15GPa以下であることが好ましく、13GPa、11GPa以下、10GPa以下、9GPa以下、又は8GPa以下であることがより好ましい。下限については特に限定されないが、例えば、0.01GPa以上、0.5GPa以上、1GPa以上等とし得る。上記弾性率は、後述する<弾性率の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
【0097】
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間、次いで170℃で30分間硬化させて得られる硬化物)は、反りの発生が抑制されるという特性を示す。反りの大きさは、好ましくは1cm未満、より好ましくは0.8cm以下、さらに好ましくは0.5cm以下である。反りの評価は、後述する<反りの評価>に記載の方法に従って測定することができる。
【0098】
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば180℃で90分間硬化させて得られる硬化物)は、良好なピール強度を示す。即ち良好なピール強度を示す絶縁層をもたらす。硬化後の樹脂組成物のピール強度は、好ましくは1.5kgf/cm以下、より好ましくは1kgf/cm以下、さらに好ましくは0.8kgf/cm以下である。上限は、0.1kgf/cm以上等とし得る。ピール強度の評価は、後述する<ピール強度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
【0099】
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば180℃で90分間硬化させて得られる硬化物)は、良好なリフロー耐性を示す。即ち良好なリフロー耐性を示す絶縁層をもたらす。硬化後の樹脂組成物のピール強度は、例えば、半田リフロー温度を再現するリフロー装置に3回通しても、銅箔との間に膨れが生じないことが好ましい。リフロー耐性の評価は、後述する<リフロー後の外観評価>に記載の方法に従って測定することができる。
【0100】
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば190℃で90分間硬化させて得られる硬化物)は、難燃性に優れるという特性を示す。該難燃性は、UL耐炎性試験規格(UL−94)にて「V−0」又はそれより優れることが好ましい。難燃性の評価は、後述する<難燃性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
【0101】
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層とを含んでなり、樹脂組成物層が本発明の樹脂組成物から形成される。
【0102】
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは50μm以下又は40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0103】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0104】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリルポリマー、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0105】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0106】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
【0107】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ(株)製「ルミラーT6AM」等が挙げられる。
【0108】
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0109】
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0110】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0111】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0112】
樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0113】
本発明の樹脂シートの代わりに、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグを用いてもよい。
【0114】
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは900μm以下であり、より好ましくは800μm以下、さらに好ましくは700μm以下、さらにより好ましくは600μm以下である。特に本発明はめっきもぐり深さを小さく抑えることができるため、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
【0115】
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
【0116】
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
【0117】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
【0118】
例えば、本発明のプリント配線板は、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、該樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
【0119】
工程(I)で用いる「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された回路基板をいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用すればよい(導体層は配線層ともいう)。
【0120】
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0121】
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0122】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
【0123】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0124】
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
【0125】
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。
【0126】
樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0127】
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜220℃の範囲、より好ましくは170℃〜200℃の範囲)、硬化時間は5分間〜120分間の範囲(好ましくは10分間〜100分間、より好ましくは15分間〜90分間)とすることができる。
【0128】
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。
【0129】
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。
【0130】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0131】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に硬化体を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤(粗化液)としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「コンセントレート・コンパクトP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
【0132】
工程(V)は、導体層を形成する工程である。
【0133】
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0134】
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0135】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm〜35μm、好ましくは5μm〜30μmである。
【0136】
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0137】
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0138】
本発明の樹脂組成物は、部品埋め込み性に良好な絶縁層をもたらすことから、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。
【0139】
このような部品内蔵回路板の製造方法としては、
(i)対向する第1及び第2の主面を有し、該第1及び第2の主面間を貫通するキャビティが形成された内層基板と、内層基板の第2の主面と接合している仮付け材料と、内層基板のキャビティの内部において仮付け材料によって仮付けされた部品とを含む、部品仮付け内層基板を準備する工程、
(ii)本発明の樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板の第1の主面と接合するように積層する工程、
(iii)内層基板の第2の主面から仮付け材料を剥離する工程、
(iv)樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板の第2の主面と接合するように積層する工程、及び
(v)樹脂組成物層を熱硬化する工程、を含む。
【0140】
図1に一例を示すように、部品仮付け内層基板100(「キャビティ基板」ともいう)は、対向する第1及び第2の主面11、12を有し、該第1及び第2の主面間を貫通するキャビティ1aが形成された内層基板1と、内層基板1の第2の主面12と接合している仮付け材料2と、内層基板1のキャビティ1aの内部において仮付け材料2によって仮付けされた部品3とを含む。内層基板1は、ビア配線、表面配線等の回路配線4を備えていてもよい。
【0141】
内層基板に形成されるキャビティは、内層基板の特性を考慮して、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ、エッチング媒体等を用いる公知の方法により形成することができる。キャビティは、所定の間隔をあけて複数形成されていてもよく、キャビティの開口形状は特に限定されず、矩形、円形、略矩形、略円形等の任意の形状としてよい。
【0142】
仮付け材料としては、部品を仮付けするのに十分な粘着性を示す粘着面を有する限り特に制限されず、部品内蔵回路板の製造に際し従来公知の任意の仮付け材料を使用してよい。仮付け材料としては、例えば、(株)有沢製作所製のPFDKE−1525TT(粘着剤付ポリイミドフィルム)、古河電気工業(株)製のUCシリーズ(ウエハダイシング用UVテープ)が挙げられる。
【0143】
部品は、キャビティを介して露出した仮付け材料の粘着面に仮付けされる。部品としては、所望の特性に応じて適切な電気部品を選択してよく、例えば、コンデンサ、インダクタ、抵抗、積層セラミックコンデンサ等の受動部品、半導体ベアチップ等の能動部品を挙げることができる。全てのキャビティに同じ部品を用いてもよく、キャビティごとに異なる部品を用いてもよい。
【0144】
工程(ii)は、本発明の樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板の第1の主面と接合するように積層する工程である。第1の主面と樹脂シートとの積層条件は、上述した工程(I)の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0145】
内層基板の第1の主面に樹脂組成物層を積層後、樹脂組成物層を熱硬化させてもよい。樹脂組成物層を熱硬化する条件は、上述した工程(II)の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0146】
工程(iii)は、内層基板の第2の主面から仮付け材料を剥離する工程である。仮付け材料の剥離は、仮付け材料の種類に応じて、従来公知の方法に従って行ってよい。
【0147】
工程(iv)は、樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板の第2の主面と接合するように積層する工程である。第2の主面と樹脂シートとの積層条件は、上述した工程(I)の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。工程(iv)における樹脂組成物層は、工程(ii)における樹脂組成物層と同一の樹脂組成物層であってもよく、異なる樹脂組成物層であってもよい。
【0148】
工程(v)は、樹脂組成物層を熱硬化する工程である。樹脂組成物層を熱硬化する条件は、上述した工程(II)の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0149】
部品内蔵回路板の製造方法としては、さらに、絶縁層に穴あけする工程(穴あけ工程)、絶縁層の表面を粗化処理する工程、粗化された絶縁層表面に導体層を形成する工程をさらに含んでもよい。これら工程は、上述したとおりである。
【0150】
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物である絶縁層と、絶縁層に埋め込まれた埋め込み型配線層と、を備える態様であってもよい。
【0151】
このようなプリント配線板の製造方法としては、
(1)内層基板と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)配線層を層間接続する工程、及び
(4)基材を除去する工程、を含む。
【0152】
この製造方法で用いる内層基板の両面には、銅箔等からなる金属層を有することが好ましく、金属層は2層以上の金属層が積層されている構成であることがより好ましい。工程(1)の詳細は、内層基板上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電界めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。
【0153】
内層基板とドライフィルムとの積層条件は、上述した工程(II)の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0154】
ドライフィルムを内層基板上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
【0155】
配線層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは18/18μm以下(ピッチ36μm以下)、さらに好ましくは15/15μm以下(ピッチ30μm以下)である。配線層のライン/スペース比の下限は特に制限されないが、好ましくは0.5/0.5μm以上、より好ましくは1/1μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。
【0156】
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
【0157】
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。
【0158】
配線層の厚みは、所望のプリント配線板のデザインによるが、好ましくは3μm〜35μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは10〜20μm、又は15μmである。
【0159】
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、公知の方法により実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。
【0160】
工程(2)は、樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。配線層付き基材と樹脂シートとの積層条件は、上述した工程(II)の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0161】
工程(3)は、配線層を層間接続することができれば特に限定されないが、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成する工程、及び絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させる工程の少なくともいずれかの工程であることが好ましい。絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成する工程は上述したとおりである。
【0162】
絶縁層の研磨方法又は研削方法としては、プリント配線層を露出させることができ、研磨又は研削面が水平であれば特に限定されず、従来公知の研磨方法又は研削方法を適用することができ、例えば、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法等が挙げられる。
【0163】
工程(4)は、内層基板を除去し、本発明のプリント配線板を形成する工程である。内層基板の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、内層基板上に有する金属層の界面でプリント配線板から内層基板を剥離し、金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。
【0164】
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様である。
【0165】
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
【0166】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【0167】
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0168】
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
【実施例】
【0169】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0170】
<エラストマーAの製造>
反応容器にG−3000(2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン、数平均分子量=5047(GPC法)、ヒドロキシ基当量=1798g/eq.、固形分100質量%:日本曹達(株)製)50gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学(株)製)23.5g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、トルエン−2,4−ジイソシアネート(イソシアネート基当量=87.08g/eq.)4.8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(酸無水物当量=161.1g/eq.)8.96gと、トリエチレンジアミン0.07gと、エチルジグリコールアセテート((株)ダイセル製)40.4gを添加し、攪拌しながら130℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100μmメッシュの濾布で濾過して、ブタジエン構造および酸無水物基を有するエラストマーAを得た。
粘度:7.5Pa・s(25℃、E型粘度計)
酸価:16.9mgKOH/g
固形分:50質量%
数平均分子量:13723
ガラス転移温度:−10℃
ポリブタジエン構造部分の含有率:50/(50+4.8+8.96)×100=78.4質量%
官能基当量:45943g/eq
【0171】
[製造例1:樹脂ワニス1の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、フォスファゼン化合物(大塚化学(株)製、「SPH−100」の固形分50%シクロヘキサノン溶液)、4部、エラストマーA 30部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を作製した。
【0172】
[製造例2:樹脂ワニス2の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、フォスファゼン化合物(大塚化学(株)製、「SPH−100」の固形分50%シクロヘキサノン溶液)8部、エラストマーA 30部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を作製した。
【0173】
[製造例3:樹脂ワニス3の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、フォスファゼン化合物(大塚化学(株)製、「SPH−100」の固形分50%シクロヘキサノン溶液)4部、アクリル酸エステル共重合樹脂(ナガセケムテックス(株)製、「テイサンレジンSG−80H」、固形分20%、MEK/トルエン溶液、Tg11℃、官能基等量14285g/eq、重量平均分子量Mw35万)75部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス3を作製した。
【0174】
[製造例4:樹脂ワニス4の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、フォスファゼン化合物(大塚化学(株)製、「SPH−100」の固形分50%シクロヘキサノン溶液)8部、アクリル酸エステル共重合樹脂(ナガセケムテックス(株)製、「テイサンレジンSG−80H」、固形分20%、MEK/トルエン溶液、Tg11℃、官能基等量14285g/eq、重量平均分子量Mw35万)75部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス4を作製した。
【0175】
[製造例5:樹脂ワニス5の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、フォスファゼン化合物(大塚化学(株)製、「SPH−100」の固形分50%シクロヘキサノン溶液)4部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製、「YX7180BH40」、固形分40%、MEK/シクロヘキサノン溶液)37.5部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス5を作製した。
【0176】
[製造例6:樹脂ワニス6の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、フォスファゼン化合物(大塚化学(株)製、「SPH−100」の固形分50%シクロヘキサノン溶液)8部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製、「YX7180BH40」、固形分40% MEK/シクロヘキサノン溶液)37.5部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス6を作製した。
【0177】
[製造例7:樹脂ワニス7の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、アクリル酸エステル共重合樹脂(ナガセケムテックス(株)製、「テイサンレジンSG−80H」、固形分20%、MEK/トルエン溶液、Tg11℃、官能基等量14285g/eq、重量平均分子量Mw35万)75部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス7を作製した。
【0178】
[製造例8:樹脂ワニス8の製造]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、三菱化学(株)製「JER806」3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量151、DIC(株)製、「HP4032」)3部、イミダゾール誘導体(四国化成(株)製、「2P4MZ」)0.05部、リン化合物(難燃剤、(大八化学(株)製、「TPP」、トリフェニルホスフェート)、3部、アクリル酸エステル共重合樹脂(ナガセケムテックス(株)製、「テイサンレジンSG−80H」、固形分20%、MEK/トルエン溶液、Tg11℃、官能基等量14285g/eq、重量平均分子量Mw35万)75部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製、「SO−C5」、平均粒径1.6μm)120部、クレゾールノボラック樹脂(DIC(株)製「KA−1163」、フェノール性水酸基当量:118g/eq)4部、メチルエチルケトン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス8を作製した。
【0179】
[実施例1:樹脂シート1の作製]
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ75μm、以下「PETフィルム」と略称する。)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて樹脂ワニス1を塗布し、80〜120℃(平均100℃)で10分間乾燥し樹脂シート1を得た。
【0180】
[実施例2:樹脂シート2の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス2に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート2を得た。
【0181】
[実施例3:樹脂シート3の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス3に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート3を得た。
【0182】
[実施例4:樹脂シート4の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス4に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート4を得た。
【0183】
[実施例5:樹脂シート5の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス5に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート5を得た。
【0184】
[実施例6:樹脂シート6の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス6に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート6を得た。
【0185】
[比較例1:樹脂シート7の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス7に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート7を得た。
【0186】
[比較例2:樹脂シート8の作製]
実施例1において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス8に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート8を得た。
【0187】
[弾性率の測定]
(評価用硬化物の準備)
離型PETフィルム(リンテック(株)製「501010」、厚さ38μm、240mm角)の未処理面がガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(松下電工(株)製「R5715ES」、厚さ0.7mm、255mm角)に接するように、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板上に設置し、該離型フィルムの四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した。
【0188】
実施例及び比較例で作製した各樹脂シート(167×107mm角)を、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製、2ステージビルドアップラミネーター、CVP700)を用いて、樹脂組成物層が離型PETフィルムの離型面と接するように、中央にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。
【0189】
次いで、支持体を剥離し、180℃で1時間の硬化条件で樹脂組成物層を熱硬化させた。
【0190】
熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥がし、樹脂組成物層をガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板から取り外した。更に樹脂組成物層から離型PETフィルムを剥離して、シート状の硬化物(評価用硬化物)を得た。
【0191】
(弾性率の測定)
評価用硬化物をダンベル状1号形に切り出し、試験片を得た。該試験片を、オリエンテック社製引張試験機「RTC−1250A」を用いて引張強度測定を行い、23℃における弾性率を求めた。測定は、JIS K7127に準拠して実施した。この操作を3回行いその平均値を表に示した。
【0192】
[反りの評価]
(評価基板の準備)
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程
(1−1)基材(コア基板)へのドライフィルムの積層
コア基板として、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(層構成:三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT−Ex銅箔(厚さ3μmの銅箔/厚さ18μmのキャリア箔)/パナソニック(株)製「R1515A」基板(厚さ0.2mm)/三井金属鉱業(株)製マイクロシンMT−Ex銅箔(厚さ18μmのキャリア箔/厚さ3μmの銅箔))170×110mm角を準備した。該積層板の3μm銅箔のマット面側両面に、PETフィルム付きドライフィルム(ニッコー・マテリアルズ(株)製「ALPHO 20A263」、ドライフィルムの厚さ20μm)を、ドライフィルムが銅箔と接合するように、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて積層した。ドライフィルムの積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度70℃、圧力0.1MPaにて20秒間圧着することにより行った。
【0193】
(1−2)パターンの形成
以下に示した配線パターンを形成したガラスマスク(フォトマスク)を、ドライフィルムの保護層であるPETフィルム上に配置し、UVランプにより照射強度150mJ/cmにてUV照射した。UV照射後、ドライフィルムのPETフィルムを剥離し、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗して、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。
【0194】
ガラスマスクの配線パターン:
L/S=15μm/15μm、すなわち配線ピッチ30μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)を10mm間隔で形成。
【0195】
(1−3)配線層の形成
ドライフィルムの現像後、電解銅めっきを15μmの厚さで行い、配線層を形成した。次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、ドライフィルムを剥離した後、水洗を行い150℃で30分間乾燥した。
【0196】
(2)配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、樹脂シートを配線層付き基材上に積層し、熱硬化させ絶縁層を形成する工程
(2−1)樹脂シートの積層
実施例及び比較例で作製した樹脂シートの保護フィルム(167mm×107mm)の保護フィルムを剥離し、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が配線層と接合するように、配線層両面に埋め込み積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、110℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された樹脂シートを、大気圧下、110℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
【0197】
(2−2)樹脂組成物層の熱硬化
樹脂シートの積層後、支持体(PETフィルム)を剥離し、100℃で30分間、次いで170℃で30分間の条件で樹脂組成物層を熱硬化させて、配線層の両面に絶縁層を形成した。
【0198】
(3)絶縁層にビアホールを形成する工程
絶縁層の上方から、三菱電機(株)製COレーザー加工機「605GTWIII(−P)」を使用して、絶縁層の上方からレーザーを照射して、櫛歯配線パターンのランドとなる150μm角正方形の配線層直上の絶縁層にトップ径(75μm)のビアホールを形成した。レーザーの照射条件は、マスク径が2.5mmであり、パルス幅が16μsであり、エネルギーが0.36mJ/ショットであり、ショット数が3であり、バーストモード(10kHz)で行った。
【0199】
(3−1)粗化処理を行う工程
ビアホールが設けられた構造体に対してデスミア処理を行った。なお、デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
【0200】
湿式デスミア処理:
ビアホールが設けられた回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間、次いで酸化剤溶液(アトテックジャパン(株)製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で10分間、最後に中和液(アトテックジャパン(株)製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間、浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
【0201】
(3−2)導体層を形成する工程
(3−2−1)無電解めっき工程
評価基板の表面に導体層を形成するため、下記1〜6の工程を含むめっき工程(アトテックジャパン(株)製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って導体層を形成した。
【0202】
1.アルカリクリーニング(ビアホールが設けられた絶縁層の表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング(ビアホール内の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整)
Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与)
Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元)
Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出)
Basic Solution Printganth MSK−DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK−DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、35℃で20分間処理した。形成された無電解銅めっき層の厚さは0.8μmであった。
【0203】
(3−2−2)電解めっき工程
次いで、アトテックジャパン(株)製の薬液を使用して、ビアホール内に銅が充填される条件で電解銅めっき工程を行った。その後に、エッチングによるパターニングのためのレジストパターンとして、ビアホールに対応する直径150μmのランドパターンを形成し(ビア接続の無い部分も600μmピッチで全面に形成)、このランドパターンを用いて絶縁層の表面に15μmの厚さで導体パターンを有する導体層を形成した。次に、アニール処理を190℃にて90分間行った。
【0204】
(4)基材を除去する工程
導体層が形成された配線層付き基材の全面に粘着剤付PETフィルム(厚さ50μm)を貼り合わせた後、コア基板のマイクロシンMT−Ex銅箔の厚さ3μmの銅箔と厚さ18μmキャリア箔の界面にカッターの刃を差し込み、コア基板を剥離、分離した。次いで、導体層が形成された面は粘着剤付PETフィルムで保護した状態で、3μm銅箔を塩化銅水溶液でエッチング除去し、水洗した後、110℃で30分間乾燥した。その後、粘着剤付PETフィルムを剥離し、L/S=15/15μm櫛歯パターンが片面に埋め込まれた配線板を作製した。得られた配線板を「評価基板A」と称する。
【0205】
(5)反りの評価
評価基板Aの四辺のうち、一辺を幅107mmの接着テープ(製品名、カプトン粘着テープ、(株)寺岡製作所製)でSUS板に固定し、SUS板から最も高い点の高さを求めることにより反りの値を求めた。この操作を4回繰り返し平均値が反りの大きさが1cm未満の場合を「〇」、1cm以上2cm未満の場合を「△」、2cm以上の場合を「×」とした。
【0206】
<ピール強度の測定>
実施例、比較例で作製した樹脂シートを銅箔(JX日鉱日石金属(株)製 「JTC箔」、銅箔厚み18μm)へラミネートした後、PETフィルムを除去した。得られた樹脂付き銅箔をガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ESの両面をメック(株)製粗化処理剤(CZ8100)により1μm、エッチングして銅表面の粗化処理を行ったもの)へバッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)でラミネートした。その後、180℃90分熱硬化し、作製したサンプルに幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、銅箔の一端を剥がしてつかみ具((株)ティー・エス・イー製、オートコム型試験機 AC−50C−SL)で掴み、室温(25℃)にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm(N/cm))を測定した。
【0207】
<リフロー後の外観評価>
実施例、比較例で作製した樹脂シートを銅箔(JX日鉱日石金属(株)製 「JTC箔」、銅箔厚み18μm)へラミネートした後、PETフィルムを除去した。得られた樹脂付き銅箔をガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製R5715ES)の両面をメック(株)製粗化処理剤(CZ8100)により1μm、エッチングして銅表面の粗化処理を行ったもの)へバッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)でラミネートした。続いて180℃90分熱硬化し、作製したサンプルを5cm×15cmにカットした。幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、銅箔の一端を剥がして35mmを引き剥がした後、ピーク温度260℃の半田リフロー温度を再現するリフロー装置(日本アントム(株)製「HAS−6116」)に3回通した(リフロー温度プロファイルはIPC/JEDEC J−STD−020Cに準拠)。熱硬化物と銅箔間に膨れが生じなかったものを「○」、膨れが生じたものを「×」とした。
【0208】
<難燃性の評価>
実施例、比較例で作製した樹脂シートをバッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機(株)製)を用いて、貼りあわせる作業を繰り返し、樹脂組成物層の厚みが0.4mmであるPET/樹脂組成物層/PETの構成である樹脂シートを作製した。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。樹脂シートから一方のPETフィルムを剥離した後、190℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化させた。硬化後に他方のPETフィルムを剥がし樹脂組成物層を取り出しUL難燃性の試験用に12.7mm×127mmのサイズに切断し、端面をサンドペーパー(#1200その後、#2800)にて研磨した試験片を、70±1℃オーブン中で168時間処理後、デシケーターで4時間以上放冷しUL耐炎性試験規格(UL−94)に従い難燃性を評価した。詳細は、バーナーを、得られた試験片真下に移動させ、炎を試験片の下端中央に10秒間接炎し、その後の燃焼時間を計測した。再び10秒間接炎し、その後の燃焼時間を計測した。これを5回繰り返し、以下の基準に基づいて評価した。
(評価基準)
V−0:燃焼物の落下、試験片の全焼がなく、試験片の燃焼時間が50秒以下
V−1:燃焼物の落下、試験片の全焼がなく、試験片の燃焼時間が50秒を超え250秒以下
Not:燃焼物の落下、試験片の全焼、又は試験片の燃焼時間が250秒を超える
【0209】
【表1】
【符号の説明】
【0210】
100 部品仮付け内層基板(キャビティ基板)
1 内層基板
1a キャビティ
11 第1の主面
12 第2の主面
2 仮付け材料
3 部品
4 回路配線
図1