(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805537
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】水供給装置
(51)【国際特許分類】
B67D 1/00 20060101AFI20201214BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20201214BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
B67D1/00
C02F1/44 B
C02F1/28 G
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-90798(P2016-90798)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-197245(P2017-197245A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 玉清
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚男
(72)【発明者】
【氏名】中島 一秀
【審査官】
北村 一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/094364(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0000984(US,A1)
【文献】
特開2003−331352(JP,A)
【文献】
特開2001−224654(JP,A)
【文献】
特開昭59−082993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00− 3/04
B01D 53/22;61/00−71/82
C02F 1/44
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水を貯留する貯留部と、
前記貯留部に接続された水供給経路に設けられ、駆動する場合には該水供給経路を通じて前記貯留部に貯留された水を供給するポンプと
を備えた水供給装置において、
前記水供給経路における前記ポンプの下流部分であって該水供給経路により供給される水を冷却する水冷却部の上流部分に設けられ、かつ該ポンプの駆動により該水供給経路を通過する水に含まれる細菌や塩素成分を除去するフィルタ部材を備え、
前記フィルタ部材は、内部に中空糸膜が収納された有底円筒状のフィルタ本体の上面開口をフィルタ蓋体で閉塞させて構成され、かつ前記フィルタ本体の底部に接続された水供給経路を通過した水が前記中空糸膜を通過することにより該水に含まれる細菌や塩素成分を除去し、除去後の水を前記フィルタ蓋体に接続された水供給経路より吐出するものであり、
また前記フィルタ部材は、前面開口が扉体により開閉される直方状の筐体において、該扉体により前記前面開口が開放される際に該前面開口を通じて露出される部分に設けられたホルダに対し、前記フィルタ本体が該ホルダに形成された保持孔を上方から挿通した状態で該保持孔の開口縁部の上面に前記フィルタ蓋体の外縁部分が載置されることにより着脱可能に保持されていることを特徴とする水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカップ式飲料自動販売機に適用される水供給装置では、水タンク、ポンプ及びフィルタを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
水タンクは、供給された水を貯留する貯留部を構成している。ポンプは、水タンクに接続された水供給経路に設けられている。このポンプは、駆動する場合に、水供給経路を通じて水タンクに貯留された水を該水供経路の下流側に供給するものである。フィルタは、活性炭や中空糸膜により構成されるものである。このフィルタは、水供給経路においてポンプの上流部分に設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−101262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した水供給装置では、水供給経路においてポンプの上流部分にフィルタが設けられていたので、次のような問題があった。すなわち、フィルタが中空糸膜により構成されている場合、該フィルタが駆動するポンプの水の吸込に対する抵抗となり、該ポンプの駆動による水量が十分なものとならない虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、ポンプの駆動による水量を良好なものとすることができるとともに、供給する水に含まれる細菌や塩素成分を除去することができる水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る水供給装置は、供給された水を貯留する貯留部と、前記貯留部に接続された水供給経路に設けられ、駆動する場合には該水供給経路を通じて前記貯留部に貯留された水を供給するポンプとを備えた水供給装置において、前記水供給経路における前記ポンプの下流部分に設けられ、かつ該ポンプの駆動により該水供給経路を通過する水に含まれる細菌や塩素成分を除去するフィルタ部材を備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記水供給装置において、前記フィルタ部材は、中空糸膜を備えて構成されたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記水供給装置において、前記フィルタ部材は、前面開口が扉体により開閉される直方状の筐体において、該扉体により前記前面開口が開放される際に該前面開口を通じて露出される部分に設けられたホルダに着脱可能に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水供給経路におけるポンプの下流部分に設けられたフィルタ部材が、該ポンプの駆動により該水供給経路を通過する水に含まれる細菌や塩素成分を除去するので、フィルタ部材が駆動するポンプの水の吸込の抵抗とならない。そのため、ポンプの駆動による水量を良好なものとすることができるとともに、供給する水に含まれる細菌や塩素成分を除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である水供給装置を模式的に示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した水供給装置を構成する水フィルタの設置例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2及び
図3に示した水フィルタ及びホルダを分解して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る水供給装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態である水供給装置を模式的に示す模式図である。ここで例示する水供給装置10は、例えばカップ式飲料自動販売機1(
図2参照)に適用されるもので、水タンク11及び水供給経路12を備えて構成されている。
【0014】
水タンク11は、原水供給経路13を通じて供給された水を貯留する貯留部である。この水タンク11では、図には明示していないが、内部に電極を有しており、かかる電極間を通電させることにより塩素を生じさせて貯留される水の衛生を保持している。また、生じさせた塩素は、水供給経路12を通じて供給される水に含まれるとともに、後述する飲料容器に飲料を提供する部分(例えばノズル等)にも残留するようにしている。
【0015】
水供給経路12は、複数の水供給配管12aが接続されて構成されたもので、水タンク11に貯留される水を水冷却部14に供給するための経路である。ここで水冷却部14は、水供給経路12を通じて供給された水が通過する水通過管14aが蛇行状に形成されて冷却水槽14bの冷却水に浸漬されて構成されており、水通過管14aを通過する水を冷却するものである。この水冷却部14で冷却された水は、図には明示しないが、炭酸水を生成する部分や、飲料容器に飲料を提供する部分に送出される。
【0016】
上記水供給経路12には、ポンプ15及び水フィルタ(フィルタ部材)16が設けられている。ポンプ15は、図には明示しない制御部から駆動指令が与えれた場合に駆動し、駆動することにより水タンク11に貯留される水を、水供給経路12を通じて水冷却部14に供給させるものである。
【0017】
水フィルタ16は、
図2及び
図3に示すように、内部に中空糸膜(図示せず)が収納された有底円筒状のフィルタ本体16aの上面開口を、フィルタ蓋体16bで閉塞させて構成されている。このような水フィルタ16は、フィルタ本体16aの底部16a1にポンプ15の吐出部分に接続された水供給配管12aが接続されており、フィルタ蓋体16bに水冷却部14の入口部分に接続された水供給配管12aが接続されている。つまり、水フィルタ16は、水冷却部14の上流部分に設けられている。
【0018】
上記水フィルタ16は、送出された水が中空糸膜を通過することにより該水に含まれる細菌や塩素成分を除去するためのものである。かかる水フィルタ16は、次のようにしてホルダ17に着脱可能に保持されている。
【0019】
ホルダ17は、
図4に示すように、取付部17aと保持部17bとが一体的に形成された構成されている。取付部17aは、厚み方向が左右方向となり、上下方向に沿って延在する矩形状の板状体である。この取付部17aは、前後方向が長手方向となっており、前端部及び後端部が左方に向けて屈曲されている。
【0020】
保持部17bは、取付部17aの上端縁部より右方に向けて延在する水平延在部分であり、上下に貫通する保持孔17b1が設けられている。この保持孔17b1は、フィルタ本体16aの外径よりも大きく、かつフィルタ蓋体16bの外径よりも小さい内径を有している。
【0021】
このようなホルダ17は、前面開口2aが前面扉(扉体)3により開閉されるカップ式飲料自動販売機1の直方状の自動販売機本体(筐体)2において、前面開口2aの近傍の底部分に立設された支持部材4に設けられている。より詳細には、取付部17aに設けられた取付孔17a1を貫通する図示せぬネジが支持部材4に螺合することにより、取付部17aは、左面が支持部材4の右面に接する態様で該支持部材4に取り付けられている。つまり、ホルダ17は、前面扉3により前面開口2aが開放される際に該前面開口2aを通じて露出される部分に設けられている。ここで支持部材4は、カップ式飲料自動販売機1の内部の構成要素であるブリュアと称される抽出容器等を支持するためのものである。
【0022】
そして、水フィルタ16は、
図4に示すように、ホルダ17の保持部17bに対して上方から近接させ、フィルタ本体16aが保持孔17b1を挿通した状態で該保持孔17b1の開口縁部の上面にフィルタ蓋体16bの外縁部分が載置されることでホルダ17に保持される(
図3参照)。その一方、ホルダ17に保持された水フィルタ16を上方に向けて移動させることで該ホルダ17から容易に離脱させることができる。これにより、水フィルタ16はホルダ17に着脱可能に保持されている。
【0023】
以上のような構成を有する水供給装置10においては、制御部から駆動指令が与えられたポンプ15が駆動することにより、水タンク11に貯留された水が水供給経路12を通過する。そして、水フィルタ16にて通過する水に含まれる細菌や塩素成分を除去して、これら細菌や塩素成分が除去された水を水冷却部14に供給することができる。
【0024】
以上説明したように、本発明の実施の形態である水供給装置10によれば、水供給経路12におけるポンプ15の下流部分に設けられた水フィルタ16が、ポンプ15の駆動により該水供給経路12を通過する水に含まれる細菌や塩素成分を除去するので、水フィルタ16が駆動するポンプ15の水の吸込の抵抗とならない。そのため、ポンプ15の駆動による水量を良好なものとすることができるとともに、供給する水に含まれる細菌や塩素成分を除去することができる。
【0025】
上記水供給装置10によれば、水フィルタ16が、前面開口2aが前面扉3により開閉される直方状の自動販売機本体2において、該前面扉3により前面開口2aが開放される際に該前面開口2aを通じて露出される部分に設けられたホルダ17に着脱可能に保持されているので、該水フィルタ16の交換を容易に行うことができる。
【0026】
上記水供給装置10によれば、水フィルタ16が水冷却部14の上流部分に設けられているので、該水フィルタ16により細菌や塩素成分が除去された水を水冷却部14にて冷却することができ、該水を良好に冷却することができる。つまり、水フィルタ(フィルタ部材)が水冷却部14の下流部分に設けられていると、該水冷却部14で冷却した水が水フィルタを通過する際に吸熱して温められることがあるが、本実施の形態においては、水フィルタ16が水冷却部14の上流部分に設けられているので、水冷却部14にて冷却された後に温められる虞れがなく、水を良好に冷却することができる。
【0027】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0028】
上述した実施の形態では、ホルダ17は、ブリュアと称される抽出器を支持する支持部材4に取り付けられていたが、本発明においては、ホルダは、筐体の前面開口が扉体により開放される場合に、該筐体の該前面開口を通じて露出される個所であればその配設部分は特に限定されるものではない。
【0029】
上述した実施の形態では、水フィルタ16は中空糸膜を備えて構成されるものであったが、本発明においては、フィルタ部材は、中空糸膜だけでなく活性炭も備えて構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 カップ式飲料自動販売機
2 自動販売機本体
2a 前面開口
3 前面扉
4 支持部材
10 水供給装置
11 水タンク
12 水供給経路
13 原水供給経路
14 水冷却部
15 ポンプ
16 水フィルタ
17 ホルダ