特許第6805545号(P6805545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805545
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】計器箱補修具
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/24 20060101AFI20201214BHJP
   G01R 11/04 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G01R11/24 A
   G01R11/04 F
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-98758(P2016-98758)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-207330(P2017-207330A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 隆男
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−189554(JP,A)
【文献】 特開2010−21923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/00−11/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、
貫通孔を備え、前記ベースに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記カバーに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、
前記カバーの前記封印ネジの差込孔よりも大径であって、かつ前記ネジ穴に螺合するための大径ネジ部と、前記封印ネジの差込孔に挿入するために前記大径ネジ部の一端に設けられる軸部と、前記大径ネジ部の他端に設けられる封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、
を備え、
前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さと、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離とが等しいことを特徴とする計器箱補修具。
【請求項2】
ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、
貫通孔を備え、前記ベースに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記カバーに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、
前記ネジ穴に挿入するネジ部と、前記ネジ部の他端に設けられた封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、
前記封印ネジの前記ネジ部に取り付けられ、前記カバーの前記封印ネジの差込孔よりも大きい外形を有するフランジ部と、前記フランジ部から突出するとともに前記封印ネジの差込孔に挿入可能な突起部と、を有する封印ネジ先端キャップと、を備え、
前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さよりも、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離が大きいことを特徴とする計器箱補修具。
【請求項3】
ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、
貫通孔を備え、前記ベースに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記カバーに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、
前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離よりも短く、かつ前記ネジ穴に挿入するネジ部と、前記ネジ部の他端に設けられる封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、
を備え、
前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さと、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離とが等しいことを特徴とする計器箱補修具。
【請求項4】
ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、
貫通孔を備え、前記カバーに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記ベースに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、
前記ネジ穴付アーム部の外側に配置されたナットと、
前記貫通孔付アーム部と、前記計器箱のカバー締め付け箇所と、前記ネジ穴を貫通し、前記ナットに螺合されるネジ部と、前記ネジ部が一端に設けられた軸部と、前記軸部の他端に設けられ、封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、を備え、
前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さと、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離とが等しいことを特徴とする計器箱補修具。
【請求項5】
前記貫通孔付アーム部又は前記ネジ穴付アーム部の一端の先端には、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とが前記カバー締め付け箇所を挟持する挟持方向と逆方向に曲げてある折り曲げ部を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計器箱補修具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外において使用される電力量計などの計器を収容する計器箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外において使用される電力量計を、雨露や衝撃などから保護するために使用する計器箱があった。電力量計は、ベース(本体)及びカバー内に形成される空間内に収容される。計器箱は、ベース及びカバーを組み合わせた状態で、例えば、カバーの下端に遊貫された封印ネジを、ベースの下端に設けられた封印ネジ部分の雌ネジに螺合し、又は合成樹脂製の雌ネジ穴に螺合することによって、計器箱の下端に固定されている。電力量計を収容する計器箱は、例えば、ベース及びカバーにそれぞれ設けられた封印用の貫通孔と、封印ネジの頭部を直径方向に貫通する封印用の貫通孔とに、封印線を弛まないように通した状態で、封印線の両端を封印具により圧着することで、電力量計の違約使用の防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5415470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、屋外で使用される電力量計の計器箱は紫外線や風雨にさらされる。このため、電力量計の取替や調査等で、計器箱のカバーを開ける際に、封印ネジや封印ネジ部分の雌ネジの螺合部分等が錆等の経年劣化が主な原因で固着する場合も少なくなかった。そのため、封印ネジを弛める方向に回転させると、封印ネジの頭部や、封印ネジ部分の雌ネジとの螺合部分が破損することも少なくなかった。
【0005】
また、計器箱ベースに合成樹脂製の雌ネジ穴がある場合は、樹脂製のネジ山が経年劣化等により摩耗して、封印ネジが空転して固着できないこともあった。
【0006】
計器箱ベースの下端に設けられた封印ネジ部分の雌ネジに、封印ネジ先端側の一部が残ってしまった場合、又は合成樹脂製の雌ネジ穴のネジ山が摩耗した場合は、計器箱を正常に閉じて封印することができなくなるため、電力量計の取替や調査等の本来の作業に加え、計器箱の交換を行わなくてはならず、停電時間や作業時間の発生や長時間化が発生し、作業の容易性や効率、設置コストの高額化等、さまざまな問題が発生している。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術は、従来の計器箱とは構造が異なり、既存の計器箱が再利用できないため、ベース及びカバーを専用の新しいベース及びカバーへ取り替える作業が必要である。
【0008】
また、上述した従来の技術では、カバーを開ける際に、封印ネジや雌ネジの螺合部分に錆が生じ脆くなっている場合を想定して、封印ネジを慎重に弛めても、当該封印ネジがネジ切れする場合等も多く、封印ネジの破損により、再度の封印ができなくなる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カバーを開けることで封印ネジの破損等があっても、既存の計器箱のベース及びカバーを再利用可能な計器箱補修具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために計器箱補修具は、ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、貫通孔を備え、前記ベースに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記カバーに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、前記カバーの前記封印ネジの差込孔よりも大径であって、かつ前記ネジ穴に螺合するための大径ネジ部と、前記封印ネジの差込孔に挿入するために前記大径ネジ部の一端に設けられる軸部と、前記大径ネジ部の他端に設けられる封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、を備え、前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さと、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離とが等しい
【0011】
この構造により、カバーを開けることで封印ネジの破損があっても、既存の計器箱のベース及びカバーを再利用して、カバーをベースに固定することができる。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために計器箱補修具は、ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、貫通孔を備え、前記ベースに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記カバーに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、前記ネジ穴に挿入するネジ部と、前記ネジ部の他端に設けられた封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、前記封印ネジの前記ネジ部に取り付けられ、前記カバーの前記封印ネジの差込孔よりも大きい外形を有するフランジ部と、前記フランジ部から突出するとともに前記封印ネジの差込孔に挿入可能な突起部と、を有する封印ネジ先端キャップと、を備え、前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さよりも、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離が大きい
【0013】
この構造により、カバーを開けることで封印ネジの破損があっても、既存の計器箱のベース及びカバーを再利用して、カバーをベースに固定することができる。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために計器箱補修具は、ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、貫通孔を備え、前記ベースに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記カバーに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離よりも短く、かつ前記ネジ穴に挿入するネジ部と、前記ネジ部の他端に設けられる封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、を備え、前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さと、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離とが等しい
【0015】
この構造により、カバーを開けることで封印ネジの破損があっても、既存の計器箱のベース及びカバーを再利用して、カバーをベースに固定することができる。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために計器箱補修具は、ベースとカバーとを組み合わせて形成される空間に計器を収容する計器箱であって、かつ前記ベースと前記カバーを連続して貫通する封印ネジと、前記ベースに封印ネジ部分の雌ネジを備える締め付け装置が不良の場合の前記計器箱を補修する計器箱補修具において、貫通孔を備え、前記カバーに当接するための貫通孔付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と対向しつネジ穴を備え、前記ベースに当接するためのネジ穴付アーム部と、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とを連結する連結部とを備える計器箱補修具本体と、前記ネジ穴付アーム部の外側に配置されたナットと、前記貫通孔付アーム部と、前記計器箱のカバー締め付け箇所と、前記ネジ穴を貫通し、前記ナットに螺合されるネジ部と、前記ネジ部が一端に設けられた軸部と、前記軸部の他端に設けられ、封印孔付頭部とを備える計器箱補修具用の封印ネジと、を備え、前記ベースと前記カバーとが嵌め合わされて最短となったときのカバー締め付け箇所の長さと、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部との間の距離とが等しい
【0017】
この構造により、カバーを開けることで封印ネジ部分の雌ネジの摩耗等があっても、既存の計器箱のベース及びカバーを再利用して、カバーをベースに固定することができる。
【0018】
好ましい態様として、計器箱補修具は、前記貫通孔付アーム部又は前記ネジ穴付アーム部の一端の先端には、前記貫通孔付アーム部と前記ネジ穴付アーム部とが前記カバー締め付け箇所を挟持する挟持方向と逆方向に曲げてある折り曲げ部を備えている。
【0019】
この構造により、カバーの締め付け箇所において、計器箱補修具本体がベース及びカバーを挟持し易くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、計器箱の封印ネジの破損や封印ネジ部分の雌ネジの摩耗等が原因で、計器箱を正常に閉じて封印ができなくなっても、計器箱補修具を使うことにより、既存の計器箱のベース及びカバーを再利用して、計器箱を正常に閉じて封印することができる。そして、電力量計の取替や調査等に伴う計器箱の不良取替数を低減し、停電や作業の抑制、及び作業の容易性や設備コストの効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、計器箱の模式的な断面図である。
図2図2は、計器箱の正面を模式的に示す組み合わせ図である。
図3図3は、計器箱のカバー締め付け箇所において、カバーを開ける際に封印ネジが破損した状態を模式的に説明する拡大断面図である。
図4図4は、計器箱の封印ネジが破損した状態、又は樹脂製のネジ山が摩耗した状態の計器箱締め付け箇所を示す平面図である。
図5図5は、既存の計器箱の封印ネジを示す説明図である。
図6図6は、実施形態1に係る封印ネジ先端キャップを説明するための説明図である。
図7図7は、実施形態1に係る計器箱補修具本体を説明するための説明図である。
図8図8は、実施形態1に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。
図9図9は、実施形態1に係る計器箱補修具の取付手順を示す模式図である。
図10図10は、実施形態1に係る計器箱補修具の取付状態を示す模式図である。
図11図11は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付状態を示す模式図である。
図12図12は、実施形態2に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。
図13図13は、実施形態2に係る計器箱補修具本体の取付手順を模式的に示す平面図である。
図14図14は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付状態において、封印ネジと封印孔に封印線を通して、封印をした状態を模式的に示す平面図である。
図15図15は、計器箱の封印ネジが破損した状態の、計器箱締め付け箇所を模式的に示す断面図である。
図16図16は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付手順を模式的に示す断面図である。
図17図17は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付状態において、封印ネジと封印孔に封印線を通して、封印をした状態を模式的に示す断面図である。
図18図18は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付状態を示す模式図である。
図19図19は、実施形態3に係る計器箱補修具の封印ネジの説明図である。
図20図20は、実施形態3に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。
図21図21は、計器箱の樹脂製のネジ山が摩耗した状態の、計器箱締め付け箇所を示す断面図である。
図22図22は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付手順を示す断面図である。
図23図23は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付状態を示す断面図である。
図24図24は、実施形態3に係る計器箱補修具本体の取付手順を示す平面図である。
図25図25は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付状態を示す平面図である。
図26図26は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付手順を示す断面図である。
図27図27は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付状態を示す断面図である。
図28図28は、実施形態4に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。
図29図29は、実施形態4に係る計器箱補修具本体の取付手順を示す平面図である。
図30図30は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0023】
(実施形態1)
図1は、計器箱の模式的な断面図である。図2は、計器箱の正面を模式的に示す組み合わせ図である。図2の右側は、カバー2の正面図であり、図2の左側は、カバーを省略して、ベース3の正面図である。図3は、カバー及びベースの固定機構において、カバーを開ける際にねじ切れを生じている状態を模式的に説明する拡大断面図である。図4は、計器箱の封印ネジが破損した状態、又は樹脂製のネジ山が摩耗した状態の計器箱締め付け箇所を示す平面図である。図1及び図2に示すように、計器箱1は、カバー2、ベース3及びカバー締め付け箇所5を有している。
【0024】
計器箱1は、屋外において使用される電力量計を、雨露や衝撃などから保護するために使用する。カバー2とベース3との間に形成される空間9には、電力量計などの計器が収容される。図2に示すように、ベース3及びカバー2にそれぞれ設けられ、カバー2とベース3とが閉められた場合に貫通する封印孔10(図4参照)と、カバー締め付け箇所5に設けられた封印ネジ4の差込孔21(図4参照)、封印ネジ4の頭部にある封印用の貫通孔(以後、封印孔という。)49と、に後述する封印線が挿入される。この封印線が通された状態で、後述する封印具で封印線が圧着される。封印線により、計器箱の封印ネジ4の弛みが抑制され、封印線を切らないと封印ネジ4を弛められないので、計器箱1が封印される。その結果、カバー2とベース3との間に形成される空間9に電力計などの計器が設置された後、不正にカバー2が開けられたことが、封印線の状態をもって判断できる。
【0025】
図5は、既存の計器箱の封印ネジを示す説明図である。封印ネジ4は、ネジ頭部(封印孔付頭部)41と、軸部42と、ネジ部43とを備えている。本実施形態では、ネジ部43の外周に雄ねじが切られている。封印ネジ4の寸法の一例として、封印孔付頭部41の直径D7がφ6mmであり、軸部42の直径D8がφ3mmであり、ネジ部43の直径D6がφ4mmである。また、封印孔付頭部41の長さL6が6mmであり、軸部42の長さL5が15mmであり、ネジ部43の長さL4が8mmである。封印孔付頭部41には、ドライバーを差し込む溝があり、溝幅d1が1.2mmである。
【0026】
図3に示すように、カバー締め付け箇所5において、カバー2には、封印ネジ4の差込孔21が設けられている。また、カバー締め付け箇所5において、ベース3にも封印ネジ部分の雌ネジ31が設けられている。ベース3に対して、カバー2が閉められると、封印ネジの差込孔21と封印ネジ部分の雌ネジ31とが重なり、封印ネジの差込孔21と封印ネジ部分の雌ネジ31とが連通する。雌ネジ31には、雌ネジが切られているので、封印ネジ4のネジ部43が雌ネジ31と螺合して、カバー締め付け箇所5がベース3にカバー2を固定するとともに、上述のように、封印する。なお、図3に示すように、封印ネジ4のネジ部43の先端は、ベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31から露出し、ベース3から突出している。
【0027】
計器箱1は、電力量計などの計器の取り替えや検査などの目的でカバー2が開けられる。カバー2の開閉は、5年、10年などの長期期間経過後に行われることが多い。また、計器箱1は、外にあるため、紫外線、風雨にさらされる。その結果、置かれる環境によっては、カバー締め付け箇所5の封印ネジ4に錆、腐食などが進行し、カバー締め付け箇所5の封印ネジ4が劣化することがある。劣化した封印ネジ4の締結を解除して、計器箱1のカバー2を開ける作業によっては、封印ネジ4がねじ切れて、ベース3の雌ネジ31へ封印ネジ4の先端側4Bが残ってしまった状態になることがある。このような状態は、ベース3に封印ネジ部分の雌ネジ31を備える締め付け装置が不良の場合と言える。
【0028】
例えば、カバー締め付け箇所5の封印ネジ4が劣化した状態であったり、封印ネジ4のネジ部43と雌ネジ31との締結が錆により解除できない場合、封印ネジ4を無理に回転すると、封印ネジ4がねじ切れ、図3に示すように軸部42に破断部BKができて、封印ネジ4の頭部側4A、封印ネジ4の先端側4Bとなることがある。
【0029】
この封印ネジの先端側4Bがベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31へ残ってしまうことが多い。従来、封印ネジの先端側4Bがベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31へ残ってしまうと、封印ネジ4、カバー2及びベース3を交換し、交換後の封印ネジ4、カバー2及びベース3が破棄されていた。
【0030】
実施形態1において、封印ネジの頭部側4Aが破棄されるが、カバー2、ベース3及び封印ネジの先端側4Bが再利用される。図6は、実施形態1に係る封印ネジ先端キャップを説明するための説明図である。図7は、実施形態1に係る計器箱補修具本体を説明するための説明図である。図8は、実施形態1に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。図9は、実施形態1に係る計器箱補修具の取付手順を示す模式図である。図10は、実施形態1に係る計器箱補修具の取付状態を示す模式図である。実施形態1において、カバー2は、図6に示す封印ネジ4の先端キャップ6と、図7に示す計器箱補修具本体7と、図8に示す計器箱補修具の封印ネジ4Cとを用いて、ベース3に固定される。
【0031】
図6(a)は、封印ネジ4Cの先端キャップ6の上面視の平面図である。図6(b)は、図6(a)の側面図である。図6(c)は、封印ネジ4Cの先端キャップ6の下面視の平面図であり、図6(a)の反対側からみた平面図である。図6(a)及び図6(b)に示すように、封印ネジ4Cの先端キャップ6は、上面視で円形の外形を有するフランジ部62と、フランジ部62から突出するとともに、封印ネジの差込孔21に挿入可能な突起部61を備えている。図6(c)に示すように、フランジ部62の中央部に、雌ネジが切られている凹部63を備えている。
【0032】
封印ネジ4Cの先端キャップ6の直径D1は、封印ネジの差込孔21の内直径D3(図9参照)よりも大きい。封印ネジ4Cの先端キャップ6において、突起部61の直径D2は、封印ネジの差込孔21の内直径D3(図9参照)以下である。
【0033】
図7に示すように、計器箱補修具本体7は、貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73と、連結部71とを備えている。貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73とが互いの平面が対向するように、かつ貫通孔付アーム部72とネジ穴付アーム部73とが連結部71に対して略直角となるように金属の板状体を折り曲げ加工されている。実施形態1において、貫通孔付アーム部72とネジ穴付アーム部73とが対向し、連結部71が貫通孔付アーム部72とネジ穴付アーム部73とを連結して全体としてコの字状としている。計器箱補修具本体7は、U字状であってもよい。
【0034】
貫通孔付アーム部72には、貫通孔75が開けられている。ネジ穴付アーム部73には、ネジ穴74が開けられている。ネジ穴74には、雌ネジが切られている。
【0035】
上述した、もともとカバー2とベース3とを固定していた封印ネジ4の一部分である、封印ネジの頭部側4Aを取り除いて、代わりに使われるボルトが図6に示す計器箱補修具の封印ネジ4Cである。図6に示すように、封印ネジ4Cは、封印孔付頭部41と、外周に雄ねじが切られた封印ネジ4Cのネジ部44とを備えている。
【0036】
図9及び図10に示すように、カバー締め付け箇所5において、カバー2を閉じたことによりベース3とカバー2とが嵌め合わされた最低の距離L1よりも、貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73との距離L2が大きい。
【0037】
実施形態1において、図9に示すように、封印ネジ4Cのネジ部44がネジ穴付アーム部73のネジ穴74と螺合される。次に、ネジ穴付アーム部73を貫通した封印ネジ4Cのネジ部44の先端は、封印ネジ4Cの先端キャップ6の凹部63(図6参照)と螺合される。この状態において、ベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31へ残ってしまった状態の第1ボルトの一部である封印ネジの先端側4Bが貫通孔付アーム部72の貫通孔75に挿入される。
【0038】
封印ネジ4Cの封印孔付頭部41をドライバーなどで回転することにより、図10のように、封印ネジ4Cの先端キャップ6がカバー2の封印ネジの差込孔21に挿入される。そして、フランジ部62がカバー2に当接された状態で、カバー2とベース3とが固定される。
【0039】
図10に示すように、ネジ穴付アーム部73は、貫通孔付アーム部72よりもフランジ部62がカバー2に当接することによる反力を受けるので、ネジ穴付アーム部73の厚みW1は、貫通孔付アーム部72の厚みW2よりも大きくする。これにより、フランジ部62がカバー2に当接する姿勢が安定する。なお、ネジ穴付アーム部73の厚みW1が貫通孔付アーム部72の厚みW2と同じ厚みとしてもよい。
【0040】
以上説明したように、計器箱1は、カバー2と、カバー2とベース3との間に形成される空間9に形成される計器を収容するベース3とを備える。封印ネジ4がねじ切れて、ベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31へ残ってしまった状態の封印ネジの先端側4Bが残っていても、計器箱補修具本体7と、封印ネジ4Cと、封印ネジ4Cの先端キャップ6とにより、既存の計器箱1のベース3及びカバー2を再利用可能とすることができる。計器箱補修具本体7は、第1ボルトの一部である封印ネジの先端側4Bが挿入された貫通孔75を備える貫通孔付アーム部72と、貫通孔付アーム部72と対向しかつネジ穴74を備えるネジ穴付アーム部73と、貫通孔付アーム部72とネジ穴付アーム部73とを連結する連結部71とを備える。封印ネジ4Cは、ネジ穴74を貫通するネジ部44と、ネジ部44の一端に設けられた封印孔付頭部41とを備える。封印ネジ4Cの先端キャップ6は、ネジ部44の他端に取り付けられ、封印ネジの差込孔21よりも大きい外形を有するフランジ部62と、フランジ部62から突出するとともに封印ネジの差込孔21に挿入可能な突起部61と、を有する。これらの構成により、封印ネジ4Cの先端キャップ6の突起部61が封印ネジの差込孔21に挿入され、フランジ部62がカバー2に当接された状態で、カバー2とベース3とが固定されている。これにより、貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73との距離L2は連結部71で規制されており、フランジ部62と、貫通孔付アーム部72との間で、カバー締め付け箇所5におけるカバー2とベース3とが挟まれる。
【0041】
その結果、カバー2を開けることで固定できなくなった封印ネジ4があっても、既存の計器箱1のベース3及びカバー2を再利用して、カバー2をベース3に固定することができる。その結果、既存の計器箱1のベース3及びカバー2の交換作業が省略でき、作業効率が向上する。そして、計器箱1のコストが低減される。
【0042】
(実施形態2)
図11は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付状態を示す模式図である。図12は、実施形態2に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。図13は、実施形態2に係る計器箱補修具本体の取付手順を模式的に示す平面図である。図14は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付状態において、封印ネジと封印孔に封印線を通して、封印をした状態を模式的に示す平面図である。図15は、計器箱の封印ネジが破損した状態の、計器箱締め付け箇所を模式的に示す断面図である。図16は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付手順を模式的に示す断面図である。図17は、実施形態2に係る計器箱補修具の取付状態において、封印ネジと封印孔に封印線を通して、封印をした状態を模式的に示す断面図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0043】
本実施形態2において、図11に示すように、カバー締め付け箇所5において、カバー2を閉じたことによりベース3とカバー2とが嵌め合わされた最低の距離L1と、貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73とが対向する距離が同じである。図11に示すように、例えば、距離L1は、23mmであり、距離H1は、7mmであり、距離H2は、4mmであり、距離H3は、7mmであり、距離H4は、4mmである。
【0044】
封印ネジ4がねじ切れて、ベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31へ残ってしまった状態の封印ネジ4の一部である封印ネジの先端側4Bがあっても、計器箱補修具本体7と、封印ネジ4Dと、ナット8とにより、既存の計器箱1のベース3及びカバー2を再利用可能とすることができる。
【0045】
図12に示すように封印ネジ4Dは、封印孔付頭部41と、ネジ部44とを備えている。実施形態2では、ネジ部44の外周に雄ねじが切られている。封印ネジ4Dの寸法の一例として、封印孔付頭部41の直径D7がφ6mmであり、ネジ部44の直径D9がφ4mmである。また、封印孔付頭部41の長さL6が6mmであり、ネジ部44の長さL5Aが15mmである。封印孔付頭部41には、ドライバーを差し込む溝があり、溝幅d1が1.2mmである。
【0046】
図15に示すように、計器箱1のカバー2を開ける作業によっては、封印ネジ4がねじ切れて、封印ネジ4の先端側4Bがベース3の雌ネジ31へ残ってしまった状態になることがある。次に、図13及び図16に示すように、カバー締め付け箇所5において、カバー2とベース3とが計器箱補修具本体7で挟まれる。
【0047】
実施形態2において、ネジ穴付アーム部73の外側に接する位置で、計器箱補修具の封印ネジ4Dのネジ部44と螺合されるナット8を備えている。例えば、ナット8は、ネジ穴付アーム部73の外側に溶着により固着されている。図14及び図17に示すように、封印ネジ4Dの封印孔付頭部41をドライバーなどで回転することにより、封印ネジ4Dのネジ部44がナット8の雌ネジ81と螺合され、ナット8から露出した封印ネジ4Dのネジ部44の先端がネジ穴付アーム部73のネジ穴74に挿入される。
【0048】
図11に示すように、封印ネジ4Dのネジ部44がカバー2の封印ネジの差込孔21に挿入される。封印ネジ4Dのネジ部44の長さL3は、貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73との距離L1よりも短い。図12に示す封印ネジ4Dのネジ部44の長さL5Aが、封印ネジ4Dのネジ部44と軸部42とが接触しないような距離となっており、図11に示すように、封印ネジ4Dのネジ部44と軸部42との間に隙間Qが生じている。封印ネジの軸部42は、折損し残った長さが長い場合は、ペンチ等により適宜切断する。そして、ネジ穴付アーム部73が貫通孔付アーム部72側に撓む。その結果、貫通孔付アーム部72がベース3に当接され、ネジ穴付アーム部73がカバー2に当接された状態で、カバー2とベース3とが固定される。実施形態1のカバー締め付け箇所5は、実施形態2のカバー締め付け箇所5よりも、カバー2とベース3とが挟まれる力を強めることができる。
【0049】
図11に示すように、ネジ穴付アーム部73の厚みW1は、貫通孔付アーム部72の厚みW2よりも小さくする。これにより、ネジ穴付アーム部73が貫通孔付アーム部72側に撓み易い。なお、ネジ穴付アーム部73の厚みW1が貫通孔付アーム部72の厚みW2と同じ厚みとしてもよい。
【0050】
図14及び図17に示すように、ベース3及びカバー2にそれぞれ設けられ、カバー2とベース3とが閉められた場合に貫通する封印孔10(図14参照)と、封印ネジ4の頭部にある封印用の封印孔49と、に封印線88が挿入される。この封印線88が通された状態で、封印具89で封印線が圧着される。封印線88により、計器箱1の封印ネジ4Dの弛みが抑制され、封印線88を切らないと封印ネジ4Dを弛められないので、計器箱1が封印される。その結果、カバー2とベース3との間に形成される空間9に電力計などの計器が設置された後、不正にカバー2が開けられたことが、封印線88の状態をもって判断できる。
【0051】
以上説明したように、カバー2を開けることで固定できなくなった封印ネジ4があっても、既存の計器箱1のベース3及びカバー2を再利用して、カバー2をベース3に固定することができる。その結果、既存の計器箱1のベース3及びカバー2の交換作業が省略でき、作業効率が向上する。そして、計器箱1のコストが低減される。
【0052】
(実施形態3)
図18は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付状態を示す模式図である。図19は、実施形態3に係る計器箱補修具の封印ネジの説明図である。図20は、実施形態3に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。図21は、計器箱の樹脂製のネジ山が摩耗した状態の、計器箱締め付け箇所を示す断面図である。図22は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付手順を示す断面図である。図23は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付状態を示す断面図である。図24は、実施形態3に係る計器箱補修具本体の取付手順を示す平面図である。図25は、実施形態3に係る計器箱補修具の取付状態を示す平面図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0053】
実施形態3において、計器箱1のベース3に合成樹脂製の雌ネジ31の穴がある場合、雌ネジ31のネジ山が経年劣化等により摩耗して、封印ネジ4が空転して固着できなくなる場合がある。このような状態は、ベース3に封印ネジ部分の雌ネジ31を備える締め付け装置が不良の場合と言える。
【0054】
図19に示す封印ネジ4Eのネジ部43と、他端に設けられた封印ネジの封印孔付頭部41と、軸部42と、を備える。図20に示すように、封印ネジ4Eの寸法の一例として、封印孔付頭部41の直径D7がφ6mmであり、軸部42の直径D8がφ3mmであり、ネジ部43の直径D6がφ4mmである。また、封印孔付頭部41の長さL6が6mmであり、軸部42の長さL5が20mmであり、ネジ部43の長さL4が8mmである。封印孔付頭部41には、ドライバーを差し込む溝があり、溝幅d1が1.2mmである。このように、封印ネジ4Eにおいて、封印ネジ4Eの軸部42が既存の封印ネジ4の軸部42(図5参照)より5mm程度長い。
【0055】
また、封印ネジ4Eのネジ部43がベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31とカバー2の封印ネジの差込孔21とに挿入された状態で、封印ネジ4Eのネジ部43の一部がベース3から突出する。実施形態3において、計器箱1は、ネジ穴付アーム部73の外側に接する位置で封印ネジ4Eのネジ部43と螺合されるナット8がネジ穴付アーム部73に溶着されている。
【0056】
本実施形態3において、図18に示すように、カバー締め付け箇所5において、カバー2を閉じたことによりベース3とカバー2とが嵌め合わされた最低の距離L1と、貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73との距離が同じである。図20に示す封印ネジ4Eのネジ部43の長さL4は、ネジ穴付アーム部73の厚みW2よりも大きい。例えば、距離L1は、23mmであり、距離H1は、7mmであり、距離H2は、4mmである。
【0057】
図21に示すように、雌ネジ31のネジ山が経年劣化等により摩耗して、既存の封印ネジ4が空転して固着できなくなる場合がある。この場合、計器箱1を正常に閉じて封印することができなくなるため、電力量計の取替や調査等の本来の作業に加え、計器箱1の交換を行わなくてはならず、停電時間や作業時間の発生や長時間化が発生し、作業の容易性や効率、設置コストの高額化等、さまざまな問題が発生してしまう。そこで、実施形態3においては、既存の封印ネジ4が破棄されるが、計器箱1のベース3及びカバー2を再利用する。図22及び図24に示すように、封印ネジ4が空転して固着できなくなっているカバー締め付け箇所5において、カバー2とベース3とが計器箱補修具本体7で挟まれる。
【0058】
封印ネジ4Eの封印孔付頭部41をドライバーなどで回転することにより、図23及び図25のように、封印ネジのネジ部43が、貫通孔75、封印ネジの差込孔21、雌ネジ31、ネジ穴74を通り、ナット8に挿入される。そして、封印ネジ4Eの封印孔付頭部41に押されてネジ穴付アーム部73が貫通孔付アーム部72側に撓む。その結果、貫通孔付アーム部72がベース3に当接され、ネジ穴付アーム部73がカバー2に当接された状態で、カバー2とベース3とが固定される。
【0059】
その結果、カバー2を開けることで封印ネジ部分の雌ネジ31が利用できなくなっても、既存の計器箱1のベース3及びカバー2を再利用して、カバー2をベース3に固定することができる。その結果、既存の計器箱1のベース3及びカバー2の交換作業が省略でき、作業効率が向上する。そして、計器箱1のコストが低減される。
【0060】
(実施形態4)
図26は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付手順を示す断面図である。図27は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付状態を示す断面図である。図27は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付状態を示す断面図である。図28は、実施形態4に係る計器箱補修具の封印ネジを説明するための説明図である。図29は、実施形態4に係る計器箱補修具本体の取付手順を示す平面図である。図30は、実施形態4に係る計器箱補修具の取付状態を示す平面図である。なお、上述したものと同じ部材、構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
実施形態4においてもカバー締め付け箇所5において、実施形態1で上述したベース3とカバー2を連続して貫通する封印ネジ4と、ベース3に封印ネジ部分の雌ネジ31を備える締め付け装置が不良の場合の計器箱1の補修方法を説明する。
【0062】
図26及び図27に示すように、実施形態4に係る計器箱補修具は、ベース3とカバー2を組み合わせた状態の計器箱1のカバー締め付け箇所5において、ベース3及びカバー2の組み合わせ方向に外接するコの字形の計器箱補修具本体7と、封印ネジ4Fと、ナット8とを備える。
【0063】
実施形態4において、封印ネジ4がねじ切れて、ベース3の封印ネジ部分の雌ネジ31へ残ってしまった状態の封印ネジ4の一部である封印ネジの先端側4Bがあっても、計器箱補修具本体7と、封印ネジ4Fと、ナット8とにより、既存の計器箱1のベース3及びカバー2を再利用可能とすることができる。
【0064】
図28に示すように封印ネジ4Fは、封印孔付頭部41と、大径ネジ部45と、軸部46とを備えている。実施形態4では、大径ネジ部45の外周に雄ねじが切られている。封印ネジ4Fの寸法の一例として、封印孔付頭部41の直径D7がφ10mmであり、大径ネジ部45の直径D12がφ8mmであり、軸部46の直径D13がφ4mmである。また、封印孔付頭部41の長さL6が6mmであり、大径ネジ部45の長さL8が6mmであり、軸部46の長さL7が10mmである。封印孔付頭部41には、ドライバーを差し込む溝があり、溝幅d1が1.2mmである。
【0065】
封印ネジ4Fの大径ネジ部45の直径D12は、封印ネジの差込孔21の内直径D3(図26参照)よりも大きい。軸部46の直径D13は、封印ネジの差込孔21の内直径D3(図26参照)以下である。
【0066】
図26に示すように、計器箱1のカバー2を開ける作業によっては、封印ネジ4がねじ切れて、封印ネジ4の先端側4Bがベース3の雌ネジ31へ残ってしまった状態になることがある。次に、図26に示すように、カバー締め付け箇所5において、カバー2とベース3とが計器箱補修具本体7で挟まれる。例えば、距離H1は、5mmであり、距離H2は、4mmである。
【0067】
図26及び図29に示すように、ネジ穴付アーム部73の外側に接する位置で、計器箱補修具の封印ネジ4Fの大径ネジ部45と螺合されるナット8を備えている。例えば、ナット8は、ネジ穴付アーム部73の外側に溶着により固着されている。
【0068】
図27及び図30に示すように、封印ネジ4Fの封印孔付頭部41をドライバーなどで回転することにより、封印ネジ4Fの大径ネジ部45がナット8の雌ネジ81及びネジ穴付アーム部73のネジ穴74と螺合される。大径ネジ部45の長さL8は、ナット8の厚みよりも長く、大径ネジ部45がネジ穴付アーム部73から露出してカバー2に当接する長さが必要である。これにより、封印ネジ4Fが完全に螺合された状態で、カバー2を押さえられる。また、この場合、封印ネジ4Fの軸部46の先端が封印ネジの差込孔21に挿入されている。図27に示す距離L1は、例えば、23mmである。
【0069】
図28に示す封印ネジ4Fの軸部46の長さL7は、図27に示す貫通孔付アーム部72と、ネジ穴付アーム部73との距離L1よりも短い。封印ネジ4Fの軸部46の長さL7が、封印ネジ4Fの軸部46と軸部42とが接触しないような距離となっており、図27に示すように、封印ネジ4Fの軸部46と軸部42との間に隙間Qが生じている。封印ネジ4Fの軸部46の長さL7は、カバー締め付け箇所5のカバー2の厚みを超えないことがより好ましい。封印ネジの軸部42は、折損し残った長さが長い場合は、ペンチ等により適宜切断する。そして、封印ネジ4Fの封印孔付頭部41をドライバーなどで回転することにより、ネジ穴付アーム部73がナット8に押され、ネジ穴付アーム部73が貫通孔付アーム部72側に撓むとともに、封印ネジ4Fの大径ネジ部45が直接カバー2を締め付ける。その結果、大径ネジ部45と、ネジ穴付アーム部73とが、カバー2とベース3とを挟み、固定される。実施形態4のカバー締め付け箇所5は、実施形態2のカバー締め付け箇所5よりも、カバー2とベース3とが挟まれる力を強めることができる。
【0070】
このように、実施形態4に係る計器箱補修具は、封印ネジの差込孔よりも直径が大きい大径ネジ部45を備える封印ネジ4Fで直接カバー2を押さえることができる。
【0071】
貫通孔付アーム部72には、貫通孔75が開けられている。ネジ穴付アーム部73には、ネジ穴74が開けられている。ネジ穴74には、雌ネジが切られている。ネジ穴74は、封印ネジの差込孔21の内径よりも大きい内径を有している。
【0072】
カバー締め付け箇所5において、ベース3とカバー2とが計器箱補修具本体7で挟持され、封印ネジの差込孔21に、実施形態4に係る計器箱補修具用の封印ネジ4Fの軸部46が挿入される。封印ネジ4Fが計器箱補修具本体7のネジ穴74に螺合されることにより、計器箱補修具用の封印ネジ4Fがカバー2を締め付け方向に締め付けることができる。
【0073】
計器箱補修具本体7は、ネジ穴付アーム部73の先端2mm程度が挟持方向と逆方向に45°程度の角度で曲げてある折り曲げ部76を備えている。ここで、挟持方向とは、貫通孔付アーム部72とネジ穴付アーム部73とがカバー締め付け箇所5を挟持する方向であり、貫通孔付アーム部72とネジ穴付アーム部73とが近づく方向である。折り曲げ部76を備えることで、カバー締め付け箇所5において、計器箱補修具本体7がベース3及びカバー2を挟持し易くなる。折り曲げ部76は、貫通孔付アーム部72にあってもよく、貫通孔付アーム部72及びネジ穴付アーム部73の両方にあってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 計器箱
2 カバー
3 ベース
4 封印ネジ
4A 封印ネジの頭部側(分割体)
4B 封印ネジの先端側(分割体)
4C 封印ネジ
4D 封印ネジ
4E 封印ネジ
4F 封印ネジ
5 カバー締め付け箇所
6 封印ネジの先端キャップ
7 計器箱補修具本体
8 ナット
9 カバーとベースとの間に形成される空間
10 封印孔
21 封印ネジの差込孔
31 封印ネジ部分の雌ネジ
41 封印孔付頭部
42 封印ネジの軸部
43 封印ネジのネジ部
44 計器箱補修具の封印ネジのネジ部
61 突起部
62 フランジ部
63 凹部
71 連結部
72 貫通孔付アーム部
73 ネジ穴付アーム部
74 ネジ穴
75 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30