(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、
図1を用いて、高所作業車の一実施形態に係る高所作業車1について説明する。
【0014】
図1に示すように、高所作業車1は、油圧工具である油圧式圧着工具100(
図2参照)を用いてスリーブSをかしめて電力線同士を接続する電気配線工事用の高所作業車である。高所作業車1は、車両2、高所作業装置6を有する。
【0015】
車両2は、高所作業装置6を搬送するものである。車両2は、フレーム2aに運転室2bや複数の車輪3が設けられ、動力源であるエンジン4(
図2参照)が搭載されている。車両2は、運転室2bからの操作に従ってエンジン4の駆動力を複数の車輪3に伝達して走行するように構成されている。車両2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、高所作業車1の作業可能範囲を広げることができる。
【0016】
高所作業装置6は、作業者が搭乗するバケット9を高所まで持ち上げるものである。高所作業装置6は、旋回台7、伸縮ブーム8、バケット9、起伏シリンダ10、操作装置11を具備する。
【0017】
旋回台7は、高所作業装置6を旋回するものである。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム2a上に設けられる。円環状の軸受は、その回転中心が車両2の設置面に対して垂直になるように配置されている。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。また、旋回台7は、図示しない油圧式の旋回モータによって回転されるように構成されている。
【0018】
伸縮ブーム8は、バケット9を支持するものである。伸縮ブーム8は、複数のブーム部材から構成されている。各ブーム部材は、互いに相似な多角形断面を有する中空円筒状に形成されている。各ブーム部材は、断面積の大きさの順にその内部に挿入可能な大きさに形成されている。伸縮ブーム8は、各ブーム部材が軸方向に移動可能に構成されている。つまり、伸縮ブーム8は、各ブーム部材を図示しない伸縮シリンダ等で移動させることで伸縮自在に構成されている。伸縮ブーム8は、ブーム部材の基端が旋回台7上に搖動可能に設けられている。さらに、伸縮ブーム8は、旋回台7に対してブーム部材の基端を中心として搖動自在に構成されている。
【0019】
バケット9は、作業者の作業空間を確保するためのものである。バケット9は、内部に作業者が乗り込むように構成されている。バケット9は、支持機構9aを介して伸縮ブーム8の先端に支持されている。支持機構9aは、図示しない油圧アクチュエータによりバケット9を俯仰方向及び水平方向に搖動させる。
【0020】
起伏シリンダ10は、伸縮ブーム8を起立および倒伏させ、伸縮ブーム8の姿勢を保持するものである。起伏シリンダ10は油圧シリンダから構成されている。起伏シリンダ10は、基部が旋回台7に搖動自在に連結され、ロッド先端が伸縮ブーム8に搖動自在に連結されている。起伏シリンダ10は、ロッドが伸縮されることで伸縮ブーム8を起立または倒伏させる。
【0021】
操作装置11は、旋回台7、伸縮ブーム8、バケット9等の操作を行うものである。操作装置11は、車両2およびバケット9の内部に設けられている。操作装置11は、旋回台7の旋回操作、伸縮ブーム8の伸縮操作を行う旋回伸縮操作具、伸縮ブーム8の起伏操作を行う起伏用操作具およびエンジン始動スイッチ等が設けられている。また、操作装置11には、油圧式圧着工具100に供給する作動油の油圧を切り換える油圧切換操作具11a(
図3参照)が設けられている。油圧切換操作具11aは、油圧式圧着工具100に増圧した作動油を供給可能な状態に切り換えたり、油圧式圧着工具100から作動油を排出したりする。
【0022】
このように構成される高所作業車1は、車両2を走行させることで任意の位置に高所作業装置6を移動させることができる。また、高所作業車1は、起伏シリンダ10で伸縮ブーム8を任意の起伏角度に起立させて、伸縮ブーム8を任意のブーム長さに延伸させて高所作業装置6のバケット9の移動範囲を拡大することができる。
【0023】
以下に、
図2と
図3とを用いて、高所作業車1が具備する増圧装置12について説明する。
【0024】
図2に示すように、増圧装置12は、油圧式圧着工具100に供給される作動油の油圧を増圧するものである。増圧装置12は、増圧シリンダ13、圧力センサ14、方向制御弁である与圧用の電磁切換弁(予圧用切換弁17)、リリーフ弁21、方向制御弁である本圧用の電磁切換弁(本圧用切換弁24)、パイロット式チェック弁27、油圧ポンプ28、および制御装置31(
図3参照)を備える。
【0025】
増圧シリンダ13は、作動油の油圧を増圧するものである。増圧シリンダ13は、ロッド側に設けられる有底円筒状の増圧室13aを備える油圧シリンダから構成されている。増圧シリンダ13は、増圧室13aの内径が油圧シリンダの内径よりも小さくなるように構成されている。油圧シリンダの内部には、ロッド13fが接続されている大径ピストン13dが摺動自在に挿入されている。油圧シリンダの内部には、ロッド側油室13bとヘッド側油室13cとが構成されている。増圧室13aの内部には、小径ピストン13eが摺動自在に挿入されている。増圧シリンダ13は、増圧室13a内の小径ピストン13eと油圧シリンダ内の大径ピストン13dとがロッド13fを介して連結されている。増圧シリンダ13は、油圧シリンダのヘッド側油室13cに作動油が供給された場合、作動油の油圧によって大径ピストン13dに生じる力が増圧室13aの小径ピストン13eに伝達される。これにより、増圧シリンダ13は、大径ピストン13dと小径ピストン13eとの面積比で増圧された力によって増圧室13a内の作動油を加圧する。
【0026】
増圧シリンダ13の増圧室13aには、第一圧力検出手段として圧力センサ14が接続されている。圧力センサ14は、増圧室13a内の作動油の油圧をリアルタイムで検出することができる。圧力センサ14は、制御装置31に接続されている。また、増圧シリンダ13の増圧室13aには、供給油路15が接続されている。供給油路15には、油圧式圧着工具100を接続可能な継手16が設けられている。これにより、増圧装置12は、増圧シリンダ13の増圧室13aで増圧された作動油が供給油路15を通じて継手16に接続される油圧式圧着工具100に供給可能に構成されている。
【0027】
方向制御弁である与圧用の電磁切換弁(以下、単に「予圧用切換弁17」と記す)は、増圧シリンダ13の増圧室13aと油圧式圧着工具100とがそれぞれ接続されている供給油路15に供給される作動油の方向を切り換えるものである。予圧用切換弁17の一方のポートには、低圧油路18を介して供給油路15が接続されている。予圧用切換弁17の他方のポートには、予圧油路19を介して供給油路15が接続されている。予圧用切換弁17の供給ポートには、吐出油路20を介して油圧ポンプ28が接続されている。つまり、予圧用切換弁17には、作動油が油圧ポンプ28の吐出圧(以下、単に「予圧」と記す)で供給される。予圧用切換弁17は、図示しないスプールが電磁石によって移動されることにより一方のポートと他方のポートのうちいずれか一方が供給ポートに連通される。
【0028】
予圧用切換弁17の一方のポートに接続されている低圧油路18には、作動油の油圧を設定値以下に制御するリリーフ弁21が接続されている。リリーフ弁21は、入口ポートに低圧油路18から分岐した分岐油路が接続され、出口ポートに作動油タンク30が接続されている。さらに、低圧油路18には、リリーフ弁21の分岐油路よりも上流側に絞り22が設けられ、下流側に逆止弁23が設けられている。リリーフ弁21は、低圧油路18を流れる作動油の油圧が設定値に到達すると分岐油路を通じて低圧油路18を流れる作動油の一部を作動油タンク30に還流させる。つまり、低圧油路18を流れる作動油の油圧は、リリーフ弁21によって予圧よりも低いリリーフ圧(以下、単に「低圧」と記す)に制御される。また、低圧油路18を流れる作動油の流量は、絞り22によってリリーフ弁21のリリーフ流量以下に制限されている。予圧油路19には、逆止弁23が設けられている。予圧用切換弁17は、制御装置31に接続されている。
【0029】
予圧用切換弁17は、電磁石が励磁されていない場合(制御装置31から動作信号を受けていない場合)、低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置にスプールが移動される。つまり、予圧用切換弁17は、油圧ポンプ28から吐出される作動油を供給油路15に供給しない状態に切り換えられる。これにより、増圧装置12は、供給油路15を通じて増圧シリンダ13の増圧室13aおよび油圧式圧着工具100に作動油を供給しない。
【0030】
予圧用切換弁17は、一方のポートと供給ポートとが連通するように電磁石が励磁された場合(制御装置31から低圧の作動油を供給するための動作信号を受けた場合)、低圧油路18が吐出油路20に接続され、予圧油路19が作動油タンク30に接続される状態であるI位置にスプールが移動される。つまり、予圧用切換弁17は、低圧油路18を通じて作動油を供給油路15に供給する状態に切り換えられる。これにより、増圧装置12は、供給油路15を通じて増圧シリンダ13の増圧室13aおよび油圧式圧着工具100に低圧の作動油を供給する。この際、増圧シリンダ13の増圧室13aおよび油圧式圧着工具100に供給される作動油の流量は、低圧油路18の絞り22によって制限されている。
【0031】
予圧用切換弁17は、他方のポートと供給ポートとが連通するように電磁石が励磁された場合(制御装置31から予圧の作動油を供給するための動作信号を受けた場合)、予圧油路19が吐出油路20に接続され、低圧油路18が作動油タンク30に接続される状態であるIII位置にスプールが移動される。つまり、予圧用切換弁17は、予圧油路19を通じて作動油を供給油路15に供給する状態に切り換えられる。これにより、増圧装置12は、供給油路15を通じて増圧シリンダ13の増圧室13aおよび油圧式圧着工具100に予圧の作動油を供給する。
【0032】
方向制御弁である本圧用の電磁切換弁(以下、単に「本圧用切換弁24」と記す)は、増圧シリンダ13に供給される作動油の方向を切り換えるものである。本圧用切換弁24の一方のポートには、減圧油路25を介して増圧シリンダ13のロッド側油室13bが接続されている。本圧用切換弁24の他方のポートには、増圧油路26を介して増圧シリンダ13のヘッド側油室13cが接続されている。本圧用切換弁24の供給ポートには、吐出油路20を介して油圧ポンプ28が接続されている。つまり、本圧用切換弁24には、作動油が予圧で供給される。本圧用切換弁24は、図示しないスプールが電磁石によって移動されることにより一方のポートと他方のポートのうちいずれか一方が供給ポートに連通される。本圧用切換弁24は、制御装置31に接続されている。
【0033】
本圧用切換弁24は、電磁石が励磁されていない場合(制御装置31から動作信号を受けていない場合)、減圧油路25と増圧油路26とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置にスプールが移動される。つまり、予圧用切換弁17は、油圧ポンプ28から吐出される作動油を増圧シリンダ13に供給しない状態に切り換えられる。これにより、増圧装置12は、増圧シリンダ13によって作動油の油圧を増圧しない。
【0034】
本圧用切換弁24は、一方のポートと供給ポートとが連通するように電磁石が励磁された場合(制御装置31から作動油の油圧を減圧するための動作信号を受けた場合)、減圧油路25が吐出油路20に接続され、増圧油路26が作動油タンク30に接続される状態であるI位置にスプールが移動される。つまり、本圧用切換弁24は、減圧油路25を通じて作動油を増圧シリンダ13のロッド側油室13bに供給する状態に切り換えられる。これにより、増圧装置12は、増圧室13aの体積が増加する方向に小径ピストン13eを移動させて作動油の油圧を減圧する。
【0035】
本圧用切換弁24は、他方のポートと供給ポートとが連通するように電磁石が励磁された場合(制御装置31から作動油の油圧を増圧するための動作信号を受けた場合)、増圧油路26が吐出油路20に接続され、減圧油路25が作動油タンク30に接続される状態であるIII位置にスプールが移動される。つまり、本圧用切換弁24は、増圧油路26を通じて作動油を増圧シリンダ13のヘッド側油室13cに供給する状態に切り換えられる。これにより、増圧装置12は、増圧室13aの体積が減少する方向に小径ピストン13eを移動させて作動油の油圧を増圧する。
【0036】
パイロット式チェック弁27は、油路を解放するものである。パイロット式チェック弁27は、入口ポートに供給油路15が接続され、出口ポートに作動油タンク30が接続されている。また、パイロット式チェック弁27は、減圧油路25からパイロット用作動油が供給されるように構成されている。パイロット式チェック弁27は、本圧用切換弁24が増圧シリンダ13のロッド側油室13bに作動油を供給する状態に切り換えられた場合、減圧油路25からパイロット用作動油が供給されて開弁する。供給油路15に接続されている増圧室13a内の作動油と油圧式圧着工具100内の作動油とは、パイロット式チェック弁27を通じて作動油タンク30に還流される。これにより、増圧装置12は、増圧室13a内の作動油と油圧式圧着工具100内の作動油とを速やかに排出可能に構成されている。
【0037】
油圧ポンプ28は、作動油を所定の吐出圧で吐出するものである。油圧ポンプ28は、エンジン4によって駆動されている。油圧ポンプ28には、予圧用切換弁17と本圧用切換弁24とが並列に接続されている。油圧ポンプ28から吐出された作動油は、吐出油路20を通じて予圧用切換弁17と本圧用切換弁24とにそれぞれ供給される。吐出油路20には、油圧ポンプ用リリーフ弁29が設けられている。油圧ポンプ用リリーフ弁29は、油圧ポンプ28から吐出される作動油の油圧を設定値以下に制御する。
【0038】
図3に示すように、制御装置31は、増圧装置12の予圧用切換弁17および本圧用切換弁24の動作を制御するものである。制御装置31は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置31は、予圧用切換弁17および本圧用切換弁24の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。制御装置31は、車両2に設けられている。
【0039】
制御装置31は、油圧切換操作具11aに接続され、油圧切換操作具11aからの操作信号を取得することができる。
【0040】
制御装置31は、増圧室13aの圧力センサ14に接続され、圧力センサ14が検出した増圧室13a内の作動油の油圧の検出値を取得することができる。
【0041】
制御装置31は、予圧用切換弁17に接続され、予圧用切換弁17の電磁石を選択的に励磁させて予圧用切換弁17のスプールの位置を変更することができる。
【0042】
制御装置31は、本圧用切換弁24に接続され、本圧用切換弁24の電磁石を選択的に励磁させて本圧用切換弁24のスプールの位置を変更することができる。
【0043】
制御装置31は、油圧式圧着工具100の工具操作具100cにコネクタ31aを介して接続され、油圧式圧着工具100からの操作信号を取得することができる。
【0044】
制御装置31は、液晶パネル等から構成される表示装置33に接続され、増圧装置12の各部の動作状況に係る情報(例えば、油圧ポンプ28の回転数等)を表示する。表示装置33は、圧力センサ14の検出値に後述の補正係数を乗じた値を表示することができる。表示装置33は、車両2やバケット9等の任意の位置に配置される。なお、表示装置33は、タブレットPC等によって構成してもよい。
【0045】
なお、本実施形態において、高所作業車1の増圧装置12の増圧シリンダ13、予圧用切換弁17、リリーフ弁21、本圧用切換弁24、パイロット式チェック弁27、油圧ポンプ28および制御装置31は、高所作業車1の車両2に設けられている。増圧装置12は、供給油路15を構成している油圧ホースが伸縮ブーム8を介してバケット9まで配管されている。油圧ホースの先端には、油圧式の圧着工具等を接続するための継手16が設けられている。
【0046】
次に、
図2および
図4から
図8を用いて、油圧式圧着工具100による電気配線用のスリーブSのかしめ作業における増圧装置12の動作態様について説明する。本実施形態において、増圧装置12には、継手16に油圧式圧着工具100が接続され、制御装置31にコネクタ31aを介して油圧式圧着工具100の工具操作具100cが接続されているものとする。
【0047】
図4に示すように、増圧装置12に接続されている油圧式圧着工具100は、電気配線用のスリーブSを把持し、かしめるものである。油圧式圧着工具100は、増圧装置12から供給される作動油によって可動部100aが受け部100bに向かって移動するように構成されている。油圧式圧着工具100は、工具操作具100cの操作によって、可動部100aが停止されている停止状態s0、可動部100aが受け部100bに向かって移動されてスリーブSを可動部100aと受け部100bとで把持する仮保持操作s1と、可動部100aが所定の力で押圧されてスリーブSに予圧をかける本圧縮操作の予圧段階s2と、可動部100aが所定の力で押圧されてスリーブSをかしめる本圧縮操作の本圧段階s3と、可動部100aが受け部100bから離れる方向に移動されてスリーブSを解放する戻し操作s4と、を実施することができる。
【0048】
図2に示すように、工具操作具100cが操作によって、油圧式圧着工具100の操作態様が停止状態に切り換えられた場合、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25と増圧油路26とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。つまり、増圧装置12は、油圧式圧着工具100に作動油を供給しない。これにより、油圧式圧着工具100は、可動部100aが受け部100bから離れた状態(スリーブSを解放した状態)で停止する。
【0049】
図5に示すように、工具操作具100cの操作によって、油圧式圧着工具100の操作態様が仮保持操作s1に切り換えられた場合、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18が吐出油路20に接続され、予圧油路19が作動油タンク30に接続される状態であるI位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25と増圧油路26とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。つまり、増圧装置12は、リリーフ弁21によって油圧を低圧に制御され、絞り22によって流量をリリーフ流量以下に制御された作動油を増圧シリンダ13の増圧室13aと油圧式圧着工具100とに供給する(薄墨部分参照)。これにより、油圧式圧着工具100は、可動部100aが受け部100bに向かって移動されてスリーブSを可動部100aと受け部100bとで把持する(黒塗矢印参照)。同時に、増圧装置12は、低圧の作動油を供給することによって増圧室13a内、油圧式圧着工具100内および供給油路15内の空気を排出させる。
【0050】
図6に示すように、工具操作具100cの操作によって、油圧式圧着工具100の操作態様が本圧縮操作に切り換えられた場合、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を予圧油路19が吐出油路20に接続され、低圧油路18が作動油タンク30に接続される状態であるIII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25と増圧油路26とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。つまり、増圧装置12は、油圧ポンプ28の吐出圧である予圧の作動油を増圧シリンダ13の増圧室13aと油圧式圧着工具100とに供給する(薄墨部分参照)。これにより、油圧式圧着工具100は、本圧縮操作の予圧段階s2として、増圧されていない予圧の作動油によって可動部100aが所定の力で押圧されてスリーブSに予圧を加える(黒塗矢印参照)。同時に、増圧装置12は、予圧の作動油を供給することによって増圧室13a内、油圧式圧着工具100内および供給油路15内の空気を排出させる。
【0051】
図7に示すように、本圧縮操作の予圧段階s2において、圧力センサ14の検出値が所定値である予圧基準値に到達した場合、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を増圧油路26が吐出油路20に接続され、減圧油路25が作動油タンク30に接続される状態であるIII位置に移動させる。つまり、増圧装置12は、増圧シリンダ13の増圧室13aの体積を減少させて増圧室13a内の作動油の油圧を増圧し、油圧式圧着工具100に供給する(薄墨部分参照)。これにより、油圧式圧着工具100は、本圧縮操作の本圧段階s3として、増圧シリンダ13で増圧された作動油によって可動部100aが所定の力で押圧されてスリーブSをかしめる(黒塗矢印参照)。
【0052】
図8に示すように、圧力センサ14の検出値が所定値である本圧基準値に到達した場合、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25が吐出油路20に接続され、増圧油路26が作動油タンク30に接続される状態であるI位置に移動させる。つまり、増圧装置12は、増圧シリンダ13の増圧室13aの体積を増加させて増圧室13a内の作動油の油圧を減圧するとともにパイロット式チェック弁27を開弁して増圧室13a内の作動油と油圧式圧着工具100内の作動油とを作動油タンク30に排出する(薄墨部分参照)。これにより、油圧式圧着工具100は、可動部100aが受け部100bから離れる方向に移動されてスリーブSを可動部100aと受け部100bとから解放する(黒塗矢印参照)。
【0053】
また、高所作業車1の油圧切換操作具11aが操作された場合、制御装置31は、圧力センサ14の検出値に関わらず、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25が吐出油路20に接続され、増圧油路26が作動油タンク30に接続される状態であるI位置に移動させる。つまり、増圧装置12は、増圧室13aの体積を増加させて増圧室13a内の作動油の油圧を減圧するとともにパイロット式チェック弁27を開弁させて増圧室13a内の作動油と油圧式圧着工具100内の作動油とを作動油タンク30に排出する。これにより、油圧式圧着工具100は、可動部100aが受け部100bから離れる方向に移動されてスリーブSを可動部100aと受け部100bとから解放する。
【0054】
以下では、
図9及び
図10を用いて、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力(スリーブSをかしめる力)の調節について説明する。油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力は、バケット9を地上に下ろした状態で、本圧縮操作を行いながら圧力を調節している。
【0055】
圧力計32は、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を検出する第二圧力検出手段として設けられる。圧力計32は、油圧式圧着工具100と供給油路15を構成する油圧ホースとが接続される継手16・16間に接続されることで設けられる。油圧式圧着工具100の後述の圧力の調節の際には、油圧式圧着工具100と油圧ホースとを一旦外して、継手16・16間に圧力計32を接続する。圧力計32は、コネクタ32aを介して制御装置31に接続され、制御装置31は圧力計32の検出値の信号を取得することができる(
図3参照)。
【0056】
図9に示すように、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力の調節の際には、油圧式圧着工具100と供給油路15を構成する油圧ホースとが接続される継手16・16間に、圧力計32が接続される。圧力計32は、増圧室13aから油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力、つまり、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を計測することができる。
【0057】
図10を用いて、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力の調節について説明する。
ステップS110において、制御装置31は、本圧縮操作の本圧段階s3であるか否かを判定する。本圧縮操作の本圧段階s3である場合、つまり、予圧用切換弁17のスプール位置がII位置にあり、本圧用切換弁24のスプール位置がIII位置にあると判定した場合、ステップS120に移行させる。
【0058】
ステップS120では、制御装置31は、増圧シリンダ13の増圧室13aの体積を減少させて増圧室13a内の作動油の油圧を増圧し、油圧式圧着工具100に供給する。この時に圧力計32によって検出される圧力値についての信号を取得し、ステップS130に移行させる。
【0059】
ステップS130では、制御装置31は、圧力計32によって検出される最高圧力が目標値であるか否かを判定する。目標値とは、油圧式圧着工具100によってかしめられるスリーブSの規定圧力範囲内の任意の値を指す。最高圧力が目標値でない、つまり、最高圧力がスリーブSの規定圧力範囲内の値に収まっていない場合、ステップS140に移行させる。最高圧力が目標値である、つまり、最高圧力がスリーブSの規定圧力範囲内の値に収まっている場合、ステップS150に移行させる。また、目標値は、制御装置31に接続される入力装置を介して設定することができる。
【0060】
ステップS140では、制御装置31は、圧力計32によって検出される最高圧力が目標値となるように本圧基準値を変更してステップS150に移行させる。
【0061】
ステップS150では、制御装置31は、圧力センサ14によって検出される最高圧力が圧力計32によって検出される最高圧力(本圧基準値)と等しくなるように補正係数を算出して終了となる。
【0062】
以上のように、増圧装置12を構成する油圧ホースの油圧式圧着工具100側端部に設けることで、増圧室13aから油圧式圧着工具100に供給される間に生じる圧力損失や油温の変化による影響を考慮した作動油の圧力、つまり、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を検出することができる。また、圧力計32によって検出される最高圧力が目標値となるように本圧基準値を変更することで、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を任意に定めた値に調整し、スリーブSを適切な力でかしめることができる。
【0063】
また、圧力センサ14によって検出される最高圧力が圧力計32によって検出される最高圧力と等しくなるように補正係数を算出し、圧力センサによって検出される最高圧力に補正係数を乗じることで圧力計32によって検出される最高圧力を推定することができる。
推定した最高圧力を表示装置33に表示することで、圧力計32を外した状態において、実際にかしめ作業を行う場合、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を把握しながら作業を行うことができる。
【0064】
第二圧力検出手段である圧力計32は、供給油路15を構成する油圧ホースと油圧式圧着工具100とが接続される継手16・16間に容易に取り付けることができる。そのため、油圧式圧着工具に供給される圧力の計測を容易に行うことができ。増圧装置12の外装を外したり、工具を用いたりすることなく、油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を調節することができる。
【0065】
油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力を測定する第二圧力検出手段は、圧力計32に限らないし、配置箇所も供給油路15の油圧式圧着工具100側の端部でなくてもよい。例えば、圧力計32の代わりに圧力センサ14、又は、ロードセルを用いてもよい。圧力センサ14を用いる場合、圧力センサ14は、油圧式圧着工具100を構成する油圧シリンダの圧力を検出可能に設けてもよい。油圧式圧着工具100を構成する油圧シリンダの圧力を検出可能に設けることで、油圧式圧着工具100のスリーブSをかしめる圧力の測定精度をあげることができる。ロードセルを用いる場合は、油圧式圧着工具100のスリーブSをかしめる圧力の測定精度をさらにあげることができる。
【0066】
なお、圧力計32は、制御装置31と接続しない構成としてもよい。この場合、制御装置31には、任意の入力操作具(例えば、ボタン、スイッチ等)から構成される入力装置に接続される。制御装置31は、作業者が入力装置を操作することで、予圧基準値及び本圧基準値を変更可能に構成される。以下では、制御装置31は、本圧縮操作の本圧段階s3であると判定され、圧力計の圧力値の信号を取得している。
【0067】
作業者は、本圧縮操作の本圧段階s3において、圧力計32の圧力値によって計測される最高圧力が目標値であるか否かを確認する。最高圧力が目標値よりも大きい場合は、入力装置を介して本圧基準値を下げるように変更し、最高圧力が目標値よりも小さい場合は、入装置を介して本圧基準値を上げるように変更する。変更した本圧基準値のもとで、再度本圧縮操作を行い、最高圧力が目標値である否かを作業者が確認する。以上のように、入力装置を用いて本圧基準値を変更して、最高圧力が目標値となるまで本圧縮操作を行う。最高圧力が目標値となれば、該最高圧力を作業者が入力装置を介して入力することで、制御装置31は、圧力センサ14によって検出される最高圧力(本圧基準値)と圧力計32によって計測される最高圧力とが等しくなるように補正係数を算出する。
【0068】
以下では、油圧式圧着工具100による本圧縮操作における増圧装置12の故障の検出方法について説明する。
【0069】
制御装置31は、工具操作具100cの操作によって、油圧式圧着工具100の操作態様が本圧縮操作の予圧段階s2に切り換えられて、所定時間経過した時の圧力センサ14の検出値が予圧基準値である否かを判別可能に構成される。所定時間経過した時の検出値が予圧基準値でない場合、増圧装置12の故障として検出する。
【0070】
制御装置31は、本圧縮操作の予圧段階s2において、圧力センサ14の検出値が予圧基準値に到達して本圧縮操作の本圧段階s3に切り換えられて、所定時間経過した時の圧力センサ14の検出値が本圧基準値であるか否かを判別可能に構成される。所定時間経過した時の検出値が本圧基準値でない場合、増圧装置12の故障として検出する。
【0071】
図11を用いて、制御装置31による増圧装置12の故障の検出制御について説明する。
【0072】
ステップS210では、制御装置31は、本圧縮操作が開始されたか否かを判定する。工具操作具100cの操作によって、本圧縮操作が開始された場合、ステップS220に移行させる。
【0073】
ステップS220では、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置をIII位置に移動させ、本圧用切換弁24のスプール位置をII位置に移動させる。油圧式圧着工具100は、本圧縮操作の予圧段階s2として、増圧されていない予圧の作動油によって可動部100aが所定の力で押圧されてスリーブSに予圧を加え、ステップS3に移行させる。
【0074】
ステップS230では、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置をIII位置に移動させ、本圧用切換弁24のスプール位置をII位置に移動させてから(本圧縮操作の予圧段階s2において)、所定時間経過した時の圧力センサ14の検出値が予圧基準値であるか否かを判定する。ステップS230において、圧力センサ14の検出値が予圧基準値でないと判定した場合、ステップS240に移行させる。ステップS230において、圧力センサ14の検出値が予圧基準値であると判定した場合、ステップS250に移行させる。
【0075】
ステップS230での予圧基準値とは、制御装置31が設定する予圧基準値を基準として、油圧ホースの抵抗による圧力損失及び油温の変化及び圧力センサ14の検出誤差を考慮した所定の範囲内の値を指す。同様に、ステップS230での所定時間とは、油圧ホースの抵抗による圧力損失及び油温の変化及び圧力センサ14の検出誤差を考慮した所定の範囲内の時間を指す。
【0076】
ステップS240では、制御装置31は、圧力センサ14の検出値が予圧基準値でないため、増圧装置12の故障として作業者に報知する。報知手段として、制御装置31に警報装置を設けてもよいし、表示装置33に警報ランプを表示してもよい。制御装置31は、増圧装置12の故障を検出すると、ステップS250に移行させる。
【0077】
ステップS250では、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25が吐出油路20に接続され、増圧油路26が作動油タンク30に接続される状態であるI位置に移動させ、終了させる。
【0078】
ステップS260において、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置をII位置に移動させ、本圧用切換弁24のスプール位置をIII位置に移動させる。油圧式圧着工具100は、本圧縮操作の予圧段階s2として、増圧されていない予圧の作動油によって可動部100aが所定の力で押圧されてスリーブSに予圧を加え、ステップS270に移行させる。
【0079】
ステップS270では、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置をII位置に移動させ、本圧用切換弁24のスプール位置をIII位置に移動させてから(本圧縮操作の本圧段階s3において)、所定時間経過した時の圧力センサ14の検出値が本圧基準値であるか否かを判定する。ステップS270において、圧力センサ14の検出値が本圧基準値であると判定した場合、本圧縮操作を終了する(戻し操作に移行する)。ステップS270において、圧力センサ14の検出値が本圧基準値でないと判定した場合、ステップS280に移行させる。
【0080】
ステップS270での本圧基準値とは、制御装置31が設定する本圧基準値を基準として、油圧ホースの抵抗による圧力損失及び油温の変化及び圧力センサ14の検出誤差を考慮した所定の範囲内の値を指す。同様に、ステップS270での所定時間とは、油圧ホースの抵抗による圧力損失及び油温の変化及び圧力センサ14の検出誤差を考慮した所定の範囲内の時間を指す。
【0081】
ステップS280では、制御装置31は、圧力センサ14の検出値が本圧基準値でないため、増圧装置12の故障として作業者に報知する。報知手段として、制御装置31に警報装置を設けてもよいし、表示装置33に警報ランプを表示してもよい。制御装置31は、増圧装置12の故障を検出すると、ステップS290に移行させる。
【0082】
ステップS290では、制御装置31は、予圧用切換弁17のスプール位置を低圧油路18と予圧油路19とが作動油タンク30に接続される状態であるII位置に移動させる。合わせて、制御装置31は、本圧用切換弁24のスプール位置を減圧油路25が吐出油路20に接続され、増圧油路26が作動油タンク30に接続される状態であるI位置に移動させ、終了させる。
【0083】
以上のように、制御装置31は、本圧縮操作の予圧段階s2において、所定時間経過した時の圧力センサ14の検出値が予圧基準値であるか否かを判定することで、ポンプや方向制御弁等の増圧装置12の構成品の故障を検出することができる。増圧装置12の故障を検出して作業者に報知することで、作業者がかしめ作業中に増圧装置12の故障を知ることができ、適切でない圧力によってかしめ作業を行うことを防ぐことができる。
【0084】
同様に、制御装置31は、本圧縮操作の本圧段階s3において、所定時間経過した時の圧力センサ14の検出値が本圧基準値であるか否かを判定することで、ポンプや方向制御弁等の増圧装置12の構成品の故障を検出することができる。増圧装置12の故障を検出して作業者に報知することで、作業者がかしめ作業中に増圧装置12の故障を知ることができ、適切でない圧力によってかしめ作業を行うことを防ぐことができる。
【0085】
また、工具操作具100cの操作をしているのにもかかわらず、油圧式圧着工具100の可動部100aが動かない場合で、かつ、制御装置31が故障を検出していない場合には、油圧式圧着工具100の故障等が発生していることがわかる。
【0086】
また、油圧式圧着工具100の油圧シリンダに圧力センサ14を設けている構成においては、圧力センサ14によって検出される最高圧力がスリーブSの規定圧力内に収まっていない場合は、油圧式圧着工具100の故障として検出することができる。
【0087】
なお、以上に示す油圧式圧着工具100に供給される作動油の圧力の調節を含む作業前の一連の点検作業を、油圧式圧着工具100を用いて圧着作業を行う前に点検モードとして行うように制御装置31を構成してもよい。
【0088】
なお、制御装置31は、所定時間経過後の圧力センサの検出値から増圧装置12の故障を検出しているが、これに限定されない。例えば、制御装置31は、圧力センサ14の検出値の所定時間あたりの変化量から増圧装置12の故障を検出するように構成してもよい。この場合、所定時間あたりの変化量が所定範囲内の値から外れている場合は増圧装置12の故障として検出する。
【0089】
以上、高所作業車1の増圧装置12に油圧式圧着工具100が接続された場合について説明したが油圧式圧着工具100に限定されるものではなく、増圧装置12に脱着可能な油圧工具であればよい。上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。