(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1をはじめとする従来知られている撮影装置では、再生モード中にズーム操作環やフォーカス操作環を操作して再生画像の送り等を行うと、撮影レンズの焦点距離やピント位置が変わってしまう。そのため、再生モードから撮影モードに復帰したとき、撮影レンズの焦点距離やピント位置を前回の撮影モード時に設定されていた焦点距離やピント位置に戻すことが難しいという問題が指摘される。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、再生モード中に撮影レンズが操作されることによって焦点距離やピント位置等が変わってしまった場合であっても、撮影モードへの復帰時に焦点距離やピント位置等を元に戻すのに好適な撮影装置及び装置本体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る撮影装置は、撮影モードと再生モードとを切替可能な装置本体と、該装置本体に着脱可能に又は着脱不能に取り付けられた撮影レンズとを備える。撮影レンズは、操作部材と、可動レンズを含むレンズ系と、操作部材に対する操作に連動してレンズ系内で可動レンズを光軸方向に移動させる移動手段と、レンズ系内の可動レンズの位置を検出する検出手段と、撮影モードから再生モードへの切替直前に検出手段により検出された可動レンズの位置情報である目標位置情報を記憶する記憶手段とを有する。装置本体は、撮影モード中、撮影レンズを介した被写体像を撮像する撮像手段と、再生モード中、撮影レンズの操作部材に対する操作に応じて表示画面上の再生画像の表示を変更する表示手段と、撮影レンズから可動レンズの位置情報を取得する取得手段とを有する。取得手段は、再生モードから撮影モードに切り替えられると、撮影レンズの記憶手段に記憶された目標位置情報を取得すると共に、検出手段により検出される可動レンズの現在位置情報を逐次取得する。表示手段は、撮影モード中、取得手段により取得された目標位置情報及び該取得手段により逐次取得される現在位置情報に基づいて、可動レンズの目標情報と現在情報との関係を示す表示を行う。
【0008】
また、本発明の一実施形態において、装置本体は、所定の記憶コマンドが撮影レンズに未送信であるとき、該記憶コマンドを撮影レンズに送信する構成としてもよい。この場合、撮影レンズは、記憶コマンドを受信すると、記憶手段が撮影モード中に検出手段により検出される可動レンズの位置を逐次更新記憶する。また、装置本体は、記憶コマンドを撮影レンズに送信済みであるとき、再生モードから撮影モードに切り替えられると、取得手段が所定の取得要求コマンドを撮影レンズに送信する構成としてもよい。撮影レンズは、取得要求コマンドを受信すると、撮影モード中に最後に更新記憶された位置情報である目標位置情報を装置本体に送信すると共に、検出手段により検出される可動レンズの現在位置情報を逐次送信する。装置本体は、撮影モード中、表示手段が、撮影レンズより受信した目標位置情報に基づいて目標情報を表示すると共に、該撮影レンズより逐次受信される現在位置情報に基づいて現在情報を逐次更新表示する。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る撮影装置は、撮影モードと再生モードとを切替可能な装置本体と、該装置本体に着脱可能に又は着脱不能に取り付けられた撮影レンズとを備える。撮影レンズは、操作部材と、可動レンズを含むレンズ系と、操作部材に対する操作に連動してレンズ系内で可動レンズを光軸方向に移動させる移動手段と、レンズ系内の可動レンズの位置を検出する検出手段とを有する。装置本体は、撮影モードから再生モードへの切替直前に検出手段により検出された可動レンズの位置情報である目標位置情報を撮影レンズから取得して記憶する記憶手段と、撮影モード中、撮影レンズを介した被写体像を撮像する撮像手段と、再生モード中、撮影レンズの操作部材に対する操作に応じて表示画面上の再生画像の表示を変更する表示手段と、撮影レンズから可動レンズの位置情報を取得する取得手段とを有する。取得手段は、再生モードから撮影モードに切り替えられると、記憶手段に記憶された目標位置情報を取得すると共に、検出手段により検出される可動レンズの現在位置情報を逐次取得する。表示手段は、撮影モード中、取得手段により取得された目標位置情報及び該取得手段により逐次取得される現在位置情報に基づいて、可動レンズの目標情報と現在情報との関係を示す表示を行う。
【0010】
また、本発明の一実施形態において、可動レンズは、フォーカスレンズを含む構成としてもよい。この場合、可動レンズの位置情報には、撮影レンズのピント位置の情報が含まれる。
【0011】
また、本発明の一実施形態において、可動レンズは、ズームレンズを含む構成としてもよい。この場合、可動レンズの位置情報には、撮影レンズの焦点距離の情報が含まれる。
【0012】
また、本発明の一実施形態において、装置本体の表示手段は、取得手段により取得された目標置情報と、該取得手段により逐次取得される現在位置情報とが一致したとき、これを報知する構成としてもよい。
【0013】
また、本発明の一実施形態において、装置本体は、再生モードから撮影モードへの切り替え時に特定の操作が行われたか否かを判定する判定手段を有する構成としてもよい。この場合、取得手段は、判定手段により特定の操作が行われたと判定された場合に限り、撮影レンズの記憶手段に記憶された目標位置情報を取得すると共に、検出手段により検出される可動レンズの現在位置情報を逐次取得する。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係る装置本体は、撮影モードと再生モードとを切替可能であり、撮影レンズを着脱可能に構成されており、撮影モード中、撮影レンズを介した被写体像を撮像する撮像手段と、再生モード中、撮影レンズが有する操作部材であって、該撮影レンズ内で可動レンズを光軸方向に移動させる操作部材が操作されると、該操作に応じて表示画面上の再生画像の表示を変更する表示手段と、撮影レンズから可動レンズの位置情報を取得する取得手段とを有する。取得手段は、再生モードから撮影モードに切り替えられると、撮影モードから再生モードへの切替直前に撮影レンズに記憶された目標位置情報を取得すると共に、撮影レンズで検出される可動レンズの現在位置情報を逐次取得する。表示手段は、撮影モード中、取得手段により取得された目標位置情報及び該取得手段により逐次取得される現在位置情報に基づいて、可動レンズの目標情報と現在情報との関係を示す表示を行う。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る撮影装置は、撮影モードと再生モードとを切替可能であり、操作部材と、可動レンズを含むレンズ系と、操作部材に対する操作に連動してレンズ系内で可動レンズを光軸方向に移動させる移動手段と、レンズ系内の可動レンズの位置を検出する検出手段と、撮影モードから再生モードへの切替直前に検出手段により検出された可動レンズの位置情報である目標位置情報を記憶する記憶手段と、再生モードから撮影モードに切り替えられると、記憶手段に記憶された目標位置情報を取得すると共に、検出手段により検出される可動レンズの現在位置情報を逐次取得する取得手段と、撮影モード中、取得手段により取得された目標位置情報及び該取得手段により逐次取得される現在位置情報に基づいて、可動レンズの目標情報と現在情報との関係を示す情報を別の装置の表示画面に出力する出力手段とを備える。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る撮影装置は、撮影モードと該撮影モード以外の別のモードとを切替可能であり、可動レンズを有する撮影レンズから、該撮影レンズ内の該可動レンズの位置情報を取得する取得手段と、撮影モードから別のモードに切り替えられた時の、撮影レンズ内の可動レンズの位置情報を記憶する記憶手段と、別のモードから撮影モードに切り替えられたとき、記憶手段に記憶された位置情報に関する表示を行う表示手段とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、再生モード中に撮影レンズが操作されることによって焦点距離やピント位置等が変わってしまった場合であっても、撮影モードへの復帰時に焦点距離やピント位置等を元に戻すのに好適な撮影装置及び装置本体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る撮影装置について図面を参照しながら説明する。以下においては、本発明の一実施形態として、デジタル一眼レフカメラについて説明する。なお、撮影装置は、デジタル一眼レフカメラに限らず、例えば、ミラーレス一眼カメラ、アタッチメント等を用いることによって撮影レンズを着脱可能なスマートフォン、コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、カムコーダなど、撮影モードと再生モードとを切替可能であり且つ着脱可能又は着脱不能に取り付けられた撮影レンズを備える別の形態の装置に置き換えてもよい。
【0020】
[撮影装置1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る撮影装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、撮影装置1は、装置本体(カメラボディ)100及びカメラボディ100に着脱可能に取り付けられた撮影レンズ200を備えている。
【0021】
カメラボディ100は、カメラCPU(Central Processing Unit)104、操作部106、ROM(Read Only Memory)108、シャッタ110、固体撮像素子112、信号処理回路114、画像処理エンジン116、バッファメモリ118、カード用インタフェース120、LCD(Liquid Crystal Display)制御回路122、LCD124を有している。
【0022】
撮影レンズ200は、レンズCPU204、レンズ系206、絞り208、ズーム操作環210a、フォーカス操作環210b、ズーム位置センサ212a、フォーカス位置センサ212b、駆動部214を有している。レンズ系206は、光軸AX方向に移動可能な可動レンズ(ズームレンズ206a及びフォーカスレンズ206b)を含む複数枚構成となっている。レンズ系206は、要求される仕様に応じて3枚以上の構成であってもよい。
【0023】
カメラCPU104は、通信部104a及び内部メモリ104bを有しており、レンズCPU204は、通信部204a及び内部メモリ204bを有している。カメラCPU104とレンズCPU204は、互いの通信部を介して通信することができる。
【0024】
カメラボディ100の操作部106には、電源スイッチやレリーズスイッチ、撮影モードスイッチ、撮影・再生切替スイッチ、ズームスイッチなど、ユーザが撮影装置1を操作するために必要な各種スイッチが含まれる。ユーザにより電源スイッチが押下されると、図示省略されたバッテリから撮影装置1の各種回路に電源ラインを通じて電源供給が行われる。
【0025】
カメラCPU104は電源供給後、ROM108にアクセスして制御プログラムを読み出してワークエリア(不図示)にロードし、ロードされた制御プログラムを実行することにより、撮影装置1全体の制御を行う。
【0026】
例えばズームスイッチが押下されると、カメラCPU104は、レンズCPU204にズーム制御信号を出力する。レンズCPU204は、カメラCPU104より入力されるズーム制御信号に基づいて駆動部214を制御することにより、ズームレンズ206aをレンズ系206内の他のレンズに対して光軸AX方向に相対移動させる。
【0027】
また、ズーム操作環210aは、撮影レンズ200の鏡胴周りに設けられている。ユーザによりズーム操作環210aが回転操作されると、ズームレンズ206aは、周知のズーム機構により、レンズ系206内の他のレンズに対して光軸AX方向に相対移動する。
【0028】
このように、本実施形態では、カメラボディ100に設けられたズームスイッチを押下又は撮影レンズ200に設けられたズーム操作環210aを回転操作することにより、ズームレンズ206aがレンズ系206内の他のレンズに対して光軸AX方向に相対移動する。これにより、レンズ系206の焦点距離(ズーム、画角)が変化する。
【0029】
なお、レンズCPU204は、ズーム位置センサ212aの出力に基づき、レンズ系206内におけるズームレンズ206aの位置を検出することができる。
【0030】
また、レリーズスイッチが半押し操作されると、カメラCPU104は、AF(Autofocus)制御を行う。AF制御には、アクティブ方式、位相差検出方式、コントラスト検出方式等が適用される。また、AFモードには、中央一点の測距エリアを用いた中央一点測距モード、複数の測距エリアを用いた多点測距モード等がある。カメラCPU104は、AF結果に基づいてレンズCPU204にフォーカス制御信号を出力する。レンズCPU204は、カメラCPU104より入力されるフォーカス制御信号に基づいて駆動部214を制御することにより、フォーカスレンズ206bをレンズ系206内の他のレンズに対して光軸AX方向に相対移動させる。
【0031】
また、フォーカス操作環210bは、撮影レンズ200の鏡胴周りに設けられている。ユーザによりフォーカス操作環210bが回転操作されると、フォーカスレンズ206bは、周知のフォーカス機構により、レンズ系206内の他のレンズに対して光軸AX方向に相対移動する。
【0032】
このように、本実施形態では、カメラボディ100に設けられたレリーズスイッチを半押し操作又は撮影レンズ200に設けられたフォーカス操作環210bを回転操作することにより、フォーカスレンズ206bがレンズ系206内の他のレンズに対して光軸AX方向に相対移動する。これにより、レンズ系206のピント位置が変化(調節)される。
【0033】
なお、レンズCPU204は、フォーカス位置センサ212bの出力に基づき、レンズ系206内におけるフォーカスレンズ206bの位置を検出することができる。
【0034】
また、カメラCPU104は、例えば、固体撮像素子112により撮像された画像に基づいて計算された測光値や、撮影装置1に内蔵された露出計(不図示)で測定された測光値に基づき適正露出が得られるように、シャッタ110及び撮影レンズ200(絞り208)を駆動制御する。シャッタ110及び絞り208の駆動制御は、プログラムAE(Automatic Exposure)、シャッタ優先AE、絞り優先AEなど、撮影モードスイッチにより指定されるAE機能に基づいて行われる。より詳細には、カメラCPU104は、AE結果に基づいて、シャッタ110を駆動すると共に、レンズCPU204に絞り制御信号を出力する。レンズCPU204は、カメラCPU104より入力される絞り制御信号に基づいて駆動部214を制御することにより、絞り208を適正な絞り値に達するまで駆動する。
【0035】
被写体からの光束は、レンズ系206、絞り208、シャッタ110を通過して固体撮像素子112の受光面にて受光される。固体撮像素子112は、ベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子112は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の画像信号を生成して出力する。なお、固体撮像素子112は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子112はまた、補色系フィルタを搭載したものであってもよい。
【0036】
信号処理回路114は、固体撮像素子112より入力される画像信号に対してクランプ、デモザイク等の所定の信号処理を施して、画像処理エンジン116に出力する。画像処理エンジン116は、信号処理回路114より入力される画像信号に対してマトリックス演算、Y/C分離、ホワイトバランス等の所定の信号処理を施して輝度信号Y、色差信号Cb、Crを生成し、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定のフォーマットで圧縮する。バッファメモリ118は、画像処理エンジン116による処理の実行時、処理データの一時的な保存場所として用いられる。また、撮影画像の保存形式は、JPEG形式に限らず、最小限の画像処理(例えば黒レベルの補正等)しか施されないRAW形式であってもよい。
【0037】
カード用インタフェース120のカードスロットには、メモリカード300が着脱可能に差し込まれている。
【0038】
画像処理エンジン116は、カード用インタフェース120を介してメモリカード300と通信可能である。画像処理エンジン116は、生成された圧縮画像信号(撮影画像データ)をメモリカード300(又は撮影装置1に備えられる不図示の内蔵メモリ)に保存する。
【0039】
また、画像処理エンジン116は、生成された輝度信号Y、色差信号Cb、Crをフレームメモリ(不図示)にフレーム単位でバッファリングする。画像処理エンジン116は、バッファリングされた信号を所定のタイミングで各フレームメモリから掃き出して所定のフォーマットのビデオ信号に変換し、LCD制御回路122に出力する。LCD制御回路122は、画像処理エンジン116より入力される画像信号を基に液晶を変調制御する。これにより、被写体の撮影画像がLCD124の表示画面に表示される。ユーザは、AE制御及びAF制御に基づいて適正な露出及びピントで撮影されたリアルタイムのスルー画(ライブビュー)を、LCD124の表示画面を通じて視認することができる。
【0040】
カメラボディ100は、撮影・再生切替スイッチが押下される毎に撮影モードと再生モードに切り替わる。画像処理エンジン116は、再生モード中、操作部106の操作により指定された撮影画像データをメモリカード300又は内蔵メモリより読み出して所定のフォーマットの画像信号に変換し、LCD制御回路122に出力する。LCD制御回路122が画像処理エンジン116より入力される画像信号を基に液晶を変調制御することで、被写体の撮影画像(再生画像)がLCD124の表示画面に表示される。
【0041】
ユーザは、再生モード中、カメラボディ100に設けられた操作部106だけでなく、ズーム操作環210aやフォーカス操作環210bを回転操作することによっても、再生画像の送りや戻し、拡大、縮小等を行うことができる。
【0042】
本実施形態では、例示的に、ズーム操作環210aに再生画像の拡大、縮小が割り当てられている。ズーム操作環210aが第一方向(例えば焦点距離が短くなる方向)に回転操作されると、LCD124の表示画面内の再生画像が拡大表示され、ズーム操作環210aが第二方向(例えば焦点距離が長くなる方向)に回転操作されると、LCD124の表示画面内の再生画像が縮小表示される。
【0043】
また、本実施形態では、例示的に、フォーカス操作環210bに再生画像の送り、戻しが割り当てられている。フォーカス操作環210bが第一方向(例えば時計回り方向)に回転操作されると、LCD124の表示画面内の再生画像が次の再生画像に変更され、フォーカス操作環210bが第二方向(例えば反時計回り方向)に回転操作されると、LCD124の表示画面内の再生画像が1つ前の再生画像に変更される。
【0044】
なお、撮影レンズには、絞りの絞り値を調節するための絞り操作環が設けられているものもある。この場合、絞り操作環の回転操作により、再生画像の送りや戻し、拡大、縮小等が行われるようにしてもよい。
【0045】
また、カメラボディ100の操作部106を操作することにより、ズーム操作環210aやフォーカス操作環210b等の各種操作環に割り当てる機能(再生画像の送りや戻し、拡大、縮小等)を変更できるようにしてもよい。
【0046】
[レンズ情報表示処理]
次に、本実施形態においてカメラCPU104により実行されるレンズ情報表示処理について説明する。
図2に、レンズ情報表示処理のフローチャートを示す。レンズ情報表示処理は、例えば、カメラボディ100の電源が投入されると実行が開始され、電源が遮断されると実行が終了する。
【0047】
[
図2のS10(モード判定)]
本処理ステップS10では、現在のモードが撮影モードであるか否かが判定される。
【0048】
[
図2のS11(フラグF1の判定)]
本処理ステップS11は、処理ステップS10(モード判定)にて現在のモードが撮影モードであると判定された場合(S10:YES)に実行される。本処理ステップS11では、フラグF1の判定が行われる。フラグF1は、撮影装置1は、「0」又は「1」に設定されるものであり、電源投入時等の初期状態では「0」に設定されている。
【0049】
[
図2のS12(装着レンズの判定)]
本処理ステップS12は、処理ステップS11(フラグF1の判定)にてフラグF1が「0」であると判定された場合(S11:0)に実行される。本処理ステップS12では、カメラボディ100にレンズが装着されているか否か、カメラボディ100にレンズが装着されている場合には対応レンズ又非対応レンズであるかが判定される。
【0050】
なお、対応レンズは、レンズ系206内におけるズームレンズ206a及びフォーカスレンズ206bの位置情報を記憶することが可能なレンズであり、非対応レンズは、レンズ系206内におけるズームレンズ206a及びフォーカスレンズ206bの位置情報を記憶することができないレンズである。本実施形態に係る撮影レンズ200は、対応レンズである。
【0051】
本処理ステップS12にてカメラボディ100にレンズが装着されていないと判定された場合(S12:レンズ無し)、処理ステップS10(モード判定)に戻る。
【0052】
[
図2のS13(記憶コマンドC1の送信)]
本処理ステップS13は、処理ステップS12(装着レンズの判定)にてカメラボディ100に対応レンズが装着されていると判定された場合(S12:対応レンズ)に実行される。本処理ステップS13では、記憶コマンドC1がレンズCPU204に送信されると共に、フラグF1が「1」に設定される。
【0053】
レンズCPU204は、カメラCPU104により記憶コマンドC1を受信すると、ズーム位置センサ212aの出力に基づいてレンズ系206内におけるズームレンズ206aの位置情報を逐次(例えば数msec毎に)検出すると共に、フォーカス位置センサ212bの出力に基づいてレンズ系206内におけるフォーカスレンズ206bの位置情報を逐次検出し、検出された各種レンズ位置情報を内部メモリ204bに逐次更新記憶する。
【0054】
[
図2のS14(レンズ位置情報の取得)]
本処理ステップS14は、処理ステップS12(装着レンズの判定)にてカメラボディ100に非対応レンズが装着されていると判定された場合(S12:非対応レンズ)に実行される。非対応レンズでは、レンズCPU204により、ズームレンズ206a、フォーカスレンズ206bの各種レンズ位置情報が各種位置センサの出力に基づいて逐次検出され、検出された各種レンズ位置情報がカメラCPU104に逐次送信される。本処理ステップS14では、逐次送信される各種レンズ位置情報がカメラCPU104の内部メモリ104bに逐次更新記憶されると共に、フラグF1が「1」に設定される。
【0055】
[
図2のS15(モード判定)]
本処理ステップS15は、本処理ステップS13(記憶コマンドC1の送信)又はS14(レンズ位置情報の取得)の実行後に実行される。本処理ステップS15では、現在のモードが再生モードであるか否かが判定される。
【0056】
撮影モードから再生モードへの切り替えが行われたことにより、本処理ステップS15にて現在のモードが再生モードであると判定される場合(S15:YES)、処理ステップS10(モード判定)に戻る。本処理ステップS15にて現在のモードが再生モードでない(言い換えると、撮影モードである)と判定された場合(S15:NO)、処理ステップS12(装着レンズの判定)に戻る。すなわち、撮影モードから再生モードに切り替えられることにより、本処理ステップS15にてYES判定となるまで、処理ステップS12、S13(又はS14)及びS15は繰り返し実行される。従って、処理ステップS13(記憶コマンドC1の送信)の実行時には、再生モードへの切替直前の各種レンズ位置情報がレンズCPU204の内部メモリ204bに記憶され、処理ステップS14(レンズ位置情報の取得)の実行時には、再生モードへの切替直前の各種レンズ位置情報がカメラCPU104の内部メモリ104bに記憶される。
【0057】
再生モード中に再生画像の送り等を行うため、ズーム操作環210aやフォーカス操作環210bが回転操作された場合を考える。この場合、撮影モードに復帰すると、再生モード中のズーム操作環210aやフォーカス操作環210bの回転操作により、撮影レンズ200の焦点距離やピント位置が前回の撮影モード時(再生モードへの切替直前)から変わっている。このように変わってしまった焦点距離やピント位置を、ユーザが記憶を頼りに正確に戻すことは容易ではない。
【0058】
そこで、本実施形態では、再生モードへの切替直前の各種レンズ位置情報がレンズCPU204の内部メモリ204bやカメラCPU104の内部メモリ104bに記憶されている。以下、説明の便宜上、再生モードへの切替直前のレンズ位置情報を「目標位置情報」と記す。
【0059】
[
図2のS16(特定の操作の判定)]
本処理ステップS16は、処理ステップS11(フラグF1の判定)にてフラグF1が「1」であると判定された場合(S11:1)に実行される。本処理ステップS16では、再生モードから撮影モードへの切り替え時(撮影・再生切替スイッチの押下時)に特定の操作が行われていたか否かが判定される。特定の操作としては、例示的には、撮影・再生切替スイッチを押下すると共に他の操作部材(方向キーや機能ボタン等)も押下する、撮影・再生切替スイッチを長押しする、撮影・再生切替スイッチを複数回短押しするなど、撮影・再生切替スイッチの通常操作(通常の長さで一回押下)と区別可能なものが挙げられる。
【0060】
本処理ステップS16にて再生モードから撮影モードへの切り替え時に特定の操作が行われていないと判定された場合(S16:NO)、処理ステップS10(モード判定)に戻る。
【0061】
[
図2のS17(装着レンズの判定)]
本処理ステップS17は、処理ステップS16(特定の操作の判定)にて再生モードから撮影モードへの切り替え時に特定の操作が行われていたと判定された場合(S16:YES)に実行される。本処理ステップS17では、カメラボディ100にレンズが装着されているか否か、カメラボディ100にレンズが装着されている場合には対応レンズ又非対応レンズであるかが判定される。
【0062】
本処理ステップS17にてカメラボディ100にレンズが装着されていないと判定された場合(S17:レンズ無し)、処理ステップS10(モード判定)に戻る。
【0063】
[
図2のS18(取得要求コマンドC2の送信)]
本処理ステップS18は、処理ステップS17(装着レンズの判定)にてカメラボディ100に対応レンズが装着されていると判定された場合(S17:対応レンズ)に実行される。本処理ステップS18では、取得要求コマンドC2がレンズCPU204に送信される。
【0064】
レンズCPU204は、カメラCPU104により取得要求コマンドC2を受信すると、内部メモリ204bに記憶されている目標位置情報を読み出してカメラCPU104に送信する。また、レンズCPU204は、ズーム位置センサ212aの出力に基づいてズームレンズ206aの位置を逐次検出すると共に、フォーカス位置センサ212bの出力に基づいてフォーカスレンズ206bの位置を逐次検出し、検出された各種レンズの現在位置情報をカメラCPU104に逐次送信する。
【0065】
[
図2のS19(レンズ位置情報の記憶)]
本処理ステップS19では、レンズCPU204より受信した目標位置情報が内部メモリ104bに記憶されると共に、各種レンズの現在位置情報が内部メモリ104bに逐次更新記憶される。
【0066】
[
図2のS20(レンズ位置情報の記憶)]
本処理ステップS20は、処理ステップS17(装着レンズの判定)にてカメラボディ100に非対応レンズが装着されていると判定された場合(S17:非対応レンズ)に実行される。本処理ステップS20では、レンズCPU204より逐次送信される各種レンズの現在位置情報が内部メモリ104bに逐次更新記憶される。なお、目標位置情報は、処理ステップS14(レンズ位置情報の取得)の実行時に内部メモリ104bに記憶されている。
【0067】
[
図2のS21(レンズ情報の表示)]
本処理ステップS21では、レンズ情報が表示される。なお、特定の表示切替操作(キー長押しやレリーズ操作等)が行われると、レンズ情報の表示/非表示が切り替わる。
図3に、本処理ステップS21の詳細なフローを示す。
【0068】
・
図3のS21a
本処理ステップS21aでは、内部メモリ104bに記憶されている目標位置情報に基づいて目標情報がLCD124の表示画面に表示されると共に、逐次更新記憶される各種レンズの現在位置情報に基づいて現在情報がLCD124の表示画面に表示される。
【0069】
図4(a)に、レンズ情報の表示画面例を示す。
図4(a)に示されるように、LCD124の表示画面には、焦点距離情報(図中「ZOOM」)として目標情報(図中「TGT 50mm」)及び現在情報(図中「CRNT 25mm」)が表示されると共に、ピント位置情報(図中「FOCUS」)として目標情報(図中「TGT 10m」)及び現在情報(図中「CRNT 0.5m」)が表示される。
【0070】
・
図3のS21b
本処理ステップS21bでは、ズーム操作が行われたか否かが判定される。本処理ステップS21bにてズーム操作が行われていないと判定された場合(S21b:NO)、本フローチャートは処理ステップS21eに進む。
【0071】
・
図3のS21c
本処理ステップS21cは、処理ステップS21bにてズーム操作が行われたと判定された場合(S21b:YES)に実行される。本処理ステップS21cでは、ズームレンズ206aの目標位置情報とズーム操作後のズームレンズ206aの現在位置情報とが一致するか否かが判定される。本処理ステップS21cにてズームレンズ206aの目標位置情報と現在位置情報とが一致しないと判定された場合(S21c:NO)、本フローチャートは処理ステップS21eに進む。
【0072】
・
図3のS21d
本処理ステップS21dは、処理ステップS21cにてズームレンズ206aの目標位置情報とズーム操作後のズームレンズ206aの現在位置情報とが一致すると判定された場合(S21c:YES)に実行される。本処理ステップS21dでは、撮影レンズ200の焦点距離が前回の撮影モード時に設定されていた焦点距離に戻ったことを示す所定の復帰情報がLCD124の表示画面に表示される。
【0073】
図4(b)に、ズームレンズ206aの目標位置情報と現在位置情報とが一致した場合の表示画面例を示す。
図4(b)の例では、焦点距離の復帰情報として「OK!!」が表示される。
【0074】
・
図3のS21e
本処理ステップS21eでは、フォーカス操作が行われたか否かが判定される。本処理ステップS21eにてフォーカス操作が行われていないと判定された場合(S21e:NO)、本フローチャートは処理ステップS21hに進む。
【0075】
・
図3のS21f
本処理ステップS21fは、処理ステップS21eにてフォーカス操作が行われたと判定された場合(S21e:YES)に実行される。本処理ステップS21fでは、フォーカスレンズ206bの目標位置情報とフォーカス操作後のフォーカスレンズ206bの現在位置情報とが一致するか否かが判定される。本処理ステップS21fにてフォーカスレンズ206bの目標位置情報と現在位置情報とが一致しないと判定された場合(S21f:NO)、本フローチャートは処理ステップS21hに進む。
【0076】
・
図3のS21g
本処理ステップS21gは、処理ステップS21fにてフォーカスレンズ206bの目標位置情報とフォーカス操作後のフォーカスレンズ206bの現在位置情報とが一致すると判定された場合(S21f:YES)に実行される。本処理ステップS21gでは、撮影レンズ200のピント位置が前回の撮影モード時に設定されていたピント位置に戻ったことを示す所定の復帰情報がLCD124の表示画面に表示される。
【0077】
図4(c)に、フォーカスレンズ206bの目標位置情報と現在位置情報とが一致した場合の表示画面例を示す。
図4(c)の例では、ピント位置の復帰情報として「OK!!」が表示される。
【0078】
なお、目標情報と現在情報との両方の表示は必須ではない。例示的には、目標情報に代えて、操作すべき方向が表示されてもよい。一例として、目標の焦点距離が50mmで、現在の焦点距離が25mmである場合を考える。この場合、操作すべき方向として「TELE」が表示される。ズーム操作により現在の焦点距離が50mmに設定されると、「TELE」の表示が「OK!!」に切り替わる。
【0079】
別の例では、操作すべき方向だけが表示されてもよい。
【0080】
また、
図4(d)に例示されるように、目標情報と現在情報とが数値ではなくインジケータで表示されてもよい。この場合に、目標位置情報と現在位置情報とが一致すると、
図4(e)に示されるように、インジケータの目盛が満杯になると共に「OK!!」が表示される。
【0081】
・
図3のS21h
本処理ステップS21hでは、本フローチャートを終了させるための所定の終了操作が行われたか否かが判定される。所定の終了操作が行われていないと判定された場合(S21h:NO)、本フローチャートは処理ステップS21aに戻る。
【0082】
・
図3のS21i
本処理ステップS21iは、処理ステップS21hにて所定の終了操作が行われたと判定された場合(S21h:YES)に実行される。本処理ステップS21iでは、目標情報、現在情報等のレンズ情報の表示が消去され、フラグF1が「0」に設定される。次いで、本フローチャートは、
図2の処理ステップS10(モード判定)に戻る。
【0083】
このように、本実施形態によれば、事前に記憶された目標位置情報に基づいて所定のレンズ情報がLCD124の表示画面に表示される。ユーザは、表示画面上のレンズ情報を視認しながら撮影レンズ200を操作することにより、撮影レンズ200の焦点距離やピント位置を前回の撮影モード時の状態に戻すことができる。
【0084】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0085】
上記の実施形態では、表示手段を備えるタイプの撮影装置を例示したが、表示手段を備えないタイプの撮影装置も本発明の範疇である。表示手段を備えないタイプの撮影装置を使用する場合には、別の装置(スマートフォンやタブレット等の表示手段を備える装置)が取り付けられる。この場合、
図4に例示されるレンズ情報が撮影装置から別の装置に出力され、別の装置の表示画面に表示される。
【0086】
上記の実施形態では、撮影レンズ200としてズームレンズを例示しているが、単焦点レンズも本発明の範疇である。この場合、レンズ情報として、ピント位置だけが表示される。
【0087】
図5に、本発明の別の一実施形態に係るレンズ情報表示処理のフローチャートを示す。別の一実施形態に係るレンズ情報表示処理は、処理ステップS12’〜S15’を除き、
図2に示されるレンズ情報表示処理と同じである。ここでは、便宜上、処理ステップS12’〜S15’についてのみ説明を行う。
【0088】
[
図5のS12’(モード判定)]
本処理ステップS12’は、処理ステップS11(フラグF1の判定)にてフラグF1が「0」であると判定された場合(S11:0)に実行される。本処理ステップS12’では、現在のモードが再生モードであるか否かが判定される。撮影モードから再生モードへの切り替えが行われると、本処理ステップS12’にて現在のモードが再生モードであると判定されて(S12’:YES)、処理ステップS13’(装着レンズの判定)に進む。
【0089】
[
図5のS13’(装着レンズの判定)]
本処理ステップS13’では、カメラボディ100にレンズが装着されているか否か、カメラボディ100にレンズが装着されている場合には対応レンズ又非対応レンズであるかが判定される。
【0090】
本処理ステップS13’にてカメラボディ100にレンズが装着されていないと判定された場合(S13’:レンズ無し)、処理ステップS10(モード判定)に戻る。また、本処理ステップS13’にてカメラボディ100に対応レンズが装着されていると判定された場合(S13’:対応レンズ)、処理ステップS14’(記憶コマンドC1の送信)に進む。
また、本処理ステップS13’にてカメラボディ100に非対応レンズが装着されていると判定された場合(S13’:非対応レンズ)、処理ステップS15’(レンズ位置情報の取得)に進む。
【0091】
[
図5のS14’(記憶コマンドC1の送信)]
本処理ステップS14’では、記憶コマンドC1がレンズCPU204に送信されると共に、フラグF1が「1」に設定される。
【0092】
[
図5のS15’(レンズ位置情報の取得)]
本処理ステップS15’では、レンズCPU204から逐次送信される各種レンズ位置情報がカメラCPU104の内部メモリ104bに逐次更新記憶されると共に、フラグF1が「1」に設定される。
【0093】
別の一実施形態によれば、撮影モードから再生モードへの切り替えが行われると、記憶コマンドC1の送信(処理ステップS14’)やレンズ位置情報の受信(処理ステップS15’)等の通信が発生する。言い換えると、撮影モードから再生モードへの切り替えが行われない限り、これらの通信が発生しないため、例えば、各CPUの処理負荷が抑えられたり、AF等の通信に多くのリソースを費やすことによってAFを高速化させたりすることができるといった効果が得られる。