(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805579
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 81/36 20060101AFI20201214BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20201214BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
B65D81/36 R
B65D5/42 B
G09F9/00 350Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-130086(P2016-130086)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-2219(P2018-2219A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 健弘
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 透
(72)【発明者】
【氏名】関 秀平
(72)【発明者】
【氏名】村井 美月
(72)【発明者】
【氏名】松井 峻輝
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭37−026200(JP,Y1)
【文献】
国際公開第2014/057557(WO,A1)
【文献】
特開2016−109715(JP,A)
【文献】
特開2012−066867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32−81/36
B65D 5/00− 5/76
G09F 9/00
G02B 27/00−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する包装箱であって、人が覗き込むための2つのレンズを、人の目の間隔に配置した鑑賞面を有し、携帯情報端末を保持可能な端末保持機構を形成するための補助線を有しており、この補助線が前記携帯情報端末を前記鑑賞面と平行に、かつ、人が前記レンズを通して覗き込んだときに携帯情報端末の画面が良く見える距離に配置されているとともに、前記補助線は、前記鑑賞面に隣接する左右両側面と天面に亘って連続して設けられた、平行する2本のミシン目線であり、該ミシン目線によって帯状に除去された隙間が端末保持機構となることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記補助線は、前記鑑賞面に隣接する左右両側面に、それぞれ設けられた、平行する2本のミシン目線であり、該ミシン目線によって帯状に除去された両側面の隙間が端末保持機構となることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記補助線は、前記鑑賞面に隣接する天面の一部を矩形状に切り抜くための第1の切り取り線と、該第1の切り取り線の内側にあって、前記鑑賞面から特定の距離に、鑑賞面と平行に設けられた第1の山折罫線とからなり、切り抜かれた前記天面の一部と、前記第1の山折罫線を直角に折ることによって形成される押さえ板とが、端末保持機構を形成することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記鑑賞面の下部に、中央部に切り込みを有するフラップが連設されており、前記天面の一部には、鑑賞面の2つのレンズの中央を通る中央線を天面に延長した位置に設けられた第2の山折罫線を有し、鑑賞面と天面とが形成する稜線には、前記第2の山折罫線に至る第2の切り取り線が設けられており、第2の山折罫線の終点から前記第2の切り取り線と平行する第3の切り取り線が設けられており、第2の切り取り線と第3の切り取り線を切断し、第2の山折罫線を直角に折り込むことにより、2つのレンズの間に隔壁を形成できるようにし、さらに隔壁の先端部に設けた切り込みを前記フラップの切り込みに挿入することにより、隔壁を固定できるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記隔壁は、先端が側面にまで延長されており、天面と側面とが形成する稜線または側面に、隔壁をフラップに固定するための切り込みが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
包装箱の表面に形成された印刷絵柄は、鑑賞面が、包装箱の底面となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
鑑賞面に設けられたレンズを通して、内容物の記載情報が読み取れるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関し、特に使用後の空き箱に携帯情報端末を取り付けて3次元ビューワとして利用可能な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、左右の目の視差画像を表示した携帯情報端末を収納し、レンズを介して携帯情報端末の表示部に表示された左右の視差画像を見ることで、立体映像を視認することができる3次元(3D)ビューワが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された立体映像ビューワは、携帯情報端末収納部に立体視用映像を表示した携帯情報端末を収納し、両レンズ部を介して携帯情報端末の表示部に表示された立体用映像を見ることで、立体映像を視認することができるビューワである。
【0004】
また、特許文献2に記載された切り抜き紙は、レンズを備えた厚紙を切り取り線に沿って切り抜いて組み立て、スマートフォンを取り付けてバーチャルリアリティ(VR)画像を見ることができる切り抜き紙である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1539323号公報
【特許文献2】意匠登録第1543413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された立体映像ビューワも、特許文献2に記載された切り抜き紙もそれぞれ立体映像やVR映像を視認するための専用の装置であり、それ以外の用途は無いものである。また特許文献2に記載された切り抜き紙のように、使用者が自分で組み立てる必要のあるものでは、組み立て方が分からないという消費者クレームが発生する場合もあった。
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、商品を収納することができる包装箱であって、使用後の空き箱を簡単な操作によって3次元ビューワとして利用することが可能な包装箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載に発明は、物品を収納する包装箱であって、人が覗き込むための2つのレンズを、人の目の間隔に配置した鑑賞面を有し、携帯情報端末を保持可能な端末保持機構を形成するための補助線を有しており、この補助線が前記携帯情報端末を前記鑑賞面と平行に、かつ、人が前記レンズを通して覗き込んだときに携帯情報端末の画面が良く見える距離に配置されている
とともに、前記補助線は、前記鑑賞面に隣接する左右両側面と天面に亘って連続して設けられた、平行する2本のミシン目線であり、該ミシン目線によって帯状に除去された隙間が端末保持機構となることを特徴とする包装箱である。
【0009】
本発明に係る包装箱は、物品を収納することができる一方、2つのレンズを備えた鑑賞面を有し、携帯情報端末を保持する機構を形成するための補助線を備えたので、空き箱を簡単な操作で3次元ビューワとして使用することができる。
【0011】
また、請求項
2に記載の発明は、前記補助線が、前記鑑賞面に隣接する左右両側面に、それぞれ設けられた、平行する2本のミシン目線であり、該ミシン目線によって帯状に除去された両側面の隙間が端末保持機構となることを特徴とする請求項1に記載の包装箱である。
【0012】
また、請求項
3に記載の発明は、前記補助線が、前記鑑賞面に隣接する天面の一部を矩形状に切り抜くための第1の切り取り線と、該第1の切り取り線の内側にあって、前記鑑賞面から特定の距離に、鑑賞面と平行に設けられた第1の山折罫線とからなり、切り抜かれた前記天面の一部と、前記第1の山折罫線を直角に折ることによって形成される押さえ板とが、端末保持機構を形成することを特徴とする請求項1に記載の包装箱である。
【0013】
また、請求項
4に記載の発明は、前記鑑賞面の下部に、中央部に切り込みを有するフラップが連設されており、前記天面の一部には、鑑賞面の2つのレンズの中央を通る中央線を天面に延長した位置に設けられた第2の山折罫線を有し、鑑賞面と天面とが形成する稜線には、前記第2の山折罫線に至る第2の切り取り線が設けられており、第2の山折罫線の終点から前記第2の切り取り線と平行する第3の切り取り線が設けられており、第2の切り取り線と第3の切り取り線を切断し、第2の山折罫線を直角に折り込むことにより、2つのレンズの間に隔壁を形成できるようにし、さらに隔壁の先端部に設けた切り込みを前記フラップの切り込みに挿入することにより、隔壁を固定できるようにしたことを特徴とする請求項
3に記載の包装箱である。
【0014】
また、請求項
5に記載の発明は、前記隔壁の先端が側面にまで延長されており、天面と側面とが形成する稜線または側面に隔壁をフラップに固定するための切り込みが設けられていることを特徴とする請求項
4に記載の包装箱である。
【0015】
また、請求項
6に記載の発明は、包装箱の表面に形成された印刷絵柄が、鑑賞面が、包装箱の底面となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜
5のいずれか1項に記載の包装箱である。
【0016】
また、請求項
7に記載の発明は、鑑賞面に設けられたレンズを通して、内容物の記載情報が読み取れるようにしたことを特徴とする請求項1〜
6のいずれか1項に記載の包装箱である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る包装箱は、物品を収納することができる包装箱である一方、2つのレンズを備えた鑑賞面を有し、携帯情報端末を最適な距離に保持する端末保持機構を形成するための補助線を備えたので、空き箱を簡単な操作で3次元ビューワとして使用することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、鑑賞面に隣接する左右両側面と天面に亘って連続して設けられた、平行する2本のミシン目線を、補助線として備えたので、包装箱の壁をこのミシン目線によって帯状に除去するという極めて簡単な操作によって形成される箱の隙間に、携帯情報端末を挿入することにより、3次元ビューワが完成する。
【0019】
また、携帯情報端末の画面は、箱によって覆われるため、外光が制限され、視認性が高まる。
【0020】
請求項3に記載の発明のように、鑑賞面に隣接する左右両側面に、それぞれ連続して設けられた、平行する2本のミシン目線を補助線として備えた場合には、同様に包装箱の壁をこのミシン目線によって帯状に除去することにより形成される箱の両側面の隙間に携帯情報端末を挿入することにより、3次元ビューワが完成する。この場合、天面は、そのまま残されているので、3次元ビューワの形態保持性が良好である。また、外光も遮断されるため、視認性が良好である。
【0021】
請求項4に記載の発明のように、補助線が、鑑賞面に隣接する天面の一部を矩形状に切り抜くための第1の切り取り線と、該第1の切り取り線の内側にあって、前記鑑賞面から特定の距離に、鑑賞面と平行に設けられた第1の山折罫線とからなり、切り抜かれた前記天面の一部と、前記第1の山折罫線を直角に折ることによって形成される押さえ板とが、端末保持機構を形成するようにした場合には、極めて簡単な構造の3次元ビューワが得られ、組立が容易であり、使用後は平面に伸ばして持ち運びもできる。
【0022】
請求項5に記載の発明のように、鑑賞面の下部に、中央部に切り込みを有するフラップを連設し、一方天面の一部には、鑑賞面の2つのレンズの中央を通る中央線を天面に延長した位置に第2の山折罫線を設け、鑑賞面と天面とが形成する稜線には、前記第2の山折罫線に至る第2の切り取り線を設け、第2の山折罫線の終点から前記第2の切り取り線と平行する第3の切り取り線を設け、第2の切り取り線と第3の切り取り線を切断し、第2の山折罫線を直角に折り込むことにより、2つのレンズの間に隔壁を形成できるようにし、さらに隔壁の先端部に設けた切り込みを前記フラップの切り込みに挿入することにより、隔壁を固定できるようにした場合には、左右の目に映る映像が混ざり合うことが隔壁によって防止されるため、より鮮明な立体視像が得られる。
【0023】
また、隔壁が存在することにより、レンズと携帯情報端末との距離や直角度が規制されるために、立体視が安定する効果がある。
【0024】
請求項6に記載の発明のように、隔壁の先端が側面にまで延長されており、天面と側面とが形成する稜線または側面に隔壁をフラップに固定するための切り込みが設けられている場合にも、同様の効果が期待される他、隔壁の長さをある程度自由に設定できるため、包装箱の寸法の自由度が高まるという効果がある。
【0025】
請求項7に記載の発明のように、包装箱の表面に形成された印刷絵柄が、鑑賞面が、包装箱の底面となるように形成されている場合には、包装箱の外観がごく普通の箱であり、空き箱が3次元ビューワとして利用可能であることが外観からは分からないため、これを利用した特定の販促効果が期待される。
【0026】
請求項8に記載の発明のように、鑑賞面に設けられたレンズを通して、内容物の記載情報、例えば内容物の製造年月日や型番などが読み取れるようにした場合には、包装箱の表面にこれらの情報を表示しなくても済むので、例えば包装箱の印刷絵柄を型番別に変えなくても済むなどの副次的な効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の請求項2に記載された包装箱の一実施態様を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した包装箱に携帯情報端末を取り付けて3次元ビューワとして用いる様子を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した包装箱のブランクを示した平面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の請求項3に記載された包装箱の一実施態様を示した斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した包装箱に携帯情報端末を取り付けて3次元ビューワとして用いる様子を示した斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4に示した包装箱のブランクを示した平面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の請求項4に記載された包装箱の一実施態様を示した斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示した包装箱から切り取り線に沿って3次元ビューワとなる部分を切り取り、携帯情報端末を取り付けた状態を示した斜視説明図である。
【
図9】
図9は、
図7に示した包装箱のブランクを示した平面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明の請求項5に記載された包装箱の一実施態様を示した斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に示した包装箱から切り取り線に沿って3次元ビューワとなる部分を切り取った状態を示した斜視説明図である。
【
図13】
図13は、本発明の請求項6に記載された包装箱の一実施態様を示した斜視図である。
【
図14】
図14は、
図13に示した包装箱から切り取り線に沿って3次元ビューワとなる部分を切り取った状態を示した斜視説明図である。
【
図16】
図16は、
図13に示した包装箱から切り取った3次元ビューワとなる部分を組み立てて、携帯情報端末を取り付けた状態を示した斜視説明図である。
【
図17】
図17は、本発明の請求項7に記載された包装箱の一実施態様を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る包装箱1は、物品を収納する包装箱であって、人が覗き込むための2つのレンズ7を、人の目の間隔に配置した鑑賞面2を有し、携帯情報端末12を保持可能な端末保持機構11を形成するための補助線8を有しており、この補助線8が携帯情報端末12を鑑賞面2と平行に、かつ、人がレンズ7を通して覗き込んだときに携帯情報端末12の画面が良く見える距離に配置されていることを特徴とする。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る包装箱について詳細に説明する。
図1は、本発明の請求項2に記載された包装箱1の一実施態様を示した斜視図である。また
図2は、
図1に示した包装箱1に携帯情報端末12を取り付けて3次元ビューワ(3DV)として用いる様子を示した斜視図である。
【0029】
図1、
図2に示したように、この実施態様においては、補助線8は、鑑賞面2に隣接する左側面4と、右側面5と、天面3に亘って鑑賞面2から特定の距離に連続して設けられた、平行する2本のミシン目線9であり、ミシン目線9によって帯状に除去された隙間1
0が端末保持機構11となっている。
【0030】
この場合の特定の距離とは、鑑賞面2に取り付けられたレンズ7の焦点距離によって決定される値であって、人が2つのレンズを通して覗き込んだ時に、携帯情報端末12の画面が最も良く見える距離に設定される。
【0031】
レンズ7としては、一般的なガラスやプラスチック製の凸レンズでも良いが、プラスチック製のフレネルレンズが好適に用いられる。フレネルレンズは、平面状であるため、包装箱1に容易に取り付けることができる。また、両眼のレンズを1枚のレンズシートとして作成することができる。
【0032】
図3は、
図1に示した包装箱1のブランク1Bを示した平面模式図である。補助線8として、鑑賞面2に隣接する左側面4と、右側面5と、天面3に亘って鑑賞面2から特定の距離に連続してミシン目線9が設けられている。
【0033】
ミシン目線9を引いて切断除去すると
図2に示したような隙間10が生じるが、この時、隙間10が箱の下辺まで完全に連続するようにするために、糊代26にも破断線を設けておくことが望ましい。
【0034】
この例では、左側面4に連設されたフラップ13bと右側面5に連設されたフラップ13cが、箱として組み立てられた時に、鑑賞面2に設けられたレンズの開口部を遮らないように、それぞれ相当する部分に孔や切り欠きが設けられている。
【0035】
この例では、レンズシートが鑑賞面2とフラップ13bとによって挟まれて保持されるようになっている。
【0036】
図4は、本発明の請求項3に記載された包装箱1の一実施態様を示した斜視図である。また、
図5は、
図4に示した包装箱1に携帯情報端末12を取り付けて3次元ビューワとして用いる様子を示した斜視図である。また、
図6は、
図4に示した包装箱1のブランク1Bを示した平面模式図である。
【0037】
この例では、補助線8は、鑑賞面2に隣接する左側面4と右側面5に、それぞれ鑑賞面2から特定の距離に連続して設けられた、平行する2本のミシン目線9であり、ミシン目線9によって帯状に除去された両側面の隙間10が端末保持機構11となることを特徴とする。
【0038】
図5から分かるように、この実施態様では、
図1に示した例と異なり、天面3が切断されずに残っているため、3次元ビューワとして使用する際に、形状安定性が良好である。但し、両側面の隙間に入らないような大きさの端末は、用いることができない。
【0039】
図7は、本発明の請求項4に記載された包装箱1の一実施態様を示した斜視図である。また、
図8は、
図7に示した包装箱1から切り取り線15に沿って3次元ビューワとなる部分を切り取り、携帯情報端末12を取り付けた状態を示した斜視説明図である。また、
図9は、
図7に示した包装箱1のブランク1Bを示した平面模式図である。
【0040】
この例では、補助線8は、鑑賞面2に隣接する天面3の一部を矩形状に切り抜くための第1の切り取り線15と、第1の切り取り線15の内側にあって、鑑賞面2から特定の距離に、鑑賞面2と平行に設けられた第1の山折罫線18とからなり、切り抜かれた天面の一部と、第1の山折罫線18を直角に折ることによって形成される押さえ板20とが、端末保持機構11を形成することを特徴とする。
【0041】
この例では、3次元ビューワとなる部分における端末保持機構は、単にレンズ7と携帯情報端末12との距離を特定するだけの機能しかないが、3次元ビューワの構造が極めて単純であり、分かり易いという特徴がある。
【0042】
図10は、本発明の請求項5に記載された包装箱1の一実施態様を示した斜視図である。また、
図11は、
図10に示した包装箱1から切り取り線15に沿って3次元ビューワとなる部分を切り取った状態を示した斜視説明図である。また
図12は、
図10に示した包装箱1のブランク1Bを示した平面模式図である。
【0043】
この例では、鑑賞面2の下部に、中央部に切り込み25を有するフラップ13aが連設されており、天面3の一部には、鑑賞面2の2つのレンズ7の中央を通る中央線14を天面3に延長した位置に設けられた第2の山折罫線19を有し、鑑賞面2と天面3とが形成する稜線21には、第2の山折罫線19に至る第2の切り取り線16が設けられており、さらに第2の山折罫線19の終点から第2の切り取り線16と平行する第3の切り取り線17が設けられている。
【0044】
第2の切り取り線16と第3の切り取り線17を切断し、第2の山折罫線19を直角に折り込むことにより、2つのレンズの間に隔壁23を形成できるようにし、さらに隔壁23の先端部に設けた切り込み24を前記フラップの切り込み25に挿入することにより、隔壁23を固定できるようにしたことを特徴とする。
【0045】
こうして得られた3次元ビューワに、携帯情報端末12を取り付けた状態は、特に図示しないが、外観的には、
図16と同様な外観となる。この実施例の特徴としては、左右のレンズの間に隔壁23が設けられていることにより、左右の映像が混ざり合うことがなく、より鮮明な立体画像が得られるという特徴がある。また、隔壁23が存在することにより、レンズ7と携帯情報端末12との距離が厳密に規定され、さらに3次元ビューワの剛性が高まる効果もある。
【0046】
図13は、本発明の請求項6に記載された包装箱1の一実施態様を示した斜視図である。また、
図14は、
図13に示した包装箱1から切り取り線15に沿って3次元ビューワとなる部分を切り取った状態を示した斜視説明図である。また、
図15は、
図13に示した包装箱1のブランク1Bを示した平面模式図であり、
図16は、
図13に示した包装箱1から切り取った3次元ビューワとなる部分を組み立てて、携帯情報端末12を取り付けた状態を示した斜視説明図である。
【0047】
この例では、
図10に示した実施例における隔壁23の先端が右側面5にまで延長されており、天面3と右側面5とが形成する稜線22または側面に隔壁23をフラップ13aに固定するための切り込み24が設けられていることを特徴とする。
【0048】
図13に示した例では、
図10に示した例と比較して第1の切り取り線15の形状が複雑になるが、隔壁23の長さをより長くすることができる。包装箱1に収納する内容物の寸法によっては、包装箱1の幅と高さの比において、隔壁23の長さをもっと長くする必要が生じる場合もあるが、その場合であっても、切り込み24の位置を稜線上からさらに右側面方向に移動することにより、達成することができる。
【0049】
図13〜16に示した実施態様においても、
図10〜12に示した実施態様と同様に、隔壁23が存在することにより、左右の映像が混ざり合うことがなく、より鮮明な立体画像が得られるという特長の他、レンズ7と携帯情報端末12との距離が厳密に規定され、さらに3次元ビューワとしての剛性が高まる効果もある。
【0050】
図17は、本発明の請求項7に記載された包装箱1の一実施態様を示した斜視説明図である。この例では、包装箱1の表面に形成された印刷絵柄が、鑑賞面2が包装箱の底面6となるように形成されていることを特徴とする。
【0051】
このような構成とすることにより、包装箱1の外観がごく普通の箱となり、空き箱が3Dビューワとして利用可能であることが外観からは分からなくなる。このため、これを利用した特定の販促効果が期待される。
【0052】
本発明に係る包装箱1は、鑑賞面2となる面にレンズ7を備えているので、レンズを通して、箱の内部を視認することができる。従って、内容物の、レンズを通して見える位置に記載された各種の情報を、箱の外部から読み取ることが可能となる。
【0053】
この場合の読み取る情報の具体的な例としては、例えば製品の製造年月日やロット番号、あるいは製品の型番などさまざまであり、このようにすることにより、本来包装箱1の外側に記載しなければならない情報を記載しなくても済むようになる可能性がある。
【0054】
本発明に係る包装箱1を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、通常の厚紙、アート紙、コート紙、カード原紙、段ボール等の他、プラスチック板、金属板等を用いることもできる。また、箱の内面を艶消しの黒色にすることにより、3次元ビューワとした際の視認性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・包装箱
1B・・・包装箱のブランク
2・・・鑑賞面
3・・・天面
4・・・左側面
5・・・右側面
6・・・底面
7・・・レンズ
8・・・補助線
9・・・ミシン目線
10・・・隙間
11・・・端末保持機構
12・・・携帯情報端末
3DV・・・3次元ビューワ
13a、13b、13c・・・フラップ
14・・・中央線
15・・・第1の切り取り線
16・・・第2の切り取り線
17・・・第3の切り取り線
18・・・第1の山折罫線
19・・・第2の山折罫線
20・・・押さえ板
21・・・稜線
22・・・稜線
23・・・隔壁
24・・・切り込み
25・・・切り込み
26・・・糊代