特許第6805594号(P6805594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805594
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】レンズメータ及び眼鏡測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20201214BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G01M11/00 L
   G02C13/00
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-140705(P2016-140705)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-9942(P2018-9942A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】栃久保 裕司郎
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−072038(JP,A)
【文献】 特開2013−134240(JP,A)
【文献】 特開2009−175717(JP,A)
【文献】 米国特許第05855074(US,A)
【文献】 特開2016−161382(JP,A)
【文献】 特開2015−068976(JP,A)
【文献】 米国特許第4212538(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00−11/08
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの光学特性を測定する測定光学系と、
測定結果を表示するディスプレイと、
を備えるレンズメータであって、
装用者に装用された眼鏡装用状態における形状にて眼鏡フレームを保持する保持手段であって、前記眼鏡フレームの左右のテンプルの少なくとも一部に当接する左右の当接部と、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を移動させ、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を所定の位置に設定する当接部移動手段と、を有する保持手段と、
前記保持手段によって保持された眼鏡フレームのPDを測定するためのPD測定手段と、
を有し、
前記左右の当接部に前記左右のテンプルを当接させることで、前記左右のテンプルの間の幅を前記所定の位置に基づく幅に変更することを特徴とするレンズメータ。
【請求項2】
請求項1のレンズメータにおいて、
前記装用者の頭幅情報を取得する取得手段を備え、
前記当接部移動手段は、前記取得手段に取得された前記頭幅情報に基づいて、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を移動させ、前記左右のテンプル間の幅を前記装用者の頭幅に変更することを特徴とするレンズメータ。
【請求項3】
ディスプレイを備え、眼鏡フレームのPDを測定する眼鏡測定装置であって、
装用者に装用された眼鏡装用状態における形状にて眼鏡フレームを保持する保持手段であって、前記眼鏡フレームの左右のテンプルの少なくとも一部に当接する左右の当接部と、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を移動させ、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を所定の位置に設定する当接部移動手段と、を有する保持手段と、
眼鏡フレームのPDを測定するためのスケールを前記ディスプレイの画面に表示させるPD測定手段と、
を有し、
前記左右の当接部に前記左右のテンプルを当接させることで、前記左右のテンプルの間の幅を前記所定の位置に基づく幅に変更することを特徴とする眼鏡測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズの光学特性を測定するレンズメータ及び眼鏡フレームの光学中心間距離(PD)を測定する眼鏡測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定光束をレンズに投光し、レンズを透過した測定光束を受光素子で受光してレンズの屈折度数等の光学特性を測定する測定光学系を有するレンズメータが知られている。このようなレンズメータでは、眼鏡フレームの左右のリム(レンズ枠)に取り付けられた左レンズの光学中心と右レンズの光学中心とのPDを測定するためのPD測定機構(PD測定手段)を備えているものがある。例えば、左レンズ及び右レンズのレンズ面上に付された印点の左右方向の位置を検者が目視で読み取るためのスケールをディスプレイの画面に表示させて、スケールを読み取ることによって、PDを測定している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−134240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装用者が眼鏡(眼鏡フレーム)を装用する際には、装用者は眼鏡フレームのテンプル部分を広げて顔に装着する。装用者に眼鏡フレームが装着された状態下では、眼鏡フレームのテンプル部分は、装用者の頭部を把持することになり、その反力によって、眼鏡フレーム自身が変形をしてしまう。これによって、眼鏡フレームは、装用者に装用された状態における形状と、装用者への装用前の形状と、で異なる形状となってしまう。
【0005】
しかしながら、従来、眼鏡フレームのPDは、眼鏡フレームが装用されていない状態下で測定が行なわれているため、眼鏡フレームが変形することが考慮されていない眼鏡フレームのPDが取得されていた。このため、このPDを用いて眼鏡レンズの加工等を行い眼鏡を製作した場合に、実際に装用者が眼鏡を装用すると、良好でない等の問題があった。
【0006】
本開示は、上記従来技術に鑑み、眼鏡フレームが変形することを考慮したPDを取得することができるレンズメータ及び眼鏡測定装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 本開示の第1態様に係るレンズメータは、レンズの光学特性を測定する測定光学系と、測定結果を表示するディスプレイと、を備えるレンズメータであって、装用者に装用された眼鏡装用状態における形状にて眼鏡フレームを保持する保持手段であって、前記眼鏡フレームの左右のテンプルの少なくとも一部に当接する左右の当接部と、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を移動させ、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を所定の位置に設定する当接部移動手段と、を有する保持手段と、前記保持手段によって保持された眼鏡フレームのPDを測定するためのPD測定手段と、を有し、前記左右の当接部に前記左右のテンプルを当接させることで、前記左右のテンプルの間の幅を前記所定の位置に基づく幅に変更することを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係るレンズメータは、ディスプレイを備え、眼鏡フレームのPDを測定する眼鏡測定装置であって、装用者に装用された眼鏡装用状態における形状にて眼鏡フレームを保持する保持手段であって、前記眼鏡フレームの左右のテンプルの少なくとも一部に当接する左右の当接部と、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を移動させ、前記左右の当接部の少なくとも一方の位置を所定の位置に設定する当接部移動手段と、を有する保持手段と、眼鏡フレームのPDを測定するためのスケールを前記ディスプレイの画面に表示させるPD測定手段と、を有し、
前記左右の当接部に前記左右のテンプルを当接させることで、前記左右のテンプルの間の幅を前記所定の位置に基づく幅に変更することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例に係るレンズメータの外観略図である。
図2】眼鏡フレームFをリムFRL及びFRRの上端側からみた図である。
図3】テンプル調整ユニットの概略構成図である。
図4】テンプル調整ユニットの動作を模式的に示す図である。
図5】テンプル調整ユニットの一例を示す図である。
図6】レンズメータの光学系と制御系の概略構成図である。
図7】PD測定時に使用するスケールを示す図である。
図8】ディスプレイの画面上に表示されるスケール表示画面の一例を示す図である。
図9】ディスプレイの画面上に表示されたスケールにレンズLEの印点を合わせた図である。
図10】眼鏡フレームFをより安定に設置できる機構を設けた構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示では、レンズメータ1の奥行き方向(図1における眼鏡フレームFのテンプルFTL及びFTRが伸びる方向)をZ方向、奥行き方向に垂直な平面上の水平方向(図1における眼鏡フレームFの左右端方向)をX方向、鉛直方向(図1における眼鏡フレームFの上下端方向)をY方向として説明する。また、本開示では、ディスプレイ2をレンズメータ1の接地面に対して垂直に配置した状態において、接地面に対する垂直方向(上記のY方向)を縦方向として、水平方向(上記のX方向)を横方向として説明する。なお、本開示において符号に付されるL及びRとは、それぞれ左用及び右用を示すものである。
【0011】
<概要>
本実施形態におけるレンズメータ(例えば、レンズメータ1)は、測定光学系(例えば、測定光学系20)と、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ2)と、保持手段(例えば、テンプル調整ユニット10)と、PD測定手段(例えば、制御部30)と、を備える。
【0012】
例えば、測定光学系は、レンズの光学特性を測定する。例えば、ディスプレイは、測定結果を表示する。例えば、ディスプレイは種々の形状のディスプレイを用いてもよい。例えば、ディスプレイは、ディスプレイの表示画面の縦方向の長さが、ディスプレイの表示画面の横方向の長さよりも長い形状で構成されてもよい。また、例えば、ディスプレイは、ディスプレイの表示画面の横方向の長さが、ディスプレイの表示画面の縦方向の長さよりも長い形状で構成されてもよい。また、例えば、ディスプレイは、ディスプレイの表示画面の縦方向の長さと、ディスプレイの表示画面の横方向の長さとが同じ長さの形状で構成されてもよい。
【0013】
例えば、保持手段は、眼鏡フレームを保持する保持手段であって、眼鏡フレームの左右のテンプル(例えば、左側テンプルFTL、右側テンプルFTR)の少なくとも一方に当接し、左右のテンプルの少なくとも一方のテンプルの位置を移動させることによって、左右のテンプルの間の幅を変更させる。例えば、幅を変更するとは、幅を広げる構成、幅を狭くする構成等が挙げられる。
【0014】
例えば、保持手段は、レンズメータの任意の位置に配置することができる。例えば、ディスプレイの背面側に配置されてもよい。また、例えば、ディスプレイの前面側に配置されてもよい。また、例えば、ディスプレイの上方側に配置されてもよい。また、例えば、ディスプレイの下方側に配置されてもよい。
【0015】
例えば、保持手段としては、左右のテンプルのそれぞれの少なくとも一部に当接する左右の当接部(例えば、当接部14)と、左右の当接部の少なくともいずれか一方の当接部の位置を移動させる当接部移動手段と、を備える構成としてもよい。また、例えば、保持手段は、左右のテンプルのそれぞれの少なくとも一部に当接する左右の当接部であって、左右の当接部間の距離が所定の距離で設定された左右の当接部を備える構成としてもよい。
【0016】
例えば、当接部移動手段は、手動にて調整される構成が挙げられる。この場合、例えば、操作者が操作部(例えば、回転ノブ、スライダー、駆動スイッチ等)を有し、操作部が操作されることによって、当接部の位置が移動される構成を用いてもよい。
【0017】
また、例えば、当接部移動手段は、自動で調整される構成が挙げられる。この場合、例えば、眼鏡フレームを装用する被検者(装用者)の頭幅情報を取得する取得手段を備え、当接部移動手段(例えば、制御部30)は、取得手段によって取得された頭幅情報に基づいて、左右の当接部の少なくともいずれか一方の当接部を左右方向に移動させる構成を用いてもよい。なお、例えば、取得手段としては、頭幅情報を入力可能な構成であってもよいし、他の装置によって取得された頭幅情報を受信する構成であってもよい。
【0018】
例えば、当接部は、眼鏡フレームの左右のテンプルの耳かけ部分と当接するように配置される構成であってもよい。
【0019】
例えば、PD測定手段は、保持手段によって保持された眼鏡フレームのPDを測定するために用いられる。
【0020】
例えば、PD測定手段は、眼鏡フレームのPDを測定するためのスケールをディスプレイの画面に表示させる構成としてもよい。この場合、例えば、PD測定手段は、眼鏡フレームに取り付けられた左レンズ及び右レンズのレンズ面上に付された印点の左右方向の位置を検者が目視で読み取るためのスケールをディスプレイの画面に表示させる構成としてもよい。
【0021】
また、PD測定手段は、印点を自動的に読み取ることによって、PDを算出する構成としてもよい。この場合、例えば、左右のレンズの画像を取得する画像取得手段と、取得した左右のレンズの画像を解析することによって、左右の印点をそれぞれ検出する検出手段と、検出した左右の印点間の距離を算出することによって、PDを測定する演算手段と、を備える構成としてもよい。なお、例えば、画像取得手段としては、測定光学系を用いてもよい。例えば、画像取得手段としては、別途、撮影光学系を設けて、レンズ画像を取得する構成であってもよい。また、画像取得手段としては、別の装置によって取得されたレンズ画像を受信することによって画像を取得する構成であってもよい。
【0022】
例えば、PD測定手段は、レンズメータの測定光学系20によって、左右のレンズの光学中心を検出し、左右の光学中心間の距離を算出することによって、PDを測定する構成であってもよい。なお、例えば、レンズが有する光学中心の位置を検出する際には、検者がレンズLEを移動(アライメント)することによって光学中心を検出する構成でもよいし、自動的にレンズと測定光学系の相対位置を調整して光学中心を検出する構成でもよい。
【0023】
<実施例>
以下、本実施例において説明する。図1はレンズメータ装置の外観略図である。本実施例において、例えば、レンズメータ1は、ディスプレイ(モニタ)2、入力用スイッチ3、ノーズピース4、レンズ押え5、レンズテーブル6、レバー7、印点機構8、READスイッチ9、テンプル調整ユニット10等を備える。なお、本実施例におけるレンズメータ1は、上記の構成を備える構成としたがこれに限定されない。本実施例におけるレンズメータ1は、少なくともテンプル調整ユニット10を備える構成であればよい。
【0024】
例えば、ディスプレイ2には、LCD(Liquid Crystal Display)が用いられる。なお、本実施例において、ディスプレイ2は、LCDを用いる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、ディスプレイ2は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイを用いる構成であってもよい。
【0025】
例えば、ディスプレイ2はタッチパネルである。すなわち、本実施例においては、ディスプレイ2が操作部(コントローラ)として機能する。もちろん、ディスプレイ2は、タッチパネル式でなくともよい。また、例えば、ディスプレイ2は、複数のディスプレイを併用してもよい。
【0026】
例えば、ディスプレイ2は、入力された操作指示に応じた信号を、後述する制御部30(図6参照)に出力する。もちろん、ディスプレイ2と操作部は、別に設けられる構成であってもよい。例えば、操作部として、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末等の少なくともいずれかを用いる構成が挙げられる。
【0027】
例えば、ディスプレイ2には、各種情報が表示される。例えば、各種情報とは、レンズメータによって測定された測定結果や、左右レンズLEの光学中心間距離(すなわち瞳孔間距離)の測定に必要なスケール40(図7参照)等である。光学中心間距離及び瞳孔間距離については後述する。
【0028】
本実施例において、例えば、ディスプレイ2は、少なくとも表示画面の縦方向(Y方向)の長さが、表示画面の横方向(X方向)の長さよりも長い形状である。つまり、ディスプレイ2は、ディスプレイの表示画面が縦長の形状をもつディスプレイである。もちろん、ディスプレイ2の形状は本実施例に限定されない。例えば、ディスプレイ2としては、表示画面の縦方向の長さが、表示画面の横方向の長さと同じ形状をもつディスプレイを用いてもよい。また、例えば、ディスプレイ2としては、表示画面の横方向の長さが、表示画面の縦方向の長さよりも長い(すなわち横長の)形状をもつディスプレイを用いてもよい。
【0029】
例えば、入力用スイッチ3は、レンズメータ1が各種処理を実行するための入力信号(例えば、各種測定モードの切り換え、ディスプレイ2の画面上におけるスケール40の表示位置変更等)を入力するために用いる。例えば、本実施例においては、入力用スイッチ3がディスプレイ2の画面上に表示される。すなわち、例えば、ディスプレイ2の画面をタッチすることによって、入力用スイッチ3を操作することができる。なお、本実施例では、入力用スイッチ3が、ディスプレイ2の画面上に電子的に表示される構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。例えば、入力用スイッチ3は、レンズメータ1やディスプレイカバー2a等に設置されていてもよい。
【0030】
例えば、ノーズピース4は、レンズLEの光学特性(例えば、球面度数S、柱面度数C、乱視軸角度A、プリズム量Δ等)を測定する際の基点である。例えば、レンズ押え5は、レンズLEを上方から押さえて安定に保持するためのものである。例えば、レンズテーブル6は、眼鏡フレーム入りレンズLEの光学特性を測定する際に用いられる。この場合、例えば、レンズテーブル6に、眼鏡フレームFの左右リムの下端が当接される。例えば、レバー7は、レンズテーブル6をZ方向に移動させるためのものである。例えば、印点機構8は、レンズLEの光学中心に印点を施すものである。例えば、READスイッチ9は、レンズLEの光学特性を読み取る際に使用する。
【0031】
例えば、テンプル調整ユニット10は、眼鏡フレームFを保持するための保持手段である。また、例えば、テンプル調整ユニット10は、PDを測定するために用いられる。また、例えば、テンプル調整ユニット10は、眼鏡フレームFの形状を変形させるために用いられる。例えば、テンプル調整ユニット10は、レンズメータ1の背面側(例えば、ディスプレイ2よりも奥側)に配置される。なお、本実施例では、テンプル調整ユニット10をレンズメータ1の背面側に配置した構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、テンプル調整ユニット10は、眼鏡フレームFを保持し、テンプル間の幅を変更することができる位置であれば、任意の位置に配置可能である。例えば、テンプル調整ユニット10は、レンズメータ1の前面側に配置される構成であってもよい。
【0032】
以下、眼鏡装用者の瞳孔間距離(以下、PD(Pupil Distance)と記載)と、レンズLEの光学中心間距離(以下、OCD(Optical Center Distance)と記載)について説明する。例えば、PDは、左眼の瞳孔中心と右眼の瞳孔中心を結んだ直線の距離で示される。例えば、OCDは、レンズLEの左側レンズの光学中心と、右側レンズの光学中心と、を結んだ直線の距離で示される。
【0033】
例えば、眼鏡は、眼鏡装用者のPDと、眼鏡フレームFに取り付けられるレンズLEのOCDとが一致するように作製される。
【0034】
例えば、眼鏡装用者のPDを算出する場合、眼鏡に取り付けられた左右のレンズの光学中心を検出し、光学中心間の距離を求めることによって、PDを算出することができる。例えば、検者は、印点機構8を用いて、眼鏡に取り付けられた左右のレンズに対して、レンズメータ1によって光学中心を検出する。検者は、検出した光学中心位置に対して、印点機構8を用いて、左右レンズの光学中心を示す印点PLc及びPRc(図9参照)を付与する。そして、検者は、左右レンズLEの光学中心を示す印点PLc及びPRc間の距離を測定する。これによって、検者は、眼鏡装用者のPDを求めることができる。
【0035】
ここで、装用者が眼鏡(眼鏡フレーム)を装用する際には、装用者は眼鏡フレームのテンプル部分を広げて顔に装着する。装用者に眼鏡フレームが装着された状態下では、眼鏡フレームのテンプル部分は、装用者の頭部を把持することになり、その反力によって、眼鏡フレーム自身が変形してしまう。これによって、眼鏡フレームは、装用者に装用された眼鏡装用状態における形状と、装用者への装用前の眼鏡非装用状態における形状と、で異なる形状となってしまう。これによって、眼鏡装用状態と眼鏡非装用状態とで、眼鏡のPDが変化する。このため、眼鏡非装用状態で測定されたPDを用いて眼鏡レンズの加工等を行い、眼鏡を製作した場合に、実際に装用者が眼鏡を装用すると、良好でない等の問題があった。なお、特にハイカーブフレーム(反り角の大きな眼鏡フレーム)の眼鏡は、眼鏡装用時と眼鏡非装用時とで、眼鏡の変形によって、よりPDの変化が大きくなる。
【0036】
以下、眼鏡装用状態と眼鏡非装用状態における眼鏡の変形の影響について、より詳細に説明する。図2は、眼鏡フレームFを左側リム(以下、リムと記載)FRL及び右側リム(以下、リムと記載)FRRの上端側からみた図である。図2(a)は眼鏡非装用状態の眼鏡フレームを示している。図2(b)は眼鏡装用状態の眼鏡フレームを示している。例えば、眼鏡非装用状態の眼鏡フレームFは、図2(a)のように、左側テンプルFTL及び右側テンプルFTR)が眼鏡の内側に入り込んだ形状(テンプル部分が丸みを帯びた形状)である。一方、眼鏡装用状態の眼鏡フレームFは、図2(b)のように、左側テンプルFTL及び右側テンプルFTRが眼鏡の外側に反った形状(テンプル部分が丸みを帯びていない形状)となる。
【0037】
例えば、本実施例において、図2に示されるように、眼鏡装用状態における左右レンズの光学中心間の距離(眼鏡装用時におけるPD)d2は、眼鏡非装用状態における左右レンズの光学中心間の距離(眼鏡装用時におけるPD)d1よりも長くなる。
【0038】
従来のレンズメータは、眼鏡非装用状態でレンズLEのPDを測定しており、上記のような眼鏡フレームFの形状変化は考慮されていなかった。この場合、眼鏡非装用状態のPDを用いてレンズLEを加工することによって作製された眼鏡では、レンズLEの光学中心の位置と、眼鏡装用者の瞳孔の位置とが一致しない。このような場合、プリズムが発生するために、眼鏡を通してみえる像の位置が、本来みえる像の位置からずれてしまう。また、眼鏡装用者が眼鏡(眼鏡フレーム)を装用しても、眼鏡を通して良好な視界を得るために必要な光学特性を得ることができない。このため、眼鏡装用者が、眼鏡非装用状態のPDを用いて作製された眼鏡(眼鏡フレーム)を装用すると、眼精疲労、違和感、見えづらさ等が生じていた。
【0039】
例えば、本実施例におけるレンズメータは、テンプル調整ユニット10を用いて、眼鏡フレームFを保持し、眼鏡フレームFの左側テンプルFTLと、右側テンプルFTR間の幅を変更する構成を備える。例えば、眼鏡装用者の頭幅等に応じて、眼鏡フレームFの形状を変形させることができる。いいかえると、眼鏡装用者が眼鏡フレームFを装用した状態を再現することができる。
【0040】
以下、テンプル調整ユニット10について詳細に説明する。図3は、テンプル調整ユニット10の概略構成図である。例えば、テンプル調整ユニット10は、眼鏡フレームFの左側テンプルFTL及び右側テンプルFTRの少なくとも一方に当接し、左右テンプルの少なくとも一方のテンプルの位置を移動させることによって、左右テンプル間の幅W(図4参照)を変更させるものである。
【0041】
例えば、本実施例では、テンプル調整ユニット10が、左側テンプルFTLと右側テンプルFTRのそれぞれにおいて、テンプルの内側と外側のどちらにも当接することによって、眼鏡フレームFを保持する構成を例に挙げて説明する。もちろん、テンプル調整ユニット10としては、テンプルの内側と外側のどちらにも当接する構成に限定されない。例えば、テンプル調整ユニット10は、左右テンプルのそれぞれにおいて、テンプルの内側にのみ当接して眼鏡フレームFを保持してもよいし、左右テンプルのそれぞれにおいて、テンプルの外側にのみ当接して眼鏡フレームFを保持してもよい。また、例えば、テンプル調整ユニット10としては、左右のテンプルの一方が内側に当接し、他方が外側に当接する構成であってもよい。
【0042】
なお、本実施例において、テンプル調整ユニット10は、左右のテンプルの双方に当接する構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。例えば、テンプル調整ユニット10は、上記のように、左側テンプルFTL及び右側テンプルFTRのいずれか一方に当接することによって、眼鏡フレームFを保持する構成であればよい。この場合、例えば、テンプル調整ユニット10が、左右テンプルのいずれか一方の内側にのみ当接して眼鏡フレームFを保持してもよい。また、この場合、例えば、テンプル調整ユニット10が、左右テンプルのいずれか一方の外側にのみ当接して眼鏡フレームFを保持してもよい。
【0043】
例えば、テンプル調整ユニット10は、回転ノブ11、支柱12、移動部13、当接部14、ギヤ15、ガイド部16、支持部17等を備える。なお、テンプル調整ユニット10は、上記の構成を備える構成としたがこれに限定されない。本実施例におけるテンプル調整ユニット10は、少なくとも当接部14を備える構成であればよい。例えば、回転ノブ11は、移動部13を移動させるためのものである。例えば、支柱12の上方には回転ノブ11が固定され、支柱12の下方にはギヤ15が固定されている。
【0044】
例えば、移動部13は、眼鏡フレームFの左側テンプルFTLに用いるための左側移動部13Lと、右側テンプルFTRに用いるための右側移動部13Rと、を備える。例えば、移動部13L及び13Rには、ギヤ15と噛み合うギヤ部分が形成されている。なお、本実施例においては、移動部13がもつギヤ部分と、ギヤ15と、が噛み合うことによって移動部13が移動する構成としているがこれに限定されない。例えば、ギヤ15の代わりに直接スライダーをスライドさせる機構を用いてもよい。この場合、移動部13を直接移動させるためのグリップ部を移動部13に設け、検者がグリップ部に指をあて、グリップ部を移動させることによって、移動部13が移動する構成としてもよい。
【0045】
例えば、当接部14は、眼鏡フレームFの左側テンプルFTLの少なくとも一部に当接する左側当接部14Lと、眼鏡フレームFの右側テンプルFTRの少なくとも一部に当接する右側当接部14Rと、を備える。例えば、左側当接部14Lには左側移動部13Lが固定され、右側当接部14Rには右側移動部13Rが固定される。
【0046】
例えば、本実施例において、当接部14L及び14Rは、テンプルを挟みこむことによって、テンプルを保持する構成となっている。すなわち、本実施例において、テンプル調整ユニット10としては、テンプルの内側と外側のどちらにも当接する構成となっている。例えば、当接部14L及び14Rは、それぞれ2つの部材によって構成されている。例えば、当接部を構成する2つの部材は、図示無きばねによって連結されており、互いに引き付けあっている。例えば、本実施例では、当接部14を構成する2つの部材の間に、眼鏡フレームFのテンプルを挟むように当接することによって、2つの部材がばねによって引き付けられ、眼鏡フレームFが保持される。つまり、当接部14は、眼鏡フレームFのテンプルの内側と外側のどちらにも当接することによって、眼鏡フレームFを保持する。なお、例えば、当接部14を構成する部材の数は、上記構成に限定されない。
【0047】
なお、本実施例においては、テンプル調整手段が眼鏡フレームFのテンプルの内側及び外側の少なくともいずれかに当接する場合とは、例えば、当接部14が眼鏡フレームFのテンプルの上側と下側に当接する場合も含む。
【0048】
なお、本実施例においては、移動部13と当接部14が別の部材によって構成される例を挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、移動部13と当接部14が一体的に形成された構成を備えていてもよい。また、例えば、当接部14は、眼鏡フレームFの左右テンプルの少なくとも一部に当接するものであればよい。すなわち、例えば、当接部14は、眼鏡フレームFにおける左右テンプルの全体に当接してもよい。また、例えば、当接部14は、眼鏡フレームFにおける左右テンプルの一部分(例えば、テンプルの耳かけ部分FML及びFMR等)に当接してもよい。例えば、当接部14を、左右テンプルの耳かけ部分FML及びFMRに当接させた場合には、眼鏡フレームFをレンズメータ1に設置した際に、眼鏡装用者が眼鏡フレームFを装用したとき(すなわち、眼鏡フレームFが眼鏡装用者の耳に保持されたとき)に近い状態を再現することができる。もちろん、当接部14L及び14Rの構成は、左側テンプルFTLと右側テンプルFTRで異なっていてもよい。
【0049】
例えば、ガイド部16は、移動部13L及び13Rを、テンプル調整ユニット10の横方向(X方向)に移動可能とするためのものである。例えば、ガイド部16は、左側移動部13Lが取り付けられる左側ガイド部16Lと、右側移動部13Rが取り付けられる右側ガイド部13Rと、を備える。例えば、ガイド部16は、支持部17に固定されている。例えば、支持部17は、レンズメータ1の内部に固定されている。なお、本実施例において、例えば、ガイド部16は、移動部13L及び13Rをスライドさせる機構であるがこれに限定されない。例えば、移動部13を所定の方向に移動可能とする構成であってもよい。この場合、例えば、移動部13L及び13Rと噛み合うギヤ機構等を用いることができる。
【0050】
図4は、テンプル調整ユニット10の動作を模式的に示す図である。図4(a)と図4(b)は、テンプル調整ユニット10の調整状態がそれぞれ異なる場合の一例を示す図である。例えば、本実施例におけるレンズメータ1は、検者が回転ノブ11を回転させることによって、支柱12及び支柱12に固定されたギヤ15が回転するものである。例えば、ギヤ15と噛み合う移動部13L及び13Rは、ギヤ15の回転によって、ガイド部16L及び16Rに沿ってX方向に移動する。これによって、当接部14L及び14R間の距離Wが変更される。すなわち、当接部14L及び14Rに、眼鏡フレームFのテンプルFTL及びFTRが当接されていた場合には、左右テンプル間の幅Wを調整することが可能である。なお、回転ノブ11の操作によって移動部13を移動させる伝達機構の構成はこれに限定されない。例えば、回転ノブ11の回転が移動部13に伝達される構成であればよい。この場合、例えば、伝達機構として、ベルトや弾性部材等を用いる構成が挙げられる。
【0051】
例えば、本実施例においては、回転ノブ11の回転方向を切り換えることによって、当接部14L及び14R(あるいは移動部13L及び13R)の移動方向が変更される。例えば、回転ノブ11が時計回りに回転された場合、左側移動部13Lは左方向(A方向)に移動し、右側移動部13Rは右方向(B方向)に移動する(つまり、図4(a)の状態から図4(b)の状態に変更される)。また、例えば、回転ノブ11が反時計回りに回転された場合、左側移動部13Lは右方向(B方向)に移動し、右側移動部13Rは左方向(A方向)に移動する(つまり、図4(b)の状態から図4(a)の状態に変更される)。もちろん、回転ノブ11の回転方向に対する移動部13の移動方向は、本実施例とは異なる構成であってもよい。
【0052】
例えば、左側当接部14Lと右側当接部14R間の距離W、すなわち眼鏡フレームFにおける左右テンプル間の幅Wは、回転ノブ11の回転量から判断される。例えば、眼鏡フレーム保持ユニット10は、回転ノブ11の回転量を検出するセンサを備えていてもよい。検者が回転ノブ11を回転させると、制御部30(図6参照)は、回転ノブ11の回転量から左右テンプル間の幅Wを演算して、その値をディスプレイ2の画面上に表示する。例えば、回転ノブ11の回転量を検出するセンサとしては、可変抵抗器(ポテンショメータ)を用いることができる。この場合には、例えば、回転ノブ11の回転に応じてポテンショメータの抵抗値が増減し、レンズメータ1内を流れる電流量が変化する。例えば、回転ノブ11の回転量は、この電流の変化量から求めることができる。また、例えば、回転ノブ11の回転量を検出するセンサとしては、光検出器(光センサ)を用いることができる。この場合には、例えば、回転ノブ11の回転に応じてスリット板を回転させる。例えば、回転ノブ11の回転量は、光がスリット板を通過した回数を検出することによって求めることができる。
【0053】
なお、本実施例においては、左側当接部14Lと右側当接部14R間の距離Wを、ディスプレイ2の画面上に表示する構成を例として説明したがこれに限定されない。例えば、当接部14L及び14R間の距離Wは、ディスプレイ2の画面上に表示されなくてもよい。この場合、例えば、図5のように、レンズメータ1に指標18を備え、回転ノブ11に左側当接部14Lと右側当接部14R間の距離Wを示す目盛19を備えた構成でもよい。検者は、所望の目盛を指標18に合わせるように、回転ノブ11を回転させる。より詳細には、例えば、検者が左右テンプル間の幅Wを16cmに設定したいときは、回転ノブ11に記された目盛19のうち、16の数値を、レンズメータ1に記された指標18に合わせればよい。これによって、左側当接部14Lと右側当接部14R間の距離Wが16cmとなり、眼鏡フレームFにおける左右テンプル間の幅Wが16cmに設定される。
【0054】
なお、本実施例においては、テンプル調整ユニット10を手動で操作する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、当接部14L及び14R間の距離Wは、モータ等の電動機構を用いて、自動で調整されてもよい。例えば、当接部14L及び14R(あるいは移動部13L及び13R)の少なくとも一方の移動が、移動部13L及び13Rの位置を位置検出センサ等で検出することによって制御される構成が挙げられる。また、例えば、当接部14L及び14R(あるいは移動部13L及び13R)の少なくとも一方の移動が、モータの回転量等を検知することによって制御される構成が挙げられる。
【0055】
なお、本実施例では、検者の操作によってテンプル調整ユニット10の当接部14L及び14R間の距離Wが調整される場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、当接部14L及び14R間の距離Wは、他の装置を介して調整される構成であってもよい。この場合、例えば、他の装置が取得した眼鏡装用者の頭幅情報を、レンズメータ1が受信することによって、当接部14L及び14R間の幅Wが調整されてもよい。例えば、レンズメータ1は、他装置からの信号を受信する受信部を備え、他の装置から送信された信号を受信する。制御部30は、受信した信号に基づいて当接部14を移動させる。これによって、当接部14間の距離Wが調整される。このように、眼鏡装用者の頭幅情報に基づいて左右テンプル間の幅Wが自動的に変更されることによって、左右テンプル間の幅Wを容易に眼鏡装用者の頭幅に合わせることができる。
【0056】
また、本実施例においては、当接部14L及び14R間の距離Wを変更するために、当接部14L及び14R(移動部13L及び13R)の双方が移動する構成を例としたがこれに限定されない。例えば、当接部14L及び14Rの少なくともいずれか一方の当接部の位置が移動される構成であればよい。すなわち、当接部14L及び14Rの一方のみが移動される構成であってもよい。この場合、例えば、テンプル調整ユニット10としては、当接部14が左右テンプルFTを保持する構成を有し、左右テンプルの少なくとも一方が、内側方向に向けて移動される構成(例えば、テンプルが内側に押し込まれる構成等)が挙げられる。また、例えば、当接部14が左右テンプルFTを保持する構成を有し、左右テンプルの少なくとも一方が、外側方向に向けて移動される構成(例えば、テンプルが外側に引っ張られる構成等)が挙げられる。
【0057】
なお、本実施例においては、当接部14L及び14R間の距離Wが、当接部14(移動部13)を所定の距離だけ移動させることによって変更される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、当接部14L及び14R間の距離Wは、当接部14が所定のステップ(例えば、0.5cm間隔)ずつ左右方向に移動することによって変更される構成であってもよい。また、例えば、当接部14L及び14R間の距離Wは、眼鏡装用者の平均的な頭幅に変更されてもよい。この場合、例えば、男性、女性、子供等の平均的な頭幅を設定しておき、これらを任意に切り換えることによって、当接部14が左右方向に移動する構成が挙げられる。なお、本実施例においては、当接部14L及び14R間の距離Wを変更可能とする構成を備えているがこれに限定されない。例えば、当接部14L及び14R間の距離Wは、予め所定の距離(例えば、人の平均的な頭幅等)に固定されている構成であってもよい。
【0058】
図6はレンズメータの光学系と制御系を示す概略構成図である。例えば、測定光学系20は、測定光源21、コリメーティングレンズ22、ミラー23、グリッド板24、2次元受光センサ25等を備える。例えば、測定光源21はLED(Light Emitting Diode)で構成される。例えば、測定光源21は測定光軸L1上に配置される。例えば、測定光軸L1は、ノーズピース4がもつ開口4a(直径8mmの円形状)の平面に対して垂直に配置される。例えば、グリッド板24には、レンズLEの複数箇所における光学特性を1度に測定するために、多数の測定指標が形成されている。例えば、グリッド板24は、レンズメータ1の保持部材26によって保持される。なお、測定指標の構成及び測定指標を用いた被検レンズLEの光学特性測定については周知の技術を応用しているため、詳しくは特開2008−241694号公報を参照されたい。
【0059】
例えば、制御部30には、ディスプレイ2、READスイッチ9、測定光源21、2次元受光センサ25、メモリ31等が接続されている。なお、制御部30は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されていてもよい。例えば、制御部30は、レンズLEの光学特性を演算するための演算処理を行う。また、例えば、制御部30は、各種測定モードを切り換える表示制御を行う。本実施例において、例えば、制御部30は、ディスプレイ2の画面上において、スケール40の表示位置を変更する(詳細については後述する)。例えば、メモリ31には、レンズLEのPDを測定する際に表示させるスケール情報等が記憶されている。
【0060】
以下、PD測定手段として、眼鏡フレームに取り付けられた左レンズ及び右レンズのレンズ面上に付された印点の左右方向の位置を検者が目視で読み取るためのスケールをディスプレイの画面に表示させる構成を用いる場合を例に挙げて説明する。もちろん、PD測定手段としては上記構成に限定されない。
【0061】
図7は、PD測定時に使用するスケール40の一例を示す図である。例えば、スケール40は、レンズLEの光学中心に付された印点PLc及びPRc(図9参照)間の距離を測定するためのものである。すなわち、スケール40は、PDを測定するためのものである。例えば、スケール40は、縦線41、水平線42、ガイドマーク43等で構成される。例えば、縦線41は、ディスプレイ2の縦方向(Y方向)に垂直な直線である。例えば、縦線41は、ディスプレイ2の横方向(X方向)に対して、所定の測定単位距離(例えば実寸の1.0mm)毎に等間隔で並ぶ。例えば、縦線41の上方には、後述する基準線44から左右方向に向かって、実寸距離としての距離数値「20」「30」「40」「50」が表示される。例えば、縦線41の下方には、PDを読み取るための参照用の距離数値「0」「10」「50」…「80」が表示される。縦線41の下方における距離数値「10」−「80」は、縦線41の下方における距離数値「0」からの実寸の距離(単位mm)である。例えば、水平線42は、縦線41の中央に対して垂直に交わる直線である。例えば、水平線42は、左右レンズLEに付された印点PLc及びPRc(図9参照)の上下位置を合わせるために用いる。
【0062】
例えば、ガイドマーク43は、眼鏡フレームFにおけるブリッジFBの中央が、スケール40の中央に位置しているか否かを確認するためのものである。例えば、ガイドマーク43は、基準線44、第1ガイドマーク45、第2ガイドマーク46等で構成される。例えば、基準線44はディスプレイ2の縦方向(Y方向)に垂直な直線である。例えば、基準線44はスケール40の左右中央に位置する。例えば、第1ガイドマーク45は、三角マークと、基準線44側に傾斜した図形によって構成される。例えば、第1ガイドマーク45は水平線42よりも下側に位置する。例えば、第2ガイドマーク46は、基準線44の左右方向に向かって、縦線41と同様に1.0mm間隔で並ぶ直線によって構成される。例えば、第2ガイドマーク46は、水平線42よりも上側に位置する。例えば、ガイドマーク43、及びガイドマーク43を構成する第1ガイドマーク45と第2ガイドマーク46は、基準線44を中心とした左右対称な図形である。
【0063】
なお、縦線41、水平線42、ガイドマーク43等の、スケール40を構成する図形の表示については本実施例に限定されない。例えば、本実施例では、1.0mm間隔の縦線41を、基準線44に対して左方向の距離15−50mmと、右方向の距離15−50mmに表示している。例えば、基準線44に対して左方向及び右方向の距離1−14mmには縦線41を設けていないが、この距離間に縦線41を設ける構成であってもよい。また、例えば、水平線54はガイドマーク43の周辺において分断するように表示しているが、1本の連続した線として表示する構成であっても良い。また、例えば、ガイドマーク43は、スケール40の左右中央を判断し易い構成であればよく、その図形については種々の図形が適用できる。
【0064】
図8は、ディスプレイ2の画面上に表示されるスケール表示画面の一例を示す図である。スケール表示画面は、レンズLEのPDを測定する際に、ディスプレイ2の画面上に表示される。例えば、スケール表示画面には、スケール40、入力用スイッチ3、等が表示される。もちろん、スケール表示画面としては、上記構成に限定されない。
【0065】
例えば、スケール表示画面に設けられた入力用スイッチ3は、スケール表示位置変更スイッチ51a,51b、ディスプレイ表示色反転スイッチ52、PD基準指標移動スイッチ53等を備える。
【0066】
例えば、スケール表示位置変更スイッチ51aは、スケール40をディスプレイ2の画面上方に移動させる際に使用する。また、例えば、スケール表示位置変更スイッチ51bは、スケール40をディスプレイ2の画面下方に移動させる際に使用する。例えば、スケール表示位置変更スイッチ51が選択されると、縦線41、水平線54、距離数値、ガイドマーク43等を含むスケール40を、一体的にスケール表示画面の上方あるいは下方に移動させる信号が制御部30に送信される。例えば、制御部30は、これらの入力信号に基づいてディスプレイ2の表示を制御する。
【0067】
例えば、制御部30は、スケール表示位置変更スイッチ51の選択によって送信された入力信号を受信する毎に、スケール40を1ステップずつ上方向あるいは下方向へ移動させる。例えば、1ステップはディスプレイの1画素に対応している。例えば、ディスプレイの上下方向における1画素は0.2mmである。すなわち、例えば、スケール表示位置変更スイッチ51が選択される毎に、ディスプレイ2の画面上に表示されたスケール40の位置が、0.2mmずつ上方向あるいは下方向に移動する。
【0068】
例えば、ディスプレイ表示色反転スイッチ52は、ディスプレイ2の背景を白色あるいは黒色に切り換える際に使用する。例えば、ディスプレイ表示色反転スイッチ52が選択されると、ディスプレイ2における表示色の白黒(輝度)を反転させるための信号が制御部30へと送信される。例えば、本実施例においては、ディスプレイ2は白色背景であり、スケール40は黒色表示である。例えば、ディスプレイ表示色反転スイッチ52を選択することによって、ディスプレイ2を黒色背景に、スケール40を白色表示にすることができる。従って、検者は、検者にとって好ましい条件で、左右レンズLEに付与された印点PLc及びPRcの位置を読み取ることができる。例えば、色入りのレンズ等では、ディスプレイ2を黒色で表示し、スケール40を白色で表示したほうが、印点の位置を読み取り易い場合がある。なお、本実施例においては、ディスプレイ2の背景色が白色から黒色に反転し、スケール40の表示色が黒色から白色に反転する構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、ディスプレイ2の背景色やスケール40の表示色は、検者にとって見やすい表示であればよい。この場合、例えば、ディスプレイ2やスケール40の配色を変更するためのスイッチを別途設けて、検者がディスプレイ2のカラーバランスを任意に変更する構成としてもよい。
【0069】
例えば、PD基準指標移動スイッチ53は、左右レンズLEに付与された印点PLc及びPRc間の距離を測定する際に使用する。例えば、PD基準指標移動スイッチ53が選択されると、PD基準線54がスケール40上を移動する。例えば、PD基準線54は、左レンズLEに付与された印点PLcに位置を合わせるためのPD基準線54Lと、右レンズLEに付与された印点PRcに位置を合わせるためのPD基準線54Rと、を備える。例えば、制御部30は、PD基準線54L及び54R間の距離を算出して、ディスプレイ2の画面上に表示させる。なお、PD基準線54の詳細については後述する。
【0070】
以上のような構成を備えるレンズメータにおいて、動作について説明する。例えば、本実施例においては、左右のレンズLEの光学特性を測定した後に、スケール40を利用してPDを測定する動作について説明する。もちろん、PD測定のみを実施するようにしてもよい。
【0071】
例えば、検者は、ノーズピース4に眼鏡を設置し、左右のレンズLEの光学特性を測定する。例えば、初めに、眼鏡における左側レンズの測定を行う。もちろん、右側レンズから測定するようにしてもよい。左右のレンズLEの測定を同時に実施できるレンズメータの場合には、左右を同時に測定するようにしてもよい。検者は、左側のレンズがノーズピース4に位置するように配置し、測定を開始する。例えば、検者は、左側レンズLEにおける光学特性の測定が終了した場合、印点機構8を用いて、左側レンズが有する光学中心に印点を付与する。左側レンズに印点を付与した後、右側レンズについても、左側レンズと同様にして、印点機構8を用いて、右側レンズが有する光学中心に印点を付与する。
【0072】
例えば、印点は、レンズLEの光学中心を示す中心印点(PLc及びPRc)と、中心印点に対して右側及び左側の水平方向に位置する印点(PL1とPL2、及びPR1とPR2)から成る(図9参照)。なお、印点の数や位置等については、本実施例とは異なる構成であってもよい。
【0073】
次いで、検者は、ディスプレイ2に表示された図示無きスケール表示モード切り換えスイッチを選択する。検者によって図示無きスケール表示モード切り換えスイッチが選択されると、制御部30は、測定モードを光学特性測定モードからスケール表示モードに切り換える。また、制御部30は、ディスプレイ2に、レンズLEのPDを測定するためのスケール表示画面を表示させる。なお、本実施例では、図示無きスケール表示モード切り換えスイッチの選択によって、スケール表示モード切り換えが行われる構成を例として挙げたがこれに限定されない。例えば、左側レンズと右側レンズの両方について、それぞれの光学特性を取得して印点を付与した後、自動的に光学特性測定モードからスケール表示モードへの切り換えが行われる構成としてもよい。
【0074】
例えば、レンズメータ1がスケール表示モードに切り換わると、ディスプレイ2の画面にはスケール表示画面が表示される。
【0075】
例えば、検者は、左右のレンズLEが取り付けられた眼鏡フレームFを、テンプル調整ユニット10に設置する。例えば、本実施例においては、眼鏡フレームFの左側テンプルFTLを、左側当接部14Lに挟み込むように当接させる。また、例えば、本実施例においては、右側テンプルFTRを、右側当接部14Rに挟み込むように当接させる。これによって、眼鏡フレームFはレンズメータ1に保持され、眼鏡フレームFのレンズLEがディスプレイ2の画面に対して水平に保たれる。
【0076】
例えば、検者は、テンプル調整ユニット10を調整する。例えば、制御部30は、回転ノブ11の回転量から、左側当接部14Lと右側当接部14R間の距離Wを算出する。また、例えば、制御部30は、算出した距離Wをディスプレイ2の画面に表示する。これによって、検者は、ディスプレイ2の画面をみながら、ディスプレイ2に表示された値を調節して、当接部14間の距離Wを変更することができる。例えば、検者は、ディスプレイ2に表示された幅Wを確認しながら、テンプル調整ユニット10の回転ノブ11を操作し、眼鏡装用者の頭幅と眼鏡フレームFの左右テンプル間の幅Wとを合わせる。このようにして、本実施例におけるレンズメータ1は、眼鏡装用者が眼鏡フレームFを装用した状態における眼鏡フレームFの形状を再現することが可能である。
【0077】
次いで、検者は、スケール表示画面を使用して、左右レンズLEに付された印点PLcとPRc間の左右方向における距離を測定することによって、PDを取得する。検者は、ディスプレイ2に表示されたスケール表示画面を用いて、PDを測定する。
【0078】
例えば、図9はディスプレイ2の画面上に表示されたスケール40に、レンズLEの印点を合わせた図である。印点を付与したレンズLEが取り付けられた眼鏡フレームFは、左右テンプルFTがレンズメータ1の奥方向に向き、左右リムFRの下端がディスプレイ2の下方を向く方向で設置されている。
【0079】
例えば、検者は、ディスプレイ2に表示されたスケール40の水平線42の高さが、左右レンズLEの印点PLc及びPRcの高さと一致するように、スケール表示位置変更スイッチ51を適宜選択して調節する。検者によってスケール表示位置変更スイッチ51が選択されると、制御部30は、スケール40の表示位置を上方向あるいは下方向に1ステップ(0.2mm)ずつ移動させる。例えば、検者によって変更スイッチ51aが選択される毎に、制御部30は、縦線41、水平線54、距離数値、ガイドマーク43等を含むスケール40を、一体的にスケール表示画面の上方に0.2mm移動させる。また、例えば、検者によって変更スイッチ51bが選択される毎に、制御部30は、縦線41、水平線54、距離数値、ガイドマーク43等を含むスケール40を、一体的にスケール表示画面の下方に0.2mm移動させる。なお、本実施例においては、スケール40が1ステップ毎に上方向あるいは下方向に移動する構成について説明したがこれに限定されない。例えば、検者がディスプレイ2の画面上を長押しした位置にスケール40が移動する構成でもよい。また、例えば、眼鏡フレームFの位置を検出して、その位置にスケール40が自動で移動する構成でもよい。
【0080】
例えば、PDの測定を行う場合に、検者は、眼鏡フレームFのブリッジFBの中央が、ガイドマーク43の基準線44に位置していることを確認する。より詳細には、第1ガイドマーク45と第2ガイドマーク46の左右対称性を見比べて、それぞれの図形が左右対称となる位置にブリッジFBの中央があることを確認する。例えば、本実施例におけるレンズメータ1の構成では説明していないが、ブリッジFBの中央と、基準線44と、を一致させるための機構がレンズメータ1に備えられていてもよい。この場合、例えば、レンズメータ1に、ディスプレイ2の画面上に表示されるスケール40の位置を左右方向に移動可能な変更スイッチを設けておいてもよい。あるいは、眼鏡フレームFを左右方向に移動可能とする構成を備えていてもよい。
【0081】
次いで、例えば、検者は、PD基準線54を移動させるためのPD基準指標移動スイッチ53を選択して、左レンズLEに用いるPD基準線54Lを、左レンズLEの印点PLcと交わる位置に移動させる。同様に、例えば、PD基準指標移動スイッチ53を選択して、右レンズLEに用いるPD基準線54Rを、右レンズLEの印点PRcと交わる位置に移動させる。
【0082】
例えば、制御部30は、PD基準線54Lと、PD基準線54Rとの間の距離を算出する。制御部30は、算出した距離をディスプレイ2の画面上にPDとして表示させる。これによって、検者は、PDを容易に取得することができる。
【0083】
また、例えば、制御部30は、ディスプレイ2の画面上に片眼PDを表示させる。片眼PDとは、眼鏡フレームFの左右中央(すなわちブリッジFBの左右中央)と、片側のレンズLEの光学中心との距離である。例えば、制御部30は、スケール40がもつ基準線44からPD基準線54Lまでの距離を算出する。制御部30は、算出した距離をディスプレイ2の画面上に左側PDとして表示させる。同様に、例えば、制御部30は、スケール40がもつ基準線44からPD基準線54Rまでの距離を算出する。制御部30は、算出した距離をディスプレイ2の画面上に右側PDとして表示させる。これによって、検者は、左右のレンズLEのそれぞれについて片眼PDを取得することもできる。
【0084】
以上のように、本実施例において、例えば、レンズメータにおいて、左右のテンプルの間の幅を変更させる構成を設けることによって、装用者が眼鏡(眼鏡フレーム)を装用した際に、眼鏡フレームが変形することを考慮して、PDの測定を行うことが可能となる。これによって、装用状態に近い状態でのPDを取得することができ、眼鏡フレームが変形することを考慮したPDを取得することができる。特に、ハイカーブフレーム(そり角が大きい眼鏡フレーム)の場合には、装用者が眼鏡を装用した際における、眼鏡フレームの変形が大きくなる。このため、特に、本開示の技術が有用となる。
【0085】
また、例えば、本実施例において、左右のテンプルの幅を種々の幅に変更することが可能である構成を設けることによって、装用者の個々の顔幅に応じた眼鏡フレームの変形状態を再現することが可能となる。これによって、装用者によって、眼鏡装用時の眼鏡フレームの変形状態が異なる場合であっても、装用者毎の眼鏡フレームの変形状態を容易に再現することが可能となる。
【0086】
また、例えば、本実施例において、左右のテンプルの幅が所定の幅に変更される構成を設けることによって、装用者が眼鏡(眼鏡フレーム)を装用した状態と近い状態の眼鏡フレームの変形状態を容易に再現することが可能となる。
【0087】
また、例えば、本実施例において、頭幅情報に基づいて、自動的に左右のテンプルの幅が変更される構成を設けることによって、容易にスムーズに測定を行うことができる。
【0088】
また、例えば、本実施例において、当接部が耳かけ部分と当接するように配置されることによって、眼鏡フレームをレンズメータに設置した際に、実際に装用者が眼鏡(眼鏡フレーム)を装用した状態と近い状態を再現することができる。測定者は、この状態の下で、左右のテンプルの幅の変更をさせることによって、実際に装用者が眼鏡を装用した状態とより近い状態での眼鏡フレームの変形状態を再現することができる。
【0089】
また、例えば、本実施例において、ディスプレイの少なくとも表示画面の縦方向の長さが、ディスプレイの表示画面の横方向の長さよりも長い形状で構成されていることによって、ディスプレイの横方向の幅を小さくできるため、左右のテンプル間の距離が小さい眼鏡フレームであっても、ディスプレイ部分に接触することなく、眼鏡フレームを保持手段(テンプル調整ユニット)に保持させることができる。すなわち、より詳細には、例えば、ディスプレイの背面側にテンプル調整ユニットが配置されている構成の場合に、眼鏡フレームの左右のテンプル間の幅よりも、ディスプレイ2の幅が大きいと、テンプル調整ユニットに眼鏡を配置できない。特に、左右テンプル間の幅が短い眼鏡フレームにおけるPDを測定する際に、左右のテンプルの幅がディスプレイ2の幅よりも小さくなることが多く、テンプル調整ユニットに眼鏡を配置できなくなる。このため、眼鏡装用状態時におけるPDを測定することができなる。ディスプレイの少なくとも表示画面の縦方向の長さが、ディスプレイの表示画面の横方向の長さよりも長い形状で構成されていることによって、ディスプレイの横方向の幅を小さくできるため、左右のテンプル間の距離が小さい眼鏡フレームであっても、ディスプレイ部分に接触することなく、眼鏡フレームを保持手段(テンプル調整ユニット)に保持させることができる。これによって、PDを測定することが可能となる。
【0090】
なお、例えば、本実施例において、レンズメータ1に、眼鏡フレームFをより安定に設置できるような機構を設けてもよい。図10は、眼鏡フレームFをより安定に設置できる機構を設けた構成の一例を示す図である。例えば、図10(a)は、ディスプレイカバー2aの底部に、眼鏡フレームFにおける左右のリムFRL及びFRRの下端を当接することが可能な台座60を備えた構成である。また、例えば、図10(b)は、ディスプレイカバー2aの底部に、眼鏡フレームFのパッドを載置することが可能な台座61を備えた構成である。このように、例えば、眼鏡フレームFをより安定に設置できるような台座を予め備えたディスプレイカバーを使用してもよい。もちろん、これらの台座は取り外しが可能な構成であってもよい。あるいは、例えば、眼鏡フレームFの左右リムやパッドを当接可能な台座を、必要に応じて使用可能な状態にする構成でもよい。この場合、例えば、図10(c)のように、眼鏡フレームFの左右リムやパッドを当接するための台座がレンズメータ1に取り付けられた構成が挙げられる。例えば、検者は、左右レンズLEに付与された印点間の距離を測定するときにのみ、このような台座を矢印の方向にスライドさせる。眼鏡フレームFを、テンプル調整ユニット10と、上記の台座等との両方によって保持すれば、眼鏡フレームFをレンズメータ1により安定に設置することができる。
【0091】
なお、本実施例においては、眼鏡フレームFの下端がディスプレイ2の下方、眼鏡フレームFの上端がディスプレイ2の上方、眼鏡フレームFの左右のテンプルがディスプレイの背面側に配置されたテンプル調整ユニット10に配置される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。眼鏡フレームFの設置方向は、本実施例とは異なっていてもよい。例えば、眼鏡フレームFの下端がディスプレイ2の上方、眼鏡フレームFの上端がディスプレイ2の下方、眼鏡フレームFの左右のテンプルがディスプレイ2の背面側に配置されたテンプル調整ユニット10に配置される構成であってもよい。また、例えば、眼鏡フレームFの下端がディスプレイ2の下方(又は上方)、眼鏡フレームFの上端がディスプレイ2の上方(又は下方)、眼鏡フレームFの左右のテンプルがディスプレイ2の前面側に配置されたテンプル調整ユニット10に配置される(テンプルが検者側に向くように配置される)構成であってもよい。
【0092】
なお、本実施例において、テンプル調整ユニットを前面側に設ける場合に、ディスプレイ2の表示画面のレイアウトを変更できるとより好ましい。この場合、例えば、レンズメータ1としては、レイアウト変更スイッチを備える構成が挙げられる。レイアウト変更スイッチは、ディスプレイ2の表示画面におけるレイアウトを変更する変更信号を入力するために用いる。例えば、検者がレイアウト変更スイッチを選択すると、レイアウト変更スイッチから変更信号が送信される。例えば、制御部30は、受信した変更信号に基づいて、ディスプレイ2の表示画面におけるレイアウトを変更する。例えば、ディスプレイ2の表示画面におけるレイアウト変更としては、制御部30が、スケール40、PD基準指標移動スイッチ53、PD基準線54L及び54R等の裏表を一体的に反転させる。これによって、眼鏡フレームFの設置方向にかかわらず、検者は、左レンズLE側に左側PD基準線54Lを合わせ、右レンズLE側に右側PD基準線54Rを合わせることができる。
【0093】
より詳細には、例えば、テンプル調整ユニット10に、左右テンプルがレンズメータ1の奥方向に向き、左右リムの下端がディスプレイ2の上方を向く方向で眼鏡フレームFを設置した場合、左レンズLE側に右側PD基準線54Rを、右レンズLE側に左側PD基準線54Lを合わせなければならない。この状態では、左レンズLEの片眼PDと、右レンズLEの片眼PDと、を読み間違える等の誤操作を招く可能性がある。このため、検者は、レイアウト変更スイッチを選択し、ディスプレイ2の画面上に表示されたスケール40等の裏表を反転させる。これによって、左レンズLE側に左側PD基準線54Lが表示され、右レンズLE側に右側PD基準線54Rが表示されるようになる。このように、ディスプレイ2の表示画面において、レイアウトを変更する構成を備えたレンズメータであれば、検者の誤操作を防ぐことが可能である。なお、例えば、ディスプレイ2における表示画面のレイアウト変更は、上記のように、検者がレイアウト変更スイッチ等を操作することによって行われる構成であってもよい。また、例えば、ディスプレイ2における表示画面のレイアウト変更は、レンズメータ1が、眼鏡フレームFの設置方向を検知して自動的に行われる構成であってもよい。
【0094】
なお、本実施例では、左右のレンズLEの光学中心に印点を付与し、スケール40を利用して(基準線に基づいて)PDを測定しているがこれに限定されない。例えば、PDの測定方法としては、検者が、スケール40の縦線41と、縦線41の上方及び下方に表示された距離数値を参照してPDを読み取るようにしてもよい。この場合、例えば、検者は、縦線41の下方に表示された距離数値を用いて、左右レンズLEに付与されたそれぞれの印点位置を読み取る。あるいは、例えば、縦線41の上方に表示された距離数値を用いて、左右のレンズLEに付与されたそれぞれの印点位置を読み取る。このようにして、検者は、左右のレンズLEのPDを取得することができる。
【0095】
また、例えば、PDの測定方法としては、印点を自動的に読み取ることによって、PDを算出する構成としてもよい。この場合、例えば、検者は、印点を付与したレンズLEが取り付けられた眼鏡フレームFを、テンプル調整ユニット10に設置する。次いで、例えば、当接部13間の幅を調整することによって、眼鏡フレームFにおけるテンプル間の距離を、眼鏡装用状態の距離に合わせる。例えば、制御部30は、上記の状態において、左右のレンズLEの画像を解析することによって、左右の印点をそれぞれ検出し、検出した左右の印点間の距離を算出することによって、PDを測定してもよい。なお、例えば、レンズLEの画像を取得する構成としては、測定光学系20によって取得するようにしてもよい。この場合、例えば、テンプル調整ユニット10は、ノーズピース4の下部に配置される構成であってもよい。また、例えば、レンズLEの画像を取得する構成としては、別途、撮影光学系を設けるようにしてもよい。
【0096】
また、例えば、PDの測定方法としては、レンズメータ1の測定光学系20によって、左右のレンズLEの光学中心を検出し、左右の光学中心間の距離を算出することによって、PDを測定するようにしてもよい。この場合、例えば、制御部30は、測定光学系20によって、左右のレンズLEの光学中心を検出する。より詳細に説明すると、例えば、眼鏡フレーム入りレンズLEの光学特性を測定する場合には、眼鏡フレームFの左右リムの下端がレンズテーブル6に当接し、左右テンプルが下方向を向くように、眼鏡フレームFをノーズピース4上に載置する。この場合、例えば、テンプル調整ユニット10は、ノーズピース4の下部に配置される構成であってもよい。このような構成を備えるレンズメータであれば、フレーム形状を眼鏡装用状態に変形させた状態で、レンズLEの光学特性を得ることができ、光学中心の位置を検出することが可能である。なお、例えば、レンズLEが有する光学中心の位置を検出する際には、検者がレンズLEを移動(アライメント)することによって光学中心を検出する構成でもよいし、自動的にレンズLEと測定光学系10の相対位置を調整して光学中心を検出する構成でもよい。例えば、制御部30は、左右レンズLEの光学中心の位置を検出すると、それぞれの光学中心の位置関係に基づいてPDを求める。例えば、左側レンズの光学中心位置と、右側レンズの光学中心位置までの距離を算出する。
【0097】
なお、本実施例においては、テンプル調整手段と、PD測定手段と、を備えるレンズメータを例に挙げて説明したがこれに限定されない。本開示の技術は、テンプル調整手段と、PD測定手段と、を備える装置であれば適用可能である。例えば、ディスプレイを備え、眼鏡フレームのPDを測定する眼鏡測定装置であって、眼鏡フレームを保持する保持手段であって、眼鏡フレームの左右のテンプルの少なくとも一方に当接し、左右のテンプルの少なくとも一方のテンプルの位置を移動させることによって、左右のテンプルの間の幅を変更させる保持手段と、眼鏡フレームのPDを測定するためのスケールをディスプレイの画面に表示させるPD測定手段と、を備える装置であってもよい。なお、例えば、PDを測定するためのスケールとしては、眼鏡フレームに取り付けられた左レンズ及び右レンズのレンズ面上に付された印点の左右方向の位置を検者が目視で読み取るためのスケールであってもよい。また、異なる構成のスケールであってもよい。
【0098】
なお、本開示における技術は、本実施例におけるレンズメータにおいて適用する場合に限定されない。例えば、本実施例におけるレンズメータの測定光学系には、位相差方式によって光学特性を測定するような測定光学系を適用することもできる。また、例えば、本実施例におけるレンズメータの測定光学系には、レンズLEの広い範囲に亘って光学特性を測定するような測定光学系を適用することもできる(例えば、特表2002−534665号公報参照)。
【符号の説明】
【0099】
1 レンズメータ
2 ディスプレイ
10 テンプル調整ユニット
11 回転ノブ
13 移動部
14 当接部
30 制御部
31 メモリ
40 スケール
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