(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から
図6は、この発明の実施の形態1に係るもので、
図1は整流子電動機を備えた電動送風機の断面図、
図2は整流子電動機を備えた電動送風機の断面斜視図、
図3は整流子電動機が備えるブラシ装置の斜視図、
図4は整流子電動機が備えるブラシ装置の正面図、
図5は整流子電動機が備えるブラシ装置の変形例の斜視図、
図6はブラシ装置が備えるバネの一例を示す図、
図7はブラシ装置が備えるバネの別例を示す図、
図8は整流子電動機が備えるブラシ装置の変形例の正面図である。
【0012】
この発明の実施の形態1に係る電動送風機100は、
図1に示すように、ブロワー部200とモータ部300とを備えている。ブロワー部200は、ファン210、ファンカバー220及び案内羽根230等を備えている。これらの構成については後述する。モータ部300は、整流子電動機である。つまり、この発明の実施の形態1に係る電動送風機100は整流子電動機を備えている。
【0013】
モータ部300は、フレーム310とブラケット320とを備えている。フレーム310は、モータ部300の外殻を形成する部材である。フレーム310の一端側には、フレームハウジング311が設けられている。フレームハウジング311は、フレーム310に形成された円筒形状の凹部である。
【0014】
フレーム310の他端側は開放されている。このフレーム310の開放された他端側には、ブラケット320が取り付けられている。ブラケット320は、フレーム310にネジ等により固着されている。ブラケット320は、ブラケットハウジング321を備えている。ブラケットハウジング321は、ブラケット320に形成された円筒形状の凹部である。
【0015】
整流子電動機であるモータ部300は、回転子330、固定子350及び整流子360を備えている。回転子330は、フレーム310の内部空間の中央部に配置される。回転子330は、回転子鉄心331を備えている。回転子鉄心331は、複数の鉄の板材を積層して形成されている。回転子鉄心331には、スロットが形成されている。回転子330は、回転子鉄心331のスロットにコイルを巻回することで構成される。回転子鉄心331の中心には、シャフト332が固着されている。シャフト332は、回転子330の回転軸である。
【0016】
ブラケットハウジング321の内部には、前軸受341が入り込み保持される。フレームハウジング311の内部には、後軸受342が入り込み保持される。すなわち、フレームハウジング311とブラケットハウジング321は、後軸受342と前軸受341をそれぞれ保持する軸受ハウジングとなる部位である。シャフト332の一端は、後軸受342により回転可能に支持されている。シャフト332の他端側は、前軸受341により回転可能に支持されている。また、シャフト332の他端側は、前軸受341を貫通している。
【0017】
固定子350は、フレーム310の内周面に取り付けられている。固定子350は、回転子330を取り囲むように配置される。固定子350は、固定子鉄心351を備えている。固定子鉄心351は、複数の鉄の板材を積層して形成されている。固定子350は、固定子鉄心351にコイルを巻回することで構成される。この際、固定子鉄心351とコイルとの間には、絶縁材料からなる巻枠が挿入される。固定子350は、回転子330に作用する磁力を発生させるためのものである。
【0018】
図1及び
図2に示すように、シャフト332すなわち回転子330の回転軸には、整流子360が固定されている。整流子360は、回転子330と後軸受342との間のシャフト332に固定されている。整流子360は、円柱状を呈し、整流子外周面361を有する。回転子330が回転すると整流子360も一体となって回転する。整流子360は、回転子330のコイルと電気的に接続されている。
【0019】
フレーム310には、一対のブラシ装置400が取り付けられている。一対のブラシ装置400のそれぞれは、シャフト332に向けてフレーム310の内周側に突出するように設けられている。一対のブラシ装置400は、整流子360に対して対称に配置されている。ブラシ装置400の構成については後述する。
【0020】
次に、電動送風機100が備えるブロワー部200の構成について説明する。
図1に示すように、前軸受341を貫通したシャフト332の他端部には、ブロワー部200のファン210が取り付けられている。ブラケット320には、ファン210を囲うようにしてファンカバー220が取り付けられている。ファンカバー220におけるファン210の中心に対向する部分には、吸込口221が形成されている。ファン210の外周に沿うようにして、ブラケット320に、案内羽根230が取り付けられている。案内羽根230は、ファン210の回転によって吸込口221から吸引された空気をモータ部300へと導入するためのものである。案内羽根230は、例えばネジによりブラケット320に固定されている。
【0021】
次に、
図2から
図4を参照しながら、ブラシ装置400の構成について説明する。特に
図3に示すように、ブラシ装置400は、ブラシスリーブ410、ブラシ420、バネ受け部430、バネ440及びピグテール450を備えている。
【0022】
ブラシスリーブ410は、底部がない中空の筒状を呈する。ここでは、ブラシスリーブ410は、例えば4つの壁面部を有する四角筒状である。ブラシスリーブ410の筒状の内側には、ブラシ420が配置される。ここでは、ブラシ420は、例えば四角柱状である。
【0023】
ブラシ420は、ブラシスリーブ410の内側において、予め設定された移動方向に移動可能に配置されている。ここでは、ブラシスリーブ410は細長い中空筒状であり、前記移動方向は、ブラシスリーブ410の長手方向に設定されている。また、ブラシ420は細長い四角柱状であり、ブラシ420の長手方向がブラシスリーブ410の長手方向と一致するように配置される。
【0024】
そして、
図2に示すように、ブラシスリーブ410の長手方向及びブラシ420の長手方向は、整流子360の径方向、換言すれば整流子外周面361の法線方向に沿うように配置される。したがって、ブラシ420は、整流子外周面361の法線方向に沿って移動可能なように、ブラシスリーブ410により保持されている。なお、
図2中に白抜き矢印で示す方向は、電動送風機100の動作時における整流子360の回転方向である。
【0025】
ブラシ420は、導電性を有する材料からなる。具体的に例えば、ブラシ420は、カーボン樹脂からなる。
図3に示すように、ブラシ420の一端部には、接触面421が形成されている。接触面421は、ブラシ420が整流子360と接触する面である。ブラシ420が整流子360と接触する際には、接触面421と整流子外周面361とが接触する。
【0026】
ブラシ420の接触面421側は、ブラシスリーブ410の一端部より外側に突出している。ブラシスリーブ410の他端部には、バネ受け部430が取り付けられている。ブラシスリーブ410の内側であって、ブラシ420とバネ受け部430との間には、バネ440が挿入されている。バネ440は、押しバネである。バネ440は、ブラシ420を整流子360の整流子外周面361に押し付ける。このようにバネ440により付勢されることで、ブラシ420は、整流子360の整流子外周面361に接触して整流子360と通電する。
【0027】
ピグテール450は、ブラシ420と固定子の巻線とを電気的に接続する導線である。ピグテール450は、ブラシスリーブ410の内側における、さらにバネ440の内側を通されて配置される。
【0028】
図4は、ブラシ装置400を、接触面421側から見た図である。
図4の下部に示す黒塗りの矢印は、整流子360が
図2中の白抜き矢印で示す方向に回転した際における、ブラシ420の接触面421に対する整流子外周面361の移動方向(以下、これを「整流子360の回転方向」という)を示している。
【0029】
ブラシ420の外周面には、溝部422が形成されている。溝部422は、ブラシ420の外周面に対し、回転子330の回転軸すなわちシャフト332に平行な方向に陥没している。また、溝部422は、ブラシ420の外周面において、前記移動方向に沿って延びて設けられている。なお、ここでは、前記移動方向はブラシ420の長手方向と一致しているため、溝部422は、ブラシ420の長手方向に沿って配置されている。
【0030】
ブラシスリーブ410の内周面には、突部411が形成されている。突部411は、ブラシスリーブ410の内周面から内方に突出して設けられている。ブラシスリーブ410の内側にブラシ420が配置されると、ブラシスリーブ410の突部411が、ブラシ420の溝部422の内側に配置される。突部411は、ブラシスリーブ410の内周面において、前記移動方向に沿って延びて設けられている。なお、ここでは、前記移動方向はブラシスリーブ410の長手方向と一致しているため、突部411は、ブラシスリーブ410の長手方向に沿って配置されている。
【0031】
ここで、前述したように、この実施の形態1に示す例では、ブラシスリーブ410は、4つの壁面部を有する四角筒状である。これら4つの壁面部のうち、
図4に向かってブラシ420の上側に位置するものを上壁面部、ブラシ420の下側に位置するものを下壁面部、ブラシ420の左側に位置するものを左壁面部、ブラシ420の右側に位置するものを右壁面部とそれぞれ呼ぶことにする。そうすると、突部411は、対向する一対の壁面部である上壁面部と下壁面部とにそれぞれ形成されている。
【0032】
また、前述したように、この実施の形態1に示す例では、ブラシ420は、底面の他に4つの側面を有する四角柱状である。ブラシ420の4つの側面について、ブラシスリーブ410の上壁面部に対向する面を上面部、ブラシスリーブ410の下壁面部に対向する面を下面部、ブラシスリーブ410の左壁面部に対向する面を左面部、ブラシスリーブ410の右壁面部に対向する面を右面部とそれぞれ呼ぶことにする。そうすると、溝部422は、ブラシ420の上面部と下面部とにそれぞれ形成されている。
【0033】
ブラシスリーブ410には、バネ用凹部412が形成されている。ここでは、バネ用凹部412は、突部411が形成されない一対の壁面部の内周面に、それぞれ形成される。すなわち、具体的には、バネ用凹部412は、左壁面部及び右壁面部に形成される。バネ用凹部412は、ブラシスリーブ410の内周側から外周側に向けて陥没している。この実施の形態1においては、バネ用凹部412は、ブラシスリーブ410の内側に配置されるバネ440の外形に沿って湾曲した形状を呈する。これらのバネ用凹部412には、バネ440の一部が配置される。
【0034】
図4に示すように、ブラシ420の断面は、横幅a、縦幅bの略長方形である。横幅aは、ブラシ420の断面の整流子360の回転方向の寸法である。縦幅bは、ブラシ420の断面の整流子360の回転方向と直交する方向の寸法である。換言すれば、縦幅bは、ブラシ420の断面の回転子330の回転軸すなわちシャフト332に沿った方向の寸法である。
【0035】
また、溝部422の幅はfである。図より明らかなように、f<aである。そして、上面部の溝部422の底から下面部の溝部422の底までの寸法はgである。図より明らかなように、g<bである。
【0036】
ブラシスリーブ410の断面は、内法の横幅A、内法の縦幅Bの略長方形である。横幅Aは、ブラシスリーブ410の断面の整流子360の回転方向の寸法である。縦幅Bは、ブラシスリーブ410の断面の整流子360の回転方向と直交する方向の寸法である。換言すれば、縦幅Bは、ブラシスリーブ410の断面の回転子330の回転軸すなわちシャフト332に沿った方向の寸法である。
【0037】
突部411の幅をFとする。図より明らかなように、F<Aである。上壁面部の突部411の先端から下壁面部の突部411の先端までの寸法をGとする。図より明らかなように、G<Bである。
【0038】
また、バネ440の巻径をdとする。前述したように、バネ用凹部412は、バネ440の外形に併せて湾曲している。このバネ用凹部412の湾曲の内径をDとする。
【0039】
次に、これらの寸法の具体例について説明する。ブラシ420の断面積は、モータ部300である整流子電動機の仕様に応じて概ね定まる。すなわち、ブラシ420の断面積は、まず、モータ部300の出力に応じて、ブラシ420の電流密度を抑制できる必要最低限の断面積である必要がある。また、同時に、ブラシ420の断面積は、ブラシ420に要求される寿命に応じて、整流子外周面361と接触面421との摩擦抵抗が最小限となる断面積である必要がある。このような条件を満たすように、ここでは、例えば、ブラシ420の断面の横幅aを5〜7mm程度、縦幅bを8〜10mm程度に設定している。
【0040】
ブラシ420の溝部422の幅fとブラシスリーブ410の突部411の幅Fとの関係は、f>Fであるが、例えばf−F=0.03mm以下となるようにする。また、ブラシ420の溝部422同士の間の距離gとブラシスリーブ410の突部411同士の間の距離Gとの関係は、g<Gであるが、例えばG−g=0.03mm以下となるようにする。
【0041】
一方、ブラシ420の横幅aとブラシスリーブ410の横幅Aとの関係は、a<Aであるが、例えば、A−a=0.2mm以上となるようにする。また、ブラシ420の縦幅bとブラシスリーブ410の縦幅Bとの関係は、b<Bであるが、例えば、B−b=0.2mm以上となるようにする。
【0042】
以上で説明したように、この発明の実施の形態1に係る電動送風機100、整流子電動機及びブラシ装置400においては、ブラシ420の外周面に対しシャフト332に平行な方向に陥没した溝部422を形成し、ブラシスリーブ410側に溝部422内に突出する突部411を形成することで、ブラシスリーブ410に対するブラシ420の整流子360の回転方向への移動を、溝部422と突部411とで規制することができる。
【0043】
電動送風機100の動作中、すなわち、モータ部300の回転中には、整流子360とブラシ420の摩擦等によりブラシ420が加熱され、ブラシ420が熱膨張する。この際、熱膨張率は一定であるため、絶対的な熱膨張量は寸法が大きいほど大きくなる。したがって、ブラシ420の溝部422の幅fとブラシ420の横幅aとの関係は前述したようにf<aであるから、溝部422の幅fの熱膨張量よりもブラシ420の横幅aの熱膨張量の方が大きくなる。
【0044】
ここで、ブラシスリーブ410の左右の壁面部とブラシ420の左右の面部とで、ブラシスリーブ410に対するブラシ420の整流子360の回転方向への移動を規制しようとした場合には、ブラシ420の横幅aに対する熱膨張量が問題となる。これに対し、ブラシスリーブ410に対するブラシ420の整流子360の回転方向への移動を、溝部422と突部411とで規制する場合には、ブラシ420の溝部422の幅fに対する熱膨張量が問題となる。
【0045】
この発明の実施の形態1に係る整流子電動機のブラシ装置400においては、ブラシスリーブ410に対するブラシ420の整流子360の回転方向への移動を、溝部422と突部411とで規制するため、ブラシスリーブ410に対するブラシ420の整流子360の回転方向への規制について、熱膨張が及ぼす影響を小さくすることができる。したがって、ブラシスリーブ410に対するブラシ420の整流子360の回転方向への移動を抑制してブラシ420を安定して整流子360に接触させることができ、ブラシ420と整流子360との接触異常を抑制することが可能である。
【0046】
また、前述したようにブラシ420の横幅aは、電動送風機100及びモータ部の仕様により制約を受ける一方で、ブラシ420の溝部422の幅fは比較的自由に決定することができる。したがって、熱膨張量の影響を十分に小さくできるように幅fを決定することが可能であり、この点でも有利である。さらに、この際、f−F<A−aとすることで、ブラシ420の横幅aの熱膨張を逃がす空間を確保することができ、比較的に大きいブラシ420の横幅aの熱膨張による影響を受けにくくすることが可能である。
【0047】
加えて、ブラシスリーブ410の左右の壁面部とブラシ420の左右の面部との間に隙間を形成することで、この隙間をブロワー部200からの気流が通過してブラシ420及びバネ440が冷却し、ブラシ420の長寿命化とモータ部300の効率の改善を図ることができる。
【0048】
ここで、
図1を再び参照しながら、電動送風機100の動作時における空気の流れについて説明する。電動送風機100の動作時における空気の流れは、
図1中に白抜き矢印で示している。電動送風機100の動作時には、回転子330及びシャフト332が回転し、シャフト332に固定されたファン210が回転する。ファン210が回転すると、吸込口221からファンカバー220内へと空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ファン210の中心部から外周へと吹き出す。ファン210の外周から吹き出した空気は、案内羽根230に導かれて、ブラケット320からフレーム310の内部へと流入する。
【0049】
フレーム310におけるフレームハウジング311の周囲には、排気口312が形成されている。排気口312を設けることで、フレーム310の内部に流入した風が、排気口312からフレーム310の外部に抜けて流れるようになり、フレーム310の内部の風がブラシ装置400の方へとより多く流れるようにすることができる。そして、ブラシ装置400の周囲の風の流量を増すことで、ブラシ装置400の冷却効果をより強く得ることができる。
【0050】
なお、ブラシ装置400の冷却効果をさらに強くするため、
図5に示すように、ブラシスリーブ410の壁面部に、通気孔413を形成するようにしてもよい。通気孔413は、ブラシスリーブ410の内周側と外周側とを貫通している。通気孔413は、バネ用凹部412に形成することが望ましい。前述したように、この実施の形態1においては、バネ用凹部412は、ブラシスリーブ410左右の壁面部に形成されている。ブラシスリーブ410の左右の壁面部とブラシ420との間には比較的に大きな隙間があるため、ブラシスリーブ410の内側により多くの空気を取り込むことができる。また、通気孔413を複数設けることで、より冷却効果を向上することが可能である。
【0051】
前述したf−FとA−aとの関係と同様に、G−g<B−bとすることで、ブラシ420の縦幅bの熱膨張を逃がす空間を確保することができ、比較的に大きいブラシ420の縦幅bの熱膨張による影響を受けにくくすることが可能である。したがって、ブラシスリーブ410に対するブラシ420のシャフト332に平行な方向への規制についても、熱膨張が及ぼす影響を小さくすることができる。
【0052】
また、ブラシスリーブ410の左壁面部及び右壁面部にはバネ用凹部412が形成され、バネ440の一部はバネ用凹部412に配置される。このため、バネ440の巻径dを、ブラシの横幅aよりも大きくすることができる。具体的に例えば、バネ440の巻径dを6〜8mmに設定する。バネ440の巻径dをより大きくすることができるため、バネ440が圧縮された際にバネ440の軸が捩れることを抑制し、バネ440がブラシ420に与える力の方向を安定させることができる。また、バネ440の内側を通されたピグテール450とバネ440とが干渉することを抑制することも可能である。このことにより、ブラシ420と整流子360との接触の安定性をさらに向上することができる。
【0053】
なお、バネ440の形状について、
図6に示すように巻径を一定にしてもよいし、巻径を変化させるようにしてもよい。
図7に示すのは、バネ440の巻径を変化させた場合の一例である。この
図7の例においては、バネ440の中央部の巻径は、バネ440の両端部の巻径より大きくなるようになっている。より詳しくは、バネ440の両端部においては、バネ440の端部から一定の距離の位置より端部にいくに従って次第に巻径が小さくなるようになっている。このようにすることで、バネ440が圧縮した際に、特にバネ440の両端部でバネ440の巻線同士が干渉することを抑制することができ、圧縮時のバネ440の座を安定させて、バネ440がブラシ420に与える力をさらに安定させることができる。
【0054】
図8に示すのは、この発明の実施の形態1に係る整流子電動機が備えるブラシ装置400のブラシスリーブ410の変形例である。これまでに説明したブラシスリーブ410は、
図4に示すようにバネ用凹部412はバネ440の外形に合わせて滑らかに湾曲した断面形状であった。
【0055】
これに対し、
図8の変形例では、バネ用凹部412に平坦な底面部を形成するようにしている。バネ用凹部412は、ブラシスリーブ410の左右の壁面部にそれぞれ形成されている。そして、一方のバネ用凹部412の底面部から他方のバネ用凹部412の底面部までの距離Kは、バネの外径dより大きくなるように形成されている。このようにすることで、バネ440とバネ用凹部412とが接触する面積を小さくすることができる。したがって、ブラシスリーブ410の内側でバネが圧縮伸長する際におけるブラシスリーブ410とバネ440との摩擦抵抗を小さくすることができ、バネ440がブラシ420を押す力の低下を抑制することが可能である。