(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年では、建物の外壁に植物を植える壁面緑化がヒートアイランド現象の緩和及び省エネルギー化に役立つとして、注目されている。壁面緑化には、登攀式、下垂式、補助材式、又は、ユニット式などの様々な工法が提案又は実施されている。
【0003】
登攀式壁面緑化工法は、壁面などに付着自在な付着根を有するつる植物を壁面に自立登攀させることで、建物の壁面を緑化できる。登攀式壁面緑化工法は、低コストで緑化できるメリットを有しているが、付着根を有する付着性植物に限定されるという制約がある。
【0004】
下垂式壁面緑化工法は、屋上又はベランダに設置したプランターから植物を壁面に沿って垂らすことで、建物の壁面を緑化できる。補助材式壁面緑化工法は、ワイヤーなどの補助材を用いて、つる植物を登攀又は下垂させることで、建物の壁面を緑化できる。ユニット式壁面緑化工法は、つる植物を誘引・巻付け自在なユニットを用いて、建物の壁面を緑化できる。
【0005】
壁面緑化は、市街地に建設される建物に要求される傾向がある。そして、市街地に建設される建物は、その外壁面が隣地境界又は道路境界に接近した位置に配置される傾向がある。このため、垂下式又は補助材式により、外壁面を緑化する工法が一般に採用されている。しかし、このような緑化工法では、植物の種類の制約、給水方法の制約、栄養剤供給方法の制約、植物交換の困難性などの管理上の問題がある。
【0006】
一方、外壁面が隣地境界又は道路境界に接近した建物は、壁面緑化用の枠体、床板などを外壁面に突設させた場合、維持・管理用の作業床を確保するには、建物の外壁面を敷地内にセットバック(後退)する必要がある。しかし、壁面緑化のために建物の外壁位置を設計変更することは、現実には許容し難く、植物育成の維持・管理のための作業通路を確保することが困難であった。
【0007】
このため、外壁面が隣地境界又は道路境界に接近した建物の外壁面を緑化すると共に、植物育成の維持・管理のための作業床及び作業用通路を確保できる緑化装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図12は、従来技術による緑化装置の構成を示す左側面図である。
図13は、従来技術による緑化装置の構成を示す正面図である。
図14は、従来技術による緑化装置の構成を示す平面図である。
図15は、従来技術による緑化装置の構成を示す斜視分解組立図である。
【0010】
図16は、従来技術による緑化装置の構成を示す斜視図であり、
図16(A)は、緑化装置に備わるプランターボックスを断面で示した状態図、
図16(B)は、緑化装置の全体構成図である。なお、本願の
図12から
図16は、特許文献1の
図1から
図5に相当している。
【0011】
図12から
図16を参照すると、従来技術による緑化装置9は、プランターボックス91、垂直登攀パネル(以下、パネルという)92、及び作業床93を備えている。プランターボックス91には、つる植物Pを植栽するための軽量土壌Sf及び土壌改良材Spを布袋Cbを介して、収容している(
図15又は
図16(A)参照)。
【0012】
図12から
図16を参照すると、プランターボックス91は、複数の鋼材を互いに溶接した直方体状の立体枠を備えている。プランターボックス91は、上面を除き、この立体枠の開口を排水自在なパンチングメタル91mで覆っている。又、プランターボックス91は、給水管91pを内部に配置している(
図16(A)参照)。
【0013】
図12又は
図14を参照すると、パネル92は、建物の壁面Weと対向配置している。パネル92には、プランターボックス91からつる植物Pを登攀できる(
図16(B)参照)。パネル92は、プランターボックス91の側面に固定した一対の上ブラケット91a・91a及び一対の下ブラケット92a・92aにより下部が支持されている。
【0014】
図13又は
図14及び
図16(B)を参照すると、パネル92は、長方形の枠体92fと複数の線材92wで構成している。複数の線材92wは、枠体92fの内部に縦横に配置されている。
【0015】
図12から
図16を参照すると、作業床93は、プランターボックス91の上部に配置されている。作業床93は、プランターボックス91の上部に固定された一対の横架材91c・91cにより、両端部が支持されている。
【0016】
図12又は
図14を参照すると、作業床93は、プランターボックス91の一部を覆っている。そして、プランターボックス91と作業床93との間の開口部91kからパネル92に向かって、つる植物Pを誘導できる(
図16(B)参照)。
【0017】
図12又は
図14を参照すると、作業床93は、鋼製の方形枠931とエキスパンドメタル932で構成している。エキスパンドメタル932は、その周囲が方形枠931に溶接で接合されている。
【0018】
図12を参照すると、緑化装置9は、H形鋼からなる第1の支持部材94にプランターボックス91が支持されている。又、緑化装置9は、H形鋼からなる第2の支持部材95にパネル92の上部が固定されている。なお、第1の支持部材94及び第2の支持部材95は、壁面Weと略平行に配置されている。これにより、複数の緑化装置9を壁面Weと略平行に連設できる。
【0019】
図12から
図16を参照すると、従来技術による緑化装置9は、パネル92と作業床93との間に開口部91kを形成しているので、植物の管理者は、開口部91kを介して、プランターボックス91の土壌及び植物を点検でき、プランターボックス91の内部を管理できる、としている。プランターボックス91の管理とは、清掃、植物・土壌への肥料・薬剤の供給を含み、植物の交換、植栽又は除去を含んでいる。
【0020】
図12から
図16を参照すると、従来技術による緑化装置9は、植物の管理者が作業床93に搭乗できる。そして、従来技術による緑化装置9は、植物の管理者が作業床93に搭乗した状態で、開口部91kを介して、プランターボックス91を点検又は管理でき、又は、パネル92に登攀したつる植物Pを点検又は管理できる、としている。
【0021】
建物の庭にプランターを設置し、このプランターに植栽したつる植物を登攀させた緑のカーテンを建物の壁面の前面に配置する、いわゆる壁前植栽と呼ばれる壁面緑化が知られている。壁前植栽式の壁面緑化は、プランターの設置が容易であり、直射日光から建物を遮蔽すると共に、自然植物により建物の景観を向上できる。
【0022】
一般に、壁前植栽は、プランターに植栽した植物の生育を楽しむ傾向が強いので、プランターの上部を蓋体で覆う事例が少ない。しかし、プランターの上部を蓋体で覆うことで、プランターに収容した土壌に雑草又は雑菌が混入することを抑制できる。又、プランターの上部を蓋体で覆うことで、直射日光から土壌を遮蔽でき、土壌の温度上昇を抑制できる。
【0023】
文献1による緑化装置は、プランターの上部を作業床で覆っているが、作業床は、網目板などの通気・通水性面材で構成することが好ましいとされ、プランターに収容した土壌を直射日光から遮光することが、困難であり、土壌の温度上昇を抑制することが困難である、という問題がある。
【0024】
プランターに植栽したつる植物を登攀させた緑のカーテンとなる緑化柵を建物の壁面の前面に配置できる緑化装置であって、プランターに収容した土壌を直射日光から遮光することが容易な緑化装置が求められている。そして以上のことが本発明の課題といってよい。
【0025】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、プランターに植栽したつる植物を登攀させた緑化柵を建物の壁面の前面に配置できる緑化装置であって、プランターに収容した土壌を直射日光から遮光することが容易な緑化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明者らは、建物の壁面の前面に配置したプランター収容箱と、プランター収容箱の前面に配置され、建物の壁面と対向配置された緑化柵を支持した架台で緑化装置を構成し、架台には、作業員が搭乗及び通行できると共に、プランターの上部を遮光できるようにプランター収容箱の上部を覆う足場板を設置することで、プランターに収容した土壌を日光から遮光できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな緑化装置を発明するに至った。
【0027】
(1)本発明による緑化装置は、プランターに植栽したつる植物を登攀させた緑化柵を建物の壁面の前面に配置できる緑化装置であって、建物の壁面の前面に配置され、上面を開口した収容室に一つ以上の前記プランターを収容自在なプランター収容箱と、前記プランター収容箱の前面に配置され、前記緑化柵が建物の壁面と対向配置した状態で、前記緑化柵の両端部を支持した架台と、前記架台に架設し、前記プランターに収容した土壌を日光から遮光した状態で、前記プランターの上方を覆う足場板と、を備えている。
【0028】
(2)前記架台は、前記プランター収容箱の長手方向の両側部に配置された一対のスタンドを備え、前記緑化柵は、一列に並列配置し、前記つる植物が登攀自在な複数の登攀棒と、これらの登攀棒の上部及び下部を連結し、両端部を一対の前記スタンドに着脱自在に固定した一対の連結部材と、を有していることが好ましい。
【0029】
(3)前記プランター収容箱は、培養液を前記プランターに散水できる散水管と、前記収容室の底部に貯留した前記培養液を所定の水位に抑制する排水管と、を有していることが好ましい。
【0030】
(4)前記足場板は、建物の壁面と前記緑化柵の間を通行自在な通路幅を確保していることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明による緑化装置は、建物の壁面の前面に配置したプランター収容箱と、プランター収容箱の前面に配置され、建物の壁面と対向配置された緑化柵を支持した架台と、を備え、架台には、プランターの上部を遮光できるようにプランター収容箱の上部を覆う足場板を設置することで、プランターに収容した土壌を日光から遮光でき、プランターに収容した土壌の温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による緑化装置の構成を示す斜視図であり、つる植物を登攀させた緑化柵を建物の壁面の前面に配置した状態図である。
【
図2】前記実施形態による緑化装置の構成を示す斜視図であり、緑化装置を建物の壁面の前面に配置した状態図である。
【
図3】前記実施形態による緑化装置の構成を示す正面図である。
【
図4】前記実施形態による緑化装置の構成を示す平面図である。
【
図5】前記実施形態による緑化装置の構成を示す斜視分解組立図である。
【
図6】前記実施形態による緑化装置の構成を示す図であり、
図6(A)は、緑化装置の左側面図、
図6(B)は、緑化装置の部分断面図である。
【
図7】前記実施形態による緑化装置の構成を示す正面図である。
【
図8】前記実施形態による緑化装置に備わる架台の構成を示す斜視図である。
【
図9】前記実施形態による緑化装置に備わるプランター収容箱の構成を示す斜視図である。
【
図10】前記実施形態による緑化装置に備わるプランター収容箱の構成を示す縦断面である。
【
図11】前記実施形態による緑化装置の構成を示す正面図であり、緑化装置に備わるプランター収容箱を断面図で示している。
【
図12】従来技術による緑化装置の構成を示す左側面図である。
【
図13】従来技術による緑化装置の構成を示す正面図である。
【
図14】従来技術による緑化装置の構成を示す平面図である。
【
図15】従来技術による緑化装置の構成を示す斜視分解組立図である。
【
図16】従来技術による緑化装置の構成を示す斜視図であり、
図16(A)は、緑化装置に備わるプランターボックスを断面で示した状態図、
図16(B)は、緑化装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[緑化装置の構成]
最初に、本発明の一実施形態による緑化装置の構成を説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態による緑化装置の構成を示す斜視図であり、つる植物を登攀させた緑化柵を建物の壁面の前面に配置した状態図である。
図2は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す斜視図であり、緑化装置を建物の壁面の前面に配置した状態図である。
【0035】
図3は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す正面図である。
図4は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す平面図である。
図5は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す斜視分解組立図である。
【0036】
図6は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す図であり、
図6(A)は、緑化装置の左側面図、
図6(B)は、緑化装置の部分断面図である。
図7は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す正面図である。
【0037】
(全体構成)
次に、本発明の一実施形態による緑化装置の全体構成を説明する。
図1から
図4を参照すると、本発明の一実施形態による緑化システム100は、第1の壁面1Weに対向配置した第1の緑化装置10・10群と、第1の壁面1Weに直交した状態で隣接配置された第2の壁面2Weに対向配置した第2の緑化装置20で構成している。
【0038】
図1から
図4に示した緑化装置の施工例では、第1の緑化装置10・10群と第2の緑化装置20を直交した状態で配置している。又、第1の緑化装置10・10群の端部と第2の緑化装置20の端部を近接配置している。
【0039】
図1から
図7を参照すると、第1の緑化装置10は、プランター収容箱2と緑化柵3を備えている。又、第1の緑化装置10は、架台4と足場板5を備えている。第2の緑化装置20は、プランター収容箱6と緑化柵7を備えている。又、第2の緑化装置20は、架台4と足場板5を備えている。
【0040】
図1から
図4を参照すると、第1の緑化装置10と第2の緑化装置20は、同様に構成しているので、第1の緑化装置10を代表して、緑化装置の構成を以下説明する。又、必要に応じて、第2の緑化装置20の構成を説明する。
【0041】
図1から
図7を参照すると、プランター収容箱2は、第1の壁面1Weの前面に配置されている。プランター収容箱2は、上面を開口した収容室21rに三つのプランター1を収容している(
図4又は
図6(B)参照)。
図1から
図4に示した実施形態では、一組のプランター収容箱2・2を長手方向に連設している。
【0042】
図1から
図7を参照すると、プランター収容箱6は、第2の壁面2Weの前面に配置されている。プランター収容箱6は、上面を開口した収容室61rに二つのプランター1を収容している(
図4又は
図7参照)。
図1から
図4に示した実施形態では、第2の壁面2Weの前面に、プランター収容箱6を単体で設置している。
【0043】
図4から
図7を参照すると、緑化柵3には、プランター1に植栽したつる植物Pを登攀できる(
図1参照)。
図1から
図7を参照すると、一方の架台4は、プランター収容箱2の前面に配置されている。そして、一方の架台4は、緑化柵3が建物の第1の壁面1Weと対向配置した状態で、緑化柵3の両端部を支持している(
図6又は
図7参照)。プランター1は、市販品を使用することもできる。
【0044】
図1から
図7を参照すると、他方の架台4は、プランター収容箱6の前面に配置されている。そして、他方の架台4は、緑化柵7が建物の第2の壁面W2eと対向配置した状態で、緑化柵7の両端部を支持している(
図4参照)。
【0045】
図1から
図7を参照すると、足場板5は、一方の架台4に架設している。又、足場板5は、他方の架台4にも架設している。これらの足場板5は、プランター1に収容した土壌を日光から遮光した状態で、プランター1の上方を覆っている。
【0046】
図1から
図7を参照すると、実施形態による第1の緑化装置10は、建物の第1の壁面1Weの前面に配置したプランター収容箱2と、プランター収容箱2の前面に配置され、建物の第1の壁面1Weと対向配置された緑化柵3を支持した架台4と、を備え、架台4には、プランター1の上部を遮光できるようにプランター収容箱2の上部を覆う足場板5を設置することで、プランター1に収容した土壌を日光から遮光でき、プランター1に収容した土壌の温度上昇を抑制できる。
【0047】
図1から
図7を参照すると、実施形態による第2の緑化装置20は、建物の第2の壁面2Weの前面に配置したプランター収容箱6と、プランター収容箱6の前面に配置され、建物の第2の壁面2Weと対向配置された緑化柵7を支持した架台4と、を備え、架台4には、プランター1の上部を遮光できるようにプランター収容箱6の上部を覆う足場板5を設置することで、プランター1に収容した土壌を日光から遮光でき、プランター1に収容した土壌の温度上昇を抑制できる。
【0048】
引き続き、本発明の一実施形態による緑化装置の構成を説明する。
図8は、前記実施形態による緑化装置に備わる架台の構成を示す斜視図である。
図9は、前記実施形態による緑化装置に備わるプランター収容箱の構成を示す斜視図である。
【0049】
図10は、前記実施形態による緑化装置に備わるプランター収容箱の構成を示す縦断面である。
図11は、前記実施形態による緑化装置の構成を示す正面図であり、緑化装置に備わるプランター収容箱を断面図で示している。
【0050】
(プランター収容箱の構成)
次に、実施形態によるプランター収容箱2の構成を説明する。
図9から
図11を参照して、プランター収容箱2は、合成樹脂からなることが好ましく、合成樹脂を成形して、内部に一つ以上のプランター1を収容自在な直方体状のプランター収容箱2を得ることができる。
【0051】
図9又は
図10を参照すると、プランター収容箱2は、上面から窪んだ段部21dを有している。一方、プランター1は、外側に張り出した鍔部1fを上部に形成している(
図10参照)。一対の鍔部1f・1fを段部21dに設置することで、プランター1の底面が収容室21rの底面から所定の距離を設けて、プランター1をプランター収容箱2に配置できる。
【0052】
図9を参照すると、プランター収容箱2は、段部21dに連通した複数の逃げ部21eを有している。対向する一対の逃げ部21e・21eに指を挿入でき、一対の鍔部1f・1fを把持することで、プランター収容箱2からプランター1を取り出すことができる。
【0053】
図9又は
図11を参照すると、プランター収容箱2は、二つの仕切り板22を備えている。仕切り板22は、一対のアリガタのレール22r・22rを両側部に形成している(
図9参照)。一方、プランター収容箱2は、一対のレール22r・22rを案内する一対のアリ溝22s・22sを内壁に形成している(
図9参照)。
【0054】
図9又は
図11を参照して、二つの仕切り板22をプランター収容箱2の内部に設置することで、プランター1の鍔部1fを仕切り板22の上面に載置できる。プランター収容箱2に対して、プランター1の長手方向の移動を規制できる(
図11参照)。
【0055】
図5又は
図9から
図11を参照すると、プランター収容箱2は、散水管21pと排水管22pを有している。散水管21pには、培養液が供給され、この培養液をプランター1に散水できる(
図9参照)。排水管22pは、収容室21rの底部に貯留した培養液を所定の水位に抑制できる(
図11参照)。
【0056】
図11を参照すると、一方のプランター収容箱2と他方のプランター収容箱2は、それらの底部が連結菅23pで接続されている。これにより、一方のプランター収容箱2に滞留した培養液の水位と他方のプランター収容箱2に滞留した培養液の水位を平準化できる。又、他方のプランター収容箱2とプランター収容箱6は、それらの底部が連結菅24pで接続されている。これにより、他方のプランター収容箱2に滞留した培養液の水位とプランター収容箱6に滞留した培養液の水位を平準化できる。
【0057】
(緑化柵の構成)
次に、実施形態による緑化柵3及び緑化柵7の構成を説明する。
図5から
図7を参照すると、緑化柵3は、複数の登攀棒3aと一対の連結部材3b・3bで構成している。複数の登攀棒3aは、一列に並列配置している。実施の形態では、一部の登攀棒3aは、後述するスタンド4sの外方を囲っている。登攀棒3aは、丸棒からなることが好ましく、プランター1に植栽したつる植物Pを登攀させることができる(
図1参照)。
【0058】
図5から
図7を参照すると、連結部材3bは、L字状のチャンネル部材からなることが好ましく、その一片を溶接などの接合手段で、複数の登攀棒3aに連結している。一方の連結部材3bは、複数の登攀棒3aの上部を連結している。他方の連結部材3bは、複数の登攀棒3aの下部を連結している。又、連結部材3bは、その他片の両端部を一対のスタンド41・41(後述する)に着脱自在に固定している。
【0059】
図2から
図4を参照すると、緑化柵7は、複数の登攀棒7aと一対の連結部材7b・7bで構成している。複数の登攀棒7aは、一列に並列配置している。実施の形態では、一部の登攀棒7aは、後述するスタンド4sの外方を囲っている。登攀棒7aは、丸棒からなることが好ましく、プランター1に植栽したつる植物Pを登攀させることができる(
図1参照)。
【0060】
図2から
図4を参照すると、連結部材7bは、L字状のチャンネル部材からなることが好ましく、その一片を溶接などの接合手段で、複数の登攀棒7aに連結している。一方の連結部材7bは、複数の登攀棒7aの上部を連結している。他方の連結部材7bは、複数の登攀棒7aの下部を連結している。又、連結部材7bは、その他片の両端部を一対のスタンド41・41(後述する)に着脱自在に固定している。なお、登攀棒3aと登攀棒7aは、同じものであるが説明の便宜上、符号を変えて区別した。
【0061】
(架台の構成)
次に、実施形態による架台4の構成を説明する。
図1から
図8を参照すると、第1の緑化装置10・10群は、三つのスタンド41で架台4を構成している。第2の緑化装置20は、一対のスタンド41・41で架台4を構成している。
【0062】
図5から
図8を参照すると、スタンド41は、C形チャンネル部材からなり、アングル部材41aを上部に固定している。又、スタンド41は、アングル部材41aを下部に固定している。一対のアングル部材41a・41aには、連結部材3bの両端部を着脱自在に固定できる。又、一対のアングル部材41a・41aには、連結部材7bの両端部を着脱自在に固定できる。
【0063】
図5から
図8を参照すると、スタンド41は、支持脚42を底部に備えている。スタンド41は、その末端部を支持脚42に溶接などで接合している。又、スタンド41の下部と支持脚42は、斜材42aで補強されている。斜材42aの両端部は、スタンド41の下部又は支持脚42に溶接などで接合しておくことが好ましい。
【0064】
図5から
図8を参照すると、支持脚42には、コンクリート製の平板43を取り付けている。これにより、架台4の転倒を抑制できる。又、スタンド41は、腕金41bを更に備えている。腕金41bは、その一端部をスタンド41の上部に固定している。又、腕金41bは、その他端部を第1の壁面1We又は第2の壁面2Weに固定している。これにより、架台4の転倒を抑制できる。
【0065】
図5から
図8を参照すると、スタンド41は、直角三角形状のブラケット枠44を下部に固定している。一対のブラケット枠44・44には、足場板5の両端部を架設できる。スタンド41は、足場板5を片持ち状に支持できる。図示した架台4は、狭小地で使用される一側足場ということもできる。
【0066】
(足場板の構成)
次に、実施形態による足場板5の構成を説明する。
図5から
図8を参照すると、足場板5は、足場板本体51とL形チャンネル状の一対の規制部材52・52を備えている。足場板本体51は、建物の第1の壁面1Weと緑化柵3の間を通行自在な通路幅を確保している。又、足場板本体51は、建物の第2の壁面2Weと緑化柵7の間を通行自在な通路幅を確保している。
【0067】
図6(B)を参照して、作業員Mは、足場板本体51に搭乗して、建物の第1の壁面1Weと対面できる。又、作業員Mは、足場板本体51に搭乗して、緑化柵3と対面できる。そして、作業員Mは、緑化柵3に登攀したつる植物Pを点検又は管理できる。又、作業員Mは、足場板本体51に搭乗して、緑化柵7に登攀したつる植物Pを点検又は管理できる(
図7参照)。
【0068】
図5から
図8を参照すると、足場板本体51は、プランター1に収容した土壌を日光から遮光するために、水抜き穴程度の開口を有した物を使用することが好ましい。足場板本体51は、市販品を使用できる。
【0069】
図5から
図8を参照すると、一対の規制部材52・52は、所定の距離を設けて対向配置されている。一対の規制部材52・52は、それらの両端部がブラケット枠44に固定さえている。一対の規制部材52・52の間に、足場板本体51を導入でき、一対の規制部材52・52は、足場板本体51の幅方向の移動を規制している。
【0070】
[緑化装置の作用]
次に、実施形態による第1の緑化装置10及び第2の緑化装置20の作用及び効果を説明する。
図1から
図7を参照すると、実施形態による第1の緑化装置10は、建物の第1の壁面1Weの前面に配置したプランター収容箱2と、プランター収容箱2の前面に配置され、建物の第1の壁面1Weと対向配置された緑化柵3を支持した架台4と、を備え、架台4には、プランター1の上部を遮光できるようにプランター収容箱2の上部を覆う足場板5を設置することで、プランター1に収容した土壌を日光から遮光でき、プランター1に収容した土壌の温度上昇を抑制できる。
【0071】
図1から
図7を参照すると、実施形態による第2の緑化装置20は、建物の第2の壁面2Weの前面に配置したプランター収容箱6と、プランター収容箱6の前面に配置され、建物の第2の壁面2Weと対向配置された緑化柵7を支持した架台4と、を備え、架台4には、プランター1の上部を遮光できるようにプランター収容箱6の上部を覆う足場板5を設置することで、プランター1に収容した土壌を日光から遮光でき、プランター1に収容した土壌の温度上昇を抑制できる。
【0072】
図1を参照すると、第1の緑化装置10は、つる植物Pを登攀させた緑化柵3を建物の第1の壁面1Weの前面に配置することで、建物の景観を向上できる。又、第2の緑化装置20は、つる植物Pを登攀させた緑化柵7を建物の第2の壁面2Weの前面に配置することで、建物の景観を向上できる。
【0073】
図5から
図11を参照すると、プランター収容箱2は、培養液をプランター1に散水できる散水管21pを備えているので、施肥作業が容易である。又、プランター収容箱2は、収容室21の底部に貯留した培養液を所定の水位に抑制する排水管22pを備えているので、排水が容易である。
【0074】
図6(B)を参照すると、作業員Mは、足場板本体51に搭乗して、緑化柵3に登攀したつる植物Pを点検又は管理できる。又、作業員Mは、足場板本体51に搭乗して、緑化柵7に登攀したつる植物Pを点検又は管理できる(
図7参照)。
【0075】
本発明による緑化装置は、次のような効果が期待できる。
(1)プランターに収容した土壌を日光から遮光でき、プランターに収容した土壌の温度上昇を抑制できる。
(2)つる植物を登攀させた緑化柵を建物の壁面の前面に配置することで、建物の景観を向上できる。
(3)施肥作業及び排水が容易である。
(4)足場板に搭乗して、緑化柵に登攀したつる植物を点検又は管理できる。
【0076】
本発明は、建物の前庭に設置することが好適な緑化装置を開示したが、本発明による緑化装置は、ベランダなどに設置することもできる。