特許第6805650号(P6805650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805650
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】識別用タグ
(51)【国際特許分類】
   A01K 35/00 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   A01K35/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-170829(P2016-170829)
(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-33398(P2018-33398A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0000119(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00046384(EP,A1)
【文献】 米国特許第05891156(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第105432502(CN,A)
【文献】 実開昭60−112281(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0247433(US,A1)
【文献】 国際公開第95/004455(WO,A1)
【文献】 特開2004−242515(JP,A)
【文献】 特開昭64−051031(JP,A)
【文献】 実開昭49−147474(JP,U)
【文献】 特開2010−193893(JP,A)
【文献】 登録実用新案第050937(JP,Z2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K11/00−29/00
A01K33/00−37/00
A01K41/00−59/06
A01K67/00
A01K67/033−67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、平板と受け板とからなり、平板と受け板はヒンジで一体となって繋がり、
平板は、裏面に針状部を有し、受け板は、針状部先端が挿入可能な受け部を有し、
受け部は、針状部が挿入されると、嵌合して抜けない抜け止め構造を有すると共に、平板おもて面に識別情報を表示可能としており、
受け部は底面を有し、底面には挿入された針状部先端を保護する針先受け孔を有していることを特徴とする識別用タグ。
【請求項2】
針状部は、横断面をT字形状としたことを特徴とする請求項1に記載の識別用タグ。
【請求項3】
平板のおもて面と裏面の少なくともいずれかの周縁に、縦リブを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の識別用タグ。
【請求項4】
ヒナの羽翼に取り付ける識別用タグであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の識別用タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の両親から誕生、成育、食肉処理までの生産段階から最終消費まで追跡が可能な流通の基本であるトレーサビリティを構築するに当たって、個々の生体に対し、個体識別番号等を付けて、追跡可能な機構を構築する為の識別用部材で、特に鳥類の個体識別用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家畜の両親から誕生、成育、食肉処理までの生産段階から最終消費まで追跡が可能なように、個々の個体に付与する識別番号等が用いられている。これは、問題があった場合に、いち早く該当する食肉を使用した商品を特定し、市場から排除するなどの処置を可能にするなど、近年重要な管理手法として、世界的に導入されて来ている。
しかし、末端に行くほど細分化されて流通する食料品の場合は、パック詰め状態にまで追跡すると、人的にも設備的にも膨大なコストを発生させる事から、なかなか進まない問題があった。
しかし、他方、消費者の食物に対する関心が高まり、消費者が産地や生産者等によるブランドによって購入するかどうかを選ぶスタイルも生まれて来た。特に海外からの輸入食料では、牛の狂牛病を発生させたBSEを始め、遺伝子操作によって生産される穀物、ポストハーベスト農薬等による、食の安全性という問題もあり、食品の流通にまで消費者が関心を寄せる傾向は高まっており、各種食品のトレーサビリティの重要度は、多方面で認識され始めている。
【0003】
ところで、個体識別番号は、上記のように多種類並びに多数の家畜に対して付ける必要があるので、より複雑に番号の桁数も大きくなり、今後、ますますその複雑さは上昇していくとみられる。特に個体が生きた家畜であることから、個体識別番号を確認することは、容易ではなく、多くの労力が掛かる問題があった。
【0004】
上記問題に対して、特許文献1では、アンテナとデータキャリアを備えたタグを用いている。これは、光学的に読み取るのでは無く、印刷技術と集積回路技術を使用して、少し離れた位置からでも、個体識別番号を読み取り、かつ、加筆可能な管理機構を構築可能なタグを用いた、牛や豚などの家畜管理用耳標を提案している。
【0005】
この家畜管理用耳標のように、先端が尖った針を刺す耳標は、牛や豚のような大きな家畜では、耳に刺しても大きな問題にはならないが、鶏の様に、小さな家畜では、刺し難く、かつ、抜け易い(と共に、個体を捕まえるのに労力が掛かる)などの問題があった。
【0006】
また、特許文献2では、識別表示部の両端に、鳥の脚に挿入孔を有する一対の平板上の取付部を連設した識別表示具を提案している。
【0007】
この識別表示具は、両端の取付部が折り曲げられ、コの字状に取り付けられることから、識別表示部が平坦にならず、読み取りにくい。かつ、脚につけていることから、汚れて、誤って読み取ることが多いと共に、個体を捕まえて、表示部を読み取り側に向けて固定しなければならず、手間が掛かり、短時間で識別し難いなどの問題があった。
【0008】
特に鶏などの鳥類の場合、これまでは数桁の英数字からなる識別表示をした足環を用いるのが一般的であった。しかし、近年の情報量の増加に伴い、少なくともQRコード(登録商標)程度の情報量を付与する必要があるのに対し、平面部が少ないことから、大きな足環が必要になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−327370号公報
【特許文献2】特開2007−181446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、鶏のヒナなどのような小動物にも使用可能で、個体識別表示部を確実に平面にすると共に、表示部と突き刺し部が一体で取り付け易く、軽く、安価で、被識別表示動物にとって、負担が少なく、かつ、汚れ難く、光学的に認識し易い位置に取り付けることができる識別用タグを提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、係る課題に鑑みなされたものであり、少なくとも、平板と受け板とからなり、平板と受け板はヒンジで一体となって繋がり、
平板は、裏面に針状部を有し、受け板は、針状部先端が挿入可能な受け部を有し、
受け部は、針状部が挿入されると、嵌合して抜けない抜け止め構造を有すると共に、平板おもて面に識別情報を表示可能としており、
受け部は底面を有し、底面には挿入された針状部先端を保護する針先受け孔を有していることを特徴とする識別用タグである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の識別用タグは、個体識別表示部が平板で、曲がらず、バーコードやQRコード(登録商標)などを識別情報として表示した場合、識別情報を機械で読み取り易い。また、受け板と平板がヒンジで一体なので、バラバラにならず、作業性が高い。特に、この識別用タグは、単に鳥の羽根を受け板と平板の間に挟んで、針状部を受け孔に挿嵌するだけで、確実に取り付けられ、作業性が高い。
また、抜け止め構造を有しているので、針状部先端が受け板から外れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の識別用タグの一例で、成形直後で、ヒンジを折り曲げていない状態を示す平面図と正面図、右側面図と左側面図、および、その底面図である。
図2】本発明の識別用タグの一例で、成形直後で、ヒンジを折り曲げていない状態を示す断面図である。
図3】本発明の識別用タグの一例で、針状部先端を受け部に挿嵌した状態を示す平面図と正面図、右側面図と左側面図、および、その底面図である。
図4】本発明の識別用タグの一例で、針状部先端を受け部に挿嵌した状態を示す嵌合部の拡大断面図である。
図5】本発明の識別用タグで、おもて面側の平板周縁に縦リブを設けた例を示す底面図と断面図、および、合わせ面側に縦リブを設けた例の断面図である。
図6】本発明の識別用タグで、幅を狭くして、受け板にリブを設けた実施形態例を示す平面図と正面図、右側面図と左側面図、および、その底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、図を用いて説明する。
図1図2は、本発明の識別用タグの一例で、成形直後で、ヒンジを折り曲げていない未使用状態を示す5面図と、その断面図である。
本発明の識別用タグは、平板1と受け板2とからなる。そして、平板1と受け板2はヒンジ3で一体となって繋がっていて、平板1は、裏面に針状部11を有し、受け板2は、針状部先端が挿入可能な受け部21を有している。
受け部21の上端周縁には内方側に突出するアンダーカット211が設けられていて、針状部11が挿入されると、嵌合して抜けない抜け止め構造になっている。
平板1のおもて面10は、平面になっており、識別情報を記録したことを特徴とする識別用タグを印刷したラベルを貼り付けることができる識別面が形成されている。もちろん、直接このおもて面10に印刷してもかまわない。
【0015】
このおもて面10をより確実に平面に形成するために、断面図の図5−1、底面図の図5−2で示すように、平板1のおもて面10側周縁に縦リブ12を設けても良い。この縦リブ12は、図5−3のように裏面側に設けてもかまわない。縦リブ12を裏面側に設ける場合には、肉盗みするような状態で周縁に縦リブ12が形成されるようにする。
【0016】
平板1の針状部11は、図1−1で示すように、針状リブ111があって、断面がT字状にしている。これは、針状部11を羽根に突き刺す時に、曲がり難く、かつ、抵抗が少なく、スムースに突き刺しやすくしている。
針状部11を突き刺しやすくすることは、対象の鳥に対し、損傷が少なく、成長するのに問題を発生させない為に重要な要件である。
針状部11の先端には、鋭い針状部先端110があり、先端は略三角形状に鋭く尖っており、かつ、図1−4や図1−5で示すように、根元は、急に細くなっている。その為、一旦受け部21に刺された針状部先端110は、アンダーカットを越えて受け部21に挿入するが、根元が細くなるように形成されているので、受け部21のアンダーカット211に係合し、受け部21から抜けにくくなっている。
【0017】
受け板2は、図1−2、図2で示すように、ヒンジ側に設けた大きなカーブ面と、カーブ面のヒンジ反対側端部に平面を有する形状を持っている。このカーブ面は、傾斜面であってもかまわないし、垂直に立った面であってもかまわない。これらカーブ面や傾斜面、あるいは垂直面は、ヒンジを中心に平板1を回動させた時、平板1と受け部21を設けた平面部分とが、一定の隙間を設けられるようにしている。
図2で示すように、ヒンジ反対側の平面終縁には、受け部21が設けられている。受け部21は、周縁入り口にアンダーカット211が設けられている。図1−4では、アンダーカット211は傾斜面を作っている。左右のアンダーカット211の間隔は、針状部先端110の根元側の幅よりも狭く作られている。また、受け部21の深さを針状部先端110の高さより深くして、針状部11の針状部先端110が、受け部21の中に入り切って、抜けないように設定している。
受け部の下端には底面213が設けられており、針状部先端110が受け部21を貫通して、裏面側に飛び出さないようにし、個体が傷つかないように保護している。
また、底面213には、針先受け孔212が設けられ、針状部先端110の位置を固定している。
【0018】
図3図4は、本発明の識別用タグの一例で、ヒンジ3を軸に回動し、針状部先端110を受け部21に挿嵌した状態を示す5面図と、その針状部先端110が受け部に挿嵌した部分の拡大断面図である。
図3−1、図3−2で示すように、識別用タグは、コンパクトに畳まれ、外表面には、平板1のおもて面10だけが大きく現れ、識別し易い平面となって表側に固定できる。
このおもて面10は、印刷しておくこともできるが、QRコード(登録商標)などの2次元コードなどを印刷したステッカーなどを貼って、使用することもできる。
この為、高精度の印刷コードにも対応できると共に、生産性を向上できる。
【0019】
ヒンジ3を軸に180度回動した状態では、図3−4、図3−5で示すように、受け板2側の平面部と平板1とが一定の隙間を持って嵌合されると共に、環状の空間が確保できる。この隙間は、鳥の羽根を挟みこんで押さえる間隔になる。
【0020】
図4が、針状部先端110が受け部に挿嵌した拡大断面図である。針状部先端110の根元が細くなっているが、針状部先端110の左端と右端が、左右のアンダーカット211によって、抜け出ないように形成されている。また、底面213によって、裏面側に飛び出さないように制御され、かつ、針状部先端110の針先が針先受け孔212によりずれにくく制御されて、確実に針状部先端110が受け部21に挿嵌している。
【0021】
図6は、受け板やおもて板の幅を狭くし、受け板にリブを設けた実施形態例を示す平面図と正面図、右側面図と左側面図、および、その底面図である。
生まれたてなどの小さなヒナの場合、羽翼(翼膜)も小さいので、大きな識別用タグを取り付けると、挟んだタグの隙間を羽翼が通り抜けて移動してしまいやすい。タグが羽翼を通過してしまうことで、識別情報を読み取る際、タグが羽毛等に隠れてしまって正常に識別番号を読み取れないだけではなく、ヒナの成長に伴い羽翼が大きくなることを阻害し、最悪の場合、壊死する恐れもあった。
そこで、生まれたてなどの小さなヒナに適用する為の識別タグとして、おもて板1や受け板2の幅を10mm以下、好ましくは5〜8mmの幅にした。
さらに、受け板2のヒンジ寄りのカーブ面に回動防止用リブ4を設けた。回動防止用リブ4の高さは、ヒンジ3を軸に回動し、針状部先端110を受け部21に挿嵌した時に、回動防止用リブ4先端がおもて板1に当接可能な高さに設定した。また、回動防止用リブ4の幅はおもて板1の幅よりも狭くし、リブ根元の厚みも受け板2の厚みを越えない厚みとした。
回動防止用リブ4を設けたが、幅が狭いので、識別用タグの重量は軽く、かつ、小さいので、識別用タグを引きずって歩くこともなく、ヒナへの負担は小さい。
生まれたてのヒナの場合、識別表示のQRコード(登録商標)などを印刷したポリエチレンテレフタレートシートに孔を開け、本発明の識別用タグの針状部11に差し込んだ状態で使用しても良い。
【0022】
本発明の識別用タグを羽翼(翼膜)に取り付けるには、上下を挟む指2本でも、充分に貫通させて固定できる。必要以上に大きな力で針状部を押し込んでも、針状部先端が受け板2から飛び出すこともなく、空間を確保でき、針状部先端が指に刺さって、怪我をすることもなかった。
また、羽翼(翼膜)に取り付けると、汚れにくいので、誤認することも無い。かつ、鳥を一羽毎に捕まえなくても、単に並べて、同じ方向に向けさせれば、効率よくコードを読むことができるので、効率が良く、短時間で確認ができる。
【0023】
本発明の識別用タグは、単に一つの射出成型金型を使用して、効率的に生産できる。
射出成形する基材としては、ポリプロピレンやエチレン・プロピレン共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂や、ポリメチルメタアクリレートなどが使用できる。
【0024】
本発明の識別用タグは以上のようなもので、個体識別表示部が平板で、曲がらず、バーコードやQRコード(登録商標)などを識別情報として記録した場合、識別情報を機械で読み取り易い。また、受け板と平板がヒンジで一体なので、生産性が高い。
特に、この識別用タグは、ヒンジで一体になっていて、受け板と平板がバラバラにならず、単に汚れにくい鳥の羽翼(翼膜)を受け板と平板の間に指で挟んで、針状部を受け孔に押し込んで挿嵌するだけで、確実に取り付けられ、作業性が高い。
また、抜け止め構造を有しているので、針状部先端が受け板から外れにくく、かつ、作業者が傷つきにくい。
さらに、羽翼(翼膜)に取り付けると、QRコード(登録商標)など安価で多量の情報を、手間無く短時間で読み取ることができるなど本発明の識別用タグは、大きなメリットがある。
【符号の説明】
【0025】
1・・・・・・・平板
10・・・・・・おもて面
11・・・・・・針状部
110・・・・・針状部先端
111・・・・・針状リブ
12・・・・・・縦リブ
2・・・・・・・受け板
21・・・・・・受け部
211・・・・・アンダーカット
212・・・・・針先受け孔
213・・・・・底面
3・・・・・・・ヒンジ
4・・・・・・・回動防止用リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6