特許第6805688号(P6805688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805688
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20201214BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01S5/40
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-191689(P2016-191689)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-56371(P2018-56371A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年3月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 陽平
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−026804(JP,A)
【文献】 特開2016−015415(JP,A)
【文献】 特開昭52−101996(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0333472(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103713390(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 − 5/50
G02B 6/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に搭載され、第1波長領域の波長を有する第1レーザ光を出力する第1レーザダイオードと、
前記基板上に搭載され、第2波長領域の波長を有する第2レーザ光を出力する第2レーザダイオードと、
前記第1レーザダイオードから出力された光をコリメートする第1コリメータレンズと、
前記第2レーザダイオードから出力された光をコリメートする第2コリメータレンズと、
前記第1コリメータレンズ及び前記第2コリメータレンズでコリメータされた第1レーザ光及び前記第2レーザ光の合波光である第1合波光及び第2合波光を出力する合波フィルタと、
前記基板に搭載され、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードの温度を検出するための温度センサと、
を備え、
前記第1レーザダイオードと前記第2レーザダイオードは、前記第1レーザダイオードの光軸と前記第2レーザダイオードの光軸とが交差するとともに前記合波フィルタへの前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の入射角が同じであるように、前記基板の異なる角部に配置されており、
前記合波フィルタは、前記第1レーザダイオードの光軸と前記第2レーザダイオードの光軸との交点上に配置され、
前記合波フィルタは、前記第1合波光及び前記第2合波光を異なる方向に出力する、
光源モジュール。
【請求項2】
前記合波フィルタは、前記第1レーザ光の一部を透過すると共に残部を反射し、
前記合波フィルタは、前記第2レーザ光の一部を、前記合波フィルタを透過した前記第1レーザ光と同じ方向に反射すると共に、前記第2レーザ光の残部を、前記合波フィルタにより反射された前記第1レーザ光と同じ方向に透過する、
請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記合波フィルタは、ハーフミラーである、
請求項1又は請求項2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記基板上であって前記第1合波光の光路上に搭載される第1ミラーと、
前記基板上であって前記第2合波光の光路上に搭載される第2ミラーと、
を更に備え、
前記第1ミラーは、前記第1合波光の少なくとも一部を、前記基板の厚さ方向に反射し、
前記第2ミラーは、前記第2合波光の少なくとも一部を、前記基板の厚さ方向に反射する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記第1合波光を検出する第1光検出器と、
前記第2合波光を検出する第2光検出器と、
を更に有し、
前記第1ミラー及び前記第2ミラーのそれぞれは、前記第1合波光の一部及び前記第2合波光の一部を反射し、前記第1合波光の残部及び前記第2合波光の残部を透過し、
前記第1光検出器は、前記第1ミラーを透過した前記第1合波光を検出し、
前記第2光検出器は、前記第2ミラーを透過した前記第2合波光を検出する、
請求項4に記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記基板が搭載される主面を有するベース部材と、
前記ベース部材において前記主面側を封止するように、前記ベース部材に固定されるキャップと、を備え、
前記キャップには、前記第1合波光及び前記第2合波光を出力するための窓部が形成されている、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項7】
前記基板が搭載される温度調節素子を備える、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光源モジュールとして、複数の半導体レーザ素子それぞれから出力されるレーザ光を合波して合波光を出力するモジュールが知られている(特許文献1)。従来、特許文献1のように、光源モジュールが有する複数の半導体レーザ素子それぞれからのレーザ光を一つに合波して出力していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−66028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば光センシング分野において、異なる波長領域の光を出力する2つのレーザダイオード(LD)から出力されるレーザ光が合波された2つの合波光を出力する光源が要求されてきている。このような光源としては、ファイバカプラを用いた形態や、2つのレーザダイオード(LD)からの光から一つの合波光を生成し、その後、2つに分岐する形態などが考えられるが、光源のサイズが大きくなりやすい傾向にあった。
【0005】
そこで、本発明は、異なる波長領域の光が合波されてなる2つの合波光を出力可能であって小型化が図られた光源モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る光源モジュールは、基板と、上記基板上に搭載され、第1波長領域の波長を有する第1レーザ光を出力する第1レーザダイオードと、上記基板上に搭載され、第2波長領域の波長を有する第2レーザ光を出力する第2レーザダイオードと、上記第1レーザダイオードから出力された光をコリメートする第1コリメータレンズと、上記第2レーザダイオードから出力された光をコリメートする第2コリメータレンズと、上記第1コリメータレンズ及び上記第2コリメータレンズでコリメータされた第1レーザ光及び上記第2レーザ光の合波光である第1合波光及び第2合波光を出力する合波フィルタと、を備え、上記第1レーザダイオードと上記第2レーザダイオードは、上記第1レーザダイオードの光軸と上記第2レーザダイオードの光軸とが交差するように配置されており、上記合波フィルタは、上記第1レーザダイオードの光軸と上記第2レーザダイオードの光軸との交点上に配置され、上記合波フィルタは、上記第1合波光及び上記第2合波光を異なる方向に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる波長領域の光が合波されてなる2つの合波光を出力可能であって小型化が図られた光源モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る光源モジュールを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した光源モジュールからキャップを外した状態を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示したキャップを外した状態の光源モジュールを基板側からみた場合の平面図である。
図4図4は、図1に示した光源モジュールに光ファイバを取り付けた状態を示す斜視図である。
図5図5は、比較用の光源モジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
一形態に係る光源モジュールは、基板と、上記基板上に搭載され、第1波長領域の波長を有する第1レーザ光を出力する第1レーザダイオードと、上記基板上に搭載され、第2波長領域の波長を有する第2レーザ光を出力する第2レーザダイオードと、上記第1レーザダイオードから出力された光をコリメートする第1コリメータレンズと、上記第2レーザダイオードから出力された光をコリメートする第2コリメータレンズと、上記第1コリメータレンズ及び上記第2コリメータレンズでコリメータされた第1レーザ光及び上記第2レーザ光の合波光である第1合波光及び第2合波光を出力する合波フィルタと、を備え、上記第1レーザダイオードと上記第2レーザダイオードは、上記第1レーザダイオードの光軸と上記第2レーザダイオードの光軸とが交差するように配置されており、上記合波フィルタは、上記第1レーザダイオードの光軸と上記第2レーザダイオードの光軸との交点上に配置され、上記合波フィルタは、上記第1合波光及び上記第2合波光を異なる方向に出力する。
【0012】
上記構成の光源モジュールでは、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードのそれぞれから出力された第1レーザ光及び第2レーザ光は、第1コリメータレンズ及び第2コリメータレンズでコリメートされる。そして、コリメートされた第1レーザ光及び第2レーザ光は、合波フィルタにより合波され、合波フィルタからは第1合波光及び第2合波光が異なる方向に出力される。よって、上記光源モジュールは、第1波長領域の波長を有する第1レーザ光及び第2波長領域の波長を有する第2レーザ光が合波されてなる2つの合波光を出力可能である。光源モジュールでは、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードを、それらの光軸が交差するように配置しており、光軸の交点に一つの合波フィルタを配置する構成で、第1合波光及び第2合波光を生成している。その結果、光源モジュールの小型化が図れている。
【0013】
上記合波フィルタは、上記第1レーザ光の一部を透過すると共に残部を反射し、上記合波フィルタは、上記第2レーザ光の一部を、上記合波フィルタを透過した上記第1レーザ光と同じ方向に反射すると共に、上記第2レーザ光の残部を、上記合波フィルタにより反射された上記第1レーザ光と同じ方向に透過してもよい。これにより、合波フィルタによって、第1合波光及び第2合波光を生成し、それらを合波フィルタから異なる方向に出力可能である。
【0014】
一形態において、上記合波フィルタは、ハーフミラーであり得る。これにより、第1レーザ光と第2レーザ光の割合が同じである第1合波光及び第2合波光を出力可能である。
【0015】
一形態において、上記基板上であって上記第1合波光の光路上に搭載される第1ミラーと、上記基板上であって上記第2合波光の光路上に搭載される第2ミラーと、を更に備え、上記第1ミラーは、上記第1合波光の少なくとも一部を、上記基板の厚さ方向に反射し、 上記第2ミラーは、上記第2合波光の少なくとも一部を、上記基板の厚さ方向に反射してもよい。これにより、基板の厚さ方向に向けて、第1合波光及び第2合波光を出力可能である。
【0016】
一形態において、上記第1合波光を検出する第1光検出器と、上記第2合波光を検出する第2光検出器と、を更に有し、上記第1ミラー及び上記第2ミラーのそれぞれは、上記第1合波光の一部及び上記第2合波光の一部を反射し、上記第1合波光の残部及び上記第2合波光の残部を透過し、上記第1光検出器は、上記第1ミラーを透過した上記第1合波光を検出し、上記第2光検出器は、上記第2ミラーを透過した上記第2合波光を検出してもよい。この場合、第1光検出器及び第2光検出器の検出結果に応じて、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードの出力を調整可能である。その結果、所望の強度を有する第1合波光及び第2合波光を出力可能である。
【0017】
一形態において、上記基板が搭載される主面を有するベース部材と、上記ベース部材において上記主面側を封止するように、上記ベース部材に固定されるキャップと、を備え、上記キャップには、上記第1合波光及び上記第2合波光を出力するための窓部が形成されていてもよい。この構成では、ベース部材とキャップとにより、基板上の構成要素(例えば、第1レーザダイオード、第2レーザダイオード、第1コリメータレンズ、第2コリメータレンズ及び合波フィルタ)を封止できる。更に、キャップから第1合波光及び第2合波光が外部に出力され得る。
【0018】
一形態において、上記基板が搭載される温度調節素子を備えてもよい。これにより、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードの周囲温度を調整可能である。
【0019】
一形態において、上記基板に搭載され、上記第1レーザダイオード及び上記第2レーザダイオードの温度を検出するための温度センサを備えてもよい。これにより、第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードをその温度に応じて制御可能である。
【0020】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0021】
図1は、一実施形態に係る光源モジュール1を示す斜視図である。図2は、光源モジュール1からキャップ3を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、図2において、キャップ3が取りはずされた光源モジュール1を基板10側(図2中の上側)からみた場合の平面図である。図2においては、後述するボンディングワイヤの図示を省略している。
【0022】
図1及び図2に示されるように、光源モジュール1は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBが合波された、第1合波光L1及び第2合波光L2をそれぞれ生成して出力する2合波光光源モジュールである。
【0023】
図2及び図3に示すように、光源モジュール1は、基板10と、紫色レーザダイオード(LD)21と、青色LD22と、第1コリメータレンズ31と、第2コリメータレンズ32と、合波フィルタ40と、第1ミラー51と、第2ミラー52と、を備える。紫色LD21と、青色LD22と、第1コリメータレンズ31と、第2コリメータレンズ32と、合波フィルタ40と、第1ミラー51と、第2ミラー52とは、基板10上に搭載されている。
【0024】
本実施形態では、一例として、図1図3に示したように、光源モジュール1が、ベース部材2とキャップ3とを有する形態について説明する。この形態では、基板10は、ベース部材2上に搭載され、基板10に搭載された紫色LD21、青色LD22などがキャップ3によって封止されている。
【0025】
図2及び図3に示したように、ベース部材2は、平坦な主面2aを有する。ベース部材2は、例えば金属若しくはセラミックから構成されている。ベース部材2は例えば平面視した際に矩形を呈し、例えば長手方向の長さが13mmであり、短手方向の長さ11mmであり、厚さが1mmであり得る。ベース部材2には、18本のリードピン4が通されている。各リードピン4は、ベース部材2の主面2a側に突出している。本実施形態では、18本のリードピン4のうち14本のリードピン4が、紫色LD21、青色LD22等への電力供給、GND線などに利用される。
【0026】
基板10は、主面2a上に搭載されている。基板10は例えば平面視した際に矩形を呈し、例えば長手方向の長さが10mmであり、短手方向の長さが7mmであり、厚さが1.0mmであり得る。基板10は鉄製の薄板が金メッキされ構成され得る。図3に示したように、基板10は、ボンディングワイヤB1を介してリードピン4と電気的に接続されている。ボンディングワイヤB1が接続されたリードピン4はGND線用のリードピンである。
【0027】
図2に示したように、基板10は、温度調節素子60を介して主面2a上に搭載されていてもよい。断らない限り、以下の説明では、光源モジュール1は温度調節素子60を有する。
【0028】
温度調節素子60は、ベース部材2の主面2a上に搭載されている。温度調節素子60の例はペルチェ素子である。温度調節素子60の正極用配線パッド及び負極用配線パッドのそれぞれは、図3に示したように、ボンディングワイヤB2,B3を介して対応するリードピン4と電気的に接続されている。
【0029】
紫色LD21は、本実施形態における第1レーザダイオードであり、紫色レーザ光(第1レーザ光)LVを出力する光源である。紫色LD21は、LDチップであり得る。紫色LD21は、基板10の主面10aに平行な光軸C1でもって紫色レーザ光LVを出力する。紫色LD21から出力される紫色レーザ光LVの波長は、紫色の波長領域(第1波長領域)380nm〜435nmの波長の光を出力する。紫色LD21は、例えば波長405nmの光を出力する。
【0030】
図2及び図3に示したように、紫色LD21は、第1サブマウントSM1を介して基板10の主面10a上に搭載されている。紫色LD21は、第1サブマウントSM1にその下部電極パッド(例えばカソード電極パッド)が第1サブマウントSM1の配線パッドP1(図3参照)に電気的に接続されるように固定されている。紫色LD21は、例えばAuSn半田、Agペーストによって配線パッドP1上に固定されればよい。紫色LD21の上部電極パッド(例えばアノード電極パッド)はボンディングワイヤB4を介して第1サブマウントSM1の配線パッドP2(図3参照)と電気的に接続されている。第1サブマウントSM1の配線パッドP1及び配線パッドP2のそれぞれはボンディングワイヤB5,B6を介して対応するリードピン4と電気的に接続されている。
【0031】
青色LD22は、本実施形態における第2レーザダイオードであり、紫色レーザ光LVと異なる波長を有する青色レーザ光(第2レーザ光)LBを出力する光源である。青色LD22は、LDチップであり得る。青色LD22は、青色LD22の光軸C2が紫色LD21の光軸C1と交差するように主面10aに配置されている。青色LD22は、主面10aに平行な光軸C2でもって青色レーザ光LBを出力する。青色LD22から出力される青色レーザ光LBの波長は、青色の波長領域(第2波長領域)435nm〜480nmの波長の光を出力する。青色レーザ光LBの波長は、例えば465nmである。青色LD22は、例えばGaN系材料で構成される。典型的にはGaNそのものが該当するが、これに限定されない。
【0032】
図2及び図3に示したように、青色LD22は、第2サブマウントSM2を介して基板10の主面10a上に搭載されている。青色LD22は、その下部電極パッド(例えばカソード電極パッド)が第2サブマウントSM2の配線パッドP3(図3参照)に電気的に接続されるように第2サブマウントSM2に固定されている。青色LD22は、例えばAuSn半田、Agペースト等によって配線パッドP3上に固定されればよい。青色LD22の上部電極パッド(例えばアノード電極パッド)はボンディングワイヤB7を介して第2サブマウントSM2の配線パッドP4(図3参照)と電気的に接続されている。第2サブマウントSM2の配線パッドP3及び配線パッドP4のそれぞれはボンディングワイヤB8,B9を介して対応するリードピン4と電気的に接続されている。
【0033】
第1及び第2サブマウントSM1,SM2の材料としては、紫色LD21及び青色LD22を構成する半導体材料と熱膨張係数が近い材料が用いられ得る。第1及び第2サブマウントSM1,SM2の材料としては、例えばAlN、SiC、Si又はダイヤモンド等が用いられ得る。
【0034】
第1コリメータレンズ31は、紫色LD21の光出力端面と光学的に結合されており、紫色LD21から出力された紫色レーザ光LVをコリメート(平行化)する。第1コリメータレンズ31は、第1サブベース部材SB1を介して基板10の主面10a上に搭載されている。第1コリメータレンズ31は、例えばレンズホルダに保持された状態で第1サブベース部材SB1に固定されてもよい。図2及び図3では、レンズホルダに保持された第1コリメータレンズ31を図示している。
【0035】
第2コリメータレンズ32は、青色LD22の光出力端面と光学的に結合されており、青色LD22から出力された青色レーザ光LBをコリメートする。第2コリメータレンズ32は、第2サブベース部材SB2上に搭載されており、第2サブベース部材SB2を介して基板10の主面10a上に搭載されている。第2コリメータレンズ32は、例えばレンズホルダに保持された状態で第2サブベース部材SB2に固定されてもよい。図2及び図3では、レンズホルダに保持された第2コリメータレンズ32を図示している。
【0036】
第1及び第2コリメータレンズ31,32それぞれの光軸と紫色LD21及び青色LD22それぞれの光軸C1,C2とは、互いに略一致するように調整されている。第1及び第2コリメータレンズ31,32は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBをコリメートできればその構成は限定されない。第1及び第2コリメータレンズ31,32は、例えばガラス製又は樹脂製の球レンズ、非球面レンズなどであり得る。第1及び第2コリメータレンズ31,32の焦点距離の例は2mmである。
【0037】
第1コリメータレンズ31及び第2コリメータレンズ32は、例えば紫外線硬化樹脂によって、第1サブベース部材SB1及び第2サブベース部材SB2に固定されている。第1サブベース部材SB1及び第2サブベース部材SB2の材料の例は、第1コリメータレンズ31及び第2コリメータレンズ32と熱膨張係数が近い材料であり、例えばガラスである。第1サブベース部材SB1及び第2サブベース部材SB2は、セラミックス又は金属によって構成されてもよい。
【0038】
合波フィルタ40は、基板10の主面10a上に搭載されている。合波フィルタ40は、例えば主面10aに直接固定されてもよいし、サブベース部材を介して固定されてもよい。合波フィルタ40は、主面10aに又はサブベース部材に例えば紫外線硬化樹脂によって固定され得る。合波フィルタ40が、サブベース部材を介して主面10aに搭載される形態では、そのサブベース部材は、合波フィルタ40(より具体的には合波フィルタ40の基板)と熱膨張係数が近い材料であり、例えばガラスである。
【0039】
合波フィルタ40は、少なくとも紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBに対して透光性を有する基板(例えばガラス基板)の表面に多層膜が形成されることによって構成されている。合波フィルタ40が有する基板のうち、多層膜フィルタが形成されている表面と反対側の表面には反射防止コート(ARコート)が施されていてもよい。合波フィルタ40の厚さは例えば0.5mmである。
【0040】
合波フィルタ40が有する多層膜は波長選択性多層膜であり、紫色レーザ光LVの一部を透過し且つ残部を反射すると共に、青色レーザ光LBの一部を透過し且つ残部を反射する。合波フィルタ40は、合波フィルタ40を透過した紫色レーザ光LVと、合波フィルタ40により反射された青色レーザ光LBとが重なると共に、合波フィルタ40により反射された紫色レーザ光LVと合波フィルタ40を透過した青色レーザ光LBとが重なるように、構成されている。すなわち、合波フィルタ40は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBをそれぞれ分岐し、分岐された紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBを重ねる。そのため、合波フィルタ40によって、2つの第1合波光L1及び第2合波光L2が生成される。分岐された紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBの同軸度は好ましくは50μm以内である。
【0041】
本実施形態において、合波フィルタ40はハーフミラーである。具体的には、例えば合波フィルタ40が有する多層膜は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBが所定の入射角(例えば30度)で入射した際にそれぞれ50%透過し且つ50%反射する。
【0042】
上記構成の合波フィルタ40では、図2に示したように、紫色レーザ光LVと青色レーザ光LBの2つの合波光である第1合波光L1と第2合波光L2とを異なる方向に出力する。本実施形態では、紫色LD21の光軸C1の方向に第1合波光L1を出力し、青色LD22の光軸C2の方向に第2合波光L2を出力する。
【0043】
図2及び図3に示したように、第1ミラー51は、第3サブベース部材SB3を介して基板10の主面10aに固定されている。第1ミラー51は、第1合波光L1の光路上に配置されており、本実施形態では、紫色LD21の光軸C1上に配置されている。
【0044】
第1ミラー51は、主面10aに対して傾斜した斜面51aを有する。換言すれば、第1ミラー51は、合波フィルタ40からの第1合波光L1の出力方向に対して傾斜する斜面51aを有する。主面10aに対する斜面51aの傾斜角は例えば実質的に45度である。第1ミラー51は、例えば立方体を対角線上に切断した形状を有し得る。上記立方体の一辺の長さの例は2mmである。
【0045】
第1ミラー51の斜面51a上には例えば半透明膜が形成されており、第1合波光L1の一部を上方(基板10の厚さ方向)に反射させると共に残部を透過させる。斜面51aにおける第1合波光L1の反射率及び透過率のそれぞれは例えば97%〜95%及び3%〜5%である。
【0046】
第2ミラー52は、第4サブベース部材SB4を介して基板10の主面10aに固定されている。第2ミラー52は、第2合波光L2の光路上に配置されており、本実施形態では、青色LD22の光軸C2上に配置されている。
【0047】
第2ミラー52は、主面10aに対して傾斜した斜面52aを有する。換言すれば、第2ミラー52は、合波フィルタ40からの第2合波光L2の出力方向に対して傾斜する斜面52aを有する。主面10aに対する斜面52aの傾斜角は例えば実質的に45度である。第2ミラー52は、例えば立方体を対角線上に切断した形状を有し得る。上記立方体の一辺の長さの例は2mmである。
【0048】
第2ミラー52の斜面52a上には例えば半透明膜が形成されており、第2合波光L2の一部を上方(基板10の厚さ方向)に反射させると共に残部を透過させる。斜面52aにおける第2合波光L2の反射率及び透過率のそれぞれは例えば97%〜95%及び3%〜5%である。
【0049】
光源モジュール1は、第1フォトディテクター(以下、「PD」と称す)71と第2PD72とを有してもよい。光源モジュール1は、更に、サーミスタ(温度センサ)80を有してもよい。
【0050】
第1PD71は、基板10の主面10a上に搭載されている第1光検出器である。第1PD71は、紫色LD21側(合波フィルタ40側)から第1ミラー51をみた場合、第1ミラー51の裏側(図2及び図3において、第1ミラー51の側面51b側)に配置されている。第1PD71は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBのモニタ用として用いられる。第1PD71は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBのそれぞれに対して高い感度を有していることが望ましい。
【0051】
第1PD71は、上部(主面10aと反対側)に受光部71aを有し、第1ミラー51を透過し、主面10a側に屈折した第1合波光L1を受光部71aで検出する。第1PD71は、第3サブマウントSM3を介して主面10a上に固定されている。具体的には、第1PD71の下部電極パッド(例えば、カソード電極パッド)が第3サブマウントSM3の配線パッドP5に電気的に接続されるように、第1PD71は、第3サブマウントSM3に固定されている。第1PD71は、例えばAuSn半田、Agペースト等によって第3サブマウントSM3に固定されている。第1PD71の受光部71aの周囲に設けられた上部電極パッド(例えばアノード電極パッド)及び配線パッドP5は、ボンディングワイヤB9及びボンディングワイヤB10によって対応するリードピン4と電気的に接続されている。
【0052】
同様に、第2PD72は、基板10の主面10a上において、青色LD22側(合波フィルタ40側)から第2ミラー52をみた場合、第2ミラー52の裏側(図3及び図4において、第2ミラー52の側面52b側)に配置されている第2光検出器である。第2PD72は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBのモニタ用として用いられる。第2PD72は、紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBのそれぞれに対して高い感度を有していることが望ましい。
【0053】
第2PD72は、上部(主面10aと反対側)に受光部72aを有し、第2ミラー52を透過し、主面10a側に屈折した第2合波光L2を受光部72aで検出する。第2PD72は、第4サブマウントSM4を介して主面10a上に固定されている。具体的には、第2PD72の下部電極パッド(例えば、カソード電極パッド)が、第4サブマウントSM4の配線パッドP6に電気的に接続されるように、第2PD72は、第4サブマウントSM4に固定されている。第2PD72は、例えばAuSn半田、Agペースト等によって第4サブマウントSM4に固定されている。第2PD72の受光部72aの周囲に設けられた上部電極パッド(例えばアノード電極パッド)及び配線パッドP6は、ボンディングワイヤB11及びボンディングワイヤB12によって対応するリードピン4と電気的に接続されている。
【0054】
サーミスタ80は、基板10の主面10aにおいて紫色LD21と青色LD22との間に配置されている。サーミスタ80は、紫色LD21と青色LD22の温度を検出するためのものである。通常、サーミスタ80は、紫色LD21と青色LD22から離間して配置されるため、サーミスタ80は、より詳細には、紫色LD21と青色LD22の周囲の温度を検出しいている。サーミスタ80は、ボンディングワイヤB13によって対応するリードピン4と電気的に接続されている。温度センサの例としてサーミスタを挙げて説明しているが、温度センサは、紫色LD21と青色LD22の温度(より詳細にはそれらの周囲温度)を計測できればサーミスタに限定されない。
【0055】
図1に示したキャップ3は、ベース部材2上の温度調節素子60と、基板10上に構成された光学系とを覆うように、ベース部材2に設けられている。具体的には、有底筒状を呈し、開口部側がベース部材2側に位置するようにベース部材2に固定されている。キャップ3は、ベース部材2上の構成要素を封止するための部材であり、例えば、ベース部材2に対してハーメチックシールされる。
【0056】
キャップ3は金属製であり、第1ミラー51及び第2ミラー52で反射された第1合波光L1及び第2合波光L2を出力するための窓部3a,3bを有する。窓部3a,3bは、第1合波光L1及び第2合波光L2に対して高い透光性を有する材料で構成されていればよい。
【0057】
上記光源モジュール1は、例えば次のようにして製造される。ここでは、基板10に第1〜第4サブベース部材SB1〜SB4と、第3及び第4サブマウントSM3,SM4が予め固定されている場合について説明する。
【0058】
まず、第1サブマウントSM1及び第2サブマウントSM2のそれぞれに紫色LD21及び青色LD22を搭載し、紫色LD21及び青色LD22と、第1サブマウントSM1及び第2サブマウントSM2との電気的配線を施す。その後、紫色LD21及び青色LD22が搭載された第1サブマウントSM1及び第2サブマウントSM2を、紫色LD21及び青色LD22の光軸C1及び光軸C2が交差するように、基板10上に搭載する。
【0059】
これらの工程と並行して、温度調節素子60をベース部材2の主面2aに搭載し、第1及び第2サブマウントSM1,SM2等が搭載された基板10を温度調節素子60上に搭載する。基板10を温度調節素子60上に搭載した後には、基板10、温度調節素子60、第1サブマウントSM1及び第2サブマウントSM2と対応するリードピン4との配線を適宜施す。
【0060】
その後、第1及び第2コリメータレンズ31,32を、第1及び第2サブベース部材SB1,SB2上に配置し、光軸調整した後に、例えば紫外線硬化樹脂を用いて固定する。
【0061】
光軸調整の一例について説明する。紫色LD21及び青色LD22からそれぞれ紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBを出力し、第1及び第2コリメータレンズ31,32からの出力光の投影パターンを例えばCCD等の撮像素子で観測しつつ、第1及び第2コリメータレンズ31,32からの出力光が光軸C1及び光軸C2に沿った平行光になるように、第1及び第2コリメータレンズ31,32の高さ、あおり角などを調整する。その後、第1及び第2コリメータレンズ31,32を、第1及び第2サブベース部材SB1,SB2に固定する。例えば、紫外線硬化樹脂を用いている場合には、光軸調整を実施した後、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させればよい。
【0062】
続いて、紫色LD21及び青色LD22の光軸C1,C2の交点に合波フィルタ40を配置し、光軸調整した後に例えば紫外線硬化樹脂で固定する。合波フィルタ40の光軸調整には、例えば第1及び第2コリメータレンズ31,32の光軸調整に使用したCCD等の撮像素子を利用すればよい。合波フィルタ40の光軸調整の際には、合波フィルタ40から出力される光がCCD等の撮像素子に入射される前に、その光の一部を分岐し、フォトディテクター又は分光器で検出する。これにより、合波フィルタ40から所定方向に且つ所定の割合で紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBを含む第1合波光L1及び第2合波光L2が出力されるように、合波フィルタ40からの出力光の投影パターン及び出力光における紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBの割合を観測しながら、合波フィルタ40の光軸C1,C2に対する角度などを調整することで、合波フィルタ40の光軸調整を行い得る。合波フィルタ40の固定に紫外線硬化樹脂を用いる形態では、合波フィルタ40の光軸調整の後に紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して固定すればよい。
【0063】
その後、基板10上に固定されている第3及び第4サブベースSB3,SB4上に第1ミラー51及び第2ミラー52を固定する。続いて、基板10上に固定されている第3及び第4サブマウントSM3,SM4上に第1及び第2PD71,72を固定し、所定の電気的配線を施す。
【0064】
最後に、窓部3a,3bそれぞれが第1ミラー51及び第2ミラー52で反射された第1合波光L1及び第2合波光L2を出力可能なように、キャップ3をベース部材2に対して位置合わせし、紫色LD21及び青色LD22などをキャップ3で封止することで、光源モジュール1が得られる。キャップ3は例えば乾燥エアー中でベース部材2にハーメチック溶接することで固定され得る。
【0065】
光源モジュール1では、紫色LD21及び青色LD22のそれぞれから出力された紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBは、第1コリメータレンズ31及び第2コリメータレンズ32を透過する際にコリメートされる。そして、コリメートされた紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBが合波フィルタ40に入射すると、それらが合波されてなる第1合波光L1及び第2合波光が合波フィルタ40から異なる方向に出力される。
【0066】
合波フィルタ40から出力された第1合波光L1と第2合波光L2は、主面10aに平行に進行した後、第1ミラー51の斜面51a及び第2ミラー52の斜面52aによって基板10の厚さ方向に反射され、窓部3a及び窓部3bから光源モジュール1の外部へ出力される。すなわち、光源モジュール1では、紫色LD21及び青色LD22を含む2つの第1合波光L1及び第2合波光L2が、基板10の厚さ方向(主面10aの法線方向)に出力される。
【0067】
このような第1合波光L1及び第2合波光L2は、例えば光センシングなどに利用され得る。第1合波光L1及び第2合波光L2を光センシングに利用する場合、例えば、第1合波光L1及び第2合波光L2のうち一方をプローブ光とし、他方を参照光とすることが可能である。
【0068】
第1合波光L1及び第2合波光L2を、センシング対象等に照射するために、例えば、図4に示したように、光源モジュール1に、光ファイバ91を、窓部3aに対応してキャップ3に設けられた光集光部92及び光集光部92に接続されているファイバ保持部93を介して取り付けるとともに、光ファイバ94を、窓部3bに対応してキャップ3に設けられた光集光部95及び光集光部95に接続されているファイバ保持部96を介して取り付けてもよい。光集光部92及び光集光部95は、それらの内部に窓部3a,3bから出力された第1合波光L1及び第2合波光L2を光ファイバ91及び光ファイバ94に入射するための集光光学系(例えばレンズ)を含む部材である。ファイバ保持部93及びファイバ保持部96は、光ファイバ91及び光ファイバ94を略真っ直ぐに固定し保持する部材である。ファイバ保持部93及びファイバ保持部96の例はベンドリミッタである。光源モジュール1が第1ミラー51及び第2ミラー52を備えることにより、第1合波光L1及び第2合波光L2は基板10の厚さ方向に出力される。すなわち、キャップ3の上壁(ベース部材2と反対側の面)から第1合波光L1及び第2合波光L2が出力される。この場合、光ファイバ91及び光ファイバ94を、例えば図4に示したように接続しやすい。
【0069】
本実施形態では、合波フィルタ40としてハーフミラーを使用していることから、第1合波光L1及び第2合波光L2のそれぞれにおける紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBの比率は同じである。よって、光源モジュール1では、同じ状態(構成)の第1合波光L1及び第2合波光L2を別々のポート(窓部3a,3b)から出力可能である。このように、第1合波光L1及び第2合波光L2が同じ状態(構成)であれば、前述したように、一方をプローブ光とし、他方を参照光としやすい。
【0070】
ところで、2つのレーザ光を合波して、それぞれのレーザ光を含む2つの合波光を生成する方法としては、例えば、図5に模式的に示したような比較用の光源モジュール100が考えられる。
【0071】
光源モジュール100では、波長λ1のレーザ光を出力するレーザ光源101Aに光集光部102A及びファイバ保持部105Aを介して光ファイバ103Aが取り付けられており、波長λ2のレーザ光を出力するレーザ光源101Bに光集光部102B及びファイバ保持部105Bを介して光ファイバ103Bが取り付けられている。光集光部102A及び光集光部102Bは、それらの内部に、レーザ光源101A及びレーザ光源101Bからの光を光ファイバ103A及び光ファイバ103Bに入射するための集光光学系(例えばレンズ)を含む部材である。ファイバ保持部105A及びファイバ保持部105Bは、光ファイバ103A及び光ファイバ103Bを略真っ直ぐに固定し保持するための部材である。ファイバ保持部105A及びファイバ保持部105Bの例はベンドリミッタである。この光ファイバ103A,103Bには、ファイバカプラ104が形成されており、ファイバカプラ104において光ファイバ103A,103Bそれぞれを伝播してきたレーザ光を分岐及び合波することで、光ファイバ103A,103Bのうちファイバカプラ103の下流の部分に波長λ1,λ2を有する光を含む合波光をそれぞれ伝搬させている。
【0072】
或いは、光源モジュール100のように、光ファイバ103A,103Bを使用せずに、合波ミラー、分岐ミラー及び反射ミラー等を含む光学系によって、レーザ光源101A及びレーザ光源101Bからそれぞれのレーザ光を一つの合波光に合波し、その合波光を更に分岐して、波長λ1,λ2を有する光を含む2つの合波光を生成することも考えられる。
【0073】
しかしながら、ファイバカプラ104を用いた構成ではファイバカプラ104に一定の長さを要するため、光源モジュール100全体としてのサイズが大きくなりやすい。更に、ファイバカプラ104が湾曲したり温度変化が生じたりした場合などに、合波光に含まれる波長λ1,λ2のレーザ光の割合が変化し、波長λ1,λ2のレーザ光を所望の比率で含む2つの合波光を安定して出力できない。
【0074】
また、レーザ光源101A,101Bそれぞれから出力されたレーザ光を一つの合波光に合波し、それを更に分岐する構成では、一度、合波した後に分岐するためにミラーなどの光学部品の数が増加し、光学系のサイズが大きくなりやすい。
【0075】
これに対して、光源モジュール1では、紫色LD21及び青色LD22を、それらの光軸C1,C2が交差するように配置しており、その光軸C1及び光軸C2の交点に一つの合波フィルタ40を配置した構成を有し、この構成によって、2つの第1合波光L1及び第2合波光L2を生成する。その結果、光源モジュール1の小型化が図れている。更に、光源モジュール1を、ベース部材2とキャップ3とを含む一つのパッケージとして構成し得る。更に、合波フィルタ40で紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBを合波して、第1合波光L1及び第2合波光L2を生成していることから、第1合波光L1及び第2合波光L2における紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBの割合は安定している。
【0076】
光源モジュール1が温度調節素子60及びサーミスタ80を備える形態では、基板10は、温度調節素子60上に搭載されている。基板10上には、紫色LD21、青色LD22、第1コリメータレンズ31、第2コリメータレンズ32、合波フィルタ40が搭載されている。よって、サーミスタ80の測定結果に応じて、温度調節素子60の温度をATC(Automatic Temperature Controller)を用いて制御することによって紫色LD21及び青色LD22の温度を一定に維持可能である。従って、周囲の環境温度の影響を受けにくくなるので、紫色LD21及び青色LD22の発光特性を一定に維持することができる。その結果、第1合波光L1及び第2合波光L2における紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBの割合をより一層安定化し得る。
【0077】
温度調節素子60によって温度が一定に維持されることにより、紫色LD21及び青色LD22と第1コリメータレンズ31及び第2コリメータレンズ32との間における光結合状態の変動を抑制することができる。よって、第1コリメータレンズ31及び第2コリメータレンズ32から出力された紫色レーザ光LV及び青色レーザ光LBのコリメート性を高く維持することができる。従って、光源モジュール1から出力される第1合波光L1及び第2合波光L2を集光させる場合に、非点収差及び球面収差を大幅に低減させられる。
【0078】
光源モジュール1が第1及び第2PD71,72を備える形態では、第1及び第2PD71,72の検出結果に応じて、紫色LD21及び青色LD22からの出力を調整することが可能である。その結果、所望の強度の第1合波光L1及び第2合波光L2を安定して出力可能である。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明は、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0080】
第1LDは、紫色LDに限定されず、第2LDも青色LDに限定されない。第1LDは、第1波長領域の波長を有する第1レーザ光を出力し、第2LDは、第1波長領域と異なる第2波長領域の波長を有する第2レーザ光を出力できればよい。よって、例えば、第1LDが、赤色レーザ光を出力する赤色LDであり、第2LDが、赤外レーザ光を出力する赤外LDであってもよい。
【0081】
合波フィルタによる第1レーザ光及び第2レーザ光それぞれの透過率及び反射率は、光源モジュールから出力されるべき第1合波光及び第2合波光それぞれに含まれる第1レーザ光及び第2レーザ光の所望の比率に応じて調整されていればよい。
【0082】
光源モジュールは、基板と、第1LDと、第2LDと、第1コリメータレンズと、第2コリメータレンズと、合波フィルタとを有すればよい。よって、光源モジュールは、温度調節素子を有さなくてもよい。この場合、リードピンと対応する要素との接続関係を適宜変更してもよい。光源モジュールが温度調節素子を有さない形態において、光源モジュールが温度センサを有する場合でも、温度センサで第1LD及び第2LDの周囲温度を検出することで、第1LD及び第2LDそれぞれをより好適に駆動可能である。光源モジュールは、第1ミラー及び第2ミラーを有さなくてもよい。この場合、例えば、基板の主面に平行に進行する第1合波光及び第2合波光を外部に出力可能なように、キャップの側壁に窓部が形成されていればよい。光源モジュールは、第1PD及び第2PDも有さなくてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…光源モジュール、2…ベース部材、3…キャップ、10…基板、21…紫色LD(第1レーザダイオード)、22…青色LD(第2レーザダイオード)、31…第1コリメータレンズ、32…第2コリメータレンズ、40…合波フィルタ、51…第1ミラー、52…第2ミラー、60…温度調節素子、71…第1PD(第1光検出器)、72…第2PD(第2光検出器)、80…サーミスタ(温度センサ)、C1…光軸(第1レーザダイオードの光軸)、C2…光軸(第2レーザダイオードの光軸)、L1…第1合波光、L2…第2合波光、LB…青色レーザ光(第2レーザ光)、LV…紫色レーザ光(第1レーザ光)。
図1
図2
図3
図4
図5