(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定情報は、前記外部装置から出射したレーザ光が到来する方向に対象物が存在しない状態で前記レーザ光を受光したときの前記レーザ光の受光強度と、前記対象物で反射した前記レーザ光を受光したときの受光強度との間の値となる閾値、を更に含み、
前記判定部は、前記受光部で受光した前記レーザ光の受光方向が前記第2のレーザ光を受光可能な範囲内であり、かつ、前記投光部が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光部で前記レーザ光を受光するまでの時間と、前記判定情報に含まれる前記時間とが一致しており、更に前記受光部で受光した前記レーザ光の受光強度が前記判定情報に含まれる前記閾値以上である場合に、前記受光部で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射した前記レーザ光ではないと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
前記外部装置は、前記第2のレーザ光を出射する投光部と、レーザ光を受光する受光部と、前記第2のレーザ光の出射方向及び前記外部装置の前記受光部におけるレーザ光の受光方向を走査制御する走査制御部と、前記第2のレーザ光を出射してから前記外部装置の前記受光部でレーザ光を受光するまでの時間に基づいて前記対象物までの距離を算出する距離算出部と、を備えており、
前記距離測定装置の前記走査制御部は、前記第1のレーザ光の出射方向及び受光方向の走査を、前記外部装置における前記走査制御部による前記2のレーザ光の出射方向及び受光方向の走査と同期して行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、距離測定システムの構成例を示す図である。
【0012】
本実施形態に係る距離測定装置(以下、レーザ距離測定装置という)は、レーザ光の出射方向を走査制御して測定範囲内(走査範囲内)に存在する対象物までの距離を測定する装置である。
図1に示すように、レーザ距離測定装置1(1A,1B)は、例えば、所定の領域R0内にいる人物等、領域R0内で移動したり、向きや外形が変化したりする対象物3までの距離の測定に利用される。
【0013】
この種のレーザ距離測定装置1は、例えば、
図1に示したように、2個のレーザ距離測定装置1A,1Bを、対象物3が移動可能な領域R0を挟んで対向配置した距離測定システム20に適用される。このような距離測定システム20では、一方のレーザ距離測定装置1Aによる対象物3までの距離の測定中に、当該レーザ距離測定装置1Aでは測定できない対象物3の裏面側の状態(距離)を他方のレーザ距離測定装置1Bにより同時に測定することが可能となる。
【0014】
更に、対向配置させた2個のレーザ距離測定装置1A,1Bのそれぞれで対象物3までの距離を測定する場合、2個のレーザ距離測定装置1A,1Bにおけるレーザ光の走査制御を同期させると、測定結果に基づく対象物の位置、向きや外形等を効率よく算出することが可能となる。2個のレーザ距離測定装置1A,1Bにおけるレーザ光の走査制御の同期は、レーザ距離測定装置1A,1Bと接続された同期制御装置2が行う。以下の説明では、2個のレーザ距離測定装置1A,1Bを区別する場合には、それぞれを第1のレーザ距離測定装置1A、第2のレーザ距離測定装置1Bという。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係るレーザ距離測定装置による距離の測定方法を説明する図である。
【0016】
図2に示すように、本実施形態に係る第1のレーザ距離測定装置1Aは、第2のレーザ距離測定装置1B(外部装置)が配置された正面方向を中心とし、水平面内における±θ1の範囲でレーザ光4Aを走査する。例えば、第1のレーザ距離測定装置1Aは、水平面内でレーザ光4Aの出射方向を−θ1の方向からθ1の方向まで変化させながら、レーザ光4Aを出射してから対象物3で反射したレーザ光を受光するまでに要した時間を測定する。なお、1回のレーザ光4Aの走査において、第1のレーザ距離測定装置1Aは、水平面内における上記の測定を、垂直方向の位置(すなわち高さ)を変えながら所定の回数だけ行う。
【0017】
更に、第1のレーザ距離測定装置1Aは、測定した時間とレーザ光4の速度(すなわち光速)とに基づいて、レーザ光の受光方向に存在する対象物までの距離を算出する。
【0018】
また、第1のレーザ距離測定装置1Aからみて外部装置である第2のレーザ距離測定装置1Bは、第1のレーザ距離装置1Aと同じ動作を行って、レーザ光の受光方向に存在する対象物までの距離を算出する。すなわち、
図2には示していないが、第2のレーザ距離測定装置1Bは、第1のレーザ距離測定装置1Aと同様、第1のレーザ距離測定装置1Aが配置された正面方向を中心として±θ1の範囲でレーザ光4Bを走査する。また、第2のレーザ距離測定装置1Bは、水平面内でレーザ光4Bの出射方向を−θ1の方向からθ1の方向まで変化させながら、レーザ光4Bを出射してから対象物で反射したレーザ光を受光するまでに要した時間を測定する。第2のレーザ距離測定装置1Bは、1回のレーザ光4Bの走査において、水平面内における上記の時間の測定を、垂直方向の位置(すなわち高さ)を変えながら所定の回数だけ行う。
【0019】
更に、第2のレーザ距離測定装置1Bは、測定した時間とレーザ光4Bの速度とに基づいて、レーザ光の受光方向に存在する対象物までの距離を算出する。
【0020】
加えて、本実施形態においては、同期制御装置2により、第1のレーザ距離測定装置1Aにおけるレーザ光4Aの走査と、第2のレーザ距離測定装置1Bにおけるレーザ光4Bの走査とを同期させる。例えば、同期制御装置2は、距離の測定を開始する前に、まず、第1のレーザ距離測定装置1Aにおける水平面内でのレーザ光4Aの出射方向の角度範囲と、第2のレーザ距離測定装置1Bにおける水平面内でのレーザ光4Bの出射方向の角度範囲とを一致させる。また、同期制御装置2は、距離の測定を開始する際の、第1のレーザ距離測定装置1Aから見たレーザ光4Aの出射方向と、第2のレーザ距離測定装置1Bから見たレーザ光4Bの出射方向とを一致させる。例えば、測定開始時のレーザ光4Aの出射方向及びレーザ光4Bの出射方向は、それぞれ、水平面内における出射方向を−θ1の方向(
図2に示した方向)にするとともに、垂直方向の出射位置(高さ)や出射角度を一致させる。その後、同期制御装置2は、同時刻に、第1のレーザ距離測定装置1Aによる距離の測定と、第2のレーザ距離測定装置1Bによる距離の測定とを開始させる。
【0021】
距離の測定を行っている間は、第1のレーザ距離測定装置1Aにおけるレーザ光4Aの走査方向SDへの走査速度と、第2のレーザ距離測定装置1Bにおけるレーザ光4Bの走査方向SDへの走査速度とを一致させる。また、距離の測定を行っている間は、第1のレーザ距離測定装置1Aにおけるレーザ光4Aの出射時刻と、第2のレーザ距離測定装置1Bにおけるレーザ光4Bの出射時刻とを一致させる。更に、水平面内における走査方向SDへの走査が終了して垂直方向の出射位置(高さ)や出射角度を変化させる際には、変化量を一致させる。
【0022】
このように、第1のレーザ距離測定装置1Aにおけるレーザ光4Aの走査と、第2のレーザ距離測定装置1Bにおけるレーザ光4Bの走査とを同期させることにより、測定結果に基づく対象物の位置、向きや外形等を効率よく算出することが可能となる。
【0023】
ところが、対向配置させた2個のレーザ距離測定装置1A,1Bにおけるレーザ光4A,4Bの走査制御を同期させると、一方のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aを他方のレーザ距離測定装置1Bで受光することがある。
【0024】
図2において、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aの出射方向が第2のレーザ距離測定装置1Bの設置方向であり、かつレーザ光4Aの進路に対象物3が存在しない場合、レーザ光4Aは、第2のレーザ距離測定装置1Bに到達する。このとき、第2のレーザ距離測定装置1Bにおけるレーザ光の受光方向は、対向する第1の距離測定装置1Aの方向と略一致している。そのため、第2のレーザ距離測定装置1Bは、第1のレーザ距離測定装置1Aから第2のレーザ距離測定装置1Bに向けて出射したレーザ光4Aを受光する。例えば、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aの出射方向が正面方向を中心とする±θ2の範囲R2内である場合、第2のレーザ距離測定装置1Bは、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aを受光する。
【0025】
第1のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aを受光した第2のレーザ距離測定装置1Bでは、受光したレーザ光4Aが第1のレーザ距離測定装置1Aから出射する時刻と同時刻にレーザ光4Bを出射している。このため、第2のレーザ距離測定装置1Bでレーザ光4Aを受光した場合、第1のレーザ距離測定装置1Aは、第2のレーザ距離測定装置1Bから出射したレーザ光4Bを受光する。このように各レーザ距離測定装置において他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光した場合、レーザ光の出射方向には対象物が存在しない。このため、対象物が存在せず他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光した場合に、受光時刻等に基づいて対象物までの距離を算出すると、誤った距離を算出することとなり、対象物までの距離の測定結果に誤りが生じる。
【0026】
そこで、本実施形態に係るレーザ距離測定装置は、他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲内で受光したレーザ光が、自身から出射したレーザ光であるか、他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光であるのかを判定する。これにより、本実施形態に係るレーザ距離測定装置は、他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光したときの誤った距離の測定を防止する。例えば、
図2の第1のレーザ距離測定装置1Aは、レーザ光4Aの出射方向が正面方向を中心とする±θ2の範囲R2内である場合に、受光したレーザ光が、自身から出射したレーザ光4Aが対象物3で反射して戻ってきたレーザ光であるか否かを判定する。同様に、第2のレーザ距離測定装置1Bは、レーザ光4Bの出射方向が正面方向を中心とする±θ2の範囲R2内(図示せず)である場合に、受光したレーザ光が、自身から出射したレーザ光4Bが対象物3で反射して戻ってきたレーザ光であるか否かを判定する。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係るレーザ距離測定装置の機能的構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、投光部110と、受光部120と、走査制御部130と、判定部140と、距離算出部150と、を備える。また、レーザ距離測定装置1は、判定情報記憶部191と、距離情報記憶部192と、を備える。
【0028】
投光部110は、レーザ光を発生し、発生したレーザ光を所定の出射方向に出射させる。投光部110は、レーザ光源111と、Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)ミラー112と含む。レーザ光源111は、例えば、レーザダイオードである。MEMSミラー112は、レーザ光源111が発したレーザ光4Aの出射方向を調整する光学部品である。なお、投光部110は、レーザ光源111及びMEMSミラー112に加え、図示しないコリメートレンズ等の各種光学部品を含む。
【0029】
受光部120は、外部から入射するレーザ光を受光する。受光部120は、例えば、図示しない集光レンズ、多分割受光素子等を含む。
【0030】
走査制御部130は、投光部110から出射させるレーザ光の出射方向と、受光部120において受光するレーザ光の入射方向(受光方向)とを制御する。
【0031】
判定部140は、受光部120で受光したレーザ光の出射元を判定する。言い換えると、判定部140は、受光部120で受光したレーザ光が、自装置の投光部110から出射したレーザ光であるか否かを判定する。判定部140は、レーザ光の受光方向と、レーザ光を出射してから受光するまでの時間と、受光強度と、判定情報記憶部191に記憶させた判定情報とに基づいて、受光したレーザ光が自装置から出射したレーザ光であるか否かを判定する。判定情報記憶部191に記憶させた判定情報は、領域情報と、時間情報と、強度情報とを含む。領域情報は、対向配置させた他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲R2を示す情報である。時間情報は、対向配置させた他のレーザ距離装置から出射したレーザ光を受光部120で受光するまでに要する時間を示す情報である。強度情報は、対象物で反射したレーザ光と、他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光との識別に用いる、レーザ光の受光強度の閾値を示す情報である。
【0032】
距離算出部150は、レーザ光を出射してから受光するまでの時間と、レーザ光の速度(光速)とに基づいて、対象物までの距離を算出する。本実施形態に係るレーザ距離測定装置1では、受光したレーザ光が自装置から出射したレーザ光である場合にのみ、対象物までの距離を算出する。距離算出部150は、算出した距離と、レーザ光の受光方向とを含む距離情報を、例えば、距離情報記憶部192に記憶させる。
【0033】
このように、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、受光部120で受光したレーザ光の出射元を判定する判定部140と、レーザ光の出射元の判定に用いる判定情報を記憶する判定情報記憶部191とを備える。
【0034】
判定情報記憶部191に記憶させる判定情報は、対象物3までの距離の測定を開始する前に、組み合わせる2個のレーザ距離測定装置1を測定時の条件に沿って配置し、動作させて取得する。判定情報の取得には、例えば、各レーザ距離測定装置1における走査制御部130を利用可能である。
【0035】
以下、
図4を参照し、
図2に示した第1のレーザ距離測定装置1A及び第2のレーザ距離測定装置1Bにおける判定情報の取得方法について説明する。
【0036】
図4は、レーザ光の出射元の判定に用いる判定情報の取得方法を説明する図である。
第1のレーザ距離測定装置1Aは、例えば、
図4の(a)に示すように、対象物までの距離を測定する測定範囲R1内でレーザ光4Aの出射方向をジグザグ状に走査させる。なお、
図4の(a)に示した測定範囲R1は、左右方向が地面に対する水平方向であり、上下方向が地面に対する垂直方向(鉛直方向)である。
図4の(a)に示した例では、測定領域R1における左上角部を走査開始点SSとし、まず、レーザ光4Aの出射方向を走査開始点SSから水平方向右側に移動させる。ここで、走査開始点SSは、水平面内における第1のレーザ距離測定装置1Aの正面方向(第2のレーザ距離測定装置1Bが設置された方向)から左方に−θ1だけ傾いた方向である(
図2を参照)。
【0037】
レーザ光4Aの出射方向が測定領域R1の右端に到達すると、第1のレーザ距離測定装置1Aは、レーザ光4Aの出射方向を測定領域R1の左端かつ所定量だけ下方にずらした位置に移動させ、再びレーザ光4Aの出射方向を水平方向右側に移動させる。以降、第1のレーザ距離測定装置1Aは、レーザ光4Aの出射方向が測定領域R1における右下角部(走査終了点SE)に到達するまで、レーザ光4Aの出射方向をジグザグ状に変化させる。レーザ光4Aの出射方向が測定領域R1の走査終了点SEに到達すると、測定領域R1に対するレーザ光4Aの出射方向の1回の走査が終了する。1回の走査が終了すると、第1のレーザ距離測定装置1Aは、レーザ光4Aの出射方向を走査開始点SSに戻し、次の走査を開始する。
【0038】
また、第2のレーザ距離測定装置1Bは、第1のレーザ距離測定装置1Aと同じ走査制御を、第1のレーザ距離測定装置1Aの走査制御と同期させて行う。
【0039】
このとき、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射するレーザ光4Aの出射方向を、第2のレーザ距離測定装置1Bが設置された方向(正面方向)を0度とする角度で表すと、水平面内におけるレーザ光4Aの出射方向θは、−θ1≦θ≦θ1となる。このうち、出射方向θが0度に近い−θ2≦θ≦θ2となる範囲R2では、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aが、第2のレーザ距離測定装置1Bにおける受光可能な範囲R2内に向かって進行する。よって、レーザ光4Aの進路(光路)に対象物3がない場合、出射方向θが−θ2≦θ≦θ2となるレーザ光4Aは、第2のレーザ距離測定装置1Bの受光部120に入射する。一方、出射方向θがθ<−θ2又はθ2<θとなるレーザ光4Aは、第2のレーザ距離測定装置1Bの受光部120に入射しない。
【0040】
また、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射するレーザ光4Aの出射方向θが−θ2≦θ≦θ2である場合、対向する第2のレーザ距離測定装置1Bから出射するレーザ光4Bの出射方向θも−θ2≦θ≦θ2である。このため、第1のレーザ距離測定装置1Aから出射したレーザ光4Aの出射方向θが−θ2≦θ≦θ2であり、かつ光路上に対象物3がない場合、第1のレーザ距離測定装置1Aは、第2のレーザ距離測定装置1Bから出射したレーザ光4Bを受光する。
【0041】
よって、測定領域R1内に対象物3が存在しない状態で、対向配置させた2個のレーザ距離測定装置1A,1Bの走査制御を同期させた場合、各レーザ距離測定装置1A,1Bで受光したレーザ光の受光強度は、
図4の(b)に太い実線で示したような分布となる。なお、
図4の(b)に示したグラフ図は、横軸が水平面内におけるレーザ光の出射方向であり、縦軸が受光したレーザ光の受光強度である。また、
図4の(b)のグラフ図における受光強度IN0は、各レーザ距離測定装置1A,1Bから出射したレーザ光4A,4Bの出射強度に相当する受光強度である。各レーザ距離測定装置1A,1Bの走査制御部130は、
図4の(b)に太い実線で示したような強度分布に基づいて、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光4を受光可能な範囲R2(−θ2≦θ≦θ2)を算出する。各レーザ距離測定装置1A,1Bの走査制御部130は、それぞれ、算出した範囲R2を、レーザ光の出射元の判定に用いる判定情報の1つ(領域情報)として、自装置の判定情報保持部191に記憶させる。
【0042】
また、レーザ光4A,4Bが対象物3で反射する場合、レーザ光は、対象物3の反射面において散乱する。このため、各レーザ距離測定装置1A,1Bで受光したレーザ光が、自装置から出射して対象物3で反射したレーザ光である場合、受光したレーザ光の受光強度は、
図4の(b)に点線で示したような分布となる。すなわち、各レーザ距離測定装置1A,1Bにおいて対象物3で反射したレーザ光を受光した場合の受光強度は、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光したときの受光強度に比べて非常に小さくなる。よって、対象物3で反射したレーザ光を受光したときの受光強度の最大値と、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光したときの受光強度とに基づいて、レーザ光の出射元の判定に用いる強度閾値TH1を決定することが可能である。対象物3で反射したレーザ光を受光したときの受光強度の最大値は、例えば、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光したときの受光強度と比べて2桁〜3桁小さくなる。そのため、強度閾値TH1は、例えば、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光したときの受光強度から見積もることも可能である。各レーザ距離測定装置1A,1Bの走査制御部130は、決定した強度閾値TH1を、レーザ光の出射元の判定に用いる判定情報の1つ(強度情報)として、自装置の判定情報記憶部191に記憶させる。
【0043】
更に、対向配置させた2個のレーザ距離測定装置1A,1Bの走査制御を同期させているため、第1のレーザ距離測定装置1Aからレーザ光4Aが出射する時刻と同時刻に、第2のレーザ距離測定装置1Bからレーザ光4Bが出射している。よって、測定領域R1内に対象物3が存在しない場合、各レーザ距離測定装置1A,1Bは、自装置におけるレーザ光4A,4Bの出射時刻に基づいて、受光したレーザ光が他方のレーザ距離測定装置から出射した時刻を特定することが可能である。各レーザ距離測定装置1A,1Bは、
図4の(c)に示すように、自装置においてレーザ光を出射した時刻T0からレーザ光を受光した時刻T1までの時間TH2を、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光するまでに要する時間とする。各レーザ距離測定装置1A,1Bの走査制御部130は、算出した時間TH2を、レーザ光の出射元の判定に用いる判定情報の1つ(時間情報)として、自装置の判定情報記憶部191に記憶させる。
【0044】
このように、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1を対向配置させて対象物の距離を測定する場合、事前に、測定範囲内に対象物が存在しない状態で、測定時と同じ測定条件に従って各レーザ距離測定装置1(1A,1B)を動作させて判定情報を取得する。
【0045】
本実施形態に係る距離の測定方法では、上記の事前処理によりレーザ光の出射元の判定に用いる判定情報(領域情報、強度情報、及び時間情報)を取得した後、2個のレーザ距離測定装置1A,1Bによる対象物までの距離の測定を開始する。この際、各レーザ距離測定装置1A,1Bにおけるレーザ光4A,4Bの走査制御は、同期制御装置2により同期させる。
【0046】
2個のレーザ距離測定装置1A,1Bは、距離の測定を開始すると、それぞれ、レーザ光4A,4Bの出射方向を走査しながら、レーザ光の出射方向と受光部120の出力とに基づいて、出射方向毎の対象物までの距離を算出する。対象物までの距離を測定する間、各レーザ距離測定装置1は、
図5に示したステップS1〜S7の処理を繰り返し行う。
【0047】
図5は、第1の実施形態に係るレーザ距離測定装置が距離測定時に行う処理を説明するフローチャートである。
【0048】
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、まず、レーザ光の出射方向及び受光方向を調整してレーザ光を出射し、受光部120の出力を取得する(ステップS1)。ステップS1の処理は、走査制御部130が行う。走査制御部130は、同期制御装置2による同期制御のもと、例えば、投光部110のMEMSミラー112及び受光部120の向きを調整し、他方のレーザ距離測定装置1におけるレーザ光の出射時刻と同時刻にレーザ光を出射する。その後、走査制御部130は、受光部120から、受光した(入射した)レーザ光の強度に応じた出力信号を取得して受光強度を算出する。走査制御部130は、受光部120から出力信号を取得した後、レーザ光の出射時刻、受光時刻、受光方向、及び算出した受光強度を判定部140に出力する。
【0049】
次に、レーザ距離測定装置1は、レーザ光の受光強度が閾値TH3以上であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定は、判定部140が行う。判定部140は、走査制御部130から取得した受光強度に基づいて、レーザ光の受光強度が閾値TH3以上であるか否かを判定する。ここで、閾値TH3は、対象物3で反射して受光部120に入射するレーザ光の受光強度における最小値に基づいて設定した値である。レーザ光の受光強度が閾値TH3よりも小さい場合(ステップS2;NO)、判定部140は、レーザ光の出射方向に対象物がないことを示す情報を距離算出部150に通知する(ステップS3)。ステップS3において、判定部140は、例えば、レーザ光の出射方向に対象物があるか否かを示す判定フラグの値を、レーザ光の出射方向に対象物がないことを示す値「0」にして距離算出部150に通知する。
【0050】
一方、レーザ光の受光強度が閾値TH3以上である場合(ステップS2;YES)、判定部140は、続けて、対象物有無判定処理(ステップS4)を行う。対象物有無判定処理において、判定部140は、レーザ光の出射時刻と、受光時刻と、受光方向と、受光強度と、判定情報記憶部191に記憶させた判定情報とに基づいて、レーザ光の出射方向に対象物があるか否かを判定する。判定部140は、例えば、レーザ光の出射方向に対象物がある場合には判定フラグの値を「1」とし、対象物がない場合には判定フラグの値を「0」とする。判定部140は、対象物有無判定処理の結果(判定フラグ)を距離算出部150に通知する。
【0051】
ステップS3又はS4の後、距離算出部150は、判定部140から受け取った判定フラグの値に基づいて、判定部140における処理の結果が「レーザ光の出射方向に対象物がある」という判定結果であるか否かを判定する(ステップS5)。レーザ光の出射方向に対象物がない場合(ステップS5;NO)、距離算出部150は、レーザ光の出射方向に対象物が存在しないことを示す情報を距離情報記憶部192に記憶させる(ステップS6)。
【0052】
一方、レーザ光の出射方向に対象物がある場合(ステップS5;YES)、距離算出部150は、対象物までの距離を算出して距離情報記憶部192に記憶させる(ステップS7)。ステップS7において、距離算出部150は、現在処理対象であるレーザ光の出射時刻T0と受光時刻T2と差(T2−T0)と、レーザ光の速度(光速)とに基づいて、対象物までの距離を算出する。
【0053】
ステップS6又はS7の処理を終えると、レーザ距離測定装置1は、現在処理対象となっているレーザ光の出射方向に対する測定処理を終了する。レーザ距離測定装置1は、レーザ光の出射方向毎に、ステップS1〜S7の処理を行う。レーザ距離測定装置1は、ある出射方向に対するステップS1〜S7の処理を終えた後で次の出射方向に対するステップS1〜S7の処理を開始してもよいし、ステップS1〜S7の処理をパイプライン化して行ってもよい。
【0054】
このように、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1が距離測定時に行う処理では、レーザ光の受光強度が閾値TH3以上である場合、受光したレーザ光の出射元を特定するため、対象物有無判定処理によりレーザ光の出射方向に対象物があるか否かを判定する。
この際、レーザ距離測定装置1は、レーザ光の受光方向と、レーザ光を出射してから受光するまでの時間と、受光したレーザ光の受光強度とに基づいて、受光したレーザ光の出射元を特定する。以下、
図6を参照して、判定部140が行う対象物有無判定処理(ステップS4)の内容について説明する。
【0055】
図6は、対象物有無判定処理の内容を説明するフローチャートである。
対象物有無判定処理において、判定部140は、まず、走査制御部130から受け取ったレーザ光の出射時刻T0、受光時刻T2、受光方向、及び受光強度を参照する(ステップS401)。
【0056】
次に、判定部140は、判定情報のうちの領域情報を参照し、レーザ光の受光方向が他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲R2内であるか否かを判定する(ステップS402)。レーザ光の受光方向が範囲R2内ではない場合(ステップS402;NO)、判定部140は、判定フラグの値を、レーザ光の出射方向に対象物があることを示す値「1」とする(ステップS403)。ステップS403の処理を行った場合、判定部140は、判定フラグの値「1」と、レーザ光の出射時刻と、受光時刻と、受光方向(出射方向)とを含む情報を距離算出部150に出力して対象物有無判定処理を終了する。
【0057】
レーザ光の受光方向が範囲R2内である場合(ステップS402;YES)、判定部140は、次に、判定情報のうちの時間情報を参照し、レーザ光を出射してから受光するまでの時間が所定の時間TH2と同じであるか否かを判定する(ステップS404)。ここで、判定部140は、レーザ光の出射時刻T0及び受光時刻T2に基づいて算出した時間(T2−T0)と、所定の時間TH2との差が、所定の閾値範囲内である場合に、2つの時間が同じであると判定する。2つの時間が異なる場合(ステップS404;NO)、判定部140は、次に、ステップS403の処理を行う。
【0058】
2つの時間が同じである場合(ステップS404;YES)、判定部140は、次に、判定情報のうちの強度情報を参照し、受光強度が閾値TH1以上であるか否かを判定する(ステップS405)。受光強度が閾値TH1よりも小さい場合(ステップS405;NO)、判定部140は、次に、ステップS403の処理を行う。
【0059】
受光強度が閾値TH1以上である場合(ステップS405;YES)、判定部140は、判定フラグの値を、レーザ光の出射方向に対象物がないことを示す値「0」とする(ステップS406)。ステップS406の処理を行った場合、判定部140は、判定フラグの値「0」と、レーザ光の出射時刻と、受光時刻と、受光方向(出射方向)とを含む情報を距離算出部150に出力して対象物有無判定処理を終了する。
【0060】
このように、本実施形態に係る対象物有無判定処理では、判定部140は、まず、レーザ光の受光方向が他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲R2内であるか否かを判定する。そして、レーザ光の受光方向が範囲R2内である場合、判定部140は、レーザ光を受光するまでの時間と、受光強度とに基づいて、受光したレーザ光の出射元が、自装置であるか他方のレーザ距離測定装置であるかを判定する。
【0061】
図7Aは、レーザ光を受光するまでの時間と受光強度との関係を説明する図(その1)である。
図7Bは、レーザ光を受光するまでの時間と受光強度との関係を説明する図(その2)である。
【0062】
図7Aの(a)には、2個のレーザ距離測定装置1A,1Bと、対象物3との位置関係についての第1の例を示している。第1のレーザ距離測定装置1Aと、第2のレーザ距離測定装置1Bとは、光学的距離が距離Lとなるよう対向配置している。
【0063】
各レーザ距離測定装置1A,1Bから正面方向に出射するレーザ光の光路に対象物3が存在しない場合、第1のレーザ距離測定装置1Aは、第2のレーザ距離測定装置1Bから出射したレーザ光4Bを受光する。このとき、第1のレーザ距離測定装置1Aにおけるレーザ光4Aを出射してからレーザ光4Bを受光するまでの時間は、レーザ光の受光時刻T1と出射時刻T0との差(T1−T0)となる。本実施形態では、
図7Aの(b),(c)に示すように、レーザ光4Aを出射してからレーザ光4Bを受光するまでの時間(T1−T0)を、レーザ光の出射元の判定に用いる時間情報(所定の時間TH2)としている。
【0064】
これに対し、各レーザ距離測定装置1A,1Bから正面方向に出射するレーザ光4A,4Bの光路の中点付近に対象物3が存在する場合、各レーザ距離測定装置1A,1Bから正面方向に出射したレーザ光4A,4Bは、それぞれ、対象物3で反射する。このため、対象物3が存在する場合、第1のレーザ距離測定装置1Aは、対象物3の反射面301で反射して自装置の方向に戻ってくるレーザ光4Arを受光する。
【0065】
ここで、
図7Aの(a)に示したように、第1のレーザ距離測定装置1Aと、対象物3の反射面301との光学的距離が距離L/2よりも短い場合を考える。この場合、
図7Aの(b)に示すように、レーザ光4Aの出射時刻T0からレーザ光4Arの受光時刻T2まで時間(T2−T0)は、所定の時間TH2よりも短くなる。また、第1のレーザ距離測定装置1Aと、対象物3の反射面301との光学的距離が距離L/2よりも長い場合、
図7Aの(c)に示すように、レーザ光4Aの出射時刻T0からレーザ光4Arの受光時刻T2まで時間(T2−T0)は、所定の時間TH2よりも長くなる。よって、レーザ光を出射してから受光するまでの時間(T2−T0)と、事前処理により決定した所定の時間TH2とが異なる場合(ステップS404;NO)、受光したレーザ光は、対象物3の反射面301で反射したレーザ光4Arであるといえる。すなわち、レーザ光を出射してから受光するまでの時間(T2−T0)と、所定の時間TH2とが異なる場合、受光したレーザ光の出射元は、自装置であるといえる。したがって、レーザ光を出射してから受光するまでの時間(T2−T0)と、事前処理により決定した所定の時間TH2とが異なる場合、判定部140は、判定フラグの値を、レーザ光の出射方向に対象物3があることを示す値とする(ステップS403)。
【0066】
次に、
図7Bの(a)に示した第2の例のように、第1のレーザ距離測定装置1Aと、対象物3の反射面301との光学的距離が距離L/2である場合を考える。この場合、
図7Bの(b)に示すように、レーザ光4Aの出射時刻T0からレーザ光4Arの受光時刻T2まで時間(T2−T0)は、所定の時間TH2と同じになる。このため、判定部140は、時間情報に基づいて、受光したレーザ光の出射元を特定することができない。したがって、レーザ光を出射してから受光するまでの時間(T2−T0)と、所定の時間TH2とが同じである場合(ステップS404;YES)、判定部140は、次に、受光強度に基づく判定(ステップS405)を行う。
【0067】
第1のレーザ距離測定装置1Aで受光したレーザ光が対象物3で反射したレーザ光4Arである場合の受光強度は、受光したレーザ光が第2のレーザ距離測定装置1Bから出射したレーザ光4Bである場合の受光強度と比べて小さい(
図4の(b)を参照)。本実施形態では、事前処理により上記の受光強度の差異に基づいて決定した閾値TH1を、レーザ光の出射元の判定に用いる強度情報としている。このため、受光したレーザ光が対象物3で反射したレーザ光4Arである場合、
図7Bの(b)に示すように、レーザ光の受光時刻T2=T1におけるレーザ光の受光強度が閾値TH1よりも小さくなる。すなわち、受光したレーザ光の受光強度が、事前処理により決定した閾値TH1よりも小さい場合(ステップS405;NO)、第1のレーザ距離測定装置1Aで受光したレーザ光は、対象物3の反射面301で反射したレーザ光4Arであるといえる。よって、受光したレーザ光の受光強度が、事前処理により決定した閾値TH1よりも小さい場合、判定部140は、判定フラグの値を、レーザ光の出射方向に対象物3があることを示す値とする(ステップS403)。
【0068】
これに対し、第1のレーザ距離測定装置1Aで受光したレーザ光が第2のレーザ距離測定装置1Bから出射したレーザ光4Bである場合、
図7Bの(c)に示すように、レーザ光の受光時刻T2=T1におけるレーザ光の受光強度が閾値TH1よりも大きくなる。よって、受光したレーザ光の受光強度が、事前処理により決定した閾値TH1以上である場合(ステップS405;YES)、判定部140は、判定フラグの値を、レーザ光の出射方向に対象物3がないことを示す値とする(ステップS406)。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、レーザ光の出射時刻、受光時刻、受光方向、及び受光強度と、事前に決定しておいた判定情報とに基づいて、受光したレーザ光の出射元が自装置であるか対向配置させた他方の装置であるかを判定することが可能となる。そのため、対向配置させた2個のレーザ距離測定装置におけるレーザ光の走査制御を同期させて対象物までの距離を測定する際の、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光の受光時刻及び受光方向に基づく誤った距離の測定を防ぐことが可能となる。これにより、一方のレーザ距離測定装置において他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光した場合でも、測定領域R1内には存在しない対象物を誤検出することを防ぐことが可能となる。更に、本実施形態では、レーザ光を出射してから受光するまでの時間と、レーザ光の受光強度とに基づいて、対象物の有無を判定する。このため、例えば、対象物3の表面の反射率が高く、レーザ光の受光強度が閾値TH1以上になる場合にも、時間情報に基づいて対象物の有無を判定することが可能となり、対象物の誤検出が更に低減する。
【0070】
なお、
図5及び
図6のフローチャートは、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1が距離測定時に行う処理の一例に過ぎない。本実施形態に係るレーザ距離測定装置1が距離測定時に行う処理は、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。例えば、対象物有無判定処理におけるステップS402,S404,及びS405の判定は、順不同である。また、例えば、ステップS3及びS406において判定フラグの値を「0」にして距離算出部150に通知する代わりに、レーザ光の出射方向に対象物がないことを示す情報を距離情報記憶部192に記憶させる処理(ステップS6)を行ってもよい。
【0071】
更に、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1を用いて対象物までの距離を測定する場合、
図1及び
図2に示したような2個1組のレーザ距離測定装置1A,1Bによる測定に限らず、複数組のレーザ距離測定装置を用いた測定も可能である。
【0072】
図8は、距離測定システムの別の構成例を示す図である。
図8には、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1を適用した距離測定システム20の別の構成例として、4個のレーザ距離測定装置1A〜1Dを含む距離測定システム20を示している。
【0073】
図8の距離測定システム20では、第1のレーザ距離測定装置1Aと、第2のレーザ距離測定装置1Bとを第1の組とし、対象物が移動可能な範囲を挟んで対向配置させている。また、第3のレーザ距離測定装置1Cと、第4のレーザ距離測定装置1Dとを第2の組とし、対象物が移動可能な範囲を挟んで対向配置させている。この際、各レーザ距離測定装置1A〜1Dは、それぞれ、自装置の正面方向が、他方の組のレーザ距離測定装置における正面方向と直交し、かつ各組のレーザ距離測定装置におけるレーザ光の正面方向の光路の中点が略一致する態様で配置させる。
【0074】
4個のレーザ距離測定装置1A〜1Dは、同一の走査条件に従ってレーザ光の走査制御を行うことが可能である。4個のレーザ距離測定装置1A〜1Dは、いずれも、水平面内において正面方向から所定の角度だけ左方に傾いた方向を水平面内におけるレーザ光の走査開始方向とし、走査開始方向から水平面内右方にレーザ光の出射方向を移動させる。このとき、第1の組のレーザ距離測定装置1A,1Bにおけるレーザ光の走査制御を同期させると、
図2及び
図8に示すように、正面方向を中心とする±θ2の範囲R2が、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲となる。同様に、第2の組のレーザ距離測定装置1C,1Dにおけるレーザ光の走査制御を同期させると、正面方向を中心とする範囲R3が、他方のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲となる。したがって、4個のレーザ距離測定装置1A〜1Dを用いて対象物までの距離を測定する場合、第1の組のレーザ距離測定装置1A,1Bに対する判定情報を取得する処理と、第2の組のレーザ距離測定装置1C,1Dに対する判定情報を取得する処理とを事前に行う。
【0075】
第1の組のレーザ距離測定装置1A,1Bにおける走査制御と、第2の組のレーザ距離測定装置1C,1Dにおける走査制御とは、同期していなくてもよい。しなしながら、一方の組のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を、他方の組のレーザ距離測定装置で受光することがないよう、各レーザ距離測定装置におけるレーザ光の走査を制御することが好ましい。
【0076】
このように、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1を用いて対象物までの距離を測定する場合、対向配置させる2個1組のレーザ距離測定装置におけるレーザ光の走査を同期させる。そして、レーザ距離測定装置から出射させるレーザ光の出射方向が他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲R2内である場合には、レーザ光の出射時刻、受光時刻、及び受光強度に基づいて受光したレーザ光の出射元を判定する。これにより、他のレーザ距離測定装置から出射したレーザ光を受光することによる誤った距離の算出を防ぐことが可能となる。よって、1個のレーザ距離測定装置では測定できない対象物の裏面側の測定を、他のレーザ距離測定装置により同時に効率よく行うことが可能となる。更に、2個1組のレーザ距離測定装置を複数組用いることで同時に測定可能な対象物上の点の数を増やすことが可能となるため、対象物の位置や外形が時間とともに変化する場合にも、高精度の測定結果を効率よく得ることが可能となる。
【0077】
なお、本実施形態で例示した1組のレーザ距離測定装置を用いる例(
図2を参照)と、2組のレーザ距離測定装置を用いる例(
図8を参照)とは、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1を用いた距離測定システム20の例に過ぎない。本実施形態に係るレーザ距離測定装置を用いた距離測定システム20は、これらの例に限らず、例えば、3組以上のレーザ距離測定装置を含むものであってもよいことはもちろんである。
【0078】
更に、本実施形態では、2個1組のレーザ距離測定装置を用いて対象物までの距離を測定する例を示したが、本実施形態に係る対象物までの距離の測定は、これに限らず、1個のレーザ距離測定装置1を用いて行う測定であってもよい。例えば、定点観測等で1個のレーザ距離測定装置1により対象物までの距離を測定する際には、測定範囲内にレーザ光を出射する外部装置があり、当該外部装置から出射したレーザ光をレーザ距離測定装置1で受光してしまう可能性がある。このような場合にも、外部装置を他方のレーザ距離測定装置とみなして事前処理を行い、判定情報を取得することで、受光したレーザ光の出射元が、自装置であるか外部装置であるかを判定することが可能である。よって、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、対向配置させる他方のレーザ距離測定装置を含む外部装置から出射したレーザ光を受光した場合に、誤った距離を算出して対象物を誤検出することを防ぐことが可能となる。
【0079】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に係るレーザ距離測定装置の機能的構成を示す図である。
【0080】
図9に示すように、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1は、投光部110と、受光部120と、走査制御部130と、判定部140と、距離算出部150と、通信部160と、を備える。また、レーザ距離測定装置1は、判定情報記憶部191と、距離情報記憶部192と、を備える。
【0081】
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1における投光部110、受光部120、走査制御部130、判定部140、及び距離算出部150の機能は、それぞれ、第1の実施形態で説明したとおりである。また、判定情報記憶部191に記憶させる判定情報、及び距離情報記憶部192に記憶させる距離情報は、それぞれ、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0082】
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1における通信部160は、対向配置させる2個のレーザ距離測定装置1の間でレーザ光の走査制御を同期させるための通信を行う。すなわち、通信部160は、第1の実施形態で説明した同期制御装置2としての機能を含む。通信部160は、既知の有線通信規格又は無線通信規格に従って、対向配置させる他のレーザ距離測定装置1の通信部160との間でレーザ光の走査制御を同期させるための通信を行う。
【0083】
本実施形態に係るレーザ距離測定装置1を用いて対象物までの距離を測定する際には、事前処理として、第1の実施形態において
図4を参照して説明した、判定情報を取得する処理を行う。また、本実施形態にレーザ距離測定装置1は、対象物までの距離を測定する処理を開始すると、
図5及び
図6に示した各処理を行う。なお、本実施形態に係るレーザ距離測定装置1による事前処理及び距離を測定する処理では、2個のレーザ距離測定装置1の通信部160間で同期情報の送受信を行い、各レーザ距離測定装置1におけるレーザ光の走査制御を同期させる。2個のレーザ距離測定装置1は、例えば、一方のレーザ距離測定装置1をマスターとし、当該マスターにおけるレーザ光の走査に他方のレーザ距離測定装置1のレーザ光の走査を一致させるよう同期させる。
【0084】
上記の実施形態で説明した、レーザ距離測定装置1は、例えば、コンピュータと、当該コンピュータに実行させるプログラムとにより実現可能である。以下、
図10を参照して、コンピュータとプログラムとにより実現されるレーザ距離測定装置1について説明する。
【0085】
図10は、コンピュータのハードウェア構成を示す図である。
図10に示すように、コンピュータ9は、プロセッサ901と、主記憶装置902と、補助記憶装置903と、入力装置904と、出力装置905と、入出力インタフェース906と、通信制御装置907と、媒体駆動装置908と、を備える。コンピュータ9におけるこれらの要素901〜908は、バス910により相互に接続されており、要素間でのデータの受け渡しが可能になっている。
【0086】
プロセッサ901は、Central Processing Unit(CPU)やMicro Processing Unit(MPU)等である。プロセッサ901は、オペレーティングシステムを含む各種のプログラムを実行することにより、コンピュータ9の全体の動作を制御する。また、プロセッサ901は、例えば、
図5及び
図6に示した各処理や、
図4を参照して説明した判定情報を取得する事前処理等を行う。
【0087】
主記憶装置902は、図示しないRead Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)を含む。主記憶装置902のROMには、例えば、コンピュータ9の起動時にプロセッサ901が読み出す所定の基本制御プログラム等が予め記録されている。一方、主記憶装置902のRAMは、プロセッサ901が各種のプログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用する。主記憶装置902のRAMは、例えば、
図3又は
図9に示したレーザ距離測定装置1における判定情報記憶部191、及び距離情報記憶部192として利用可能である。また、主記憶装置902のRAMは、事前処理や距離測定時に行う処理において取得するレーザ光の出射時刻、受光時刻、受光方向、及び受光強度等の記憶にも利用可能である。
【0088】
補助記憶装置903は、主記憶装置902のRAMと比べて容量の大きい記憶装置であり、例えば、Hard Disk Drive(HDD)や、フラッシュメモリのような不揮発性メモリ(Solid State Drive(SSD)を含む)等である。補助記憶装置903は、プロセッサ901によって実行される各種のプログラムや各種のデータ等の記憶に利用可能である。補助記憶装置903は、例えば、
図5及び
図6に示した各処理を含むプログラムや、
図4を参照して説明した事前処理を含むプログラム等の記憶に利用可能である。また、補助記憶装置903は、例えば、判定情報、レーザ光の出射時刻、受光時刻、受光方向、及び受光強度、並びに算出した対象物までの距離等の記憶に利用可能である。
【0089】
入力装置904は、例えば、キーボード装置やタッチパネル装置等である。コンピュータ9のオペレータ(利用者)が入力装置904に対して所定の操作を行うと、入力装置904は、その操作内容に対応付けられている入力情報をプロセッサ901に送信する。入力装置904は、例えば、事前処理や距離の測定を開始させる命令、コンピュータ9が実行可能な他の処理に関する命令等の入力や、各種設定値の入力等に利用可能である。
【0090】
出力装置905は、例えば、液晶表示装置等の表示装置やプリンタである。出力装置905は、例えば、事前処理の結果(判定情報)や、対象物までの距離の測定結果等を可視化してオペレータに提示することに利用可能である。
【0091】
入出力インタフェース906は、コンピュータ9と、他の電子機器とを接続する。入出力インタフェース906は、例えば、Universal Serial Bus(USB)規格のコネクタ等を備える。入出力インタフェース906は、例えば、コンピュータ9と投光装置11との接続、コンピュータ9と受光装置12との接続等に利用可能である。投光装置11は、
図3又は
図9のレーザ距離測定装置1における受光部110に相当する、レーザ光を出射する装置である。受光装置12は、
図3又は
図9のレーザ距離測定装置1における受光部120に相当する、レーザ光を受光する装置である。なお、投光装置11と受光装置12とは、別個の装置であってもよいし、一体化された装置であってもよい。また、入出力インタフェース906は、例えば、コンピュータ9と、同期制御装置2との接続にも利用可能である。
【0092】
通信制御装置907は、コンピュータ9をインターネット等のネットワークに接続し、ネットワークを介したコンピュータ9と他の通信機器との各種通信を制御する装置である。通信制御装置907は、例えば、コンピュータ9と、コンピュータ9で算出した距離情報を集約して管理するサーバ装置等との通信に利用可能である。また、通信制御装置907は、例えば、コンピュータ9と、遠隔地に設置された同期制御装置2との通信に利用可能である。更に、通信制御装置907は、例えば、
図9に示したレーザ距離測定装置1における通信部160として利用可能である。
【0093】
媒体駆動装置908は、可搬型記憶媒体10に記録されているプログラムやデータの読み出し、補助記憶装置903に記憶されたデータ等の可搬型記憶媒体10への書き込みを行う。媒体駆動装置908には、例えば、1種類又は複数種類の規格に対応したメモリカード用リーダ/ライタが利用可能である。媒体駆動装置908としてメモリカード用リーダ/ライタを用いる場合、可搬型記憶媒体10としては、メモリカード用リーダ/ライタが対応している規格、例えば、Secure Digital(SD)規格のメモリカード(フラッシュメモリ)等を利用可能である。また、可搬型記録媒体10としては、例えば、USB規格のコネクタを備えたフラッシュメモリが利用可能である。更に、コンピュータ9が媒体駆動装置908として利用可能な光ディスクドライブを搭載している場合、当該光ディスクドライブで認識可能な各種の光ディスクを可搬型記録媒体10として利用可能である。可搬型記録媒体10として利用可能な光ディスクには、例えば、Compact Disc(CD)、Digital Versatile Disc(DVD)、Blu-ray Disc(Blu-rayは登録商標)等がある。可搬型記録媒体10は、
図5及び
図6に示した処理を含むプログラム、
図4を参照して説明した事前処理を含むプログラム等の記憶に利用可能である。また、可搬型記録媒体10は、例えば、判定情報、レーザ光の出射時刻、受光時刻、受光方向、及び受光強度、並びに算出した対象物までの距離等の記憶に利用可能である。
【0094】
オペレータが入力装置904等を利用して距離の測定を開始する命令をコンピュータ9に入力すると、プロセッサ901が、補助記憶装置903等の非一時的な記録媒体に記憶させた距離測定プログラムを読み出して実行する。この処理において、プロセッサ901は、
図3又は
図9のレーザ距離測定装置1における走査制御部130、判定部140、及び距離算出部150として機能する(動作する)。また、主記憶装置902のRAMや補助記憶装置903等は、
図3のレーザ距離測定装置1における判定情報記憶部191、及び距離情報記憶部192の他、レーザ光の出射時刻、受光時刻、受光方向、及び受光強度等を記憶する記憶部として機能する。
【0095】
なお、レーザ距離測定装置1として動作させるコンピュータ9は、
図10に示した全ての要素901〜908を含む必要はなく、用途や条件に応じて一部の要素を省略することも可能である。例えば、コンピュータ9は、通信制御装置907や媒体駆動装置908が省略されたものであってもよい。
【0096】
以上記載した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1のレーザ光を出射する投光部と、
レーザ光を受光する受光部と、
前記第1のレーザ光の出射方向及び前記受光部における前記レーザ光の受光方向を制御する走査制御部と、
前記レーザ光の受光方向が前記投光部とは異なる外部装置から出射した第2のレーザ光を受光可能な範囲内である場合に、前記投光部が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光部でレーザ光を受光するまでの時間と、前記受光部で受光した前記レーザ光の受光強度とに基づいて、前記受光部で受光した前記レーザ光が距離測定の対象物で反射したレーザ光であるか否かを判定する判定部と、
前記受光部で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射したレーザ光である場合に、前記投光部が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光部で前記レーザ光を受光するまでの時間に基づいて、前記対象物までの距離を算出する距離算出部と、
を備えることを特徴とする距離測定装置。
(付記2)
前記対象物までの距離の測定を開始する前に取得した、前記受光部が前記第2のレーザ光を受光可能な受光方向の範囲と、前記第2のレーザ光が前記外部装置を出射した時刻と前記受光部が前記第2のレーザ光を受光した時刻とに基づいて算出した、前記外部装置から出射した前記第2のレーザ光を前記受光部で受光するまでの時間とを含む判定情報を記憶する判定情報記憶部、を更に備え、
前記判定部は、前記受光部で受光したレーザ光の受光方向が前記第2のレーザ光を受光可能な範囲内であり、かつ、前記投光部が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光部で前記レーザ光を受光するまでの時間と、前記判定情報に含まれる前記時間とが異なる場合に、前記受光部で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射した前記レーザ光であると判定する、
ことを特徴とする付記1に記載の距離測定装置。
(付記3)
前記判定情報は、前記外部装置から出射したレーザ光が到来する方向に対象物が存在しない状態で前記レーザ光を受光したときの前記レーザ光の受光強度と、前記対象物で反射した前記レーザ光を受光したときの受光強度との間の値となる閾値、を更に含み、
前記判定部は、前記受光部で受光した前記レーザ光の受光方向が前記第2のレーザ光を受光可能な範囲内であり、かつ、前記投光部が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光部で前記レーザ光を受光するまでの時間と、前記判定情報に含まれる前記時間とが一致しており、更に前記受光部で受光した前記レーザ光の受光強度が前記判定情報に含まれる前記閾値以上である場合に、前記受光部で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射した前記レーザ光ではないと判定する、
ことを特徴とする付記2に記載の距離測定装置。
(付記4)
前記外部装置は、前記第2のレーザ光を出射する投光部と、レーザ光を受光する受光部と、前記第2のレーザ光の出射方向及び前記外部装置の前記受光部におけるレーザ光の受光方向を走査制御する走査制御部と、前記第2のレーザ光を出射してから前記外部装置の前記受光部でレーザ光を受光するまでの時間に基づいて前記対象物までの距離を算出する距離算出部と、を備えており、
前記距離測定装置の前記走査制御部は、前記第1のレーザ光の出射方向及び受光方向の走査を、前記外部装置における前記走査制御部による前記2のレーザ光の出射方向及び受光方向の走査と同期して行う、
ことを特徴とする付記1に記載の距離測定装置。
(付記5)
前記投光部は、前記第1のレーザ光の出射方向を直交する二方向に変更可能であり、
前記受光部は、前記レーザ光の受光方向を直交する二方向に変更可能であり、
前記走査制御部は、前記第1のレーザ光の出射方向及び受光方向の走査を、前記直交する二方向で制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の距離測定装置。
(付記6)
前記受光部は、複数の受光素子をアレイ状に配置した多分割受光素子を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の距離測定装置。
(付記7)
メモリと、
前記メモリと接続されたプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
第1のレーザ光を出射する投光装置における前記第1のレーザ光の出射方向と、レーザ光を受光する受光装置における前記レーザ光の受光方向とを制御し、
前記受光装置で受光したレーザ光の受光強度を示す出力信号を取得し、
前記受光装置で受光した前記レーザ光の受光方向と、前記投光装置が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光装置で前記レーザ光を受光するまでの時間と、前記受光装置で受光した前記レーザ光の受光強度と、前記メモリに記憶させた判定情報とに基づいて、前記受光装置で受光した前記レーザ光が距離測定の対象物で反射したレーザ光であるか否かを判定し、
前記受光装置で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射した前記レーザ光である場合に、前記投光装置が前記第1のレーザ光を出射してから前記受光装置で前記レーザ光を受光するまでの時間に基づいて、前記対象物までの距離を算出する、
よう構成されていることを特徴とする距離測定装置。
(付記8)
対向配置させた第1の距離測定装置と第2の距離測定装置とで対象物までの距離を測定する距離測定システムであって、
前記第1の距離測定装置及び前記第2の距離測定装置は、それぞれ、
レーザ光を出射する投光部と、
レーザ光を受光する受光部と、
前記レーザ光の出射方向及び受光方向を制御する走査制御部と、
前記投光部が前記レーザ光を出射してから前記受光部でレーザ光を受光するまでの時間に基づいて、前記対象物までの距離を算出する距離算出部と、
を備え、
前記第1の距離測定装置は、
自装置の前記受光部で受光したレーザ光の受光方向が前記第2の距離測定装置から出射したレーザ光を受光可能な範囲内である場合に、前記自装置の前記投光部が前記レーザ光を出射してから前記自装置の前記受光部でレーザ光を受光するまでの時間と、前記自装置の前記受光部で受光した前記レーザ光の受光強度とに基づいて、前記自装置の前記受光部で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射したレーザ光であるか否かを判定する判定部、を更に備える、
ことを特徴とする距離測定システム。
(付記9)
前記第1の距離測定装置及び前記第2の距離測定装置のそれぞれにおける前記レーザ光の出射方向及び受光方向の制御を同期させる同期制御装置、を更に備える、
ことを特徴とする付記8に記載の距離測定システム。
(付記10)
前記第1の距離測定装置及び前記第2の距離測定装置は、それぞれ、他方の距離測定装置との間で、前記レーザ光の出射方向及び受光方向の制御を同期させる通信を行う通信部、を更に備える、
ことを特徴とする付記8に記載の距離測定システム。
(付記11)
コンピュータが、
所定の投光装置における第1のレーザ光の出射方向と、所定の受光装置におけるレーザ光の受光方向とを制御して前記受光装置から受光したレーザ光の受光強度を示す出力信号を取得し、
前記受光装置で受光した前記レーザ光の受光方向と、前記投光装置がレーザ光を出射してから前記受光装置でレーザ光を受光するまでの時間と、前記受光装置で受光した前記レーザ光の受光強度と、予め作成しておいた判定情報とに基づいて、前記受光装置で受光した前記レーザ光が距離測定の対象物で反射したレーザ光であるか否かを判定し、
前記受光装置で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射した前記レーザ光である場合に、前記投光装置が前記レーザ光を出射してから前記受光装置で前記レーザ光を受光するまでの時間に基づいて前記対象物までの距離を算出する、
処理を実行することを特徴とする距離測定方法。
(付記12)
所定の投光装置におけるレーザ光の出射方向と、所定の受光装置におけるレーザ光の受光方向とを制御して、前記受光装置から受光したレーザ光の受光強度を示す出力信号を取得し、
前記受光装置で受光した前記レーザ光の受光方向と、前記投光装置がレーザ光を出射してから前記受光装置でレーザ光を受光するまでの時間と、前記受光装置で受光した前記レーザ光の受光強度と、予め作成しておいた判定情報とに基づいて、前記受光装置で受光した前記レーザ光が距離測定の対象物で反射したレーザ光であるか否かを判定し、
前記受光装置で受光した前記レーザ光が前記対象物で反射した前記レーザ光である場合に、前記投光装置が前記レーザ光を出射してから前記受光装置で前記レーザ光を受光するまでの時間に基づいて前記対象物までの距離を算出する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする距離測定プログラム。