(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コイルを形成する1次巻線と2次巻線が巻回される筒状の巻軸部と、該巻軸部の両外側に配された鍔部と、該鍔部の下方において、複数の端子を有する端子台とを備えた横型トランスのコイルボビンにおいて、
前記巻軸部のいずれかの面に、前記1次巻線と前記2次巻線の少なくとも一方が係止され、折り返される突起部が設けられ、
前記鍔部の前記巻軸部側に凹部が形成され、該突起部の外側領域が、前記巻軸部の最も外側の位置よりもさらに外側に位置するように前記突起部の少なくとも一部が該凹部内に配置されてなり、
前記突起部は、外側に滑らかな裾部を有する形状とされていることを特徴とするコイルボビン。
前記突起部の外側領域と前記凹部の内壁部分との間に、前記突起部に前記1次巻線と前記2次巻線の少なくとも一方を通過させるためのスペースが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコイルボビン。
前記巻軸部の両端部分および中央部分の外周面の一部に、前記1次巻線または前記2次巻線の一部を係止して位置規制するための溝部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載のコイルボビン。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るトランスボビンおよびトランス装置について図面を参照しつつ説明する。本実施形態のトランス装置は、例えば、車載用の各種電子機器に適用される。
【0018】
図4は、本発明の実施形態によるトランス装置を示す正面斜視図であり、
図5は、
図4の状態から、カバー部材160およびテープ111が取り外された状態を示すものである。
図4に示すように、トランス100は、コア110A、Bと、コイルボビン120と、コイル(本願明細書においては巻線170(
図6を参照)が巻回された状態を表す:巻回巻線とも称する)150と、カバー部材160とを備えている。なお、コア110A、Bの周囲には、1対のコア110A、Bをコイルボビン120とともに互いに固定する接着テープ(固定用粘着テープ)111が巻かれている。
【0019】
以下、これらの各部材について順次説明する。
まず、コア110A、Bは同一形状の1対のE型のコアからなる。すなわち、いずれのコア110A、Bも、両方の側脚部110C、D、E、Fの中央に位置する中脚部110G(
図5においては、コア110Bの中脚部は巻軸部122に隠れて見えていない)がコイルボビン120の、コイル150が巻回される巻軸部122における中空孔134の開口部134Aから内部に挿入され、この中空孔134の内部で2つの中脚部110Gの先端同士が所定の間隔をおいて対向するようになっている。なお、コア110A、Bの対向する両方の側脚部110C、D、E、Fの先端同士は、
図4、5に示すように、互いに当接するように配設されている。
【0020】
次に、コイルボビン120は、
図1および
図2に示されるような形状をなし、成形性、量産性、微細加工性、電気絶縁性、低廉性および機械的な強度等を考慮し、例えば、6,6−ナイロン等の絶縁性樹脂を用いて成形される。
コイルボビン120は、巻線170が巻回される巻軸部122と、この巻軸部122の両外側に形成された鍔部121A、Bと、巻軸部122および鍔部121A、Bの下方に、これら巻軸部122、および鍔部121A、Bと一体に設けられた端子台140とから構成されている。
【0021】
図1に示すように、巻軸部122は断面がほぼ矩形状とされており、前側および後側の
側面には、この側面の上下方向の全長に亘って延びる、左右1対の端部溝123A、Bおよび中央溝124が形成されている。
また、巻軸部122には、軸方向(左右方向)に貫通する中空孔134が設けられており、前述したように、コア110A、Bの各中脚部110Gが、開口部134Aからこの中空孔134に挿通される。
【0022】
また、端子台140A、Bには、鍔部121A、Bの底面部が載設される台状部143A、Bと、端子台140A、Bの最下部に位置する複数の面実装端子141A、B(本実施形態においては各々4つずつ設けられている)と、台状部143A、Bと面実装端子141A、Bの間に位置する複数の巻線接続用端子142A、B(本実施形態においては各々4つずつ設けられている)を備えている。なお、面実装端子141A、Bと、対応する巻線接続用端子142A、Bとは、端子台140A、Bの内部で各々電気的に接続されている。複数の面実装端子141A、Bと、複数の巻線接続用端子142A、Bは、各々実装面(図示せず)に対して平行に配列されている。
【0023】
また、
図2は、上記コイルボビン120を、底面側から見た斜視図であり、
図2に示すように、巻軸部122の平面状の底面部分から垂直に一対の突起127A、Bが立設され、その突起127A、Bの外側に位置する、鍔部(厳密には鍔部121A、Bまたは端子台140A、B;以下同じ)121A、Bの内壁面はドーム状に抉られ、ドーム状(半ドーム状)の空間部129A、Bが形成されている。
【0024】
これらの突起127A、Bは、外側に滑らかな裾部127C、Dが延設されており、裾部127C、Dを含む突起127A、Bの大部分が、上記空間部129A、B内に配されるように形成されている。このように、突起127A、Bにこのような裾部127C、Dを形成したのは配線作業を容易にするとともに、巻線170の折返し時に作用するテンションによる折れを防止する、という理由による。
なお、この突起127A、Bの先端面は、両鍔部121A、Bの対向方向に短く、巻軸部122の幅方向に長い、楕円形状とされている。これは、突起127A、Bの強度を得るために所定の断面積が必要となるが、両鍔部121A、Bの対向方向は、鍔部121A、Bや端子台140A、Bがあってどうしても長くなりやすく、できるだけ短くしたいという要望があるので、その分、巻軸部122の幅方向を長くして断面積をかせぐようにしているため、先端面形状としては図示するような楕円とされている。
【0025】
また、鍔部121A、Bの内壁面に形成されたドーム状の空間部129A、Bにおいて、突起127A、Bと鍔部121A、Bの内壁面との間にはスペース128A、Bが形成されており、この巻軸部122に巻回された巻線170がこの突起127A、Bの裾部127C、Dの外周に架けられて折り返し可能とされている。
【0026】
また、上記コイル150を形成する巻線170は、1次巻線および2次巻線を構成するものであって、銅、アルミニウム等の線材を2層以上の絶縁皮膜によって積層被覆してなり、絶縁皮膜は、例えば、フッ素系樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂や、エチレン-プロピレン-コポリマー等の熱硬化性樹脂、さらには、他の種々の樹脂材料によって形成することができる。
【0027】
次に、カバー部材160は、絶縁性を有するとともにマウント機能を有しており、
図4に示すように、組立時において部品搬送用の吸着手段によりエア吸着される平坦面を有する天板部161と、この天板部161から、両側方において、下方に延びる側壁部163A、Bと、この側壁部163A、Bの下端部の内面側に形成されたスライド係合用の断面矩形状の係合用突起164A、Bとを備えている。
【0028】
上記天板部161には、コイルボビン120の形状に沿って、
図4の上方向に向かって凸状をなす吸着面部165、および、この吸着面部165の両側方において、中空の三角柱形状の屋根型補強部162A、Bが形成されている。この屋根型補強部162A、Bによって、上記側壁部163A、Bを内外に曲げる方向への強度が補強されている。
【0029】
また、側壁部163A、Bは、天板部161に対して垂直に配されており、コア110A、Bの側部平面形状に沿う平板形状とされている。
すなわち、カバー部材160が、コイルボビン120とスライド可能に係合した状態で、上記天板部161および側壁部163A、Bがコイルボビン120の各部と、わずかな間隔を開けて対向するように配置されている。これにより、カバー部材160が、コイルボビン120上にスムーズにスライドして配置されるとともに、カバー部材160を設けたことによる大型化を最小限に抑えることができる。
【0030】
また、
図1に示すように、実装面に対して略平行となる、端子取付け部144A、Bの上面144C、Dと、この上面144C、Dから垂直に立ち上がる端子台140A、Bの側壁部145A、Bと、台状部143A、Bの下面143C、D(実際には、下面143C、Dの表面にテープ111が貼付されている)とによって3方を囲まれる係合用溝部146A、Bが形成されており、カバー部材160の係合用突起164A、Bが
図4の後方から挿入され、係合用突起164A、Bの前側端面が、コイルボビン120の前面と略面一となる状態まで、スライドされる。
なお、図示はされていないが、係合用突起164A、Bの後端面側には、このスライド動作が、上記スライド方向にそれ以上なされないように、
図4に示す状態において規制するストッパー部が形成されている。
【0031】
また、係合用溝部146A、Bにおいて、台状部143A、Bの下面143C、Dは、対向する端子取付け部144A、Bの上面144C、Dとは平行になっておらず(下面143C、Dが実装面に対して傾斜している)、係合用溝部146A、Bの外側に向かうにしたがって溝の間隔が広がるように形成されている。
すなわち、係合用溝部146A、Bの内側(側壁部145A、B側)では、係合用溝部146A、Bの上下幅が、係合用突起164A、Bの上下幅とほぼ同様のサイズとされているが、係合用溝部146A、Bの外側では、係合用溝部146A、Bの上下幅が、係合用突起164A、Bの上下幅よりも広めに形成されている。
【0032】
これにより、テープ111をコア110A、Bと、この端子台140A、Bの台状部143A、Bを一体として巻回接着するときに、テープ貼着用の治具を、この係合用溝部146A、B内に挿入することが容易となり、さらに治具を用いた作業もし易くなり、その結果、この係合用溝部146A、Bの内壁部にテープ111を容易に貼付することができる。
【0033】
そして、カバー部材160とコイルボビン120とが、
図4に示す状態までスライドしたときに、係合用突起164A、Bの先端面側と後端面側において、この係合用突起164A、Bに対して熱かしめ(係合用突起164A、Bの先端面側と後端面側の所定位置を赤外線などによって熱溶融させ、この熱溶融部分を押圧部材によって押圧してかしめる手法)がなされ、これにより、係合用溝部146A、B内での係合用突起164A、Bのスライド動作が阻止され、カバー部材160とコイルボビン120とが互いに固定される。
また、この熱かしめにより、カバー部材160とコイルボビン120間のガタ付きが抑えられる。
【0034】
ところで、前述したように、巻線(例えば1次巻線)が巻線枠の一層分にも満たない少ない巻数である場合には、巻軸の幅内で巻回位置に偏りが出てしまう。この場合、この上
に巻回される他の巻線(例えば2次巻線)との結合が不良な個所が生じ、全体として結合力の悪化を招く。
【0035】
そこで、本実施形態においては、コイルボビン120において、左右の鍔部121A、Bの間に形成された巻軸部122の前後の2面に、1次巻線が巻回される際にはまり込んで係止される、端部溝123A、Bおよび中央溝124が形成されている。
図3は、これらの端部溝123A、Bおよび中央溝124と、その溝に係止される巻線A1〜A10、および巻線B1〜B10の位置関係を模式的に示す図である。
また、各溝123A、B、124の間には通常の巻軸領域である平坦部125A、Bが形成されている。なお、
図3においては、説明の便宜のため、後述する折返し線173(273)の図示は省略されている。
【0036】
本実施形態においては、端部溝123A、Bおよび中央溝124の3つの溝によって、巻軸部122内で両端に位置する巻線170と、中央に位置する巻線170の位置を規制することができ、その他の位置における巻線は、溝と溝の間に自ら配置されることから、全体として、大まかに均等な巻線位置を維持することができる。
しかも、溝は3本であり、巻軸部122内で両端に位置する巻線170と、略中央に位置する巻線170の各位置が規制されるだけであるから、巻線の巻回数は限定されない。また、1つの溝に配される巻線の数は1本に限られず2本以上でもよいので、巻回数の自由度を高めることができる。
【0037】
例えば、
図3に示す巻線A1〜A10において、1回目の巻回巻線A1は
図3中の右の端部溝123Bに嵌って位置規制され、5回目および6回目の巻回巻線A5、A6は巻軸部122のほぼ中央に位置する中央溝124に嵌って位置規制され、10回目の巻回巻線A10は
図3中の左の端部溝123Aに嵌って位置規制される。そうすると、2〜4回目の巻回巻線A2〜A4は、右の端部溝123Bと中央溝124との間の平坦部125B上に配置されることになり、7〜9回目の巻回巻線A7〜A9は、中央溝124と左の端部溝123Aとの間の平坦部125A上に配置されることになる。
【0038】
4本の巻回巻線A1、A5、A6およびA10を溝123A、B、124によって規制するだけで、その他の巻回巻線A2〜A4、A7〜A9の位置は自ら略規制される。これにより各溝123A、B、124間の巻回巻線数は各々3本となり、全体として略均等な巻線間隔となる。
【0039】
上述したようにして1次巻線A1〜A10が巻回されると、1次巻線の外形形状は、巻軸部122の表面形状と同様に、端部溝123A、Bと中央溝124の位置で凹部が形成されるので、隣接する1次巻線同士の間に位置して巻回される2次巻線B1〜B9も1次巻線A1〜A10と同様に、全体として均等な巻線間隔に巻回されることになる。
【0040】
すなわち、2次巻線の巻回は1次巻線の巻回とは逆側から始まることになるので、巻線B1〜B9において、1回目の巻回巻線B1は
図3中の左の端部溝123Aに嵌って位置規制され、4〜6回目の巻回巻線B4〜B6は巻軸部122のほぼ中央に位置する中央溝124に嵌って位置規制され、9回目の巻回巻線B9は
図3中の右の端部溝123Bに嵌って位置規制される。そうすると、2、3回目の巻回巻線B2、B3は、左の端部溝123Aと中央溝124との間の平坦部125A上に配置されることになり、7、8回目の巻回巻線B7、B8は、中央溝124と右の端部溝123Bとの間の平坦部125B上に配置されることになる。
これにより、各1次巻線A1〜A10の各々が、対応する2次巻線B1〜B9と接触することが容易となり、1次巻線と2次巻線間の結合力を高めることができる。
【0041】
なお、
図3においては、隣接する各1次巻線A1〜A10の間に、2次巻線B1〜B9が載置される状態となっているが、各1次巻線A1〜A10の直上に、各2次巻線B1〜B10が載置される状態であってもよい。何れとなるかは巻線の径と巻線間のピッチとの関係によって決定されるが、何れの場合にも、結合力を高めることができる点では同様である。
【0042】
ところで、巻線170が一層巻きとされる場合には、通常、巻線170の始端と終端を一方の端子台140A、Bに設けられた巻線接続用端子142A、Bに接続させることとなるので、巻線170を他方側から一方側に向かって折り返す必要が生じるが、折り返した巻線170を引き廻した時に、せっかく巻回した巻線170による巻姿が崩れてしまうことになりかねない。そこで、本実施形態においては、
図2に示すように、巻軸部122の底面部側にこの底面部から垂直に立ち上がる1対の突起127A、Bが設けられている。
【0043】
図6は、この巻軸部122に巻線170を巻回した第1の巻線巻回例を示すものである。
すなわち、1次巻線である巻線170の巻線始端171Aを、1つの巻線接続用端子142Bに接続し、端子台140Bの底壁面の形状に沿って引き廻し、突起127Bと鍔部121Bの空間部129Bの内壁面との間のスペース128Bを通過させた後、図中
右側の端部溝123Bにはめ入れ、次に対向する端部溝123Bにはめ入れるようにして、鍔部121Aに向かって反時計回りで巻回していく。この後、図中
右側の中央溝124にはめ入れ、次に対向する中央溝124にはめ入れ、さらに鍔部121Aに向かって反時計回りで巻回していき、最後に、図中
右側の端部溝123Aにはめ入れ、対向する端部溝123Aにはめ入れて、巻軸部122への巻回巻線172の1層分の巻回を終了する。
【0044】
本実施形態においては、1次巻線について1層巻きとされており、巻線終端171Bが、鍔部121B側の1つの巻線接続用端子142B(巻線始端171Aが接続される巻線接続用端子142Bに隣接する)に接続するように設定されているので、巻線170の巻回が終わった後、この巻線170を折り返す必要がある。
【0045】
この折返しをそのまま行うと、せっかく巻回した巻線の巻姿が崩れることになりかねないので、本実施形態においては、図中
左側の端部溝123Aから引き出された巻線170を鍔部121A側の突起127Aの周囲に沿わせて突起127Aと鍔部121Aの内壁面との間のスペース128Aを通過させ、突起127Aに係止させ、所望の方向に巻線170を引き出すようにしている。
【0046】
すなわち、このとき突起127Aにおける巻線170の係止高さを調整することができ、また弛ませずに鍔部121B方向に引き廻すことができるので、すでに巻回された巻回巻線172の巻姿を崩すことなく、折り返し線173を鍔部121Bのドーム状の空間部129Bの内壁面まで引き廻すことができる。
【0047】
この後、巻線170は、ドーム状の空間部129A、Bの内壁面に沿い、さらに端子台140Bの底壁面の形状に沿って引き廻され、その巻線終端171Bは、
図6中で最も上方に位置する巻線接続用端子142Bに接続される。
なお、巻線170を引き廻す際には、治具によって、巻線170を対応するコイルボビン120の各部壁面に押し付けるようにして、次に巻回する巻線170の巻回操作が容易となるようにしている。また、特に、線径が細いものにおいては、巻線170を対応するコイルボビン120の各部壁面に押し付けて空中配線をなくすことにより、断線を防止することができる。
【0048】
また、
図6からも明らかなように、突起127A、Bが設けられている位置は、この突起172A、Bの外側部分が、巻軸部122の巻線巻回領域における最も外側の位置よりもさらに外側に位置するようになっている。なお、巻線巻回領域とは、1対の鍔部121A、Bの対向する面の間に位置する領域を称するものとする。
【0049】
これは、図示するように、両突起127A、Bの外方に位置する鍔部121A、Bの内壁面がドーム状に抉られることにより、突起127A、Bの外側がこのドーム状の空間部129A、B内に配されるように、また、突起127A、Bとこの空間部129A、Bの内壁面との間に、巻線170を突起127A、Bの外側に沿わせるスペース128A、Bが確保されるように構成することが可能となっている。さらに、この突起127A、Bの外側が、滑らかに下降する裾部127C、Dとされているので、この裾部127C、Dの長さに応じて、空間部129A、Bのサイズを確保する必要がある。
【0050】
本実施形態においては、突起127A、Bの配設位置を工夫することによって、前記巻軸部122の巻線巻回領域が突起127A、Bの配設スペースによって侵食されないようにすることができ、コイルボビン120の大型化を阻止することができる。
【0051】
この後、
図6に示す状態から、2次巻線(
図3ではB1〜B9で表される)を巻回する処理が行なわれる。2次巻線は、上記1次巻線の巻回処理とは丁度、点対称状態となるように巻線170が引き廻される。
【0052】
すなわち、2次巻線である巻線170の巻線始端(図示せず)を、図中下側から2番目の巻線接続用端子142Aに接続し、
図9中の突起127Aと空間部129Aの内壁面との間のスペース128Aを通過させた後、図中
左側の端部溝123Aにはめ入れ、巻回された1次巻線をなぞるようにして、鍔部121Bに向かって反時計回りで巻回していく。この間に、1次巻線の巻線170と同様にして、中央溝124および端部溝123Bにはめ入れて、巻軸部122への巻線170の1層分の巻回を終了する。
【0053】
そして、図中
右側の端部溝123Bから引き出された2次の巻線170を鍔部121B側の突起127Bの周囲に沿わせて突起127Bと空間部129Bの内壁面との間のスペース128Bを通過させ、突起127Bに係止させ、所望の方向に巻線170を引き出す。
すなわち、このとき突起127Bにおける2次の巻線170の係止高さを調整することができ、また弛ませずに鍔部121A方向に引き廻すことができるので、すでに巻回された2次の巻回巻線172(図示せず)の巻姿を崩すことなく、折り返し線(図示せず)を鍔部121Aのドーム状の空間部129Aの内壁面まで引き廻すことができる。
この後、2次の巻線170は、ドーム状の空間部129Aの内壁面に沿い、さらに端子台140の底壁面の形状に沿って引き廻され、その巻線終端(図示せず)は、
図6中で最も
右方に位置する巻線接続用端子142Aに接続される。
【0054】
図7は、この巻軸部222に巻線270を巻回した第2の巻線巻回例を示すものである。上記第1の巻線巻回例が、1次巻線について、鍔部121Bから鍔部121Aに向かう巻線引き廻しの往路において巻線の巻回を行い、鍔部121Aから鍔部121Bに向かう巻線引き廻しの復路において、折返し線173を略直線的に引き廻すようになっているのに対し、この第2の巻線巻回例は、1次巻線について、鍔部221Bから鍔部221Aに向かう巻線引き廻しの往路において折返し線273を突起227Aまで略直線的に引き廻し、鍔部221Aから鍔部221Bに向かう巻線引き廻しの復路において巻線の巻回を行うようになっている。
2次巻線についても、第1の巻線巻回例と第2の巻線巻回例とでは、往路で処理する内容と復路で処理する内容が互いに逆の関係となっている。
【0055】
すなわち、1次巻線である巻線270の巻線始端271Aを、1つの巻線接続用端子242Bに接続し、端子台240の底壁面の形状に沿って引き廻した後、ドーム状の空間部229Bの内壁面に沿って巻軸部222の底面部まで下降させ、さらに、この底面部上を、突起227Aまで略直線的に引き廻す。
この後、この巻線270を、突起227Aの周囲に沿わせて突起227Aと空間部229Aの内壁面との間のスペース228Aを通過させ、突起227Aに係止させ、この後、図中
右側の端部溝223Aにはめ入れるようにして、巻軸部222の巻線巻回を開始する。
【0056】
すなわち、図中
右側の端部溝223Aにはめ入れた後、対向する端部溝223Aにはめ入れるようにして、鍔部221Bに向かって時計回りで巻回していく。この後、図中
右側の中央溝224にはめ入れ、次に対向する中央溝224にはめ入れ、さらに鍔部221Bに向かって時計回りで巻回していき、最後に、図中
右側の端部溝223Bにはめ入れ
、巻軸部222への巻回巻線272の1層分の巻回を終了する。
【0057】
この後、図中
左側の端部溝223Bから引き出された1次の巻線270は、突起227Bの外周に沿って略1周に亘って周回されて、引き廻し方向を逆方向に変更され、この後、ドーム状の空間部229Bの内壁面に沿い、さらに端子台240Bの底壁面の形状に沿って引き廻され、その巻線終端271Bは、
図7中で最も
左方に位置する巻線接続用端子242Bに接続される。
【0058】
図7に示す第2の巻線巻回例によれば、鍔部221Bから鍔部221Aに向かう1次巻線引き廻しの往路において折返し線273を突起227Aまで略直線的に引き廻し、この後、この折返し線273(巻線270)を鍔部221A側の突起227Aの周囲に沿わせて突起227Aとドーム状の空間部229Aの内壁面との間のスペース228Aを通過させ、突起227Aに係止させ、図中
右側の端部溝223Aの方向に巻線270を引き出すようにしている。
【0059】
この折返しを突起227Aに係止させることなく、そのまま巻回するようにした場合、この後、折返し線273の引き廻しに弛みが生じ、せっかく巻回した巻回巻線272の巻姿が崩れることになりかねないが、本実施形態においては、折返し線273(巻線270)を一端、突起227Aによって係止してから、端部溝223にはめ入れて巻軸部222に巻回させるようにしているから、巻回巻線272の巻姿を崩すことなく、この巻線270を鍔部221Bのドーム状の空間部229Aの内壁面まで引き廻すことができる。
【0060】
この後、上記第1の巻線巻回例と同様に、
図7に示す状態から、2次巻線(
図3ではB1〜B9で表される)を巻回する処理が行なわれる。2次巻線は、上記1次巻線の巻回処理とは丁度、点対称状態となるように巻線270が引き廻される。
【0061】
すなわち、2次巻線である巻線270の巻線始端(図示せず)を、図中下から2番面の巻線接続用端子242Aに接続し、端子台240Aの底壁面の形状に沿って引き廻した後、ドーム状の空間部229Aの内壁面に沿って巻軸部222の底面部まで下降させ、さらに、この底面部上を、突起227Bまで略直線的に引き廻す。
【0062】
この後、この巻線270を、突起227Bの周囲に沿わせて突起227Bとドーム状の空間部229Bの内壁面との間のスペース228Bを通過させ、突起227Bに係止させ、この後、図中
左側の端部溝223Bにはめ入れるようにして、巻軸部222の巻線巻回を開始する。
【0063】
巻線巻回は、図中
左側の端部溝223Bにはめ入れた後、対向する端部溝223Bにはめ入れるようにして、鍔部221Aに向かって時計回りで巻回していく。この後、図中
左側の中央溝224にはめ入れ、次に対向する中央溝224にはめ入れ、さらに鍔部221Aに向かって時計回りで巻回していき、最後に、図中
左側の端部溝223Aにはめ入れ、対向する端部溝223Aにはめ入れて、巻軸部222への巻回巻線272の1層分の巻回を終了する。
【0064】
そして、図中
右側の端部溝223Aから引き出された2次の巻線270は突起227Aの外周に沿って略1周に亘って周回されて、引き回し方向を逆方向に変更される。
【0065】
したがって、2次の折返し線273を弛ませずにこの後の巻線巻回を行うことができるので、2次の巻回巻線272の巻姿を崩すことなく、鍔部221Aのドーム状の空間部229Aの内壁面まで引き廻すことができる。
この後、2次の巻線270は、ドーム状の空間部229Aの内壁面に沿い、さらに端子台240Aの底壁面の形状に沿って引き廻され、その巻線終端(図示せず)は、
図7中で最も下方に位置する巻線接続用端子242Aに接続される。
【0066】
なお、本発明のコイルボビンおよびトランス装置としては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様のものを適用することができる。
例えば、上記実施形態のコイルボビンおよびトランス装置は、車載用各種電子機器等に用いるものとされているが、本発明のコイルボビンおよびトランス装置としては、その他の種々の装置に採用可能である。
【0067】
また、コイルボビン、およびカバー部材の形状としては上記実施形態のものに限られるものではなく、種々の形状やタイプのものに変更が可能である。
また、例えば、コイルボビンの巻軸部に隔壁を設けてもよい。
【0068】
また、コアについても、前述したように、2つのE字状のコアに限られるものではなく、断面略日字形状を構成できるものであれば、他の形状のコア要素を組み合わせたものであってもよい。また、コア要素は2つに限られるものではなく、3つ以上としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、突起127A、B(
図7の実施例において同じ;以下同じ)が設けられている位置は、この突起127A、Bの外側領域が、巻軸部122の巻線巻回領域における最も外側の位置よりもさらに外側とされているが、この突起127A、Bの内側領域は、巻軸部122の巻線巻回領域における最も外側の位置よりも内側とされていてもよいし、外側とされていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、突起127A、B、227A、Bが1対設けられているが、何れか一方のみを設けてもよい。
また、上記実施形態においては、1次巻線と2次巻線が共に対応する突起127A、B、227A、Bに係止されるようになっているが、何れか一方の巻線のみが係止されるように構成されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、巻軸部122の2つの面においてそれぞれ3つの溝部123A、B、124が設けられているが、巻軸部122の1つの面、あるいは3つの面において、これら3つの溝部123A、B、124を設けてもよい。
また、巻軸部が断面n角形である場合には、その面の内、1〜(n−1)面に3つの溝部123A、B、124を設けるようにしてもよい。
【0072】
巻軸部122が断面円形などである場合には、1周全てではなく、外周の一部に3つの溝部123A、B、124を設けるようにすればよい。
また、3つの溝部123A、B、124の形状およびサイズについては適宜変更が可能である。
【0073】
また、上記実施形態においては、粘着性帯状部として固定用粘着テープを用いているが、本発明のコイルボビンおよびトランス装置においてはこれに限られるものではなく、所定幅の帯状ベース部材の一方側の表面に、接着剤を塗布するようにした粘着性帯状部を用いてもよい。