特許第6805723号(P6805723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805723
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20201214BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20201214BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20201214BHJP
【FI】
   H02J3/38 110
   H02J3/32
   H02M7/48 R
   H02M7/48 M
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-209676(P2016-209676)
(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公開番号】特開2018-74682(P2018-74682A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】原 篤史
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6011739(JP,B1)
【文献】 特開2018−046622(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0251933(US,A1)
【文献】 特開2014−230386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統の電力を蓄電する蓄電池を各々含み、前記系統に対して互いに並列に接続される複数の電源部と、
前記複数の電源部同士を接続し、前記複数の電源部から出力される電圧の位相を調整するための第1電源間配線部とを備え、
前記複数の電源部は、各々、前記電源部と前記第1電源間配線部との間を接続状態または非接続状態にするための第1スイッチ部と、自身の前記電源部とは異なる他の前記電源部の前記第1スイッチ部のオンオフを検出する検出部とを含み、
前記検出部により、他の前記電源部の前記第1スイッチ部のオン状態を検出しない場合に、自身の前記電源部の前記第1スイッチ部をオンするように構成されている、電源装置。
【請求項2】
前記検出部は、自身の前記電源部の前記第1スイッチ部をオンする前に、他の前記電源部の前記第1スイッチ部のオンオフを検出するように構成されている、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記検出部により、他の前記電源部の前記第1スイッチ部のオン状態を検出した場合には、自身の前記電源部の前記第1スイッチ部はオンしないように構成されている、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記複数の電源部の前記検出部同士を接続する、前記第1電源間配線部とは互いに異なる第2電源間配線部をさらに備え、
前記検出部は、前記第2電源間配線部に接続され、他の前記電源部から前記第2電源間配線部を介して流れ込む電流によりオンする第2スイッチ部と、前記第2スイッチ部に接続され、前記第2スイッチ部がオンしたことにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行う第1絶縁素子と、前記第2スイッチ部に接続され、自身の前記第1スイッチ部がオンすることにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行う第2絶縁素子とを含み、
前記第2スイッチ部は、前記第2絶縁素子に電流が流れることにより、前記第2電源間配線部を介して他の前記電源部に電流を流すように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電源部は、3つ以上設けられており、
3つ以上の前記電源部は、互いに前記第1電源間配線部および前記第2電源間配線部により接続されている、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電源部は、前記系統からの交流電流を、前記蓄電池を蓄電するための直流電流に変換する電力変換部を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源装置に関し、特に、複数の電源部が並列に接続されている電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電源部が並列に接続されている電源装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電源装置では、並列に接続されている複数の電源部は、蓄電池に接続されている電力変換部(パワーコンディショナ)を含む。また、各電力変換部は、母線の有効・無効電力成分を検出するPQ検出部と、ドループ特性により有効電力成分に応じて出力周波数指令を調整する周波数調整器と、出力周波数指令を周波数補正指令により補正する周波数制御部と、を備える。すなわち、この電源装置では、電流が遅れ位相の場合、電力変換部の出力端電圧(母線の電圧)を下げ、電流が進み位相の場合、電力変換部の出力端電圧を上げる制御が行われる。これにより、複数の電源部から出力される交流電力の位相が揃えられる。
【0004】
ここで、特許文献1のような従来の電源装置において、各電源部を配線部により配線するとともに、基準となる電源部の出力電圧を直接的に検知することによって、基準となる電源部から出力される交流電力の位相に、他の電源部から出力される交流電力の位相を合わせる構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−119820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基準となる電源部の出力電圧を直接的に検知することによって、基準となる電源部から出力される交流電力の位相に、他の電源部から出力される交流電力の位相を合わせる構成では、複数の電源部間において、各電源部を接続する配線を介して、比較的大きな突入電流が流れるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電源部間において突入電流が発生するのを抑制することが可能な電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の局面による電源装置は、系統の電力を蓄電する蓄電池を各々含み、系統に対して互いに並列に接続される複数の電源部と、複数の電源部同士を接続し、複数の電源部から出力される電圧の位相を調整するための第1電源間配線部とを備え、複数の電源部は、各々、電源部と第1電源間配線部との間を接続状態または非接続状態にするための第1スイッチ部と、自身の電源部とは異なる他の電源部の第1スイッチ部のオンオフを検出する検出部とを含み、検出部により、他の電源部の第1スイッチ部のオン状態を検出しない場合に、自身の電源部の第1スイッチ部をオンするように構成されている
【0009】
この発明の一の局面による電源装置では、上記のように、検出部により、自身の電源部とは異なる他の電源部の第1スイッチ部のオンオフを検出することによって、他の電源部の第1スイッチ部がオンしている状態で、自身の電源部の第1スイッチ部をオンすることを防止することができる。すなわち、自身の電源部と他の電源部とが導通する(短絡する)のを防止することができる。その結果、電源部間(自身の電源部と他の電源部との間)において突入電流の発生を抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による電源装置において、好ましくは、検出部は、自身の電源部の第1スイッチ部をオンする前に、他の電源部の第1スイッチ部のオンオフを検出するように構成されている。このように構成すれば、自身の電源部と第1電源間配線部とを接続させる前に、他の電源部と第1電源間配線部との接続状態を確認することができるので、他の電源部の第1スイッチ部がオンしている状態で、自身の電源部の第1スイッチ部がオンするのを確実に防止することができる。その結果、電源部間において突入電流の発生を確実に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、検出部により、他の電源部の第1スイッチ部のオン状態を検出した場合には、自身の電源部の第1スイッチ部はオンせずに、検出部により、他の電源部の第1スイッチ部のオン状態を検出しない場合に、自身の電源部の第1スイッチ部をオンするように構成されている。このように構成すれば、他の電源部の第1スイッチ部のオン状態を検出した場合には、自身の電源部の第1スイッチ部はオンさせないので、他の電源部の第1スイッチ部がオンしている状態で、自身の電源部の第1スイッチ部がオンするのをより確実に防止することができる。
【0012】
上記一の局面による電源装置において、好ましくは、複数の電源部の検出部同士を接続する、第1電源間配線部とは互いに異なる第2電源間配線部をさらに備え、検出部は、第2電源間配線部に接続され、他の電源部から第2電源間配線部を介して流れ込む電流によりオンする第2スイッチ部と、第2スイッチ部に接続され、第2スイッチ部がオンしたことにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行う第1絶縁素子と、第2スイッチ部に接続され、自身の第1スイッチ部がオンすることにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行う第2絶縁素子とを含み、第2スイッチ部は、第2絶縁素子に電流が流れることにより、第2電源間配線部を介して他の電源部に電流を流すように構成されている。このように構成すれば、第1絶縁素子および第2絶縁素子によって絶縁された回路間における電気的な干渉の発生を抑制することができる。その結果、検出部を流れる電流にノイズ等が発生するのを抑制することができるので、検出部による検出精度の低下を抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による電源装置において、好ましくは、電源部は、3つ以上設けられており、3つ以上の電源部は、互いに第1電源間配線部および第2電源間配線部により接続されている。このように構成すれば、3つ以上の電源部の全ての電源部が、自身とは異なる他の電源部の第1スイッチ部のオンオフを検出することができる。
【0014】
上記一の局面による電源装置において、好ましくは、電源部は、系統からの交流電流を、蓄電池を蓄電するための直流電流に変換する電力変換部を含む。このように構成すれば、電力変換部によって、系統の電力を容易に蓄電池に蓄電することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、電源部間において突入電流が発生するのを抑制することが可能な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による電源装置の構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態による電源装置の検出部の回路構成を示した図である。
図3】本発明の一実施形態による電源装置の配線状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、図1を参照して、本実施形態による電源装置100の構成について説明する。
【0019】
(電源装置の構成)
図1に示すように、電源装置100は、系統200に対して互いに並列に接続される複数の分散型電源10を備えている。分散型電源10は、系統200の電力を蓄電する蓄電池1を含む。なお、図3に示すように、電源装置100は、3つの分散型電源10(後述する、1つのマスター電源部10aと2つのスレーブ電源部10b)を備えているが、図1および図2では、2つの分散型電源10(1つのマスター電源部10aと、1つのスレーブ電源部10b)間について説明している。なお、分散型電源10、マスター電源部10a、および、スレーブ電源部10bは、特許請求の範囲の「電源部」の一例である。
【0020】
電源装置100は、系統200の電力が不足している場合には、各分散型電源10の蓄電池1に蓄電された電力を系統200に供給するように構成されている。また、電源装置100は、系統200に余剰電力がある場合には、各分散型電源10の蓄電池1に系統200の余剰分の電力を蓄電するように構成されている。
【0021】
ここで、本実施形態では、分散型電源10は、蓄電池1に接続されている電力変換部2を含む。電力変換部2は、系統200からの交流電流を、蓄電池1を蓄電するための直流電流に変換する。また、電力変換部2は、蓄電池1からの直流電流を交流電流に変換する。電力変換部2により変換された交流電流は、系統200に供給される。なお、電力変換部2の系統200側には、高周波ノイズを選択的に除去するLCフィルタ2aが設けられている。
【0022】
分散型電源10は、電力変換部2およびLCフィルタ2aの系統200側に設けられるスイッチ3を含む。スイッチ3がオンされている場合は、電力変換部2と系統200との間において電力の供給が可能となる。
【0023】
各電力変換部2は、LCフィルタ2aおよびスイッチ3を介して、対応するトランス101に接続されている。トランス101により、電力変換部2からの交流電圧が昇圧される。また、各トランス101は、トランス101の系統200側において、母線102に一括に接続されている。また、母線102と系統200との間には、トランス103が設けられている。トランス103によって、母線102の交流電圧が昇圧される。
【0024】
各分散型電源10には、自身とは異なる他の分散型電源10との電圧情報等のやり取りを行うためのI/F基板4が設けられている。自身のI/F基板4と、他の分散型電源10のI/F基板4とは、後述する電源間配線部4bにより接続されている。なお、I/F基板4の動作については後述する。なお、以下では、電力変換部2からの電流とは、電力変換部2から出力され、LCフィルタ2aを通った電流のことを意味する。
【0025】
また、電源装置100は、複数の分散型電源10同士を接続し、複数の分散型電源10から出力される電圧の位相を調整するための電源間配線部20を備えている。各分散型電源10と電源間配線部20とは、各分散型電源10に設けられているスイッチ5を介して接続されている。スイッチ5がオンされることによって、電力変換部2からの電流が、スイッチ5を介して電源間配線部20に流れる。なお、複数の分散型電源10間の位相の調整方法については後述する。なお、電源間配線部20およびスイッチ5は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1電源間配線部」および「第1スイッチ部」の一例である。
【0026】
各分散型電源10には、自身の出力電圧の位相を制御するためのPLL調節器6と周波数制御部7とが設けられている。具体的には、複数の分散型電源10のうちの1つの基準となる分散型電源10(以下、マスター電源部10a)の位相と略一致させるように、基準の分散型電源10以外の分散型電源10(以下、スレーブ電源部10b)では、自身のPLL調節器6および周波数制御部7によって位相が制御される。
【0027】
詳細には、以下のように位相の制御を行う。まず、すべての分散型電源10のスイッチ3がオフしてる状態で、マスター電源部10aのスイッチ5をオンにする。これにより、マスター電源部10aの電力変換部2からの出力電圧が、電源間配線部20を介して、スレーブ電源部10bのPLL調節器6に入力される。そして、スレーブ電源部10bの周波数制御部7は、PLL調節器6からの出力信号に基づいて、スレーブ電源部10bの位相とマスター電源部10aの位相とを一致させるように制御を行う。これにより、各スレーブ電源部10bの出力電圧の位相と、マスター電源部10aの出力電圧の位相とが略一致する。
【0028】
各スレーブ電源部10bは、位相の制御が完了した後に自身のスイッチ3をオンすることによって、系統200に接続される。この時、PLL調節器6の下流側(電力変換部2側)に設けられている切り替え部8が、接続点8aから接続点8bにスイッチングされることにより、マスター電源部10aからの電流が、スレーブ電源部10bのPLL調節器6に流れないようにする。
【0029】
その後、マスター電源部10aでは、スイッチ5がオフされた後にスイッチ3がオンされる。その結果、マスター電源部10aおよびスレーブ電源部10bは、位相が同期されながら独立して並列運転する。
【0030】
ここで、本実施形態では、図2に示すように、各分散型電源10は、自身とは異なる他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを検出する検出部9を含む。たとえば、マスター電源部10aは、スレーブ電源部10bのスイッチ5がオンしているか否かを検知する。なお、検出部9は、I/F基板4に設けられている。
【0031】
具体的には、I/F基板4には、スイッチ5のオンオフと連動してオンオフされるスイッチ4aが設けられている。すなわち、自身のスイッチ5がオンしている時は、自身のスイッチ4aはオンし、自身のスイッチ5がオフしている時は、自身のスイッチ4aはオフしている。各分散型電源10は、他の分散型電源10のスイッチ4aのオンオフを判断することによって、他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを判断するように構成されている。
【0032】
また、本実施形態では、検出部9は、自身の分散型電源10のスイッチ5をオンする前に、他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを検出するように構成されている。具体的には、マスター電源部10aは、電源間配線部20を介してスレーブ電源部10bに電流を流すために自身のスイッチ5をオンさせる前に、スレーブ電源部10bのスイッチ5のオンオフを検出部9により検出する。
【0033】
また、本実施形態では、分散型電源10は、検出部9により、他の分散型電源10のスイッチ5のオン状態を検出した場合には、自身のスイッチ5はオンしない。また、分散型電源10は、検出部9により、他の分散型電源10のスイッチ5のオン状態を検出しない場合に、自身のスイッチ5をオンする。すなわち、マスター電源部10aは、スレーブ電源部10bのスイッチ5がオフされていることを確認してから、自身のスイッチ5をオンする。
【0034】
(検出部の構成)
図2に示すように、検出部9は、フォトカプラ90を含む。フォトカプラ90は、スイッチ4aに接続されている。各分散型電源10では、自身のスイッチ4aがオンされた場合、フォトカプラ90に、自身の電力変換部2側から電圧VP1が印加されるとともに電流が流される。なお、フォトカプラ90は、特許請求の範囲の「第2絶縁素子」の一例である。
【0035】
ここで、本実施形態では、各分散型電源10のフォトカプラ90は、自身のスイッチ5がオンすることに伴い自身のスイッチ4aがオンすることにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行う。具体的には、各分散型電源10では、フォトカプラ90に電流が流れることにより、フォトカプラ90のトランジスタ90aがスイッチングされ、電圧VP1とは異なる電圧VP2に基づく信号が、自身の制御基板に送信される。この信号により、各分散型電源10は、自身のスイッチ4aおよびスイッチ5がオンしていることを検知することが可能である。
【0036】
検出部9は、フォトカプラ90に接続されているスイッチ91を含む。また、分散型電源10は、複数の分散型電源10の検出部9同士を接続する電源間配線部4bを備える。具体的には、自身の分散型電源10のスイッチ91と、他の分散型電源10のスイッチ91とが、電源間配線部4bを介して接続されている。スイッチ91は、他の分散型電源10から電源間配線部4bを介して流れ込む電流によりオンする。たとえば、マスター電源部10aからの電流が、スレーブ電源部10bのスイッチ91に流れ込むことによって、スレーブ電源部10bのスイッチ91はオンする。以下に、スイッチ91の構成および動作を詳細に説明する。なお、スイッチ91および電源間配線部4bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第2スイッチ部」および「第2電源間配線部」の一例である。
【0037】
スイッチ91は、npnトランジスタ91aとpnpトランジスタ91bとが直列に接続されることによって構成されている。npnトランジスタ91aのエミッタと、pnpトランジスタ91bのエミッタとが接続されている。フォトカプラ90は、npnトランジスタ91aおよびpnpトランジスタ91bのベースに接続されている。また、npnトランジスタ91aのコレクタには電圧VP1が印加されている。また、電源間配線部4bは、npnトランジスタ91aのエミッタとpnpトランジスタ91bのエミッタとに接続されている。
【0038】
たとえば、マスター電源部10aにおいて、スイッチ4aがオンにされ、フォトカプラ90を通った電流がスイッチ91に流れた場合、npnトランジスタ91aおよびpnpトランジスタ91bのベースには電圧VP1が印加される。これにより、npnトランジスタ91aのコレクタからエミッタに電流が流れ、この電流は、電源間配線部4bを介してスレーブ電源部10bのスイッチ91に流れ込む。この時、スレーブ電源部10bにおいて、スイッチ4aはオフされている(スイッチ91のベースには電圧VP1は印加されていない)ので、pnpトランジスタ91bのエミッタからコレクタに電流が流れる。
【0039】
また、本実施形態では、検出部9は、スイッチ91に接続され、スイッチ91がオンしたことにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行うフォトカプラ92を含む。具体的には、フォトカプラ92は、スイッチ91のpnpトランジスタ91bのコレクタに接続されている。すなわち、スイッチ91のpnpトランジスタ91bのエミッタからコレクタに流れる電流は、フォトカプラ92を通る。フォトカプラ92に電流が流れることにより、フォトカプラ92のトランジスタ92aがスイッチングされ、電圧VP2に基づく信号が、制御基板に送信される。なお、フォトカプラ92は、特許請求の範囲の「第1絶縁素子」の一例である。
【0040】
すなわち、マスター電源部10aのスイッチ4aがオンされることに伴って、マスター電源部10aのnpnトランジスタ91aおよびスレーブ電源部10bのpnpトランジスタ91bがオン(マスター電源部10aのpnpトランジスタ91bおよびスレーブ電源部10bのnpnトランジスタ91aはオフ)され、スレーブ電源部10bのフォトカプラ92に電流が流れる。スレーブ電源部10bは、電流が自身のフォトカプラ92を通った際に送信される信号に基づき、マスター電源部10aのスイッチ4a(およびスイッチ5)がオンされていることを検知する。
【0041】
また、フォトカプラ92を通った電流は、GND(グランド)に流される。自身の分散型電源10のフォトカプラ92とGNDとの間と、他の分散型電源10のフォトカプラ92とGNDとの間とは、GND線4cによって接続されている。
【0042】
また、本実施形態では、図3に示すように、分散型電源10は、3つ設けられている。3つの分散型電源10は、互いに電源間配線部20および電源間配線部4bにより接続されている。すなわち、全ての分散型電源10は、自身とは異なる他の2つの分散型電源10と電源間配線部20により接続されている。また、全ての分散型電源10のI/F基板4は、自身とは異なる他の2つの分散型電源10のI/F基板4と電源間配線部4bにより接続されている。また、3つの分散型電源10のI/F基板4は、互いにGND線4cによっても接続されている。なお、この場合、3つの分散型電源10のうちの1つがマスター電源部10aであり、他の2つの分散型電源10がスレーブ電源部10bである。
【0043】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0044】
本実施形態では、上記のように、電源装置100は、系統200の電力を蓄電する蓄電池1を各々含み、系統200に対して互いに並列に接続される複数の分散型電源10と、複数の分散型電源10同士を接続し、複数の分散型電源10から出力される電圧の位相を調整するための電源間配線部20とを備える。そして、複数の分散型電源10が、各々、分散型電源10と電源間配線部20との間を接続状態または非接続状態にするためのスイッチ5と、自身の分散型電源10とは異なる他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを検出する検出部9とを含むように、電源装置100を構成する。これにより、検出部9により、自身の分散型電源10とは異なる他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを検出することによって、他の分散型電源10のスイッチ5がオンしている状態で、自身の分散型電源10のスイッチ5をオンすることを防止することができる。すなわち、自身の分散型電源10と他の分散型電源10とが導通する(短絡する)のを防止することができる。その結果、分散型電源10間(自身の分散型電源10と他の分散型電源10との間)において突入電流の発生を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、検出部9が、自身の分散型電源10のスイッチ5をオンする前に、他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを検出するように、電源装置100を構成する。これにより、自身の分散型電源10と電源間配線部20とを接続させる前に、他の分散型電源10と電源間配線部20との接続状態を確認することができるので、他の分散型電源10のスイッチ5がオンしている状態で、自身の分散型電源10のスイッチ5がオンするのを確実に防止することができる。その結果、分散型電源10間において突入電流の発生を確実に抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、検出部9により、他の分散型電源10のスイッチ5のオン状態を検出した場合には、自身の分散型電源10のスイッチ5はオンせずに、検出部9により、他の分散型電源10のスイッチ5のオン状態を検出しない場合に、自身の分散型電源10のスイッチ5をオンするように、電源装置100を構成する。これにより、自身の分散型電源10は、他の分散型電源10のスイッチ5がオンされていない状態で、自身の分散型電源10のスイッチ5をオンさせることができる。これにより、他の分散型電源10のスイッチ5のオン状態を検出した場合には、自身の分散型電源10のスイッチ5はオンさせないので、他の分散型電源10のスイッチ5がオンしている状態で、自身の分散型電源10のスイッチ5がオンするのをより確実に防止することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、検出部9が、電源間配線部4bに接続され、他の分散型電源10から電源間配線部4bを介して流れ込む電流によりオンするスイッチ91と、スイッチ91に接続され、スイッチ91がオンしたことにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行うフォトカプラ92と、スイッチ91に接続され、自身のスイッチ5がオンすることにより流れる電流に起因して、絶縁した回路間で信号の伝達を行うフォトカプラ90とを含むように、電源装置100を構成する。さらに、スイッチ91が、フォトカプラ90に電流が流れることにより、電源間配線部4bを介して他の分散型電源10に電流を流すように、電源装置100を構成する。これにより、フォトカプラ92およびフォトカプラ90によって絶縁された回路間における電気的な干渉の発生を抑制することができる。その結果、検出部9を流れる電流にノイズ等が発生するのを抑制することができるので、検出部9による検出精度の低下を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、分散型電源10が、3つ設けられており、3つの分散型電源10が、互いに電源間配線部20および電源間配線部4bにより接続されているように、電源装置100を構成する。これにより、3つの分散型電源10の全ての分散型電源10が、自身とは異なる他の分散型電源10のスイッチ5のオンオフを検出することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、分散型電源10が、系統200からの交流電流を、蓄電池1を充電するための直流電流に変換する電力変換部2を含むように、電源装置100を構成する。これにより、電力変換部2によって、系統200の電力を容易に蓄電池1に充電することができる。
【0050】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0051】
たとえば、上記実施形態では、分散型電源10が3つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、分散型電源10が2つまたは4つ以上設けられていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、検出部9に2つのフォトカプラ(90、92)が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、トランスなどの絶縁素子を用いてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、分散型電源10が、系統200への電力の送電(供給)と、系統200からの電力の受電との両方を行うことが可能である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、分散型電源10は、系統200に対しては、電力の送電(供給)は行わず電力の受電のみを行う、無停電電源であってもよい。この場合の無停電電源に含まれる電力変換部は、上記実施形態の電力変換部2とは異なり、系統200の交流電流を蓄電池1に蓄電するための直流電流に変換する機能のみを有し、蓄電池1からの直流電流を系統200への電力の送電のために交流電流に変換する機能は有しない。
【符号の説明】
【0054】
1 蓄電池
2 電力変換部
4b 電源間配線部(第2電源間配線部)
5 スイッチ(第1スイッチ部)
9 検出部
10 分散型電源(電源部)
10a マスター電源部(電源部)
10b スレーブ電源部(電源部)
20 電源間配線部(第1電源間配線部)
90 フォトカプラ(第2絶縁素子)
91 スイッチ(第2スイッチ部)
92 フォトカプラ(第1絶縁素子)
100 電源装置
200 系統
図1
図2
図3