(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の電池パック1について、
図1〜
図4を参照して説明する。各図において、T1は複数の電池セル30のセル積層方向であり、W1はセル幅方向または冷却用流体の流れ方向であり、H1はセル高さ方向である。セル積層方向T1は、直方体状の電池セル30のセル厚さ方向でもある。セル幅方向W1は、セル積層方向T1とセル高さ方向H1の両方に垂直な方向である。電池パック1では、セル高さ方向H1を鉛直方向に設定している。
【0012】
電池パック1は、複数の電池セル30を搭載する各種の電気機器に適用することができる。各種の電気機器は、例えば、蓄電池を有する装置、コンピュータ、車両等である。第1実施形態では、その一例として、電池パック1を、内燃機関と電池駆動のモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、電池駆動のモータによって走行する電気自動車等の車両に用いる場合について説明する。
【0013】
電池パック1は、少なくとも、所定複数個のモジュールケース4と、モジュールケース4の内部に収容された複数の電池セル30と、バスバ5を支持するバスバケース2と、バスバケース2またはモジュールケース4に装着可能なカバー部材7と、を備える。電池パック1は、セル積層方向T1に複数の電池セル30が配置される構成の電池モジュール3を所定複数個備える。各電池モジュール3は、これを構成するすべての電池セル30が直列また並列に結線されることにより、通電可能に接続されている。
図1〜
図3に示すように、隣り合って並置された電池モジュール3と電池モジュール3は、セル積層方向T1に並んで設置された状態で電気的に接続されている。
【0014】
隣り合うモジュールケース4とモジュールケース4は、1個のバスバケース2が装着されることにより、バスバケース2と一体に連結されている。電池パック1は、それぞれ電池モジュール3が収容された2個のモジュールケース4と、並置されている2個のモジュールケース4を一体に連結する1個のバスバケース2と、を備える。電池パック1が備えるバスバケース2は、各モジュールケース4とともに電池モジュール3を覆うように2個のモジュールケース4に装着されている連結ケース部材である。このように電池パック1は、並置された2個のモジュールケース4にわたって各モジュールケース4の上部に装着されて、2個のモジュールケース4を一体に連結して、それ自体が剛性強化部材となる1個のバスバケース2を備えている。
【0015】
電池パック1は、各モジュールケース4と1個のバスバケース2とを部分的に連結する連結部を複数個備えている。連結部は、各モジュールケース4について向かい合う側壁に各2個ずつの合計4箇所少なくとも設けられ、バスバケース2について向かい合う側壁に各4個ずつの合計8箇所少なくとも設けられている。2個のモジュールケース4は、1個のバスバケース2と複数個の連結部によって一体に結合されている。各連結部は、モジュールケース4に設けられた組付部42と、バスバケース2に設けられた組付部22と、連結用ねじ10と、を含んで構成されている。
【0016】
組付部22には、連結用ねじ10のおねじ部の外径寸法よりも大きい内径寸法である貫通穴が形成されている。組付部42は、連結用ねじ10のおねじ部と螺合するめねじ部が形成されたねじ穴を備えている。組付部22と組付部42は、モジュールケース4とバスバケース2とを適正な位置に設置した状態で貫通穴とねじ穴とが一致する位置に設けられている。
【0017】
各連結部は、一致した貫通穴とねじ穴とに対して連結用ねじ10を挿通して締め付けることにより、組付部22と組付部42とが連結用ねじ10によって一体になり、複数のモジュールケース4とバスバケース2と連結する連結機能を発揮する。また、各連結部は、バスバケース2およびモジュールケース4の少なくとも一方の一部によって形成されている嵌め合い手段や係合手段によって構成してもよい。
【0018】
並置された複数個の電池モジュール3の両端部には、電池パック1としての総正極側端子、総負極側端子をそれぞれ内蔵する端子用部材11が設置されている。電池セル30は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン電池、有機ラジカル電池であり、筐体内に収納された状態で自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置されている。
【0019】
電池パックに含まれる複数の電池セル30は、単電池でもあり、例えばアルミ缶等の外殻を構成する外装ケースを有し、直方体状の外装ケースの一端面から上方に突出する、正極端子である電極端子30aと負極端子である電極端子30bとを有する。電池パック1は、すべての電池セル30を直列に結線するように電極端子30aと電極端子30bとを接続する所定個数のバスバ5を備える。バスバ5は、導電性を有する材料で構成されている導電部材の一例である。バスバ5は、プレス加工により、2つの平板状部50、2つの平板状部50を連結するベント部、伝熱面積を増大するフィン部51等を有する形状となるように製造することができる。以下、電極端子30aと電極端子30bとを総称して電極端子と記載することがある。
【0020】
各電池セル30における外装ケースには、安全弁が設けられている。各安全弁は、電極端子30aと電極端子30bの間に位置し、電池セル30の内部圧力が異常な圧力になるときに破断するように設定されている。安全弁は、例えば、電池セル30の外装ケースの端面に開口した孔に薄い金属膜を貼り付けて塞いで構成されている。この場合には、電池セル30の内部圧力が異常な圧力になったときに、当該金属膜が破断して外装ケースの孔が開放されて、電池セル30の内部のガスが外装ケースの外部に放出されることにより、セル内圧が低下し、電池自身の破裂を防止することができる。
【0021】
モジュールケース4は、その内部に各電池セル30の全体を収容可能な深い箱状の部材である。モジュールケース4は、それぞれ電池セル30を収容する収容室を、収容する電池セル30と同数個備える。複数個の収容室は、セル積層方向T1に並ぶように設けられている。セル積層方向T1に隣接する収容室は、仕切り壁によって仕切られている。モジュールケース4は、所定間隔に設けられた仕切り壁によって電池セル30の外装ケースを支持して各電池セル30を保持する。モジュールケース4は、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。モジュールケース4は、底部と、底部から立設する4辺を囲む4つの側板部とを有して形成されている。側板部には、所定の位置に、電池パック1をボルトナット等の固定具によって車両側に固定する複数の取付部が設けられている。
【0022】
モジュールケース4は、一端である上端に4つの側板部によって囲まれた開口部を有している。各電池セル30は電極端子30aおよび電極端子30bが突出する端面とは反対側に位置する端面を先頭にして上端の開口部からモジュールケース4内に挿入されて、仕切り壁と仕切り壁の間の所定の位置に設置される。一対の側板部は、電池セル30のセル幅方向W1の両側に位置している。他の一対の側板部は、層状に設置された複数の電池セル30のセル積層方向T1、すなわち厚さ方向の両端に位置している。
【0023】
モジュールケース4の上端の開口部には、バスバ5を収容するバスバケース2が開口部を覆うように設置されている。この開口部には、各収容室に設置された電池セル30の電極端子30aおよび電極端子30bが露出するように配置されている。バスバケース2は、電気絶縁性を有した材料によって形成されて、バスバ5を支持し、バスバ5と電池セル30の外装ケースとを絶縁する支持部材である。バスバケース2は、例えば安全弁および各電極端子を除く外装ケースの上面部分を覆うように設けられている。
【0024】
バスバケース2は、安全弁から噴出したガスを所定の箇所に誘導するための排煙通路250を形成するダクト部25を有している。ダクト部25は、各電池セル30の安全弁が設けられている部位と内部の排煙通路250とが連通し、排煙通路250がシール構造によって外部と遮断されるように各電池セル30の上面との間に押さえる。ダクト部25と電池セル30の上面との間には、ゴムなどのシール部材を配置するようにしてもよい。例えば、ダクト部25において電池セル30の上面を押さえる部分には、エラストマ等の軟性の高い樹脂を二色食成形等により設けるようにしてもよい。ダクト部25は、バスバケース2においてセル積層方向T1の長さ全体にわたって、セル積層方向T1に沿うように延びている。ダクト部25は、耐熱性を有し、電池セル30の内部が異常な高圧状態になって、内部のガスが安全弁の破断によって噴き出しても、排煙通路250を形成する部分が溶けないで破損しない耐熱能力を有する。バスバケース2は、電気絶縁性を有する材料、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。
【0025】
バスバケース2は、ダクト部25に対してセル幅方向W1の両側のそれぞれに、セル積層方向T1に隣り合う電池セル30と電池セル30とを電気的に接続するバスバ5を収容している。電池セル30の上面は、バスバケース2に接触することにより、モジュールケース4に対する電極端子のセル高さ方向H1の位置が規定されることになる。
【0026】
バスバ5は、隣接する電池セル30に関して異極電極である電極端子同士を電気的に接続する。バスバ5と電極端子30aや電極端子30bとの電気的な接続は、例えば、超音波溶接、レーザー溶接、アーク溶接等の接続手段によって提供される。バスバ5と電池セル30は、平板状部50と電極端子30aまたは電極端子30bとの接合によって電気的に接続されている。
【0027】
図2に図示するように、一方側の電池モジュール3については、モジュールケース4内の電池集合体の一方端に位置する電池セル30の正極端子である電極端子30aは、一つの平板状部50を有するバスバ5aに接続されている。このバスバ5aの端部は、電池パック1全体の総端子部として端子用部材11に内蔵されている総正極側端子に電気的に接続されており、外部の電源供給部に電気的に接続されている。
【0028】
ダクト部25を間において反対側に位置する電池セル30の電極端子30bは、隣接する電池セル30の電極端子30aにバスバ5によって結線されている。さらにセル積層方向T1に積層設置される各電池セル30は、バスバ5によって順に直列結線されている。電池モジュール3の他方端に位置する電池セル30の負極端子である電極端子30bは、一つの平板状部50を有するバスバ5bに接続されている。このバスバ5bの端部は、隣接する他方側の電池モジュール3に電気的に接続されている。そして、他方側の電池モジュール3において、電池モジュール3の他方端に位置する電池セル30の負極端子である電極端子30bは、一つの平板状部50を有するバスバ5bに接続されている。このバスバ5bの端部は、電池パック1全体の総端子部として端子用部材11に内蔵されている総負極側端子に電気的に接続されており、外部の電源供給部に電気的に接続されている。このように、電池パック1全体の総端子部として両端に配されたバスバ5aとバスバ5bは、電力の供給および放出を行うために、例えば、リレー等を用いた電流の制御回路に接続されている。
【0029】
電極端子30aと電極端子30bとをバスバ5によって接続する工程を実施する場合には、まず、各電池セル30を、電極端子が設けられている端面とは反対側の端面を先頭にした姿勢で、モジュールケース4の上端開口部から各収容室に適正に収容して保持する。次に、モジュールケース4と電池モジュール3とを一体にした組み立て品の上端面に対してバスバケース2を組み付け、モジュールケース4の組付部42を貫通した穴部とバスバケース2の組付部22を貫通した穴部とに連結用ねじ10を挿通し締め付ける。モジュールケース4とバスバケース2との組み立て品に対して、バスバケース2のベース部20に形成された開口部から露出する電極端子に対応するバスバ5を所定位置に設置する。これにより、バスバ5は、平板状部50と電極端子とが接触する状態でバスバケース2によって支持されている。この状態で、各バスバ5について、平板状部50と電極端子とが接触している接触部に前述の溶接を行い、バスバ5と電極端子とを電気的に接合する。
【0030】
電池パック1は、所定の電池セル30と所定の電池セル30との間または、各電池セル30における電圧信号を送信するために配線される所定個数の電圧検出線6を備える。電圧検出線6は、電池情報に関係する電気信号を検出するためにバスバ5に対して接続されている検出用部材の一例である。電圧検出線6は、電池パック1に関わる各種の電池情報を検出するための電気信号検出用の線であり、バスバ5の所定の部位と電池監視ユニット等の制御装置とを接続する。電圧検出線6等の検出用部材は、バスバ5に接続されている一端からコネクタ端子に接続されている他端にかけて、バスバケース2の内部に内蔵されている形態でもよい。例えば、検出用部材は、バスバケース2に外表面に沿うように配線される形態であってもよい。
【0031】
電圧検出線6は、一端が接続されているバスバ5との接続部から延びて、電池側コネクタ13に内蔵されるコネクタ端子に他端が接続されている。電圧検出線6は、バスバ5との接続部から電池側コネクタ13のコネクタ端子まで延びる通信線である。電圧検出線6の他端と出力用コネクタ端子とは、例えば、かしめ加工または前述した溶接によって結合されている。電池側コネクタ13は、制御装置に接続されている入力用信号線の一端部である入力用コネクタ端子を内蔵する制御装置側のコネクタに接続されている。電圧検出線6は、電池モジュール3において所定の電位差を電気信号として検出し、出力用コネクタ端子が入力用コネクタ端子に導通可能に接続されることで、電池管理ユニット等を構成する制御装置に出力する。
【0032】
電池管理ユニット(Battery Management Unit)は、少なくとも、電池パック1が備える電池モジュール3の蓄電量を管理する機器であり、電池パック1に係る制御を行う電池制御ユニットの一例である。また、電池管理ユニットは、電池モジュール3に関する電流、電圧、温度を監視するとともに、電池モジュール3の異常、漏電異常等を管理する機器であってもよい。電池管理ユニットは、車両に搭載された各種の電子制御装置と通信可能に構成されている。電池管理ユニットには、電流センサによって検出された電流値に係る信号が入力されてもよいし、メインリレーやプリチャージリレーの作動を制御する制御装置であってもよい。電池管理ユニットは、電池モジュール3等の発熱体を冷却するための送風装置のモータの作動を制御する機器として機能することができる。
【0033】
電池セル30は、例えば、放電して電流が取り出される出力時および充電される入力時に自己発熱する。電池管理ユニットは、電池セル30の温度を常時モニターし、電池セル30の温度に基づいて送風装置の運転を制御する。例えば、電池管理ユニットは、送風装置のモータに、最大電圧に対して0%〜100%に含まれる任意の値のデューティ比に制御した電圧を印加して、各ファンの回転数を可変させることができる。電池パック1では、このデューティ制御によってファンの回転数を変化させることにより、送風装置による風量を多段階または無段階的に調節することができる。
【0034】
ダクト部25は、バスバケース2において、セル幅方向W1に関して中央部に位置し、さらにセル積層方向T1の長さ全体にわたる排煙通路250を有している。排煙通路250は、流体通路70の中央部で流体通路70に対して交差する。
【0035】
電池パック1は、電池セル30を冷却するための冷却用流体が流通する流体通路70を備える。カバー部材7は、バスバ5に接触させる冷却用流体が流通する流体通路70を、バスバ5との間に形成するように設置されている。カバー部材7は、電気絶縁性を有する材料、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。流体通路70は、冷却用流体がバスバ5の表面上を流れるように形成された通路である。流体通路70は、バスバケース2の外周壁23を貫通して形成された開口部を通路入口部12とする。外周壁23は、バスバケース2のベース部20の外周縁からベース部20に対して立ち上がる形状の立壁部である。電池パック1は、電池セル30を冷却するための冷却用流体が流通する流体通路を備える。この流体通路170は、冷却用流体が電池セル30における外装ケースの表面上を流れるように形成された通路であり、モジュールケース4の側壁部を貫通して形成された開口部を通路入口部14とする。
【0036】
送風装置は、流体通路70等に強制的な冷却用流体の流れを形成する流体駆動装置の一例である。送風装置の吸込み部は、連結ダクトによって、流体通路70の通路出口部16に連結されている。冷却用流体としては、例えば、空気、各種のガス、水、冷媒を用いることができる。
【0037】
冷却用流体は、送風装置の吸引力によって通路入口部12から流体通路70に流入し、通路入口部12に近い側に並ぶバスバ5の表面上に沿って流れる。そして、ダクト部25を乗り越えた後、通路入口部12から遠い側に並ぶバスバ5の表面上に沿って流れ、通路出口部16から電池パック1の外部に流出する。また、冷却用流体は、送風装置の吸引力によって通路入口部14から電池セルの外装ケース周囲に流入し、電池セル30の外装ケースの表面上に沿って流れ、電池パック1の外部に流出する。電池パック1の外部に流出した冷却用流体は、連結ダクト内の通路を介して吸込み部から送風装置に吸い込まれ、送風装置の吹出し部から外部に流出する。このように冷却用流体をバスバ5の表面や電池セル30の外装ケースの表面に接触するように強制的に流すことにより、電池セル30を冷却する性能を高めることができる。
【0038】
図1、
図3および
図5に図示するように、カバー部材7は、バスバ5が設置されている電池モジュール3の一面全体、例えば上面全体を覆う形状である。カバー部材7は、通路入口部12に近い側のバスバ5に対向する上流側屋根部7aと、通路出口部16に近い側のバスバ5に対向する下流側屋根部7cと、上流側屋根部7aと下流側屋根部7cとをつなぐ中間屋根部7bと、を有して形成されている。
【0039】
上流側屋根部7aは、電池モジュール3のバスバ設置面との間に、流体通路70の上流側に相当する扁平直方体状の通路を形成する平板状部である。下流側屋根部7cは、電池モジュール3のバスバ設置面との間に、流体通路70の下流側に相当する扁平直方体状の通路を形成する平板状部である。中間屋根部7bは、セル積層方向T1に延びる半筒状であり、半筒状の側面の端部において上流側屋根部7aおよび下流側屋根部7cのそれぞれに一体に繋がっている。中間屋根部7bは、ダクト部25との間に、流体通路70の一部が断面半ドーナツ状で電池モジュール3のセル積層方向長さ全体に延びるように、ダクト部25の外表面を覆っている。つまり、流体通路70は、上流側屋根部7aの内側でバスバ設置面に沿うように延びた後、中間屋根部7bの内側で電池モジュール3から離れるように立ち上がり電池モジュール3に近づくようにUターンし下流側屋根部7cの内側でバスバ設置面に沿うように延びる。
【0040】
カバー部材7には、上流側屋根部7aを貫通する2個の貫通穴72が設けられている。貫通穴72は、バスバケース2を覆うようにカバー部材7を適正に設置した状態で、ダクト部25に設けられた雌ねじ部251に対応する位置に設けられている。バスバケース2に対してカバー部材7を適正に設置した状態で、各ねじ71を貫通穴72に挿通して締め込んでいくと、各ねじ71が雌ねじ部251に螺合することにより、カバー部材7とバスバケース2とが一体に結合されることになる。
【0041】
図3の分解斜視図に図示するように、バスバケース2の外周壁23には、所定の嵌合部材が嵌合されることになる嵌合用凹部が形成されている。嵌合部材は、バスバケース2とカバー部材7とに挟まれるように設置されることにより、外周壁23の一部をなしている。各嵌合部材は、バスバケース2と同様に、電気絶縁性を有する材料、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。
【0042】
各嵌合用凹部は、外周壁23において先端が所定の深さ寸法分、凹んだ形状を呈している。所定の嵌合部材がこの凹みに嵌合されると、嵌合部材の先端部が周囲の外周壁23における先端部と同じ高さになる。したがって、各嵌合用凹部に所定の嵌合部材が嵌合された状態の外周壁23は、全周においてカバー部材7と接触する先端部を形成する。各嵌合用凹部は、嵌合される予定の嵌合部材と嵌合するための形状や嵌合部材を係止するための形状を有している。
図3に示すように、嵌合用凹部が設けられている外周壁23の部分は、通路入口部14や通路出口部16が形成されている壁部ではなく、冷却用流体が流れる方向、すなわち流体通路70の流体流通方向に沿うように延びている壁部である。
【0043】
次に、嵌合部材の一つである端子用部材11について説明する。端子用部材11は、電池モジュール3において最上位電位に相当する電極端子、最下位電位に相当する電極端子のいずれかに導通するように接続された導電性部材が内蔵された端子コネクタ部材である。この導電性部材は、導電性の材料で形成されており、バスバ5aまたはバスバ5bに接続されている。端子用部材11は、導電性部材と一体成形され、電気絶縁性を有する材料、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。
【0044】
端子用部材11は、電池パック1における、総正極端子部、総負極端子部を内蔵する部材として機能するとともに、バスバケース2とカバー部材7とに挟まれるように設置されて外周壁23の一部をなす。これにより、端子用部材11は、電圧出力部または電圧入力部として機能するだけでなくバスバケース2とカバー部材7とを連結する外周壁23の一部として機能し、バスバケース2とカバー部材7との間で流体通路70を電池パック1の外部に対して区画形成する。
【0045】
次に、第1実施形態の電池パック1によって得られる効果について説明する。電池パック1は、複数の電池セル30を含む所定複数個の電池モジュール3と、電池モジュール3をそれぞれ収容する所定複数個のモジュールケース4と、モジュールケース4とともに電池モジュールを覆うようにモジュールケース4に装着される連結ケース部材と、を備える。連結ケース部材は、それ自体が、並置されている複数のモジュールケース4を一体に連結する部材である。
【0046】
電池パック1は、モジュールケース4とともに電池モジュール3を覆う部材である連結ケース部材によって、並置された複数のモジュールケース4を一体に連結する構成を備えている。これにより、複数のモジュールケース4を一体に保持するための連結強度を、連結強度を高める専用の部品を用いることなく、電池モジュール3を覆う一部材である連結ケース部材によって高めることができる。したがって、電池パック1は、複数の電池モジュール3を一体に連結する連結強度の確保と部品点数の低減との両立を図ることができる。専用の部品によらない連結強度の確保により、衝撃対策や振動対策について部品点数の低減を図ることができる。部品点数の低減により、電池パック1の製造コストを抑制することができる。
【0047】
連結ケース部材は、複数の電池セル30を通電可能に接続する複数のバスバ5を支持するバスバケース2である。この構成によれば、複数の電池セル30を通電可能に接続するために必要なバスバ5を絶縁可能に支持するバスバケース2を用いて複数の電池モジュール3を一体に連結することにより、連結強度とバスバ支持機能とを併せ持つ連結ケース部材を提供できる。
【0048】
さらにバスバケース2は、電池モジュール3における一面全体を少なくとも覆った状態でモジュールケース4に装着されている。この構成によれば、連結強度とバスバ支持機能とを併せ持つバスバケース2について、電池モジュール3の一面全体にわたる剛性を高めることができ、電池パック1の強度向上が図れる。
【0049】
さらにバスバケース2には、バスバケース2の外面全体を覆うカバー部材7が固定されている。この構成によれば、カバー部材7がバスバケース2と一体に結合することにより、電池モジュール3の一面全体にわたる剛性をさらに高めることができる。
【0050】
電池モジュール3の外面は、モジュールケース4と連結ケース部材とによって囲まれている。この構成によれば、電池モジュール3の外面全体を、一体に連結されているモジュールケース4と連結ケース部材とで囲むため、電池パック1の強度向上を図ることができる。
【0051】
電池パック1が備える所定個数のモジュールケース4のすべては、1個の連結ケース部材によって一体に連結されている。この構成によれば、電池パック1が備えるモジュールケース4のすべてを1個の連結ケース部材に一体に連結するため、複数の連結ケース部材を連結する構成に比べて、剛性が高く、さらに少ない部品点数で専用の部品によらない連結強度の確保が図れる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の電池パック1の他の形態である電池パック101について
図5を参照して説明する。
図5において、第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第1実施形態と相違する内容について説明する。
【0053】
図5に示すように、電池パック101は、それぞれ電池モジュール3が収容された3個のモジュールケース4と、並置されている3個のモジュールケース4を一体に連結するバスバケース2と、を備える。電池パック101が備えるバスバケース2は、モジュールケース4とともに電池モジュール3を覆うようにモジュールケース4に装着されている連結ケース部材である。このように電池パック101は、並置されたモジュールケース4のすべてにわたってモジュールケース4の上部に装着されて、すべてのモジュールケース4を一体に連結して、それ自体が剛性強化部材となるバスバケース2を備えている。
【0054】
電池パック101は、バスバケース2と各モジュールケース4とを部分的に連結する上部の連結部80を備える。連結部80は、各モジュールケース4について向かい合う側壁に各2個ずつ設けられている。連結部80は、第1実施形態における組付部42、組付部22および連結用ねじ10に相当する。電池パック101は、隣り合うモジュールケース4とモジュールケース4とを部分的に連結する下部の連結部81を備える。連結部81は、モジュールケース4における向かい合う側壁に各2個ずつ設けられている。連結部80、連結部81は、バスバケース2またはモジュールケース4とは別体であるボルトナット、ねじ等の締結部材で構成してもよいし、バスバケース2およびモジュールケース4の少なくとも一方の一部である嵌め合い手段や係合手段で構成してもよい。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態の電池パック1の他の形態である電池パック201について
図6を参照して説明する。
図6において、第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第1実施形態および第2実施形態と相違する内容について説明する。
【0056】
図6に示すように、電池パック201は、それぞれ電池モジュール3が収容された3個のモジュールケース4と、並置されている2個のモジュールケース4をそれぞれ一体に連結する2個のバスバケース2と、を備える。電池パック201が備えるバスバケース2は、各モジュールケース4とともに電池モジュール3を覆うように各モジュールケース4に装着されている連結ケース部材である。このように電池パック201は、並置された3個のモジュールケース4にわたってモジュールケース4の上部に装着される2個のバスバケース2を備えている。各バスバケース2は、隣り合うモジュールケース4を一体に連結して、それ自体が剛性強化部材として機能する。
【0057】
電池パック201は、バスバケース2と各モジュールケース4とを部分的に連結する上部の連結部80を備える。連結部80は、各モジュールケース4について向かい合う側壁に各2個ずつ設けられており、各バスバケース2には、向かい合う側壁に各3個ずつ設けられている。電池パック201は、隣り合うモジュールケース4とモジュールケース4とを部分的に連結する下部の連結部81を備える。電池パック201における連結部80、連結部81は、第2実施形態で説明した連結部と同様の構成である。
【0058】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態の電池パック1の他の形態である電池パック301について
図7を参照して説明する。
図7において、前述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、前述の実施形態と相違する内容について説明する。
【0059】
図7に示すように、電池パック301は、モジュールケース4の個数、電池モジュール3の個数、バスバケース2の個数が電池パック1と相違する。電池パック301は、それぞれ電池モジュール3が収容された4個のモジュールケース4と、並置されている2個のモジュールケース4をそれぞれ一体に連結する2個のバスバケース2と、を備える。電池パック301が備えるバスバケース2は、各モジュールケース4とともに2個の電池モジュール3を覆うように2個のモジュールケース4に装着されている連結ケース部材である。このように電池パック301は、並置された2個のモジュールケース4にわたって各モジュールケース4の上部に装着されて、2個のモジュールケース4を一体に連結して、それ自体が剛性強化部材となるバスバケース2を2個備えている。
【0060】
電池パック301は、第1実施形態と同様に、各モジュールケース4とバスバケース2とを部分的に連結する連結部を複数個備えている。各連結部は、モジュールケース4の組付部42、バスバケース2の組付部22および連結用ねじ10によって構成されている。連結部は、各モジュールケース4について向かい合う側壁に各2個ずつの合計4箇所少なくとも設けられ、各バスバケース2について向かい合う側壁に各4個ずつの合計8箇所少なくとも設けられている。2個のモジュールケース4と1個のバスバケース2とでそれぞれ形成されて隣り合う2個のユニットは、締結部材、嵌め合い手段、または係合手段によって一体に結合されている。
【0061】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1実施形態の電池パック1の他の形態である電池パック401について
図8を参照して説明する。
図8において、前述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、前述の実施形態と相違する内容について説明する。
【0062】
図8に示すように、電池パック401は、バスバケース2の個数が電池パック301と相違する。電池パック401は、それぞれ電池モジュール3が収容された4個のモジュールケース4と、並置されている4個のモジュールケース4を一体に連結する1個のバスバケース2と、を備える。電池パック401が備えるバスバケース2は、各モジュールケース4とともに電池モジュール3を覆うように4個のモジュールケース4に装着されている連結ケース部材である。このように電池パック401は、並置された4個のモジュールケース4にわたって各モジュールケース4の上部に装着されて、4個のモジュールケース4を一体に連結して、それ自体が剛性強化部材となる1個のバスバケース2を備えている。
【0063】
電池パック401は、第1実施形態および第4実施形態と同様に、各モジュールケース4とバスバケース2とを部分的に連結する連結部を複数個備えている。連結部は、各モジュールケース4について向かい合う側壁に各2個ずつの合計4箇所少なくとも設けられ、バスバケース2について向かい合う側壁に各8個ずつの合計16箇所少なくとも設けられている。4個のモジュールケース4は、1個のバスバケース2と連結部によって一体に結合されている。
【0064】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0065】
前述の実施形態において電池集合体を構成する電池セルは、例えば、外装ケースが薄い平板状の形態をなし、外装ケースはラミネートシートで形成されている形態でもよい。ラミネートシートは、絶縁性の高い素材で構成されている。電池セルは、例えば、二つ折りにされたラミネートシートの端部同士を熱融着することにより当該端部同士を封止して密閉された扁平状容器の内部空間を有する。この内部空間には、電極集合体、電解質、端子接続部、正極端子部の一部、および負極端子部の一部を含む電池本体部が内蔵されている。したがって、複数の電池セルは、扁平状容器の周縁部が封止されることにより、扁平状容器の内部に、電池本体部が密封状態で収容されている。各電池セルは、扁平状容器から外方へ引き出された一対の電極端子を有する。
【0066】
電池パックに含まれる電池モジュール3の個数は前述の実施形態に記載された個数に限定するものではなく、2個以上の電池モジュール3が並べて設置されている構成であればよい。
【0067】
前述の実施形態において、電池モジュール3を構成する複数の電池セル30は、モジュールケース4の収容空間で、隣接する電池セル間に隙間を設けずに接触させた状態で設置される形態でもよいし、電池セル間に所定の隙間をあけて設置するようにしてもよい。