特許第6805725号(P6805725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805725
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20201214BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G06F21/31
   H04N1/00 838
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-209975(P2016-209975)
(22)【出願日】2016年10月26日
(65)【公開番号】特開2018-73009(P2018-73009A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 玉清
(72)【発明者】
【氏名】足立 豊史
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高▲崎▼ 啓典
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝則
【審査官】 宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−084082(JP,A)
【文献】 特開2014−052780(JP,A)
【文献】 特開2008−022470(JP,A)
【文献】 特開2007−235706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31−21/46
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
メモリと、
対象画像処理装置が接続されている第1ネットワークおよび認証サーバとの通信を実行するための第1の通信インターフェースと、
第1認証情報の入力を受け付ける受付部と、
前記入力された前記第1認証情報に関連付けて第2認証情報が前記メモリに記憶されているか否かを判断する第1判断部と、
前記第2認証情報が前記メモリに記憶されていないことが前記第1判断部で判断された場合に、前記第1の通信インターフェースおよび前記第1ネットワークを介して、前記対象画像処理装置に前記第1認証情報および送信要求情報を送信する第1送信部であって、前記送信要求情報は、前記対象画像処理装置が前記第1認証情報に関連付けられている前記第2認証情報を記憶している場合に、前記第2認証情報を前記第1ネットワークを介して前記画像処理装置へ送信することを前記対象画像処理装置に要求する情報である、前記第1送信部と、
前記対象画像処理装置から前記第2認証情報を受信したか否かを判断する第2判断部と、
前記第2認証情報を前記対象画像処理装置から受信したと前記第2判断部で判断された場合に、前記受信した第2認証情報を認証サーバに送信することによって、前記第2認証情報を利用した認証を前記認証サーバに実行させる第2送信部と、
前記認証サーバでの認証が成功したことを示す成功情報を前記認証サーバから受信したか否かを判断する第3判断部と、
前記成功情報を受信したことが前記第3判断部で判断された場合に、前記画像処理装置の機能の実行が制限されている状態から、前記画像処理装置の機能の実行が可能な状態に遷移させる機能実行部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、さらに、
近距離無線通信を実行するための第2の通信インターフェースを備え、
前記受付部は、
前記第2の通信インターフェースを介して、前記第1認証情報を記憶している記録媒体から前記第1認証情報を受信することによって、前記第1認証情報の入力を受け付ける、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記対象画像処理装置から、前記対象画像処理装置が備える画像処理機能に関する各種の設定を示す設定情報を受信する第1受信部と、
前記第1受信部が受信した前記設定情報を、前記画像処理装置が備える前記画像処理機能に関する各種の設定としてコピーする設定実行部と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記対象画像処理装置が備える画像処理機能と同一の画像処理機能を前記画像処理装置が備えているか否かを判断する機能判断部をさらに備え、
前記設定実行部は、
前記同一の画像処理機能を前記画像処理装置が備えていることが前記機能判断部で判断された場合に、前記第1受信部が受信した前記設定情報をコピーし、
前記同一の画像処理機能を前記画像処理装置が備えていないことが前記機能判断部で判断された場合に、前記第1受信部が受信した前記設定情報をコピーしない、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定情報は、前記対象画像処理装置が備える複数の画像処理機能に関する各種の設定を示し、
前記画像処理装置は、さらに、
前記対象画像処理装置が備える複数の画像処理機能の各々について、当該画像処理機能と同一の画像処理機能を前記画像処理装置が備えているか否かを判断する機能判断部を備え、
前記設定実行部は、
前記設定情報のうち、
前記機能判断部で前記同一の画像処理機能を備えていると判断された画像処理機能に対応する一部の情報をコピーし、
前記機能判断部で前記同一の画像処理機能を備えていないと判断された画像処理機能に対応する残りの情報をコピーしない、請求項3又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理機能がスキャン機能である場合には、前記設定情報は、スキャン機能で利用される画像設定を含み、
前記画像処理装置は、さらに、
前記メモリの空き容量が所定値以上であるか否かを判断するメモリ判断部と、
前記第1受信部が受信した前記設定情報に、前記画像設定を利用したスキャン機能が実行された結果として生成されるスキャンデータの送信に関する送信設定が含まれているか否かを判断する第4判断部と、を備え、
前記設定実行部は、
前記メモリの空き容量が所定値以上であることが前記メモリ判断部で判断され、かつ、前記設定情報に前記送信設定が含まれていることが前記第4判断部で判断された場合に、前記設定情報に含まれている前記画像設定および前記送信設定を、前記画像処理装置が備えるスキャン機能に関する画像設定および前記送信設定としてコピーする、第1スキャン設定部を備える、請求項3から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理機能がスキャン機能である場合には、前記設定情報は、スキャン機能で利用される画像設定を含み、
前記画像処理装置は、さらに、
前記第1受信部が受信した前記設定情報に、前記画像設定を利用したスキャン機能が実行された結果として生成されるスキャンデータの送信に関する送信設定が含まれているか否かを判断する第4判断部を備え、
前記設定実行部は、
前記設定情報に前記送信設定が含まれていないことが前記第4判断部で判断された場合に、前記設定情報に含まれる前記画像設定を、前記画像処理装置が備える前記スキャン機能に関する画像設定としてコピーし、
前記設定情報に前記送信設定が含まれていることが前記第4判断部で判断された場合に、前記設定情報を、前記画像処理装置が備える前記スキャン機能に関する画像設定としてコピーしない第2スキャン設定部を備える、請求項3からのいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理機能がスキャン機能である場合には、前記設定情報は、スキャン機能で利用される画像設定を含み、
前記画像処理装置は、さらに、
前記第1受信部が受信した前記設定情報に、前記画像設定を利用したスキャン機能が実行された結果として生成されるスキャンデータの送信に関する送信設定が含まれているか否かを判断する第4判断部を備え、
前記設定実行部は、
前記設定情報に前記送信設定が含まれていることが前記第4判断部で判断された場合に、前記設定情報に含まれる前記画像設定および前記送信設定を、前記画像処理装置が備える前記スキャン機能に関する画像設定および送信設定としてコピーし、
前記設定情報に前記送信設定が含まれていないことが前記第4判断部で判断された場合に、前記設定情報に含まれる前記画像設定を、前記画像処理装置が備える前記スキャン機能に関する画像設定としてコピーする第3スキャン設定部を備える、請求項3からのいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記設定情報は、
前記画像処理機能で利用される画像設定と、
前記対象画像処理装置以外の装置への前記画像設定のコピーが許可されているか否かを示す許可情報と、を含み、
前記設定実行部は、
前記第1受信部が受信した前記設定情報に含まれる前記許可情報が、コピーが許可されていることを示す場合に、前記設定情報をコピーし、
前記第1受信部が受信した前記設定情報に含まれる前記許可情報が、コピーが許可されていないことを示す場合に、前記設定情報をコピーしない、請求項3からのいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2判断部は、前記対象画像処理装置が最後に動作した日時を示す動作日時情報を前記対象画像処理装置から受信したか否かをさらに判断し、
複数の前記対象画像処理装置の各々から前記第2認証情報を受信したことが前記第2判断部で判断され、かつ、複数の前記対象画像処理装置の各々から前記動作日時情報を受信したことが前記第2判断部で判断された場合に、前記複数の対象画像処理装置のうち、最も直近に動作した前記対象画像処理装置を選択する選択部をさらに備え、
前記設定実行部は、前記選択部で選択された前記対象画像処理装置から受信した前記設定情報を、前記画像処理装置が備える前記画像処理機能に関する各種の設定としてコピーする、請求項3からのいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記設定情報は、
前記画像処理機能で利用される画像設定と、
前記対象画像処理装置以外の装置への前記画像設定のコピーが許可されているか否かを示す許可情報と、
前記許可情報の内容が変更可能であるか否か示す変更情報と、を含み、
前記画像処理装置は、さらに、
前記第1の通信インターフェースを介した通信を伴わない画像処理が前記画像処理装置で実行された場合、および、
外部装置と連携した処理を実行するための外部連携プログラムが前記画像処理装置で起動された場合、
の少なくともいずれかの場合に、コピーが許可されていないことを示す前記許可情報を、コピーが許可されていることを示す前記許可情報に変更する第1変更部を備える、請求項3から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記設定情報は、
前記画像処理機能で利用される画像設定と、
前記画像設定が前記対象画像処理装置以外の装置へのコピーが許可されているか否かを示す許可情報と、
前記許可情報の内容が変更可能であるか否か示す変更情報と、を含み、
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が最後に動作してから所定期間が経過した場合、および、
前記認証サーバでの認証が失敗したことを示す失敗情報を前記認証サーバから受信した場合、
の少なくともいずれかの場合に、コピーが許可されていることを示す前記許可情報を、コピーが許可されていないことを示す前記許可情報に変更する第2変更部を備える、請求項3から11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像処理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置に搭載されるコンピュータを、
第1認証情報の入力を受け付ける受付部と、
前記入力された前記第1認証情報に関連付けて第2認証情報が前記画像処理装置のメモリに記憶されているか否かを判断する第1判断部と、
前記第2認証情報が前記メモリに記憶されていないことが前記第1判断部で判断された場合に、前記画像処理装置の第1の通信インターフェースおよび第1ネットワークを介して、対象画像処理装置に前記第1認証情報および送信要求情報を送信する第1送信部であって、前記第1の通信インターフェースは、前記対象画像処理装置が接続されている前記第1ネットワークおよび認証サーバとの通信を実行するためのインターフェースであり、前記送信要求情報は、前記対象画像処理装置が前記第1認証情報に関連付けられている前記第2認証情報を記憶している場合に、前記第2認証情報を前記第1ネットワークを介して前記画像処理装置へ送信することを前記対象画像処理装置に要求する情報である、前記第1送信部と、
前記対象画像処理装置から前記第2認証情報を受信したか否かを判断する第2判断部と、
前記第2認証情報を前記対象画像処理装置から受信したと前記第2判断部で判断された場合に、前記受信した第2認証情報を認証サーバに送信することによって、前記第2認証情報を利用した認証を前記認証サーバに実行させる第2送信部と、
前記認証サーバでの認証が成功したことを示す成功情報を前記認証サーバから受信したか否かを判断する第3判断部と、
前記成功情報を受信したことが前記第3判断部で判断された場合に、前記画像処理装置の機能の実行が制限されている状態から、前記画像処理装置の機能の実行が可能な状態に遷移させる機能実行部と、
として機能させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている技術は、認証が成功することに応じて機能を実行可能となる画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置が、ユーザアカウントを利用した認証を認証サーバに実行させる技術が知られている。当該技術では、認証サーバの管理者は、ユーザのユーザアカウントを認証サーバに予め登録する。そして、ユーザは、管理者から通知された当該ユーザアカウントを第1の画像処理装置に入力する。第1の画像処理装置は、入力されたユーザアカウントを認証サーバに送信し、ユーザアカウントを利用した認証を認証サーバに実行させる。第1の画像処理装置は、認証が成功したことを示す成功通知を認証サーバから受信する場合に、ユーザアカウントを記憶する。次回の認証を実行する際に、第1の画像処理装置は、ユーザアカウントが入力されなくても、記憶されたユーザアカウントを利用して、認証を認証サーバに実行させる。なお、関連する技術を、特許文献1が開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-50185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術において、認証が成功した後に、同じユーザが第1の画像処理装置とは異なる第2の画像処理装置を利用して認証を実行したい状況が想定される。第2の画像処理装置には、ユーザアカウントが記憶されていないため、ユーザは、ユーザアカウントを第2の画像処理装置に入力しなければならない。本明細書では、画像処理装置が、他の画像処理装置に記憶された認証情報を利用して、認証を認証サーバに実行させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本明細書に開示されている画像処理装置は、メモリと、対象画像処理装置が接続されている第1ネットワークおよび認証サーバとの通信を実行するための第1の通信インターフェースと、第1認証情報の入力を受け付ける受付部と、前記入力された前記第1認証情報に関連付けて第2認証情報が前記メモリに記憶されているか否かを判断する第1判断部と、前記第2認証情報が前記メモリに記憶されていないことが前記第1判断部で判断された場合に、前記第1の通信インターフェースおよび前記第1ネットワークを介して、前記対象画像処理装置に前記第1認証情報および送信要求情報を送信する第1送信部であって、前記送信要求情報は、前記対象画像処理装置が前記第1認証情報に関連付けられている前記第2認証情報を記憶している場合に、前記第2認証情報を前記第1ネットワークを介して前記画像処理装置へ送信することを前記対象画像処理装置に要求する情報である、前記第1送信部と、前記対象画像処理装置から前記第2認証情報を受信したか否かを判断する第2判断部と、前記第2認証情報を前記対象画像処理装置から受信したと前記第2判断部で判断された場合に、前記受信した第2認証情報を認証サーバに送信することによって、前記第2認証情報を利用した認証を前記認証サーバに実行させる第2送信部と、前記認証サーバでの認証が成功したことを示す成功情報を前記認証サーバから受信したか否かを判断する第3判断部と、前記成功情報を受信したことが前記第3判断部で判断された場合に、前記画像処理装置の機能の実行が制限されている状態から、前記画像処理装置の機能の実行が可能な状態に遷移させる機能実行部と、を備える。
【0006】
本明細書に開示の画像処理装置は、第2認証情報を記憶していなくても、対象画像処理装置に記憶された第2認証情報を利用して、認証を認証サーバに実行させることができる。
【0007】
なお、本明細書に開示の技術は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、画像処理装置を制御する制御装置、制御方法、制御プログラムを記録する記録媒体、画像処理装置と少なくとも1個の他の装置(例えば対象画像処理装置、認証サーバ)とを含む通信システム等の種々の態様で実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通信システムのブロック図である。
図2】複合機210内のテーブルT2に記憶されている設定情報の一例を示す。
図3】複合機310内のテーブルT3に記憶されている設定情報の一例を示す。
図4】複合機410内のテーブルT4に記憶されている設定情報の一例を示す。
図5】登録処理のフローチャートを示す。
図6図5の続きのフローチャートを示す。
図7図6の続きのフローチャートを示す。
図8図7の続きのフローチャートを示す。
図9】変更処理のフローチャートを示す。
図10】比較例のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
(通信システム1の構成)
図1に、本願に係る実施形態として例示される通信システム1のブロック図を示す。通信システム1は、複合機110、210、310、410、認証サーバ100、AP(Access Pointの略)50を備える。認証サーバ100は、インターネット70およびLAN(Local Area Networkの略)N1を介して複合機110、210、310、410と通信することが可能である。
【0010】
(複合機110、210、310、410の構成)
複合機110は、スキャン機能、印刷機能、コピー機能を実行可能な周辺機器(即ちPC等の周辺機器)である。複合機110は、操作部112と、表示部114と、無線LANインターフェース部118と、NFC(Near Field Communicationの略)インターフェース部119と、印刷実行部120と、スキャン実行部122と、制御部130と、を備える。各部112〜130は、バス線(符号省略)に接続されている。以下では、インターフェース部をI/Fと記載することがある。
【0011】
操作部112は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部112を操作することによって、様々な指示を複合機110に与えることができる。表示部114は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。
【0012】
無線LAN_I/F118は、通信回路を含むICチップを有し、Wi−Fi(Wi−Fi Allianceの登録商標)技術に従った無線通信を実行する。Wi−Fi技術は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.とも称する)の802.11の規格、および、それに準ずる規格(例えば、802.11a、11b、11g、11n等)に基づく無線通信手順である。無線LAN_I/F118は、アクセスポイントを介した無線通信(即ちインフラストラクチャモードの無線通信)を実行するためのI/Fである。無線LAN_I/F118は、AP50によって形成されているLAN_N1に接続されている。なお、変形例では、無線LAN_I/F118は、アクセスポイントを介さない無線通信(例えば、アドホックモードの無線通信、Wi−Fi Direct(Wi−Fi Allianceの登録商標)技術の無線通信)を実行するためのI/Fであってもよい。
【0013】
NFC_I/F119は、通信回路を含むICチップを有し、いわゆる近距離無線通信のためのNFC技術に従った無線通信を実行する。NFC技術は、例えば、ISO/IEC21481又は18092の国際標準規格に基づく無線通信手順である。NFC_I/F119は、NFCタグを備えるICカード10、20、30のいずれかである通信対象カードとの距離が所定距離(例:10cm)以内になることに応じて、自動的に近距離無線通信を実行し、NFCタグからデータを受信する。よって、ユーザが通信対象カードを複合機110に近接させることにより、NFC_I/F119とNFCタグとの間でNFC通信が自動的に実行される。その結果、複合機110は、通信対象カードからカード番号を受信する。ICカード10、20、30が有するカード番号は、それぞれ、「1111」、「2222」、「3333」である。ICカード10、20、30は、LAN_N1に接続されている複合機110、210、310、410を利用するユーザと一対一に対応する。即ち、各ユーザは、自己のカードを利用して、複合機110、210、310、410を利用可能である。
【0014】
印刷実行部120は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。印刷実行部120によって、印刷機能が実行される。スキャン実行部122は、CCD、CIS等のスキャン機構である。スキャン実行部122によって、スキャン機能が実行される。また、印刷実行部120およびスキャン実行部122が協同することによって、コピー機能が実行される。
【0015】
制御部130は、CPU132と、記憶部134と、を備える。CPU132は、記憶部134に記憶されているプログラム136に従って、様々な処理を実行するプロセッサである。記憶部134は、RAM、ROM等によって構成される。記憶部134は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってよい。
【0016】
記憶部134は、さらに、テーブルT1を記憶している。テーブルT1は、設定情報が記憶され得る。設定情報は、複合機110が備える複数の画像処理機能(即ち、スキャン機能、印刷機能、およびコピー機能)に関する各種の設定を示す情報である。なお、初期状態では、テーブルT1には設定情報が記憶されていない。設定情報は、後述の登録処理によって、又はユーザの入力によってテーブルT1に記憶され得る。
【0017】
複合機210、310、410は、複合機110と同様の構成である。複合機210、310、410は、それぞれテーブルT2〜T4を記憶している。テーブルT2〜T4には、それぞれの複合機210、310、410に関する設定情報が記憶されている。
【0018】
なお、本実施例では、複合機110が、印刷実行部120又はスキャン実行部122を備えない場合も想定する。複合機110は、印刷実行部120を備えない場合、印刷機能、およびコピー機能を有さないスキャナである。複合機110は、スキャン実行部122を備えない場合、スキャン機能、およびコピー機能を有さないプリンタである。また、複合機110は、印刷実行部120とスキャン実行部122とを備えていても、コピー機能を有さないこともある。
【0019】
(認証サーバ100の構成)
認証サーバ100は、インターネット70上に設置されるサーバである。認証サーバ100は、複合機110、210、310、410のベンダによって提供されるサーバであってもよい。認証サーバ100は、記憶部101とCPU102とネットワークI/F103とを備えている。CPU102は、記憶部101に記憶されているプログラム(図示省略)に従って、様々な処理を実行するプロセッサである。記憶部101は、ユーザアカウントを記憶する領域である。認証サーバ100は、ユーザアカウントが認証サーバ100の管理者によって入力されることによって、ユーザアカウントを記憶する。ユーザアカウントは、本実施例では、ユーザ名であるが、変形例では、ユーザ名およびパスワードの組み合わせであってもよい。
【0020】
ネットワークI/F103は、インターネット70に接続されている。認証サーバ100は、ネットワークI/F103を用いることで、AP50を介して複合機110、210、310、410と通信可能である。
【0021】
(複合機210内のテーブルT2に記憶されている設定情報の一例)
複合機210内のテーブルT2に記憶されている設定情報の一例を、図2を用いて説明する。上述したように、テーブルT2には、複合機210に関する設定情報が記憶されている。設定情報は、例えば、ユーザによって複合機210に入力された場合に、テーブルT2に記憶され得る。
【0022】
設定情報は、カード番号、ログイン時刻、ユーザアカウント、スキャン設定、印刷設定、コピー設定、許可情報、および変更情報を含む。カード番号は、複合機210にログインした際に利用されたICカードのカード番号である。ログイン時刻は、対応するユーザアカウントを利用して複合機210に最後にログインした(即ち複合機210が最後に動作した)日時を示す。ユーザアカウントは、複合機210にログインした際に利用されたユーザアカウントである。
【0023】
スキャン設定は、スキャン機能を実行する際に利用される設定(解像度、カラー等)である。スキャン設定には、画像設定と送信設定とを含むスキャン設定「送信設定あり」と、画像設定のみを含むスキャン設定「送信設定なし」と、がある。送信設定は、スキャン設定を利用したスキャン機能が実行された結果として生成されるスキャンデータの送信に関する設定である。例えば、送信設定は、スキャンデータの送信先である装置のメールアドレスである。また、例えば、送信設定は、スキャンデータを送信先である装置に記憶するために必要な電子証明書である。スキャンデータを複合機210内に記憶する場合、又は複合機210に接続されるUSB(Universal Serial Busの略)メモリに記憶する場合では、送信設定は不要である。これらの場合に利用されるスキャン設定は、スキャン設定「送信設定なし」である。一方、スキャンデータを外部装置に送信する場合では、送信設定が必要である。この場合に利用されるスキャン設定は、スキャン設定「送信設定あり」である。
【0024】
印刷設定は、印刷機能を実行する際に利用される設定(用紙サイズ、カラー等)である。
コピー設定は、コピー機能を実行する際に利用される設定(用紙サイズ、カラー等)である。許可情報は、複合機210以外の装置へのスキャン設定、印刷設定、およびコピー設定のコピーが許可されているか(「公開」)、コピーが許可されていないか(「非公開」)を示す。変更情報は、許可情報の内容が変更可能であるか(「可能」)、変更不可能であるか(「不可能」)を示す。
【0025】
図2のテーブルT2では、カード番号「1111」、ログイン時刻「13:00」、およびユーザアカウント「AAA」が関連付けて記憶されている。これらの情報にスキャン設定(送信設定なし)Sx1〜Sx4、スキャン設定(送信設定あり)Sy1〜Sy4、印刷設定P1〜P4、およびコピー設定C1〜C4が関連付けて記憶されている。設定Sx1、Sy1、P1、C1に許可情報「公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx2、Sy2、P2、C2に許可情報「公開」および変更情報「不可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx3、Sy3、P3、C3に許可情報「非公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx4、Sy4、P4、C4に許可情報「非公開」および変更情報「不可能」が関連付けて記憶されている。
【0026】
さらに、テーブルT2では、カード番号「2222」、ログイン時刻「13:30」、およびユーザアカウント「BBB」が関連付けて記憶されている。これらの情報にスキャン設定(送信設定なし)Sx5、Sx6、スキャン設定(送信設定あり)Sy5、Sy6、印刷設定P5、P6、およびコピー設定C5、C6が関連付けて記憶されている。設定Sx5、Sy5、P5、C5に許可情報「公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx6、Sy6、P6、C6に許可情報「非公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。
【0027】
(複合機310内のテーブルT3に記憶されている設定情報の一例)
複合機310内のテーブルT3に記憶されている設定情報の一例を図3を用いて説明する。上述したように、テーブルT3には、複合機310に関する設定情報が記憶されている。テーブルT2内の設定情報と同様の手法によって、設定情報は、テーブルT3に記憶され得る。
【0028】
テーブルT3内の設定情報の種類は、テーブルT2内の設定情報の種類と同様である。具体的には、図3のテーブルT3では、カード番号「1111」、ログイン時刻「12:00」、およびユーザアカウント「AAA」が関連付けて記憶されている。これらの情報にスキャン設定(送信設定なし)Sx7、Sx8、スキャン設定(送信設定あり)Sy7、Sy8、印刷設定P7、P8、およびコピー設定C7、C8が関連付けて記憶されている。設定Sx7、Sy7、P7、C7に許可情報「公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx8、Sy8、P8、C8に許可情報「非公開」および変更情報「不可能」が関連付けて記憶されている。
【0029】
さらに、テーブルT3では、カード番号「3333」、ログイン時刻「15:00」、およびユーザアカウント「CCC」が関連付けて記憶されている。これらの情報にスキャン設定(送信設定なし)Sx9、Sx10、スキャン設定(送信設定あり)Sy9、Sy10、印刷設定P9、P10、およびコピー設定C9、C10が関連付けて記憶されている。設定Sx9、Sy9、P9、C9に許可情報「公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx10、Sy10、P10、C10に許可情報「非公開」および変更情報「不可能」が関連付けて記憶されている。
【0030】
(複合機310内のテーブルT4に記憶されている設定情報の一例)
複合機310内のテーブルT4に記憶されている設定情報の一例を図4を用いて説明する。上述したように、テーブルT4には、複合機410に関する設定情報が記憶されている。テーブルT2内の設定情報と同様の手法によって、設定情報は、テーブルT4に記憶され得る。
【0031】
テーブルT4内の設定情報の種類は、テーブルT2内の設定情報の種類と同様である。具体的には、図4のテーブルT4では、カード番号「2222」、ログイン時刻「12:00」、およびユーザアカウント「BBB」が関連付けて記憶されている。これらの情報にスキャン設定(送信設定なし)Sx11、Sx12、スキャン設定(送信設定あり)Sy11、Sy12、印刷設定P11、P12、およびコピー設定C11、C12が関連付けて記憶されている。設定Sx11、Sy11、P11、C11に許可情報「公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx12、Sy12、P12、C12に許可情報「非公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。
【0032】
さらに、テーブルT4では、カード番号「3333」、ログイン時刻「12:30」、およびユーザアカウント「CCC」が関連付けて記憶されている。これらの情報にスキャン設定(送信設定なし)Sx13、Sx14、スキャン設定(送信設定あり)Sy13、Sy14、印刷設定P13、P14、およびコピー設定C13、C14が関連付けて記憶されている。設定Sx13、Sy13、P13、C13に許可情報「公開」および変更情報「可能」が関連付けて記憶されている。設定Sx14、Sy14、P14、C14に許可情報「非公開」および変更情報「不可能」が関連付けて記憶されている。
【0033】
(登録処理)
複合機110のCPU132がプログラム136に従って実行する登録処理を図5図8を用いて説明する。なお、複合機210、310、410も、同様の処理を実行してもよい。
【0034】
図5のS10では、CPU132は、通信対象カード(即ちICカード10、20、30のいずれか)が複合機110にタッチされたか否かを判断する。具体的には、CPU132は、NFC_I/F119と、通信対象カードとの距離が所定距離(例:10cm)以内になったことを検出した場合に、S10で肯定判断し、S12に進む。この場合、CPU132は、NFC通信を利用して、NFC_I/F119を介して、通信対象カードから、通信対象カードが記憶しているカード番号を受信することによって、カード番号の入力を受け付ける。一方、CPU132は、通信対象カードが複合機110にタッチされなかった場合に、S10で否定判断し、S10でループする。
【0035】
S12では、CPU132は、入力されたカード番号(以下では「対象番号」と記載することがある)に関連付けてユーザアカウントが記憶部134に記憶されているか否かを判断する。CPU132は、S12で肯定判断した場合に、S50に進み、S12で否定判断した場合に、S15に進む。
【0036】
S15では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して、カード番号および送信要求情報をブロードキャスト送信する。送信要求情報は、LAN_N1に接続されている装置(即ち複合機210、310、410)が対象カード番号に関連付けられているユーザアカウントを記憶している場合に、ユーザアカウントをLAN_N1を介して複合機110へ送信することを当該装置に要求する情報である。
【0037】
S20では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して受信された応答信号の数を判断する。応答信号は、送信要求情報に対する応答である。応答信号は、応答信号の送信元である装置(以下では「応答装置」と記載することがある)のMACアドレスと、応答装置内のテーブルにおいて対象カード番号に対応付けて記憶されているログイン時刻と、を含む。例えば、対象カード番号が「1111」である場合では、「1111」を記憶している複合機210、310(図2図3参照)から応答信号が受信される。CPU132は、S20で0個と判断した場合に、S65に進み、S20で1個と判断した場合に、S30に進み、S20で2個以上と判断した場合に、S25に進む。
【0038】
S25では、CPU132は、複数の応答装置のうち、対象カード番号に対応するユーザによって、最も直近に動作された対象装置を選択する。具体的には、CPU132は、最新のログイン時刻を含む応答信号の送信元である応答装置を選択する。上記の例では、複合機210、310のうち、カード番号「1111」に対応するログイン時刻が直近である複合機210(図2参照)が対象装置として選択される。
【0039】
S30では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して、ユーザアカウント要求を対象装置に送信する。なお、対象装置は、1個の応答装置のみから応答信号が受信された場合(S20で1個)では、当該1個の応答装置である。ユーザアカウント要求は、対象装置内のテーブルにおいて、対象カード番号に対応付けられて記憶されているユーザアカウントを対象装置に要求する情報である。
【0040】
S35では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して、対象装置からユーザアカウントを受信する。
【0041】
S50では、CPU132は、無線LAN_I/F118を介して、S35のユーザアカウントを認証サーバ100に送信することによって、ユーザアカウントを利用した認証を認証サーバ100に実行させる。
【0042】
S55では、CPU132は、認証サーバ100での認証が成功したことを示す成功情報を認証サーバから受信したか否かを判断する。CPU132は、成功通知を受信した場合に、S55で肯定判断し、S57に進む。一方、CPU132は、認証サーバ100での認証が失敗したことを示す失敗情報を認証サーバから受信した場合に、S55で否定判断し、S10に戻る。
【0043】
S57では、CPU132は、ユーザアカウントを記憶部134に記憶させる。これにより、次回の認証を実行する際に、CPU132は、記憶されたユーザアカウントを利用することができる。
【0044】
S60では、CPU132では、複合機110の機能の実行が制限されている状態から、複合機110の機能の実行が可能な状態に遷移させる(即ちロック解除する)。これにより、CPU132は、スキャン機能、印刷機能、およびコピー機能が実行可能となり、さらに、設定情報のコピー(後述の図6図8の処理)を実行可能となる。
【0045】
S65では、CPU132は、ユーザアカウントの入力を受け付けるためのユーザアカウント入力画面を表示部114に表示させる。
【0046】
S70では、CPU132は、ユーザアカウントを入力するための入力操作がユーザによって複合機110に実行されたか否かを判断する。CPU132は、S70で肯定判断した場合に、S75に進み、S70で否定判断した場合に、S70でループする。
【0047】
S75では、CPU132は、S70で入力されたユーザアカウントを利用して、S50と同様の処理を実行する。S80、S82、S85は、それぞれ、S55、S57、S60と同様である。CPU132は、S80で否定判断された場合、又はS85を終了した場合に、S10に戻る。
【0048】
図6のS110では、CPU132は、スキャン機能を備えているか否かを判断する。CPU132は、S110で肯定判断した場合に、S115に進み、S110で否定判断した場合に、図7のS210に進む。この場合、CPU132は、スキャン設定をコピーしない。
【0049】
S115では、CPU132は、パラメータKの初期値として「1」を設定する。S120では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して、図5の対象装置からK番目のスキャン設定、K番目の許可情報、およびK番目の変更情報(以下では「K番目のスキャン設定等」と記載することがある)を受信するか否かを判断する。K番目とは、対象装置内のテーブルの最上の列からK列目を指す。具体的には、CPU132は、K番目のスキャン設定等を要求するスキャン設定要求を対象装置に送信し、対象装置からK番目のスキャン設定等が受信される場合に、S120で肯定判断し、S125に進む。一方、CPU132は、スキャン設定要求を対象装置に送信し、対象装置からK番目のスキャン設定等が受信されない場合(即ち対象装置にK番目のスキャン設定等が記憶されていない場合)に、S120で否定判断し、図7のS210に進む。
【0050】
S125では、CPU132は、K番目のスキャン設定が公開されているか否かを判断する。具体的には、CPU132は、S120で受信したK番目の許可情報が「公開」を示す場合に、S125で肯定判断し、S130に進み、K番目の許可情報が「非公開」を示す場合に、S125で否定判断し、S155に進む。この場合に、CPU132は、K番目のスキャン設定をコピーしない。
【0051】
S130では、CPU132は、記憶部134の空き容量が所定値以上であるか否かを判断する。CPU132は、S130で肯定判断した場合に、S132に進み、S130で否定判断した場合に、S135に進む。
【0052】
S132では、CPU132は、K番目のスキャン設定に送信設定が含まれているか否かを判断する。CPU132は、S132で肯定判断した場合に、S145に進み、S132で否定判断した場合に、S140に進む。S135は、S132と同様である。S135で肯定判断された場合に、スキャン設定をコピーしない。
【0053】
S140では、CPU132は、K番目のスキャン設定(送信設定なし)(即ち画像設定のみ)をスキャン機能に関する画像設定としてコピーする(即ちテーブルT1に記憶する)。さらに、CPU132は、K番目の許可情報と、K番目の変更情報と、をコピーする。
【0054】
S145では、CPU132は、K番目のスキャン設定(送信設定あり)(即ち画像設定および送信設定)をスキャン機能に関する画像設定および送信設定としてコピーする。さらに、CPU132は、K番目の許可情報と、K番目の変更情報と、をコピーする。
【0055】
S155では、CPU132は、Kを1だけインクリメントする。CPU132は、S155を終了すると、S120に戻る。
【0056】
図7のS210では、CPU132は、印刷機能を備えているか否かを判断する。CPU132は、S210で肯定判断した場合に、S215に進み、S210で否定判断した場合に、図8のS310に進む。この場合、CPU132は、印刷設定をコピーしない。
【0057】
S215は、図6のS115と同様である。S220では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して、図5の対象装置からK番目の印刷設定、K番目の許可情報、およびK番目の変更情報(以下では「K番目の印刷設定等」と記載することがある)を受信するか否かを判断する。具体的には、CPU132は、K番目の印刷設定等を要求する印刷設定要求を対象装置に送信し、対象装置からK番目の印刷設定等が受信される場合に、S220で肯定判断し、S225に進む。一方、CPU132は、印刷設定要求を対象装置に送信し、対象装置からK番目の印刷設定等が受信されない場合(即ち対象装置にK番目の印刷設定等が記憶されていない場合)に、S220で否定判断し、図8のS310に進む。
【0058】
S225では、CPU132は、K番目の印刷設定が公開されているか否かを判断する。具体的には、CPU132は、S220で受信したK番目の許可情報が「公開」を示す場合に、S225で肯定判断し、S230に進み、K番目の許可情報が「非公開」を示す場合に、S225で否定判断し、S255に進む。この場合に、CPU132は、K番目の印刷設定をコピーしない。
【0059】
S230では、CPU132は、K番目の印刷設定を印刷機能に関する画像設定としてコピーする(即ちテーブルT1に記憶する)。さらに、CPU132は、K番目の許可情報と、K番目の変更情報と、をコピーする。
【0060】
S255は、図6のS155と同様である。CPU132は、S255を終了すると、S220に戻る。
【0061】
図8のS310では、CPU132は、コピー機能を備えているか否かを判断する。CPU132は、S310で肯定判断した場合に、S315に進み、S310で否定判断した場合に、図5のS10に戻る。この場合、CPU132は、コピー設定をコピーしない。
【0062】
S315では、図6のS115と同様である。S320では、CPU132は、無線LAN_I/F118およびLAN_N1を介して、図5の対象装置からK番目のコピー設定、K番目の許可情報、およびK番目の変更情報(以下では「K番目のコピー設定等」と記載することがある)を受信するか否かを判断する。具体的には、CPU132は、K番目のコピー設定等を要求するコピー設定要求を対象装置に送信し、対象装置からK番目のコピー設定等が受信される場合に、S320で肯定判断し、S325に進む。一方、CPU132は、コピー設定要求を対象装置に送信し、対象装置からK番目のコピー設定等が受信されない場合(即ち対象装置にK番目のコピー設定等が記憶されていない場合)に、S320で否定判断し、図5のS10に戻る。
【0063】
S325では、CPU132は、K番目のコピー設定が公開されているか否かを判断する。具体的には、CPU132は、S320で受信したK番目の許可情報が「公開」を示す場合に、S325で肯定判断し、S330に進み、K番目の許可情報が「非公開」を示す場合に、S325で否定判断し、S355に進む。この場合に、CPU132は、K番目のコピー設定をコピーしない。
【0064】
S330では、CPU132は、K番目のコピー設定をコピー機能に関する画像設定としてコピーする(即ちテーブルT1に記憶する)。さらに、CPU132は、K番目の許可情報と、K番目の変更情報と、をコピーする。
【0065】
S355では、図6のS155と同様である。CPU132は、S355を終了すると、S320に戻る。
【0066】
(変更処理)
複合機110のCPU132がプログラム136に従って実行する変更処理を、図9を用いて説明する。図9のS410では、CPU132は、無線LAN_I/F118を介した通信を伴わない画像処理が複合機110で実行されたか否かを判断する。当該画像処理は、印刷処理、コピー処理を含む。当該画像処理は、さらに、スキャンデータの保存先が記憶部134又はUSBメモリであるスキャン処理を含む。CPU132は、S410で肯定判断した場合に、S415に進み、S410で否定判断した場合に、S413に進む。
【0067】
S413では、CPU132は、外部装置と連携した処理を実行するための外部連携プログラムが複合機110で起動されたか否かを判断する。外部連携プログラムは、例えば、外部サーバが複合機に表示用画像データを供給することによって、表示用画像データによって表わされる表示画面を複合機に表示させるためのプログラムである。CPU132は、S413で肯定判断した場合に、S415に進み、S413で否定判断した場合に、S435に進む。
【0068】
S415では、CPU132は、変更可能な設定がテーブルT1に記憶されているか否かを判断する。具体的には、CPU132は、「可能」を示す変更情報がテーブルT1に記憶されている場合に、S415で肯定判断し、S420に進む。一方、CPU132は、「可能」を示す変更情報がテーブルT1に記憶されていない場合に、S415で否定判断し、S410に戻る。
【0069】
S420では、CPU132は、「可能」を示す変更情報に対応付けられている許可情報のうち、「非公開」を示す許可情報を、「公開」を示す許可情報に変更する。CPU132は、S420が終了すると、S410に戻る。
【0070】
S435では、CPU132は、複合機110に最後にログインしてから(即ち、複合機110が最後に動作してから)所定期間が経過したか否かを判断する。CPU132は、S435で肯定判断した場合に、S440に進み、S435で否定判断した場合に、S437に進む。
【0071】
S437では、CPU132は、認証サーバ100での認証が失敗したことを示す失敗情報を認証サーバ100から受信した場合に、S440に進み、失敗情報を受信しなかった場合に、S410に戻る。
【0072】
S440は、S415と同様である。S445では、CPU132は、「可能」を示す変更情報に対応付けられている許可情報のうち、「公開」を示す許可情報を、「非公開」を示す許可情報に変更する。CPU132は、S445が終了すると、S410に戻る。
【0073】
(本実施例の効果)
比較例の複合機510を利用した認証について図10を用いて説明する。T10では、ユーザは、ユーザ名およびパスワードを複合機510に入力する。T20では、複合機510は、ユーザ名およびパスワードを認証サーバに送信する。
【0074】
認証サーバ100は、T30において、受信されたユーザ名およびパスワードを利用した認証を実行し、T40において、成功通知を複合機510に送信する。
【0075】
T50では、ユーザは、ICカードを複合機510にタッチする。これにより、複合機510は、NFC通信を利用して、ICカードからカード番号を受信する。T60では、複合機510は、カード番号およびユーザ名を関連付けて記憶する。
【0076】
2回目の認証を実行する際に、ユーザは、T70において、ICカードをタッチする。複合機510は、ICカードからカード番号を受信すると、カード番号に関連付けて記憶されたユーザ名を読み出す。T80では、複合機510は、ユーザ名を認証サーバ100に送信する。認証サーバ100は、T90において、受信されたユーザ名を利用した認証を実行し、T100において、成功通知を複合機510に送信する。
【0077】
上記の比較例では、複合機510は、複合機510と通信可能な他の装置からユーザ名を受信することはない。即ち、仮に、他の装置にユーザ名が既に記憶されていたとしても、ユーザは、ユーザ名およびパスワード(即ちユーザアカウント)を複合機510に入力する必要がある(T10)。一方、本実施例では、複合機110は、ユーザアカウントを記憶している対象装置からユーザアカウントを受信し(図5のS35)、当該ユーザアカウントを利用して、認証サーバ100に認証を実行させることができる(S50)。一般的に言うと、本実施例では、ユーザは、LAN_N1に接続されている複数の複合機のうちの1個の複合機にユーザアカウントを入力して記憶させておけば、ユーザアカウントを他の複合機に入力せずに済む。
【0078】
複合機110は、NFC通信を利用して、ICカードからカード番号を受信している(図5のS10)。そのため、例えば、ユーザがカード番号を手入力する場合に比べて、ユーザの操作負荷を軽減させることができる。
【0079】
複合機110は、対象装置に記憶された設定情報をコピーしている(図6図8)。これにより、ユーザは、対象装置において利用した設定情報と同じ設定情報を、複合機110においても利用することができる。
【0080】
複合機110は、自機が備える画像処理機能に対応する設定情報のみをコピーしている(図6のS110、図7のS210、図8のS310)。これにより、複合機110は、利用する可能性がある設定情報をコピーでき、利用する可能性がない設定情報をコピーすることを防止できる。
【0081】
複合機110は、記憶部134の空き容量が小さい場合(図6のS130:NO)に、送信設定を含まないスキャン設定をコピーするが(S135:NO、S140)、送信設定を含むスキャン設定をコピーしない(S135:YES)。送信設定を含むスキャン設定は、送信設定を含まないスキャン設定に比べて、データサイズが大きいため、このように空き容量を節約すべき場合に、複合機110は、メモリ負荷を軽減できる。一方、複合機110は、記憶部134の空き容量が大きい場合(S130:YES)に、スキャン設定が送信設定を含むか否かに関わらず、スキャン設定をコピーする(S140、S145)。このように空き容量を節約しなくてもよい場合に、複合機110は、多くのスキャン設定をコピーできる。
【0082】
複合機110は、コピーが許可されている設定情報をコピーし、コピーが許可されていない設定情報をコピーしない(図6のS125、図7のS225、図8のS325)。これにより、複合機110は、コピーが許可されていない設定情報がコピーされることを防止できる。
【0083】
複合機110は、ユーザアカウントを記憶している複数の複合機のうち、最も直近に動作した複合機から設定情報をコピーする(図5のS25)。複数の複合機に異なる設定情報が記憶されている状況では、ユーザが利用したい設定情報は、最も直近に動作した複合機に記憶されている可能性が高い。従って、ユーザは、所望の設定情報を複合機110で利用できる。
【0084】
無線LAN_I/F118を介した通信を伴わない画像処理(即ち、印刷処理、コピー処理、ローカルにデータ保存するスキャン処理)が複合機110で実行された場合(S410:YES)では、ユーザは、設定情報を利用して、同じ画像処理を他の複合機でも利用する可能性が高い。この場合に、複合機110は、許可情報を「非公開」から「公開」に変更するので(S420)、設定情報を他の複合機にコピーし得る。なお、無線LAN_I/F118を介した通信を伴う画像処理(即ち、外部にデータ保存するスキャン処理)について、当該画像処理では、送信設定を含むスキャン設定が利用される。
【0085】
外部連携プログラムが複合機110で起動された場合(図9のS413:YES)では、一人のユーザが複数の複合機を利用する可能性が高い。この場合に、複合機110は、許可情報を「非公開」から「公開」に変更するので(S420)、設定情報を他の複合機にコピーし得る。
【0086】
複合機110に最後にログインしてから所定期間が経過した場合(図9のS435:YES)では、今後、ユーザが複合機110に記憶された設定情報を利用する可能性は低い。この場合に、複合機110は、許可情報を「公開」から「非公開」に変更するので(S445)、複合機110に記憶された設定情報が他の複合機にコピーされることを防止できる。
【0087】
認証サーバ100での認証が失敗したことを示す失敗情報が受信される場合(図9のS437:YES)では、ユーザアカウントが認証サーバ100で消去されている可能性がある。即ち、当該ユーザアカウントに対応付けられた設定情報を他の複合機にコピーする必要性が低くなる。この場合に、複合機110は、許可情報を「公開」から「非公開」に変更するので(S445)、複合機110に記憶された設定情報が他の複合機にコピーされることを防止できる。
【0088】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0089】
(変形例)
図5のS10に代えて、例えば、ユーザによってPINコードが複合機110に入力されてもよい。即ち、「第1認証情報」は、カード番号に限られず、PINコード等を含む。
【0090】
複合機110は、NFC_I/F119に代えて、Transferjet(登録商標)I/F、赤外線I/Fを備えていてもよい。即ち、「近距離無線通信」は、NFC通信に限られず、Transferjet、赤外線通信等を含む。また、「記録媒体」は、ICカードに限られず、NFCタグとして、又は、NFC規格のカードエミュレーションモードで動作可能な端末装置等を含む。
【0091】
複合機110のCPU132は、図6のS130を省略して、S132に進んでもよい。この場合、CPU132は、記憶部134の空き容量に関わらず、スキャン設定が送信設定を含むか否かに関わらず、スキャン設定をコピーする(S140、S145)。即ち、複合機110は、多くのスキャン設定をコピーできる。
【0092】
「画像処理装置」は、複合機に限られず、画像処理を実行可能なあらゆる機器(スキャナ、プリンタ等)を含む。
【0093】
NFC_I/F119は、省略することが可能である。設定情報を受信する処理(図6のS120、図7のS220、図8のS320)は、省略することが可能である。設定情報をコピーする処理(図6のS140、S145、図7のS230、図8のS330)は、省略することが可能である。画像処理機能を複合機110が備えているか否かを判断する処理(図6のS110、図7のS210、図8のS310)は、省略することが可能である。記憶部134の空き容量が所定値以上であるか否かを判断する処理(図6のS130)は、省略することが可能である。設定情報に送信設定が含まれているか否かを判断する処理(図6のS132、S135)は、省略することが可能である。最も直近に動作した対象装置を選択する処理(S25)は、省略することが可能である。「非公開」を示す許可情報を、「公開」を示す許可情報に変更する処理(S420)は、省略することが可能である。「公開」を示す許可情報を、「非公開」を示す許可情報に変更する処理(S445)は、省略することが可能である。以上より、一般的に言うと、複合機110は、「第1の通信インターフェース」と、「受付部」と、「第1判断部」と、「第1送信部」と、「第2判断部」と、「第2送信部」と、「第3判断部」と、「機能実行部」と、を少なくとも備えていればよい。
【0094】
上記の各実施例では、複合機110のCPU132が記憶部134内のプログラム136を実行することによって、図5図9の各処理が実現される。これに代えて、図5図9の各処理のうちの少なくとも1つの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0095】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0096】
複合機110は、画像処理装置の一例である。複合機210は、対象画像処理装置の一例である。LAN_N1は、第1ネットワークの一例である。無線LAN_I/F118は、第1の通信インターフェースの一例である。カード番号は、第1認証情報の一例である。ユーザアカウントは、第2認証情報の一例である。NFC通信は、近距離無線通信の一例である。ICカード10、20、30は、記録媒体の一例である。スキャン機能、印刷機能、およびコピー機能は、画像処理機能の一例である。スキャン設定、印刷設定、コピー設定、許可情報、および変更情報は、設定情報の一例である。送信設定を除くスキャン設定は、画像設定の一例である。ログイン時刻は、動作日時情報の一例である。図5のS10でYESは、受付部によって実行される処理の一例である。S12は、第1判断部によって実行される処理の一例である。S15は、第1送信部によって実行される処理の一例である。S20は、第2判断部によって実行される処理の一例である。S50は、第2送信部によって実行される処理の一例である。S55は、第3判断部によって実行される処理の一例である。S60は、機能実行部によって実行される処理の一例である。図6のS120、図7のS220、図8のS320は、第1受信部によって実行される処理の一例である。図6のS140、S145、図7のS230、図8のS330は、設定実行部によって実行される処理の一例である。図6のS110、図7のS210、図8のS310は、機能判断部によって実行される処理の一例である。図6のS132、S135は、第4判断部によって実行される処理の一例である。S145は、第1スキャン設定部によって実行される処理の一例である。S25は、選択部によって実行される処理の一例である。S420は、第1変更部によって実行される処理の一例である。S445は、第2変更部によって実行される処理の一例である。
【符号の説明】
【0097】
1:通信システム、C1〜C14:コピー設定、P1〜P14:印刷設定、Sx1〜Sx14、Sy1〜Sy14:スキャン設定、T1〜T4:テーブル、10〜30:ICカード、70:インターネット、100:認証サーバ、101、134:記憶部、103:ネットワークI/F、110、210、310、410、510:複合機、112:操作部、114:表示部、118:無線LAN_I/F、119:NFC_LAN_I/F、120:印刷実行部、122:スキャン実行部、130:制御部、132:CPU、134:記憶部、136:プログラム
図1
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図10