特許第6805728号(P6805728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805728
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】通電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20201214BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-211303(P2016-211303)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-108611(P2017-108611A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-235842(P2015-235842)
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】津田 守
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健
(72)【発明者】
【氏名】木下 拓
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−278938(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0253108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器が有する導体を流れる電流に応じて前記導体の周囲に生じる磁束の磁束密度を検出する磁気検出部と、前記磁気検出部が配設されるパッケージ内の温度を検出する温度検出部と、検出された前記温度に基づいて前記磁気検出部の検出結果に含まれる温度特性を補正する補正部と、検出された前記温度を示す温度情報を出力する出力部と、を有するセンサユニットと、
前記温度情報に基づいて前記電気機器が有する発熱体を流れる電流を制御する制御部を有する制御ユニットと、
を備え
前記制御部は、予め記憶されている前記温度情報と前記発熱体の温度上昇値との関係を示すマップと、前記センサユニットから伝達された温度情報とに基づいて前記発熱体の温度を推定し、推定結果に基づいて前記発熱体の動作を制御する通電制御システム。
【請求項2】
前記導体が、三相回転電機と、当該三相回転電機に入力される電力及び前記三相回転電機から出力される電力の少なくともいずれか一方の周波数を変換する周波数変換器とを電気的に接続する複数のバスバーであり、
前記発熱体が、前記周波数変換器が有する複数のスイッチング素子であり、
前記制御部は、各バスバーを流れる電流の電流値が、所定時間の間、ほぼ一定状態が継続したと判定した時、各バスバーを流れる電流の電流値のうち最も大きい値を示す電流値の電流が流れるバスバーを特定し、特定された前記バスバーを流れる電流を制御するスイッチング素子の温度上昇値を前記温度情報に基づいて推定し、推定された前記温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、当該スイッチング素子のオンDUTYを制限する請求項1に記載の通電制御システム。
【請求項3】
前記導体が、所定の入力電圧を昇圧して出力する電圧変換器が有するインダクタの出力端子に直列に接続され、
前記発熱体が、前記電圧変換器が有するスイッチング素子であり、
前記制御部は、前記インダクタの温度上昇値を前記温度情報に基づいて推定し、推定された前記温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、前記スイッチング素子のオンDUTYを制限する請求項1又は2に記載の通電制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度情報で示される前記パッケージ内の温度が予め設定された基準温度に達した場合に、当該温度情報を出力したセンサユニットの検出対象である磁束密度に係る磁束を生じさせる電流の流れを規制する請求項1からのいずれか一項に記載の通電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体の通電を制御する通電制御システム関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相モータを駆動する際に、入力電圧を所定の電圧に昇圧する電圧コンバータや、当該電圧コンバータの出力を周波数変換するインバータが利用されてきた。一方、このような電圧コンバータやインバータには、複数のスイッチング素子が利用される。これらのスイッチング素子は通電により自己発熱するが、電気的特性や定格はスイッチング素子の周囲温度に応じて規定されている。そこで、このようなスイッチング素子を利用するにあたっては、周囲温度を考慮する必要がある。このような周囲温度を考慮してスイッチング素子を利用する技術として例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の電気自動車は、三相モータに電力供給するインバータが用いられ、このインバータには複数のスイッチング素子が設けられる。この電気自動車には、スイッチング素子を冷却する冷媒の温度を計測する温度センサと、インバータの出力電流を計測する電流センサと、インバータへの入力電圧を計測する電圧センサとを備えて構成され、スイッチング素子毎に電流センサの計測データと、電圧センサの計測データと、スイッチング素子のデューティ比とに基づいて温度補正値を演算し、冷媒の温度の計測結果に温度補正値を加えてスイッチング素子の温度を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−48515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、スイッチング素子の温度の推定に複数のセンサの検出結果が用いられる。この場合、夫々の検出結果には誤差が含まれるため、スイッチング素子の温度の推定結果に含まれる誤差も大きくなる。したがって、スイッチング素子への通電を行うにあたり、電気的特性や定格に対してマージンを考慮する必要がある。このため、特許文献1に記載の技術ではスイッチング素子の能力を十分に活用することができない可能性がある。
【0006】
そこで、スイッチング素子の能力を十分に活用することが可能な通電制御システム求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る通電制御システムの特徴構成は、電気機器が有する導体を流れる電流に応じて前記導体の周囲に生じる磁束の磁束密度を検出する磁気検出部と、前記磁気検出部が配設されるパッケージ内の温度を検出する温度検出部と、検出された前記温度に基づいて前記磁気検出部の検出結果に含まれる温度特性を補正する補正部と、検出された前記温度を示す温度情報を出力する出力部と、を有するセンサユニットと、前記温度情報に基づいて前記電気機器が有する発熱体を流れる電流を制御する制御部を有する制御ユニットと、を備え、前記制御部は、予め記憶されている前記温度情報と前記発熱体の温度上昇値との関係を示すマップと、前記センサユニットから伝達された温度情報とに基づいて前記発熱体の温度を推定し、推定結果に基づいて前記発熱体の動作を制御する点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、磁気検出部により検出された磁束密度に応じた導体に流れる電流の測定と、磁気検出部が設けられるパッケージ内の温度の測定とを単一のセンサユニットにより行うことができる。したがって、この電流が想定される以上のものである場合に、制御ユニットが電流を制限することができるのはもちろん、温度が上昇し過ぎた場合にも当該制御ユニットが電流を制限することが可能となる。また、例えば導体を流れる電流をスイッチング素子により制御する構成である場合には、本通電制御システムでは、導体を流れる電流の電流値や温度上昇値の夫々の測定結果に基づきスイッチング素子を制御することができるため、誤差の小さい測定結果を利用した電流の制御を行うことができる。したがって、スイッチング素子の能力を十分に活用することが可能となる。
【0009】
また、このような構成とすれば、制御部が発熱体の温度の推定を精度良く行うことが可能となる。
【0010】
したがって、発熱体の能力を十分に活用することができると共に、発熱体の損傷を防止することができる。
【0011】
また、前記導体が、三相回転電機と、当該三相回転電機に入力される電力及び前記三相回転電機から出力される電力の少なくともいずれか一方の周波数を変換する周波数変換器とを電気的に接続する複数のバスバーであり、前記発熱体が、前記周波数変換器が有する複数のスイッチング素子であり、前記制御部は、各バスバーを流れる電流の電流値が、所定時間の間、ほぼ一定状態が継続したと判定した時、各バスバーを流れる電流の電流値のうち最も大きい値を示す電流値の電流が流れるバスバーを特定し、特定された前記バスバーを流れる電流を制御するスイッチング素子の温度上昇値を前記温度情報に基づいて推定し、推定された前記温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、当該スイッチング素子のオンDUTYを制限すると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、最も温度上昇が大きいスイッチング素子の特定し、特定された当該スイッチング素子に流れる電流を制御することができる。したがって、スイッチング素子の能力を十分に活用しつつ、当該スイッチング素子に過電流が流れることを防止できる。したがって、周波数変換器のスイッチング素子の損傷を防止することが可能となる。
【0013】
また、前記導体が、所定の入力電圧を昇圧して出力する電圧変換器が有するインダクタの出力端子に直列に接続され、前記発熱体が、前記電圧変換器が有するスイッチング素子であり、前記制御部は、前記インダクタの温度上昇値を前記温度情報に基づいて推定し、推定された前記温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、前記スイッチング素子のオンDUTYを制限すると好適である。
【0014】
昇圧用の電圧変換器では、理想的にはインダクタを流れる電流はスイッチング素子を流れる電流とダイオードを流れる電流との和となる。そこで、本構成とすれば、インダクタの温度上昇値に応じてスイッチング素子を流れる電流の電流値を推定することにより、電圧変換器のスイッチング素子の能力を十分に活用しつつ、当該スイッチング素子に過電流が流れることを防止できる。したがって、電圧変換器のスイッチング素子の損傷を防止できる。
【0015】
また、前記制御部は、前記温度情報で示される前記パッケージ内の温度が予め設定された基準温度に達した場合に、当該温度情報を出力したセンサユニットの検出対象である磁束密度に係る磁束を生じさせる電流の流れを規制すると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、制御部が磁気検出部の熱負荷状況を把握し、パッケージ内の温度が予め設定された基準温度に達した場合に、磁気検出部に対する熱負荷を軽減することが可能となる。したがって、磁気検出部の損傷を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係るセンサユニットの特徴構成は、電流が流れる導体の周囲に生じる磁束の磁束密度を検出する磁気検出部の検出結果を出力する第1出力端子と、前記磁気検出部の検出結果に含まれる温度特性の補正に用いられ、前記磁気検出部が配設されるパッケージ内の温度を検出する温度検出部の検出結果を出力する第2出力端子と、前記磁気検出部及び前記温度検出部に給電する正負一対の給電端子と、を備える点にある。
【0018】
このような特徴構成とすれば、磁気検出部の検出結果に含まれる温度特性(磁気検出部の温度特性)の補正に利用される温度の検出結果を、当該補正の用途以外にも利用することができる。したがって、例えば磁束密度の検出に加え、温度の検出も必要な用途である場合には、温度センサを別途、設ける必要がないので安価に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】通電制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2】センサユニットの構成を模式的に示す図である。
図3】マップに記憶されるマップデータの一例を示す図である。
図4】パッケージの温度変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の通電制御システム1及びセンサユニット100について説明する。図1は、通電制御システム1の構成を示したブロック図である。図1に示されるように、通電制御システム1は、センサユニット100と制御ユニット200とを備えて構成される。
【0021】
センサユニット100は、導体2に流れる被測定電流及びセンサユニット100の温度を測定するように構成されている。ここで、導体2に電流が流れる場合には、当該電流の大きさに応じて導体2を軸心として磁界が発生し、当該磁界により磁束が発生する。センサユニット100は、このような磁束の磁束密度を検出し、検出された磁束密度に基づいて導体2に流れる電流(電流値)を測定する。
【0022】
図2にはセンサユニット100の斜視図が示される。理解を容易にするために、被測定電流が流れる導体2が延出する方向を方向Aとし、この方向Aに直交する方向を夫々方向B及び方向Cとする。
【0023】
ここで、導体2は環状のコア3を貫通するように設けられる。導体2は、三相回転電機4(図1参照)と、当該三相回転電機4に入力される電力及び三相回転電機4から出力される電力の少なくともいずれか一方の周波数を変換する周波数変換器5(図1参照)とを電気的に接続するバスバーとして利用される。図1の例では、三相回転電機4として三相モータが示される。したがって、周波数変換器5は、バッテリ90等から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータが相当する。導体2は、このようなインバータにより交流電力に変換された電圧及び電流を三相モータに供給する。したがって、本実施形態では、センサユニット100は複数の導体2に流れる電流を被測定対象とする。
【0024】
また、導体2は、所定の入力電圧を昇圧して出力する電圧変換器6が有するインダクタ7の出力端子に直列に接続される。所定の入力電圧とは、バッテリ90から出力される電圧である。電圧変換器6は、この電圧をチョッパ方式で昇圧するDC/DCコンバータが相当する。導体2は、この電圧変換器6が有するインダクタ7とダイオード8とを直列に接続するのに用いられる。
【0025】
図2に戻り、コア3は、環状の一部に開口部分11を有し、磁性体から構成される。本実施形態に係るコア3は、溝部12を有する金属磁性体よりなる平板を図1のA方向に積層して形成される。上記金属磁性体は、軟磁性の金属であり、電磁鋼板(珪素鋼板)やパーマロイ等が相当する。このような磁性体として、例えば無方向電磁鋼板を用いることが可能である。もちろん、その他の電磁鋼板を用いることも可能である。コア3は、このような金属磁性体を打ち抜いて構成される。このようなコア3の溝部12に上述した導体2が挿通される。これにより、導体2の周囲に生じる磁束をコア3で集磁し易くなる。
【0026】
センサユニット100は、溝部12の開口部分11に設けられる。センサユニット100は、磁気検出部21、温度検出部22、補正部23、出力部24を有する。磁気検出部21は、電気機器300が有する導体2を流れる電流に応じて導体2の周囲に生じる磁束の磁束密度を検出する。電気機器300とは、本実施形態では上述した三相回転電機4としての三相モータや、周波数変換器5としてのインバータや電圧変換器6としてのDC/DCコンバータが相当する。磁気検出部21は、溝部12の開口部分11に生じる磁束密度を検出する。磁気検出部21は、公知のホールICや磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いると良い。
【0027】
温度検出部22は、磁気検出部21が配設されるパッケージ25内の温度を検出する。センサユニット100は、公知のモールド内に磁気検出部21が封入された状態で構成される。したがって、「磁気検出部21が配設されるパッケージ25」とは、センサユニット100のモールドが相当する。例えば、センサユニット100が所定のサイズのケースを有して構成される場合には、パッケージ25はこのようなケースが相当する。温度検出部22は、このようなパッケージ25内の温度を検出することができるように、磁気検出部21と一体的に構成される。特に、パッケージ25内において、磁気検出部21の近傍の温度を検出すると好適であることから、温度検出部22はパッケージ25内において磁気検出部21と隣接して配置すると良い。
【0028】
補正部23は、温度検出部22により検出された温度に基づいて磁気検出部21の検出結果に含まれる温度特性を補正する。磁気検出部21として用いられるホールICや磁気抵抗効果素子(MR素子)は、公知のように検出結果に温度依存性を有する。このため、磁気検出部21の検出結果は環境温度に応じて変動し、磁気検出部21の検出結果に精度を求める場合には、使用環境温度による温度変動量を補正する必要がある。磁気検出部21の温度依存性を規定する温度特性を、予め補正部23に記憶しておき、補正部23は、温度検出部22により検出された温度と、この温度特性とにより磁気検出部21の検出結果を補正する。これにより、磁気検出部21の検出結果から温度変動量を除くことができ、精度良い検出結果を利用することが可能となる。
【0029】
出力部24は、温度検出部22により検出された温度を示す温度情報を出力する。温度情報とは、温度検出部22の検出結果を電気信号化したものである。
【0030】
本実施形態に係るセンサユニット100は、4つの端子を備えて構成される。4つの端子とは、第1出力端子26、第2出力端子27、正負一対の給電端子28,29である。第1出力端子26は、磁気検出部21の検出結果を出力する。第2出力端子27は、磁気検出部21の検出結果に含まれる温度特性の補正に用いられる温度検出部22の検出結果を出力する。一対の給電端子28,29は、磁気検出部21及び温度検出部22に給電する正負の電源端子である。なお、図2には、4つの端子が、第1出力端子26、第2出力端子27、一対の給電端子28,29の順で並んで示しているが、この並びは特に限定されるものではない。
【0031】
これら4つの端子は、図示しない基板に設けられた電極に半田で接続される。第1出力端子26及び第2出力端子27は、当該基板の電極を介して後述する制御ユニット200に接続される。一対の給電端子28,29は当該基板に設けられた電源ラインに接続される。もちろん、4つの端子全てを制御ユニット200に接続するように構成しても良い。
【0032】
図1に戻り、制御ユニット200は、温度情報に基づいて電気機器300が有する発熱体9を流れる電流を制御する制御部31を有する。電気機器300とは、本実施形態では三相モータ、インバータ、DC/DCコンバータが相当する。発熱体9とは、電流が流れることにより発熱する部品である。本実施形態では、発熱体9は、インバータが有するスイッチング素子やDC/DCコンバータが有するスイッチング素子が相当する。具体的には、インバータやDC/DCコンバータが有するトランジスタQやダイオードDが相当する。
【0033】
制御部31が三相モータに流れる電流を制御する場合には、まず、制御部31は、各バスバーを流れる電流の電流値が、所定時間の間、ほぼ一定状態が継続したと判定した時、各バスバーを流れる電流の電流値のうち最も大きい値を示す電流値の電流が流れるバスバーを特定する。本実施形態では、バスバーは3つ備えられる。したがって、センサユニット100は夫々のバスバーに備えられ、夫々のセンサユニット100から磁気検出部21の検出結果が伝達される。制御ユニット200は、磁気検出部21の検出結果を使って夫々のバスバー毎に電流の値を演算する。この演算結果は制御部31に伝達される。
【0034】
例えば、三相モータの夫々の相電流は、互いに所定の位相差を有する正弦波からなる電流となる。しかしながら、モータがロックした場合(回転できなくなった場合)には、夫々の相電流が正弦波ではなく、直流電流(所定の脈動を含む直流電流)となる。このような状態が、上記「所定の時間の間、ほぼ一定状態が継続した」状態に相当する。ちなみに、モータがロックする時の例としては、例えば三相モータを車両の動力源として使用する場合には、車両が高い段差を乗り越えようとしても乗り越えられない状態や、障害物にあたってそれ以上進めない状態などが挙げられる。
【0035】
「所定時間の間、ほぼ一定状態が継続した」ことの判定は、例えば、複数のバスバーを流れる電流の電流値のうち、最大の電流値と2番目に大きい電流値との差異が、所定の閾値を超える状態が、ある時点から所定時間の間、継続したこととしても良いし、あるいは、複数のバスバーを流れる電流の電流値のうち、最大の電流値が、ある時点から所定時間の間、予め設定された範囲内で継続したこととしても良い。制御部31は、各バスバーを流れる電流の電流値が、所定時間の間、ほぼ一定状態が継続したと判定した時に、当該一定状態の継続中において各バスバーを流れる電流の電流値のうち最も大きい値を示す電流値の電流が流れるバスバーを特定する。
【0036】
次に、制御部31は、特定されたバスバーを流れる電流を制御するスイッチング素子の温度上昇値を温度情報に基づいて推定する。特定されたバスバーとは、上述したように最も大きい値を示す電流値の電流が流れるバスバーである。電流を制御するスイッチング素子とは、インバータが備えるスイッチング素子のうち、特定されたバスバーに電流を流すトランジスタQである。温度上昇値とは、基準となる温度(例えば25℃)に対して上昇した温度差である。
【0037】
ここで、制御部31には、センサユニット100の温度検出部22から温度情報が伝達される。この温度情報は、センサユニット100のパッケージ内の温度(特に磁気検出部21の近傍の温度)である。このため、インバータのスイッチング素子と、センサユニット100とは互いの距離を短くした状態で配置されるが、スイッチング素子の温度は温度検出部22の検出結果とは等しくない。
【0038】
そこで、制御部31は、予め記憶されている温度情報と発熱体9の温度上昇値との関係を示すマップを予め記憶しておき、当該マップと、センサユニット100から伝達された温度情報とに基づいて発熱体9の温度を推定する。このようなマップの一例が図3に示される。このマップは温度情報により示される温度とスイッチング素子の温度上昇値との関係を規定するものである。このような関係は、予め実験等により取得し、マップとして制御ユニット200内のマップ記憶部32に記憶しておくと良い。制御部31は、このようなマップと、電気機器300を冷却する冷媒の温度を測定する冷媒温度センサの検出結果とを用いて、発熱体9、すなわちスイッチング素子の温度を推定すると良い。
【0039】
次に、制御部31は、推定結果に基づいて発熱体9の動作を制御する。すなわち、推定された温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、当該スイッチング素子のオンDUTYを制限する。これにより、発熱しているスイッチング素子のオンDUTYが絞られるので、スイッチング素子に流れる電流を小さくすることができる。したがって、スイッチング素子の発熱量を低減することが可能となる。
【0040】
同様に、制御部31がDC/DCコンバータのスイッチング素子に流れる電流を制御する場合には、制御部31は、インダクタ7の温度上昇値を温度情報に基づいて推定し、推定された温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、スイッチング素子のオンDUTYを制限する。この場合にも、制御部31はマップ記憶部32に記憶されているマップを用いてインダクタ7の温度上昇値を推定すると良い。この温度上昇値が予め設定された値以上である場合には、DC/DCコンバータのトランジスタQに過剰な電流が流れていると予測されることから、制御部31はトランジスタQのオンDUTYを絞るように制御すると良い。これにより、トランジスタQに流れる電流を小さくすることができるので、トランジスタQの発熱量を低減することが可能となる。
【0041】
また、制御部31は、温度情報で示されるパッケージ25内の温度が予め設定された基準温度に達した場合に、当該温度情報を出力したセンサユニット100の検出対象である磁束密度に係る磁束を生じさせる電流の流れを規制するように構成することも可能である。温度情報は、上述したようにセンサユニット100の温度検出部22から伝達される情報であって、センサユニット100のパッケージ内の温度(特に磁気検出部21の近傍の温度)を示す情報である。「温度情報を出力したセンサユニット100の検出対象である磁束密度に係る磁束を生じさせる電流の流れを規制する」とは、センサユニット100がバスバーを流れる電流に起因した磁束密度を検出する場合にはバスバーに流れる電流の電流値が小さくなるように制限することを意味し、センサユニット100がDC/DCコンバータのインダクタ7を流れる電流に起因した磁束密度を検出する場合にはインダクタ7に流れる電流の電流値が小さくなるように制限することを意味する。
【0042】
したがって、制御部31は、バスバーを流れる電流に起因した磁束密度を検出するセンサユニット100から伝達された温度情報により示されるパッケージ25内の温度が予め設定された基準温度に達した場合には、インバータのスイッチング素子のオンDUTYを絞るように制御し、インダクタ7を流れる電流に起因した磁束密度を検出するセンサユニット100から伝達された温度情報により示されるパッケージ25内の温度が予め設定された基準温度に達した場合には、DC/DCコンバータのトランジスタQのオンDUTYを絞るように制御する。
【0043】
図4には、温度情報で示されるパッケージ25内の温度に基づいて電流の制御を行った場合のパッケージ25内の温度変化の一例が示される。図4に示されるように、時間t0で磁気検出部21が磁束密度の検出を開始したとする。これに伴い、パッケージ25内の温度が上昇する。
【0044】
時間t1で、パッケージ25内の温度が閾値となる基準温度T1に達すると、制御部31は、上述したような制御対象となるスイッチング素子のオンDUTYを絞るように制御する。これにより、磁気検出部21の検出対象である磁束密度に係る磁束の基となる電流の電流値が小さくするように制御され、パッケージ25内の温度が低下する。この時、図4に示されるように、パッケージ25内の温度が上記基準温度T1より小さい所定の温度T2からなる解除温度に達すると(時間t2)、制御部31は上記電流の規制を解除するように構成することが可能である。このようにヒステリシスを有するように構成することで、誤動作を防止できる。
【0045】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、三相回転電機4が三相モータであるとして説明したが、発電機であっても良い。この場合、周波数変換器5は発電機により出力された電力を整流する整流回路として機能し、スイッチング素子はダイオードDが相当する。このような構成であっても、本発明を適用することは可能である。
【0046】
上記実施形態では、電圧変換器6が昇圧用のDC/DCコンバータであるとして説明したが、降圧用のDC/DCコンバータであっても良いし、反転用のDC/DCコンバータであっても良い。もちろん、昇降圧用のDC/DCコンバータであっても良い。
【0047】
上記実施形態では、制御部31は、インバータのスイッチング素子に流れる電流を制御する場合には、推定されたインバータのスイッチング素子の温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、インバータのスイッチング素子のオンDUTYを制限し、DC/DCコンバータのスイッチング素子に流れる電流を制御する場合には、推定されたインダクタ7の温度上昇値が予め設定された値以上である場合に、DC/DCコンバータのスイッチング素子のオンDUTYを制限するとして説明した。上記「予め設定された値」は、互いに同じ値であっても良いし、異なる値(例えば「予め設定された第1値」及び「予め設定された第2値」)であっても良い。
【0048】
本発明は、発熱体の通電を制御する通電制御システム用いることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:通電制御システム
2:導体
4:三相回転電機
5:周波数変換器
6:電圧変換器
7:インダクタ
9:発熱体
21:磁気検出部
22:温度検出部
23:補正部
24:出力部
25:パッケージ
26:第1出力端子
27:第2出力端子
28:給電端子
29:給電端子
31:制御部
100:センサユニット
200:制御ユニット
300:電気機器
図1
図2
図3
図4