(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電池組立体の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態の電池パック10は、車両などに搭載されるバッテリパックである。電池パック10は、
図1に示す如く、複数個の電池モジュール12を備えており、例えば6個の電池モジュール12を用いて構成される。各電池モジュール12は、
図2、
図3、及び
図4に示す如く、複数個の電池セル14を備えている。各電池モジュール12は、例えば12個の電池セル14を用いて構成される。このため、電池パック10は、例えば72(=6×12)個の電池セル14を用いて構成される。電池パック10及び電池モジュール12は、電池組立体に相当する。尚、
図4乃至
図7においては、後述する電気配線、拘束部材、樹脂部材、及びバスバが、断面を示すハッチングで表されている。
【0013】
各電池セル14は、リチウムイオン二次電池などの単電池である。各電池セル14は、箱型すなわち六面体である直方体形状に形成されており、金属製などの筐体からなる。各電池セル14は、セル端子として、正極端子16と、負極端子18と、を有している。正極端子16及び負極端子18は、電池セル14の有する六面のうちの一つの同じ面(以下、端子面と称す。)14aに設けられており、その端子面14aから一段飛び出るように載置されている。端子面14aは、薄肉方向に延びる2つの短辺を含む面である。正極端子16及び負極端子18は、端子面14aの長手方向中央部を挟んだ両側に配置されている。各電池セル14はそれぞれ、所定電圧を出力することが可能である。
【0014】
各電池モジュール12において、電池セル14は、端子面14aを上面とした状態で第1方向(具体的には、
図1及び
図2に示すX軸方向)に並んで複数配置されていると共に、第2方向(具体的には、上記第1方向に直交する
図1及び
図2に示すY軸方向)に並んで複数配置されている。電池セル14は、端子面14aの法線が第3方向(具体的には、上記第1方向及び上記第2方向の双方に直交する
図1及び
図2に示すZ軸方向)に向くように配置されている。第1方向すなわちX軸方向は、電池セル14の端子面14aの2つの長辺と一辺が共通する2つの面が互いに向かい合う方向である。また、第2方向すなわちY軸方向は、第1方向すなわちX軸方向と直交する方向であって、電池セル14の端子面14aの2つの短辺と一辺が共通する2つの面が互いに向かい合う方向である。
【0015】
各電池モジュール12は、X軸方向(行方向)に複数個(例えば4個)の電池セル14が積層されかつY軸方向(列方向)に複数個(例えば3個)の電池セル14が積層される構造を有している。電池モジュール12は、X軸方向両端に取り付けられた一対のエンドプレート20,22を備えている。エンドプレート20,22は、金属製又は樹脂製の板状部材である。各電池モジュール12において、X軸方向に積層された複数の電池セル14は、一対のエンドプレート20,22により、Y軸方向に隣接する電池セル14との位置関係を保持しつつ、X軸方向の両端間で挟持されている。
【0016】
各電池モジュール12の電池セル14同士は、並列に或いは直列に端子接続されている。例えば、各電池モジュール12においては、X軸方向に隣接する2個の電池セル14が並列に端子接続されていると共に、その並列接続された2個の電池セル14が6組直列に端子接続されている。各電池モジュール12の電池セル14の端子接続は、互いにX軸方向又はY軸方向に隣接する電池セル14同士で行われる。電池セル14同士の端子接続は、板状のバスバ24,26,28(尚、
図1及び
図2においてはバスバ24,26,28の記載を省略した。)を用いて行われる。
【0017】
Y軸方向に隣接する電池セル14同士は、正極端子16と負極端子18とがその順に並ぶ方向が互いに一致するように配置されている。Y軸方向に隣接する電池セル14同士は、互いに直列接続されており、一方の電池セル14の正極端子16と他方の電池セル14の負極端子18とが接続された構造を有している。電池セル14は、端子面14a上でY軸方向において正極端子16と負極端子18とがその順に並ぶ方向がX軸方向の所定積層数(例えば積層数=2)ごとに逆方向となるように配置されている。この正極端子16と負極端子18とがその順に並ぶ方向が逆方向となる境界両側のX軸方向に隣接しかつY軸方向の両端に位置する電池セル14同士は、互いに直列接続されている。
【0018】
以下、電池モジュール12は、
図2及び
図3に示す如く、X軸方向に4個(すなわち4行分)の電池セル14が積層されかつY軸方向に3個(すなわち3列分)の電池セル14が積層される構造を有しているものとし、かつ、X軸方向に互いに隣接する2個の電池セル14が並列に端子接続されると共に、その並列接続されている2個の電池セル14が6組直列に端子接続されるものとする。そして、X軸方向に積層される4行の電池セル14を、
図3に示す如く、X軸方向一方側から順に、電池セル14−1,14−2,14−3,14−4とする。
【0019】
かかる電池モジュール12において、並列に端子接続されかつX軸方向に互いに隣接する2行分の電池セル14−1,14−2は、Y軸方向において正極端子16と負極端子18とがその順に並ぶ方向が互いに同方向となるように配置されると共に、残りの並列に端子接続されかつX軸方向に互いに隣接する2行分の電池セル14−3,14−4は、Y軸方向において正極端子16と負極端子18とがその順に並ぶ方向が、互いに同方向となるように配置されつつ、上記した2行分の電池セル14−1,14−2のY軸方向において正極端子16と負極端子18とがその順に並ぶ方向とは逆方向となるように配置される。
【0020】
この電池モジュール12において、電池セル14−1,14−2のうち同列(すなわち異行)のもの同士は、正極端子16がバスバ24,26を介して互いに接続されかつ負極端子18がバスバ26,28を介して互いに接続されていると共に、Y軸方向に隣接する同行(すなわち異列)のもの同士は、一方側の負極端子18と他方側の正極端子16とがバスバ26を介して互いに接続されている。Y軸方向一端に位置する電池セル14−1,14−2の負極端子18と、同じY軸方向一端に位置する電池セル14−3,14−4の正極端子16と、はバスバ28を介して互いに直列接続されている。電池セル14−3,14−4のうち同列(すなわち異行)のもの同士は、正極端子16がバスバ26,28を介して互いに接続されかつ負極端子18がバスバ24,26を介して互いに接続されていると共に、Y軸方向に隣接する同行(すなわち異列)のもの同士は、一方側の負極端子18と他方側の正極端子16とがバスバ26を介して互いに接続されている。
【0021】
Y軸方向他端に位置する電池セル14−1,14−2の正極端子16は、電池パック10の出力端子として外部接続され、或いは、X軸方向に隣接する電池モジュール12のY軸方向他端に位置する電池セル14−3,14−4の負極端子18にバスバ24を介して接続されている。また、Y軸方向他端に位置する電池セル14−3,14−4の負極端子18は、電池パック10の出力端子として外部接続され、或いは、X軸方向に隣接する電池モジュール12のY軸方向他端に位置する電池セル14−1,14−2の正極端子16にバスバ24を介して接続されている。
【0022】
電池パック10において、電池モジュール12は、第1方向(具体的には、電池セル14が並ぶX軸方向)に並んで複数配置されている。電池パック10は、X軸方向に例えば6個の電池モジュール12が積層される構造を有している。電池パック10は、X軸方向両端に取り付けられた一対の一括エンドプレート30,32を備えている。一括エンドプレート30,32は、金属製又は樹脂製の板状部材である。電池パック10において、X軸方向に積層された複数の電池モジュール12は、一括エンドプレート30,32により挟持されている。
【0023】
電池パック10の電池モジュール12同士は、並列に或いは直列に端子接続されている。電池パック10においては、例えば、すべての電池モジュール12が直列に端子接続されている。電池モジュール12の端子接続は、互いにX軸方向に隣接する電池モジュール12同士で行われる。電池モジュール12同士の端子接続は、板状のバスバ24を用いて行われる。以下、電池パック10は、X軸方向に6個の電池モジュール12が積層されるものとし、すべて直列接続されているものとする。
【0024】
尚、一電池パック10当たりの電池モジュール12の個数、及びX軸方向への積層数、並びに、一電池モジュール12当たりの電池セル14の個数、各方向への積層有無、及びその積層数は、上記したものに限定されるものではなく、様々なものを適用することが可能である。
【0025】
電池パック10は、拘束部材34を備えている。拘束部材34は、X軸方向へ直線状に延在していると共に、Y軸方向に積層される電池セル14の数に対応してY軸方向に並んで平行に3本設けられている。拘束部材34は、電池パック10のX軸方向両端に取り付けられる一対の一括エンドプレート30,32に連結固定されており、その一対の一括エンドプレート30,32を繋いで拘束する役割を有している。拘束部材34は、一対の一括エンドプレート30,32を繋いで拘束した場合、同時に各電池モジュール12のX軸方向両端に取り付けられる一対のエンドプレート20,22を拘束する。拘束部材34は、電池セル14の異常時に発生するガスを外部へ排出するための排煙ダクト36を構成している。
【0026】
電池パック10を構成するすべての電池セル14はそれぞれ、排煙弁38を有している。排煙弁38は、電池セル14の異常時に発生する電池セル14内部のガスを電池セル14外部へ放出するための圧力開放弁である。排煙弁38は、端子面14a側において電池セル14の内部と外部とを繋ぐように設けられており、例えば円形孔が薄膜により覆われて閉じられた構造を有している。電池セル14の異常時に内部で発生したガスは、所定圧に達した場合に円形孔を通って排煙弁38の薄膜を突き破り電池セル14の外部へ放出される。
【0027】
排煙弁38は、端子面14aにおいて正極端子16と負極端子18との間の長手方向(すなわちY軸方向)中央部に配置されている。拘束部材34すなわち排煙ダクト36は、電池セル14ひいては電池モジュール12に隣接して配置されている。排煙ダクト36は、電池モジュール12のZ軸方向の上面すなわち電池セル14の端子面14aに沿って配置されており、電池モジュール12の各電池セル14の端子面14a上に載置され密接されている。
【0028】
排煙ダクト36は、電池セル14の端子面14aの長手方向中央部における排煙弁38を覆いつつその排煙弁38の直上にY軸方向同じ列のX軸方向に積層されている各電池セル14の排煙弁38を直線的に繋ぐように配置され形成されている。排煙ダクト36は、X軸方向へ直線状に延在しており、X軸方向に並んだすべての電池セル14(尚、同じ電池モジュール12の電池セル14に限ることなく、異なる電池モジュール12の電池セル14も含む。)に亘って延在するのに十分な長さを有している。
【0029】
排煙ダクト36は、Y軸方向に並んで複数設けられており、互いに平行にX軸方向へ延在している。排煙ダクト36は、Y軸方向に並んだ同列の電池セル14ごとに一つずつ設けられている。X軸方向へ延在する排煙ダクト36は、一電池パック10当たり合計3本設けられている。電池パック10のすべての電池セル14の排煙弁38は、何れかの排煙ダクト36の直下に配置されている。
【0030】
排煙ダクト36は、各電池セル14の排煙弁38から放出されたガスを流通させて外部へ排出するための通路である。排煙ダクト36は、表面が電気的絶縁処理された構造物であり或いは電気的絶縁体である。排煙ダクト36は、断面逆U字状又は断面コの字状の部材であって、開口部40を有している。開口部40は、排煙ダクト36の上壁とZ軸方向下方側で対向する開放部分であって、各電池セル14の排煙弁38から放出されたガスを排煙ダクト36の本体部へ導くための孔である。排煙ダクト36の長手方向(すなわちX軸方向)一端は、閉じられている。尚、Y軸方向に並んだ排煙ダクト36同士は、長手方向他端側である出口側で例えば一つに纏められていてもよい。
【0031】
各電池セル14の表面には、電気的絶縁体である樹脂部材42が配置されている。樹脂部材42は、電池セル14の、拘束部材34ひいては排煙ダクト36が載置される端子面14aの表面上に配置される樹脂ケースである。樹脂部材42は、電池セル14の端子面14aの略全域に亘って広がっており、電池セル14の端子面14a上の正極端子16、負極端子18、及び排煙ダクト36の各配置部分を除いた薄板シート状に形成されている。樹脂部材42は、電池セル14の表面を保護する機能を有していると共に、セル端子16,18及びバスバ24,26,28の位置を保持する機能を有している。尚、樹脂部材42は、電池パック10全体に対して一体的に又は電池モジュール12ごとに一体的に形成されていてもよい。また、樹脂部材42は、金属製のエンドプレート20,22や一括エンドプレート30,32の上面上に配置されていてもよい。
【0032】
電池パック10は、電池セル14の電圧を監視する電圧監視ユニット44を備えている。電圧監視ユニット44は、電池モジュール12ごとに対応して設けられている。尚、電圧監視ユニット44は、二以上の電池モジュール12に対して一つ設けられていてもよい。各電圧監視ユニット44は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、その構成部品を直方体形状に形成された筐体46により囲んだユニットである。各電圧監視ユニット44は、対応の電池モジュール12の長手方向(すなわちY軸方向)一方の側面側に固定されている。各電圧監視ユニット44は、電池モジュール12の長手方向一方端の電池セル14の負極端子18又は正極端子16を除いて、当該電池セル14の正極端子16又は負極端子18並びに他の電池セル14の正極端子16及び負極端子18の配置位置に対して拘束部材34を挟んで交差する位置に配置されている。
【0033】
電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18との間には、電気配線50(尚、
図1及び
図2においては電気配線50の記載を省略した。)が介在している。電気配線50は、電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18とを導通させる配線である。電気配線50は、
図3に示す如く、バスバ24,26,28ごとに対応して一本ずつ設けられている。バスバ24,26,28それぞれに接続する電気配線50は、互いに接触することのないように配策されている。尚、電気配線50は、電池セル14ごとに正極端子16と負極端子18とに対応して二本ずつ設けられてもよいし、バスバ24,26,28を介して端子接続された正極端子16ごとかつ負極端子18ごとに設けられてもよい。
【0034】
各電気配線50の一端は対応のバスバ24,26,28に接続されていると共に、その他端は電圧監視ユニット44に接続されている。電圧監視ユニット44には、各電気配線50それぞれに生じている電位が入力される。電圧監視ユニット44は、各電気配線50それぞれからの入力電位に基づいて、電池セル14ごとに正極端子16と負極端子18との間の電圧を検出して、その電圧の正常/異常を判定する監視を行う。
【0035】
各電気配線50(具体的には、電圧監視ユニット44と電池モジュール12の長手方向一方端の電池セル14の負極端子18又は正極端子16とを導通させる電気配線50のうち拘束部材34に対して交差せず拘束部材34を跨がない電気配線50(以下、交差無電気配線50−2と称す。)を除く。以下、交差有電気配線50−1と称す。)は、拘束部材34の表面に配策される部分を有する。すなわち、交差有電気配線50−1の一部は、拘束部材34の表面に配策されている。この交差有電気配線50−1の、拘束部材34の表面における配策は、その交差有電気配線50−1が拘束部材34に対して交差して跨ぐように行われる。尚、交差無電気配線50−2は、拘束部材34に対して交差することなくその拘束部材34を跨がないように配策されている。
【0036】
図4及び
図5に示す如く、交差有電気配線50−1は、樹脂部材42の表面に配策されている第1配線部52と、拘束部材34の表面に配策されている第2配線部54と、を有している。交差有電気配線50−1の一本当たり、第1配線部52は2本以上設けられ、第2配線部54は1本以上設けられている。尚、エンドプレート20,22又は一括エンドプレート30,32が樹脂製のものであるときは、交差有電気配線50−1は、第1及び第2配線部52,54以外に、そのエンドプレート20,22又は一括エンドプレート30,32の表面に配策される部分を有していてもよい。また、交差無電気配線50−2は、樹脂部材42の表面に配策されている第1配線部52からなる。
【0037】
第1配線部52は、樹脂部材42の表面にプリントされたプリント配線である。第1配線部52は、樹脂部材42の表面に対して上方側に隣接している。第1配線部52は、バスバ24,26,28、電圧監視ユニット44、及び第2配線部52のうち何れか二つに接続されている。一端がバスバ24,26,28に接続されている第1配線部52は、そのバスバ24,26,28から電池モジュール12のX軸方向端部に向けて延びつつ、そのX軸方向端部への到達後にそのX軸方向端部においてY軸方向に沿って延びている。一端が電圧監視ユニット44に接続されている第1配線部52は、その電圧監視ユニット44から電池モジュール12のX軸方向端部に向けて延びつつ、そのX軸方向端部への到達後にそのX軸方向端部においてY軸方向に沿って延びている。また、両端ともバスバ24,26,28及び電圧監視ユニット44に接続されていない第1配線部52は、電池モジュール12のX軸方向端部においてそのX軸方向端部に沿ってY軸方向に向けて延びている。
【0038】
第2配線部54は、拘束部材34の表面にプリントされたプリント配線である。第2配線部54は、拘束部材34の上面に対して上方側に隣接していると共に、拘束部材34の側面に対して隣接している。拘束部材34は、Y軸方向両側においてY軸方向外側に向けて突出するフランジ部56を有している。第2配線部54は、フランジ部56の表面全体を取り囲むように形成されている。第2配線部54は両端とも、第1配線部52に接続されている。第2配線部54は、電池モジュール12のX軸方向端部においてそのX軸方向端部に沿ってY軸方向に向けて延びている。
【0039】
第1配線部52と第2配線部54とは、一体的に構成されたものでなく、互いに分離されている。第1配線部52の、フランジ部56に対向する上面側には、端子部60が設けられている。第2配線部54の、フランジ部56の下面に接する側には、端子部62が設けられている。端子部60と端子部62とは、拘束部材34のフランジ部56と樹脂部材42との間に挟持されるように配置されている。第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62とは、Z軸方向において対向配置されつつ互いに接触して電気的に接続されている。端子部60と端子部62との電気的接続は、Z軸方向に所定厚さを有する端子部材64を介して行われる。すなわち、第1配線部52と第2配線部54とは、端子部60,62にて端子部材64を介して電気的に接続されている。尚、端子部材64は、端子部60,62に対応するように2分割されてそれぞれに固定されたものであってもよい。
【0040】
尚、Y軸方向に積層される3列分の電池セル14のうち電圧監視ユニット44から最も離れた位置にある電池セル14(以下、最遠電池セル14Fと称す。)の正極端子16又は負極端子18に接続する交差有電気配線50−1は、4本の第1配線部52と、3本の第2配線部54と、を有し、Y軸方向に並んだX軸方向に平行に延びる3本の拘束部材34を跨いでいる。上記した最遠電池セル14Fの負極端子18又は正極端子16に接続し、かつ、Y軸方向に積層される3列分の電池セル14のうち真中位置にある電池セル14(以下、中央電池セル14Mと称す。)の正極端子16又は負極端子18に接続する交差有電気配線50−1は、3本の第1配線部52と、2本の第2配線部54と、を有し、Y軸方向に並んだX軸方向に平行に延びる2本の拘束部材34を跨いでいる。
【0041】
上記した中央電池セル14Mの負極端子18又は正極端子16に接続し、かつ、Y軸方向に積層される3列分の電池セル14のうち電圧監視ユニット44に最も近い位置にある電池セル14(以下、最近電池セル14Nと称す。)の正極端子16又は負極端子18に接続する交差有電気配線50−1は、2本の第1配線部52と、1本の第2配線部54と、を有し、Y軸方向に並んだX軸方向に平行に延びる1本の拘束部材34を跨いでいる。また、最近電池セル14Nの負極端子18又は正極端子16に接続する交差無電気配線50−2は、1本の第1配線部52を有するが、拘束部材34を1本も跨いでいない。
【0042】
このような電池パック10及び電池モジュール12の構造においては、電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18とを導通させる電気配線50(具体的には、電圧監視ユニット44と最近電池セル14Nのセル端子16,18の一方とを導通させかつ拘束部材34と交差しない第1配線部52のみからなる交差無電気配線50−2を除いた交差有電気配線50−1)が、電池セル14の端子面14a上に配置された樹脂部材42の表面に沿って配策されていると共に、拘束部材34の表面にその拘束部材34に対して交差して跨ぐように配策されている。
【0043】
かかる構造によれば、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確保するために、各電気配線50の配策を、拘束部材34と交差させずX軸方向に延在させて遠回りさせることは不要である。従って、本実施形態の電池パック10及び電池モジュール12の電池組立体によれば、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18とを導通させる電気配線50の配策を短距離で実現することができる。
【0044】
また、交差有電気配線50−1は、樹脂部材42の表面に配策されている第1配線部52と、拘束部材34の表面に配策されている第2配線部54と、を有し、第1及び第2配線部52,54はそれぞれ、プリント配線である。そして、これらの第1配線部52と第2配線部54とは、端子部60,62にてZ軸方向において対向配置されつつ互いに接触して電気的に接続されている。このため、上記電池組立体の電気配線50の取り回しの容易化を図り或いはその取り回しを不要とすることができ、電池組立体の取り扱いの容易化を図ることができる。また、第1及び第2配線部52,54がプリント配線であるので、電気配線50の高さ(具体的には、Z軸方向高さ)を低く抑えることができ、電池モジュール12や電池パック10の高さを低減することができる。
【0045】
また、電気配線50の第1配線部52及び第2配線部54は、電池モジュール12ごとに、その電池モジュール12のX軸方向端部においてY軸方向に沿って延びている。このため、各電池モジュール12においてそれぞれ電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18とを導通させる電気配線50を配策した後に、その電池モジュール12を複数個、X軸方向に積層して、互いにY軸方向に隣接する電池モジュール12同士をバスバ24を用いて端子接続させて、電池パック10を組み立てることができるので、電池モジュール12の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0046】
更に、表面に第2配線部54が配策される拘束部材34は、電池セル14の異常時に発生するガスを外部へ排出するための排煙ダクト36である。このため、拘束部材34を排煙ダクト36とは別体で設けるものと比較して、電池パック10及び電池モジュール12の構造の簡素化を図ることができる。
【0047】
以上、説明したことから明らかなように、電池パック10及び電池モジュール12は、X軸方向に積層された複数の電池セル14と、X軸方向両端の電池セル14に隣接して配置され、複数の電池セル14を挟持する一対のエンドプレート20,22又は一括エンドプレート30,32と、X軸方向に延在し、一対のエンドプレート20,22又は一括エンドプレート30,32を拘束する拘束部材34と、電池セル14の有するセル端子16,18のうち少なくとも一方の所定端子の配置位置に対して拘束部材34を挟んで交差する位置に配置され、電池セル14の電圧を監視する電圧監視ユニット44と、電圧監視ユニット44と上記一方の所定端子とを導通させる交差有電気配線50−1と、を備える電池組立体であって、交差有電気配線50−1の一部は、拘束部材34の表面に拘束部材34に対して交差するように配策されている。
【0048】
この構成によれば、電圧監視ユニット44とセル端子16,18のうち少なくとも一方の所定端子とを導通させる交差有電気配線50−1の一部が、拘束部材34の表面に拘束部材34に対して交差するように配策されるので、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確保するために、各電気配線50の配策を、拘束部材34と交差させずにX軸方向に延在させて遠回りさせることは不要である。従って、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18とを導通させる電気配線50の配策を短距離で実現することができる。
【0049】
電池パック10及び電池モジュール12は、電池セル14の拘束部材34側の表面上に配置される樹脂部材42を備え、電気配線50は、樹脂部材42の表面に配策され、端子部60を有する第1配線部52と、第1配線部52とは別体で拘束部材34の表面に配策され、端子部62を有する第2配線部54と、を有し、第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62とは、対向配置されつつ互いに電気的に接続されている。
【0050】
この構成によれば、電気配線50の第1配線部52と第2配線部54との電気的な接続を確保することができ、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確保することができる。
【0051】
電池パック10及び電池モジュール12において、電気配線50の第1配線部52及び第2配線部54は共に、プリント配線である。この構成によれば、電池パック10及び電池モジュール12における電気配線50の取り回しの容易化を図り或いはその取り回しを不要とすることができ、電池パック10及び電池モジュール12の取り扱いの容易化を図ることができる。また、電気配線50の高さを低く抑えることができ、電池モジュール12や電池パック10の高さを低減することができる。
【0052】
電池パック10及び電池モジュール12において、拘束部材34は、電池セル14で発生するガスを排出するための通路である排煙ダクト36を構成している。この構成によれば、拘束部材34を排煙ダクト36とは別体で設けるものと比較して、電池パック10及び電池モジュール12の構造の簡素化を図ることができる。
【0053】
電池パック10及び電池モジュール12は、X軸方向に積層されると共に、X軸方向に直交するY軸方向に積層された複数の電池セル14と、X軸方向両端の電池セル14に隣接して配置され、Y軸方向に積層される電池セル14同士の位置関係を保持しつつ、X軸方向に積層される電池セル14を挟持する一対のエンドプレート20,22又は一括エンドプレート30,32と、Y軸方向に積層される電池セル14の数に対応して複数設けられ、X軸方向に延在し、一対のエンドプレート20,22又は一括エンドプレート30,32を拘束する拘束部材34と、電池セル14の有するセル端子16,18のうち少なくとも一方の所定端子の配置位置に対して何れか一つ以上の拘束部材34を挟んで交差する位置に配置され、電池セル14の電圧を監視する電圧監視ユニット44と、電圧監視ユニット44と上記一方の所定端子とを導通させる交差有電気配線50−1と、を備える電池組立体であって、交差有電気配線50−1の一部は、拘束部材34の表面に拘束部材34に対して交差するように配策されている。
【0054】
この構成によれば、電圧監視ユニット44とセル端子16,18のうち少なくとも一方の所定端子とを導通させる交差有電気配線50−1の一部が、何れか一つ以上の拘束部材34の表面にその拘束部材34に対して交差するように配策されるので、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確保するために、各電気配線50の配策を、拘束部材34と交差させずにX軸方向に延在させて遠回りさせることは不要である。従って、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18とを導通させる電気配線50の配策を短距離で実現することができる。
【0055】
尚、上記の第1実施形態においては、最近電池セル14Nの有する正極端子16及び負極端子18のうち電圧監視ユニット44に対して交差有電気配線50−1を介して接続される端子、並びに、中央電池セル14M及び最遠電池セル14Fの有する正極端子16及び負極端子18が、特許請求の範囲に記載した「所定端子」に相当している。
【0056】
(第2実施形態)
本実施形態の電池パック100は、上記第1実施形態の電池パック10において、電池モジュール12に代えて電池モジュール102を用いることにより実現される。尚、
図6において、上記第1実施形態において用いた図に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0057】
電池モジュール102において、電池モジュール12と同様に、電圧監視ユニット44と各電池セル14の正極端子16又は負極端子18とを導通させる電気配線50(但し、交差無電気配線50−2を除く。以下、交差有電気配線50−1と称す。)は、樹脂部材42の表面に配策されている第1配線部52と、拘束部材34の表面に配策されている第2配線部54と、を有している。第1及び第2配線部52,54は共に、プリント配線である。第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62とは、Z軸方向において対向配置されつつ互いに接触して電気的に接続されている。
【0058】
電池モジュール102ひいては電池パック100は、端子部60と端子部62との間に介在する圧接ばね104を有している。圧接ばね104は、Z軸方向に弾性を有する弾性部材であって、かつ、導電性を有する金属部材である。圧接ばね104は、例えば、断面楕円状や断面菱形形状,蛇腹状に形成されたものであってよい。圧接ばね104は、拘束部材34の延在方向であるX軸方向全域に亘って直線状に延びており、或いは、そのX軸方向全域に亘って複数箇所に点在している。圧接ばね104は、端子部60と端子部62との間に介在する状態において、樹脂部材42と拘束部材34のフランジ部56との間に挟持され、自然長よりも収縮するように構成されている。端子部60と端子部62との電気的接続は、圧接ばね104を介して行われる。
【0059】
電池モジュール102ひいては電池パック100は、また、圧接ばね104を収縮させつつ第1配線部52と第2配線部54との位置関係を保持する保持部材106を有している。保持部材106は、樹脂部材42に一体的に形成されており、断面L字状に形成されている。保持部材106は、拘束部材34の延在方向であるX軸方向全域に亘って複数箇所に点在しており、或いは、そのX軸方向全域に亘って直線状に延びている。
【0060】
保持部材106は、拘束部材34のフランジ部56の上面(具体的には、そのフランジ部56の上面に配策される第2配線部54の上面)に接してそのフランジ部56を上方から押さえる支持端面108を有している。保持部材106の、樹脂部材42との接続部から支持端面108までの長さは、予め定められた長さに設定されている。保持部材106は、樹脂部材42と拘束部材34のフランジ部56との間において圧接ばね104を自然長よりも収縮させつつ第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62とを挟持する機能を有している。
【0061】
上記の保持部材106による挟持が行われると、圧接ばね104のバネ力により、第1配線部52の端子部60が樹脂部材42側へ押圧されると共に、第2配線部54の端子部62が拘束部材34のフランジ部56側へ押圧されることで、第1配線部52と第2配線部54とが圧接ばね104を介して大きな力で接触する。
【0062】
このような電池パック100及び電池モジュール102の構造においても、電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18とを導通させる電気配線50(具体的には、交差無電気配線50−2を除いた交差有電気配線50−1)の一部が、拘束部材34の表面にその拘束部材34に対して交差して跨ぐように配策されている。従って、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確保するために、各電気配線50の配策を、拘束部材34と交差させずにX軸方向に延在させて遠回りさせることは不要であるので、その電気配線50の配策を短距離で実現することができる。
【0063】
また、電池パック100及び電池モジュール102の構造は、電気配線50の第1配線部52と第2配線部54とが電気的に接続される箇所を除いて、上記第1実施形態の電池パック10及び電池モジュール12の構造と同じである。このため、上記第1実施形態で示した効果と同様の効果を得ることができる。例えば、第1配線部52及び第2配線部54が共にプリント配線であるので、電気配線50の取り回しの容易化を図り或いはその取り回しを不要とすることができ、電池パック100及び電池モジュール102の取り扱いの容易化を図ることができると共に、電気配線50の高さを低く抑えて、電池モジュール102や電池パック100の高さを低減することができる。また、拘束部材34が排煙ダクト36を構成しているので、電池パック100及び電池モジュール102の構造の簡素化を図ることができる。
【0064】
更に、電池パック100及び電池モジュール102は、電気配線50の第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62との間に介在する圧接ばね104と、その圧接ばね104を収縮させて第1配線部52と第2配線部54との位置関係を保持する保持部材106と、を備えている。かかる構造においては、保持部材106が圧接ばね104を収縮させつつ第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62とを挟持するので、両端子部60,62の電気的接続の切断を回避することができ、その電気的な接続を確実に確保することができ、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確実に確保することができる。また、圧接ばね104により、拘束部材34におけるフランジ部56の配置位置の公差や第1配線部52の端子部60と第2配線部54の端子部62との間の公差を吸収することができ、これにより、歩留りを向上させることができる。
【0065】
尚、上記の第1実施形態においては、拘束部材34すなわち排煙ダクト36が、電池モジュール12の各電池セル14の端子面14a上に載置され密接されている。しかし、この第2実施形態においては、
図6に示す如く、拘束部材34すなわち排煙ダクト36と電池セル14の端子面14aとの間に、シール性を確保するための樹脂製などのシール部材110を配置することとしてもよい。このシール部材110は、二股の拘束部材34の先端それぞれに対応して設けられており、拘束部材34の延在方向全域に亘ってX軸方向へ延在している。かかる構造によれば、シール部材110により、拘束部材34と電池セル14との間の公差を吸収することができ、これにより、歩留りを向上させることができると共に、排煙ダクト36の内部の気密性を確保することができ、これにより、排煙ダクト36と電池セル14との間の隙間からガスが漏洩するのを防止することができる。
【0066】
(第3実施形態)
本実施形態の電池パック200は、上記第1実施形態の電池パック10において、電池モジュール12に代えて電池モジュール202を用いることにより実現される。尚、
図7において、上記第1実施形態において用いた図に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0067】
電池モジュール202において、電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18との間には、電気配線204が介在している。電気配線204は、電圧監視ユニット44と各電池セル14の正極端子16又は負極端子18とを導通させる配線である。電気配線204は、バスバ24,26,28ごとに対応して一本ずつ設けられている。各電気配線204(具体的には、電圧監視ユニット44と電池モジュール12の長手方向一方端の電池セル14の負極端子18又は正極端子16とを導通させる電気配線204のうち拘束部材34に対して交差せず拘束部材34を跨がない交差無電気配線204−2を除いた、交差有電気配線204−1)は、拘束部材34の表面に配策される部分を有する。
【0068】
交差有電気配線204−1は、樹脂部材42の表面に配策されている第1配線部52と、拘束部材34の表面にその拘束部材34に対して交差するように配策されている第2配線部206と、を有している。第1配線部52はプリント配線であるが、第2配線部206は、導電性を有する板状のバスバ部材である。第2配線部206は、拘束部材34の形状に合わせて屈曲して延びるように形成されている。
【0069】
第2配線部206の端部には、端子部208が設けられている。第1配線部52の端子部60と第2配線部206の端子部208とは、Z軸方向において対向配置されつつ互いに接触して電気的に接続されている。端子部60と端子部208との電気的接続は、Z軸方向に所定厚さを有する端子部材210を介して行われる。すなわち、第1配線部52と第2配線部206とは、端子部60,208にて端子部材210を介して電気的に接続されている。尚、端子部材210は、端子部60,208に対応するように2分割されてそれぞれに固定されたものであってもよい。
【0070】
第2配線部206の端子部208、端子部材210、第1配線部52の端子部60、及び樹脂部材42には、雄ねじ212が挿通される挿通孔(図示せず)が設けられている。また、電池セル14の端子面14aには、雄ねじ212が締結される雌ねじが内壁に形成されたねじ孔(図示せず)が設けられている。雄ネジ212は、第2配線部206の端子部208、端子部材210、第1配線部52の端子部60、及び樹脂部材42の各挿通孔に挿通された状態で、電池セル14のねじ孔の雌ねじに締結される。かかる締結が行われると、第1配線部52の端子部60と第2配線部206の端子部208とが端子部材210を介して位置固定される。
【0071】
このような電池パック200及び電池モジュール202の構造においては、電圧監視ユニット44と電池セル14のセル端子16,18とを導通させる電気配線204(具体的には、交差無電気配線204−2を除いた交差有電気配線204−1。)の一部が、拘束部材34の表面にその拘束部材34に対して交差して跨ぐように配策されている。従って、電圧監視ユニット44と電池セル14の有するセル端子16,18との導通を確保するために、各電気配線204の配策を、拘束部材34と交差させずにX軸方向に延在させて遠回りさせることは不要であるので、その電気配線204の配策を短距離で実現することができる。
【0072】
また、電池パック200及び電池モジュール202の構造は、電気配線204の第2配線部206の構造及び第1配線部52と第2配線部206とが電気的に接続される箇所を除いて、上記第1実施形態の電池パック10及び電池モジュール12の構造と同じである。このため、上記第1実施形態で示した効果と同様の効果を得ることができる。例えば、拘束部材34が排煙ダクト36を構成しているので、電池パック200及び電池モジュール202の構造の簡素化を図ることができる。
【0073】
また、電池パック200及び電池モジュール202において、拘束部材34の表面に配策されている第2配線部206は、導電性を有する板状のバスバ部材である。第1配線部52の端子部60と第2配線部206の端子部208とは、雄ねじ212が電池セル14の雌ネジに締結されることで端子部材210を介して位置固定される。雄ねじ212の締結が行われると、第2配線部206の端子部208が第1配線部52の端子部60に接近する方向へ移動するので、その第2配線部206全体が拘束部材34すなわち排煙ダクト36を電池セル14側へ押圧する力が発生する。すなわち、第2配線部206は、第1配線部52に対して位置固定された状態で拘束部材34を電池セル14側へ押圧する機能を有する。
【0074】
このため、かかる構造によれば、第2配線部206で排煙ダクト36を電池セル14側に密着させることができ、これにより、排煙ダクト36の内部の気密性を向上させることができ、排煙ダクト36と電池セル14との間の隙間からガスが漏洩するのを防止し或いはその漏洩量を低減することができる。
【0075】
ところで、上記の第1−第3実施形態においては、各電池モジュール12,102,202の各電池セル14が、端子面14aを上面とした状態で配置されており、拘束部材34すなわち排煙ダクト36がその端子面14aに接触するように配置されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、各電池セル14が、端子面14aを下面とした状態で配置されるものとし、拘束部材34すなわち排煙ダクト36がその端子面14aに接触するように配置されるものとしてもよい。また、各電池セル14が、端子面14aを側面とした状態で配置されるものとし、拘束部材34すなわち排煙ダクト36がその端子面14aに接触するように配置されるものとしてもよい。
【0076】
また、上記の第1−第3実施形態においては、各電池セル14の排煙弁38が端子面14aの正極端子16と負極端子18との間の長手方向中央部に配置されると共に、拘束部材34すなわち排煙ダクト36が電池セル14の端子面14aの長手方向中央部においてX軸方向へ直線状に延在している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、各電池セル14の排煙弁38が端子面14aの長手方向何れか側に偏った位置に配置されると共に、拘束部材34すなわち排煙ダクト36が電池セル14の端子面14aのその偏った位置においてX軸方向へ直線状に延在することとしてもよい。
【0077】
また、上記の第1−第3実施形態においては、各電池モジュール12,102,202の電池セル14がX軸方向に複数積層されると共に、更にそのX軸方向に直交するY軸方向にも複数積層されるものとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、各電池モジュール12,102,202の電池セル14がX軸方向にのみ複数積層されるものとしてもよい。
【0078】
また、上記の第1−第3実施形態においては、X軸方向に積層された複数の電池セル14からなる各電池モジュール12,102,202が、X軸方向両端に取り付けられる一対のエンドプレート20,22を備えると共に、更に、X軸方向に積層された複数の電池モジュール12,102,202からなる電池パック10,100,200が、X軸方向両端に取り付けられる一対の一括エンドプレート30,32を備え、その一対の一括エンドプレート30,32が拘束部材34を拘束するものとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、電池モジュール12,102,202が備える一対のエンドプレート20,22が拘束部材34を拘束するものであってもよい。
【0079】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。