特許第6805738号(P6805738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805738
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】不整地走行用のタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   B60C11/03 D
   B60C11/03 C
   B60C11/03 300E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-218230(P2016-218230)
(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公開番号】特開2018-75928(P2018-75928A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】三輪 琢也
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−112396(JP,A)
【文献】 特開2013−216208(JP,A)
【文献】 特開平09−011707(JP,A)
【文献】 特開2006−137230(JP,A)
【文献】 特開2013−241062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00− 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転方向が指定され、かつ、複数のブロックが形成されたトレッド部を有する不整地走行用のタイヤであって、
前記ブロックは、多角形状の踏面と、前記トレッド部の溝底面に沿った切断面である多角形状の根本面と、前記踏面と前記根本面との間のブロック側面とを有する少なくとも1つの第1ブロックを含み、
前記踏面は、前記回転方向の先着側に、タイヤ軸方向に対して傾斜した斜めエッジを有し、
前記根本面は、前記先着側に、前記ブロック側面を介して前記斜めエッジに連なりかつタイヤ軸方向に沿ってのびる横エッジを有し、
トレッド平面視において、前記斜めエッジと前記横エッジとの間の角度θaは、5〜45°である不整地走行用のタイヤ。
【請求項2】
前記第1ブロックは、前記踏面からタイヤ半径方向内側に向かってねじれた部分を有し、
前記踏面は、前記根本面と同じ数の辺を有する多角形状である請求項1記載の不整地走行用のタイヤ。
【請求項3】
前記第1ブロックの1/3の高さで前記根本面に沿ってのびる第1横断面、及び、前記第1ブロックの2/3の高さで前記根本面に沿ってのびる第2横断面は、それぞれ、前記根本面と同じ数の辺を有する多角形状である請求項2記載の不整地走行用のタイヤ。
【請求項4】
前記ブロック側面は、前記斜めエッジと前記横エッジとの間の先着側面を含み、
前記第1横断面は、前記先着側面上の第1仮想エッジを有し、
前記第2横断面は、前記先着側面上の第2仮想エッジを有し、
トレッド平面視において、
前記第1仮想エッジは、前記横エッジに対して前記角度θaよりも小さい角度θbで傾斜し、
前記第2仮想エッジは、前記横エッジに対して前記角度θbよりも大きくかつ前記角度θaよりも小さい角度θcで傾斜し、
前記角度θcと前記角度θbとの差θc−θbは、前記角度θbよりも大きい請求項3記載の不整地走行用のタイヤ。
【請求項5】
前記角度θaと前記角度θcとの差θa−θcは、前記差θc−θbよりも大きい請求項4記載の不整地走行用のタイヤ。
【請求項6】
前記差θc−θb、及び、前記差θa−θcは、それぞれ、10°以下である請求項5記載の不整地走行用のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不整地走行用のタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トレッド部に、多角形状の踏面を有する複数のブロックが設けられた不整地走行用のタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。このようなタイヤは、不整地走行時、ブロックを路面に食い込ませ、大きなグリップ力を得ることができる。
【0003】
ところで、従来の一般的なブロックは、踏面の輪郭形状と、ブロックの根本の輪郭形状とが実質的に一致している。このようなブロックは、ブロック耐久性とコーナリング時のトラクション性能とをバランスよく改善することは困難であった。
【0004】
例えば、コーナリング時のトラクション性能を重点的に高めるために、踏面のタイヤ回転方向の先着側のエッジをタイヤ軸方向に対して傾けることが考えられる。この場合、踏面の前記エッジに対応したブロックの根本の輪郭形状のエッジも、タイヤ軸方向に対して傾く。しかしながら、このようなブロックは、不整地走行時、ブロックの根本の前記エッジの端部に大きな応力が作用しやすく、ひいては前記端部を起点とした損傷が発生しやすい傾向があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−241062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ブロックの形状を改善することを基本として、コーナリング時のトラクション性能とブロック耐久性とをバランス良く高め得る不整地走行用のタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転方向が指定され、かつ、複数のブロックが形成されたトレッド部を有する不整地走行用のタイヤであって、前記ブロックは、多角形状の踏面と、前記トレッド部の溝底面に沿った切断面である多角形状の根本面と、前記踏面と前記根本面との間のブロック側面とを有する少なくとも1つの第1ブロックを含み、前記踏面は、前記回転方向の先着側に、タイヤ軸方向に対して傾斜した斜めエッジを有し、前記根本面は、前記先着側に、前記ブロック側面を介して前記斜めエッジに連なりかつタイヤ軸方向に沿ってのびる横エッジを有し、トレッド平面視において、前記斜めエッジと前記横エッジとの間の角度θaは、5〜45°である。
【0008】
本発明の不整地走行用のタイヤにおいて、前記第1ブロックは、前記踏面からタイヤ半径方向内側に向かってねじれた部分を有し、前記踏面は、前記根本面と同じ数の辺を有する多角形状であるのが望ましい。
【0009】
本発明の不整地走行用のタイヤにおいて、前記第1ブロックの1/3の高さで前記根本面に沿ってのびる第1横断面、及び、前記第1ブロックの2/3の高さで前記根本面に沿ってのびる第2横断面は、それぞれ、前記根本面と同じ数の辺を有する多角形状であるのが望ましい。
【0010】
本発明の不整地走行用のタイヤにおいて、前記ブロック側面は、前記斜めエッジと前記横エッジとの間の先着側面を含み、前記第1横断面は、前記先着側面上の第1仮想エッジを有し、前記第2横断面は、前記先着側面上の第2仮想エッジを有し、トレッド平面視において、前記第1仮想エッジは、前記横エッジに対して前記角度θaよりも小さい角度θbで傾斜し、前記第2仮想エッジは、前記横エッジに対して前記角度θbよりも大きくかつ前記角度θaよりも小さい角度θcで傾斜し、前記角度θcと前記角度θbとの差θc−θbは、前記角度θbよりも大きいのが望ましい。
【0011】
本発明の不整地走行用のタイヤにおいて、前記角度θaと前記角度θcとの差θa−θcは、前記差θc−θbよりも大きいのが望ましい。
【0012】
本発明の不整地走行用のタイヤにおいて、前記差θc−θb、及び、前記差θa−θcは、それぞれ、10°以下であるのが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の不整地走行用のタイヤのブロックは、多角形状の踏面と、トレッド部の溝底面に沿った切断面である多角形状の根本面と、踏面と根本面との間のブロック側面とを有する少なくとも1つの第1ブロックを含む。踏面は、回転方向の先着側に、タイヤ軸方向に対して傾斜した斜めエッジを有し、根本面は、前記先着側に、ブロック側面を介して斜めエッジに連なりかつタイヤ軸方向に沿ってのびる横エッジを有する。
【0014】
このような第1ブロックは、踏面が前記斜めエッジを有するため、コーナリング時に大きなトラクションを期待できる。また、第1ブロックの根本面の横エッジは、タイヤ軸方向に沿ってのびているため、その端部に大きな応力が作用し難く、優れたブロック耐久性が発揮される。
【0015】
本発明では、トレッド平面視において、斜めエッジと横エッジとの間の角度θaは、5〜45°である。これにより、コーナリング時のトラクション性能とブロック耐久性とがさらにバランス良く高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の不整地走行用のタイヤの一実施形態を示す横断面図である。
図2図1のトレッド部の展開図である。
図3】第1ブロックの拡大斜視図である。
図4】第1ブロックの拡大平面図である。
図5】(a)は、本発明の他の実施形態の第1ブロックの拡大斜視図であり、(b)は、(a)の拡大平面図である。
図6】比較例の不整地走行用のタイヤのトレッド部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本発明の一実施形態を示す不整地走行用のタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の正規状態における横断面図が示されている。図2は、タイヤ1のトレッド部2のトレッドパターンを示す展開図である。図1は、図2のA−A線断面図である。
【0018】
「正規状態」は、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態で測定された値である。
【0019】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0020】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、不整地走行用の自動二輪車用タイヤであり、例えば、モトクロス競技用として用いられる。このため、本実施形態のタイヤ1のトレッド部2は、横断面において、その外面がタイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲している。但し、本発明のタイヤは、自動二輪車用に限定されるものではなく、例えば、三輪バギーや四輪車用として用いられても良い。
【0022】
本実施形態のタイヤ1は、例えば、カーカス6及びベルト層7を具えている。これらには、公知の構成が適宜採用される。
【0023】
図2に示されるように、トレッド部2は、回転方向Rが指定された方向性パターンを具えている。回転方向Rは、例えば、サイドウォール部3(図1に示す)に、文字又は記号で表示される。
【0024】
トレッド部2は、例えば、クラウン領域Cr、ミドル領域Mi、及び、ショルダー領域Shに区分されている。
【0025】
クラウン領域Crは、タイヤ赤道Cを中心とするトレッド展開幅TWeの1/3の幅を有する領域である。ショルダー領域Shは、各トレッド端Teからタイヤ赤道C側にトレッド展開幅TWeの1/6の幅を有する領域である。ミドル領域Miは、クラウン領域Crとショルダー領域Shとの間の領域である。
【0026】
トレッド展開幅TWeは、トレッド部2を平面に展開したときのトレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離である。トレッド端Teは、トレッド部2に配されたブロック10の内、最もタイヤ軸方向外側に位置するブロックのタイヤ軸方向外側の端縁を意味する。
【0027】
トレッド部2には、複数のブロック10が形成されている。ブロック10は、溝底面8からタイヤ半径方向外側に隆起しており、その頂部に踏面が形成されている。発明が理解され易いように、図2において、ブロック10の踏面のエッジ13は、実線で示されている。ブロック10の根本面のエッジ14(ブロック10の側面と溝底面8との境界)は、2点鎖線で示されている。溝底面8から踏面までブロックの高さ方向にのびる側壁面のエッジは、踏面を示す線よりも細い実線で示されている。
【0028】
ブロック10は、少なくとも1つの第1ブロック11を含んでいる。第1ブロック11は、多角形状の踏面16と、トレッド部2の溝底面8に沿った切断面である多角形状の根本面17と、踏面16と根本面17との間のブロック側面18とを有している。
【0029】
図3には、第1ブロック11の拡大斜視図が示されている。図4には、第1ブロック11の拡大平面図が示されている。図3及び図4に示されるように、本実施形態の第1ブロック11の踏面16は、根本面17(エッジで囲まれた領域)と同じ数の辺を有する多角形状であり、より望ましくは、根本面17と実質的に同じ形状を有している。なお、「実質的に同じ形状である」とは、少なくとも、ゴムの性質等に起因する形状の微差を許容することを意味する。
【0030】
本実施形態の第1ブロック11の踏面16及び根本面17は、例えば、四角形状であり、望ましい態様では正方形状である。但し、踏面16及び根本面17は、このような態様に限定されるものではない。
【0031】
図3に示されるように、踏面16は、回転方向Rの先着側(以下、単に「先着側」という場合がある。)に、タイヤ軸方向に対して傾斜した斜めエッジ21を有している。根本面17は、先着側に、ブロック側面18の先着側面19を介して斜めエッジ21に連なりかつタイヤ軸方向に沿ってのびる横エッジ22を有している。
【0032】
このような第1ブロック11の斜めエッジ21は、コーナリング時、その長さ方向がタイヤの進行方向に対して垂直に近付くため、大きな摩擦力を発生させ、ひいてはコーナリング時に大きなトラクションを期待できる。また、第1ブロック11の根本面17の横エッジ22は、タイヤ軸方向に沿ってのびているため、その端部に大きな応力が作用し難く、優れたブロック耐久性が発揮される。
【0033】
図4に示されるように、トレッド平面視において、斜めエッジ21と横エッジ22との間の角度θaは、5〜45°である。これにより、コーナリング時のトラクション性能とブロック耐久性とがさらにバランス良く高められる。また、上述の効果をさらに高めるために、前記角度θaは、好ましくは35°以下であり、より好ましくは25°以下である。
【0034】
図3に示されるように、本実施形態の第1ブロック11は、例えば、踏面16からタイヤ半径方向内側に向かってねじれた部分23を有する。このねじれた部分23では、踏面16に沿ったブロックの横断面25(図3では着色されている)は、その輪郭形状を維持しつつ、踏面16から根本面17に向かって、踏面と交差する軸線(図示省略)の回りで回転しながらのびている。
【0035】
図3では、ブロックの横断面25の一例として、第1ブロック11の1/3の高さで根本面17に沿ってのびる第1横断面26と、第1ブロック11の2/3の高さで根本面17に沿ってのびる第2横断面27とが示されている。図4では、第1横断面26及び第2横断面27並びに根本面17の輪郭がそれぞれ2点鎖線で示されている。
【0036】
図3に示されるように、上述の構成により、第1横断面26及び第2横断面27は、それぞれ、根本面17と同じ数の辺を有する多角形状であるのが望ましい。本実施形態の第1横断面26及び第2横断面27は、それぞれ、根本面17と実質的に同じ形状を有している。
【0037】
さらに望ましい態様として、本実施形態の第1ブロック11は、前記横断面25が、踏面16と根本面17との間のいずれの位置においても、根本面17と実質的に同じ形状を有しているのが望ましい。
【0038】
このような第1ブロック11は、目的に応じて、踏面16の各エッジと、根本面17の各エッジとを異なる向きに傾けることができ、ひいてはブロック耐久性、トラクション性能、さらには排土性能などをバランスよく改善することができる。また、このような第1ブロック11は、滑らかな曲面で構成されたブロック側面18を有し、優れたブロック耐久性を発揮し得る。
【0039】
図4に示されるように、第1横断面26は、先着側面19上の第1仮想エッジ28を有している。トレッド平面視において、第1仮想エッジ28は、横エッジ22に対して角度θaよりも小さい角度θbで傾斜している。第1仮想エッジ28の角度θbは、例えば、1.5〜7.0°であるのが望ましい。
【0040】
第2横断面27は、先着側面19上の第2仮想エッジ29を有している。トレッド平面視において、第2仮想エッジ29は、横エッジ22に対して角度θbよりも大きくかつ角度θaよりも小さい角度θcで傾斜している。第2仮想エッジの角度θcは、例えば、3〜15°であるのが望ましい。
【0041】
前記角度θcと前記角度θbとの差θc−θbは、前記角度θbよりも大きいのが望ましい。これにより、第1横断面26よりもタイヤ半径方向内側におけるブロックのねじれ量を小さくでき、ひいてはブロックの根本部分の損傷を抑制することができる。
【0042】
ブロックの根本の耐久性を確保しつつ、斜めエッジを大きく傾斜させるために、角度θaと角度θcとの差θa−θcは、前記差θc−θbよりも大きいのが望ましい。
【0043】
前記差θc−θb、及び、前記差θa−θcは、それぞれ、10°以下であるのが望ましい。これにより、ブロックの過度なねじれが抑制され、ひいては優れたブロック耐久性が得られる。
【0044】
図3に示されるように、第1ブロック11の横断面25の面積は、例えば、タイヤ半径方向内側に向かって漸増している。これにより、ブロックの根本の剛性が高められ、ひいてはブロック耐久性が高められる。
【0045】
ブロック耐久性を維持しつつ、ブロックの路面への食い込み量を確保するために、踏面16の面積S1は、好ましくは根本面24の面積S2の0.45倍以上、より好ましくは0.50倍以上であり、好ましくは0.70倍以下、より好ましくは0.65倍以下である。
【0046】
図4に示されるように、トレッド平面視において、踏面16のエッジ13は、根本面17のエッジ14で囲まれた領域内に設けられているのが望ましい。踏面16のエッジの一部が前記領域の外側にはみ出している場合、路面への接地時にブロックがはみ出した方向に倒れ易くなり、操縦安定性やブロック耐久性が低下するおそれがある。
【0047】
図2に示されるように、本実施形態の第1ブロック11は、例えば、ミドル領域Miに設けられているのが望ましい。本実施形態のミドル領域Miには、例えば、第1ブロック11と、踏面の各エッジ13と根本面の各エッジ14とが同じ向きにのびる第2ブロック12(従来のブロック)とがタイヤ周方向に交互に並べられている。
【0048】
本実施形態において、第1ブロック11の踏面16の斜めエッジ21は、例えば、タイヤ赤道C側に向かって回転方向Rの後着側に傾斜しているのが望ましい。このような態様は、不整地走行時、第1ブロック11が押し退けた土や泥をクラウンブロック20側に案内する。クラウンブロック20は、案内された土や泥をさらにせん断して大きなトラクションを提供することができる。
【0049】
図5(a)には、本発明の他の実施形態の第1ブロック11の拡大斜視図が示され、図5(b)には、図5(a)の拡大平面図が示されている。図5(a)及び(b)において、上述した実施形態と共通する構成には、同一の符号が付されている。
【0050】
図5(a)及び(b)に示されるように、この実施形態の第1ブロック11は、上述した斜めエッジ21及び横エッジ22を除き、根本面17のエッジ14と踏面16のエッジ13とが、互いに沿ってのびている。このため、第1ブロック11は、根本面17と踏面16とが異なる形状を有し、例えば、根本面17が正方形状に形成され、踏面16が台形状に形成されている。また、根本面17の横エッジ22と踏面16の斜めエッジ21との間の先着側面19が、平面状に形成されている。このような第1ブロック11は、コーナリング時のトラクションを高めつつ、さらに高いブロック耐久性を発揮することができる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態の不整地走行用のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
【実施例】
【0052】
図1のトレッドパターンを有するタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、図6に示されるように、従来のブロックのみが設けられたタイヤが試作された。各テストタイヤのトラクション性能、及び、ブロック耐久性がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
タイヤサイズ:120/80−19
リムサイズ:2.15×19
内圧:80kPa
テスト車両:排気量450cc モトクロス競技車両
【0053】
<トラクション性能>
上記テスト車両で不整地を走行したときのコーナリング時のトラクション性能が、テストライダーの官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、コーナリング時のトラクション性能が優れていることを示す。
【0054】
<ブロック耐久性>
各テストタイヤを、縦荷重1.95kN、速度50km/hで直径1.7mのドラム上で走行させ、ブロック欠けが発生するまでの走行距離が測定された。評価は、比較例の値を100とする指数であり、数値が大きい程、ブロック耐久性が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
【0055】
【表1】
【0056】
テストの結果、実施例のタイヤは、トラクション性能及びブロックの耐久性がバランス良く向上していることが確認できた。
【符号の説明】
【0057】
2 トレッド部
10 ブロック
11 第1ブロック
16 踏面
17 根本面
18 ブロック側面
21 斜めエッジ
22 横エッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6