特許第6805744号(P6805744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805744
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】酸素インジケーター
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/22 20060101AFI20201214BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20201214BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20201214BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   G01N31/22 121A
   G01N31/00 L
   G01N21/77 A
   G01N21/78 B
   G01N31/22 122
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-221474(P2016-221474)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2018-80927(P2018-80927A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−173345(JP,A)
【文献】 特開2012−103170(JP,A)
【文献】 特開平05−149943(JP,A)
【文献】 特開平07−049342(JP,A)
【文献】 特開2004−352329(JP,A)
【文献】 特開2003−227797(JP,A)
【文献】 特開2008−096375(JP,A)
【文献】 特開2003−322648(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0146767(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0253252(US,A1)
【文献】 米国特許第05483819(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/00,31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に酸素検知機能を有し、親水性の酸素インジケーター層と油性インキ層と親水性の酸素ガスバリア層が順次積層され、前記酸素ガスバリア層は、前記油性インキ層を部分的に覆っていることを特徴とする酸素インジケーター。
【請求項2】
前記酸素ガスバリア層の膜厚が、0.3μm〜0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の酸素インジケーター。
【請求項3】
前記油性インキ層は、ウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の酸素インジケーター。
【請求項4】
前記酸素ガスバリア層は、ポリビニルアルコール樹脂および無機層状化合物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸素インジケーター。
【請求項5】
前記酸素インジケーター層は、ポリビニルアセタール樹脂および酸化還元色素を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸素インジケーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を包装袋に長期保管するための脱酸素状態が保持されていることを目視検知するために用いられる酸素インジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、脱酸素剤を封入した包装容器内における脱酸素状態がピンホール、シール不良、脱酸素剤の不良等により変化したときの酸素暴露状況を簡単に確認し得るようにした酸素インジケーターが多数上市されている。酸素インジケーターは、酸化還元指示薬が、還元型と酸化型で異なる色調を呈する性質を利用したものである。
【0003】
酸素インジケーターは、周囲雰囲気中の酸素が十分に存在すると、酸素が還元剤の働きを抑制して酸化還元指示薬が酸化型構造をとるが、脱酸素剤等の働きにより酸素が周囲雰囲気中に存在しなくなると、還元剤が働き、酸化還元指示薬は還元型構造となる。このときの色調の変化を利用して、酸素還元指示薬を用いた酸素インジケーターは色調を目視により確認して、還元状態(還元色)または酸化状態(酸化色)のいずれかに該当するか判定している。
【0004】
このような酸素還元指示薬を利用した酸素インジケーターにおいて、例えば、酸素インジケーター層の厚みを部位により変えて設け、厚みが異なる部位間で酸素インジケーターの色調変化の度合いに差が生じることを利用して酸素の漏入観測時間を調節可能として経時的に変化を確認できるようにする(特許文献1)、また酸素ガスバリア層を酸素インジケーター層の上に部位ごとに厚みを変えて積層して酸素の透過量を部位ごとに変えて酸素量の経時的な変化を目視で確認できるようにする(特許文献2)、などが行われている。
【0005】
しかしながら、酸素ガスバリア層の厚みを部位により変える場合、印刷によって酸素ガスバリア層を積層すると、酸素インジケーター層からの色素成分の移行が一部起こってバリア性能を低下させるため、適切なバリア性能を得るためには酸素ガスバリア層は0.5μmを超える膜厚が必要であった。一方で、酸素ガスバリア層には無機層状化合物が添加されることが多いが、その場合、膜厚が厚くなるほど層間剥離強度が低下するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−183125号公報
【特許文献2】特開2016−173345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたもので、酸素インジケーター層と酸素ガスバリア層の間にウレタン系樹脂の油性インキ層を設けることで、薄い膜厚で十分なガスバリア性を有し、層間剥離強度が低下することなく経時的な酸素量の変化を目視確認可能な酸素インジケーターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
基材上に酸素検知機能を有し、親水性の酸素インジケーター層と油性インキ層と親水性の酸素ガスバリア層が順次積層され、前記酸素ガスバリア層は、前記油性インキ層を部分的に覆っていることを特徴とする酸素インジケーターである。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、前記酸素ガスバリア層の膜厚が0.3μm〜0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の酸素インジケーターである。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、前記油性インキ層はウレタン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の酸素インジケーターである。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、前記酸素ガスバリア層はポリビニルアルコール樹脂および無機層状化合物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸素インジケーターである。
【0012】
本発明の請求項5に係る発明は、前記酸素インジケーター層はポリビニルアセタール樹脂および酸化還元色素を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸素インジケーターである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る発明によれば、酸素インジケーター層の上に油性インキ層が設けられることで、親水性の酸素インジケーター層、酸素ガスバリア層の間での色素成分の移行が無くなるため酸素ガスバリア層のバリア性の低下がなく、酸素ガスバリア層を層間剥離が起こりにくい薄さにしても十分な酸素ガスバリア性が得られ、また酸素ガスバリア層を油性インク層上に部分的に設けることで、酸素ガスバリア層を設けた部分と設けない部分とで経時的な酸素ガスの透過度合いを変えることができ、その結果生じる酸素インジケーターの色調の差から、目視により周囲雰囲気中の残存酸素量の推定を行うことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、前記酸素ガスバリア層の膜厚が0.3μm〜0.5μmであることにより、3〜5cc/m・dayの酸素透過度が得られるため、酸素ガスバリア層を設けた部分と設けない部分の領域の色調の差が24時間以内と実用上好適な時間内に得られ、明確な色調の差として目視にて確認できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、前記油性インキ層はウレタン系樹脂を含むことにより、密着性に優れ、且つ下層にある酸素インジケーター層の酸化還元指示薬の呈色を阻害することがない。また、酸素インジケーター層から酸素ガスバリア層への成分の移行を阻止することが容易である。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、前記酸素ガスバリア層はポリビニルアルコール樹脂および無機層状化合物を含むことにより、透明で酸素ガスバリア性に優れ、且つ酸素ガスバリア層を形成するための組成物としての調整や塗布性に優れるため、膜厚を0.3μm〜0.5μmにすることが容易である。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、前記酸素インジケーター層はポリビニルアセタール樹脂および酸化還元色素を含むことにより、酸化還元反応による色調の変化に優れ、且つ酸素インジケーター層を形成するための組成物としての塗布性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)本発明の酸素インジケーターの一実施形態を示す断面概略図である。(b)上記酸素インジケーターの平面概略図である。
図2】本発明の酸素インジケーターの他の実施形態を示す断面概略図である。
図3】従来の酸素インジケーターの断面外略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の酸素インジケーター10は、基材1の一方の面に酸素インジケーター層2、油性インキ層3、酸素ガスバリア層4が順次形成されてなることを特徴とする。なお、本発明の酸素インジケーター包装袋(周囲を熱シールした袋状の形態)として用いる為に、図2に示すように油性インキ層3および酸素ガスバリア層4の上にさらにシーラント層5が積層されてもよい。
【0021】
本発明に用いる基材1(支持体)としては、酸素インジケーター層形成用インキ組成物(以下、インジケーター用インキと記す)と反応せず、しかも酸化還元指示薬の呈色性を阻害しないものが好ましい。例えば合成樹脂フィルムを用いることができ、単体でも積層体でも良い。中でも基材の裏側(酸素インジケーター層2等を形成する面の反対側の面)のガスバリア性を付与するために、裏面に金属酸化物等の薄膜層を形成した合成樹脂フィルムとすると好ましい。
【0022】
本発明に用いる酸素インジケーター層2は、酸化還元指示薬、還元剤、ポリビニルアセタール樹脂および溶剤を含むインジケーター用インキからなり、必要に応じて粘度調整剤や界面活性剤等の安定剤等の添加物を加えてもよい。
【0023】
前記酸化還元指示薬としては、酸化状態と還元状態で異なる色調を呈する色素であれば特に制限されるものではない。例えば、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラニル酸等が使用可能である。
【0024】
また、前記還元剤としては、例えばアスコルビン酸、アスコルビン酸塩、D−フラクトース等の還元糖が使用可能である。
【0025】
本発明に係る酸素インジケーター層2は基材1(支持体)の上に均一な膜厚で形成されるため、インジケーター用インキが基材1に固着されることが要求される。このような要求を満たすものとしては、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が挙げられるが、中でも親水性と耐水性を併せ持つポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
【0026】
また、樹脂や酸化還元指示薬を溶解あるいは分散してインキ化するために用いる溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独でも、また複数の溶剤を混合してもよい。
【0027】
本発明に用いる油性インキ層3は、体質顔料、ウレタン系合成樹脂および溶剤を含む油性インキからなり、必要に応じて硬化剤等の添加物を加えてもよい。
【0028】
前記体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等の無機系白色顔料が使用可能である。
【0029】
前記溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、単独でも、または複数の溶剤を混合してもよい。
【0030】
本発明に係る酸素ガスバリア層4は優れた酸素ガスバリア性に加えて、酸素インジケーター層2の上に形成されるため、酸素インジケーター層2の酸化還元指示薬の呈色を阻害することのない透明性が要求される。このような要求を満たすものとしては、例えばポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂が挙げられるが、中でも、透明性、溶解性等に優れたポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
【0031】
また、酸素ガスバリア層4に無機層状化合物を加えることで、上記樹脂の酸素ガスバリア性に加えて、さらに酸素ガスバリア性を向上する効果が得られる。具体的には、無機層状鉱物を加えることで高湿度下の酸素ガスバリアの低下を防ぐことができる。
【0032】
前記無機層状化合物は溶媒に膨潤するものが好ましく、主として、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族が挙げられる。具体的には、カオリナイト、アンチゴライト、モンモリロナイト、合成雲母等を使用することができる。また鱗片状シリカ等が使用できる。これらは単体でも2種類以上を併用してもよい。中でも、ガスバリア性能や塗布加工適性から合成雲母が好ましい。
【0033】
酸素インジケーター層2、油性インキ層3、酸素ガスバリア層4は、公知のグラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの各種印刷方法によって好適に形成できる。
【0034】
以上のように構成した酸素インジケーター10を、まず脱酸素環境下(例えば脱酸素剤を同封した袋など)におくと、酸素インジケーター層2の色調は酸素ガスバリア層のある部分もない部分も同じ還元色を呈し均一の色調である。しかる後有酸素環境下(例えば上記の袋に大気が漏れ入った場合など)におかれると、まず酸素インジケーター層2が酸素の作用により次第に酸化色へと変色してゆくが、このとき酸素ガスバリア層4に覆われていない部分A1のほうが早く変色し、酸素ガスバリア層に覆われている部分A2は比較的遅く変色してゆく。
【0035】
この結果、A1とA2の部分に色調の差が現れ、酸素ガスバリア層4の特性を適宜設定することにより、漏入した酸素量や時間を推定するなどすることができる。また、図1においてはA1、A2の形状は単純な矩形であるが、この形状は特に矩形に限られるわけではなく、例えば一方を文字や記号の形状となるようにすることもでき、そうすると色調が変化することにより文字や記号が浮かび上がるようにすることもできる。それにより、酸素の漏入が起こっていることを、よりわかりやすく表示することができる。
【0036】
本発明の酸素インジケーターの周辺を熱シールして包装体として用いる場合には、油性インキ層3および酸素ガスバリア層4の上層全面に熱融着性を有するシーラント層5を積層する必要がある。この場合のシーラント層5に用いられる樹脂としては、熱溶融性を有する樹脂であれば特に限定するものではない。例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0037】
以上詳細に説明したように、本発明により、酸素ガスバリア層の層間強度が保持されるため、包装体の中に内容物および脱酸素剤と同封して長期間保存する際に、層間剥離などにより途中で破壊されることなく、脱酸素剤による脱酸素状態が保持されていることを目視で容易且つ明確に検知できる酸素インジケーターを得ることが可能である。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例について図1を参照して具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
<実施例1>
[インジケーター用インキ]
メチレンブルー 1.5部、
アスコルビン酸 4.7部、
水 22.5部、
アルコール 43.6部、
バインダー樹脂 26.1部、
グリセリン 1.4部、
合成シリカ 0.4部
金属酸化物を裏面側に蒸着した厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの基材1に、上記組成のインジケーター用インキをグラビア印刷法により塗布し、乾燥して酸素インジケーター層2を膜厚0.8μmとなるように形成した。
【0040】
次に、上記で得られた酸素インジケーター層2の上に、下記組成からなる油性インキをグラビア印刷法により塗布し、乾燥して油性インキ層3を膜厚0.3μmとなるように形成した。
【0041】
[油性インキ]
体質顔料 25.5部、
ウレタン系合成樹脂 15.0部、
溶剤 59.0部、
シリカ 0.5部
【0042】
次に、上記で得られた油性インキ層3の上に、下記組成からなる酸素ガスバリア層用インキをグラビア印刷法により塗布し、乾燥して酸素ガスバリア層4を形成して酸素インジケーターを作製した。
なお、酸素ガスバリア層4は図1に示すような、油性インキ層3を部分的に覆う領域A2に設け、乾燥後の膜厚0.3μmとなるように形成した。領域A1は油性インキ層3が最上層となっている。
【0043】
[酸素ガスバリア用インキ]
ポリビニルアルコール樹脂 3.5部、
合成雲母 18.8部、
バリア性ウレタン樹脂 13.4部、
水 63.2部、
IPA 11.1部
【0044】
<比較例1>
上記、実施例1の中の酸素インジケーターにおいて、油性インキ層3を形成しない以外は実施例1と同じ方法で図3に示すような酸素インジケーターを作製した。
【0045】
<比較例2>
上記、比較例1の中の酸素インジケーターにおいて、酸素ガスバリア層の乾燥後の膜厚を0.8μmとなるように形成した以外は、比較例1と同じ方法で酸素インジケーターを作製した。
【0046】
(酸素インジケーターの評価方法)
〔実験1〕
作製した実施例1および比較例1、2の酸素インジケーターの酸素透過度をJIS K7126に準拠し、温度30℃、湿度70%RHの条件下において、MOCON法にて測定した。
次に、酸素インジケーター層2と酸素ガスバリア層4の密着強度をJIS K7127に準拠し、測定した。なお、酸素透過度および密着強度の測定結果を表1に示す。
【0047】
〔実験2〕
作製した実施例1および比較例1、2の酸素インジケーターを脱酸素環境下に保管して脱酸素状態にし、その後、室温、大気下に保管して、有酸素状態にした時の経時による色調差、すなわち隣接する領域A1、A2について初期段階である脱酸素環境下と有酸素状態となったときの色調差(ΔE)を色差計(X−Rite)で測定した。同時にその時の領域A1、A2の色調を初期段階のものと目視による比較判定を行った。領域A1、A2の色調差(ΔE)の測定結果と比較判定結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
(評価結果)
表1から分かるように、油性インキ層があることで酸素ガスバリア層の膜厚が薄くても、十分な酸素バリア性能と密着強度が得られることが確認できた。
次に、表2から分かるように、有酸素状態とした後の8時間経過後の領域A1のΔEは12となり、初期段階の色調との差異が目視でも確認できた。一方領域A2のΔEは8であり、初期段階との差異は目視では明瞭でなかった(目視で確認できた場合を○、できなかった場合を×で示している)。また12時間経過後のΔEの測定結果では、領域A1のΔEは16であり、領域A2のΔEは12であり、領域A1、領域A2共に初期段階との色調差が目視でも明らかに確認することができた。
【0051】
この結果から、本発明の酸素インジケーターによれば、測定器が無い場合でも、目視により酸素が漏入していることと共に漏入の程度もインジケーターの表示から容易に推定することができることが確認できた。
【符号の説明】
【0052】
1・・・基材
2・・・酸素インジケーター層
3・・・油性インキ層
4・・・酸素ガスバリア層
5・・・シーラント層
10・・酸素インジケーター
図1
図2
図3