(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願の光モジュールは、光を形成する光形成部と、光形成部からの光を透過する出射窓を有し、光形成部を取り囲むように配置される保護部材と、を備える。光形成部は、搭載面を有するベース部材と、ベース部材の搭載面上に配置されるブロックユニットと、を含む。ブロックユニットは、搭載面に交差する第1保持面および第2保持面を有するベースブロックと、第1保持面上に配置され、第1半導体発光素子を含む第1発光素子ユニットと、第2保持面上に配置されるワイヤポストと、を含む。第1半導体発光素子とワイヤポストとは電気的に接続される。第1保持面と第2保持面とのなす角は45°以下である。
【0010】
本願の光モジュールは、第1発光素子ユニットが、ベース部材の搭載面に交差する面(第1保持面)に配置される構造を有する。このように部品の固定やワイヤボンディングが特に煩雑となる構造を有する本願の光モジュールにおいて、ベース部材の搭載面上に、ブロックユニットが配置される。このブロックユニットの第1保持面および第2保持面上に、それぞれ第1発光素子ユニットおよびワイヤポストが配置される。そして、第1保持面と第2保持面とのなす角は45°以下である。そのため、本願の光モジュールによれば、以下のような手順での部品の固定およびワイヤボンディングが可能となる。
【0011】
まず、第1保持面および第2保持面を有するベースブロックを準備する。そして、ブロックユニットの搭載面への搭載後に他の部品とのワイヤボンディングが容易となる第2保持面上の位置にワイヤポストを配置する。また、第2保持面とのなす角が45°以下である第1保持面上に第1発光素子ユニットを配置する。そして、ワイヤポストと第1半導体発光素子とを電気的に接続するワイヤボンディングを実施する。このとき、第1保持面と第2保持面とのなす角が45°以下であることにより、このワイヤボンディングを容易に実施することができる。その後、互いを電気的に接続するワイヤボンディングが完了したワイヤポストと第1半導体発光素子とを含むブロックユニットを、ベース部材の搭載面上に配置する。そして、ワイヤポストと電力供給経路を構成する他の部品との電気的接続を形成するためのワイヤボンディングを実施する。このとき、ワイヤポストは、当該他の部品との電気的接続を形成するためのワイヤボンディングが容易な位置に配置されているため、このワイヤボンディングも容易に実施することができる。このようにして、部品の固定やワイヤボンディングが特に煩雑となる構造を有する光モジュールにおいて、部品の固定やワイヤボンディングを簡略化することができる。
【0012】
以上のように、本願の光モジュールによれば、部品の固定やワイヤボンディングを簡略化することができる。
【0013】
上記光モジュールにおいて、第1半導体発光素子は、第1半導体レーザ素子であってもよい。半導体発光素子として半導体レーザ素子を採用することにより、波長のばらつきの少ない出射光を得ることができる。
【0014】
上記光モジュールにおいて、光形成部は、ベース部材の搭載面上にブロックユニットとは離れて配置され、第1保持面上の第1半導体レーザ素子との発振波長の差が10nm以下である第2半導体レーザ素子を含む第2発光素子ユニットと、第1半導体レーザ素子からの光と第2半導体レーザ素子からの光とを合波する偏波合成フィルタと、をさらに含んでいてもよい。
【0015】
上記ブロックユニットを採用することにより、第1半導体レーザ素子からの光の偏波方向とベース部材の搭載面とのなす角を自由に設定することができる。そのため、ブロックユニットと離れて配置される他の半導体レーザ素子である第2半導体レーザ素子からの光の偏波方向と第1半導体レーザ素子からの光の偏波方向とが交差するように第1半導体レーザ素子を配置し、発振波長の差が小さい2つの半導体レーザ素子からの光を偏波合成フィルタで合波する構造を容易に達成することができる。
【0016】
上記光モジュールにおいて、光形成部は、複数の上記ブロックユニットを含んでいてもよい。このようにすることにより、パッケージ内に含まれる部品点数の多い光モジュールであっても、部品の固定やワイヤボンディングを簡略化することが容易となる。
【0017】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明にかかる光モジュールの一実施の形態を、
図1〜
図5を参照しつつ説明する。
図2は、
図1のキャップ40を取り外した状態に対応する図である。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0018】
図1および
図2を参照して、本実施の形態における光モジュール1は、平板状の形状を有するステム10と、ステム10の一方の主面10A上に配置され、光を形成する光形成部20と、光形成部20を覆うようにステム10の一方の主面10A上に接触して配置されるキャップ40と、ステム10の他方の主面10B側から一方の主面10A側まで貫通し、一方の主面10A側および他方の主面10B側の両側に突出する複数のリードピン45とを備えている。ステム10とキャップ40とは、たとえば溶接されることにより気密状態とされている。すなわち、光形成部20は、ステム10とキャップ40とによりハーメチックシールされている。ステム10とキャップ40とにより取り囲まれる空間には、たとえば乾燥空気などの水分が低減(除去)された気体が封入されている。キャップ40には、光形成部20からの光を透過する出射窓41が形成されている。出射窓41は主面が互いに平行な平板状の形状を有していてもよいし、光形成部20からの光を集光または拡散させるレンズ形状を有していてもよい。ステム10およびキャップ40は、保護部材を構成する。
【0019】
図2および
図3を参照して、光形成部20は、板状の形状を有するベース部材であるベース板60を含む。ベース板60は、長方形状の平面形状を有する。ベース板60の一方側の表面である搭載面60Aの一の長辺に対応する領域に沿って5つの半導体レーザ素子が配置される。
【0020】
具体的には、上記搭載面60Aにおいて一の長辺の一方の端部に対応する領域に、第1チップ搭載領域61が配置される。第1チップ搭載領域61は、周囲の領域に比べてベース板60の厚みが大きい直方体状の領域である。その結果、第1チップ搭載領域61の高さは、周囲の領域に比べて高くなっている。第1チップ搭載領域61上には、平板状の第1サブマウント71が配置されている。そして、第1サブマウント71上に、半導体発光素子(半導体レーザ素子)である第1赤色レーザダイオード51が配置されている。
【0021】
ベース板60の第1チップ搭載領域61から見て第1赤色レーザダイオード51の出射方向に隣接する領域には、第1受光素子としての第1フォトダイオード91が配置されている。第1フォトダイオード91は、受光面91Aを有する。
【0022】
ベース板60の一方の主面の一の長辺に対応する領域において、第1チップ搭載領域61に隣接する搭載面60A上には、第1ベースブロック62が配置される。第1ベースブロック62は、互いになす角が45°以下である、より具体的には互いに平行な(互いになす角が0°である)第1保持面62Aと第2保持面62Bとを含む階段状のブロックである。上段面が第1保持面62Aであり、下段面が第2保持面62Bである。第1保持面62Aおよび第2保持面62Bは、ベース板60の搭載面60Aに交差する(直交する)面である。
【0023】
第1保持面62A上には、平板状の第2サブマウント72が配置されている。第1チップ搭載領域61において第1サブマウント71が配置される面を含む平面と、第1保持面62Aを含む平面とは、交差する。第1チップ搭載領域61において第1サブマウント71が配置される面を含む平面と、第1保持面62Aを含む平面とは、直交する。そして、第2サブマウント72上に、半導体発光素子(半導体レーザ素子)である第2赤色レーザダイオード52が配置されている。第1赤色レーザダイオード51と第2赤色レーザダイオード52との発振波長の差は10nm以下である。第1赤色レーザダイオード51および第2赤色レーザダイオード52は、いずれも赤色の光(レーザ光)を出射する。
【0024】
本実施の形態において、第2赤色レーザダイオード52は、第1半導体レーザ素子(第1半導体発光素子)である。また、第2赤色レーザダイオード52および第2サブマウント72は、第1発光素子ユニットを構成する。本実施の形態において、第1赤色レーザダイオード51は、第2半導体レーザ素子(第2半導体発光素子)である。また、第1赤色レーザダイオード51および第1サブマウント71は、第2発光素子ユニットを構成する。
【0025】
第2保持面62B上には、ワイヤポスト103が配置される。ワイヤポスト103は、たとえば絶縁体からなるベース体の表面に導体である金属が蒸着された構造を有する。より具体的には、ワイヤポスト103は、柱状の形状を有するベース体と、ベース体の互いに交差する少なくとも2つの面にわたって形成される導体膜とを含む。第2赤色レーザダイオード52とワイヤポスト103とは電気的に接続されている。また、第2保持面62B上には、第2受光素子としての第2フォトダイオード92が配置されている。第2フォトダイオード92は、受光面92Aを有する。受光面91Aを含む平面と受光面92Aを含む平面とは交差する。より具体的には、受光面91Aを含む平面と受光面92Aを含む平面とは直交する。第2フォトダイオード92は、第2赤色レーザダイオード52から見て、光の出射方向に隣接する領域に配置される。
【0026】
第1ベースブロック62は、第3保持面62Cを含む。第3保持面62Cは、第1保持面62Aおよび第2保持面62Bに交差(直交)する面である。第3保持面62Cは、ベース板60の搭載面60Aに沿う(平行な)面である。第3保持面62C上には、アイランド104が配置される。アイランド104は、たとえば絶縁体からなるベース体の表面に導体である金属が蒸着された構造を有する。より具体的には、アイランド104は、板状の形状を有するベース体と、ベース体の表面に形成された導体膜とを含む。
【0027】
第1ベースブロック62、第2サブマウント72、第2赤色レーザダイオード52、ワイヤポスト103、第2フォトダイオード92およびアイランド104は、第1ブロックユニットを構成する。
【0028】
ベース板60の一方の主面(搭載面60A)の一の長辺に対応する領域において、第2チップ搭載領域である第1ベースブロック62から見て第1チップ搭載領域61とは反対側に、第3チップ搭載領域63が配置される。第3チップ搭載領域63は、周囲の領域に比べてベース板60の厚みが大きい直方体状の領域である。その結果、第3チップ搭載領域63の高さは、周囲の領域に比べて高くなっている。第3チップ搭載領域63上には、平板状の第3サブマウント73が配置されている。第3チップ搭載領域63において第3サブマウント73が配置される面を含む平面と、第1保持面62Aを含む平面とは、交差する。より具体的には、第3チップ搭載領域63において第3サブマウント73が配置される面を含む平面と、第1保持面62Aを含む平面とは、直交する。そして、第3サブマウント73上に、半導体発光素子(半導体レーザ素子)である第1緑色レーザダイオード53が配置されている。
【0029】
ベース板60の第3チップ搭載領域63から見て第1緑色レーザダイオード53の出射方向に隣接する領域には、第3受光素子としての第3フォトダイオード93が配置されている。第3フォトダイオード93は、受光面93Aを有する。受光面92Aを含む平面と受光面93Aを含む平面とは交差する。より具体的には、受光面92Aを含む平面と受光面93Aを含む平面とは直交する。
【0030】
ベース板60の一方の主面の一の長辺に対応する領域において、第3チップ搭載領域63から見て第1ベースブロック62とは反対側に隣接する搭載面60A上には、第4チップ搭載領域としての第2ベースブロック64が配置される。第2ベースブロック64は、互いになす角が45°以下である、より具体的には互いに平行な(互いになす角が0°である)第1保持面64Aと第2保持面64Bとを含む階段状のブロックである。上段面が第1保持面64Aであり、下段面が第2保持面64Bである。第1保持面64Aおよび第2保持面64Bは、ベース板60の搭載面60Aに交差する(直交する)面である。
【0031】
第1保持面64A上には、平板状の第4サブマウント74が配置されている。第3チップ搭載領域63において第3サブマウント73が配置される面を含む平面と、第1保持面64Aを含む平面とは、交差する。第3チップ搭載領域63において第3サブマウント73が配置される面を含む平面と、第1保持面64Aを含む平面とは、直交する。そして、第4サブマウント74上に、半導体発光素子(半導体レーザ素子)である第2緑色レーザダイオード54が配置されている。第1緑色レーザダイオード53と第2緑色レーザダイオード54との発振波長の差は10nm以下である。第1緑色レーザダイオード53および第2緑色レーザダイオード54は、いずれも緑色の光(レーザ光)を出射する。
【0032】
第2保持面64B上には、ワイヤポスト101が配置される。ワイヤポスト101は、たとえば絶縁体からなるベース体の表面に導体である金属が蒸着された構造を有する。より具体的には、ワイヤポスト101は、柱状の形状を有するベース体と、ベース体の互いに交差する少なくとも2つの面にわたって形成される導体膜とを含む。第2緑色レーザダイオード54とワイヤポスト101とは電気的に接続されている。また、第2保持面64B上には、第4受光素子としての第4フォトダイオード94が配置されている。第4フォトダイオード94は、受光面94Aを有する。受光面93Aを含む平面と受光面94Aを含む平面とは交差する。より具体的には、受光面93Aを含む平面と受光面94Aを含む平面とは直交する。第4フォトダイオード94は、第2緑色レーザダイオード54から見て、光の出射方向に隣接する領域に配置される。
【0033】
第2ベースブロック64は、第3保持面64Cを含む。第3保持面64Cは、第1保持面64Aおよび第2保持面64Bに交差(直交)する面である。第3保持面64Cは、ベース板60の搭載面60Aに沿う(平行な)面である。第3保持面64C上には、アイランド102が配置される。アイランド102は、たとえば絶縁体からなるベース体の表面に導体である金属が蒸着された構造を有する。より具体的には、アイランド102は、板状の形状を有するベース体と、ベース体の表面に形成された導体膜とを含む。
【0034】
第2ベースブロック64、第4サブマウント74、第2緑色レーザダイオード54、ワイヤポスト101、第4フォトダイオード94およびアイランド102は、第2ブロックユニットを構成する。
【0035】
ベース板60の一方の主面(搭載面60A)の一の長辺に対応する領域において、第2ベースブロック64から見て第3チップ搭載領域63とは反対側に、第5チップ搭載領域65が配置される。第5チップ搭載領域65は、上記一の長辺の他方の端部に対応する領域に配置される。第5チップ搭載領域65は、周囲の領域に比べてベース板60の厚みが大きい直方体状の領域である。その結果、第5チップ搭載領域65の高さは、周囲の領域に比べて高くなっている。第5チップ搭載領域65上には、平板状の第5サブマウント75が配置されている。第5チップ搭載領域65において第5サブマウント75が配置される面を含む平面と、第1保持面64Aを含む平面とは、交差する。より具体的には、第5チップ搭載領域65において第5サブマウント75が配置される面を含む平面と、第1保持面64Aを含む平面とは、直交する。そして、第5サブマウント75上に、半導体発光素子(半導体レーザ素子)である青色レーザダイオード55が配置されている。
【0036】
ベース板60の第5チップ搭載領域65から見て青色レーザダイオード55の出射方向に隣接する領域には、第5受光素子としての第5フォトダイオード95が配置されている。第5フォトダイオード95は、受光面95Aを有する。受光面94Aを含む平面と受光面95Aを含む平面とは交差する。より具体的には、受光面94Aを含む平面と受光面95Aを含む平面とは直交する。
【0037】
第1フォトダイオード91、第2フォトダイオード92、第3フォトダイオード93、第4フォトダイオード94および第5フォトダイオード95は、それぞれ第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55からの光を直接受光する位置に設置される。本実施の形態においては、全てのレーザ素子のそれぞれに対応して受光素子が配置される。第1フォトダイオード91および第2フォトダイオード92は、赤色の光を受光可能なフォトダイオードである。第3フォトダイオード93および第4フォトダイオード94は、緑色の光を受光可能なフォトダイオードである。第5フォトダイオード95は、青色の光を受光可能なフォトダイオードである。
【0038】
第1フォトダイオード91は、第1赤色レーザダイオード51の出射方向において、第1赤色レーザダイオード51と第1レンズ81との間に配置される。第2フォトダイオード92は、第2赤色レーザダイオード52の出射方向において、第2赤色レーザダイオード52と第2レンズ82との間に配置される。第3フォトダイオード93は、第1緑色レーザダイオード53の出射方向において、第1緑色レーザダイオード53と第3レンズ83との間に配置される。第4フォトダイオード94は、第2緑色レーザダイオード54の出射方向において、第2緑色レーザダイオード54と第4レンズ84との間に配置される。第5フォトダイオード95は、青色レーザダイオード55の出射方向において、青色レーザダイオード55と第5レンズ85との間に配置される。
【0039】
第1フォトダイオード91から見て第1赤色レーザダイオード51とは反対側のベース板60上には、平板状の第1レンズ支持部81Bが配置される。そして、第1レンズ支持部81B上には、第1レンズ81が配置される。第2フォトダイオード92から見て第2赤色レーザダイオード52とは反対側のベース板60上には、平板状の第2レンズ支持部82Bが配置される。そして、第2レンズ支持部82B上には、第2レンズ82が配置される。第3フォトダイオード93から見て第1緑色レーザダイオード53とは反対側のベース板60上には、平板状の第3レンズ支持部83Bが配置される。そして、第3レンズ支持部83B上には、第3レンズ83が配置される。第4フォトダイオード94から見て第2緑色レーザダイオード54とは反対側のベース板60上には、平板状の第4レンズ支持部84Bが配置される。そして、第4レンズ支持部84B上には、第4レンズ84が配置される。第5フォトダイオード95から見て青色レーザダイオード55とは反対側のベース板60上には、平板状の第5レンズ支持部85Bが配置される。そして、第5レンズ支持部85B上には、第5レンズ85が配置される。
【0040】
第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84および第5レンズ85は、それぞれ表面がレンズ面となっている部分であるレンズ部81A、レンズ部82A、レンズ部83A、レンズ部84Aおよびレンズ部85Aを有している。第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84および第5レンズ85は、レンズ部81A,82A,83A,84A,85Aとレンズ部81A,82A,83A,84A,85A以外の領域とが一体成型されている。第1レンズ支持部81B、第2レンズ支持部82B、第3レンズ支持部83B、第4レンズ支持部84Bおよび第5レンズ支持部85Bにより、第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84および第5レンズ85のレンズ部81A,82A,83A,84A,85Aの中心軸、すなわちレンズ部81A,82A,83A,84A,85Aの光軸は、それぞれ第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55の光軸に一致するように調整されている。第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84および第5レンズ85は、それぞれ第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55から出射される光のスポットサイズを変換する。第1レンズ81、第2レンズ82、第3レンズ83、第4レンズ84および第5レンズ85により、第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55から出射される光のスポットサイズが一致するようにスポットサイズが変換される。
【0041】
第1レンズ81から見て第1赤色レーザダイオード51とは反対側のベース板60上には、平板状の第1フィルタ支持部86Bが配置される。そして、第1フィルタ支持部86B上には、第1フィルタ86が配置される。第1フィルタ86は、波長選択性フィルタである。第1フィルタ86は、赤色の光を反射する。
【0042】
第2レンズ82から見て第2赤色レーザダイオード52とは反対側のベース板60上には、平板状の第2フィルタ支持部87Bが配置される。そして、第2フィルタ支持部87B上には、第2フィルタ87が配置される。第2フィルタ87は、赤色偏波合成フィルタである。
【0043】
第3レンズ83から見て第1緑色レーザダイオード53とは反対側のベース板60上には、平板状の第3フィルタ支持部88Bが配置される。そして、第3フィルタ支持部88B上には、第3フィルタ88が配置される。第3フィルタ88は、波長選択性フィルタである。第3フィルタ88は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。
【0044】
第4レンズ84から見て第2緑色レーザダイオード54とは反対側のベース板60上には、平板状の第4フィルタ支持部89Bが配置される。そして、第4フィルタ支持部89B上には、第4フィルタ89が配置される。第4フィルタ89は、緑色偏波合成フィルタである。
【0045】
第5レンズ85から見て青色レーザダイオード55とは反対側のベース板60上には、平板状の第5フィルタ支持部90Bが配置される。そして、第5フィルタ支持部90B上には、第5フィルタ90が配置される。第5フィルタ90は、波長選択性フィルタである。第5フィルタ90は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。
【0046】
第1フィルタ86、第2フィルタ87、第3フィルタ88、第4フィルタ89および第5フィルタ90は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。
【0047】
図3を参照して、第1赤色レーザダイオード51、第1フォトダイオード91、第1レンズ81および第1フィルタ86は、第1赤色レーザダイオード51の光の出射方向に沿う方向(Y軸方向)に並んで配置されている。第2赤色レーザダイオード52、第2フォトダイオード92、第2レンズ82および第2フィルタ87は、第2赤色レーザダイオード52の光の出射方向に沿う方向(Y軸方向)に並んで配置されている。第1緑色レーザダイオード53、第3フォトダイオード93、第3レンズ83および第3フィルタ88は、第1緑色レーザダイオード53の光の出射方向に沿う方向(Y軸方向)に並んで配置されている。第2緑色レーザダイオード54、第4フォトダイオード94、第4レンズ84および第4フィルタ89は、第2緑色レーザダイオード54の光の出射方向に沿う方向(Y軸方向)に並んで配置されている。青色レーザダイオード55、第5フォトダイオード95、第5レンズ85および第5フィルタ90は、青色レーザダイオード55の光の出射方向に沿う方向(Y軸方向)に並んで配置されている。
【0048】
第1フィルタ86、第2フィルタ87、第3フィルタ88、第4フィルタ89および第5フィルタ90は、第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55からの光の出射方向に交差する方向、より具体的には直交する方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。第1フィルタ86、第2フィルタ87、第3フィルタ88、第4フィルタ89および第5フィルタ90の主面は、それぞれ第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55からの光の出射方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ86、第2フィルタ87、第3フィルタ88、第4フィルタ89および第5フィルタ90の主面は、それぞれ第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55からの光の出射方向(Y軸方向)に対して45°傾斜している。
【0049】
図2を参照して、本実施の形態の光モジュール1は、ステム10と光形成部20との間に、電子冷却モジュール30をさらに含んでいる。電子冷却モジュール30は、吸熱板(図示しない)と、放熱板32と、電極を挟んで吸熱板と放熱板32との間に並べて配置される半導体柱33とを含む。吸熱板および放熱板32は、たとえばアルミナからなっている。吸熱板がベース板60の他方の主面60Bに接触して配置される。放熱板32は、ステム10の一方の主面10Aに接触して配置される。本実施の形態において、電子冷却モジュール30はペルチェモジュール(ペルチェ素子)である。そして、電子冷却モジュール30に電流を流すことにより、吸熱板に接触するベース板60の熱がステム10へと移動し、ベース板60が冷却される。その結果、第1赤色レーザダイオード51、第2赤色レーザダイオード52、第1緑色レーザダイオード53、第2緑色レーザダイオード54および青色レーザダイオード55の温度上昇が抑制される。このように、レーザダイオードの温度を適正な範囲に維持することで、所望の色の光を精度よく形成することが可能となる。
【0050】
また、
図2および
図3を参照して、ベース板60の搭載面60Aにおいて隣り合うレンズ81〜85の間およびフィルタ86〜90の間には、アイランド105〜108が配置される。より具体的には、ベース板60の搭載面60Aにおいて隣り合うレンズ81〜85の間からフィルタ86〜90の間にまで延びるように、それぞれ凹部が形成されており、当該凹部内に位置するように、アイランド105〜108が配置されている。アイランド105〜108は、たとえば絶縁体からなるベース体の表面に導体である金属が蒸着された構造を有する。
【0051】
次に、本実施の形態における光モジュール1の動作について説明する。
図3を参照して、第1赤色レーザダイオード51から出射された赤色の光は、光路L
1に沿って進行する。このとき、第1フォトダイオード91の受光面91Aに赤色の光の一部が直接入射する。これにより第1赤色レーザダイオード51から出射された赤色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて第1赤色レーザダイオード51に供給される電力が調整される。第1フォトダイオード91上を通過した赤色の光は、第1レンズ81のレンズ部81Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば第1赤色レーザダイオード51から出射された赤色の光がコリメート光に変換される。第1レンズ81においてスポットサイズが変換された赤色の光は、光路L
1に沿って進行し、第1フィルタ86に入射する。第1フィルタ86は、赤色の光を反射する波長選択性フィルタである。そのため、第1赤色レーザダイオード51から出射された光は第1フィルタ86において反射されて光路L
2に沿って進行する。そして、第1赤色レーザダイオード51から出射された光は、第2フィルタ87、第3フィルタ88、第4フィルタ89および第5フィルタ90を透過して光路L
3、光路L
4、光路L
5および光路L
6に沿ってさらに進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0052】
第2赤色レーザダイオード52から出射された赤色の光は、光路L
7に沿って進行する。このとき、第2フォトダイオード92の受光面92Aに赤色の光の一部が直接入射する。これにより第2赤色レーザダイオード52から出射された赤色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて第2赤色レーザダイオード52に供給される電力が調整される。第2フォトダイオード92上を通過した赤色の光は、第2レンズ82のレンズ部82Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば第2赤色レーザダイオード52から出射された赤色の光がコリメート光に変換される。第2レンズ82においてスポットサイズが変換された赤色の光は、光路L
7に沿って進行し、第2フィルタ87に入射する。第2フィルタ87は、赤色の光のうち振動方向が横方向(X軸方向)である光を透過し、振動方向が縦方向(Z軸方向)である光を反射する偏波合成フィルタである。一方、第1赤色レーザダイオード51からの光の振動方向はX軸方向であり、第2赤色レーザダイオード52からの光の振動方向はZ軸方向である。そのため、第2赤色レーザダイオード52から出射された光は第2フィルタ87において反射されて光路L
3に合流する。その結果、第2赤色レーザダイオード52からの赤色の光は第1赤色レーザダイオード51からの赤色の光と合波され、光路L
3に沿って進行する。そして、第2赤色レーザダイオード52から出射された光は、第3フィルタ88、第4フィルタ89および第5フィルタ90を透過して光路L
4、光路L
5および光路L
6に沿ってさらに進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0053】
第1緑色レーザダイオード53から出射された緑色の光は、光路L
8に沿って進行する。このとき、第3フォトダイオード93の受光面93Aに緑色の光の一部が直接入射する。これにより第1緑色レーザダイオード53から出射された緑色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて第1緑色レーザダイオード53に供給される電力が調整される。第3フォトダイオード93上を通過した緑色の光は、第3レンズ83のレンズ部83Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば第1緑色レーザダイオード53から出射された緑色の光がコリメート光に変換される。第3レンズ83においてスポットサイズが変換された緑色の光は、光路L
8に沿って進行し、第3フィルタ88に入射する。第3フィルタ88は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する波長選択性フィルタである。そのため、第1緑色レーザダイオード53から出射された光は第3フィルタ88において反射されて光路L
4に合流する。その結果、第1緑色レーザダイオード53からの緑色の光は、第1赤色レーザダイオード51からの赤色の光および第2赤色レーザダイオード52からの赤色の光と合波され、光路L
4に沿って進行する。そして、第1緑色レーザダイオード53から出射された光は、第4フィルタ89および第5フィルタ90を透過して光路L
5および光路L
6に沿ってさらに進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0054】
第2緑色レーザダイオード54から出射された緑色の光は、光路L
9に沿って進行する。このとき、第4フォトダイオード94の受光面94Aに緑色の光の一部が直接入射する。これにより第2緑色レーザダイオード54から出射された緑色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて第2緑色レーザダイオード54に供給される電力が調整される。第4フォトダイオード94上を通過した緑色の光は、第4レンズ84のレンズ部84Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば第2緑色レーザダイオード54から出射された緑色の光がコリメート光に変換される。第4レンズ84においてスポットサイズが変換された緑色の光は、光路L
9に沿って進行し、第4フィルタ89に入射する。第4フィルタ89は、緑色の光のうち振動方向が横方向(X軸方向)である光を透過し、振動方向が縦方向(Z軸方向)である光を反射する偏波合成フィルタである。一方、第1緑色レーザダイオード53からの光の振動方向はX軸方向であり、第2緑色レーザダイオード54からの光の振動方向はZ軸方向である。そのため、第2緑色レーザダイオード54から出射された光は第4フィルタ89において反射されて光路L
5に合流する。また、第4フィルタ89は、赤色の光を透過する。その結果、第2緑色レーザダイオード54からの緑色の光は第1赤色レーザダイオード51からの赤色の光、第2赤色レーザダイオード52からの赤色の光および第1緑色レーザダイオード53からの緑色の光と合波され、光路L
5に沿って進行する。そして、第2緑色レーザダイオード54から出射された光は、第5フィルタ90を透過して光路L
6に沿ってさらに進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0055】
青色レーザダイオード55から出射された青色の光は、光路L
10に沿って進行する。このとき、第5フォトダイオード95の受光面95Aに青色の光の一部が直接入射する。これにより青色レーザダイオード55から出射された青色の光の強度が把握され、把握された光の強度と出射されるべき目標の光の強度との差に基づいて青色レーザダイオード55に供給される電力が調整される。第5フォトダイオード95上を通過した青色の光は、第5レンズ85のレンズ部85Aに入射し、光のスポットサイズが変換される。具体的には、たとえば青色レーザダイオード55から出射された青色の光がコリメート光に変換される。第5レンズ85においてスポットサイズが変換された青色の光は、光路L
10に沿って進行し、第5フィルタ90に入射する。第5フィルタ90は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する波長選択性フィルタである。そのため、青色レーザダイオード55から出射された光は第5フィルタ90において反射されて光路L
6に合流する。その結果、青色レーザダイオード55からの青色の光は、第1赤色レーザダイオード51からの赤色の光、第2赤色レーザダイオード52からの赤色の光、第1緑色レーザダイオード53からの緑色の光および第2緑色レーザダイオード54からの緑色の光と合波され、光路L
6に沿って進行し、キャップ40の出射窓41を通って光モジュール1の外部へと出射する。
【0056】
このようにして、キャップ40の出射窓41から、赤色、緑色および青色の光が合波されて形成された光が出射する。ここで、本実施の形態の光モジュール1は、第1発光素子ユニットを構成する第2赤色レーザダイオード52および第2サブマウント72が、ベース板60の搭載面60Aに交差する(直交する)面に配置される構造を有する。このように、光モジュール1は、部品の固定やワイヤボンディングが特に煩雑となる構造を有する。しかし、光モジュール1は、以下の手順で容易に部品の固定およびワイヤボンディングが可能となっている。
【0057】
図4および
図5は、第2赤色レーザダイオード52および第2フォトダイオード92への電力の供給路を形成するためのワイヤボンディングの一例を示す図である。
図4および
図5において、黒丸がボンディングのワイヤの端部、黒丸を繋ぐ直線がワイヤを示している。
図4および
図5を参照して、まず第1保持面62Aおよび第2保持面62Bを有する第1ベースブロック62を準備する。そして、第2保持面62B上にワイヤポスト103および第2フォトダイオード92を配置する。また、第1保持面62A上に第2サブマウント72および第2赤色レーザダイオード52を配置する。さらに、第3保持面62C上に、アイランド104を配置する。
【0058】
第2サブマウント72上には、導電体である金属が蒸着された領域である第1導電部72Aおよび第2導電部72Bが形成されている。ワイヤポスト103には、導電体である金属が蒸着された領域である第1導電部103A、第2導電部103Bおよび第3導電部103Cが形成されている。第1導電部103A、第2導電部103Bおよび第3導電部103Cは、第2保持面62Bに沿う面から第3保持面62Cに沿う面にまで延びるように形成されている。アイランド104には、導電体である金属が蒸着された領域である第1導電部104Aおよび第2導電部104Bが形成されている。アイランド105には、導電体である金属が蒸着された領域である第1導電部105Aおよび第2導電部105Bが形成されている。
【0059】
次に、第1ベースブロック62上に配置された各部品のワイヤボンディングを実施する。具体的には、
図5を参照して、第2赤色レーザダイオード52と第2サブマウント72の第2導電部72Bとを接続し、第2導電部72Bとワイヤポスト103の第1導電部103Aとを接続する。また、第2サブマウント72の第1導電部72Aとワイヤポスト103の第2導電部103Bとを接続する。さらに、第2フォトダイオード92とワイヤポスト103の第3導電部103Cとを接続する。また、
図4を参照して、アイランド104の第1導電部104Aとワイヤポスト103の第1導電部103Aとを接続する。さらに、アイランド104の第2導電部104Bとワイヤポスト103の第2導電部103Bとを接続する。そして、このようなワイヤボンディングが実施された第1ブロックユニット(第1ベースブロック62上にワイヤポスト103、第2フォトダイオード92、第2サブマウント72、第2赤色レーザダイオード52およびアイランド104が配置された構造体)を、ベース板60の搭載面60A上に搭載する。
【0060】
次に、アイランド104の第1導電部104Aおよび第2導電部104Bを、それぞれ隣り合うリードピン45,45に接続する。また、ワイヤポスト103の第3導電部103Cとアイランド105の第1導電部105Aとを接続する。さらに、アイランド105の第1導電部105Aとリードピン45とを接続する。このとき、ワイヤポスト103およびアイランド104は、電力供給経路を構成する部品であるリードピン45やアイランド105とのワイヤボンディングが容易な位置に配置されている。そのため、このワイヤボンディングも容易に実施することができる。このようにして、部品の固定やワイヤボンディングが特に煩雑となる構造を有する光モジュール1において、部品の固定やワイヤボンディングを簡略化することが可能となっている。
【0061】
なお、上記実施の形態においては、半導体発光素子としてレーザダイオードが採用される場合について説明したが、半導体発光素子として発光ダイオードが採用されてもよい。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。