特許第6805774号(P6805774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805774
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】温水装置の電装ケース取付構造
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/20 20060101AFI20201214BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   F24H9/20 B
   F24H9/02 301Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-238173(P2016-238173)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-96547(P2018-96547A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】川口哲
(72)【発明者】
【氏名】金山▲吉▼彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】島田 侑哉
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−242068(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0108306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/20
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水装置の外装ケース内に制御基板収納用の電装ケースを取付ける取付構造において、 前記外装ケース内に固定された所定の機器の前面側に位置する本体部と、前記機器の前面に当接する当接部と、前記機器の背面に係止される係止部と、前記電装ケースを固定する固定部とを有する取付金具を備え
前記機器は所定の前後幅を有する中和器であり、
前記係止部は前記中和器の上面近傍に沿って後方に延びており、
前記中和器が、中和器本体と、この中和器本体の上端に連なるキャップ取付部とを有し、前記係止部が前記キャップ取付部に係止されることを特徴とする温水装置の電装ケース取付構造。
【請求項2】
前記取付金具は前記当接部から離隔した部位に形成された支持部を有し、
前記支持部を前記外装ケース内の特定の機器の付属部材に連結する補助金具を備えたことを特徴とする請求項1に記載の温水装置の電装ケース取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水装置の外装ケース内に電装ケースを取付ける取付構造に関し、特に電装ケースを外装ケース内に固定された所定の機器を利用して取付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
温水装置の外装ケース内には種々の機器類と配管類と制御基板収納用の電装ケース等が組み込まれる。通常、機器類のうちの主要な機器は外装ケースの内面に溶接した支持部材や支持片に支持させる形態に組み付けられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の電装ケース付き装置においては、外装ケースの背面板と側面板の内面に夫々固定した2つのブラケットに電装ケースの下端部と上端部とを連結支持する構造が採用されている。
【0004】
特許文献2に記載の温水機器ユニットにおいては、外装ケース内に電装基板を取付けるブラケットの一端側の突片部の上部と下部の係合部に切欠凹部を夫々形成し、外装ケースの側面板の内面に係合部材を溶接等で固定し、この係合部材の上部と下部の係合部に切欠凹部を夫々形成してある。
【0005】
電装基板付きブラケットを外装ケース内に収納する場合は、ブラケット側の上下1対の切欠凹部を外装ケース内側から側面板側の上下1対の切欠凹部に係合させて支持する。
メンテナンス時に電装基板付きブラケットを外装ケースの外側に位置させる場合には、電装基板付きブラケットを外装ケース外へ取り出し、ブラケット側の上下1対の切欠凹部を外装ケース外から側面板側の上下1対の切欠凹部に係合させて支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−281560号公報
【特許文献2】特開2009−192167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の外装ケースは製作後に塗装を施すので、外装ケースの内面に、特許文献1,2のように、機器取付け用の支持部材や支持片を溶接にて固定することができた。
しかし、最近のように、外装ケースをカラー鋼板を用いて製作する場合は、外装ケースの内面に機器取付け用の支持部材や支持片を溶接にて固定することができないため、機器類の取付けや固定支持が困難になる場合が生じる。支持部材や支持片をビス固定すると、外装ケースの外観の意匠性が低下するため、ビス固定も採用できない。
【0008】
本発明の目的は、外装ケースに溶接やビスで固定する部材を用いることなく外装ケース内に電装ケースを取付け可能とする温水装置の電装ケース取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の温水装置の電装ケース取付構造は、温水装置の外装ケース内に制御基板収納用の電装ケースを取付ける取付構造において、前記外装ケース内に固定された所定の機器の前面側に位置する本体部と、前記機器の前面に当接する当接部と、前記機器の背面に係止される係止部と、前記電装ケースを固定する固定部とを有する取付金具を備え、前記機器は所定の前後幅を有する中和器であり、前記係止部は前記中和器の上面近傍に沿って後方に延びており、前記中和器が、中和器本体と、この中和器本体の上端に連なるキャップ取付部とを有し、前記係止部が前記キャップ取付部に係止されることを特徴としている。
【0010】
請求項2の温水装置の電装ケース取付構造は、請求項1の発明において、前記取付金具は前記当接部から離隔した部位に形成された支持部を有し、前記支持部を前記外装ケース内の特定の機器の付属部材に連結する補助金具を備えたことを特徴としている。
【0011】
【0012】
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、取付金具が所定の機器の前面側に位置する本体部と、前記機器の前面に当接する当接部と、前記機器の背面に係止される係止部と、電装ケースを固定する固定部とを備えているため、当接部を機器の前面に当接させ、係止部を機器の背面に係止させることにより取付金具を前記機器に固定し、固定部に電装ケースを固定することができる。このように、外装ケースに直接固定する部材を用いることなく、簡単な構造の取付金具を用いて、電装ケースを外装ケース内に固定することできる。
そして、前記機器は所定の前後幅を有する中和器であり、前記係止部は前記中和器の上面近傍に沿って後方に延びているため、前後幅を有し剛性のある中和器に取付金具を支持させることができる。
また、前記中和器が、中和器本体と、この中和器本体の上端に連なるキャップ取付部とを有し、前記係止部が前記キャップ取付部に係止されるため、前記係止部をキャップ取付部に係止させることで、取付金具を容易に取付けることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、取付金具は前記当接部から離隔した支持部を有し、前記支持部を前記外装ケース内の特定の機器の付属部材に連結する補助金具を設けるため、補助金具により前記支持部を前記付属部材に支持させることができる。
【0015】
【0016】
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係る給湯器(前面カバー取り外し状態)の正面図である。
図2】給湯器の斜視図である。
図3】給湯器の斜視図である。
図4】給湯器の斜視図である。
図5】取付金具の斜視図である。
図6】取付金具の斜視図である。
図7】補助金具の斜視図である。
図8】補助金具の斜視図である。
図9】電装ケースの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0019】
図1図4に示すように、給湯器1はガス燃焼式の温水装置であり、カラー鋼板製の箱状の外装ケース2内に、送風ファン3、ガス燃焼バーナー4、1次熱交換器5(顕熱回収用熱交換器)、2次熱交換器6(潜熱回収用熱交換器)、2次熱交換器6から発生するドレンを中和する中和器7、暖房用熱媒(水)を収容する膨張タンク8、制御基板収納用の電装ケース9、警報端子箱10等の機器類と、燃焼排ガスを放出する排気筒11の一部と、配管類とが収容されている。以下、図2に示すように前後と左右と上下の各方向を定義して説明する。
【0020】
外装ケース2は、上面板20と左側板21と右側板22と底面板23と背面板(図示略)と前面カバー(図示略)とで箱状に構成され、上面板20と左側板21と右側板22の前端部にはフランジ2aが形成されている。背面板の上端部と下端部には、上方と下方へ突出する温水装置取付板24が固定され、この温水装置取付板24を複数のビスで壁面に固定することで給湯器1が壁面に取付けられる。
【0021】
給湯器1の電装ケース取付構造は、給湯器1の外装ケース2内に制御基板収納用の電装ケース9を取付ける取付構造である。
図2図6に示すように、電装ケース取付構造の取付金具30は、外装ケース2内に固定された中和器7(所定の機器)の前面側に位置する本体部31と、中和器7の前面に当接する当接部32と、中和器7の背面に係止される係止部33と、当接部32から左方に離隔した左端部に形成された支持部34と、電装ケース9を固定する固定部35とを有する。図3図7に示すように、電装ケース取付構造は、取付金具30の他に、支持部34を外装ケース2内のバーナー付属機器取付板25(特定の機器の付属部材)に連結する補助金具40を備えている。
【0022】
図1図2に示すように、中和器7は所定の前後幅を有し、この中和器7は、中和器本体7aと、この中和器本体7aの上端に連なるキャップ取付部7bと、ドレン管接続部7cと、キャップ取付部7bに形成された2つの中和剤投入口を蓋する2つのキャップ7dと、中和器7の左側部に一体形成された鉛直の台形板状の支持ブラケット7eとを有する。
【0023】
図5図6に示すように、取付金具30の本体部31は、逆T形に形成されてその上端から後方へ延びるように係止部33が形成され、本体部31の右端部から後方へ延びるように当接部32が形成され、左端部から後方へ延びるように支持部34が形成され、下端側部位の左端部と右端寄り部位に電装ケース9を固定する2つの固定部35が形成されている。前記の本体部31は、中和器7の前面から前方へ小距離だけ離隔状に配設されている。
【0024】
図2図6に示すように、取付金具30の係止部33は、本体部31の上端から中和器7のキャップ取付部7bの上面近傍に沿って後方に水平に延びる腕部33aと、この腕部33aの後端から下方へ折曲された係止爪部33bとを有し、この係止爪部33bがキャップ取付部7bの後面に係止される。
【0025】
取付金具30の当接部32は、本体部31の右端部から後方へ所定長さ伸びる腕部32aと、この腕部32aの後端から左方へ折曲させた当接片32bとを有し、当接片32bが中和器7の中和器本体7aの前面に当接される。
【0026】
取付金具30の支持部34は、本体部31の左端から後方へ所定長さ延びる腕部34aと、この腕部34aから左方へ直角に折曲させた支持片34bとを有し、この支持片34bには1つのビス穴34cが形成されている。
【0027】
図2図5図6図9に示すように、電装ケース9は、ケース本体36と蓋部材37とを有し、蓋部材37の下端の連結部をケース本体36の連結部36aに連結し、蓋部材37の3つの係合爪37aをケース本体36の係合部36aに夫々係合させることで、電装ケース9は箱状になる。
【0028】
取付金具30の2つの固定部35にはビス穴が夫々形成されており、電装ケース9の上端の2つの取付部36bが2つの固定部35に夫々ビス38で締結される。
電装ケース9の下端部の左端側部位には下方へ突出するロッド部36cが形成され、このロッド部36cを底面板23の左端寄り部位に形成されたロッド支持孔(図示略)に嵌入することで、電装ケース9の下端部が支持されている。
【0029】
図4図7図8に示すように、補助金具40は、前端部材41と、この前端部材41の左端側部位から後方へ所内長さ水平に延びる腕部材42と有する。前端部材41は、正面視クランク状の本体部41aと、この本体部41aの左端部に前方へ一段段上がりする屈曲状に一体形成された左端連結部41bと、本体部41aの右端に形成された右端連結部41cと、本体部41aの上端から後方へ折曲されたフランジ部41dとを有する。
【0030】
左端連結部41bには、2つのビス穴43a,43bが形成され、右端連結部41cには2つのビス穴44が形成される共にその下端から前方へ折曲させた折曲片45が形成されている。前記の腕部42の後端には、下方へ折曲された係止爪42aが形成されている。
【0031】
図3図4に示すように、中和器7の背面側近傍には、鉛直姿勢のバーナー付属機器取付板25が中和器7と平行に配設されている。補助金具40は、この取付板25の左端側の下端部から下方且つ左方へ張り出す状態に配設され、右端連結部41cはその2つのビス穴44に螺合させたビス46で締結することで取付板25に固定されている。
【0032】
取付金具30の支持部34の支持片34bと左端連結部41bの間に中和器7の支持ブラケット7eを挟持した状態で、支持片34bと支持ブラケット7eと左端連結部41bとをビス48で共締めすることで、支持部34と左端連結部41bとが中和器7に連結されている。左端連結部41bはビス穴43aに螺合させたビス47で膨張タンク8に締結固定されている。腕部42の係止爪42aは、バーナーケース支え板49の後面に係止されている。
【0033】
次に、以上説明した給湯器の電装ケース取付構造の作用、効果について説明する。
取付金具30が、中和器7の前面側に位置する本体部31と、中和器7の前面に当接する当接部32と、中和器7の背面に係止される係止部33と、電装ケース9を固定する固定部35とを備えているため、当接部32を中和器7の前面に当接させ、係止部33を中和器7の背面に係止させることにより取付金具30を中和器7に支持させ、固定部35に電装ケース9を固定することができる。
【0034】
このように、外装ケース2に直接固定する部材を用いることなく、簡単な構造の取付金具30を用いて、電装ケース9を外装ケース2内に固定することできる。
取付金具30は当接部32から離隔した支持部34を有し、支持部34を外装ケース2内のバーナー付属機器取付板25に連結する補助金具40を設けるため、補助金具40により支持部34を前記の取付板25に支持させることができる。
【0035】
また、前記支持部34と、補助金具40の左端連結部41bとの間に、中和器7の支持ブラケット7eを共締めにより締結し、左端連結部41bを膨張タンク8にビス47で固定するため、膨張タンク8により補助金具40と中和器7と取付金具30を支持することができる。
【0036】
補助金具40の腕部42の係止爪42aは、バーナーケース支え板49の後面に係止されているため、前記取付板25と取付金具30を前方移動しないように規制し、電装ケース9の位置を所期の位置に保持することができる。
【0037】
前記中和器7は所定の前後幅を有し、前記係止部33は中和器7の上面近傍に沿って後方に延びているため、前後幅を有し剛性のある中和器7に取付金具30を支持させることができる。
【0038】
前記中和器7が、中和器本体7aと、この中和器本体7aの上端に連なるキャップ取付部7bとを有し、係止部33がキャップ取付部7bに係止されるため、係止部33をキャップ取付部7bに係止させるため、取付金具30を容易に取付けることができる。
【0039】
前記実施例は一例を示すものに過ぎず、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0040】
1 給湯器( 温水装置)
2 外装ケース
7 中和器(所定の機器)
7a 中和器本体
7b キャップ取付部
9 電装ケース
25 バーナー付属機器取付板(特定の機器の付属部材)
30 取付金具
31 本体部
32 当接部
33 係止部
34 支持部
35 固定部
40 補助金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9