(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図が、任意の高さにおける幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクレーン。
前記三次元情報に基づいて前記伸縮ブームの軸方向に沿って形成され、高さ方向の情報が表示される二次元図を作成する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクレーン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できるクレーンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、クレーンは、旋回台に起伏自在の伸縮ブームを備え、作業現場の三次元情報を用いて吊荷の移動経路を取得するクレーンであって、三次元情報に基づいて吊荷の三次元情報を抽出し、三次元情報に基づいて幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図を作成し、幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図を用いて設定される吊荷の水平方向の移動経路を取得し、三次元情報に基づいて水平方向の移動経路に沿って形成され、高さ方向の情報が表示される二次元図を作成し、高さ方向の情報が表示される二次元図を用いて設定される吊荷の高さ方向の移動経路を取得し、吊荷の立体的な移動経路が特定するものである。
【0009】
クレーンは、抽出した吊荷の三次元情報に基づいて、幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図上、ならびに高さ方向の情報が表示される二次元図上に吊荷の移動開始位置を表示するものである。
【0010】
クレーンは、高さ方向の情報が表示される二次元図が、
取得した吊荷の水平方向の移動経路を直線状に展開して作成されるものである。
【0011】
クレーンは、幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図が任意の高さにおける幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図であるものである。
【0012】
クレーンは、伸縮ブームの軸方向に沿って形成され、高さ方向の情報が表示される二次元図を作成するものである。
【0013】
クレーンは、幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図上、ならびに高さ方向の情報が表示される二次元図上に、クレーン性能域の範囲、かつ伸縮ブームと吊荷とが作業現場の構造物に干渉しない範囲で、吊荷の移動可能範囲を重畳表示するものである。
【0014】
クレーンは、特定した吊荷の立体的な移動経路で吊荷を自動的に移動させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
クレーンにおいては、立体的な移動経路が2方向の二次元情報である、幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図と高さ方向の情報が表示される二次元図とに分けて入力される。これにより、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0017】
クレーンにおいては、オペレータによる吊荷の移動開始位置の入力が不要である。これにより、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0018】
クレーンにおいては、水平方向の移動経路の形態を意識する必要がなく、高さ方向の情報が表示される二次元図が一方向から把握される。これにより、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0019】
クレーンにおいては、吊荷を移動するときに干渉の可能性がある障害物のみ幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図上に表示される。これにより、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0020】
クレーンにおいては、伸縮ブームと障害物との干渉の可能性が示される。これにより、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0021】
クレーンにおいては、移動不可範囲を通る移動経路が入力されることによる、移動経路の入力の手戻りを防止する。これにより、オペレータが所望する吊荷の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0022】
クレーンにおいては、入力された移動経路で吊荷が自動的に移動される。これにより、入力された移動経路に基づいて吊荷を移動できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、
図1及び
図2を用いて、本発明の一実施形態に係るクレーン1の全体構成について説明する。クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、クレーン装置5を有する。
【0025】
図1に示すように、車両2は、クレーン装置5を搬送するものである。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジンを動力源として走行する。車両2には、アウトリガ4が設けられている。アウトリガ4は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ4を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0026】
クレーン装置5は、吊荷Wをフックにかけてワイヤロープによって吊り上げるものである。クレーン装置5は、旋回台6、伸縮ブーム7、ジブ8、メインフックブロック9、サブフックブロック10、起伏シリンダ11、メインウインチ12、メインワイヤロープ13、サブウインチ14、サブワイヤロープ15、ステレオカメラ16、キャビン17、3Dマップ生成部18(
図2参照)、画像作成部19(
図2参照)、制御装置20(
図2参照)等を具備する。
【0027】
旋回台6は、クレーン装置5を旋回可能に構成するものである。旋回台6は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。円環状の軸受は、その回転中心が車両2の設置面に対して垂直になるように配置されている。旋回台6は、円環状の軸受の中心を回転中心として一方向と他方向とに回転自在に構成されている。また、旋回台6は、油圧式の旋回モータによって回転されるように構成されている。旋回台6には、その旋回位置を検出する旋回位置検出センサ21(
図2参照)が設けられている。
【0028】
伸縮ブーム7は、吊荷Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持するものである。伸縮ブーム7は、図示しない伸縮シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。伸縮ブーム7は、基端部が旋回台6上に搖動可能に設けられている。これにより、伸縮ブーム7は、車両2のフレーム上で水平回転可能かつ揺動自在に構成されている。伸縮ブーム7には、そのブーム長さを検出する伸縮ブーム長さ検出センサ22(
図2参照)と起伏角度を検出する起伏角度検出センサ23(
図2参照)とが設けられている。
【0029】
ジブ8は、クレーン装置5の揚程や作業半径を拡大するものである。ジブ8は、伸縮ブーム7に沿った姿勢で保持されている。ジブ8は、伸縮ブーム先端部に連結可能に構成されている。
【0030】
メインフックブロック9は、吊荷Wを吊るものである。メインフックブロック9には、メインワイヤロープ13が巻き掛けられる複数のフックシーブと、吊荷Wを吊るメインフック9aとが設けられている。サブフックブロック10は、吊荷Wを吊るものである。サブフックブロック10には、吊荷Wを吊るサブフック10aが設けられている。
【0031】
起伏シリンダ11は、伸縮ブーム7を起立および倒伏させ、伸縮ブーム7の姿勢を保持するものである。起伏シリンダ11はシリンダ部とロッド部とからなる油圧シリンダから構成されている。起伏シリンダ11は、シリンダ部の端部が旋回台6に揺動自在に連結され、ロッド部の端部が伸縮ブーム7に揺動自在に連結されている。起伏シリンダ11は、ロッド部がシリンダ部から押し出されるように作動油が供給されることで伸縮ブーム7を起立させ、ロッド部がシリンダ部に押し戻されるように作動油が供給されることで伸縮ブーム7を倒伏させるように構成されている。
【0032】
ステレオカメラ16は、三次元情報取得手段として設けられ、作業現場の画像(映像)を取得するものである。三次元情報とは、作業現場における地形に加えて構造物の位置や形状が点群データによって表されたものである。具体的には、三次元情報は、作業現場における地形に加えて構造物の位置や形状が無数の点データによって表されたものである。それぞれの点データは、緯度と経度と標高との要素を有している。従って、三次元情報は、ポリゴン化などの処理を施すことによって3Dマップに変換できる。このため、三次元情報とは、3Dマップとほぼ同義である。なお、3Dマップは、実際の作業現場を画像化したものといえる。
【0033】
ステレオカメラ16は、伸縮ブーム先端部または、ジブ8の先端に設けられている。ステレオカメラ16は、その姿勢を変更するためのアクチュエータを介して伸縮ブーム先端部に配置されている。ステレオカメラ16は、伸縮ブーム7の揺動軸と平行な軸を揺動中心として揺動可能に構成されている。これにより、ステレオカメラ16は、伸縮ブーム7の倒伏角度またはジブ8の倒伏角度に関わらず設置位置から鉛直下向きの画像を撮影可能に構成されている。ステレオカメラ16は、少なくとも二つ以上のカメラから構成される。具体的には、ステレオカメラ16は、一の基準カメラと、一又は複数の比較カメラ(本実施形態では一つ)と、から構成される。ステレオカメラ16は、3Dマップ生成部18と接続され、撮影した画像を3Dマップ生成部18に送信可能にしている。
【0034】
三次元情報取得手段としてステレオカメラ16を用いているが、これに限定されることはなく、例えば、レーザスキャナであってもよい。レーザスキャナを用いる場合、測定対象物に反射して帰ってくるまでの時間から計測距離を算出してもよいし、複数のレーザ波長の位相差から計測距離を算出してもよい。また、ネットワークを介して外部から三次元情報を取得するように構成してもよい。
【0035】
キャビン17は、操縦席を覆うものである。キャビン17は、旋回台6における伸縮ブーム7の側方に設けられている。キャビン17の内部には、操縦席が設けられている。操縦席には、メインウインチ12を操作するためのメイン用操作具、サブウインチ14を操作するためのサブ用操作具、伸縮ブーム7を操作するための起伏用操作具、クレーン1を移動させるためのハンドル、モニタ24(
図2参照)等が設けられている。
【0036】
荷重検出器25は、吊荷Wの荷重を検出するものである。荷重検出器25は、起伏シリンダ11に設けられている。
【0037】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置5を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏シリンダ11で伸縮ブーム7を任意の起伏角度に起立させて、伸縮ブーム7を任意のブーム長さに延伸させたりジブ8を連結させたりすることでクレーン装置5の揚程や作業半径を拡大することができる。
【0038】
図2に示すように、3Dマップ生成部18は、クレーン1の作業現場においてステレオカメラ16が撮影する画像に基づいて点群データを取得して3Dマップを生成するものである。具体的には、3Dマップ生成部18は、ステレオカメラ16を構成する基準カメラ及び比較カメラによって同時に撮影される各画像を比較して、基準カメラの各画素の距離を推定することで対象物の三次元情報(カメラ座標系で表される三次元情報)を取得する。次に、3Dマップ生成部18は、カメラ座標系で表される三次元情報を所定の基準座標系(例えば、グローバル座標系)で表される三次元情報に変換する。3Dマップ生成部18には、ブーム旋回角及びブーム起伏角及びブーム長さに基づいてクレーン1に対するステレオカメラ16の位置情報が予め記憶されている。
【0039】
3Dマップ生成部18は、ステレオカメラ16を用いて取得される所定の基準座標系で表される三次元情報(点群データ)から、物体認識により吊荷Wの三次元情報(点群データ)を識別し、抽出可能に構成される。吊荷Wの物体認識方法は、アピアランスベースによる物体認識でもよいし、モデルベースによる物体認識でもよい。
【0040】
3Dマップ生成部18は、ステレオカメラ16を用いて取得される三次元情報を物体表面の3D構造を表すデータに変換して3Dマップを生成してもよい。また、3Dマップ生成部18は、ステレオカメラ16を用いて取得される所定の基準座標系で表される点群データに、ステレオカメラ16等の撮影手段によって撮影される画像データを表示領域毎に区切った画像データをそれぞれ貼り付けることで3Dマップを生成してもよい。
【0041】
画像作成部19は、3Dマップ生成部18と接続され、3Dマップ生成部18において取得される作業現場の三次元情報に基づいて、3Dマップを任意の視点から表示させた画像、幅方向および奥行き方向の情報が表示される二次元図である平面図、ならびに高さ方向の情報が表示される二次元図である展開断面図の画像を作成するものである。なお、展開断面図は、平面図上の線に沿って形成される。また、画像作成部19は、3Dマップ生成部18において抽出される吊荷Wの三次元情報を取得し、吊荷Wの移動開始位置を平面図上および展開断面図上に表示して画像を作成することができる。また、画像作成部19は、吊荷Wの移動可能範囲の算出を行い、吊荷Wの移動可能範囲を平面図上および展開断面図上に重畳表示して画像を作成することができる。
【0042】
画像作成部19には、入出力装置としてモニタ24が接続される。モニタ24は、ステレオカメラ16が撮影した画像をリアルタイムに表示したり、画像作成部19が作成した画像を表示したりすることができる。また、モニタ24は、タッチ操作をすることにより、映し出す映像の選択や吊荷Wの移動経路の入力をすることができる。なお、モニタ24での入力はタッチ操作に限定されず、キーボードやマウス等の入力装置を用いた入力方法でもよい。
【0043】
制御装置20は、モニタ24での入力に基づいて、画像作成部19を制御して吊荷Wの立体的な移動経路を特定するものである。そして、制御装置20は、クレーン1が自動操縦の機能を備える場合、クレーン1を自動的に作動させるため、旋回台6を旋回させる旋回用操作弁、伸縮ブーム7を起伏させる起伏用操作弁、伸縮ブーム7を伸縮させるブーム伸縮用操作弁、およびウインチを駆動させる油圧モータの動作を制御する。
【0044】
制御装置20は、旋回台6の旋回位置検出センサ21に接続され、旋回位置検出センサ21が検出した旋回台6の旋回方向および旋回角度を取得することができる。
【0045】
制御装置20は、伸縮ブーム7の伸縮ブーム長さ検出センサ22と起伏角度検出センサ23とに接続され、伸縮ブーム長さ検出センサ22が検出した伸縮ブーム7のブーム長さおよび起伏角度検出センサ23が検出した伸縮ブーム7の起伏角度を取得することができる。
【0046】
制御装置20は、荷重検出器25に接続され、荷重検出器25が検出した吊荷Wの荷重を取得することができる。
【0047】
制御装置20は、画像作成部19と接続され、モニタ24へのオペレータの入力値を取得することができる。また、制御装置20は、画像作成部19を制御する信号を出力することができる。
【0048】
次に、
図3、
図4、および
図5を用いて、吊荷Wの移動経路の入力方法について説明する。
【0049】
図3に示すように、モニタ24(
図2参照)には、作業現場における構造物のモデル画像Maに加え、クレーン1のモデル画像Mbと吊荷Wのモデル画像Mcとを任意の視点から表示した3Dマップが表示される。モデル画像Maは、構造物の位置や形状に対応し、モデル画像Mbはクレーン1の位置や形状に対応し、モデル画像Mcは、吊荷Wの位置や形状に対応している。オペレータは、このような現場の3Dマップを確認し、吊荷Wの移動経路を検討する。
【0050】
図4(a)に示すように、画像作成部19(
図2参照)は、オペレータによりモニタ24(
図2参照)が操作されて吊荷Wの移動経路の入力画面を表示する指示がされた場合、三次元情報から平面図を作成し、モニタ24に表示する。モニタ24には、構造物のモデル画像Ma、クレーン1のモデル画像Mb、および吊荷Wのモデル画像Mcの平面図が表示されている。画像作成部19は、平面図を作成する際、3Dマップ生成部18(
図2参照)が抽出した吊荷Wの三次元情報を取得し、平面図上で吊荷Wの移動開始位置である点a1を表示する。
【0051】
画像作成部19(
図2参照)は、荷重検出器25の検出値または、オペレータがモニタ24(
図2参照)に入力する入力値から、吊荷Wの荷重を取得する。そして、画像作成部19は、検出した吊荷Wの荷重とクレーン1の機種に応じた性能とに基づいて、クレーン1が転倒せず吊荷Wを移動可能な範囲であるクレーン性能域を算出する。画像作成部19は、算出したクレーン性能域の範囲で、かつ、伸縮ブーム7と吊荷Wとが作業現場の構造物に干渉しない範囲で、吊荷Wの移動可能範囲を算出し、移動可能範囲をモニタ24に重畳表示する(二点鎖線La参照)。これにより、吊荷Wを移動できない範囲を通る移動経路が入力されることによる、入力の手戻りを防止する。
【0052】
図4(b)に示すように、オペレータは、点a1から点a9までの移動経路(実線Ra参照)を指で描く操作(矢印A参照)をすることで吊荷Wの水平方向の移動経路を入力する。
【0053】
図5(a)に示すように、画像作成部19(
図2参照)は、吊荷Wの水平方向の移動経路の入力が完了した後に、吊荷Wの水平方向の移動経路に沿った展開断面図を作成し、モニタ24(
図2参照)に表示する。展開断面図上の線a1から線a9は、平面図上の点a1から点a9と水平方向の位置が対応しており、展開断面図上に表示されている。また、吊荷Wの移動可能範囲は、平面図上で表示した場合と同様に、展開断面図上に重畳表示されている(二点鎖線La参照)。なお、線a1の左側と線a9の右側とは、水平方向の移動経路が入力されていないため、高さ方向の移動経路を入力できないものとして、線a1と線a9とは、二点鎖線Laとなる。
【0054】
図5(b)に示すように、オペレータは、点a10から点a11までの移動経路(実線Ra参照)を指で描く操作(矢印B1および矢印B2参照)をすることで吊荷Wの高さ方向の移動経路を入力する。
【0055】
図6に示すように、オペレータは、平面図上(
図4(b)参照)で点a9を水平方向の目標位置としているが、吊荷Wの動作可能範囲で、かつ水平方向の移動経路上であれば、水平方向の目標位置を変更することができる。オペレータは、点a10から点a12までの移動経路を指で描く操作(矢印C参照)をすることで水平方向の目標位置を線a6と線a7との間に変更している。
【0056】
このように構成することで、クレーン1は、立体的な移動経路が2方向の二次元情報である平面図と展開断面図とに分けて入力される。また、オペレータによる吊荷Wの移動開始位置の入力が不要である。更に、水平方向の移動経路が屈曲、湾曲等している場合でも、展開断面図として表示されるので、水平方向の移動経路の形態を意識する必要がない。そして、移動不可範囲を通る移動経路が入力されることによる、移動経路の入力の手戻りを防止する。これにより、オペレータが所望する吊荷Wの立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0057】
なお、平面図と展開断面図の表示方法として、平面図と展開断面図とをモニタ24(
図2参照)に同時に表示させるが、平面図から展開断面図に画面を切り換えて表示させてもよい。
【0058】
図7に示すように、オペレータが吊荷Wの移動経路を入力した後に、任意の視点からの3Dマップ上で、吊荷Wを移動させる時のクレーン1の動きをアニメーションで表示して、移動経路に問題がないか確認できる構成としてもよい。
【0059】
図8に示すように、オペレータが吊荷Wの移動経路を入力した後に、オペレータが指定する吊荷Wの位置に基づいて伸縮ブーム7に沿って形成される断面図を作成し、モニタ24(
図2参照)に表示する構成としてもよい。オペレータは、平面図上で点a7をタッチする(
図8(a)参照)。その後に、画像作成部19(
図2参照)は、三次元情報に基づいて、吊荷Wが点a7の位置にあるときの伸縮ブーム7の軸方向に沿って形成(一点鎖線H参照)される、構造物のモデル画像Maの断面図とクレーン1のモデル画像Mbとを表示している(
図8(b)参照)。なお、入力された移動経路に沿って伸縮ブーム7が移動する順に、断面図を連続的に切り換えて表示させてもよい。
【0060】
このように構成することで、クレーン1は、伸縮ブーム7と障害物との干渉の可能性を確認できる。これにより、オペレータが所望する吊荷Wの立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0061】
オペレータは、吊荷Wの移動経路を入力した後に、入力した吊荷Wの移動経路に基づいて、手動でクレーン1を操作して吊荷Wを移動させてもよい。手動でクレーン1を操作して吊荷Wを移動させる場合、画像作成部19(
図2参照)は、モニタ24(
図2参照)に旋回台6の旋回と、伸縮ブーム7の伸縮ならびに起伏と、ウインチの巻き上げ巻き下げとの操作タイミングおよび操作量の手順を示して、オペレータの操作を支援することができる。また、クレーン1が自動で吊荷Wを移動させる自動操縦機能を備える場合は、入力された移動経路で自動的に吊荷Wを移動させてもよい。自動で吊荷Wを移動させる場合、伸縮ブーム先端部の移動距離、またはクレーン1が消費するエネルギーが最小になるように制御する構成としてもよい。
【0062】
このように構成することで、クレーン1は、入力された移動経路で吊荷Wが自動的に移動される。これにより、入力された移動経路に基づいて吊荷Wを移動できる。
【0063】
次に、
図9を用いて、クレーン1の制御装置20において、吊荷Wの移動経路の入力における制御態様について具体的に説明する。なお、作業現場の3Dマップは生成済みであるものとする。
【0064】
ステップS100において、制御装置20は、画像作成部19(
図2参照)を制御してモニタ24(
図2参照)に作業現場の3Dマップを表示しステップをステップS110に移行させる。
【0065】
ステップS110において、制御装置20は、画像作成部19を制御して3Dマップ生成部18(
図2参照)から吊荷Wの三次元情報を取得しステップをステップS120に移行させる。
【0066】
ステップS120において、制御装置20は、荷重検出器25(
図2参照)またはオペレータの入力値から吊荷Wの荷重を取得しステップをステップS130に移行させる。
【0067】
ステップS130において、制御装置20は、画像作成部19を制御して吊荷Wの水平方向の移動開始位置と吊荷Wの移動可能範囲とを算出しステップをステップS140に移行させる。
【0068】
ステップS140において、制御装置20は、画像作成部19を制御して平面図を作成し、モニタ24に平面図を表示してステップをステップS140に移行させる。
【0069】
ステップS150において、制御装置20は、オペレータが入力した吊荷Wの水平方向の移動経路を取得しステップをステップS160に移行させる。
【0070】
ステップS160において、制御装置20は、水平方向の移動経路について、オペレータの操作による入力完了の信号を受信したか否か判断する。
その結果、水平方向の移動経路について、オペレータの操作による移動経路の入力完了の信号を受信したと判定された場合、制御装置20はステップをステップS170に移行させる。
一方、水平方向の移動経路について、オペレータの操作による移動経路の入力完了の信号を受信していないと判定された場合、制御装置20はステップをステップS150に移行させる。
【0071】
ステップS170において、制御装置20は、画像作成部19を制御して吊荷Wの高さ方向の移動開始位置と吊荷Wの移動可能範囲とを算出しステップをステップS180に移行させる。
【0072】
ステップS180において、制御装置20は、画像作成部19を制御してステップS150で取得した吊荷Wの水平方向の移動経路に沿って形成される展開断面図を作成し、モニタ24に展開断面図を表示しステップをステップS190に移行させる。
【0073】
ステップS190において、制御装置20は、オペレータが入力した高さ方向の吊荷Wの移動経路を取得しステップをステップS200に移行させる。
【0074】
ステップS200において、制御装置20は、高さ方向の移動経路について、オペレータの操作による入力完了の信号を受信したか否か判断する。
その結果、高さ方向の移動経路について、オペレータの操作による入力完了の信号を受信したと判定された場合、制御装置20は移動経路の入力の処理を終了させる。
一方、高さ方向の移動経路について、オペレータの操作による入力完了の信号を受信していないと判定された場合、制御装置20はステップをステップS190に移行させる。
【0075】
次に、
図10、
図11、
図12、および
図13を用いて、クレーンの第二実施形態であるクレーン26について説明する。なお、以下の実施形態に係るクレーン26は、
図1から
図5に示すクレーン1において説明で用いた名称、図番、記号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0076】
画像作成部19(
図2参照)は、任意の高さの平面図を作成することができる。
【0077】
図10(a)に示すように、モニタ24(
図2参照)には、作業現場における構造物のモデル画像Mdに加え、クレーン26のモデル画像Mbと吊荷Wのモデル画像Mcとを任意の視点から表示した3Dマップが表示される。モデル画像Mdのクレーン側の下部には、障害物が存在しない空間が存在している。
【0078】
図10(b)に示すように、吊荷Wの水平方向の移動経路を入力する場合、オペレータは、画面をタッチして、水平方向の移動経路を入力する基準となる水平面を設定するための高さの入力を行う。オペレータは、本実施形態において、構造物のモデル画像Mdの下部の障害物が存在しない高さを入力する。
【0079】
図11(a)に示すように、画像作成部19(
図2参照)は、オペレータが指定した高さの平面図を作成し、モニタ24(
図2参照)に表示する。
【0080】
図11(b)に示すように、点b1から点b6までの移動経路(実線Ra参照)を指で描く操作(矢印D参照)をして吊荷Wの水平方向の移動経路を入力している。
【0081】
図12(a)に示すように、モニタ24(
図2参照)には、水平方向の移動経路に沿って形成される展開断面図が表示される。
【0082】
図12(b)に示すように、オペレータは、展開断面図上において移動経路を指で描く操作(矢印F参照)をすることで吊荷Wの高さ方向の移動経路を入力することは第一実施形態と同様である。オペレータは、点b7から、モデル画像Mdの下部の障害物が存在しない空間にある点b8までの移動経路(実線Ra参照)を入力している。
【0083】
次に、
図13を用いて、クレーン26の制御装置20において、吊荷Wの移動経路の入力における制御態様について具体的に説明する。
【0084】
ステップS111において、制御装置20は、オペレータの入力値から平面図の高さを取得しステップをステップS120に移行する。
【0085】
ステップS141において、制御装置20は、画像作成部19(
図2参照)を制御してステップS111で取得した高さにおける平面図を作成し、モニタ24(
図2参照)に平面図を表示してステップをステップS150に移行させる。
【0086】
このように構成することでクレーン26は、吊荷Wを移動するときに干渉の可能性がある障害物のみ平面図上に表示される。これにより、オペレータが所望する吊荷Wの立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0087】
次に、
図14および
図15を用いて、クレーンの第三実施形態であるクレーン27について説明する。
【0088】
制御装置20は、モニタ24(
図2参照)での入力に基づいて、画像作成部19(
図2参照)を制御して吊荷Wと伸縮ブーム先端部との立体的な移動経路を特定するものである。
【0089】
図14(a)に示すように、伸縮ブーム先端部の高さ方向の移動経路をオペレータが指示したい場合、展開断面図上で入力する。二点鎖線Lbの内側は、伸縮ブーム7と障害物との干渉があり、伸縮ブーム7が移動できない範囲である。
【0090】
図14(b)に示すように、人差し指で伸縮ブーム先端部の移動経路(実線Rb参照)を入力(矢印G参照)すると同時に、親指で吊荷Wの移動経路(実線Ra参照)を入力(矢印H参照)している。なお、伸縮ブーム7の移動経路と吊荷Wの移動経路とは、2回に分けて入力してもよい。
【0091】
次に、
図15を用いて、クレーン27の制御装置20において、吊荷Wの移動経路の入力における制御態様について具体的に説明する。
【0092】
ステップS191において、制御装置20は、オペレータの入力値から吊荷Wと伸縮ブーム先端部との高さ方向の移動経路を取得しステップをステップS200に移行する。
【0093】
このように構成することでクレーン27は、吊荷Wを移動するときに、任意の経路で伸縮ブーム先端部を移動する。これにより、オペレータが所望する伸縮ブーム先端部の立体的な移動経路を容易に入力できる。
【0094】
以上、クレーン1、クレーン26、およびクレーン27は、オペレータがタッチ操作で吊荷Wの移動経路を入力する構成について説明したがこれに限定されるものではなく、オペレータが移動経路の座標を数値で直接指定する構成であってもよい。
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。