特許第6805787号(P6805787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805787
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】充電器のEMIノイズ低減方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   H02M3/28 E
   H02M3/28 R
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-240804(P2016-240804)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-98889(P2018-98889A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】郷司 忠男
(72)【発明者】
【氏名】狩野 博之
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−018012(JP,A)
【文献】 特開2016−027775(JP,A)
【文献】 特開2013−223310(JP,A)
【文献】 特開2012−135065(JP,A)
【文献】 特開2016−111922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0099665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00−3/44
H02M 1/00−1/44
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各スイッチング素子と並列にスナバー回路を接続したインバータで直流電圧を交流電圧に変換し、変換された交流電圧を整流器で直流電圧に変換し、直流電圧を調整しながら段階的若しくは徐々に充電電流を減らしながらバッテリーに充電する充電器での充電方法において、
前記バッテリーへの充電電流が所定値(押込み充電電流)以下となったときに、前記スイッチング素子のオン時間を遅くし、
前記スナバー回路を抵抗とコンデンサを直接続したCRスナバー回路とし、スナバー回路の抵抗値を極力小さい値としたことを特徴とした充電器のEMIノイズ低減方法。
【請求項2】
各スイッチング素子と並列にスナバー回路を接続したインバータで直流電圧を交流電圧に変換し、変換された交流電圧を整流器で直流電圧に変換し、直流電圧を調整しながら段階的若しくは徐々に充電電流を減らしながらバッテリーに充電する充電器での充電方法において、
前記バッテリーへの充電電流が所定値(押込み充電電流)以下となったときに、前記スイッチング素子のオン時間を遅くし、前記インバータのデッドタイムを短くすることを特徴とした充電器のEMIノイズ低減方法。
【請求項3】
前記バッテリーへの充電電流が所定値以下となったときに、前記インバータのデッドタイムを短くすることを特徴とした請求項記載の充電器のEMIノイズ低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池などの二次電池を充電する充電器のEMIノイズ低減方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直流電圧を任意の交流電圧に変換するイスッチ素子を用いたインバータと、インバータからの交流電圧を整流器で直流に変換して二次電池(以下単にバッテリーという)を充電する装置として、特許文献1などが公知となっている。
充電器などの電気製品から放出される電気的ノイズを抑え(EMI)、かつ周囲からの電気的ノイズによって電気製品がトラブルを起こさない(EMS)ためのEMC(Electromagnetic compatibility)「電磁両立性」対策が注目されている。充電器もその一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5589771
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータにおけるEMC対策としては次のような方法がある。
(1)スイッチング素子がオン/オフする時のスイッチング速度を遅くしてノイズの発生を少なくする。例えば、スイッチング素子としてIGBTを用いると、ゲート抵抗を大きくするとスイッチング速度が遅くなる。スイッチング速度を遅くすると電圧や電流の変化率dV/dtやdI/dtが小さくなりノイズが少なくなる。
しかし、スイッチング速度を遅くするとスイッチング時の損失が大きくなり効率の低下や冷却の考慮が必要になる。スイッチング損失は周波数に比例するため、高い周波数でのインバータでは、スイッチング損失が顕著になる。
【0005】
(2)図2で示すように、スイッチング素子Tと並列にCRDスナバーを接続し、スイッチング素子Tのオフ時の電流をコンデンサにバイパスすることでdV/dtを小さくする。図2において、Dはダイオード、Cはコンデンサで、スイッチング素子Tをオフにすると、スイッチング素子Tに流れていた電流IdはダイオードDからコンデンサCに流れる。電流IdをコンデンサCに充電しながら電圧が上昇することでdV/dtが小さくなる。抵抗Rは、スイッチング素子TがオンしたときコンデンサCからスイッチング素子Tに流れる電流を制限するための抵抗である。この方法では、スイッチング素子Tのオフ時にはスナバー抵抗Rによる損失は無いが、スイッチング素子Tがオンしたとき抵抗Rを通って放電するため抵抗Rの損失が大きい。抵抗Rによる損失は、0.5×C×Ed^2×fで決まり、(1)項と同様に、周波数に比例するため高い周波数のインバータではスイッチング損失が顕著になる。
【0006】
(3)図3で示すように、スイッチング素子Tに並列にCRスナバーを接続し、スイッチング素子Tのオフ時の電流IdをコンデンサCにバイパスすることでdV/dtを小さくことができる。このスナバー回路を適用した例が図4である。
この方法は、振動条件が出来ないように抵抗値をある程度大きく(R≧2√L/C)する必要が有る。電流が小さい時にはdV/dtに効果が有るが、電流が大きいと抵抗がId(オフ電流)×R(抵抗値)の電圧を背負うためdV/dtを小さくする効果が少なくなる。また、スイッチング素子Tのオフ時とオン時の両方共コンデンサの電流が抵抗を通るため抵抗の損失が、前記(2)項の2倍になる。反対に抵抗値を小さくする(R<2√L/C)と振動出てくるので一般には使用しない。ここで、Lは図4で示す直流回路の配線のインダクタンスで、出来るだけ値が小さくなるように配線している。
【0007】
(4)前記(3)項では、振動を防止するため抵抗値を(R≧2√L/C)とすると記したが、敢えて抵抗値を小さく(R<2√L/C)して振動が出ることを承知の上でdV/dtと損失を小さくする方法も考えられる。この方法を採用する理由は、振動電流の周波数はコンデンサCにより低くなるので、振動により回路部品の価格が有る程度高くなってもEMCの対策費と比べて安ければ有利になることによる。この方法によると、回路構成は図4と同じであるが抵抗値のみ異なる。しかし、敢えて抵抗値を小さくする方法では、振動の他に次のような問題が有る。
【0008】
インバータ1アームでのスイッチング素子のオン/オフは、プラス側とマイナス側で反対の動作をする。即ち、スイッチング素子Tvオンの時にはスイッチング素子Tyはオフとなる。ところが、実際に使用されるIGBT等のスイッチング時間は、オンが速くオフが遅いので同時にオンオフ信号を与えると、TvとTyが同時にオンすることになり上下PN間が短絡して大電流がIGBTに流れてIGBTを壊すことになる。これを防ぐためオフに比べてオンするタイミングを遅くした信号を与える。この時間をデットタイムと呼ぶ。デットタイムはスイッチのオフとオンの時間差以上とするが、大き過ぎると上下スイッチ共にオフ期間が増えて最大出力電圧(トランスTFの一次電圧)が小さくなる。IGBTの場合、一般には1μs程度となる。
【0009】
図4図6を用いてオフ時の動作を説明する。図4でスイッチング素子TvとTxがオンして電流IdがTv→TF→Txに流れているとき、図5のA点でTvがオフすると電流Idは殆ど変化が無いのでIdの電流はコンデンサCvに1/2×Idで充電(図5の一点鎖線)し、コンデンサCyから1/2×Idで放電(図5の二点鎖線)して流れる。その結果、スイッチング素子Tvの電圧は点線のように上昇し、スイッチング素子Tyの電圧は実線のように下降する。この時の時刻AB間が充放電時間tで、充放電時間t=2CEd/Idで表される。時刻AC間がデットタイムtdetである。tdet>tで有ればコンデンサはデットタイム以内で充放電を完了する。
【0010】
次に電流Idが小さい時を図6に示す。図6では電流が小さいのでデットタイムが終了する時刻C点になってもコンデンサの充放電が終わっていないため、C点でスイッチング素子TyがオンするとTy間電圧がゼロになるので、コンデンサCyは図のように急に放電しCvも急に充電される。この結果、TvとTyのdV/dtが大きくなる。また、大きな電流でスイッチやコンデンサが壊れることがある。コンデンサCvへの充電及びCyからの放電時間は同じで、上記したt=2CEd/Idで表される。ここで、EdはDCリンクの直流電圧である。
【0011】
例として具体的な値で説明する。Ed=300V、Id=100A、C=0.1uFの時t=0.6μsとなるので、デットタイムが1μsとするとその時間以内にコンデンサの充放電は完了するが、Id=10Aの時はt=6μsとなりコンデンサが充放電を完了しない内にTyがオンする。これにより、コンデンサCyに電荷が残っているためTyで短絡されて放電する。一方、コンデンサCvには電荷が溜まっていないので、DCリンクから急激に充電される、その結果dV/dtとdI/dtが大きくなりEMCに対して悪影響を及ぼす。
【0012】
本発明が目的とするところは、スイッチング素子がオフするときのdV/dtとdI/dtを小さくできるEMCに有効なEMIノイズ低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、各スイッチング素子と並列にスナバー回路を接続したインバータで直流電圧を交流電圧に変換し、変換された交流電圧を整流器で直流電圧に変換し、直流電圧を調整しながら段階的若しくは徐々に充電電流を減らしながらバッテリーに充電する充電器での充電方法において、
前記バッテリーへの充電電流が所定値(押込み充電電流)以下となったときに、前記スイッチング素子のオン時間を遅くするものである。
【0014】
本発明では、スナバー回路を、抵抗とコンデンサを直接続したCRスナバー回路とし、スナバー回路の抵抗値を極力小さい値としたものである。
【0015】
また、本発明では、バッテリーへの充電電流が所定値以下となったときに、前記インバータのデッドタイムを短くするものである。
【0016】
本発明は、各スイッチング素子と並列にスナバー回路を接続したインバータで
直流電圧を交流電圧に変換し、変換された交流電圧を、トランスを介して整流器に出力して直流電圧に変換し、変換された直流電圧を調整しながら段階的若しくは徐々に充電電流を減らしながらバッテリーに充電する充電器での充電方法において、
前記トランスと並列に、コンタクタとリアクトルの直列回路を接続し、
前記スナバー回路を、抵抗とコンデンサを直接続したCRスナバー回路としてスナバー回路の抵抗値を極力小さい値とし、
前記バッテリーへの充電電流が所定値(押込み充電電流)以下となったとき充電電圧に対応して前記インバータのデッドタイムを小さくし、且つ前記コンタクタをオンして前記リアクトルにダミー電流を流すものである。
【0017】
また、本発明は、バッテリーへの充電電流が所定値(押込み充電電流)以外で充電電流が小さくなったとき、充電電流に対応して前記デッドタイムを順次大きくするものである。
【0018】
更に本発明は、バッテリーへの充電電流が所定値(押込み充電電流)以上の電流であって、充電開始時の小さい充電開始電流に前記コンタクタをオンして前記リアクトルにダミー電流を流すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、CRスナバー回路で抵抗値Rを小さくすることで、IGBTがオフする時のdV/dtとdI/dtを小さく出来てEMCに有効になる。また、抵抗による損失も小さくできる。さらに、充電電流の小さいときだけオン時間を長くすることで、押込み充電時以外での充電効率の低下が防止でき、且つ新たな部品追加の必要も無く、小型化でEMC対応が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態を示す充電器の概略構成図。
図2】CRDスナバー回路図。
図3】CRスナバー回路図。
図4】CRスナバー回路を接続した充電器の概略構成図。
図5】CRスナバー回路の動作説明図。
図6】CRスナバー回路の動作説明図。
図7】CRスナバー回路の動作説明図。
図8】IGBTの特性図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施例は、各スイッチング素子と並列にスナバー回路を接続したインバータで直流電圧を交流電圧に変換してトランスを介して整流器に出力し、変換された直流電圧を調整しながら段階的若しくは徐々に充電電流を減らしながらバッテリーに充電する充電器での充電方法において、トランスと並列にコンタクタとリアクトルの直列回路を接続する。スナバー回路の抵抗値を極力小さい値とし、バッテリーへの充電電流が押込み充電電流以下となったとき充電電圧に対応してデッドタイムを小さくし、且つコンタクタをオンしてリアクトルにダミー電流を流すものである。
【0022】
また、第2の実施例は、バッテリーへの充電電流が押込み充電電流以下となったときに、前記スイッチング素子のオン時間を遅くするものである。以下図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明のEMIノイズ低減方法に適用される充電器の構成図を示したもので、この充電器は電気車などに搭載される。IVはIGBTなどのスイッチング素子Tu,Yv,Tx,Tyからなるインバータで、各スイッチング素子Tu,Yv,Tx,Tyにはそれぞれ抵抗とコンデンサにより構成されたCRスナバー回路が並列に接続され、図示省略された直流電源からの電圧を交流に変換する。インバータIVの交流出力側にはトランスTFの一次巻線が接続され、二次巻線は整流器Covの交流入力側に接続されて、インバータIVの交流出力は整流器Covにより直流電圧に変換される。変換されたて直流電圧により図示省略されたスイッチング手段を介して直流電圧を調整しながら段階的若しくは徐々に充電電流を減らしながらバッテリーBATを充電する。
【0024】
この実施例では、コンタクタ(スイッチ)MCとリアクトルLxの直列回路を
トランスTFと並列に接続したものである。また、スナバー回路の抵抗値Rを敢えて(2√L/C)の1/2以下と小さくし、抵抗値ゼロとしてもよい。コンタクMCは、バッテリーBATへの充電電流が小さくなってデットタイムの間にスナバー回路のコンデンサが放電しない程度の電流となったときにオンする。コンタクMCのオンによりトランスTFと並列にリアクトルLxを接続し、このリアクトルLxに電流を流すことで IGBTがオフする時の電流を大きくし、デットタイムの間にCRスナバー回路のコンデンサが放電するよう構成される。
【0025】
バッテリーBATの充電方法としては、最初大きい電流、例えば200Aで充電しバッテリーBATの電圧が所定の電圧(定格72Vの電池であれば90V程度)まで上昇すると100A、50A、25A、と段階的に(または、徐々に)充電電流を減らして充電する。そして最後に更に小さい電流10A程度で押込み充電をする。この時、充電器は最大電圧(バッテリーの定格電圧150%程度で72V定格であれば110V程度)が必要になる。
【0026】
デットタイムが小さい程最大電圧を高く出来るので、上記の理由で最大電圧が必要な押込み充電10Aでデットタイムを決めれば、その他の電流の時には充電電圧が低いのでデットタイムを大きくしても良いことを意味する。例えば図6でインバータの周波数を20kHz(周期50μs)、押込み充電時の電圧110V、デットタイムを1μsとすると、この時のオン時間は50/2−1=24(μs)、充電電圧90Vのときのオン時間は24×90/110=19.6(μs)となるので、90Vでの必要なデットタイムは50/2−19.6=5.4(μs)、即ちデットタイムを5μsとすれば90Vの充電電圧を確保する事が出来る。
【0027】
なお、押込み充電の時のみデットタイムを小さく切り替えずに、デットタイムが充放電時間より大きすぎると制御が不安定とる場合もあるが、そのときは、押込み充電以外での時間で、充電電流が小さくなるにしたがってデットタイムを順次大きくしてもよい。また、押込み充電でない大きい電流でも、充電開始時で小さい電流から始めるときには、デットタイム時間内に充放電しない場合もある。このようなときでも、コンタクタMCをオンしてリアクトルLxを接続してもよい。
【0028】
次に、前記(4)項で記載のように、t=2CEd/Idよりデットタイムを5μsとしたときに必要な最低電流を上記の例の値を使って説明する。
デッドタイムt=5μsでは、電流Id=2CEd/t=2×0.1×300/5=12(A)となる。即ち、デットタイムを5μsとしたとき、充電電流が12A以上であればリアクトルLxに電流を流す必要はない。押込み充電10Aの時だけリアクトルLxに電流を流せばよいことになる。
【0029】
次に、デットタイム1μsのときリアクトルLxに必要な電流Idは1μs間に放電しなければならないので、Id=2×0.1×300/1=60(A)となる。なお、上記の計算ではトランスTFの一次二次の巻き数比は1対1とし充電電流とIdは同じとしている。
以上から図6において、通常の充電(25A以上)の時デットタイムを5μsで充電し、押込み充電(10A)の時はデットタイムを1μsにして、且つコンタクタMCをオンしてリアクトルLxに電流を流すようにすれば、全ての充電電流でdV/dtとdI/dtが小さくなりEMCに対して有効になる。
【0030】
したがって、この実施例によれば、次のような効果が得られる。
(ア)、CRスナバー回路で抵抗値Rを小さくすることで、IGBTがオフする時のdV/dtとdI/dtを小さく出来てEMCに有効になる。また、抵抗による損失も小さくできる。
(イ)、充電電流の小さい時だけデットタイムを小さくし、トランスTFに並列に接続したリアクトルLxにダミー電流を流すことで、IGBT等のスイッチング素子を最大充電電流で選定できる。これにより、リアクトルLxを接続してもIGBTを大きくする必要が無く、押込み充電以外の充電時にはリアクトルLxを接続しないので効率が悪くなることはない。
【実施例2】
【0031】
図1で示す実施例では、上記(ア),(イ)項で示す効果はあるが、しかしコンタクタMCとリアクトルLxの直列回路を必要として部品も必要となる。
第2の実施例では図4で示す充電器を適用し、充電電流が小さいときにインバータを構成するスイッチング素子Tu,Tv,Tx,Tyのオンする速度(以下オン時間という)を遅くすることでEMC効果を向上させるものである。
【0032】
図7は、充電電流の小さいとき、スイッチング素子のオン時間を遅くしてCRスナバー回路のコンデンサに流れる電流とスイッチング素子の電圧波形を示したものである。インバータIVの直列に接続されたスイッチング素子Tv, Tyを例にして、スイッチング素子がゆっくりオンすることは、スイッチング素子の抵抗値が無限大から徐々にゼロに下がることである。これにより、コンデンサCyの電荷はスイッチング素子Tyの抵抗値に制限されながら放電し、コンデンサCvの電荷は充電すると共に、スイッチング素子Tvの電圧は徐々に上昇してdV/dtは図6に比べて小さくなる。しかし、オン時間を遅くすると、電圧や電流の変化率dV/dtやdI/dtが小さくなってノイズは少なくなるが、スイッチング速度を遅くするとスイッチング時の損失が大きくなり効率の低下や冷却の考慮が必要になる。
【0033】
図4で、スイッチング素子1個当たりオン時のスイッチング損失Ponは、
Pon=1/3×Ed×Id×ton×f
となる。ここで、Ed:直流電圧、Id:直流電流、ton:オン時間、f:周波数、
上式のように、スイッチング損失は周波数に比例するため、高い周波数のインバータではそのスイッチング損失は顕著になる。
【0034】
充電電流が小さいときだけ、スイッチング素子のオン時間を遅くすると直流電流Idは小さいので、オン時間tonを大きくしてもスイッチング損失Ponは通常の充電電流と比べて大きくにはならない。この実施例では、単に充電電流が小さいときにオン時間を長くするものではなく、図8で示すようにスイッチング素子のゲート抵抗を大きくすることで、オン時間を長くするものである。図8は、横軸のIGBTのゲート抵抗と縦軸のスイッチング時間の関係を示したもので、長くするオン時間が図8のtrに相当するものである。
【0035】
したがって、この実施例によれば、CRスナバー回路で抵抗値Rを小さくすることで、IGBTがオフする時のdV/dtとdI/dtを小さく出来てEMCに有効になる。また、抵抗による損失も小さくできる。さらに、充電電流の小さいときだけオン時間を長くすることで、押込み充電時以外での充電効率の低下が防止でき、且つ新たな部品追加の必要も無く、小型化でEMC対応が可能になるものである。
【符号の説明】
【0036】
IV… インバータ
TF… トランス
Cov… 整流器
BAT… バッテリー(二次電池)
MC… コンタクタ
Lx… リアクトル
Tu,Tv,Tx,Ty… スイッチング素子
C… コンデンサ
R… 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8