特許第6805810号(P6805810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805810
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】負荷駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20201214BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20201214BHJP
   H01H 47/32 20060101ALI20201214BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20201214BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20201214BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20201214BHJP
【FI】
   H01H47/00 H
   B60R16/02 645C
   H01H47/32 A
   H01H9/54 H
   H01H9/54 B
   F16H61/22
   F16H61/00
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-251787(P2016-251787)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-106902(P2018-106902A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大嗣
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−313170(JP,A)
【文献】 特開2015−217734(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0312685(US,A1)
【文献】 特開2011−155829(JP,A)
【文献】 特開平04−253418(JP,A)
【文献】 特開2012−072854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
H01H 47/00−47/32
B60R 16/00−17/02
H03K 17/00,17/70
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源(410)と負荷(300)との間に第1リレー(210)が設けられ、第2電源(420)と前記負荷との間に第2リレー(220)が設けられ、前記第1電源と前記第2電源いずれからも電力供給が可能な前記負荷を駆動する負荷駆動装置であって、
前記第1リレーと前記第2リレーの開閉を制御する制御部(10、20)と、
前記制御部からの前記第1リレーの開閉を指示する開閉制御信号に応じて前記第1リレーの開閉駆動を行う第1開閉スイッチ(T4)と、
前記制御部からの前記第2リレーの開閉を指示する開閉制御信号に応じて前記第2リレーの開閉駆動を行う第2開閉スイッチ(T5)と、
前記第1電源から前記第1リレーを介して前記負荷への電力供給を行うために、前記制御部から前記第1リレーの閉状態を指示する前記開閉制御信号が出力されている場合、前記第2リレーの閉状態を指示する前記開閉制御信号が出力されても、前記第1リレーの閉状態を継続させつつ、前記第1リレーの前記閉状態を指示する前記開閉制御信号によって、前記第2開閉スイッチによる前記第2リレーの閉駆動を禁止する禁止スイッチ(T3)と、を備えている負荷駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1電源と前記第2電源いずれからも電力供給が可能に構成されている請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1電源による電力供給の機能が喪失した場合、前記第1リレーの開状態を指示する前記開閉制御信号を出力することで前記第1リレーを開状態とするとともに前記禁止スイッチによる禁止を解除し、前記第1電源にかえて前記第2電源から前記第2リレーを介して前記負荷への電力供給を行うために、前記第2リレーの閉状態を指示する前記開閉制御信号を出力する請求項1又は2に記載の負荷駆動装置。
【請求項4】
前記第1電源の電圧をモニタするモニタ回路(31)を備えており、
前記制御部は、前記モニタ回路からの出力に基づいて、前記第1電源による電力供給の機能が喪失したか否かを判定する請求項3に記載の負荷駆動装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記モニタ回路からの出力をAD変換するAD回路を備えている請求項4に記載の負荷駆動装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2電源との通信を行う請求項1乃至5のいずれか一項に記載の負荷駆動装置。
【請求項7】
前記第2電源は、電源が供給されておらず停止状態の前記制御部を起動する起動信号を出力可能であり、
前記制御部は、停止状態時に、前記第2電源との通信によって前記起動信号が入力されると起動する請求項6に記載の負荷駆動装置。
【請求項8】
前記第2開閉スイッチは、ゲート端子に信号が入力されることで駆動するMOSFETであり、
前記禁止スイッチは、前記制御部から前記第1リレーの閉状態を指示する前記開閉制御信号が出力されると、前記ゲート端子の電位を接地して、前記MOSFETによる前記第2リレーの閉駆動を禁止するトランジスタである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の負荷駆動装置。
【請求項9】
前記負荷は、車両におけるパーキングロック機構をロック状態とロック解除状態とに切り替える電動機であり、
前記制御部は、前記第1リレーと前記第2リレーのいずれか一方を閉状態として、前記電動機に電力供給を行っているときに、前記ロック状態と前記ロック解除状態を指示する指示信号を前記電動機に対して出力する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の負荷駆動装置。
【請求項10】
前記禁止スイッチを一つのみ備えている請求項1乃至9のいずれか一項に記載の負荷駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリレーを介して負荷に電源を供給する負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、複数のリレーが同時にオンすることを抑制する同時オン防止回路がある。
【0003】
同時オン防止回路は、第1半導体リレーに第1ダイオードを介して接続され、制御部から制御される第1トランジスタと、第2半導体リレーに第2ダイオードを介して接続され、制御部から制御される第2トランジスタとが設けられている。なお、第1半導体リレーは、電源との間に第1抵抗が設けられている。一方、第2半導体リレーは、電源との間に第2抵抗が設けられている。また、同時オン防止回路は、第2抵抗と第2半導体リレーの間と、第1ダイオードと第1トランジスタの間に第3ダイオードが接続されており、且つ、第1抵抗と第1半導体リレーの間と、第2ダイオードと第2トランジスタの間に第4ダイオードが接続されている。
【0004】
これにより、同時オン防止回路は、制御部の暴走等で、両トランジスタが同時にオンされた場合でも、第3ダイオードと第4ダイオードにより、半導体リレー上流を接地することができる。よって、同時オン防止回路は、半導体リレーのオフ状態を保ち、同時オンが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−197276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同時オン防止回路は、第2半導体リレーの上流に接続された第3ダイオードと、第1半導体リレーの上流に接続された第4ダイオードとを備えている。このため、同時オン防止回路は、第3ダイオード及び第4ダイオードと各半導体リレーの上流とを接続するために、外部接続用のポートが必要になり、且つ、ワイヤハーネスの本数が増えてしまうという問題がある。
【0007】
本開示は、上記問題点に鑑みなされたものであり、ポートの数及びワイヤハーネスの本数が増加することを抑制できる負荷駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本開示は、
第1電源(410)と負荷(300)との間に第1リレー(210)が設けられ、第2電源(420)と負荷との間に第2リレー(220)が設けられ、第1電源と第2電源いずれからも電力供給が可能な負荷を駆動する負荷駆動装置であって、
第1リレーと第2リレーの開閉を制御する制御部(10、20)と、
制御部からの第1リレーの開閉を指示する開閉制御信号に応じて第1リレーの開閉駆動を行う第1開閉スイッチ(T4)と、
制御部からの第2リレーの開閉を指示する開閉制御信号に応じて第2リレーの開閉駆動を行う第2開閉スイッチ(T5)と、
第1電源から第1リレーを介して負荷への電力供給を行うために、制御部から第1リレーの閉状態を指示する開閉制御信号が出力されている場合、第2リレーの閉状態を指示する開閉制御信号が出力されても、第1リレーの閉状態を継続させつつ、第1リレーの閉状態を指示する開閉制御信号によって、第2開閉スイッチによる第2リレーの閉駆動を禁止する禁止スイッチ(T3)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このように、本開示は、第1リレーの閉状態を指示する開閉制御信号が出力されている場合に、第2リレーの閉駆動を禁止する禁止スイッチを備えているため、第1リレーと第2リレーの両方が同時に閉状態となることを抑制できる。また、本開示は、第1リレーと第2リレーの上流に接続されたダイオードなどを備えることなく第1リレーと第2リレーの両方が同時に閉状態となることを抑制できるため、ポートの数、及びワイヤハーネスの本数が増加することを抑制できる。
【0010】
なお、特許請求の範囲、及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における負荷駆動装置の概略構成を示す回路図である。
図2】実施形態における負荷駆動装置の処理動作を示すフローチャートである。
図3】実施形態における負荷駆動装置の処理動作を示すタイムチャートである。
図4】実施形態における負荷駆動装置のオン故障発生時における処理動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。本実施形態では、図1に示すように、一例として、モータ300を駆動する負荷駆動装置100に適用した例を採用する。また、本実施形態では、一例として、車両のパーキングロック用のモータ(電動機)300を採用する。よって、負荷駆動装置100は、車両に搭載可能に構成されている。
【0013】
なお、後程説明するが、負荷駆動装置100は、一つのモータ300と、二つのバッテリ410,420が接続されている。負荷駆動装置100とモータ300と二つのバッテリ410,420を備えたシステムは、負荷駆動システムとも言える。また、モータ300は、二つのバッテリ410,420から電力供給(言い換えると電源供給)が可能に構成されている。よって、負荷駆動システムは、一つのモータ300に対して、二つのバッテリ410,420のいずれか一方から電源が供給可能に構成されている。言い換えると、負荷駆動装置100は、二つのバッテリ410,420いずれからもモータへの電力供給が可能である。
【0014】
しかしながら、本発明は、これに限定されず、モータ300とは異なる負荷を駆動するものであっても採用できる。なお、車両は、例えば、走行駆動源としてエンジンとモータジェネレータとを有し、さらに、モータジェネレータを駆動するための電力を蓄える電池を備えた、いわゆるハイブリッド車両を採用できる。なお、車両は、ハイブリッド車両に限定するものではない。
【0015】
まず、図1を参照しつつ、負荷駆動装置100の構成に関して説明する。負荷駆動装置100は、マイコン10、電源制御部20、補機バッテリ電圧モニタ部31、予備バッテリ電圧モニタ部32、入出力回路40、ドライバ50に加えて、複数の回路素子を備えている。負荷駆動装置100は、複数の回路素子として、コンデンサC1、第1ダイオードD1〜第4ダイオードD4、第1スイッチング素子T1〜第5スイッチング素子T5、第1抵抗R1〜第5抵抗R5を備えている。マイコン10と電源制御部20は、特許請求の範囲における制御部に相当する。なお、複数の回路素子のうち第2抵抗R2〜第5抵抗R5、第1スイッチング素子T1〜第5スイッチング素子T5は、回路部EC1に相当する。
【0016】
なお、本実施形態では、一例として、通信インターフェイスであるCANインターフェイス60を備えた負荷駆動装置100を採用している。しかしながら、負荷駆動装置100は、CANインターフェイス60を備えていなくてもよい。図1においては、CANインターフェイスをCANI/Fと記載している。CANは、Controller Area Networkの略称である。CANは、登録商標である。
【0017】
また、負荷駆動装置100は、外部装置との電気的な接続を行うための端子(ポート)が設けられている。具体的には、負荷駆動装置100は、第1電源端子P11、第2電源端子P12、IG端子P13、第1通信端子P14、第2通信端子P15、グランド端子P16、第1リレー端子P17、第2リレー端子P18、ロック端子P19、シフト端子P20などが設けられている。なお、以下においては、電気的な接続を単に接続とも記載する。
【0018】
負荷駆動装置100は、上記端子などに、第1リレー210、第2リレー220、モータ300、補機バッテリ410、予備バッテリ装置420、他ノード600などが接続されている。また、負荷駆動装置100は、IG端子P13にイグニッションスイッチのオン及びオフに伴う電圧が印加される構成となっている。負荷駆動装置100は、IG端子P13にイグニッションスイッチのオンに伴う電圧が印加されると電源制御部20に起動信号が入力され、IG端子P13がイグニッションスイッチのオフに伴う電圧になると電源制御部20への起動信号の入力が停止する。
【0019】
なお、IGは、イグニッションの略称である。また、図3図4におけるIGSWは、イグニッションスイッチの略称である。起動信号は、電源が供給されておらず停止状態のマイコン10及び電源制御部20を起動する信号である。また、起動信号は、IGSWによるものに限定されない。
【0020】
第1リレー210と第2リレー220は、負荷駆動装置100によって駆動される。つまり、負荷駆動装置100は、第1リレー210と第2リレー220を個別にオン及びオフする。第1リレー210は、ワイヤハーネスなどを介して第1リレー端子P17に接続されている。また、第1リレー210は、補機バッテリ410とモータ300との間に直列に接続されており、補機バッテリ410からモータ300への電源の供給、及び供給の停止を行うためのスイッチである。なお、オンは閉状態に相当する。オフは開状態に相当する。よって、オンオフは開閉に相当する。
【0021】
一方、第2リレー220は、ワイヤハーネスなどを介して第2リレー端子P18に接続されている。また、第2リレー220は、予備バッテリ装置420とモータ300との間に直列に接続されており、予備バッテリ装置420からモータ300への電源の供給、及び供給の停止を行うためのスイッチである。
【0022】
モータ300は、負荷に相当するものであり、パーキングロック機構のアクチュエータである。つまり、モータ300は、パーキングロック機構をロック状態とロック解除状態とに切り替える電動機である。モータ300は、例えば、三相交流電力によって動作する電動機を採用できる。モータ300は、補機バッテリ410と予備バッテリ装置420のいずれかから電源が供給され、負荷駆動装置100のU相端子、V相端子、W相端子と接続されている。
【0023】
補機バッテリ410は、第1電源に相当し、負荷駆動装置100や、車両の他の補機に電源供給(例えば12Vを供給)するためのバッテリである。また、補機バッテリ410は、上記のようにモータ300に電源を供給可能に構成されている。補機バッテリ410は、+端子(プラス端子)が第1電源端子P11に接続され、−端子(マイナス端子)がグランド端子P16に接続されている。補機バッテリ410は、常時、負荷駆動装置100に電源を供給可能に構成されている。なお、補機バッテリ410は、負荷駆動装置100に対するメインのバッテリと言える。
【0024】
予備バッテリ装置420は、第2電源に相当し、負荷駆動装置100とモータ300に電源を供給可能(例えば12Vを供給可能)に構成されたバッテリである。予備バッテリ装置420は、補機バッテリ410と異なり、負荷駆動装置100とモータ300以外の補機に電源を供給可能に構成されていない。なお、予備バッテリ装置420は、負荷駆動装置100とモータ300に専用に設けられていると言える。つまり、予備バッテリ装置420は、負荷駆動装置100とモータ300を含む負荷駆動システムに専用に設けられたバッテリと言える。ただし、予備バッテリ装置420は、負荷駆動システム専用とは限らない場合もある。
【0025】
また、予備バッテリ装置420は、補機バッテリ410と異なり、常時、負荷駆動装置100に電源を供給するものではない。予備バッテリ装置420は、補機バッテリ410による電源供給が正常になされない場合に、補機バッテリ410にかわって負荷駆動装置100及びモータ300へ電源を供給するためのものであり、補機バッテリ410の予備として設けられている。このため、負荷駆動装置100は、自身への電源が失われることを抑制された構成となっている。また、負荷駆動装置100は、モータ300への電源供給が必要でありながら、電源供給ができない状況を抑制できる構成となっている。以下においては、電源供給を正常に行える状態を正常状態、電源供給を正常に行えない状態を異常状態とも称する。また、異常状態は、機能喪失とも言える。
【0026】
この予備バッテリ装置420は、+端子が第2電源端子P12に接続され、−端子がグランド端子P16に接続されている。また、予備バッテリ装置420は、第1通信端子P14と第2通信端子P15に接続されている。さらに、予備バッテリ装置420は、スイッチ500を介して、補機バッテリ410の+端子と第1電源端子P11との配線に接続されており、補機バッテリ410から充電可能に構成されている。
【0027】
予備バッテリ装置420は、補機バッテリ410と異なり、電池部に加えて、処理部や記憶部などを備えている。よって、予備バッテリ装置420は、予備バッテリASSYと言うこともできる。このため、予備バッテリ装置420は、補機バッテリ410の電圧をモニタ可能に構成されている。また、予備バッテリ装置420は、第1通信端子P14と第2通信端子P15を介して、負荷駆動装置100と双方向通信が可能に構成されている。
【0028】
予備バッテリ装置420は、例えば、予備バッテリ装置420が充電中であるか否か、予備バッテリ装置420の電圧、負荷駆動装置100に対して電源を供給可能か否か、電源制御部20への起動信号などを負荷駆動装置100に対して送信する。なお、負荷駆動装置100と予備バッテリ装置420との通信は、バッテリ通信とも言える。
【0029】
さらに、予備バッテリ装置420は、スイッチ500のオンとオフを制御可能に構成されている。このスイッチ500は、通常、オフとなっている。予備バッテリ装置420は、自身の充電が必要なときであり、且つ、補機バッテリ410が充電可能な状態のときに、スイッチ500をオフからオンに切り替える。なお、スイッチ500は、予備バッテリ装置420に内蔵されていてもよい。
【0030】
このように、予備バッテリ装置420は、通信機能、電圧モニタ機能、スイッチ制御機能などを備えていると言える。なお、補機バッテリ410は、予備バッテリ装置420と同様に、処理部や記憶部を備え、負荷駆動装置100との通信を行うように構成されていてもよい。
【0031】
他ノード600は、例えば、車室内に設けられたディスプレイや音声出力装置などの報知装置を採用できる。他ノード600は、負荷駆動装置100の通信端子に接続されている。
【0032】
マイコン10は、電源制御部20、補機バッテリ電圧モニタ部31、予備バッテリ電圧モニタ部32、入出力回路40、ドライバ50、CANインターフェイス60と接続されている。また、マイコン10は、第1スイッチング素子T1、第2スイッチング素子T2、ロック端子P19、シフト端子P20と接続されている。マイコン10は、電源制御部20によって生成された電源(例えば5V)が供給される。なお、電源制御部20によって生成された電源は、負荷駆動装置100内で用いられる電源であり内部電源とも称する。
【0033】
マイコン10は、演算処理装置と、プログラムやデータを記憶する記憶媒体などを備えている。記憶媒体は、演算処理装置によって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。また、記憶媒体は、演算処理装置によって読み取り及び書き込み可能なデータを格納している。この記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。マイコン10は、演算処理装置がデータを参照しつつ、プログラムを実行するなどして、後程説明する処理を行う。マイコン10は、例えば、第1リレー210と第2リレー220のオンオフを制御する。
【0034】
なお、マイコン10は、アナログ‐デジタル変換回路(以下、AD回路)を備えている。また、マイコン10は、時間を計測するためにタイマの値を取得可能に構成されている。
【0035】
マイコン10は、電源が供給されていない状態で、IG端子P13にIGSWのオンを示す電圧が印加されると、電源制御部20から内部電源が供給されて起動する。マイコン10は、起動すると、マイコン10への内部電源の供給を保持する信号を電源制御部20に対して送信する。これによって、マイコン10は、マイコン10への内部電源の供給を保持できる。なお、この信号は、5V要求信号や保持信号と言える。
【0036】
マイコン10は、駆動信号端子P1に第1スイッチング素子T1のベース端子が接続されており、許可信号端子P2に第2スイッチング素子T2のベース端子が接続されている。本実施形態では、第1スイッチング素子T1と第2スイッチング素子T2として、PNPトランジスタを採用している。
【0037】
マイコン10は、駆動信号端子P1から駆動信号としてLoとHiを個別に出力可能に構成されている。また、マイコン10は、許可信号端子P2から許可信号としてLoとHiを個別に出力可能に構成されている。なお、本実施形態では、後程説明する、第3スイッチング素子T3としてNPNトランジスタ、第4スイッチング素子T4と第5スイッチング素子T5としてMOSFETを採用している。しかしながら、各スイッチング素子T1〜T5は、これに限定されない。
【0038】
なお、駆動信号は、第1リレー210の開閉を指示する開閉制御信号に相当し、駆動信号としてのLoが第1リレー210のオンを指示する信号であり、駆動信号としてのHiが第1リレー210のオフを指示する信号である。許可信号は、第2リレー220の開閉を指示する開閉制御信号に相当し、許可信号としてのLoが第2リレー220のオンを指示する信号であり、許可信号としてのHiが第2リレー220のオフを指示する信号である。
【0039】
また、第4スイッチング素子T4は、第1開閉スイッチに相当する。第5スイッチング素子T5は、第2開閉スイッチに相当する。第3スイッチング素子T3は、禁止スイッチに相当する。
【0040】
さらに、マイコン10は、ロック端子P19からパーキングロック機構のロック状態を指示する信号(以下、ロック指示信号)が入力される。このロック指示信号は、例えば、ユーザによってパーキングスイッチなどが操作されることで出力される。
【0041】
また、マイコン10は、シフト端子P20からシフト切替を指示する信号が入力される。シフト切替を指示する信号は、Rレンジへのシフト切替を指示するRレンジ信号や、Dレンジへのシフト切替を指示するDレンジ信号などである。Rレンジ信号やDレンジ信号は、例えば、ユーザによってシフタなどが操作されることで出力される。Rレンジ信号やDレンジ信号は、パーキングロック機構のロック状態を解除するロック解除信号としても機能する。つまり、ロック解除信号は、ロック解除状態を指示する信号に相当する。
【0042】
マイコン10は、ロック指示信号が入力されると、モータ300を駆動してパーキングロック機構をロック状態とすることで、車両が走行できない状態とする。また、マイコン10は、パーキングロック機構がロック状態である場合に、ロック解除信号が入力されると、モータ300を駆動してパーキングロック機構のロック状態を解除することで、車両が走行できる状態とする。このため、負荷駆動装置100は、シフトバイワイヤ制御装置とも言える。さらに、負荷駆動システムは、シフトバイワイヤシステムとも言える。
【0043】
なお、本実施形態では、ロック解除信号の一例として、Rレンジ信号やDレンジ信号を採用している。しかしながら、ロック解除信号はこれに限定されない。
【0044】
電源制御部20は、第1ダイオードD1を介して第1電源端子P11に接続され、且つ、第2ダイオードD2を介して第2電源端子P12に接続されている。よって、電源制御部20は、補機バッテリ410及び予備バッテリ装置420と接続可能に構成されている。電源制御部20は、第1ダイオードD1を介して補機バッテリ410から電源が供給可能であり、第2ダイオードD2を介して予備バッテリ装置420から電源が供給可能に構成されている。電源制御部20は、補機バッテリ410や予備バッテリ装置420から供給された電源から内部電源を生成する。
【0045】
これにより、マイコン10は、補機バッテリ410が異常状態となった場合であっても、第2ダイオードD2を介した予備バッテリ装置420からの電源供給により、自身の電源を失うことなく動作可能となる。また、負荷駆動装置100は、補機バッテリ410が異常状態となった場合であっても、第2ダイオードD2を介した予備バッテリ装置420からの電源供給により、内部電源を得ることができると言える。
【0046】
第1ダイオードD1は、アノードが第1電源端子P11に接続されており、カソードが電源制御部20に接続されている。第2ダイオードD2は、アノードが第2電源端子P12に接続されており、カソードが電源制御部20に接続されている。なお、両ダイオードD1,D2のカソードと電源制御部20とを繋いでいる配線には、コンデンサC1の一端が接続されている。コンデンサC1の他端は、グランドに接続されている。
【0047】
また、電源制御部20は、第1抵抗R1介してグランドに接続されている。電源制御部20は、第1抵抗R1との間の配線に、第3ダイオードD3を介してIG端子P13に接続され、且つ、第4ダイオードD4を介して第1通信端子P14に接続されている。第3ダイオードD3は、アノードがIG端子P13に接続されており、カソードが電源制御部20に接続されている。第4ダイオードD4は、アノードが第1通信端子P14に接続されており、カソードが電源制御部20に接続されている。よって、電源制御部20は、第3ダイオードD3を介して起動信号が入力されるとともに、第4ダイオードD4を介して起動信号が入力される構成となっている。
【0048】
また、電源制御部20は、IGSWがオンされたことで起動信号が入力された場合、マイコン10などに対して内部電源を供給可能に構成されている。さらに、電源制御部20は、IGSWのオンに伴う起動信号が入力された場合だけではなく、予備バッテリ装置420からの起動信号が入力された場合にも、マイコン10などに対して内部電源を供給可能に構成されている。このため、負荷駆動装置100は、内部電源を失陥してしまった場合であっても、予備バッテリ装置420からの起動信号によって、再起動が可能な構成となっている。
【0049】
補機バッテリ電圧モニタ部31(以下、第1モニタ部31)は、補機バッテリ410の電圧をモニタし、モニタ結果をマイコン10に出力する。第1モニタ部31は、第1電源端子P11と第1ダイオードD1のアノードとの間の配線と、マイコン10のAD回路とに接続されている。予備バッテリ電圧モニタ部32(以下、第2モニタ部32)は、予備バッテリ装置420の電圧をモニタし、モニタ結果をマイコン10に出力する。第2モニタ部32は、第2電源端子P12と第2ダイオードD2のアノードとの間の配線と、マイコン10のAD回路とに接続されている。
【0050】
マイコン10は、第1モニタ部31からのモニタ結果によって補機バッテリ410の電圧をモニタできるとともに、第2モニタ部32からのモニタ結果によって予備バッテリ装置420の電圧をモニタできる。例えば、マイコン10は、第1モニタ部31からのモニタ結果(電圧)が閾値に達した場合、すなわち、第1モニタ部31からの電圧が閾値を下回った場合に異常状態であると判定する。また、マイコン10は、第1モニタ部31からの出力に基づいて、補機バッテリ410による電力供給の機能が喪失したか否かを判定すると言える。第1モニタ部31は、モニタ回路に相当する。
【0051】
なお、ここでの閾値は、例えば0.1Vなど、補機バッテリ410が外れた場合や、補機バッテリ410と負荷駆動装置100とを繋いでいるコネクタが外れた場合に、とりうる電圧値を採用する。マイコン10は、予備バッテリ装置420に関しても同様に、異常状態であることを判定できる。
【0052】
また、マイコン10は、AD回路で電圧のモニタを行うため、各バッテリ410,420の機能喪失の兆候をつかむことができ、異常状態であることを即座に判断できる。つまり、マイコン10は、モニタ結果をデジタル値で取得する場合よりも、各バッテリ410,420の異常状態であることを早く判断できる。また、マイコン10は、各バッテリ410,420が正常状態であるか否かを即座に判断できるとも言える。さらに、マイコン10は、アナログ値で判断することにより、ノイズなどによるデジタル値の変動に対して、各バッテリ410,420が正常状態であるか否かの判断の信頼性を向上できる。
【0053】
入出力回路40は、第1通信端子P14と第2通信端子P15とマイコン10に接続されている。入出力回路40は、予備バッテリ装置420とマイコン10との通信インターフェイスである。マイコン10と予備バッテリ装置420は、入出力回路40を介して双方向通信することができる。マイコン10は、例えば、電源供給の要求を予備バッテリ装置420へ送信する。マイコン10は、予備バッテリ装置420と通信できるため、予備バッテリ装置420が充電中であるか否か、電圧のモニタなどできる。
【0054】
ドライバ50は、マイコン10から出力された信号から、モータ300を駆動する駆動信号を生成するものである。そして、ドライバ50は、負荷駆動装置100のU相端子、V相端子、W相端子のそれぞれから、モータ300に対してU相駆動信号、V相駆動信号、W相駆動信号を出力する。つまり、マイコン10は、ドライバ50を介してモータ300を駆動すると言える。
【0055】
CANインターフェイス60は、マイコン10がCANプロトコルに従って、他のノード600と通信を行うための通信インターフェイスである。なお、本実施形態では、通信インターフェイスの一例として、CANインターフェイス60を採用している。しかしながら、負荷駆動装置100は、これに限定されず、他ノード600と通信可能な構成であれば採用できる。
【0056】
ここで、回路部EC1に関して説明する。つまり、マイコン10と第1リレー端子P17間の回路構成、及びマイコン10と第2リレー端子P18間の回路構成に関して説明する。本実施形態では、一例として以下に説明する回路構成を採用している。しかしながら、回路構成は、下記の構成に限定されない。
【0057】
第1スイッチング素子T1は、ベース端子が駆動信号端子P1に接続されており、エミッタ端子が電源制御部20に接続されている。また、第1スイッチング素子T1は、コレクタ端子が第3抵抗R3を介してグランドに接続されており、且つ、第2抵抗R2を介して第4スイッチング素子T4のゲートに接続されている。
【0058】
第2スイッチング素子T2は、ベース端子が許可信号端子P2に接続されており、エミッタ端子が電源制御部20に接続されている。また、第2スイッチング素子T2は、コレクタ端子が第5抵抗R5を介してグランドに接続されており、且つ、第4抵抗R4を介して第5スイッチング素子T5のゲートに接続されている。
【0059】
第4スイッチング素子T4は、ドレイン端子が第1リレー端子P17に接続されており、ソース端子がグランドに接続されている。第4スイッチング素子T4は、マイコン10からの第1リレー210のオンオフを指示する開閉制御信号に応じて第1リレー210のオンオフ駆動を行う。
【0060】
一方、第5スイッチング素子T5は、ドレイン端子が第2リレー端子P18に接続されており、ソース端子がグランドに接続されている。第5スイッチング素子T5は、マイコン10からの第2リレー220のオンオフを指示する開閉制御信号に応じて第2リレー220のオンオフ駆動を行う。
【0061】
さらに、第2抵抗R2と第4スイッチング素子T4のゲートとの間、及び、第4抵抗R4と第5スイッチング素子T5のゲートとの間には、第3スイッチング素子T3が接続されている。第3スイッチング素子T3は、ベース端子が第2抵抗R2と第4スイッチング素子T4のゲートとの間に接続されており、コレクタ端子が第4抵抗R4と第5スイッチング素子T5のゲートとの間に接続されている。なお、第3スイッチング素子T3は、エミッタ端子がグランドに接続されている。
【0062】
第3スイッチング素子T3は、補機バッテリ410から第1リレー210を介してモータ300への電源供給を行うために、マイコン10から駆動信号としてLoが出力されている場合、第5スイッチング素子T5による第2リレー220のオン駆動を禁止する。具体的には、第3スイッチング素子T3は、マイコン10から駆動信号としてLoが出力されると、第5スイッチング素子T5のゲート端子の電位を接地して、第5スイッチング素子T5による第2リレー220のオン駆動を禁止する。このように、負荷駆動装置100は、トランジスタである第3スイッチング素子T3で、MOSFETである第5スイッチング素子T5のゲート電位を接地することで、第5スイッチング素子T5の動作を停止できる構成となっている。
【0063】
ここで、図2図3を参照しつつ、負荷駆動装置100の動作に関して説明する。
【0064】
マイコン10は、内部電源の供給が開始されると図3のフローチャートに示す処理を開始する。
【0065】
ステップS10では、電源保持を行う。マイコン10は、図3のタイミングt11に示すように電源制御部20から内部電源が供給されると、タイミングt12に示すように電源制御部20に対して5V要求信号を出力して、自身への内部電源の供給を保持する。つまり、負荷駆動装置100は、IGSWがオフからオンに切り替わることにより、電源制御部20が内部電源を生成してマイコン10へ供給することで動作可能となる。また、IGSWのオン後、予備バッテリ装置420は、負荷駆動装置100へ電源供給を行う。
【0066】
ステップS20では、第1リレーをオンするとともに、第2リレーをオフする。マイコン10は、図3のタイミングt13に示すように、駆動信号をLo出力することで、第1リレー210をオフからオンに切り替える。このとき、マイコン10は、許可信号をHi出力することで、第2リレー220をオフのままとする。つまり、マイコン10は、第1リレー210をオンにしつつ、第2リレー220をオンせずにオフとする。負荷駆動装置100は、補機バッテリ410が正常状態の場合、つまり、通常時、第1リレー210を介してモータ300へ電源供給を行う。なお、負荷駆動装置100は、第1リレー210を介してモータ300へ電源供給を行っている場合、ロック指示信号が入力されると、マイコン10がモータ300を駆動してパーキングロック機構をロック状態とする。
【0067】
ステップS30では、補機バッテリが正常であるか否かを判定する。マイコン10は、第1モニタ部31のモニタ結果に基づいて、補機バッテリ410が正常状態であるか否かを判定する。そして、マイコン10は、補機バッテリ410が正常状態であると判定した場合はステップS30を繰り返し実行し、補機バッテリ410が正常状態でないと判定した場合はステップS40へ進む。
【0068】
例えば、図3のタイミングチャートでは、タイミングt14で補機バッテリ410に失陥が生じた例を採用している。この場合、マイコン10は、タイミングt13からタイミングt15に達するまでの間、補機バッテリ410が正常状態であると判定する。そして、マイコン10は、第1モニタ部31からの電圧が閾値を下回ったタイミングt15で、補機バッテリ410が正常状態でないと判定する。
【0069】
ステップS40では、第1リレーをオフするとともに、第2リレーをオンする。マイコン10は、図3のタイミングt15に示すように、駆動信号をHi出力することで、第1リレー210をオンからオフに切り替える。つまり、マイコン10は、補機バッテリ410による電力供給の機能が喪失した場合、駆動信号をHi出力することで第1リレー210を開状態とするとともに第3スイッチング素子T3による禁止を解除する。
【0070】
そして、マイコン10は、図3のタイミングt16に示すように、許可信号をLo出力することで、第2リレー220をオフからオンに切り替える。つまり、マイコン10は、補機バッテリ410にかえて予備バッテリ装置420から第2リレー220を介してモータ300への電力供給を行うために、許可信号をLo出力する。このように、負荷駆動装置100は、補機バッテリ410による電力供給の機能が喪失した場合であっても、予備バッテリ装置420から電力供給を行わせるため、モータ300が駆動可能な状態を継続できる。
【0071】
また、マイコン10は、第1リレー210と第2リレー220とが同時にオンすることを避けるために、第1リレー210がオフになるのを待ってから、第2リレー220をオンにする。駆動信号がLoからHiに切り替わってから第1リレー210がオフに切り替わる時間(以下、オフ時間)は予めわかっている。このため、マイコン10は、取得したタイマの値などを用いて、駆動信号をHi出力してからの時間を計測する。そして、マイコン10は、計測した時間がオフ時間を超えたことを確認して、第2リレー220をオフからオンにする。これによって、負荷駆動装置100は、第1リレー210と第2リレー220とが同時にオンすることを抑制できる。
【0072】
このように、負荷駆動装置100は、補機バッテリ410が異常状態となっても、補機バッテリ410及び第1リレー210のかわりに、予備バッテリ装置420から第2リレー220を介してモータ300へ電源供給を行うことができる。このため、負荷駆動装置100は、第2リレー220を介してモータ300へ電源供給を行っている場合、ロック指示信号が入力されると、マイコン10がモータ300を駆動してパーキングロック機構をロック状態とする。このように、負荷駆動装置100は、補機バッテリ410が異常状態となった場合であっても、パーキングロック機構をロック状態とすることができる。つまり、負荷駆動装置100は、補機バッテリ410が異常状態となった場合であっても、車両を停車させることができる。よって、第2リレー220は、予備のリレーと言える。
【0073】
ステップS50では、ユーザに通知する。マイコン10は、補機バッテリ410が異常状態であることをユーザに通知する。このとき、マイコン10は、例えばCANI/F60を介して、他ノード600のディスプレイを用いて通知を行う。しかしながら、本発明は、ステップS50を行わなくてもよいし、ステップS50として他の処理を行ってもよい。
【0074】
次に、図4を参照しつつ、同時オン発生時における負荷駆動装置100の動作に関して説明する。負荷駆動装置100は、図4のタイミングt17に示すように、第1リレー210のオン後、第1リレー210のかわりに第2リレー220をオンさせるために、駆動信号をHi出力しようとした場合に、駆動信号がLo固着することが起こりうる。この場合、負荷駆動装置100は、図4のタイミングt18に示すように許可信号をLo出力して第2スイッチング素子T2がオンとなる。つまり、負荷駆動装置100は、図4のタイミングt18〜t19に示すように、駆動信号と許可信号の両方が同時にLo出力となる。
【0075】
ところが、負荷駆動装置100は、駆動信号と許可信号の両方がLo出力となった後も、駆動信号によって第3スイッチング素子T3をオンさせることができる。このため、負荷駆動装置100は、第3スイッチング素子T3をオンさせることで、第5スイッチング素子T5のゲート電圧レベルをグランドレベルとすることができる。従って、負荷駆動装置100は、第2リレー220のオフを継続させることができる。
【0076】
この場合、負荷駆動装置100は、本来であれば第2リレー220がオンすべきタイミングで、第2リレー220のオフが継続しており、且つ、第1リレー210がオン継続していることを検知して、ユーザへ異常通知してもよい。ユーザへの異常通知としては、車両の再起動、すなわちIGSWを一旦オフした後に再度IGSWをオンさせることを促す内容を含んでいると好ましい。負荷駆動装置100は、リセット再起動され、正常復帰する可能性がある。
【0077】
なお、負荷駆動装置100は、ドライバ50と接続されるポートに、各リレー210,220がオン及びオフした際に、電圧が供給される。負荷駆動装置100は、この電圧がドライバ50と接続されるポートに供給されているかどうかで、各リレー210,220のオン及びオフを検知できる。上記例の場合、負荷駆動装置100は、第1リレー210がオフするはずが、オフできずに電圧が連続的に供給されてしまうため、第1リレー210のオン継続を検知できる。
【0078】
なお、負荷駆動装置100は、補機バッテリ410が異常状態となった場合だけでなく、動作確認のために第2リレー220をオンさせることがある。また、駆動信号のLo固着は、第1スイッチング素子T1のオン故障とも言える。
【0079】
このように、負荷駆動装置100は、第1リレー210のオンを指示する開閉制御信号が出力されている場合に、第2リレー220のオンを禁止する第3スイッチング素子T3を備えている。このため、負荷駆動装置100は、第1リレー210と第2リレー220の両方が同時にオンとなることを抑制できる。また、負荷駆動装置100は、第1リレー210と第2リレー220の上流に接続されたダイオードなどを備えることなく両リレー210,220が同時にオンとなることを抑制できるため、ポートの数及びワイヤハーネスの本数が増加することを抑制できる。負荷駆動装置100は、ワイヤハーネスの本数が増加することを抑制できるため、ワイヤハーネスの増加に伴う車両重量の増加を抑制できる、さらに、コストアップを抑制できる。
【0080】
また、負荷駆動装置100は、両リレー210,220が同時にオンした場合、補機バッテリ410と予備バッテリ装置420間が短絡することが考えられる。しかしながら、負荷駆動装置100は、両リレー210,220が同時にオンすることを抑制できるため、補機バッテリ410と予備バッテリ装置420間が短絡することを抑制できる。
【0081】
負荷駆動装置100は、補機バッテリ410と予備バッテリ装置420間が短絡した状態で、補機バッテリ410がグランドショートした場合、両リレー210,220を介して予備バッテリ装置420からも電流が流れてしまうことがある。この場合、負荷駆動装置100は、モータ300へ供給する電源を失ってしまう可能性がある。しかしながら、負荷駆動装置100は、両リレー210,220が同時にオンすることを抑制できるため、モータ300へ供給する電源を失うことを抑制できる。
【0082】
さらに、負荷駆動装置100は、特許文献1のように、ダイオードを増やす必要がないため、ダイオードのために配線を増やす必要がなく、電圧ドロップを抑制できる。このため、負荷駆動装置100は、電圧ドロップによって駆動可能な電圧範囲が狭くなることを防ぐことができる。つまり、負荷駆動装置100は、ダイオードを用いることにより駆動可能な電圧範囲が狭くなるという特許文献1の課題を解決することができる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10…マイコン、20…電源制御部、31…補機バッテリ電圧モニタ部、32…予備バッテリ電圧モニタ部、40…入出力回路、50…ドライバ、60…CANインターフェイス、C1…コンデンサ、D1…第1ダイオード、D2…第2ダイオード、D3…第3ダイオード、D4…第4ダイオード、T1…第1スイッチング素子、T2…第2スイッチング素子、T3…第3スイッチング素子、T4…第4スイッチング素子、T5…第5スイッチング素子、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、R3…第3抵抗、R4…第4抵抗、R5…第5抵抗、EC1…回路部、100…負荷駆動装置、210…第1リレー、220…第2リレー、300…モータ、410…補機バッテリ、420…予備バッテリ、500…スイッチ、600…他ノード
図1
図2
図3
図4