特許第6805813号(P6805813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6805813-静電センサ 図000002
  • 特許6805813-静電センサ 図000003
  • 特許6805813-静電センサ 図000004
  • 特許6805813-静電センサ 図000005
  • 特許6805813-静電センサ 図000006
  • 特許6805813-静電センサ 図000007
  • 特許6805813-静電センサ 図000008
  • 特許6805813-静電センサ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6805813
(24)【登録日】2020年12月8日
(45)【発行日】2020年12月23日
(54)【発明の名称】静電センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/14 20060101AFI20201214BHJP
【FI】
   G01B7/14
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-251936(P2016-251936)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-105711(P2018-105711A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 岳彦
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0070920(US,A1)
【文献】 特開2015−021238(JP,A)
【文献】 特表2015−507385(JP,A)
【文献】 特開2016−142075(JP,A)
【文献】 特開2016−141312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両下部に設けられる上側電極と、
前記上側電極よりも重力方向下側に設けられる下側電極と、
前記上側電極及び前記下側電極のそれぞれにおける静電容量の変化に基づき前記車両下部への足の出し入れ操作の有無を検出する検出部とを備え、
前記車両下部は、上壁面と、前記上壁面に対し交差するとともに前記上壁面よりも水平方向に対する角度が小さくなるように拡がる下壁面とを有し、
前記下側電極は、前記上側電極よりも前記下壁面に沿うように設けられ、
前記検出部は、
前記上側電極における静電容量の変化がピークとなる上側ピークタイミングと、前記下側電極における静電容量の変化がピークとなる下側ピークタイミングとが一致する場合、且つ、前記上側電極における静電容量の減少速度と前記下側電極における静電容量の減少速度とが一致する場合に、前記足の出し入れ操作と判定するものであって、
前記上側ピークタイミングと前記下側ピークタイミングとが一致しない場合に前記足の出し入れ操作と判定しないとともに、前記上側電極における静電容量の減少速度と前記下側電極における静電容量の減少速度とが一致しない場合に前記足の出し入れ操作と判定しない静電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の静電センサにおいて、
前記検出部は、前記上側ピークタイミングと前記下側ピークタイミングとが一致すると判定した後、前記上側電極における静電容量の減少速度と前記下側電極における静電容量の減少速度とが一致すると判定した場合に、前記足の出し入れ操作と判定する静電センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電センサにおいて、
前記車両下部は、前記上壁面と、前記上壁面に対し交差するとともに前記上壁面よりも水平方向に対する角度が小さくなるように拡がる傾斜面及び前記下壁面とを有し、
前記傾斜面は、前記上壁面及び前記下壁面との間に設けられるものであって、
前記下側電極は、前記上側電極よりも前記傾斜面に近接して設けられる静電センサ。
【請求項4】
請求項1〜のうちいずれか一項に記載の静電センサにおいて、
前記検出部は、前記上側電極における静電容量が、人の近接を判定するための下限値としてあらかじめ設定される第1閾値を上回る場合、且つ、前記下側電極における静電容量が、人の近接を判定するための下限値としてあらかじめ設定される第2閾値を上回る場合に前記足の出し入れ操作の有無について判定する静電センサ。
【請求項5】
請求項に記載の静電センサにおいて、
前記検出部は、前記上側電極及び前記下側電極における静電容量が、人の近接を判定するための上限値としてあらかじめ設定される第3閾値を下回る場合に前記足の出し入れ操作の有無について判定する静電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば人体等の検出対象が近接したか否かを、静電容量の変化を通じて検出する静電センサが周知である。
特許文献1の静電センサは、車両下部に設けられた2つの電極を有する。静電センサの制御部は、2つの電極のそれぞれにおける静電容量の変化の検出を通じて、車両下部へ足の出し入れ操作が行われたか否かを判定する。車両下部へ足の出し入れ操作が行われた場合、車両のバックドアが開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2011113552号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電センサは、水の影響を受けやすいことが知られている。一方で、特許文献1の静電センサでは、車両にかかる水の影響が考慮されていない。すなわち、雨天時など、車両下部へ水がかかることにより、足の出し入れ操作が行われたとしてバックドアが開閉するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、環境によらず足の出し入れ操作を検出しやすい静電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、静電センサは、車両下部に設けられる上側電極と、前記上側電極よりも重力方向下側に設けられる下側電極と、前記上側電極及び前記下側電極のそれぞれにおける静電容量の変化に基づき前記車両下部への足の出し入れ操作の有無を検出する検出部とを備え、前記車両下部は、上壁面と、前記上壁面に対し交差するとともに前記上壁面よりも水平方向に対する角度が小さくなるように拡がる下壁面とを有し、前記下側電極は、前記上側電極よりも前記下壁面に沿うように設けられ、前記検出部は、前記上側電極における静電容量の変化がピークとなる上側ピークタイミングと、前記下側電極における静電容量の変化がピークとなる下側ピークタイミングとが一致する場合、且つ、前記上側電極における静電容量の減少速度と前記下側電極における静電容量の減少速度とが一致する場合に、前記足の出し入れ操作と判定するものであって、前記上側ピークタイミングと前記下側ピークタイミングとが一致しない場合に前記足の出し入れ操作と判定しないとともに、前記上側電極における静電容量の減少速度と前記下側電極における静電容量の減少速度とが一致しない場合に前記足の出し入れ操作と判定しないことを要旨とする。
【0007】
水は、重力の影響により上から下に流れることが周知である。すなわち、上側電極及び下側電極が設けられる本構成において、これら上側電極及び下側電極が水の影響を受ける場合、まず上側電極の静電容量が変化した後、下側電極の静電容量が変化する。一方、車両下部へ足の出し入れ操作される場合、上側電極及び下側電極が足の影響を受けるタイミングは一致する。
【0008】
車両下部へ水が付着している場合、上壁面を流れる水は、下壁面を流れる水よりも流れる速度が速い。すなわち、上側電極及び下側電極が水の影響を受ける場合、上側電極における静電容量の減少速度は、下側電極における静電容量の減少速度よりも速い。一方、車両下部へ足の出し入れ操作される場合、上側電極及び下側電極における静電容量の減少速度は一致する。
この構成によれば、検出部は、上側電極における静電容量の変化がピークとなる上側ピークタイミングと、下側電極における静電容量の変化がピークとなる下側ピークタイミングとが一致する場合、且つ、上側電極おける静電容量の減少速度と下側電極における静電容量の減少速度とが一致する場合に、車両下部への足の出し入れ操作と判定する。このため、車両が濡れていても、車両下部への足の出し入れ操作を検出できる。言い換えると、車両の置かれている環境によらず車両下部への足の出し入れ操作を検出しやすい。
【0009】
上記構成において、前記検出部は、前記上側ピークタイミングと前記下側ピークタイミングとが一致すると判定した後、前記上側電極における静電容量の減少速度と前記下側電極における静電容量の減少速度とが一致すると判定した場合に、前記足の出し入れ操作と判定する。
上記構成において、前記車両下部は、前記上壁面と、前記上壁面に対し交差するとともに前記上壁面よりも水平方向に対する角度が小さくなるように拡がる傾斜面及び前記下壁面とを有し、前記傾斜面は、前記上壁面及び前記下壁面との間に設けられるものであって、前記下側電極は、前記上側電極よりも前記傾斜面に近接して設けられることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、上壁面と下壁面との間に傾斜面が設けられることにより、上壁面から下壁面に伝う水の流れる速度が遅くなる。したがって、車両下部に水が流れたとき、傾斜面により近く設けられる下側電極の方が上側電極と比較して静電容量の減少速度が遅くなる。すなわち、上側電極における静電容量の減少速度と下側電極における静電容量の減少速度とがより一致しにくくなる。このため、検出部における車両下部への足の出し入れ操作の判定精度が向上する。
【0016】
上記構成において、前記検出部は、前記上側電極における静電容量が、人の近接を判定するための下限値としてあらかじめ設定される第1閾値を上回る場合、且つ、前記下側電極における静電容量が、人の近接を判定するための下限値としてあらかじめ設定される第2閾値を上回る場合に前記足の出し入れ操作の有無について判定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、車両側部を人が通過した場合や、車両下部を猫などの小動物が通過した場合などに、検出部が足の出し入れ操作があったと誤判定することが抑制される。
上記構成において、前記検出部は、前記上側電極及び前記下側電極における静電容量が、人の近接を判定するための上限値としてあらかじめ設定される第3閾値を下回る場合に前記足の出し入れ操作の有無について判定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、大量の水が付着したり金属棒が近接したりする場合などに、検出部は、人による足の出し入れ操作ではないと早期に判定することができる。これにより、足の出し入れ操作を判定するための他の処理を実行しなくてよいので、検出部における処理負荷が軽減される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の静電センサは、環境によらず足の出し入れ操作を検出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】車両後部を示す斜視図。
図2】(a)は車両下部に足の出し入れ操作が行われている状態を示す側面図、(b)は車両下部に水が流れた状態を示す側面図。
図3】バックドア開閉装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】電極が足の出し入れ操作による影響を受けたとき及び電極が水による影響を受けたときの各電極における静電容量の変化の一例を示すタイミングチャート。
図5】容量変化検出部における処理手順を示すフローチャート。
図6】容量変化検出部における処理手順の別例を示すフローチャート。
図7】容量変化検出部における処理手順の別例を示すフローチャート。
図8】容量変化検出部における処理手順の別例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、静電センサを採用するバックドア開閉装置の一実施形態について図面にしたがって説明する。
図1に示すように、車両1は、車両後部に設けられるバックドア2が、車両上部に設けられる図示しないヒンジを中心にスイング変位することにより、バックドア開口部3を開閉するバックドア開閉装置10を備える。なお、車両1は、バックドア開口部3の下方に車幅方向に延びるバンパー4を備える。
【0022】
図2(a)及び図2(b)に示すように、バンパー4は、重力方向に沿う鉛直面5、鉛直面5の下縁部に連続し下方に向かうにしたがい徐々に前方へ向かうように滑らかに湾曲する湾曲面6、及び湾曲面6の前縁部に連続し水平方向に沿うように前方に向かって延びる水平面7を有する。なお、湾曲面6と水平面7との境界部は、傾斜部8とされている。傾斜部8は、湾曲面6に連続し且つ鉛直面5よりも水平方向に対する角度が小さい第1傾斜面8aと、第1傾斜面8aと水平面7とを繋ぐ第2傾斜面8bとを有する。なお、鉛直面5は上壁面に、水平面7は下壁面に、第1傾斜面8aが傾斜面に、それぞれ相当する。
【0023】
図3に示すように、バックドア開閉装置10は、静電センサ11と車載ECU12とを有する。
静電センサ11は、電極における静電容量の変化を捕らえて車両1の下部、正確にはバンパー4の下部への足の出し入れ操作の有無を検出する。
【0024】
車載ECU12は、静電センサ11の検出結果に基づき、図示しないモータの駆動制御を通じてバックドア2をスイング変位させる。
図1図2(a)、図2(b)、図3の各図に示すように、静電センサ11は、第1電極21、第2電極22、及び容量変化検出部25を備える。
【0025】
第1電極21は、車両幅方向に延びる板状の電極であって、鉛直面5と湾曲面6との境界部付近のバンパー4の内側に設けられている。当該第1電極21は、板面21aを鉛直面5と湾曲面6との境界部における接線と平行になるように設けられている。
【0026】
第2電極22は、車両幅方向に延びる板状の電極であって、傾斜部8付近のバンパー4の内側に設けられている。当該第2電極22は、板面22aを湾曲面6と水平面7との境界部における接線と平行になるように設けられている。
【0027】
すなわち、第2電極22は、第1電極21よりも下方に位置している。また、第2電極22は、その板面22aの水平方向に対する傾きが、第1電極21の板面21aの水平方向に対する傾きよりも小さくなるように設けられている。言い換えると、第1電極21は、その板面21aの重力方向に対する傾きが、第2電極22の板面22aの重力方向に対する傾きよりも小さくなるように設けられている。なお、第1電極21は上側電極に、第2電極22は下側電極に、それぞれ相当する。
【0028】
第1電極21及び第2電極22は、それぞれ容量変化検出部25に電気的に接続されている。
第1電極21の静電容量は、第1電極21に導電体が近接した際、第1電極21と導電体との間の距離に応じて変化する。
【0029】
第2電極22の静電容量は、第2電極22に導電体が近接した際、第2電極22と導電体との間の距離に応じて変化する。
容量変化検出部25は、第1電極21及び第2電極のそれぞれにおける静電容量の時間変化から、車両1の下部、正確にはバンパー4の下部への足の出し入れ操作の有無を判定する。容量変化検出部25は、判定結果を示す情報を含ませた判定信号を生成する。
【0030】
車載ECU12は、判定信号に基づき、図示しないモータの駆動を通じて、バックドア2を開閉させる。
次に、容量変化検出部25における車両1の下部への足の出し入れ操作に関する判定処理手順を図5に示すフローチャートにしたがって説明する。当該フローチャートで示される処理手順は、容量変化検出部25に設けられるメモリ25aにあらかじめ記憶されている。なお、容量変化検出部25は、図5のフローチャートに示す処理を定期的に実行する。
【0031】
図5に示すように、まず、容量変化検出部25は、第1電極21の静電容量変化量があらかじめ操作判定閾値として設定される第1閾値を上回るか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、当該ステップS1では、第1電極21と導電体との間で形成されるコンデンサC1(図2(a)参照)の静電容量変化量が第1閾値を上回るか否かを判定する。
【0032】
ステップS1でYES、すなわち、第1電極21の容量変化量があらかじめ設定される第1閾値を上回る場合、容量変化検出部25は、第2電極22の静電容量変化量があらかじめ操作判定閾値として設定される第2閾値を上回るか否かを判定する(ステップS2)。すなわち、当該ステップS2では、第2電極22と導電体との間で形成されるコンデンサC2(図2(a)参照)の静電容量変化量が第2閾値を上回るか否かを判定する。
【0033】
ステップS2でYES、すなわち、第2電極22の容量変化量があらかじめ設定される第2閾値を上回る場合、容量変化検出部25は、第1電極21及び第2電極22のそれぞれにおける静電容量変化量があらかじめ上限値として設定される第3閾値を下回るか否かを判定する(ステップS3)。
【0034】
ステップS3でYES、すなわち、第1電極21及び第2電極22のそれぞれにおける静電容量変化量が第3閾値を下回る場合、第1電極21及び第2電極22のそれぞれにおける静電容量変化が増加から減少に転じているか否かを判定する(ステップS4)。
【0035】
ステップS4でYES、すなわち、第1電極21及び第2電極22のそれぞれにおける静電容量変化が増加から減少に転じている場合、容量変化検出部25は、第1電極21の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT1と、第2電極22の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT2とが一致するか否かを判定する(ステップS5,図4参照)。
【0036】
ステップS5でYES、すなわち、第1電極21の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT1と、第2電極22の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT2とが一致する場合、容量変化検出部25は、第1電極21の静電容量変化量の減少速度V1と、第2電極22の静電容量変化量の減少速度V2とが一致するか否かを判定する(ステップS6)。
【0037】
ステップS6でYES、すなわち、第1電極21の静電容量変化量の減少速度V1と、第2電極22の静電容量変化量の減少速度V2とが一致する場合、容量変化検出部25は、車両1の下部へ足の出し入れ操作が行われたことを示す操作信号を生成し(ステップS7)、一連の処理を終了する。
【0038】
なお、ステップS1でNO、すなわち、第1電極21の容量変化量があらかじめ設定される第1閾値を上回らない場合、容量変化検出部25は、操作信号を生成することなく一連の処理を終了する。
【0039】
また、ステップS2でNO、すなわち、第2電極22の容量変化量があらかじめ設定される第2閾値を上回らない場合、容量変化検出部25は、操作信号を生成することなく一連の処理を終了する。
【0040】
さらに、ステップS3でNO、すなわち、第1電極21及び第2電極22のそれぞれにおける静電容量変化量が第3閾値を下回らない場合、容量変化検出部25は、操作信号を生成することなく一連の処理を終了する。
【0041】
また、ステップS4でNO、すなわち、第1電極21及び第2電極22のそれぞれにおける静電容量変化が増加から減少に転じていない場合、容量変化検出部25は、その処理をステップS3に移行する。
【0042】
さらに、ステップS5でNO、すなわち、第1電極21の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT1と、第2電極22の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT2とが一致しない場合、容量変化検出部25は、操作信号を生成することなく一連の処理を終了する。
【0043】
さらに、ステップS6でNO、すなわち、第1電極21の静電容量変化量の減少速度V1と、第2電極22の静電容量変化量の減少速度V2とが一致しない場合、容量変化検出部25は、操作信号を生成することなく一連の処理を終了する。
【0044】
次に、静電センサ11の作用及び効果について説明する。
静電センサ11では、第1電極21を第2電極22よりも上側の位置関係となるように設けている。
【0045】
水は、重力の影響を受けて上から下に流れることが周知である。したがって、第1電極21及び第2電極22が水の影響を受けて静電容量が変化する場合、第1電極21において静電容量の変化が生じた後に第2電極22において静電容量の変化が生じる。すなわち、第1電極21及び第2電極22が水の影響を受ける場合、第2電極22において静電容量が変化するタイミングT2は、第1電極21において静電容量が変化するタイミングT1から遅れる。
【0046】
その点、車両1の下部への足の出し入れ操作によって第1電極21及び第2電極22が足の影響を受ける場合、第1電極21及び第2電極22において静電容量が変化するタイミングT1,T2は一致する。
【0047】
本例の静電センサ11に採用される容量変化検出部25は、第1電極21及び第2電極22における静電容量が変化するタイミングを監視している。このため、第1電極21及び第2電極22におおける静電容量の変化が、水によるものなのか車両1の下部への足の出し入れ操作によるものかを好適に判定することができる。すなわち、車両が濡れていても、車両1の下部への足の出し入れ操作を検出できる。言い換えると、車両1の置かれている環境によらず車両1の下部への足の出し入れ操作を検出しやすい。
【0048】
また、本例の静電センサ11では、第2電極22は、その板面22aの水平方向に対する傾きが、第1電極21の板面21aの水平方向に対する傾きよりも小さくなるように設けられている。
【0049】
重力の関係から鉛直面5に付着した水の流れる速度は、水平面7に付着した水の流れる速度よりも速い。このため、第1電極21及び第2電極22が水の影響を受ける場合、鉛直面5近傍に設けられる第1電極21における静電容量の減少速度は、水平面7近傍に設けられる第2電極22における静電容量の減少速度よりも速くなる。
【0050】
本例の静電センサ11に採用される容量変化検出部25は、第1電極21及び第2電極22における静電容量の減少速度を監視している。このため、第1電極21及び第2電極22におおける静電容量の変化が、水によるものなのか車両1の下部への足の出し入れ操作によるものかを好適に判定することができる。これにより、より車両1の置かれている環境によらず車両1の下部への足の出し入れ操作を検出することができる。
【0051】
また、湾曲面6と水平面7との境界部付近に傾斜部8を設けた。傾斜部8は、湾曲面6に連続し且つ鉛直面5よりも水平方向に対する角度が小さい第1傾斜面8aと、第1傾斜面8aと水平面7とを繋ぐ第2傾斜面8bとを有する。この第1傾斜面8aにより、より確実に水の流れる速度を低下させることができる。これにより、第1電極21及び第2電極22が水の影響を受ける場合において、鉛直面5近傍に設けられる第1電極21における静電容量の減少速度と水平面7近傍に設けられる第2電極22における静電容量の減少速度との間に差が生じやすい。言い換えれば、これら第1電極21における静電容量の減少速度と第2電極22における静電容量の減少速度とがより一致しにくくなる。このため、容量変化検出部25における車両1の下部への足の出し入れ操作の判定精度が向上する。
【0052】
また、図2(a)及び図2(b)に示すように、第1傾斜面8aと第2傾斜面8bとの間は、劣角とされている。ここで、表面張力は、表面積が小さいほど強くなることが周知である。すなわち、傾斜部8に伝った水は、第1傾斜面8aと第2傾斜面8bとのなす角部において表面張力が作用する効果が強くなるため、水は、傾斜部8において留まりやすい。すなわち、この点も水の流れる速度の低下に影響を与える。
【0053】
なお、容量変化検出部25は、第1電極21の静電容量変化量が第1閾値を上回り、且つ第2電極22の静電容量変化量が第2閾値を上回る場合にのみ、足の出し入れ操作の可能性があると判定するようにした。
【0054】
これにより、車両側部を通過しただけの場合や、車両下部を猫などの小動物が通過した場合に、車両1の下部へ足の出し入れ操作があったと判定されない。
なお、大雨や水の付着範囲が非常に広い場合、或いは金属板や金属棒が近づいてきた場合の第1電極21及び第2電極22における静電容量変化量は、人の足の出し入れ操作される場合の静電容量変化量を大きく上回ることが周知である。
【0055】
その点、本例の静電センサ11に採用される容量変化検出部25は、第1電極21及び第2電極22の静電容量変化量が第3閾値を下回らない場合、すなわち、これら第1電極21及び第2電極22の静電容量変化量が必要以上に大きい場合、足の出し入れ操作によるものではないので、それ以降の処理(ステップS4〜S7)を実行しない。
【0056】
これにより、第1電極21及び第2電極22において静電容量が変化するタイミングT1,T2が一致するか否かを判定する処理や、減少速度V1,V2が一致するか否かを判定する処理を実行しなくても、足の出し入れ操作でないことを確定させることができる。すなわち、より早期に判定することができる。また、容量変化検出部25における処理の負荷も軽減される。
【0057】
なお、第1電極21及び第2電極22の搭載位置や、搭載される位置周辺の車両外面の形状、想定される水の流れる速度や車両外面に留まる水の量、或いは、想定される小動物や金属棒の大きさ等々に応じて、第1閾値、第2閾値、及び第3閾値は、それぞれ適宜変更可能である。
【0058】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、第1閾値、及び第2閾値は、共通値であってもよい。
・上記実施形態において、容量変化検出部25は、図5に示す処理を定期的に実行したが、第1電極21の静電容量変化量が第1閾値を上回ることをトリガとして、図5に示す処理を実行してもよい。
【0059】
また、第1電極21の静電容量変化量が第1閾値を上回ることに加えて、第2電極22の静電容量変化量が第2閾値を上回ることをトリガとして、図5に示す処理を実行してもよい。
【0060】
・上記実施形態において、容量変化検出部25は、図5に示す一連の処理手順から、ステップS6の処理、すなわち、第1電極21の静電容量変化量の減少速度V1と、第2電極22の静電容量変化量の減少速度V2とが一致するか否かを判定する処理について省略してもよい。
【0061】
詳述すると、図6に示すように、ステップS1,S2,S3,S4,S5,S7の各処理で構成され、ステップS5でYES、すなわち、第1電極21の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT1と、第2電極22の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT2とが一致する場合、容量変化検出部25はステップS7の処理に移行する。
【0062】
このように構成した場合でも、容量変化検出部25は、タイミングT1,T2が一致するか否かを判定する処理を通じて第1電極21及び第2電極22における静電容量の変化が、水によるものか足の出し入れ操作によるものなのかを判定することができる。
【0063】
なお、この場合、第2電極22は、その板面22aの水平方向に対する傾きが、第1電極21の板面21aの水平方向に対する傾きよりも小さくなるように設けられていなくてもよい。なお、この別例において、容量変化検出部25は、ステップS3,S4の処理手順をさらに省略してもよい。
【0064】
・上記実施形態において、容量変化検出部25は、図5に示す一連の処理手順から、ステップS5の処理、すなわち、第1電極21の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT1と、第2電極22の静電容量変化量のピークを迎えるタイミングT2とが一致するか否かを判定する処理について省略してもよい。
【0065】
詳述すると、図7に示すように、ステップS1,S2,S3,S4,S6,S7の各処理で構成され、ステップS4でYES、すなわち、第1電極21及び第2電極22の静電容量変化が増加から減少に転じたと判定される場合、容量変化検出部25はステップS6の処理に移行する。
【0066】
このように構成した場合でも、容量変化検出部25は、減少速度V1,V2が一致するか否かを判定する処理を通じて第1電極21及び第2電極22における静電容量の変化が、水によるものか足の出し入れ操作によるものなのかを判定することができる。なお、この別例において、容量変化検出部25は、ステップS3,S4の処理手順をさらに省略してもよい。
【0067】
・上記実施形態において、容量変化検出部25は、図5に示す一連の処理手順から、ステップS3の処理、すなわち、第1電極21及び第2電極の静電容量が第3閾値を下回るか否かを判定する処理について省略してもよい。なお、この場合、ステップS4の処理も省略する。
【0068】
詳述すると、図8に示すように、ステップS1,S2,S5,S6,S7の各処理で構成され、ステップS2でYES、第2電極22の静電容量変化量が第2閾値を上回ると判定される場合、容量変化検出部25はステップS5の処理に移行する。
【0069】
このように構成した場合でも、容量変化検出部25は、ピークタイミングT1,T2が一致するか否かを判定する処理、及び減少速度V1,V2が一致するか否かを判定する処理を通じて第1電極21及び第2電極22における静電容量の変化が、水によるものか足の出し入れ操作によるものなのかを判定することができる。なお、この別例において、容量変化検出部25は、ステップS5又はステップS6の処理手順をさらに省略してもよい。
【0070】
・上記実施形態において、タイミングT1,T2の一致とは、完全一致に限定されるものではない。タイミングT1を基準に、あらかじめ設定される設定範囲内にタイミングT2が含まれる状態もタイミングT1,T2の一致として処理もよい。
【0071】
・上記実施形態において、減少速度V1,V2の一致とは、完全一致に限定されるものではない。減少速度V1を基準に、あらかじめ設定される設定範囲内に減少速度V2が含まれる状態も減少速度V1,V2の一致として処理もよい。
【0072】
・上記実施形態において、傾斜部8は省略されてもよい。
・上記実施形態において、静電センサ11を構成する第1電極21及び第2電極22は、バンパー4に設けられたが、これ以外の車両下部に設けられてもよい。
【0073】
例えば、車両側部にスライドドアを有する車両であれば、スライドドア下部のステップ等に設けられることが望ましい。この場合、車両下部への足の出し入れ操作によって開閉される対象はスライドドアであることが望ましい。
【0074】
このように、静電センサ11を構成する第1電極21及び第2電極22と、その開閉対象は、近接して設けられることが好ましい。
次に、上記実施形態及び上記別例より想起される技術的思想について記載する。
【0075】
(イ)上記構成の静電センサによって、車両下部への足の出し入れ操作が検出される場合、開閉対象を開閉させる車両用開閉体装置。
【符号の説明】
【0076】
1…車両、2…バックドア(開閉対象)、3…バックドア開口部、4…バンパー、5…鉛直面(上壁面)、6…湾曲面、7…水平面、8…傾斜部、8a…第1傾斜面、8b…第2傾斜面、10…バックドア開閉装置、11…静電センサ、12…車載ECU、21…第1電極(上側電極)、22…第2電極(下側電極)、25…検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8