(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
以下、第一実施形態に係る超音波測定装置について説明する。
図1は、本実施形態の超音波測定装置1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、超音波測定装置1は、超音波プローブ2と制御装置10とを備える。この超音波測定装置1は、超音波プローブ2を被検体(例えば、本実施形態では生体)に接触させて、制御装置10により超音波プローブ2を制御する。これにより、超音波プローブ2は、被検体である生体に対して超音波を送信し、生体の内部にて反射した超音波を受信する超音波測定を実施する。制御装置10は、超音波プローブ2からの超音波測定結果を受信し、例えば対象の内部断層画像を形成して表示部13に表示させる。
以下、超音波測定装置1の各構成について詳細に説明する。
【0018】
[超音波プローブの構成]
図2は、本実施形態の超音波プローブ2の概略構成を示す平面図である。また、
図3は、本実施形態の超音波プローブ2の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の超音波プローブ2は、
図2及び
図3に示すように、第一基部20と、第二基部30と、第一部材40と、第二部材50と、補強部60と、を備えている。ここで、超音波プローブ2は、第一方向(
図2、
図3におけるX方向)に対して、+X側から順に、第一部材40、第一基部20、第二基部30、第二部材50の順に並んで配置され、互いに角度可変に連結されて構成されている。
【0019】
また、第一部材40は、第一基部20の一端部(+X側端部)に対して角度可変に連結される第一補助部41と、第一補助部41の第一基部20とは反対側に角度可変に連結される第二補助部42と、第二補助部42の第一補助部とは反対側に角度可変に連結される第一接続部43と、を備える。
更に、第二部材50は、第二基部30の第一基部20が連結される一端部とは反対側の他端部(−X側端部)に対して角度可変に連結される第三補助部51と、第三補助部51の第二基部30とは反対側に角度可変に連結される第二接続部52と、を備える。
【0020】
補強部60は、第一基部20及び第二基部30の並び方向(X方向)に交差する第二方向(例えば本実施形態ではY方向)に並設されている。具体的には、補強部60は、第一基部20の+Y側に配置される第一補強部61と、第二基部30の+Y側に配置される第二補強部62とを備え、第一補強部61及び第二補強部62がX方向に沿って並んで配置される。
【0021】
そして、
図3に示すように、第一基部20、第二基部30、第一部材40、第二部材50、及び補強部60は、例えば樹脂等により構成された可撓性の包材70に覆われて構成されている。このうち、第一基部20及び第一部材40、第二基部30及び第二部材50は、それぞれ、包材70内部において、FPC(Flexible printed circuits)等の配線部84により接続される。
具体的には、包材70は、第一カバー部71と、第二カバー部72とを備えている。そして、包材70は、これらの第一カバー部71及び第二カバー部72により、第一基部20、第二基部30、第一部材40、第二部材50、及び補強部60の内部構成部材を挟み込み、例えば圧着等によって接合されることにより形成されている。
【0022】
ここで、包材70における第一基部20と第二基部30との間の部分は、第一カバー部71及び第二カバー部72の間に、包材70を構成する素材よりも剛性を有する基板等の部材が介在しない。つまり、第一基部20と第二基部30との間の包材70は、第一基部20及び第二基部30の角度可変に連結する基部連結部73Aを構成する。
同様に、包材70における第一基部20と第一部材40との間の部分は、第一基部20及び第一部材40を連結する第一連結部73Bを構成する。
包材70における第二基部30と第二部材50との間の部分は、第二基部30及び第二部材50を連結する第二連結部73Cを構成する。
包材70における第一補助部41と第二補助部42との間の部分は、第一補助部41及び第二補助部42を連結する第三連結部73Dを構成する。
包材70における第二補助部42と第一接続部43との間の部分は、第二補助部42及び第一接続部43を連結する第四連結部73Eを構成する。
包材70における第三補助部51と第二接続部52との間の部分は、第三補助部51及び第二接続部52を連結する第五連結部73Fを構成する。
包材70における第一基部20と第一補強部61との間の部分は、第一基部20及び第一補強部61を連結する第六連結部73G(補強連結部)を構成する。
包材70における第二基部30と第二補強部62との間の部分は、第二基部30及び第二補強部62を連結する第七連結部73H(補強連結部)を構成する。
包材70における第一補強部61と第二補強部62との間の部分は、第一補強部61及び第二補強部62を連結する第八連結部73Iを構成する。
【0023】
また、
図3に示すように、第一カバー部71は、第一基部20に対向する一部に第一開口窓711を備え、第二基部30に対向する一部に第二開口窓712を備えている。第一開口窓711は、第一基部20において送受信される超音波が通過する孔部であり、第二開口窓712は、第二基部30において送受信される超音波が通過する孔部である。つまり、第一基部20の第一カバー部71側の面は、第一超音波送受信面を構成し、第二基部30の第一カバー部71側の面は、第二超音波送受信面を構成する。
【0024】
さらに、本実施形態では、
図2に示すように、第一補助部41、第三連結部73D、及び第二補助部42に亘って、第一角度固定部44が設けられ、第二補助部42、第四連結部73E、第一接続部43に亘って第二角度固定部45が設けられている。また、第二基部30、第二連結部73C、及び第三補助部51に亘って第三角度固定部53が設けられ、第三補助部51、第五連結部73F、及び第二接続部52に亘って第四角度固定部54が設けられている。各角度固定部44,45,53,54の詳細な説明は後述する。
【0025】
[第一基部の構成]
図4は、
図3における第一基部20を拡大した、第一基部20の概略断面図である。
図4に示すように、第一基部20は、超音波基板81と、封止板82と、配線基板83と、を含んで構成されている。
超音波基板81は、超音波の送信及び受信を行う基板であり、第一カバー部71に接合されている。
封止板82は、超音波基板81を補強する基板であり、超音波基板81に接合されている。
配線基板83は、封止板82に接合され、超音波基板81と電気的に接続される。また、配線基板83は、第二カバー部72に接合されている。
これらの超音波基板81、封止板82、及び配線基板83は、基板厚み方向(Z方向)に積層された積層体として構成されている。
【0026】
[超音波基板の構成]
図5は、本実施形態の超音波基板81の概略構成を示す平面図である。
図5に示すように、超音波基板81には、X方向(スキャン方向)及びY方向(スライス方向)に沿って、複数の超音波トランスデューサーTrが2次元アレイ状に配置されている。本実施形態では、Y方向に配置された複数の超音波トランスデューサーTrにより、1CH(チャネル)の送受信列Chが構成される。また、当該1CHの送受信列ChがY方向に沿って複数並んで配置されることで、1次元アレイ構造の超音波基板81が構成される。ここで、超音波トランスデューサーTrが配置される領域をアレイ領域Arとする。アレイ領域Arは、第一カバー部71の第一開口窓711から超音波プローブ2の外側に臨み、超音波測定を実施する際に音響材を介して生体に接触する領域となる。
なお、
図5は、説明の便宜上、超音波トランスデューサーTrの配置数を減らしているが、実際には、より多くの超音波トランスデューサーTrが配置されている。
【0027】
図6は、超音波基板81を
図5のA−A線で切断した際の概略断面図である。
超音波基板81は、
図6に示すように、素子基板811と、素子基板811上に設けられる支持膜812と、支持膜812上に設けられる圧電素子813と、を備えて構成されている。
素子基板811は、例えばSi等の半導体基板により構成されている。この素子基板811は、各々の超音波トランスデューサーTrに対応した開口部811Aが設けられている。本実施形態では、各開口部811Aは、素子基板811の基板厚み方向を貫通した貫通孔であり、当該貫通孔の一端側(封止板82側)に支持膜812が設けられる。
また、開口部811Aの支持膜812が設けられない側には、生体に近い音響インピーダンスを有する音響層815が充填されている。
【0028】
支持膜812は、例えばSiO
2及びZrO
2の積層体等より構成され、素子基板811の封止板82側全体を覆って設けられている。すなわち、支持膜812は、開口部811Aを構成する隔壁811Bにより支持され、開口部811Aの封止板82側を閉塞する。この支持膜812の厚み寸法は、素子基板811に対して十分小さい厚み寸法となる。
なお、本実施形態では、支持膜812は、Siにより構成される素子基板811の一面側を熱酸化処理してSiO
2とし、さらにZrO
2を積層することで形成されている。この場合、SiO
2を含む支持膜812をエッチングストッパーとして、素子基板811をエッチングすることで、容易に開口部811A及び隔壁811Bを形成することが可能となる。
【0029】
圧電素子813は、各開口部811Aを閉塞する支持膜812上にそれぞれ設けられている。この圧電素子813は、例えば、支持膜812側から下部電極813A、圧電膜813B、及び上部電極813Cを積層した積層体により構成されている。
ここで、支持膜812のうち、開口部811Aを閉塞する部分は振動部812Aを構成し、この振動部812Aと、圧電素子813とにより、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。
このような超音波トランスデューサーTrでは、下部電極813A及び上部電極813Cの間に所定周波数の矩形波電圧(駆動信号)が印加されることで、圧電膜813Bが撓んで振動部812Aが振動して超音波が送出される。また、生体から反射された超音波(反射波)により振動部812Aが振動されると、圧電膜813Bの上下で電位差が発生する。これにより、下部電極813A及び上部電極813Cの間に発生する電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態では、
図5に示すように、下部電極813Aは、Y方向に沿って直線状に形成されており、1CHの送受信列Chを構成する複数の超音波トランスデューサーTrを接続する。この下部電極813Aの両端部には、駆動端子813Dが設けられる。この駆動端子813Dは、例えば封止板82に設けられた貫通電極や、FPC等の配線により、配線基板83に電気接続されている。
【0031】
また、上部電極813Cは、X方向に沿って直線状に形成されており、X方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrを接続する。そして、上部電極813Cの±X側端部は共通電極線814に接続される。この共通電極線814は、Y方向に沿って複数配置された上部電極813C同士を結線し、その端部には、回路基板に電気接続される共通端子814Aが設けられている。この共通端子814Aは、例えば封止板82に設けられた貫通電極や、FPC等の配線により、配線基板83に電気接続されている。
【0032】
[封止板の構成]
封止板82は、厚み方向から見た際の平面形状が例えば超音波基板81と同形状に形成されている。また、封止板82は、超音波基板81の支持膜812側で、かつ基板厚み方向から見て隔壁811Bと重なる位置において、例えば樹脂等の固定部材により接合されて、超音波基板81を補強する。
この封止板82には、素子基板811の駆動端子813D及び共通端子814Aに対向する位置には、図示略の開口が設けられ、当該開口に、駆動端子813D及び共通端子814Aと配線基板83とを接続する例えば貫通電極やFPC等が挿通される。
【0033】
[配線基板の構成]
配線基板83は、図示は省略するが、駆動端子813Dや共通端子814Aが接続される第一端子部と、当該第一端子部に接続される第二端子部とを備えている。本実施形態では、第二端子部に配線部84(例えばFPC等)が接続される。
【0034】
[第二基部の構成]
第二基部30は、第一基部20と同様、生体に対して超音波を送信する。この第二基部30は、第一基部20と同様の構成を有し、超音波基板81、封止板82、及び配線基板83の積層体により構成されている。
これらの超音波基板81、封止板82、及び配線基板83は、第一基部20と同一構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0035】
[第一部材の構成]
上述したように、第一部材40は、第一補助部41と、第二補助部42と、第一接続部43とを備えている。
図7は、第一部材40の概略構成を示す断面図である。
第一補助部41及び第二補助部42は、それぞれ、包材70内に第一補助基板411及び第二補助基板421が内包されることで構成されている。これらの第一補助基板411及び第二補助基板421としては、例えば、金属や硬化プラスチック等により構成され、包材70を構成する素材(例えば樹脂等)に比べて、十分に高い剛性を有する。
【0036】
第一接続部43は、第一補助部41及び第二補助部42と同様、包材70内に、包材70を構成する素材に対して十分に剛性の高い板材が内包されることで構成されている。
この第一接続部43を構成する板材として、本実施形態では、
図7に示すように、第一接続板431、第一回路基板432、及び第一カバー基板433等を備えている。
【0037】
第一接続板431は、Z方向において第二カバー部72側に配置されている。また、第一接続板431は、例えば+X側端部で第二カバー部72に面する位置に、第一磁石434を備えている。この第一磁石434は、後述する第二磁石524及び第三磁石525(
図2、
図3及び
図9参照)とともに、脱合部を構成する。
また、第一接続板431には、マイク435(音声取得部)が設けられている。マイク435は、外部からの音声情報を取得し、第一回路基板432に送信する。
【0038】
第一回路基板432は、第一接続板431の第一カバー部71側に配置されている。
この第一回路基板432は、例えば、+X側端部に第一カバー部71を貫通して外部に露出する第一コネクター432Aを備えている。また、第一回路基板432は、配線部84により、第一基部20の配線基板83と接続されている。
【0039】
図8は、本実施形態の超音波プローブ2の概略構成を示すブロック図である。
第一回路基板432は、
図8に示すように、第一駆動回路部432Bと、マイク制御回路432Cと、駆動制御回路432Dとを備えている。
第一駆動回路部432Bは、第一基部20の超音波基板81を駆動させるための各種回路により構成される。例えば、第一駆動回路部432Bに含まれる回路として、選択回路、送信回路、受信回路等が含まれる。
選択回路は、送信回路と各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)とを接続する送信接続、及び受信回路と各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)とを接続する受信接続を切り替える回路である。
送信回路は、第一基部20の各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)のそれぞれに対して駆動信号を印加する。
受信回路は、第一基部20の各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)からの受信信号を受信する。
このような第一駆動回路部432Bは、駆動制御回路432Dから入力された指令信号に基づいて、第一基部20の各超音波トランスデューサーTrを制御して超音波の送受信処理を実施させる。
【0040】
マイク制御回路432Cは、マイク435を制御し、マイクから入力された音声情報を、駆動制御回路432Dを介して制御装置10に送信する。
駆動制御回路432Dは、制御装置10からの制御信号に基づいて、第一駆動回路部432B、及び後述する第二駆動回路部522Bに対して、超音波測定を指令する指令信号を出力する。
【0041】
第一カバー基板433は、第一回路基板432の第一カバー部71側に配置され、第一回路基板432を保護する。本実施形態では、第一磁石434を第二磁石524又は第三磁石525に接合することで、第一部材40及び第二部材50により超音波プローブ2を操作する際に操作者が把持する把持部90(
図10及び
図11参照)を構成させる。この際、第一カバー基板433が設けられることで、把持された際の第一回路基板432の各回路への応力付加を抑制し、第一回路基板432を保護することが可能となる。
【0042】
また、第一回路基板432に設けられた第一コネクター432Aには、第二接続部52に設けられた第二コネクター522A、及び制御装置10と通信可能となるケーブル線11(
図1参照)が接続される。なお、本実施形態では、ケーブル線11により超音波プローブ2と制御装置10とが接続される例を示すが、これに限定されず、例えば無線等により超音波プローブ2と制御装置10とが接続されていてもよい。
【0043】
[第二部材の構成]
上述したように、第二部材50は、第三補助部51と、第二接続部52とを備えている。
図9は、第二部材50の概略構成を示す断面図である。
第三補助部51は、包材70内に、包材70を構成する素材に対して十分に剛性の高い第三補助基板511が内包されることで構成されている。第三補助基板511としては、例えば、金属や硬化プラスチック等により構成され、包材70を構成する素材(例えば樹脂等)に比べて、十分に高い剛性を有する。
【0044】
第二接続部52は、包材70内に、包材70を構成する素材に対して十分に剛性の高い板材が内包されることで構成されている。
この第二接続部52を構成する板材として、本実施形態では、
図9に示すように、第二接続板521、第二回路基板522、第二カバー基板523等を備えている。
第二接続板521は、Z方向において第二カバー部72側に配置されている。また、第二接続板521には、X方向における略中心位置に、第二カバー部72に面して第二磁石524が設けられている。さらに、第二接続板521には、X方向の−X側端部に、第二カバー部72に面して第三磁石525が設けられている。
本実施形態では、第一磁石434、第二磁石524、及び第三磁石525の合着位置に応じて、超音波プローブ2が形状変化する。つまり、第一磁石434に第二磁石524を合着させることで、超音波プローブ2を、狭範囲の測定部位に対して好適な形状である第一形状に変形させることができる。また、第一磁石434に第三磁石525を合着させることで、超音波プローブ2を、広範囲の測定部位に対して好適な形状である第二形状に変形させることができる。
【0045】
そして、第二接続板521は、第二磁石524が第一磁石に対して磁石により接合された際に検知信号を出力する第一検知センサー524A(
図8参照)と、第三磁石525が第一磁石に対して磁石により接合された際に検知信号を出力する第二検知センサー525A(
図8参照)と、を備えている。これらの検知センサー524A,525Aとしては、例えば、磁石同士の接合(近接)によって発生する誘導電流を検出する磁気センサー等を用いることができる。また、第一磁石434、第二磁石524、及び第三磁石525を包材70(第二カバー部72)の外側に露出させ、各磁石に電圧を印加する構成とし、磁石同士が接触した際に流れる電流を検知することで、磁石の接合を検知してもよい。
これらの第一検知センサー524A及び第二検知センサー525Aは、それぞれ第二回路基板522に電気的に接続されており、検知信号を第二回路基板522から第二コネクター522Aを介して第一回路基板432に出力する。
【0046】
第二回路基板522は、第二接続板521よりも第一カバー部71側に配置されている。
この第二回路基板522は、第二コネクター522Aを有し、上述したように専用のケーブル線11により、第一接続部43の第一コネクター432Aと、制御装置10とに接続される。
【0047】
第二回路基板522は、配線部84により、第二基部30の配線基板83に接続される。また、第二回路基板522は、
図8に示すように、第二駆動回路部522Bと、検知信号出力回路522Cとを備える。
第二駆動回路部522Bは、第一駆動回路部432Bと同様の構成を有し、第二基部30の超音波基板81を駆動させるための各種回路(例えば選択回路、送信回路、受信回路等)により構成される。
検知信号出力回路522Cは、第一検知センサー524Aからの検知信号(第一検知信号)及び第二検知センサー525Aからの検知信号(第二検知信号)を制御装置10に出力する。
【0048】
第二カバー基板523は、第一カバー基板433と同様であり、第二回路基板522の第一カバー部71側を保護する。
【0049】
[角度固定部の構成]
図10は、本実施形態の超音波プローブ2を第一形状に変形した際の概略正面図である。
図11は、本実施形態の超音波プローブ2を第二形状に変形した際の概略正面図である。なお、
図10においては、第一形状の超音波プローブ2を+Y側から−Y側に向かって見た際の正面図を示す。一方、
図11は、第二形状の超音波プローブ2を−Y側から+Y側に向かって見た際の正面図を示す。
本実施形態では、上述したように、第一磁石434に対して第二磁石524を接合した際に、第一基部20を用いた狭範囲に対する超音波測定を実施する第一形状に変形される。
図10に示すように、第一形状では、第一基部20が生体に対向する超音波測定面を有する基部となる。この際、第一基部20に対して第一補助部41が第一角度θ1で傾斜し、第二基部30が第二角度θ2で傾斜する。なお、本実施形態では、θ1及びθ2が略60°の例を示す。このような第一形状では、第一基部20が生体に対して接触可能であり、第二基部30が生体から離れる形状となり、第一基部20を用いた超音波測定が実施可能となる。
一方、
図11に示すように、第二形状では、第一基部20及び第二基部30が生体に対向する超音波測定面を有する基板となる。この際、第一基部20及び第二基部30が略同一平面上に位置し、第一基部20に対して第一補助部41が第三角度θ3で傾斜し、第二基部30に対して第三補助部51が第四角度θ4で傾斜する。なお、本実施形態では、θ3及びθ4が略60°の例を示す。第二形状では、第一基部20及び第二基部30の双方が生体に対して接触可能であり、第一基部20及び第二基部30の双方を用いた超音波測定が実施可能となる。
よって、第一形状では、第一基部20の第一開口窓711から露出するアレイ領域(第一超音波送受信面)により、第一面積の超音波送受信面が構成される。また、第二形状では、第一基部20の第一開口窓711から露出するアレイ領域(第一超音波送受信面)と、第二基部30の第二開口窓712から露出するアレイ領域(第二超音波送受信面)とにより、第一面積よりも大きい第二面積の超音波送受信面が構成される。
【0050】
ところで、第一形状では、第一部材40の第一磁石434と、第二部材50の第二磁石524とを接合して、把持部90を構成させる。また、第二形状では、第一部材40の第一磁石434と、第二部材50の第三磁石525とを接合して、把持部90を構成させる。
そして、生体に対する超音波測定を実施する際に、操作者は、把持部90を把持して生体に対して超音波測定面を押し付けることで、超音波プローブ2を生体に密着させることができる。
しかしながら、本実施形態の超音波プローブ2は、高い可搬性(携帯性)を維持するために、各部20,30,40,50,60を、樹脂により構成された包材70の連結部73A〜73Iにより連結した構成となる。この場合、特に操作者が超音波プローブ2を生体側に押し付けた際に、超音波測定を実施する基部に対する把持部90の為す角度が一様に定まらず、測定時の超音波プローブの操作性が低下する。
そこで、本実施形態では、超音波プローブ2は、基部に対する把持部90の為す角度を所定角度に維持するために、角度固定部44,45,53,54を備えている。
【0051】
図12は、本実施形態の第一角度固定部44の概略構成を示す平面図である。
なお、本実施形態では、第一角度固定部44、第二角度固定部45、第三角度固定部53、及び第四角度固定部54は、略同様の構成を有する。したがって、以下において、第一角度固定部44について詳述し、第二角度固定部45、第三角度固定部53、及び第四角度固定部54の詳細な説明は省略する。
【0052】
ここで、第一角度固定部44の説明にあたり、以下の点及び線を定義する。
X方向における第一補助部41及び第二補助部42の間の中心点(第三連結部73DのX方向の中心点)を通り、Y方向に平行な線を折曲中心線Lcとし、折曲中心線Lc上の点(第一角度固定部44を折り返す頂点位置)を折曲頂点P0とする。
包材70の−Y側の端辺L0上で、折曲中心線Lcよりも+X側(第二補助部42内)に位置する点を第一補助点P1とする。端辺L0上で、第一補助点P1よりも+X側(第二補助部42内)を折り返し点Psとする。折り返し点Psから所定寸法+Y側に位置する点を第二補助点P2とする。端辺L0上で、折曲中心線Lcよりも−X側(第一補助部41内)に位置する点を第三補助点P3とする。
また、折曲頂点P0から第一補助点P1に向かう線を第一折曲線L1、折曲頂点P0から第二補助点P2に向かう線を第二折曲線L2、折曲頂点P0から第三補助点P3に向かう線を第三折曲線L3とする。
【0053】
第一補助部41を構成する第一補助基板411の第一角度固定部44近傍の端辺は、
図12に示すように、折曲中心線Lc、第三折曲線L3、及び端辺L0に沿って位置する。
また、第二補助部42を構成する第二補助基板421の第一角度固定部44近傍の端辺は、折曲中心線Lc、第二折曲線L2に沿って位置する。
【0054】
第一角度固定部44は、第一剛性部441、第二剛性部442、第三剛性部443により構成されている。また、本実施形態では、包材70には、折り返し点Psから第二補助点P2までに亘って、包材70の第一カバー部71から第二カバー部72までを貫通する切り込み44Aが設けられる。
第一剛性部441は、折曲中心線Lc、第三折曲線L3、及び端辺L0に囲われる三角形状の領域に設けられる。
第二剛性部442は、折曲中心線Lc、第一折曲線L1、及び端辺L0に囲われる略三角形状の領域に設けられる。
第三剛性部443は、第一折曲線L1、第二折曲線L2、切り込み44A、及び端辺L0に囲われる領域に設けられる。
【0055】
図13は、第一角度固定部44により、第一補助部41及び第二補助部42の角度を固定した状態を示す斜視図である。
超音波プローブ2を第一形状に変形させる際、
図13に示すように、第一補助部41に対して第二補助部42を外側(+Y側から−Y側を見た際の時計回り方向)に、折曲中心線Lcに沿って折り曲げる。
この際、第二折曲線L2で、第三剛性部443を折り曲げて、第二補助基板421に重ね合せる。
なお、第三剛性部443は、第二補助基板421に重ね合せた状態で固定する。第三剛性部443の固定方法としては特に限定されない。例えば
図12に示すように、第三剛性部443の第一補助点P1においてバンド444を固定し、第三剛性部443を第二補助基板421に重ね合せる際に、当該バンド444を第二補助基板421に巻き付ける構成としてもよい。また、第二補助基板421及び第三剛性部443にそれぞれ磁石を設けて磁気により接合する構成としてもよく、マジックテープ(登録商標)や粘着テープ等によって固定する構成としてもよい。
【0056】
第三剛性部443を第二補助基板421に重ね合せると、第一剛性部441及び第二剛性部442が、それぞれ、第三折曲線L3及び第一折曲線L1で折り曲げられ、第一補助基板411及び第二補助基板421に対して立ち上がる。つまり、第一剛性部441の第一補助基板411に対向する端面が、第一補助基板411に接し、第一剛性部441が第一補助基板411に対して立ち上がる。また、第二剛性部442の第三剛性部443に対向する端面が第二補助基板421に接して立ち上がる。
このような構成では、第一剛性部441及び第二剛性部442が、第一補助部41及び第二補助部42の間で同一平面上に位置する位置関係となる。このため、第一補助部41と第二補助部42との為す角度θ5を大きくする方向に応力を加えても、角度θ5が変化しない。つまり、+Y側から−Y側を見た際に、第二補助部42の第一補助部41に対する反時計回り方向への倒れ込みが抑制される。
【0057】
また、超音波プローブ2を第一形状に変形する際には、第一角度固定部44と同一構成となる第三角度固定部53を立ち上げる。これにより、+Y側から−Y側を見た際に、第三補助部51の第二基部30に対する時計回り方向への倒れ込みが抑制される。
よって、把持部90は、第一角度固定部44により、反時計回り方向への倒れ込み(角度変化)が抑制され、第三角度固定部53により、時計回り方向への倒れ込み(角度変化)が抑制され、Y軸回りの倒れ込みが抑制される。このため、第一基部20に対する把持部90の角度が所定角度(本実施形態では90°)に固定されることになる。
【0058】
超音波プローブ2を第二形状に変形する場合も同様である。
つまり、超音波プローブ2を第二形状に変形する場合では、第二角度固定部45及び第四角度固定部54を立ち上げる。
超音波プローブ2を第二形状に変形させた際に、第二角度固定部45を立ち上げることで、+Y側から−Y側を見た際の第一接続部43の反時計回り方向への倒れ込みが抑制され、第四角度固定部54を立ち上げることで、第二接続部52の時計回り方向への倒れ込みが抑制される。よって、第一接続部43及び第二接続部52を合着した把持部90のY軸回りの角度変化が抑制される。
【0059】
[補強部の構成]
図2に戻り、補強部60は、上述したように、第一補強部61と第二補強部62とを備えている。
第一補強部61及び第二補強部62は、それぞれ包材70よりも剛性の高い板状の第一補強板611及び第二補強板621を、包材70内に内包することにより構成されている。第一補強部61や第二補強部62を構成する板材としては、特に限定されず、例えば、金属板や硬化プラスチック板等を用いることができる。
第一補強板611は、+X側の辺から+Y側の辺に亘って形成される第一ガイド溝612を備える。また、第二補強板621は、−X側の辺から+Y側の辺に亘って形成される第二ガイド溝622を備える。
【0060】
このような補強部60は、超音波プローブ2を第一形状に変形する場合に、第六連結部73G及び第七連結部73Hで第一補強部61及び第二補強部62を折り返し、第一基部20及び第二基部30に重ね合せる。第一補強部61及び第二補強部62の間は、第八連結部73Iを介して角度が可変となるので、第一基部20及び第二基部30の角度と同じ角度で、第一補強部61及び第二補強部62の角度を維持することができる。
【0061】
一方、超音波プローブ2を第二形状に変更する場合、第六連結部73G及び第七連結部73Hで折り曲げて、第一基部20及び第二基部30に対して第一補強部61及び第二補強部62を90°で立ち上げる。第一補強部61及び第二補強部62は、平面(180°)で維持されるため、第一基部20及び第二基部30の間の角度を変更する応力が加わった場合でも、当該応力による第一基部20及び第二基部30の間の角度の変更が抑制される。
【0062】
また、
図11に示すように、第二形状において、第一部材40の第一補助部41及び第二補助部42は、第一補強板611の第一ガイド溝612に保持される。また、第二部材50の第三補助部51は、第二補強板621の第二ガイド溝622に保持される。
以上により、超音波プローブ2を第二形状に変形した際に、補強部60の第一補強部61及び第二補強部62により、第一基部20及び第二基部30の位置(角度)が維持され、かつ、第一補助部41及び第三補助部51の角度が所定角度に維持される。特に、第一補助部41と第二補助部42との間の角度変化を抑制することができ、好適に第二形状を維持することができる。
【0063】
[制御装置の構成]
図14は、第一実施形態における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
制御装置10は、制御部に相当し、
図1及び
図14に示すように、ボタンやタッチパネル等を含む操作部12と、表示部13と、を備える。
また、制御装置10は、
図14に示すように、メモリー等により構成された記憶部14と、CPU(Central Processing Unit)等により構成された演算部15と、を備える。制御装置10は、記憶部14に記憶された各種プログラムを、演算部15に実行させることにより、演算部15を、形状判定部151、音声解析部152、スキャン制御部153、画像生成部154、及び表示制御部155等として機能する。なお、制御装置10としては、例えば、タブレット端末やスマートフォン、パーソナルコンピューター等の端末装置を用いることができ、超音波プローブ2を操作するための専用端末装置を用いてもよい。
【0064】
形状判定部151は、超音波プローブ2の形状を判定する。本実施形態では、形状判定部151は、超音波プローブ2から送信される、第一検知センサー524Aや第二検知センサー525Aからの検知信号に基づいて超音波プローブ2の形状を判定する。具体的には、形状判定部151は、第一検知センサー524Aからの第一検知信号を受信した場合に、第一形状であると判定し、第二検知センサー525Aからの第二検知信号を受信した場合に、第二形状であると判定する。
【0065】
音声解析部152は、超音波プローブ2のマイク435から入力された音声情報を解析し、当該音声情報が、スキャンモードを変更する旨の音声情報であるか否かを判定する。音声情報の解析は、公知技術を用いることができ、例えば、音声情報に含まれる各音素及びその音素の並び順を抽出する。そして、解析された音声情報が予め設定された設定変更に関するモード変更要求情報(例えば、「スキャンモードの変更」等)であるか否かを判定する。
【0066】
スキャン制御部153は、超音波プローブ2により実施する超音波測定を制御する。具体的には、スキャン制御部153は、モード設定部153A及び送受信制御部153Bとして機能する。
モード設定部153Aは、形状判定部151による形状判定の結果や、音声解析部152での音声解析の結果に応じて、超音波測定を実施する際の測定方式(スキャンモード)を設定する(切り替える)。具体的には、モード設定部153Aは、形状判定部151により第一形状と判定された場合、スキャンモードを、セクタースキャンによる超音波測定を実施するセクタースキャンモードに設定する。また、形状判定部151により第二形状と判定された場合、スキャンモードを、リニアスキャンによる超音波測定を実施するリニアスキャンモードに設定する。
また、形状判定結果に応じたスキャンモードは、超音波測定を実施する際のデフォルト値であり、その後、音声解析部152により、入力された音声情報がモード変更要求情報であると判定された場合、モード設定部153Aは、当該モード変更要求情報に対応するスキャンモードに設定する。例えば、第一形状でのスキャンモードは、デフォルトとしてセクタースキャンモードに変更されるが、リニアスキャンに変更するモード変更要求情報を含む音声情報を受け付けると、リニアスキャンモードに変更され、さらに、セクタースキャンに変更するモード変更要求情報を含む音声情報を受け付けると、セクタースキャンモードに再度変更される。
送受信制御部153Bは、形状判定部151に判定された形状に応じた超音波基板81から、モード設定部153Aにて切り替えられた(設定された)スキャンモードにて超音波測定を実施するように、超音波プローブ2に対して制御信号を出力する。
【0067】
画像生成部154は、超音波プローブ2から送信された超音波測定の測定結果に基づいて、生体の内部断層像を生成する。
表示制御部155は、表示部13を制御して、例えば画像生成部154にて生成された内部断層像等の各種画像情報を表示部13に表示させる。
【0068】
[超音波測定装置の動作]
[超音波プローブの変形]
上述したような超音波プローブ2では、生体における超音波測定を実施する部位に応じて、形状を変形させる。
具体的には、超音波プローブ2を搬送する場合や、超音波プローブ2を所定の収納位置に収納する場合、超音波プローブ2からケーブル線11を取り外し、第一磁石434から、第二磁石524又は第三磁石525を取り外す。すなわち、第一部材40と第二部材50とを脱着させる。これにより、超音波プローブ2が、所定厚み寸法のテープ状(平面状)の形状となり、可搬性や収納性が向上する。
【0069】
一方、生体の狭範囲部位を測定する場合では、超音波プローブ2を第一形状に変形させる。
具体的には、先ず、操作者は、第一補強部61及び第二補強部62を、第六連結部73Gや第七連結部73Hで折り返し、第一基部20や第二基部30に重ね合せる。この後、第一磁石434と、第二磁石524とを接合させることで、第一部材40と第二部材50とを合着させ、把持部90を形成する。
次に、第一角度固定部44及び第三角度固定部53を立ち上げる。これにより、把持部90の第一基部20に対する角度が固定され、
図10に示すように、超音波プローブ2が第一形状に変形される。
【0070】
また、生体の広範囲部位を測定する場合では、超音波プローブ2を第二形状に変形させる。
具体的には、先ず、操作者は、第一磁石434と、第三磁石525とを接合させることで、第一部材40と第二部材50とを合着させ、把持部90を形成する。
次に、第一補強部61及び第二補強部62を、第六連結部73Gや第七連結部73Hで折り曲げて、第一基部20や第二基部30に対して90°の姿勢に合わせる。この際、ガイド溝612に沿って、第一補助部41の端縁、及び第二補助部42の端辺を保持させ、ガイド溝622に沿って、第三補助部51の端辺を保持させる。
そして、第二角度固定部45及び第四角度固定部54を立ち上げる。これにより、把持部90の第一基部20及び第二基部30に対する角度が固定され、
図11に示すように、超音波プローブ2が第二形状に変形される。
【0071】
[超音波測定処理]
次に、本実施形態の超音波測定処理(超音波装置の駆動方法)について説明する。
図15は、本実施形態の超音波測定方法を示すフローチャートである。
超音波測定装置1により超音波測定を実施する場合、先ず、操作者は、超音波プローブ2を生体の測定部位に対応した形状(第一形状又は第二形状)に変形させる。これにより、超音波プローブ2から第一検知信号又は第二検知信号が出力される。
【0072】
そして、制御装置10は、例えば主電源がオンとされることで、形状判定部151による形状判定処理を実施する。
具体的には、形状判定部151は、第一検知センサー524A及び第二検知センサー525Aのいずれかからの検知信号を受信したか否かを判定する(ステップS1:形状判定ステップ)。
ステップS1でNoと判定された場合は、第一部材40及び第二部材50が合着されていない状態(第一部材40及び第二部材50が脱着位置)にあると判定する。
この場合、例えば、形状判定部151は、エラー信号を出力し、ステップS1に戻る。この際、表示制御部155は、表示部13に超音波プローブ2の形状を変形させる旨を促す表示画面を表示させる等により超音波プローブの形状異常を報知してもよい。
なお、第一検知センサー524A及び第二検知センサー525Aの双方からの検知信号が入力されている場合も、形状が判定できないとして、超音波プローブの形状異常を知らせる表示を行ってもよい。
【0073】
ステップS1においてYesと判定された場合、形状判定部151は、受信した検知信号が、第一検知センサー524Aから受信された第一検知信号であるか否かを判定する(ステップS2:形状判定ステップ)。
ステップS2でYesと判定された場合、つまり、制御装置10に第一検知センサー524Aからの第一検知信号が入力されている場合、第一磁石434と第二磁石524とが合着された第一形状であると判定する(ステップS3:形状判定ステップ)。
この場合、スキャン制御部153のモード設定部153Aは、超音波測定のスキャンモードを、第一基部20を用いるセクタースキャンモードに設定する(ステップS4:モード切替ステップ)。
【0074】
一方、ステップS2でNoと判定された場合、つまり、制御装置10に第二検知センサー525Aからの第二検知信号が入力されている場合、第一磁石434と第三磁石525とが合着された第二形状であると判定する(ステップS5:形状判定ステップ)。
この場合、スキャン制御部153のモード設定部153Aは、超音波測定のスキャンモードを、第一基部20及び第二基部30を用いるリニアスキャンモードに設定する(ステップS6:モード切替ステップ)。
【0075】
また、音声解析部152は、超音波プローブ2のマイク435を介した音声情報の入力があったか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において、Yesと判定された場合、音声解析部152は、さらに、入力された音声情報を解析し、当該音声情報に、モード変更要求情報が含まれているか否かを判定する(ステップS8)。
ステップS8において、Yesと判定された場合、モード設定部153Aは、音声解析部152にて解析されたモード変更要求情報に基づいて、スキャンモードを変更する(ステップS9)。
例えば、超音波プローブ2が第一形状である場合、ステップS4により、スキャンモードが第一基部20を用いるセクタースキャンモードに設定されている。この際、音声解析部152による音声情報の解析により、リニアスキャンへの変更を示すモード変更要求情報が含まれていると解析されると、モード設定部153Aは、スキャンモードを、第一基部20を用いるリニアスキャンモードに変更する。
また、超音波プローブ2が第二形状である場合、ステップS6により、スキャンモードが第一基部20及び第二基部30を用いるリニアスキャンモードに設定されている。この際、音声解析部152による音声情報の解析により、セクタースキャンへの変更を示すモード変更要求情報が含まれていると解析されると、モード設定部153Aは、スキャンモードを、第一基部20及び第二基部30を用いるセクタースキャンモードに変更する。
【0076】
以上の後、スキャン制御部153の送受信制御部153Bは、設定されたスキャンモードでの超音波測定を実施させる旨の制御信号を超音波プローブ2に出力する(ステップS10)。なお、ステップS10の処理は、操作者による超音波測定を開始する旨の開始指令信号があった場合に実施されてもよい。この開始指令信号としては、例えば、音声解析部152が、マイク435から入力された音声情報を解析することで取得されてもよく、制御装置10や超音波プローブ2に設けられた操作ボタン等の操作を検出することで取得されてもよい。
【0077】
これにより、超音波プローブ2の駆動制御回路432Dは、制御信号に基づいた超音波測定処理を実施する。
例えば、超音波プローブ2が第一形状である場合では、第一基部20に対する超音波測定を指令する制御信号が入力される。この際、スキャンモードがセクタースキャンモードであれば、駆動制御回路432Dは、第一駆動回路部432Bに対して、各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)を遅延駆動させる指令信号を出力し、超音波の送信方向を略扇状の範囲内で走査させる。そして、生体から反射された反射波が受信された際の、所定の超音波トランスデューサーTr(例えば、アレイ領域Arの中心部に配置された超音波トランスデューサーTr)から出力される受信信号を取得する。
一方、スキャンモードがリニアスキャンモードであれば、駆動制御回路432Dは、第一駆動回路部432Bに対して、各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)を例えば同時に駆動させる指令信号を出力し、アレイ領域Arの法線方向に超音波を送信させる。そして、生体から反射された反射波が受信された際の、各超音波トランスデューサーTrから出力される受信信号を取得する。
【0078】
また、駆動制御回路432Dは、超音波プローブ2が第二形状である場合は、第一基部20及び第二基部30の間に対しても超音波を送信させる制御を行う。
ここで、超音波プローブ2が第二形状であり、スキャンモードがリニアスキャンモードである場合、駆動制御回路432Dは、第一基部20及び第二基部30の各超音波トランスデューサーTrにリニアスキャン用の指令信号を、第一駆動回路部432B及び第二駆動回路部522Bに出力する。
この指令信号は、第一基部20及び第二基部30の各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)を例えば同時に駆動させる指令信号を出力し、アレイ領域Arの法線方向に超音波を送信させ、各超音波トランスデューサーTrからの受信信号を取得させる。また、第一基部20における第二基部30側(−X側)の一部(例えば32ch等)の超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)、及び第二基部30における第一基部20側(+X側)の一部(例えば32ch等)の超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)を遅延駆動させることで、第一基部20と第二基部30との間の隙間に対応した範囲に超音波を送信させる。そして、例えば、第一基部20の−X側端部及び第二基部30の+X側端部の超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)にて超音波を受信した際の受信信号を取得させる。
つまり、第一基部20及び第二基部30の法線方向に対してリニアスキャンによる超音波測定が実施され、かつ、第一基部20及び第二基部30の間の隙間ではセクタースキャン方式による超音波測定が実施されることになる。これにより、第一基部20から第二基部30に亘る広範囲領域に対する超音波測定を実施できる。
【0079】
一方、超音波プローブ2が第二形状であり、スキャンモードがセクタースキャンモードである場合、駆動制御回路432Dは、第一基部20及び第二基部30を1つの基部として、各超音波トランスデューサーTr(送受信列Ch)を遅延駆動させる指令信号を出力し、超音波の送信方向を略扇状の範囲内で走査させる。そして、生体から反射された反射波が受信された際の、所定の超音波トランスデューサーTr(例えば、第一基部20の−X側端部の超音波トランスデューサーTrや、第二基部30の+X側端部の超音波トランスデューサーTr)から出力される受信信号を取得する。
【0080】
また、音声解析部152は、超音波測定中においても、超音波プローブ2のマイク435を介した音声情報の入力を受け付け、音声情報にモード変更要求情報が含まれるか否かを判定する(ステップS11)。そして、ステップS11において、Yesと判定された場合、ステップS9の処理に移行する。これにより、超音波測定中においても、超音波測定におけるスキャンモードを変更することが可能となる。
この後、画像生成部154は、超音波プローブ2から送信される超音波測定結果に基づいて、生体の内部断層像を生成し、表示制御部155は、生成した内部断層像を表示部13に表示させる(ステップS12)。
【0081】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、超音波プローブ2は、超音波測定時に第一基部20が生体に接触可能となる第一形状と、第一基部20及び第二基部30の双方が生体に接触可能となる第二形状とに変更可能となる。そして、形状判定部151は、超音波プローブ2が第一形状であるか、第二形状であるかを判定し、スキャン制御部153は、判定された形状に応じたスキャンモードに切り替えて、超音波プローブ2による超音波測定を実施させる。
このため、操作者は、別途スキャンモードを選択するための操作の手間を省くことができ、超音波測定を容易に実施することができる。
【0082】
本実施形態では、スキャン制御部153は、形状判定部151により超音波プローブ2が第一形状であると判定された場合に、第一基部20によるセクタースキャンモードをデフォルトに設定し、第二形状と判定された場合に、第一基部20及び第二基部30によるリニアスキャンモードをデフォルトに設定する。
一般に、超音波の送受信面(プローブと生体との接触面積)が小さい場合、広い範囲を測定範囲とし、かつ、生体に対して送信する超音波の音圧を大きくして測定精度を得るために、セクタースキャンを実施する。一方、超音波の送受信面(プローブと生体との接触面積)が大きい場合、十分に広い測定範囲に対する超音波測定を実施できるので、この場合は、測定時の分解能を向上させるためにリニアスキャンを実施する。ここで、本実施形態では、送受信面が小さくなる第一形状の際に、セクタースキャンモードがデフォルトで設定され、送受信面が大きくなる第二形状の際に、リニアスキャンモードがデフォルトで設定される。このため、操作者は、超音波プローブ2の形状に対して最適なスキャンモードがデフォルトで設定されることになり、操作者がスキャンモードを変更する手間を省略することができる。
【0083】
本実施形態では、超音波プローブ2は、第一磁石434と第二磁石524とが合着した際に第一形状に変形され、第一磁石434と第三磁石525とが合着した際に第二形状に変形される。また、本実施形態では、第二磁石524には、第一磁石434の合着を検出する第一検知センサー524Aが設けられ、第三磁石525には、第一磁石434の合着を検出する第二検知センサー525Aが設けられている。そして、形状判定部151は、第一検知センサー524Aからの第一検知信号を検知した際に、超音波プローブ2が第一形状であると判定し、第二検知センサー525Aからの第二検知信号を検知した際に、第二形状であると判定する。
この場合、形状判定部151は、第一検知センサー524A及び第二検知センサー525Aからの検知信号に基づいて、容易に超音波プローブ2の形状を判定することができる。
【0084】
本実施形態では、超音波プローブ2にマイク435が設けられる。そして、音声解析部152は、マイク435から入力された音声情報を解析し、モード変更要求情報が含まれるか否かを判定し、スキャン制御部153は、モード変更要求が含まれると判定された場合にスキャンモードを変更(設定)する。
これにより、操作者は、手動で操作ボタン等を操作することなく、音声により超音波プローブ2による超音波測定のスキャンモードを変更することができ、操作性を向上させることができる。また、超音波測定中において、例えば操作者の両手が塞がっている場合でも、音声によりスキャンモードを切り替えることができる。
【0085】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、形状判定部151は、第一検知センサー524A及び第二検知センサー525Aからの検知信号に基づいて、超音波プローブの形状を判定する構成を例示した。これに対して、第二実施形態では、上記第一実施形態と超音波プローブ2の形状判定の方法が相違する。なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については同一符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0086】
図16は、本実施形態の超音波装置の概略構成を示す図である。
本実施形態では、
図16に示すように、超音波プローブ2は、第一基部20と第二基部30との間に、角度センサー91が設けられている。
この角度センサー91は、第一基部20と第二基部30との為す角度を検出し、検出した角度に応じた角度検出信号を制御装置10に出力する。
【0087】
そして、本実施形態では、形状判定部151は、角度センサー91から出力された角度検出信号に基づいて、超音波プローブ2の形状を判定する。
具体的には、形状判定部151は、第一基部20と第二基部30との為す角度が0°以上90°未満である場合、第一形状であると判定する。つまり、第一基部20と第二基部30との為す角度が0°以上90°未満である場合、第一基部20の天面(第二カバー部72側)に第二基部30が位置し、第二基部30の第二開口窓712が生体に対向しない。よって、このような形状では、第一基部20のみを用いて超音波測定を実施する第一形状であると判定する。
また、形状判定部151は、第一基部20と第二基部30との為す角度が90°以上270°未満である場合、第二形状であると判定する。つまり、第一基部20と第二基部30との為す角度が90°以上180°未満である場合、生体の凹状測定部位に接触させた際に、第一基部20及び第二基部30の第一カバー部71側を接触させることが可能な形状となる。また、第一基部20と第二基部30との為す角度が180°近傍である場合、生体の略平面状の測定部位に接触させた際に、第一基部20及び第二基部30の第一カバー部71側を接触させることが可能な形状となる。さらに、第一基部20と第二基部30との為す角度が180°以上270°未満である場合、生体の凸状測定部位に接触させた際に、第一基部20及び第二基部30の第一カバー部71側を接触させることが可能な形状となる。よって、このような形状では、第一基部20及び第二基部30を用いて超音波測定を実施する第二形状であると判定する。
【0088】
なお、形状判定部151は、第一基部20と第二基部30との為す角度が270°以上の場合、エラー信号を出力する。つまり、第一基部20と第二基部30との為す角度が270°以上である場合、第一基部20の第一カバー部71側に第二基部30が位置することになる。
この場合、例えば表示部13に超音波測定を実施できない旨を表示させてもよい。
【0089】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、形状判定部151は、第一基部20と第二基部30との為す角度に基づいて、超音波プローブ2の形状を判定する。このような構成では、超音波プローブ2の第一基部20と第二基部30との間に、角度センサー91を設けるだけの簡素な構成で、超音波プローブ2の形状を判定することができる。
【0090】
より具体的に、形状判定部151は、角度センサー91にて検出された角度が0°以上90°未満である場合に、第一形状であると判定する。また、検出された角度が90°以上270°未満である場合に、第二形状でると判定する。
第一基部20と第二基部30との角度が0°以上90°未満である場合に、第二基部30が、第一基部20の第二カバー部72側に位置する形状となる。この場合、超音波プローブ2の第一基部20のみが被検体に対向可能な形状となって、狭範囲の測定部位に対して、第二基部30が当接することなく、超音波プローブ2を適切に被検体に接触させることが可能な形状となる。したがって、形状判定部151により、角度センサー91にて検出される角度が0°以上90°未満となる場合を第一形状として判定することで、スキャン制御部153は、第一形状に対応したスキャンモードでの超音波測定を適切に実施することができる。
【0091】
また、第一基部20と第二基部30との角度が90°以上270°未満である場合、第一基部20及び第二基部30が生体に接触可能な形状となる。例えば、生体の略平面状の測定部位に第一基部20及び第二基部30を当接させる場合では、角度センサー91にて検出される角度は略180°となる。また、生体の凹状の測定部位に第一基部20及び第二基部30を当接させる場合では、角度センサー91にて検出される角度は90°以上180°未満となる。さらに、被検体の凸状の測定部位に第一基部20及び第二基部30を当接させる場合、角度センサー91にて検出される角度は180°以上270°未満となる。
よって、形状判定部151により、角度センサー91からの角度が90°以上270°未満である場合を第二形状として判定することで、スキャン制御部153は、第二形状に対応したスキャンモードでの超音波測定を適切に実施することができる。
【0092】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0093】
上記第一実施形態及び第二実施形態では、第一基部20、第二基部30、第一部材40、及び第二部材50が包材に内包される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第一基部20、第二基部30、第一部材40、及び第二部材50がそれぞれ筐体を有し、筐体同士が角度を可変に連結される構成などとしてもよい。この場合、筐体の外装面同士を当接させることで、各部の角度を固定する構成等としてもよい。
【0094】
上記第一実施形態及び第二実施形態では、第一形状において、第一基部20が生体に接触可能となる形状となり、第二形状において、第一基部20及び第二基部30の双方が生体に接触可能となる形状となる例を示した。これに対して、例えば第二基部30のみが生体に接触可能となる形状を第二形状としてもよい。この場合、第一基部20におけるアレイ領域(第一開口窓711)と、第二基部30におけるアレイ領域(第二開口窓712)の面積を異ならせることが好ましい。
また、第一基部20及び第二基部30の2つの基部を備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、超音波の送受信を行う、3つ以上の基部が設けられる構成などとしてもよい。
【0095】
上記実施形態において、第一接続部43内に第一回路基板432が設けられ、当該第一回路基板432に第一駆動回路部432B、マイク制御回路432C、及び駆動制御回路432Dを設ける構成としたが、これに限定されない。例えば、第一補助部41や第二補助部42内に、第一回路基板が設けられる構成としてもよく、第一回路基板432に設けられる一部の回路(例えば、第一駆動回路部432Bのみ等)を第一補助部41や第二補助部42に設ける構成としてもよい。
第二接続部52の第二回路基板522においても同様であり、第三補助部51に第二回路基板522を設けてもよく、第二回路基板522の一部の回路を第三補助部51に設けてもよい。
また、第一回路基板432に、第二回路基板522の各回路を組み込む構成などとしてもよい。
【0096】
上記実施形態では、制御装置10の演算部15が、記憶部14に記憶されたプログラムを読み込み実施することで形状判定部151として機能する例を示したが、これに限定されない。
例えば、超音波プローブ2に、超音波プローブ2の形状を判定する形状判定部(形状判定回路)を設ける構成としてもよい。
【0097】
また、スキャン制御部153においても同様であり、例えば超音波プローブ2の駆動制御回路432Dをスキャン制御部として機能させてもよい。
この場合、駆動制御回路432Dは、第一スキャン回路、第二スキャン回路、第三スキャン回路、第四スキャン回路、及びスイッチ回路等を備える構成とすることができる。
第一スキャン回路は、第一基部20にセクタースキャンによる超音波測定を指令する指令信号を第一駆動回路部432Bに出力する。
第二スキャン回路は、第一基部20及び第二基部30にリニアスキャンによる超音波測定を指令する指令信号を第一駆動回路部432B及び第二駆動回路部522Bに出力する。
第三スキャン回路は、第一基部20にリニアスキャンによる超音波測定を指令する指令信号を第一駆動回路部432Bに出力する。
第四スキャン回路は、第一基部20及び第二基部30にセクタースキャンによる超音波測定を指令する指令信号を第一駆動回路部432B及び第二駆動回路部522Bに出力する。
スイッチ回路は、形状判定回路による形状判定結果(第一検知信号の入力を検知したか、第二検知信号の入力を検知したか)に応じて、第一駆動回路部432B及び第二駆動回路部522Bに接続する回路(第一スキャン回路、第二スキャン回路、第三スキャン回路、第四スキャン回路)を切り替える。
このような構成を用いても、上記実施形態と同様に、操作者の超音波測定に係る操作手間を省略でき、測定効率を向上させることができる。
【0098】
上記実施形態では、超音波プローブ2にマイク435が設けられ、制御装置10の音声解析部152により音声情報を解析してモード変更要求情報が含まれる場合にスキャンモードを切り替える例を示した。
これに対して、マイク435は、超音波プローブ2とは独立して構成され、制御装置10に接続される構成などとしてもよく、制御装置10にマイクが設けられる構成としてもよい。
また、マイク435が設けられない構成としてもよい。この場合、超音波プローブ2や制御装置10に、別途、スキャンモードを切り替える操作部を設けてもよい。
【0099】
上記第一実施形態では、形状判定部151は、第一検知センサー524A及び第二検知センサー525Aからの検知信号に基づいて超音波プローブ2の形状を判定し、第二実施形態では、角度センサー91にて検出された角度に基づいて超音波プローブ2の形状を判定したが、これに限定されない。
形状判定部151は、例えば、超音波プローブ2の第一基部20及び第二基部30の双方から超音波を送信し、その反射波を測定することで、超音波プローブ2の形状を判定してもよい。例えば、第一基部20にて反射波が測定された場合では、第一基部20が生体に接触している形状(第一形状)、第二基部30にて反射波が測定された場合では、第二基部30が接触している形状、第一基部20及び第二基部30の双方にて反射波が測定された場合は、第一基部20及び第二基部30の双方が生体に接触している形状(第二形状)であると判定する。
【0100】
また、第一部材40及び第二部材50を磁石により合着させることで把持部90を構成させる例を示したが、これに限定されない。第一部材40及び第二部材50は、例えばマジックテープ(登録商標)や粘着テープ等によって合着されてもよい。また、第一部材40に設けられた係合溝と第二部材50に設けられた係止爪とを係合させることで合着させる構成としてもよい。その他、第一部材40及び第二部材50をクリップにより挟み込む等でもよく、如何なる構成を用いてもよい。
【0101】
上記各実施形態では、スライス方向(Y方向)に配置される各超音波トランスデューサーTrが同時駆動される1次元アレイ構造を有する超音波基板81を例示したが、これに限定されない。例えば、超音波トランスデューサーTrを2次元アレイ構造に構成してもよい。この場合、各超音波トランスデューサーTrを遅延させることで、各超音波から出力された超音波を所望の位置に収束するように出力することができる。
【0102】
上記各実施形態では、超音波トランスデューサーTrとして、素子基板811の支持膜812側に封止板82が設けられ、素子基板811の開口部811Aから超音波を送信し、開口部811Aから入射する超音波を受信する例を示したが、これに限定されない。例えば、封止板82が素子基板811の支持膜812とは反対側に設けられ、開口部811Aとは反対側に超音波を送信し、開口部811Aとは反対側から入射する超音波を受信する構成としてもよい。
また、下部電極813Aを駆動信号線とする例を示したが、上部電極813Cを駆動信号線として用いてもよい。
【0103】
上記実施形態では、超音波トランスデューサーTrとして、支持膜812と、当該振動膜を振動させる超音波素子としての圧電素子813と、を備える構成を例示した。しかしながら、これに限定されず、圧電素子以外の超音波素子を用いてもよい。例えば、基板上にエアギャップを介して振動膜を配置し、基板と振動膜との間に静電アクチュエーターを配置することで振動膜を振動させる超音波素子等を用いてもよい。
また、超音波トランスデューサーTrは、振動膜を備えず、圧電素子等の振動子を振動させることにより超音波送信するように構成されてもよい。
【0104】
上記実施形態では、生体内を被検体とする超音波測定装置1を例示したが、これに限定されない。例えば、各種構造物を被検体として、当該構造物の欠陥の検出や老朽化の検査を行う超音波装置に、本発明を適用することもできる。また、例えば、半導体パッケージやウェハ等を被検体として、当該被検体の欠陥を検出する超音波装置にも本発明を適用することができる。
【0105】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。